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「のと」本編

222shin ◆QzrHPBAK6k:2007/01/27(土) 14:12:11
「とにかく、もう、余り時間が無い。そちらの帝国側の準備は、日本にいる間に、八木君達と詰めて来たので、後は英国側での準備だ。まあある程度は、話は通してあるので、間に合うとは思うが、総研や日商には更に働いて貰わなければいけない。」
講義終了、と言う形で、ケインズは一気に話を締めくくる。
全員が少しあっけに取られ、暫く沈黙が広がった。
「他に、何かあるかな?」
違う意味で毒気が抜かれたように、井上が全員に聞いた。
「クラーク君は、何かあるのかな。」
堀は、先ほどから話を聞きながらも、全員の様子を注意深く観察していた。
全員が、ケインズの独断場にあっけに取られている中で、一人クラークだけが、何か他の事を考えているのが判っていた。
彼は、この中でも飛び抜けて若い。
まだ二十歳そこそこなのだから、他に心配事でもあっても不思議はない。
それでも、一応気になり、彼に話を向けてみたのだった。
「あっ、いや、べ、別に・・・」
「うん、クラーク、何か忘れてたかな?」
ケインズも少しは、気になるのか、クラークを促す。
「はあ、実は、一つ・・・」
彼は、また、口ごもる。
「クラーク、君はまだ若いから、このような場では、躊躇いが出るのも仕方ない。しかしだな、少なくとも我々のメンバーに入っている以上は、疑問があるならば、はっきりと言う必要があるぞ。」
ケインズに怒られ、クラークは覚悟を決めたようだった。
「実は、独逸とソ連の関係なのです。
「のと」資料でも、確かに三年後、1941年には独ソ戦が開始されています。
このことから、我々は独逸とソ連が決して心から信用していない、いや、言い方が悪いかな。
中が悪いと考えすぎてないかと言う事なのです。」
「うん、少し意味が判らないが、独逸とソ連が、中が良いと何か問題があるのかな。」
山本が、話しあぐねているクラークに声を掛ける。
「す、済みません。上手く説明できないのですが、独逸に開戦した場合、ソ連がどう動くのかが気になって・・・
何か、良く判らないんですが、自分でも見落としているような感じがするんです。」
そこまで話してクラークは黙り込んでしまう。
彼自身、何か判らない、予感のようなもので、もやもやしているだけなのか、本当に困ってしまっている。


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