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ストーム・オーヴァー・ジャパン

62サラ:2006/12/11(月) 21:10:41
「先遣の第2戦車小隊が抵抗線と接触し、救援を求めています」
「分かった。すぐいく」

 通信手の声に陰山は答えた。

「どうやら我が試作戦車の性能をお見せする時が来たようです」
「そのようだな!」

 楽しそうに宮崎は応じた。
 トランスポーターが停車し、3両の試製6式重戦車は慌しく戦闘準備に追われる。陰山もトラベリングロックを解除し、エンジングリルのカヴァーを外した。
 空冷エンジン独特の乾いた始動音が響き、エンジン回転数が跳ね上がる。空冷ガソリンエンジンを採用したことで、エンジンの始動は随分楽になっている。

「おい、急げ」

 今だ配置についていない砲手を陰山は急かした。
 操縦手は冷や汗をかきながら、車長用キューポラから車内に滑り込み、苦労して砲手席につく。陰山もすぐに車長キューポラの車長席についた。そうすると丁度、陰山の足の間に砲手の後頭部が見えた。
 殆ど砲手は機械に挟まれるような形になる。冗談ではないが、陰山が戦死すると砲手は全く脱出できなくなってしまう。
 奇跡には代償が必要だった。
 試製6式重戦車は70tに達する初期設計案(VK4502(P))のデザインでそのまま小型化することによってその重量を52tまで軽量化した。
 結果として、失われたのは内部の空きスペースだった。人間工学的な配慮は試製6式には全く存在しなかった。
 日本人の小柄な体格に合わせて車内スペースを極限し、空いたスペースを圧縮することによって車体全体を小型化し、装甲面積を減らすことで軽量化を図る。
 それがフェルディナンド・ポルシェ博士の天才的な設計思想の全てだった。
 試製6式は同様の設計思想をもつLT−3、トロツキー重戦者の異母兄弟ともいえた。
 
 そして、どちらがより優れた戦車か、それは間もなく明らかになる。
 
 トランスポーターから降りた試製6式重戦車は背中に中将とその護衛小隊を乗せて前線に向かった。
 先に交戦している4式中戦車からの報告によれば相手はLT−3、トロツキー重戦車だという。
 楽しくて堪らないように陰山は笑った。
 運命の対決はもうすぐそこだった。




 保守おつかれさまです<ALL


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