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避難用作品投下スレ5

659エルサレムⅡ [修道女]:2010/02/10(水) 18:37:18 ID:xs23czu20
 そこまでサリンジャーが思惟を巡らせた、その時だった。

「な……!?」

 サリンジャーが驚きの声を上げる。思わず立ち上がった拍子に椅子が倒れ、机の上のコーヒーカップが倒れた。
 呆気に取られるサリンジャーの視線の向こうでは、参加者の現在位置を示す光点がてんでバラバラなところに現れては消え、
 信号のような不自然な明滅を繰り返していたのだ。
 いやそれどころか、現在の生存者数、死亡者数すらも滅茶苦茶な値を示し、生存判定もおかしなことになっていた。
 不調、そんなものではない。慌てて近くにいる作業用アハトノインの肩を掴み、「何が起こった!」と怒鳴る。

「何者かに参加者管理用のコンピュータを荒らされている模様です」
「なに……?」

 ハッキング。即座にその一語が持ち上がり、横からパソコンの画面を覗き見る。
 ザ・サードマン。その文字がディスプレイ上にでかでかと浮かび上がり、
 悪魔をモデルにしたようなキャラが奇声を上げながら暴れまわっている。
 いかにも古臭い手段に呆然とする一方で、どこから侵入されたという疑問が浮かぶ。

 セキュリティに穴があるわけがない。そもそも接続できるような環境があるわけがない。
 内部の裏切り? いや物理的に裏切れるはずがないのだ。何故なら、ここにいる人間は自分ひとりしかいないのだから。
 従順なロボットが裏切れるわけがない。だが事実としてハッキングはされている。しかも趣味の悪い悪戯プログラムつきで。

「プログラマーの心当たりはある……あのガキか……だが、どうやって……!」

 歯軋りするサリンジャーの耳に、今度は甲高い警告音が響き渡った。
 侵入者の存在を知らせる、警告アラームだった。


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