したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

中・長編SS投稿スレ

1earth:2011/02/01(火) 18:51:32
中編、長編のSSを書くスレです。
オリジナル、二次創作どちらでもどうぞ。

140名無しさん:2011/02/08(火) 22:11:46
ディ○ニーは著作権に厳しいというのは、無人島に遭難した男の話とかみたいにネタにされることも多い
今回の書き込みもそれ。

説明させんな恥ずかしい

141earth:2011/02/08(火) 23:42:54
会社で先輩に叱責され凹みまくっているearthです。
……掲示板で愚痴をいうのもアレですが、社会人って辛いですね〜。
そんなどん底の精神状態にも関わらず何故か書いてしまう(爆)。
ノリと勢いと妄想、それにその他諸々の感情のままに書いた第11話です。

142earth:2011/02/08(火) 23:43:33
 未来人の多元世界見聞録 第11話『接触』

 帝国から横浜で交渉を行いたいとの返信を受けた朝倉は肩をすくめた。

「横浜での会談か。連中は余程、首都に私達を入れたくないようね」

 そんな朝倉に長門は淡々と自身の意見を述べる。

「……彼らはつい7年前まで異星人相手に絶滅戦争を繰り広げていた。
 そのことを考慮すれば、未知の存在をまずは首都ではない場所で迎えるという選択はあり得る」
「私達が本気で滅亡寸前の人類を殲滅するつもりなら、何も伝えずに殲滅している。それさえ理解
 できないのかしら?」
「……民心を重視したのかも知れない。彼らは宇宙からの来訪者によい感情を抱いていない」
「彼我の戦力差を考慮すればどこで交渉しても変わらないと思うけど……まぁ人間の感情を考慮
 すればそんなものからしら」
 
 長門は朝倉の言葉に対して何も言わなかった。
 
「ま、良いわ。あの連中が横浜で交渉するって言うなら行ってやりましょう。 
 横浜に行くのは、どの船にする?」
「……この船、それに護衛に巡洋艦3隻を連れて行く。彼らが敵対行動に出たときに備えて4隻は
 第二種戦闘配置とする」
「万が一、帝国軍がこの船を撃沈、或いは私達を『破壊』した場合は?」
「派遣艦隊の指揮を一時的に戦艦エルザスの艦長に継承させ、火星の総司令の指示を仰がせる」

 彼女達は仮に現在のボディが破壊されても、破壊直前の全データを根拠地のデータベースに転送され
そこで再生される。つまり破壊=死ではない。
 しかしそれでも艦隊の指揮は執れなくなる。そのために指揮権を誰に継承させるかはきちんと決める
必要がある。 
 長門の提案を聞いた朝倉は暫し考えた後、賛同した。

「手ぬるい気もするけど、それで行きましょうか」

 かくして戦艦《長門》を含む4隻の船団は指定された海域に向けて降下を開始した。

143earth:2011/02/08(火) 23:44:09
 4隻の船団を海上で迎えたのは、戦艦大和、武蔵を中核とした12隻の帝国海軍艦隊だった。
 彼らは仮に降下してくる船団が不穏な動きを見せた場合には、これを撃破するように指示を内々に
受けていた。
 しかしながら5万トンもの巨体が空に浮いている姿を見た将兵達は、目の前に存在する船が想像も
できない超技術で作られていることを悟る。

「アレが話に聞いた新たな異星人の船か」
「大きい……」
「しかし宇宙船にも関わらず、まるで水上艦艇のような構造だな」

 大和の艦橋では軍人達が目の前に浮かぶ異星人の宇宙船を見た感想を言い合っていた。
 秩序を重んじる彼らであっても、目の前の船を見ては、落ち着いてはいられなかった。
 そんな喧騒の中、オペレータから報告が入る。

「前方の艦より入電。『出迎え、感謝す。引き続き先導を頼む』」
「了解した、と伝えろ」
「はっ!」
「ああ、それと、もう一つ打電しろ」

 大和から打電された内容を見た朝倉は笑った。

「この船の名前を聞いてくるとはね。まぁいつまでも未確認艦じゃあ呼びづらいか。
 教えてもいいかしら? 派遣艦隊司令官殿?」
「問題ない」
「驚くでしょうね。まさか宇宙の彼方からやってきた船が日本語で、しかも日本語名を名乗るんだから」

 意地悪そうな顔をして、朝倉はオペレータに伝える。

「当艦の名は《長門》。戦艦《長門》と伝えなさい」

144earth:2011/02/08(火) 23:44:46
 太平洋上で両勢力がランデブーを果たしていた頃、BETAを排除した火星、そしてBETAの存在が
確認されていない木星、土星周辺宙域では太陽系防衛のための拠点作りと並行して資源採掘が行われていた。
 さすがにこの世界での軍事行動をすべて人工宇宙の自軍勢力圏の資源だけで賄うのはキツイ。勿論、不可能で
はないのだが、持ち出しが増えすぎれば自軍勢力圏の防衛に必要なユニットの生産に支障が出る。
 マブラヴ世界にかまけているうちにゲームオーバーになったら目も当てられないのだ。

「火星の資源はかなり掘り返されていたせいで、望み薄だが、土星や木星周辺宙域の開発は望みがあるか」

 ナデシコの無人兵器バッタをモデルにして作成した作業ユニット群からの報告を見て、耕平は安堵した。
 
「……まぁ後の世の地球人類の皆さんには悪いが、これも地球防衛のためと思って我慢してもらおう」
 
 尤もあそこまで荒廃した世界の人類が、宇宙に進出できるのは何時の時代になることか判らないが。
 耕平は開発状況をさらに確認した後、太陽系外に進出した3個艦隊の戦況を確認する。

「今のところはドリルミサイルと超大型ミサイルの組み合わせでうまくいっているようだな」

 各艦隊は1つの惑星にいるBETAをだいたい10分で掃討している。
 3個艦隊はこれまでに20の惑星を奪還している。潰したハイヴの数は400を超えていた。

「……地球人類が、あれだけ犠牲を払っても制圧できなかったハイヴを10分前後でまとめて撃滅。
 原作の武やヒロイン達、それにA−01の努力が空しくなるな。佐渡島攻略戦とか結構燃えたんだが」

 彼に暇と余暇があれば、水上艦艇(あるいは陸上戦艦)と高性能戦術機を揃え、正面からハイヴを
攻略することもできた。マブラヴ世界の世界観を維持できたかも知れない。しかし現実は残酷だった。

「……悲しいことに、俺は金が無い学生なのよね。おまけに余暇の時間もあまりないし」

 哀愁が漂う台詞だった。

145earth:2011/02/08(火) 23:45:22
 そんな哀愁を漂わせる耕平に、第3艦隊から報告が緊急報告が入る。
 アンドロメダの艦橋のメインスクリーンに第3艦隊司令官ムバラク・スターン提督が映し出される。
 ヤマト世界の将官を使うべきなのだろうが、何故かヤマト世界では防衛軍艦隊=全滅という謎のジンクスが
あるので、耕平は敢えて彼を司令官に任じた。
 まぁ原作では彼も最終的には壮絶な戦死を遂げているのだが、少なくとも敵には甚大な被害を与えている。
 彼が自身の指揮能力に相応しい部隊(装備等含めて)を率いていれば話はもっと別なものになった筈だ。

(Vガンダムの時代は、連邦が弱体化していたからな〜)

 と、前世で見たアニメの内容を思い出した後、彼は尋ねる。

「どうした?」
『ハイヴの中に、超大型ミサイルを迎撃するものが現れました』
「光線属種のようなBETAではなく、ハイヴが迎撃する?」
『はい。ハイヴから質量物体が超大型ミサイルに向けて発射されました。超大型ミサイルはこの物体と
 の衝突によって軌道をそらされました』
「その惑星は?」
『電子戦を仕掛け、さらにダミーのミサイルを含めて超大型ミサイルの飽和攻撃を実施しました。
 この結果、45分ほどで制圧を完了しました』

 対応策をとってきてBETAを相手にして尚、この時間で攻略を完了できるあたり第3艦隊の実力が
どれほどが垣間見える。
 しかしここでは、彼らの実力よりも遂にBETAが対応策をとってきたという方が問題だった。

「ふむ……BETAも学習しているということか。だが問題は」
『はい。彼らがどのようにその教訓を学んだかです。仮にBETAに星間ネットワークのようなものが
 あるとすれば脅威となります』
「確かに……ふむ、これからは周辺宙域の索敵をより密にしよう。怪しげなものがあれば調査するように」
『進撃速度は落ちますが?』
「ここで足元を掬われるよりはマシですよ」
『了解しました』

 かくして地球で人類との接触が行われている頃、耕平たちの対BETA戦も新たな局面を迎えつつあった。

146earth:2011/02/08(火) 23:48:24
あとがき
拙作にも関わらず最後まで読んでくださりありがとうございました。
スターン提督登場です。本当は銀英伝のパエッタ中将にするか悩んだのですが
こういう形になりました。
Vガンダムは小さい頃にみたにも関わらず未だに記憶に残っています。
……色々とインパクトが強かったせいか(笑)。
いよいよ次回で横浜会談です。
帝国のお偉方、それに夕呼先生のSAN値がどうなることやら。

147New ◆QTlJyklQpI:2011/02/08(火) 23:57:54
てか日本名の戦闘艦でやってきた宇宙人となると余計に頭が痛くなりそうですね。
しかもある意味道楽で助けているとなると自分らの能力に泣きたくなりそうw。

148名無しさん:2011/02/09(水) 01:09:31
これは 異星人は船の名前という固有名詞すら情報として与えるつもりがない
情報を隠蔽するのが目的である という勘違いフラグか

149名無しさん:2011/02/09(水) 01:10:10
パエッタか、無能無能って言われているけどランテマリオみると結構優秀なんだよな彼、ヤンや7元帥登場フラグ?

ムバラクか、またマイナーな、ティアンムやヒースロゥ出すかと思っていましたけど

150名無しさん:2011/02/09(水) 03:19:58
>>148
正式な名前は地球人類に知覚できない、というのはとっても良くある設定ですぜ?
無理やり表記して、現場の混乱を招くよりはマシでしょう。

NYARLATHOTEPとか、正確に読める人間はいないしな。

151名無しさん:2011/02/09(水) 06:14:11
>>150
日露の時はアレクサンドル三世=呆れ三太で艦形識別やってたそうなので、
そんな感じになるかと。

もしくは、NATOコードのように、適当なコードを付けるか。

152名無しさん:2011/02/09(水) 07:59:23
接触してくれるインターフェイスすら日本人名、外見も日本人ですから
明らかに向こう側がこちらの流儀に合わせてくれましたw

153名無しさん:2011/02/09(水) 18:16:17
>>152
朝倉はともかく、長門の外見は日本人か?
とも思ったが、ピンク髪の日本人がいる世界だし、アッシュブロンドはまだまともな方か。

154名無しさん:2011/02/09(水) 23:17:32
特一級打撃戦艦長門有希

155名無しさん:2011/02/10(木) 00:02:31
>>154

山本の方はどんな最終回だったんだ?

156名無しさん:2011/02/10(木) 11:11:33
>>155
文庫は未完のままで最近になって完全版とか言うのが新書で出はじめてなかったっけ?

157名無しさん:2011/02/10(木) 12:36:28
>>155
YES、でいよいよ最後まで終わらせる気になった「らしい」お

158earth:2011/02/10(木) 20:18:27
長くなってしまったので、分割せざるを得なくなりました。
色々と立て込んでいますが、何とか書きました。
それでは相変わらず妄想と勢いとその他諸々の感情の成分で突っ走る
第12話です。

159earth:2011/02/10(木) 20:19:18
未来人の多元世界見聞録 第12話『横浜会談 前編』

 指定された海域に着水した戦艦長門以下4隻の船団は、帝国海軍に先導されながら横浜港に入港した。
 入港した横浜港は帝国軍による厳戒態勢下にあった。陸軍は港の周辺を封鎖し、戦術機や機械化歩兵を展開させ
周辺地域の警備に当たっていた。
 帝都からもお偉いさんが多数やってきて出迎えの準備に余念がない。何しろようやく見つかった人類にとって
友好的と思われる異星人なのだ。ここで彼らを怒らせて第二のBETAにしてしまったら堪らない。
 まして相手は98年にハイヴを掃討した異星人との情報もあるのだ。ことは慎重に運ぶ必要があった。

「さて鬼がでるか蛇が出るか」

 外務省から横浜港に派遣された鎧衣は、入港してきた戦艦長門を見ても余裕を崩さぬ態度で笑った。 
 誰もが緊張する中、それだけの余裕を保てるのは、さすがとしか言いようがない。
 しかし内心ではこれから顔見せする異星人たちとどう渡り合うかを考えていた。
 
(それにしても《長門》とは。さてさて何の意図があるのやら……情報を与えたくないからか、それとも
 地球人の我々に判るような名前を名乗ったのか。出来れば後者でありたいものだ)

 そんなことを考えているうちに、いよいよ戦艦長門が接岸する。
 まるで水上戦艦のような3連装砲塔や艦橋らしきものを持つそれは、人類に近い文化、技術を持つ存在が
建造したのではないかとさえ感じさせる。 
 誰もが見守る中、接岸した戦艦長門のハッチが開かれタラップが降ろされる。そして開放されたハッチに
小柄な人影が現れる。
 それは黒いコートのような服、それに純白の白帽をまとっていた。 

「は?」

 続いて現れた人影は先ほどよりは大きかったが、それも大柄とは言えないものだった。
 加えてそれは青いコート、そして先に現れた人影と同じような白帽を被っている。さらに帽子に収まらない
ほどの長い髪をたなびかせている。
 つづけて現れた如何にもロボットという感じの物体群も十分な驚きを与えるものであったが、最初に現れた
人物に比べればどうということはなかった。
 何しろ現れた人物は、その場の誰もが想像だにしなかった容姿をもっていたのだから。
 
「人間? いや少女?」 

 多くの人間が固まるのを長門は不思議そうに、そして朝倉は愉快そうに見ていた。

160earth:2011/02/10(木) 20:19:58
 多くの人間が予想外の現実を前に固まる中、いち早く現実に回帰した鎧衣はすばやく他の外務省の官僚達
を促して長門と朝倉を歓迎する。
 歓迎の意を伝えられるのを聞きつつ、長門と朝倉は密かに通信回線をつなげ、声を出さず会話をする。

(よっぽどびっくりしたみたいね。兵士の中には間抜け面で固まるのもいたわ)
(想定の範囲内)

 そうこうしている間に、2人は迎えの車に乗せられて、会談の場である帝国陸軍白陵駐屯地に向かった。
 道中、あたりには多数の護衛の車両が展開し、物々しい様子であった。

(……さて彼らが手荒な真似をしなければ良いけど。まぁイザとなれば護衛部隊を暴れさせてその隙に逃げるか)

 朝倉の呟きどおり、会談へ向かったのは2人だけではない。2人の護衛のために派遣されてきた護衛の
戦闘用ロボットを30体ほどトラックに載せて、後ろからついて来させた。
 ちなみに彼らの外見は某鉄人兵団の人型戦闘ロボ(雑魚)だ。本当は空間騎兵隊をモデルにする案もあったの
だが、曲がりなりにも戦闘を考慮するとなるとかなりの数がいる。仮に長門たちのように顔を用意するとなると相応の
顔の数を用意しなければならない。
 しかしそれを耕平は面倒と考えた。そんな耕平が考え付いたのが鉄人兵団のロボだった。
 故に空間騎兵隊代わりに、地上戦、それも白兵戦の主力は鉄人兵団のロボ(雑魚)が努めることになっている。  
 勿論、顔を持った空間騎兵隊もいるが少数であり、根拠地防衛や観閲式程度でしか出番は無い。

(あとは交渉の行方ね。連中がこちらの申し出を素直に受ければ良いんだけど)

 朝倉は、この世界のBETA大戦での人類の苦戦、そして大崩壊の原因から、この世界の人類を全く信用して
いなかった。

(イザとなったら、力ずくで頭ごなしに押さえるしかないか……でも、その場合、壮大な恨みを買いそうね)

 しかし朝倉には、相手に精神状態を操る能力はない。故に彼らの負の感情を正面から受けることになる。

(本当、面倒な仕事ね)

161earth:2011/02/10(木) 20:20:32
 会談の場所として選ばれたのは帝国陸軍白陵駐屯地だ。
 原作なら、色々と重要な場所だったが、この世界では1998年1月の段階でBETAが地球上から消滅したので
大したイベントは発生していなかった。
 しかしそんな地味な歴史も2005年6月18日をもって終止符を打った。
 そう、はじめて異星人を友好的に迎えた場所として……。
 尤も出迎えた帝国のお偉いさんも、やってきたのがどうみても自分達の娘や孫程度の少女の外見をしていた
のは度肝を抜かれた。

「彼らは本当に異星人なのか?」
「長門有希に、朝倉涼子だと? どうみても日本人の名前だろう」
「何で宇宙人があんなに流暢な日本語を話せるんだ?」

 歓迎式典で最低限の自己紹介(名前を名乗った程度)を終えた後、出席した帝国側のお偉いさんは
 誰かが自分達を担いでいるのではないかと疑った。それほど目の前の現実は想定していたものとかけ離れていた。
 しかし相手はあの謎の宇宙船から出てきた存在であり、1998年の攻撃を実施したとも言っているのだ。
 無碍な扱いは絶対に出来ない。
 お偉いさん達が、予期せぬ外見をもつ来訪者にあたふたしている頃、夕呼は長門と朝倉の姿をモニター越しに
見ていた。

「何ともまぁ、可愛らしい外見をもった連中ね……」

 そう呟きつつも、彼女は何故、黒旗軍と名乗る存在は、こんな外見をした使者を送ってきたのかを考えた。 

(BETAと違って、こちら側の流儀に沿って対話をするという意思を示したのかしら?
 でも、それなら、別の外見をさせたほうがよいはず……それとも、このような外見を選ばざるを得なかった?)

 優秀な頭脳で色々と考える夕呼。しかしその考えは悉く真実から外れていた。
 まぁ黒旗軍のオーナーとも言うべき存在が、単なる趣味で彼女達を設計し、さらに自分達の交渉が面倒だから
全てを彼女達に丸投げしたとは神ならぬ身では想像することは出来ないだろう。
  
(どちらにせよ、気は抜けないわね……何とか北米のBETAだけでも潰してもらわないと)

 オルタネイティブ7を担った人間として、彼女は会談に出席することになっている。
 その席で日本政府関係者と共に対BETA戦への協力を取り付けるつもりだ。
 彼女としては外部協力者に頼りきるようなことはしたくないのだが、現状では贅沢は言っていられない。 
 帝国には、いや人類には独力でこの事態に対処する力は残されていないのだから……。

162earth:2011/02/10(木) 20:21:03
 様々な思惑が交差する中、白陵駐屯地の会議室の一室で黒旗軍と日本帝国との会談が開かれた。
 まずは最初に長門と朝倉が自分達の正体を語り始める。

「先の通信で開示したように、我々は貴方方の言葉で表現すれば『黒旗軍』と呼ばれる存在。
 そして我々は対人類用インターフェースとして製造されたアンドロイド」

 この言葉を聞いて帝国側の出席者達はざわめく。
 目の前の、どうみても人間の少女にしか見えない存在が、自分が人間ではないと断言したのだ。
 普通なら精神病院送りにするところだ。黙り込む帝国側交渉団を見て、長門は話を続ける。

「私は対人類用のインターフェースとしての機能を与えられているが、同時に地球派遣艦隊の指揮権と
 地球圏での全ての交渉に関する権限を上位存在から委譲されている。階級は、貴国で中将に相当する」

 この言葉を聞いた外務大臣は尋ねる。

「つまり、貴方が黒旗軍の窓口になると?」

 この問いに、長門は首を縦に振ることで答える。
 このあと朝倉が自分のことを話し始める。

「私は派遣艦隊参謀長。階級は少将に相当します。職務は司令のサポートです。
 それでここまでで、何か質問はありますか?」

 ここで先の外務大臣が質問をぶつける。

「黒旗軍というのはどのような組織なのですか?」

 これに朝倉が答える。

「高度な文明を持つ種族の一部が作った軍隊。この星の分類では私設軍隊ですね」
「私設軍隊?」

 この言葉に出席者の多くが度肝を抜かれる。

「種族の本拠地はどこにあるのですか? 我々としては正式な国交を持ちたいと思っているのですが」
「上位者の世界(ゲーム世界)に明確な国家という存在はありません。国家が無くとも個体で生きていけますし
 我々のような軍を編成することも容易なので」
「……」
 
 あまりのトンデモ発言に誰もが内心で驚愕した。
 仮に目の前の少女(?)の言うことが真実なら、BETAをあっという間に片付けることができる軍事力を
一個人が持てると言う事になる。
 あまりに現実離れした事実に、彼らの常識は崩壊の危機に立たされようとしていた。

163earth:2011/02/10(木) 20:23:18
あとがき
拙作ですが最後まで付き合っていただきありがとうございました。
……少しすっ飛ばしすぎたか(爆)。
次回以降、さらに帝国側出席者は度肝を抜かれる予定です。
というかすでに太陽系全域を押さえているどころか太陽系外にまで
進出しているなんて聞いたらどう思うことやら(汗)。
それでは失礼します。

164ヒーヌ:2011/02/10(木) 20:35:45
未だまだこれからこれから(・∀・)ニヤニヤ

更新おつ 後編以降も一層楽しみでございます

165名無しさん:2011/02/10(木) 21:17:49
すでに現時点でハードSF作家を連れてきた方が話が通りやすいレベルにw

166New ◆QTlJyklQpI:2011/02/10(木) 21:36:40
見事なくらいに伝統とメンツバリバリの首脳陣の常識壊してますね。
てか国民から「なんでもっと早く接触しなかったのだろうか・・」と呆けた世論が生まれそう。

167名無しさん:2011/02/10(木) 21:40:52
更新乙であります。
度肝を抜いたほうがこの世界は安定すると思います。
マブラヴ世界ってBETAという大きすぎる外圧の所為で
内部の不満が噴出しつつも我慢せざる得ない社会だったのが、
急に外圧がなくなったために偏った力が暴走した結果がこの世界と思えました。
ある程度危機感を煽ることで自律・自立の意識を持たせ
暴走しない程度に過不足なく援助する必要がありそうです。
暴れる余裕・切迫は無く・少なくして、不信や不満を政権から肩代わりしてやる必要がありそうです。

168New ◆QTlJyklQpI:2011/02/10(木) 22:07:14
下手に武器を供給すると抵抗感がないせいで盛大に対人類戦でもつかってしまいそう。

169名無しさん:2011/02/10(木) 23:03:46
ほんとハードSFに造形の深い人を呼ぶべきw
なにせ彼らのロマンが具現化してやってきたんだし、話も通じやすいことでしょう。

170名無しさん:2011/02/10(木) 23:28:55
個人が恒星系の運命を左右できる世界のことなんざ、SF作家じゃなけりゃ推測できるかいw

171New ◆QTlJyklQpI:2011/02/10(木) 23:36:37
ゲームとかの娯楽も少ない日本でSFはほぼ皆無でしょう。しかも唯一娯楽に余裕がありそうな
アメリカは崩壊してるからSFマニアはおそらく彼の世界では皆無。

172名無しさん:2011/02/11(金) 00:30:15
現時点でも大抵( ゜д゜)なのに更に上を行くとかカワイソスw
SFがなくてもかぐや姫を考えた日本人なら、日本人なら…!

ところで上位世界=ゲームなら現在のリアルや前世はどういった位置づけになるのやら、とか思ってしまった

173名無しさん:2011/02/11(金) 01:33:43
とりあえず、人類と価値観を共有できる存在じゃないということを前面に出すのは正しい交渉方法かな?
ぶっちゃけ、人類と協力する必要はないんだし。


会話はできるし、誠意をもって対応してくれるけど、決して分かり合えない存在を、どう評価するやら。

174名無しさん:2011/02/11(金) 03:51:42
とりあえず、AL計画を行ってるんだから、会談を行う場所は国連基地であるべきではないだろうか?

175名無しさん:2011/02/11(金) 05:16:06
国連が機能していないというか崩壊してるんじゃね?

176名無しさん:2011/02/11(金) 10:28:23
さて、この状態でお米の国が何やってくるか
余裕がないからこそ、なりふり構わずとんでもないことやらかしそう

177名無しさん:2011/02/11(金) 10:58:50
メリケンは失敗を叩かれ続けて反省するタイプじゃないからなあ
ま、でもその辺含めて朝倉さんとかは自分で頑張れオルタ世界の人類って放り出したい気持ちかもw

178名無しさん:2011/02/11(金) 14:06:30
メリケンは国外で手痛い失敗をすると、
幼児化して国内に引きこもる…とか昔軍事研究で書かれてましたね。
これは反省とはまた違うんでしょうが、で失敗を糧にするという点では凄い国です。

まあ日本人が創造したオルタの仮想米国は救いようが無いというのは確かかもw

179名無しさん:2011/02/11(金) 15:03:52
米国って泣き喚きながら手に持った拳銃をぶっ放す餓鬼だからなw
自分がすべてだから相手のことなんか一度も見てないんだよ

現実どころかオルタのはさらに酷いw

180名無しさん:2011/02/11(金) 15:45:33
結果論でいけばアメリカが悪いになるけど
当時の状況をかんがえればあながちG弾の飽和攻撃による月奪還は間違ってはいないと思う
異星人と思われる謎の存在の攻撃より地球上のハイブ消滅なんて事が起きたわけだし

181New ◆QTlJyklQpI:2011/02/11(金) 16:46:39
確かに大量破壊兵器で一掃は間違ってないけどもっとデータ取りすべき不安定な
兵器使って自国どころか世界中巻き添えにした時点でBETA≒米国と認識されてるし
おまけに碌に学習出来うる環境でもないから米国のせいだと広まれば抑える勢力がいない。

182名無しさん:2011/02/11(金) 16:47:51
それ、本文中で語られてるから今更言う事でもないだろ。
副作用を考慮せずに乱発したあげくに、ろくでもない結果になったから責められているわけだし。

183New ◆QTlJyklQpI:2011/02/11(金) 17:45:07
改めてまとめただけ。でも一番不幸なのは大統領でしょうね。生きてるかはわからないけど
ほぼ賭けに負けたかG弾派に騙された的な状況になってそうだし。

184名無しさん:2011/02/11(金) 18:13:36
原作の登場人物ではユウヤが可愛そうな事に…
と思ったが、この世界でのTE組はほとんどのメンバーが碌な事になってなさそう。

185New ◆QTlJyklQpI:2011/02/11(金) 18:28:43
TE組どころかユーコン基地は絶賛猛吹雪をサヴァイヴァル中でしょうね。

186名無しさん:2011/02/11(金) 18:49:26
TE組はユーコン基地に集結する理由ないし。
この状態だと日本帝国の方が立場が上なのでユウヤは父親を頼って来てる可能性もあるし、
人材として価値がある超能力者は引き取られて(買われて)来てるかもしれない。

187名無しさん:2011/02/11(金) 19:38:51
そういやBETAの創造主ってこの手の
「自分たちの資源回収システムが、高レベルの文明に敵対行動をとってしまう」
という危険性をどう認識してるんでしょうね?

介入者が色々超越した存在とかだとかなり厄介
お人よしの光の巨人族とか…、多次元生命体とか…

188名無しさん:2011/02/11(金) 19:45:16
確かに、炭素系が生命体なわけがない、て言っても、
実際は自分と同じように作業機械として使用してるかもしれんよね。

189名無しさん:2011/02/11(金) 19:53:39
創造主にとっての知的生命体がいる星では、BETAは活動を停止するようになってる

190名無しさん:2011/02/11(金) 20:17:44
まあBETAの創造主認識がどうあれ、宇宙に存在するであろう生命は多様だからね

確かそんな感じで高度文明にBETAを送り込んだ創造主は、反撃されて母星ごと滅亡、
そのためBETAは制御を失い絶賛暴走中という説がw

191名無しさん:2011/02/11(金) 20:38:09
私達程度の文明レベルの炭素系生命体が珪素系生命体の存在する可能性について認識できるのだから、恒星間航行が可能なレベルの珪素系生命体が炭素系生命体の存在する可能性について認識できないってのも不思議な話だしね

192名無しさん:2011/02/11(金) 20:43:08
彼らなりのタイムスケジュールで資源問題が差し迫ってるんじゃないかね
その辺を想定したモラルを無視する必要があるくらいには
そうでないと、あまりにも手を広げすぎている

193名無しさん:2011/02/11(金) 20:44:20
創造主がまだ存在してるとして、今回の違和感ありまくりの介入をしったら
逆に話し合いを持ちかけてくる可能性もあるかも?

194名無しさん:2011/02/11(金) 20:47:50
あ号の認識パターン同様、星系規模の大災害としか認識してないんじゃないかな

195名無しさん:2011/02/11(金) 20:51:25
>>191
「地球が静止する日」(古典版)
の全銀河的連合組織と接触したら警告後に無慈悲な反撃システムで滅ぼされてしまうレベル

196名無しさん:2011/02/11(金) 21:08:18
解ってる範囲だけでも効率が悪そうな文明だから滅んでるんじゃないのBETA創造主?
非常に大量の資源を食いつぶすBETA。
地球に存在しない元素生成に到達しているのに宇宙に多い水素やヘリウムは資源扱いしてないし。

197名無しさん:2011/02/11(金) 21:14:37
災害なら災害で原因等の調査くらい行うと思うけどな〜。
それとも完全にBETAまかせの引き篭もり種族になっちゃったのかね?

198New ◆QTlJyklQpI:2011/02/11(金) 21:18:29
文明や技術が進んでても宗教とかに縛られてるんでは?
島戦争みたいにやたら片っ苦しい宗教観持ってたら主人公も頭を抱えそう。

199名無しさん:2011/02/11(金) 21:19:58
長期に渡る恒星間戦争に使う資源を回収する為に創造され、
その後、創造主が滅亡したので意味の無い資源回収を続けているのかもね。

で今のところ創造主以上の文明に接触してないから運良く増殖中とか
障害に対して効率的な対抗策を行使出来るといってもBETAの能力の範囲内での事だろうし

200名無しさん:2011/02/11(金) 21:22:18
>>190
うわ、ありえるw しかも造ったのが一部の独断なら洒落にならんw
そいつらが真っ先に消えたせいで停止できなくなってるとか

201名無しさん:2011/02/11(金) 21:31:40
浸食速度の速さに比して大本との情報やりとりが皆無に近いほど緩慢、と言うのもおかしな話だしねえ。
超光速は達成してない→資源回収自体に意味がない
超光速通信だけ達成してない→伝令出せよ
よし、超光速技術あるけどやりとりしてないんだよ→何考えてんだ馬鹿
うっせ、とにかく俺らスタイルはこうなんだ!文句あるならかかってこいや!→ではそうします(byオーバーロード)
こんな流れが妄想できたw

202名無しさん:2011/02/11(金) 21:38:29
珪素生命体の時間は炭素生命体にとっては永遠に等しいくらい長くて
ほとんど止まってるように見えるというSFもあるから、緩慢な事自体は
おかしくはないな。

203名無しさん:2011/02/11(金) 21:48:11
分かった、ガイバーの降臨者と気の長い宇宙戦争をやってるのがBETAの創造主なんだよ!!

204名無しさん:2011/02/11(金) 22:53:38
>>190
歴代スパロボの全戦力や樹雷、グレン団、銀河帝国等の連合軍に滅ぼされたり、
人工並行世界に引きこもっていたら『管理者』に吹き飛ばされたりもしている

行方不明だが、『菊池世界観』に喧嘩売って、狩人や医者に捜し人といった連中に
滅ぼされたことも
BETA?あの連中を認識した途端、機能停止しましたが何か?

205名無しさん:2011/02/11(金) 22:59:54
樹雷がこの世界にあったらBETAは間違いなく鷲羽・津名魅・訪希深+天地の誰かに滅ぼされてるなw
連中なら楽勝だろう。

206名無しさん:2011/02/11(金) 23:09:04
BETAも物理法則とかを超越してる相手だとなぁ
特に超絶美形の無敵耽美変態領域たる菊池世界では1行もつか…

207名無しさん:2011/02/11(金) 23:18:29
いつの間にかあ号標的に糸が巻かれてバラバラになって終わるw

208名無しさん:2011/02/11(金) 23:19:16
少なくともOSBよりは弱そうだしな・・・

209名無しさん:2011/02/11(金) 23:28:07
考察してみるとBETAってSF戦力としては割と微妙だよね
モビルスーツ開発前の地球連邦にすら滅ぼされるんじゃないかな

210名無しさん:2011/02/11(金) 23:37:25
所詮、あれは資源採掘用の機械ですもん
兵器じゃない

211名無しさん:2011/02/11(金) 23:41:28
MS以前の連邦軍って宇宙艦隊以外マブラヴの軍と大差ないような…

212名無しさん:2011/02/11(金) 23:52:25
とても面白かったですー

213名無しさん:2011/02/11(金) 23:52:46
いやいや、基礎技術力が違い過ぎるわw

214名無しさん:2011/02/11(金) 23:55:06
レーザー属種いなければマブラヴ世界の軍でもそこそこ対応できるからねえ
ミノフスキーさんの不思議な粒子が実用化されないちときつかろう

215名無しさん:2011/02/11(金) 23:55:46
あと人口に≒国力もかけ離れてるな
人類統一国家もあるし
結構内部に火種多いけど

216名無しさん:2011/02/11(金) 23:57:23
ミノ粉でレーダーや誘導兵器が弱体化していない連邦軍相手にBETAが戦えるとは思えないな。
むしろBETAという共通の敵が出来るってのは、UC世界的にはいいことなんじゃないのか?
1年戦争よりも対BETA戦争の方が犠牲も少ないでしょ。

217名無しさん:2011/02/12(土) 00:01:26
地上にハイブ作られたらレーザー属種で詰むが(ミノ粉が頑張るまでは対処方法無いはず)
迎撃されまくるから大丈夫な気もw
多分ハイブ作れるのは火星までで、月面辺りから対処されるだろう

218earth:2011/02/12(土) 00:53:10
色々とご意見、ご感想ありがとうございます。
ネタで書いてみた主人公最強(笑)SSなのに中々好評のようで幸いです。
それでは続けて、会社のストレスでハイになった頭で、ノリと妄想とその他
もろもろの感情の赴くままに書いた第13話です。

219earth:2011/02/12(土) 00:53:43
 未来人の多元世界見聞録 第13話『横浜会談 中編』


 衝撃の真実から辛うじて立ち直った帝国政府高官たちは話し合いを続けることにした。
 正直に言えば、何も聞かなかったことにして自宅の布団の中で不貞寝したいと思っていたが……。

「……では黒旗軍を作ったお方は、我々の言葉で言えば《個人的》にこの世界に関わると?」

 外務大臣の言葉に長門、朝倉両名は頷く。
 そして黙り込んでいた長門が口を開いてしゃべり始める。 

「上位存在、貴方達の言葉で判りやすく言い換えれば《総司令官》は、個人的にこの世界に干渉している」

 トンでもない話だった。

「総司令官と直接対話を行えないのですか?」
「……総司令官は地球人類と直接会って話をすることが出来ない。故に我々のようなインターフェースが作られた」
「………」

 そう耕平は彼らと直接会うことは出来ない。自身の分身であるアンドロイドを使えば話すことはできるが
それは直接話している訳ではない。彼女は少なくとも《嘘》は言っていない。
 しかし真実を言っているわけでもない。そのことを自覚している朝倉は内心で苦笑いする。

(詭弁よね……)

 そんな彼女とは対称的に、夕呼はあり得る話だと考えた。

(BETAのような存在がいるのだから、アンドロイドを使わなければ人類とコミュニケーションが
 取れない種族がいてもおかしくない)

 朝倉が聞けば爆笑しそうな考えにいたる夕呼は、そのまま頭を回転させ続ける。

(でも個人的に介入しているとなると、総司令官とやらの目的は何? あれほどの宇宙船を独力で建造し
 さらに宇宙の彼方からやってくるとなると、何か欲するものがあるはず……)

 相手が何を欲しているのか、それを理解しようとする夕呼。
 そんな彼女を尻目に話し合いは続く。

220earth:2011/02/12(土) 00:54:17
「我々がこのような容姿をしているのは、この日本帝国と友好的な接触を果たすため。情報収集の結果、
 この姿が望ましいと総司令官が判断された」

 長門の台詞に、帝国側の高官達は内心で絶叫した。

(((一体、どんな調査をしたんだー!?))) 

 ひょっとして、自分達日本人は異星人にとんでもない誤解を受けているのではないかという疑惑が彼らの
中に生じる。
 しかしここでそんな突っ込みをしても時間の無駄なので、彼らは敢えて話を進めた。

「そ、それで黒旗軍は地球のBETAを駆逐してくださると? 8年前のように」
「その予定だった」

 過去形の言葉を聞いて誰もが緊張する。だが次に長門の口から出た言葉は予想をさらに超えるものだった。

「だが地球人類が自滅に近い形で滅亡寸前に陥っている状況から、総司令官はBETAの駆逐だけでは人類の
 滅亡は免れないと判断。そこでBETAの駆逐と並行して、地球環境の修復、そして人類社会再建のための
 支援を行うことを決定した」
「「「………は?」」」

 帝国側の出席者達は誰もが自分の耳を疑った。
 中には幻覚でも聞こえたのかと錯覚した者もいる。そんな様子の帝国側にダメ押しするように朝倉が言う。

「一言で言えば、地球人類が生き残れるように援助する。そういうことです」
「「「………」」」

 目の前の異星人が何を考えているのかさっぱり判らない帝国側の人間は混乱するばかりだった。
 まぁいきなり現れた異星人に「お前ら、このままだと滅ぶから助けてやろう」なんて言われても即座に反応
できないのが普通だろう。
 帝国側が混乱しているのを見て、朝倉が支援する理由(実質はでっち上げ)を説明し始める。

221earth:2011/02/12(土) 00:54:52
「総司令官は人類が、BETAのような醜悪で、非生産的な存在によって滅ぼされるのは好ましくないと
 判断しています。炭素生命体でありながら、高度な文明と文化を持つ存在が滅ぶのは大きな損失なのです。
 加えて地球という炭素生命体が進化できる貴重な環境を持つ星が失われるのは惜しいですし、この青い
 美しい星がBETAによって単なる泥の塊に変えられるのも面白くない、とも仰られています」

 あれだけの宇宙船を建造できる存在に「高度な文明を持つ」といわれても嫌味にしか聞こえないものの
帝国側の人間は何も言わず朝倉の説明を聞き続ける。

「総司令官はそんな考えで、8年前にこの星にあったBETAの巣であるハイヴを掃討しました。
 その際、人類と交流を開くことも考えたのですが、当時はハイヴを潰して、あとは観察すれば十分だと
 判断されました。ですがまた観察してみれば、人類は滅亡寸前。さらに地球環境は滅茶苦茶。
 もはやBETAを潰すだけでは人類は存続できず、仮にBETAを駆逐した後に地球環境を修復したと
 しても、それまでに人類が存続できる可能性は低い。辛うじて存続できたとしても文化と文明は失われると
 総司令官は判断されました。そしてそんな折に日本帝国から救援を要請する通信が届いたのです」

 そこまで言うと、朝倉は一呼吸おく。

「そこで総司令官は、これを機会にして人類と接触。彼らの文明の存続を支援することに決めたのです」

 あまりに現実離れ、そしてあまりに人類にとって都合のよすぎる話に、出席者達は信じられないと
ばかりにざわめく。
 ここで先ほどから黙り込んでいた夕呼が挙手をして発言を求める。これを見た朝倉は首肯して発言を促した。

「どうぞ」
「まず自己紹介を。私は異星人、いえ黒旗軍に支援を求めるプロジェクト、オルタネイティブ7の指揮を執って
 いた香月夕呼と申します。
 支援の申し出は確かに有難いのですが……今の我々は支援を受けても、それに報いるための対価を払う能力は
 ありません」
「それは承知しています。ですがそれは人類が心配する必要のないことです」
「……まさか」
「はい。我々は基本的に無償で支援を行う予定です」
「しかしそれでは……」

222earth:2011/02/12(土) 00:55:28
「総司令官のお考えです。それに貴方達からすれば、莫大な支援になるかも知れませんが、黒旗軍の生産力から
 すれば高々4億人の人類の生活を支えることは不可能ではありません。
 まぁそれなりに労力が必要でしょうが、わざわざ滅亡寸前の地球人類から対価を受け取らなければならないほど
 のものではありません」

 朝倉の言葉に誰もが絶句した。
 彼女の言葉が真実ならば、黒旗軍はBETAを駆逐し、さらにこの滅茶苦茶になった地球環境を修復し
なおかつ現在生存している人類の生活を余裕で支える力があることを意味するのだ。

「まぁそうは言っても、中々信用はされないと思います。ですので、我々の言葉が真実であることを証明する
 ために早速、北米に展開するBETAとハイヴを潰して回ろうかと思っています」 

 朝倉の言葉に帝国側の出席者は驚愕する。

「い、今からですか?」

 軍を代表して出席している陸軍中将は、恐る恐る尋ねた。それに長門は即答する。

「そう、今から。もともとハイヴははやめに潰すつもりだった」

 これに慌てたように外務大臣が割り込む。

「し、しかし曲がりなりにもアメリカ合衆国の領土を攻撃するとなれば、かの国との協議が必要に」
「なら正当防衛という形にすれば良い」
「は?」
「『たまたま機関トラブルを抱えた黒旗軍の戦艦が高度を落した際に北米のBETAから攻撃を受けた。
 これに対して黒旗軍は全力で応戦した』。これで問題ない」
「そんな無茶な」
「……では、正当防衛ということで、ロスアラモスに作られたオリジナルハイヴのみを潰すことにする」

 これ以上は帝国側も何も言えなかった。
 そして彼らはすぐに8年前と同様の報告を受け取ることになる。

223earth:2011/02/12(土) 00:59:05
あとがき
拙作ですが最後まで読んでくださりありがとうございました。
と言うわけで中編をお送りしました。
帝国の驚愕はまだまだ続きます。ええ、終りません。
それにしてもデモンストレーション代わりに潰されるオリジナルハイヴ……
一山幾らでハイヴが潰されたら、人類の立つ瀬がないですね……
それでは失礼します。
……もうそろそろ提督たちの憂鬱も仕上げないと拙いかな(汗)。

224名無しさん:2011/02/12(土) 01:10:44
乙〜

隔絶っぷりに詮索する気力もなかろう……

225名無しさん:2011/02/12(土) 01:13:36
>……もうそろそろ提督たちの憂鬱も仕上げないと拙いかな(汗)。

実を言うと、読んで得られる快感は双方遜色ないので、早く読めるのならどっちでもおkなんですよこれが。
もっともっとー!!

226New ◆QTlJyklQpI:2011/02/12(土) 01:25:47
見聞録か憂鬱か・・・う〜ん悩む!気分次第で行ってください。

227名無しさん:2011/02/12(土) 01:39:17
憂鬱の続きと対米戦後の続編(第2部)が気になりますが見聞録も面白いです。
それにearth氏の気分転換にもなりますし、書いている途中でいいアイディアが浮ぶかも知れません。

228名無しさん:2011/02/12(土) 01:47:43
まあ趣味で野生動物の観察をしてる金持ちと思えば
地球環境の再生他の支援も納得できるのか?

観察される側の人類は逆に納得できないでしょうけど
そういう余裕が育つ余地が日本帝国は特に無いからわかんないかもな

大規模水族館兼動物園『地球』の保護に乗り出した常連の客ってだけの話なんだよね
PCゲームマブラブのプレイヤーだった前世的に

229225:2011/02/12(土) 01:47:51
あ、でも憂鬱の辻〜んの嫁とりがどうなったかは、かなり興味深いw

実は、マリみての祥子様くらいの嫁が貰えたのなら、それは外伝でもいいから見たいです。

230名無しさん:2011/02/12(土) 02:06:30
使用できるリソースと、使用しているテクノロジーの水準に差がありすぎだもんねぇ。
人間的に言えば、道端で見かけた死に掛けの野良犬に餌とかやって助ける程度の認識なのかと、人類側は思いそうだ。
対話ができることと、交渉ができることとはイコールでないし。
そもそも、地球側には交渉に出せるカードが無いしね。

231名無しさん:2011/02/12(土) 02:26:10
田中光二の「超空シリーズ」に出てくるミスターグレイもこんな感じで介入してるんだろうなぁw

232名無しさん:2011/02/12(土) 04:19:33
>>とんでもない誤解
そりゃあ例の強化装備を採用してるんだし、ねぇ?w

人類はあれですよ、あれ
アントクアリウム並に思われている、と考えれば
社会性のある動きしてるのを見ていて楽しい
そしてBETAは巣を壊す害虫扱いと
…超上から目線なので人類を無礼るなーと言われそうだなぁww

233名無しさん:2011/02/12(土) 04:19:57
思いっきり「BETAは生命体ではない」と発言しているんだが、この辺に対してどう判断するかねぇ。
落ち着いて情報を整理すれば、BETAが「機械」だということに気がつくはずなんだが。

自分たちの希少性がどの程度だと判断するかは、重要視する発言によって微妙に異なるけど。

234名無しさん:2011/02/12(土) 04:37:44
一応、長門や朝倉のような存在が好印象をもたれるという分析は間違っちゃいないんだよな。
小柄で真面目そうな文芸少女と、闊達でいかにも世話好きな少女というのは、
性別年齢問わずにあんまり反感や拒絶感を抱く外観じゃない。
道を歩いている一般人としてなら、その分析は間違っていないけど、
全権大使、前線指揮官、というそれなり以上の権限を持った役職についている人間、という意味だと、
長門や朝倉のような外見には疑問を感じざるを得ないだけで。

穿った見解をするなら、その辺の微妙につじつまの合わない分析と行動こそが、
「地球人類を『興味深い観察対象』と判断させた、メンタリティの違い」と分析することもできるが。

235名無しさん:2011/02/12(土) 04:48:41
>>一体、どんな調査をしたんだー!?
もちろん美少女将軍をトップに頂く帝国の流儀にあわせた結果ですよ。謎で表に出ない皇帝も含めてそっくりじゃないですか
黒旗軍=斯衛軍な私軍といいそっくりじゃないですか。

236名無しさん:2011/02/12(土) 06:41:18
懲りずにと言うかそれしか頼るものが無くなった米国がG弾を作りそうだな。
月を潰すほどのG弾に使うG元素はおそらくハイブ後を漁って収集したものだろう。
北米のハイブとなれば衰えた兵力でも確保できるだろうし。

237名無しさん:2011/02/12(土) 08:07:44
メリケン政府立場なし
G弾は最早使用どころか製造、所有すらばれたら世界中から非難されるだろう月壊し、
地球殺しの悪魔の兵器と思われてもおかしくないが……

238名無しさん:2011/02/12(土) 09:05:57
さすがに自国の領土には躊躇すると思うが。
移民船という逃げ場も無いだろうし。
本土にG弾撃ち込めるんなら、ある意味G弾派もたいしたものだと思えるw

239名無しさん:2011/02/12(土) 09:08:06
作ったのばれたら当然「誰に使うつもり?」と聞かれるよなw
月を壊した兵器を地球上で使うとかマジありえんとせせら笑われるだろうし




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板