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避難用作品投下スレ5

832エルサレムⅥ [自決]:2010/08/01(日) 17:36:14 ID:Ckv4lVpo0
 台車の上にある箱型の爆弾。確か一ノ瀬と芳野が夜なべして作っていたものだ。
 戦闘の余波でも食ったのか、所々汚れが見られるそれは、ある意味では芳野の魂の欠片だった。
 最高の舞台だ。ここで使ってもらえてお前も光栄だろ?

「このハチの卵みたいなの吹っ飛ばすんですか?」
「俺もそう思ってた。ここで使うのか、おっさん」
「まあ待て。下手に使ったら俺らがここから出られなくなる。まずはここを調べるほうが先決だろ」
「そうですね……確か伊吹さん達が向こうから来られましたから」

 実質、調べるべき箇所は二つ。加えて今の人数が六人であることを考慮すれば、かなり余裕がある。

「つまり、二手に別れて調べたらええってことやな」

 察しのいい姫百合が総括してくれた。
 実際どこに爆弾を使うかは、戻ってから決めればいい。
 これまで敵に遭遇してこなかった関係上、それくらいの時間はあった。

「そういうことだ。で――」

「ぷひーーーーーーー!」

 またしても俺の声は遮られた。
 一体なんなんだ今度はと振り向いた瞬間、ぼふっとしたものが顔面に飛び込んできた。

 がつんっ!

 気持ちのいいストレートだった。ぐはっと呻きながら仰向けに倒れる俺。
 固まっている皆の衆の顔を見る一方で獣臭い匂いを嗅ぎながら、またこんな役どころかよと心の中で吐き捨てた。
 絶望のあまり気絶したかったが、そんなギャグをやっている場合ではないし、ここで気を失おうものならポテトの熱いキスが待っている。
 正確には人工呼吸だが。どっちにしろ嫌だ。俺はアニマルマスターじゃない。
 ぬおおおおと気合で意識が遠のいていくのを堪えながら、俺は顔面に張り付いたフットボールみたいな何かをひっぺがす。


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