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嗚呼、我ら地球防衛軍 支援SS その3

963パトラッシュ:2013/11/16(土) 09:16:44

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART31

ナターシャ・ファイルスSIDE

 グアム基地での訓練に参加後、休暇半分で立ち寄ったIS学園の学年別トーナメントでこんな場面に出くわすなんて。男性IS操縦者の地球連邦軍イチカ・オリムラ大尉がドイツ代表候補生を撃破する強さには圧倒されたが、そのドイツの第三世代機『シュヴァルツェア・レーゲン』が強制解除の兆候から一転して自己増殖するように膨張する。その名の通り黒い機体が、明らかに気を失った操縦者を呑み込んで全身装甲の異形の怪物と化していく。日本の古い絵に出てくる「オニ」というモンスターみたいだ。
「ダリル、あ、あれはISの暴走なの?」
「だと思うけど、ISが意志を持ったように変形するなんてあり得ない。先日の乱入ISと同じ無人機そのものだ」
 あれは第一世代機をどうにか動かした程度のモドキだったはず。私の『銀の福音』と同じ第三世代機が乗っ取られるなんて。自分がそうなったらと想像すると、思わず総毛立った。異常事態の突発に、周囲から多くの観客が慌てて逃げ出す。

 デュノア機が黒いISに連装ショットガンを浴びせかけたが、紫煙が晴れた後には傷ひとつない不気味な機体が悠然と立っていた。その手に持っているのは……。
「おい、ナターシャ。あの武器は見たことないか?」
「ええ、チフユ・オリムラの<雪片>にそっくりよ」
 確かに以前、訓練のため繰り返し見せられたモンド・グロッソの記録映像で、ブリュンヒルデが使っていた武器にそっくりだ――いや、そっくりすぎる。
「……まさか、ヴァルキリー・トレース・システムが搭載されていた?」
「な、なんや、そのパリコレとかって?」
「過去のモンド・グロッソの戦闘記録をデータ化して、忠実に再現するシステムよ。どの国や企業でも開発や製造は禁止されているはずなのに!」
 私が叫ぶより早く、黒いISはオリムラ大尉の白式に襲いかかった。白式も雪片弐型を展開して防ぐが、予想外に強烈な斬撃に防戦一方だ。それでも隙を突いて素早く後退し、再び零落白夜の巨大なエネルギー波を展開すると黒いISの雪片を紙一重でかわすや、その頭部に斬りつけた。さすがに吹き飛んで壁に叩きつけられたが、即座に立ち上がる。観客席が地震のように揺れ、砕けた壁の破片やISの部品が周囲に飛散した。
「あ、あんなの喰らって平然と……」
 絶句するダリルの前で再び白と黒のISが二撃、三撃と斬り結ぶが、完全に互角だった。白式はパイロットの実力だが、機体の暴走で戦っている黒いISに閉じ込められたラウラ・ボーデヴィッヒは全身打撲を受け続けているのだ。
「ボーデヴィッヒが危ない! このままではISごと死んでしまうぞ!」
「はあ、パリコレって人権無視のシステムやなあ」

 斜め前の席でドイツ軍のIS担当官が、狂ったようにスマートフォンへまくし立てている。ドイツ語はわからないが、錯乱寸前だ。全IS関係者が注目する場で重大な国際条約違反を暴露され、大切なISが暴走してパイロットもろとも壊れかけているのだから。
 再び黒いISと距離をとった白式は、零落白夜のエネルギー波を出し直す。今度はクレイモア(大剣)ではなく、数センチ幅のジャパニーズ・ソード型だ。一見弱そうだが、逆に凄みを凝縮したようにぎらつく。そのまま一気に跳躍し、黒いISを叩き割った。肉眼では確認できない早さに呆気にとられていると、破壊されたISからボーデヴィッヒが転がり落ちる。黒い眼帯が外れた小さな身体を、白式が素早く受け止めた。
「お、終わったのか……」
「なんでこんなことになったんかいな?」
「――いや、ダリル、フォルテ、あれを見ろ!」
 目に入ったISの状況表示板が信じられず、思わず叫んだ私の指差す先に同僚二人も愕然とした。黒いISのシールドエネルギーが活動限界ぎりぎりまで減少していたのに対し、白式は半分以上も余裕を残している。あれだけ暴れておいて、この数値は事実なのか……。

 ※原作ではVTシステムについて千冬さんの独断で極秘とされましたが、あり得ないと思ったのでこうしました。wiki掲載は自由です。




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