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避難用作品投下スレ5

800エルサレムⅤ [少女の檻]:2010/05/23(日) 18:25:37 ID:NGfemGc.0
「今度だってそう」

「逃げて、逃げて、逃げた末に、あなたは国崎往人に居場所を求めた」

「守る人がいなくなったから。自分に罪を与えるための依代として」

 そうなのかもしれない、と舞は思った。
 好きになったのも、一緒にいたいと思ったのも、結局は自分に罰を与えるため。
 嘘をつき、拠り所を失った女が新たに求めた依存先。

 川澄舞は、嘘つきの悪い子で、
 約束も果たせない悪い子で、
 なにひとつ守れない、弱すぎる女だ。

 そんな自分が生きていてはいけない。
 だから己を傷つけることで罪を清算しようとした。
 ただの自己満足なのだと、分かっていたにも関わらず。

「分かった? どこまで行っても、あなたは一人なの。それが『力』の代償なんだから」

 目の前の幼い少女は自分であり、かつて嘘をついた結果生まれた魔物だ。
 一見何の悪意もなさそうな、屈託のない笑みが舞へと向けられた。

 しかし、舞は知っている。
 この笑みは、自分を慰めるためだけの笑み。
 何かあれば自分を傷つけることで己を満足させてきた、手前勝手な笑みだ。
 疑いようもない我が身の姿だ。
 だが認める一方で、これは過去でしかないと、胸の奥底で語りかける自分がいた。


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