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「のと」本編
25
:
shin
:2006/11/21(火) 21:23:13
「しかし、それをどう生かして行けると言うのですか。本当に我が海軍はそれを生かせると皆さんはお考えですか?」
「井上大佐! 貴官は何様のつもりだ!」
末次軍令部次長が怒声を荒げる。
ほぼ全員が、こいつ何様のつもりだと言うように、井上を睨み付けていた。
おいおい、ここまでやっちゃったら、こいつどう納めるつもりなのだ・・・
ある程度、井上から話を聞かされている堀にしても、心配にならざるを得ない。
「1月から開催されるロンドン軍縮会議は、5月に、対英米六割と言う比率で、締結されます。」
「なに?」、「うーむ・・・」、「なんと・・・」
殆どのものが、その数字に悲鳴を上げる。
「今、このまま何もせずに推移すれば、ロンドン軍縮会議が対英米六割で締結されると言う情報が手に入りました。それでは、海軍はどのような行動を取られますか?」
知ったからと言って、直ぐに答えられる筈も無い。
「それは、これからこのメンバーで検討すべき課題であって、直ぐにどうこう言えるものではない。」
末次次長が吐き捨てるようにつぶやく。
「おっしゃる通りです。事実我々が知りえた情報でも、ロンドンからこの比率を連絡されると、海軍内部では二つの派閥が発生します。即ち、条約締結を推進すべきと言う「条約派」と、英米7割を固守すべきと言う「艦隊派」です。
条約そのものは、条約派により、締結されますが、この結果に不満を持つ艦隊派が、その後勢力を強めて行きます。
そして、最終的には条約派と言われる将官の方々は、予備役に編入されてしまいます。
同時に、この条約締結そのものが、統帥権の干犯であるとの意見が出され、野党はその意見を盾に、現政府を解散に追い込み、それが悪い前例となってしまいます。」
「仮に、海軍が知りえた情報を有意義に活用し、この派閥抗争を未然に防ぎえたとしても、残念ながら帝国にはもう一つの軍が存在しております。
海軍独自で「のと」情報を管理し、海軍内部の無益な抗争を阻止し、海軍の近代化、否未来化に邁進したとしても、帝国陸軍が暴走するのを我々が止める事は出来ません。情報が海軍から流れてくる限り、陸軍は反発するでしょう。勿論、我が海軍も情報を陸軍に握られるのは看過しうる問題ではない筈です。」
井上は会議室を見回す。大抵の者が理解を示しているのが判り、心の中で安堵する。
「更に政府の問題もあります。海軍が「のと」情報を握っている限り、政府そして陸軍は、我々の提示する情報を疑い続けるでしょう。まだ、海軍は何か隠しているのではないかと・・・」
誰もが黙り込む。
「主上は、ここまでの判断を短期間でなされ、そのため「のと」を皇室管理とされました。
そして、情報提示の窓口として、政府へは陛下自ら、海軍へは、不肖井上、陸軍へは梅津大佐とされたのです。
これが、小管の申しました「海軍では「のと」から得られる未来情報を生かせない」と言う理由であります。ご理解頂けたでしょうか。」
必ずしも全員が納得している訳ではなさそうなのは、雰囲気を見れば判る。
それでも、表立った反論が無いだけ、よしとすべきであろう。
ただ、堀少将だけが、笑いそうになるのを堪えているのが判るだけに、気に障る。
どうもあの人はやりにくい・・・
そりゃそうであろう。
建前は大佐の自分は、情報を提供するだけである。
情報を握るものは全てを制する・・・
それが、梅津大佐と二人で見つけた、未来情報の最も重要な部分だった。
井上はチラッと時計に目をやった。
よし、予定通りの時間で話をここまで持ってこられた。
そろそろだな・・・
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