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「のと」本編
160
:
shin
◆QzrHPBAK6k
:2006/12/23(土) 21:38:34
「それで、坂口曹長、どうして建前と気がついた。」
一通りの歓談を終らせ、佐藤が問いかける。
少なくとも、坂口のような歴戦の曹長が部隊にいるのは安心できる。
まあ、兵隊の経歴を確認しないで、編成を考えたやつには、帰ったらきっちりと落とし前はつけさすが、今はありがたい。
「ハッ、中隊の兵が、古参中心で選抜されております。それに、武装もほぼ充足体制です。」
言う通りだった。
近衛教導兵団ならばいざ知らず、沖縄特選管区所属の監視団派遣部隊にしては、装備が良すぎる。
「ふむ、やりすぎかな。で、それだけか?」
「いえ、戦車中隊が、後方に待機している点も、尋常ではありません。」
坂口が付け足す。
やはり、曹クラスの情報網は侮れない。
特に、任地によっては自分達の命が掛かっているだけに、情報収集は死活問題だろう。
「これは、何かあると思いましたが、やばいのは出来れば遠慮させて貰いたいと、他の連中と話しておった所に、大尉が着任されました。」
坂口が、言葉を選ぶように、話す。
「大尉が、あの当事の中隊長のお知り合いの方ならば、邪険にはされまいと、後は当たって砕けろです。」
「おまえなあ、他の連中だったら、ただじゃすまんぞ。」
佐藤はあきれてしまう。
自分だから、かなり突っ込んでも大丈夫だと言われては、あまり好い気はしない。
「ハッ、申し訳ございません。何分当事の中隊長は、それは型破りの方でしたから。」
隣で仲村が、笑いを堪えて真っ赤になっているのが、余計に気に障る。
しかし、一体どんな話になっているのか。
今回の件が終ったら、聞き出さねば。
「うむ、良く判った。詳しい事は言えんが、露西亜が越境してくる可能性がある。」
とにかく話はそこまでにし、声を落として、要点だけ伝える。
「場所は、一キロ程上流の中洲、乾岔子(カンチャーズ)島が怪しい。場合によっては、河川砲艦がお出ましの可能性もある。」
「河川砲艦ですか、剣呑ですな。」
坂口も、打って変わって真面目な顔で、一言も聞き逃すまいと、顔を寄せる。
「問題は、ここが中華だと言う事だ。撃退、いや殲滅してしまう必要はあるのだが、帝国軍が全面に出る訳にはいかん。」
「それで、三八が多いんですか。」
坂口も、兵員輸送車の中に、普段より余分に三八式歩兵銃が積んであるのは気が付いていた。
歩兵の携帯兵器は、五年前から順次、新式の九二式小銃に更新が進められていた。
40発入りの弾奏を用い、連射の効く小銃は、重宝がられていたが、三八式も、一部程度の良いものは残され、主に狙撃銃として部隊では、射撃の上手いものに渡されていた。
その三八が余分に積んであるのである。
北辺軍に紛れて、三八による狙撃を多用しようと言う考えは、坂口でも思いつく。
こいつ、中々鋭いな・・・
いや、この位は誰でも思いつくか。
佐藤は、少しがっかりしながらも、それは表情には出さない。
「そうだ、北辺軍があくまでも主功で、帝国軍はそれをサポートする事となる。遠距離からの狙撃や迫による砲撃、夜間戦闘、トラップの準備、貴様にやってもらう事は、沢山ありそうだな。」
軍は下士官で持つ。
ばれてしまったのは問題だが、この場合逆に良かったかもしれない。
信頼できる下士官が一人いるといないでは、その後の展開が全く違ってくるのだから。
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