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「のと」本編

197shin ◆QzrHPBAK6k:2007/01/20(土) 10:14:30
統合軍の編成にて、一番の問題は船の手配だった。
六個兵団を完全充足する場合、巡洋艦6隻、駆逐艦48隻は目処が立っていたが、その他の艦艇は厳しい限りだった。
空母12隻は、正規空母ではなく、当初よりそのために建造されていた自動車輸送船の改装による、所謂護衛空母が当てられる予定だが、現在稼動しているのは8隻にしか過ぎない。
残りの4隻については、既に2隻が習熟訓練中であるが、残りはこれから習熟訓練が開始されるありさまだった。
問題は輸送船である。
既に徴用された輸送船の数は、108隻に達しているが、これでも4個兵団を輸送するに足るだけであり、更に60隻が必要とされている。
船そのものは、日英の商船隊からの徴用で不可能な数ではない。
帝国は、当初から護衛空母や輸送船の拡充に力を入れており、既に30年代初頭より商船の大増産を開始していた。
全国の造船所に対する技術指導と、政府系の超優遇融資の提供により、5万トン以上のドックが20箇所以上で建造され、当初は1万5千トン、32年からは「のと」とほぼ同じクラスの輸送船が大量に増産されていた。
同一船型の艦船の大量生産であり、竣工に要する期間は、年々短くなり、今では一隻辺り、1年程度となっていた。
最も、これは戦車等の製造と同様に、量産体制が確立されているせいである。
船体等の鋼板は、予め製鉄所の側に作られた工場で大量に量産されており、ドックでは、運びこまれたこれらの鋼板を組み立てる作業が中心となっているせいだった。
電気溶接等の技術開発や、ディーゼルエンジンの耐久性や生産性もかなりのレベルまで達している。
造船所そのものも、政府推奨以外でも大型ドックを備える所も増えていた。
長崎造船所などは、1号から7号までのドック全てが、5万トン以上に拡大され、しかもそれらが全て稼動していると言う近年まれに見る活況を示している。
結果、2万トンクラスの輸送船船そのものは38年の時点で、300隻近くまで膨れ上がっていた。
そして、現在ではこれらの造船所では高畑が欧州から乗ってきた新田丸ような、2万5千トンクラスに拡大された輸送船の生産が開始されている。
当初計画では、2万トンクラスの輸送船が、戦時体制下徴用される事を見越して、より大型の艦船に置き換える事で対応して行く予定だったのである。
全て、当初計画を上回る規模で拡大しており、英国における生産も加味すれば、必要船舶は余裕でクリアできる筈だった。
しかしながら、これらの2万トンクラスの大型輸送船は、現実には世界中の主要航路で活動中の船だった。
そして、帝国の予想を遥かに上回る好景気が、徴用を困難なものにしてしまっていたのである。
高畑らが画策したのは、輸送船の大型化による、輸送費の大幅なコストダウンであり、これは見事に成功した。
特に、戦車と同様に、同一艦形の大量生産と言う発想は、これまでに無く、生産コストの面でも他国を圧倒した。
米国や欧州各国の不況が逆に幸いし、欧米の輸送会社は軒並みその規模を縮小するなか、帝国系の日本郵船等の運送会社はそのシェアを伸ばし続けた。
そして、35年前後から、米国を除く他の列強が、景気回復局面に入りだすと、需要は一気に膨らみ、帝国系の運送会社の船舶需要はうなぎ上りに増加している。
現在統合軍に組み込まれている、108隻の輸送船にしても、その六割が、元々日英の軍用の輸送船として押さえられていた船舶であり、新たに徴用出来たのは、50隻にも満たない数でしかなかった。


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