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避難用作品投下スレ5

623終焉憧憬(了):2010/01/23(土) 04:29:49 ID:AA.5FDBE0
「そう、か―――」

驚きはなく。
戸惑いもなく。
ただ、安らぎと、喜びだけが、あった。

「終わるんだね―――ようやく。
 好きな人の手で、私は、終われるんだね」

消えていく。
吐息を感じるような距離の向こうで、紫水晶の色が消えていく。
冬の月のような銀色も、輝く鎧も、煌く翼も消えていく。

そこにある。
凡庸で、悪戯っぽい黒い瞳が、そこにある。
ほんの少しだけ色を抜いた無造作な髪と、飾り気のない安っぽい服と、そうして、それから。
そこには、温もりが、あった。

「ありがとう―――祐一」

最後には、口づけを。
終わらない世界の、繰り返す時間の終わりには、ただ、愛しさだけが、あった。

小さな、白い花が。
音もなく、散る。




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