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「のと」本編
102
:
shin
:2006/11/28(火) 13:06:27
その名前を聞いて、サマービルの眉が僅かに動く。
英国側も派遣艦隊の内訳が送付されて来た時点で、それぞれの派遣将官、仕官の経歴は調べていた。そして、その中でこの補佐官(Advisory Officer)に関しては俄然注目が集まった人物である。日本で昭和維新と称する政変に深く関わっている陸軍将校であり、かなりのキーパーソンと目されていた。日本がそのような人物を派遣艦隊に組み入れている事が、更にこの艦隊の重要性を保証しているようなものだった。
「本派遣船団は、こちらの山口大将を司令官とする大英帝国派遣艦隊として、組織されております。含まれる艦船は、戦闘艦12隻、大型輸送艦4隻、油槽船2隻、航空機運送艦1隻、特別工作艦1隻となっています。」
「失礼、戦闘艦の内訳は?」
隣の参謀がすかさず質問する。
目の前には一個駆逐艦隊の9隻しか到着していない。ここに現れていない艦艇があるとは聞いていなかった。
「失礼しました。戦闘艦の内、駆逐艦隊以外は、3隻の潜水艦からなる小隊です。但しこの小隊は、この先喜望峰までは同行しますが、英国には向かいません。本船団は秘匿性の為、スエズ運河は通りませんから、アフリカ南端までの前方警戒と途中の船団護衛訓練の為に同行しております。現在は艦隊から50海里離れた海域で周辺哨戒を実施しております。」
日本側のもう一人の出席者、神重徳少将(役務)がすかさず答える。
「艦艇の配置は後で、集中管制室にてご確認下さい。今は、とりあえず梅津からの概要をお聞き下さい。」
まだ何か質問したげだった参謀も、山口大将にこう言われては黙り込むしかない。
梅津は、山口に目礼すると続ける。
「これが、今回大英帝国との運用戦術の共同研究を実施する部隊のプロトタイプです。実戦時には、航空輸送艦は、正規空母もしくは、航空輸送艦を改装し着艦機能を付加した護衛型空母2隻に代わります。また、大型輸送船は、1部隊8隻を想定しており、一隻辺り2000名の兵員とその必要装備を搭載しますので、これでほぼ師団規模の部隊の運用が可能となります。」
梅津はその言葉が理解されるのを待つように、一拍置く。
「既に、サマービル少将には、昨年富岡から説明をさせて頂きましたが、本浸透部隊の戦術は、先の大戦にて生じた前線、所謂戦線の膠着により発生する塹壕戦への対応方法として我が国の旧陸軍にて編み出された、浸透突破戦術を基本としております。敵の強固な塹壕に対する正面攻勢を行うのではなく、彼我の機動力の差を生かし、迂回戦術の実施、このことが基本戦術となっております。」
流石に、陸軍出身の将官だけに、はっきりとそのコンセプトを説明してくる。
昨年富岡と話した時は、あくまでも海軍の戦術と言う意識がまだ垣間見えていたものだった。
「帝国総軍としては、このような浸透部隊を最低3個、出来れば5個部隊の編成を目指しております。基本的な戦術は、他国との戦争状態が発生した場合、敵地に対する三箇所の同時侵攻を実施し、敵の攻勢勢力を拘束、この間に残り2個部隊が、敵策源地を攻略、まあ可能ならば、敵の首都となりますが。速やかに敵首脳陣を拘束し、停戦を迫り、終戦に持ち込みます。とにかく作戦地域までの部隊の秘匿と、急速展開時の機動力が全ての鍵となります。」
「そんなに上手く運ぶかな。」
なるほど、短期決戦にてけりをつけようとすれば戦術的には正しい。敵の弱い所を突く戦術は今に始まった事ではない。ただ、本当に敵の弱い所を攻撃出来るのか、首都攻撃は可能なのか等疑問が山積みである。
「ええ、我々もそれは危惧しております。ただこれはあくまでも基本コンセプトですので、実際にはそこまでの短期決戦が可能な戦争はまず起こりえないでしょう。実際にはこのような機動部隊、我々は機動旅団と名づけておりますが、これを用いて、敵の兵力を逐次削減して行く事となるものと思われます。」
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