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「のと」本編

106shin:2006/11/28(火) 13:09:09
「始まります。」
輸送艦の船尾部分が上下に開いて行く。扉が十分に開ききらないうちから、最初の大発が、傾斜した船底を擦るようにしながら、艦尾から海面に落ちて行く。
 すぐさまエンジンが掛けられ、大発は、くぐもった音と煤煙を撒き散らしながら、輸送艦から離れて行く。
一台が海面に放たれると、後は流れ作業だった。手際良く、艦尾に移動させられた大発が次々に海面に浮かび上がらせられる。
 相当訓練を積んでいるのだろう、全部で36隻の大発が海上に集結するまで、2時間程だった。
サマービルは、船内から見晴らしの良いデッキに向かう。
「ほおっ、中々の眺めだね。」
四隻の輸送艦が一斉に艦尾から大発を吐き出しながら、展開しているのである。
目の前には四列に並んだ多数の上陸用舟艇が水平線のかなたまで続いていた。
「今回が、初めての連隊規模での上陸演習です。ここまでは特に大きな問題も無く展開出来たようです。時間は?」
「2時間8分です。」
梅津の横にいる士官が素早く答える。
「黎明の内に、上陸想定地点近海まで接近し、二時間で上陸部隊を展開します。そして、夜明けと共に、一斉に上陸となります。ここまでは、個艦単位での演習で、大きな問題は発生していません。上陸部隊の規模が大きくなりますと、問題となるのは、この先の混乱です。」
梅津はサマービルにそう説明し、士官に指図する。
「上陸開始!」
海岸に近い方に並んでいる一列が一斉に陸に向かって動き始める。
その速度は4ノットぐらいであろうか、それ程速いものではない。
「大発そのものの速度はまだ上げられるのですが、統制が出来なくなるので、現状ではこれが精一杯のスピードです。」
サマービルが速度の遅さに気づいた時点で、すかさず梅津が説明する。
「それだと、陸側からの反撃がある場合は、大変な事にならないかね。」
「ええ、仰る通りです。反撃の規模にもよりますが、過去の演習では、海岸までたどり着けたのが半分にも満たなかったケースもあります。」
それでは、役にたたないのでは・・・
「いや、勿論その対応の為に、軽巡、駆逐艦はこのようにギリギリまで海岸に近づき、大発が着上陸するまでの間、海岸線の防御陣地に対して砲撃を継続します。また、空母からは艦上攻撃機を展開させ、射点に対する爆撃を実施し、敵からの反撃を最低限に押さえ込みます。」
「それでは、我々も行きましょうか。」
サマービルが頷くと、全員が用意された舟艇に乗り移り、海岸を目指した。


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