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「のと」本編

171shin ◆QzrHPBAK6k:2007/01/01(月) 04:28:44
戦闘になった河岸とは反対側に目をやりながら、佐藤は通信手の所に向かった。
「あっ、大尉、連絡が入っています。」
丁度、誰かから無線が入っていたようで、すぐさまマイクとヘッドフォンを渡される。
「誰からだ?」
「島田大尉です。川向こうに到着されたようです。」
早いなと、思いながらも、佐藤はマイクに口を向ける。
「田中です、どうぞ。」
「おおっ、田中大尉ですか。こちらは島田です。ご無沙汰しております。今河岸に到着しました。ご無事ですか。」
「ああ、大丈夫だ。ソ連さんは、目くらましに騙されて、一旦引いてくれた。またじきに来るだろうから、至急塹壕を作りたい。貴様の所に、排土板付きの戦車があったろ。あれをこちらに渡してくれ。手はずは大衡に言ってある。至急頼む。」
「了解しました。他の戦車のご用命はないですか?」
「いや、こっちの島の上じゃ、精々土に埋めてトーチカにする位しか役に立たん。それよりも島とそちら側の水路の確保を頼む。」
「判りました。では、ご無事で。」
島田大尉の口調は、少し残念そうであった。
97式の装甲は、37ミリでは貫通出来ない造りになっているが、ソ連の76ミリではどうだか判らない。
まあ76ミリと言っても今では旧式の単身砲だろうから、理屈の上では400メートルも離れればまず大丈夫とは思うが、それでもこんな狭い島で装甲試験をする気にはならない。
それに、木村大佐もじき現れるだろうから、河川砲艦には河川砲艦で対応してもらった方が良い。
マイクセットを通信手に返し、一旦中央の小屋に向かう。

梁中尉と、防御について打ち合わせを済まし、川辺に戻ると、既に対岸からは、大きな筏のようなものが近づいて来ていた。
中央のシートに覆われた大きなものが多分戦車だろう。
連絡が入っていたのだろう、坂口が既に数人の兵を連れて来ている。
河岸までその筏が近づくと、素早くロープが投げられ、兵たちがそれを固定する。
佐藤達が渡ってきた時に使ったようなゴムボートならば引き上げてしまえるが、筏となるとそうも行かない。
手早くシートが取られ、ガソリンエンジンのややかん高い音が響き渡る。


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