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931ひゅうが:2016/08/24(水) 16:21:21

神崎島ネタSS――「第二次上海事変」その11




――同 日本総領事館前 臨時指揮所


「どういうことだ…」

「おそらく、租界に展開する外国兵はすべて敵だと思ったのでしょうね。」

大川内がこともなげに言った言葉に、ちがう、そうじゃないんだ。とマッカーサーは首を振った。

「仮にも白旗を掲げた軍使を撃つのか?!」

「戦場ですから。欧州ではなかったのですか?」

なかった…とかすれた声でマッカーサーはいった。

「そんな最低限の法規を守らないならば、戦争はただの皆殺しの応酬になってしまう。」

そうでしょうな。
と大川内は返した。

「驚いていないようだが。」

いらだった様子でマッカーサーが言う。
むしろ、こんなことに気付かないものなのか、と大川内は逆に驚きつつ返す。

「不幸な経験は多くあるものです。」

「不幸?無法の間違いでは?」

副官――アイゼンハワーと名乗った――がたまらずといった風に口を挟んだ。

「ここは中国だよ。中佐。」

それを思い知ったあとである日本人である大川内は返す。

「同じ人間相手だが、こちらの常識が相手の非常識なこともあるのだ。」

19世紀なら応戦で通ったが、こちらではどうするのか?
去りゆく側の日本人である大川内には純粋に興味があった。

「ともかく、自衛戦闘は行わなければならないな。租界の安全を回復させなければ。」

ああ。やっぱり。

「撤収の段になってすまないと思うが、一段落するまで助力をお願いしたい。」

「わかっております。」

ここでそのまま撤収したらあとで何をいわれるのやら。
しかしおそらく、結末は決まっているのだろうし。

大川内は、この第二次上海事変の結末を半ば予期し、暗い思いにとらわれた。




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