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えいえんのえぴろーぐ
1
:
りんごじゅうす
:2013/03/30(土) 17:58:43
オープニング
薄暗い部屋の中。魔法で灯された淡い青白い光がほのかに照らす一室。私は地面に赤黒い線で描いた魔法陣を、丁寧に外周を回る様にして一つ一つ確認していく。
「……うん、よし。完璧ね!」
もう何週も回って確認したのだから、自信満々に言えるわ。
私、魔女。プラネ・グラッサージュ。これから悪魔を召喚する儀式を決行する所だ。
悪魔を召喚し、それによって得たい望みは永遠の若さ。――所詮、人間一人の魔力では叶わない望みでも、最近入手した魔導書に書かれたこの魔法陣で召喚する悪魔の手によって、それは叶えられるはず。
死後に魂を差し出す程度のリスクで、殺されない限り生きていられるのなら文句は無いし、早くしなければどんどん歳を取ってしまう。
ちなみに今の私は18歳。今の世の中、普通の村娘とかならとっくにお婿さんを貰っている歳。花の十代のうちに、この儀式を決行したかった。
私は、顔の正面に杖を両手で掲げ、魔法陣に魔力を注ぎ、呪文を唱えだした。
10分も唱えれば、魔法陣の中央から魔界の風が流れ込み、異界の空気がこの一室――森の奥の言わば私の隠れ家の一室――で、特異な空気の風が流れ込む。良く手入れされた、私の長い金髪と、魔女の象徴たる黒ローブがはためく。
更に呪文を唱え、最後の一節を叫ぶと共に、杖を前方へと突き立てた、その時! 魔法陣の中央から闇が溢れ、その中から一つの姿がゆっくりと現れる。
「……え…?」
私は、その姿をしっかりとその目で見て、口をぽかんと開けた。悪魔というには、意外に不釣合いな穏やかな雰囲気を感じ取ったから。
人間で言うなら、私と同じか少し上くらいの雰囲気。長い栗色の髪は後ろで一本の三つ網にして背中に垂らした穏やかなそうな女性。でも、頭に生えた長くねじれた角と、背中のコウモリの翼が、悪魔っぽいといえば悪魔っぽい。
彼女は、呆けた私に穏やかな笑みを浮かべて、語りかけてくる。
「あら? 召喚した本人が意外そうな顔。…あなたは"永遠の若さ"を求めてわたしを呼んだのよね。」
「……え、えぇ! そうよ。もっと強持てのが出てくるかと思ったけれど…覚悟は出来てるわ!」
私は気を取り直し、真っ直ぐに穏やかな様子のその女性を見た。睨むに近い。悪魔だという彼女に、軽快しないわけにはいかないから。
「そう。最も、わたしをここに呼んだ以上、お互いにもう拒否権はないけれど。この私を取り巻く魔法陣。…その契約文に従い、あなたに永遠の若さを授けましょう。」
悪魔が私に手をかざし、その手と、魔法陣の一部、私の望みを書いた文章――といっても、魔導書に書いてあった文章丸写しだけど――が光り輝いた。そして、私の体も光に包まれ――。
「……え?」
何か、少しづつ目線が低くなっている! 私と同じくらいだった悪魔の背丈が、10cm程大きくなった様に感じた所で、私は疑問の呟きを上げた、が、もう手遅れだった!
するすると、まるでお風呂の詮を抜いた水面の様に、ゆっくりと、しかしスムーズに私の背が縮んでる。
何だか、体が重たく感じて、閉じて立っていた足を軽く開いて、倒れない様にした後、キッと頭一つ分くらい高くなった悪魔の顔を見上げる。
「ちょっとっ! 何したのよ!!」
私の声なのに、何だかいつもより迫力がない。叫ぶ際に無意識に胸元に寄せた手や腕には、いつもあるはずの私の胸が寄せられる様な感覚も無い。自分の体を見下ろせば、そこにあるはずの形のいい胸もなくなって、ぺったんこになっていた。ブラやパンツも、ゆるゆるになって、激しい動きをしたら落ちてしまいそう。
悪魔の女性は、クスクスと、やっと悪魔の様な、意地悪な表情を浮かべて、私を見下ろしてきた。
「永遠の若さよ。あなたが望んだ事じゃない。あなたはもっともっと若くなって、永遠を生きるの」
――子供の姿のまま永遠を生きろってのっ!?
自分の体を見下ろしていたら、すでに体は寸胴体系に、子供特有の括れの無い体。彼女との身長差を省みるに、もう10よりも下の歳だ。私。
私は、これ以上の若返りを止めるべく、ステッキサイズだったのに、すでに自分の首ぐらいの高さまである杖を両手で握り締めて、一歩、悪魔に詰め寄ろうとした――けど!
「ふえっ!?」
今日の私の服装は、足首までの長さの黒ローブ、最初の一歩でローブの裾を踏んで、地面に頭から倒れこんでしまった。
悪魔の足元に転がる私を見下ろして、嘲笑の言葉が降り注ぐ。
「あらあら。…もう時間切れね」
2
:
りんごじゅうす
:2013/03/30(土) 18:21:31
エピローグ 1
いたい。
形の良い鼻よりも、額を強く打った。鼻が低くなったりしなくて良かったと思うべきかしら。…でも、後から考えたら、鼻が低くなったから額だけ痛かったんだと気付いた。
「ころんだ」ぐらいなのに、泣きそう。涙がじわ、と目に溜まる。おかしい。わたしは、おとななのに。
目の前の「けはい」。悪魔さんが、わたしの目の前にしゃがみ込んできて、抱っこして起き上がらせてくれた。優しいあったかい大きな手が、わたちの頭をなでなでして、安心させてくれる。
……ハッとして、わたしは、首をぶんぶんって振って、悪魔さんから後ろ足で距離を取った。けれども、まだぶかぶかのローブを着てるのと、まだちいちゃな体になれてないせいで、ペタンとしりもちをついた。
悪魔さんが笑顔で語りかけてくる。
「プラネちゃんはぁ、まだ自分のお姿が分かってないものね。鏡を出してあげる」
そう、悪魔さんが言えば、現れたのは薄い水の壁。水が無いのに。それがまるで鏡みたいに、わたちの姿を映しこんだ。
まんまるの、ほっぺたが、ぷにぷにして柔らかそう。きょとんとした青い目。形の良い卵型の顔が自慢だったのに。髪の毛も短くなってるけど、今のわたしの大きさに相応しい「ロングヘア」。年齢はたぶん、4歳くらい。
大きすぎる黒ローブに包まれてる姿は、まるで黒い「てるてるぼうず」みたい。
「も、もどちて! もどちてっ! もどちてっ!!」
わたしは立ち上がって、悪魔さんに詰め寄った。しゃがんで視線を合わせてくれた彼女は、あくまで穏やかな笑顔。
「契約したんだから、ダーメ。あなたがやってって言ったんじゃない」
「キーッ! もどちゃないとひどいんだからっ!!」
わたしは地団駄を踏んで、手を前に突き出す。これだけの動作で、赤い炎が相手に向かって飛ぶ……はずなのに、出ない。
「あれぇ?」
「クスクス。どうしたのかなぁ? プラネちゃん」
わたし、魔法が使えなくなってる? でもでも! まだこれからなんだから! わたしは悪魔さんにビシッとちっちゃな指を突きつけた。…小さすぎて、自分の手なのかと違和感がある。
「"がーごいる"! いきなちゃいっ!」
このわたしの家を守ってくれる石像が来てくれる…はずだったのに。
悪魔は余裕の表情で、わたしの頭をなでなでしてきた。
「契約の内容すら分かってなかったんでちゅねー? あなたの魔力は今、ぜーんぶわたしに流れてるの」
「な、なにちょれ!? どーいうこと!?」
ふだんのわたしなら、それだけで、あの魔法陣に暗号の様な隠し契約があり、それのせいで魔力が全て悪魔に流れてて、ガーゴイルも起動しない。と把握できたはずなのに、いまのわたしのあたまじゃ、それを理解する事が出来なかった。
「魔法は使えないわ。ついでにー、気付いてるかもしんないけど、ココロもちびっこになってるわよ。記憶はあるけれど」
「ちびっこっていうなーっ! このこの!!」
わたしは、丁寧に説明してくる悪魔さんに対して、ちびっこって言われた事に腹を立てて、腕をぐるぐる回してパンチする。
困った表情で3回くらい殴られた悪魔さんは、それからあっさりとわたちの両手を掴んできた。そしてニヤリと笑ってくるのだ。
「プラネちゃんにはー、おしおきが必要でちゅねー?」
「ふえっ!?」
3
:
りんごじゅうす
:2013/03/30(土) 18:35:29
目の前の悪魔さんは、わたしを掴んで、まとわりついてたローブを脱がしてくる。
「な、なにしゅるの!」
「乱暴な子には、お尻ぺんぺんよ」
にんまり、といい笑顔で笑う悪魔さん。わたしは必死で抵抗した。ホントは大人なのに、お尻を晒されてぺんぺんなんて!
「いやーーーっ!?」
けれども抵抗してもだめだった。脱がされたわたしの腰を強引に掴んで、パチーンッ! と勢いよくお尻を引っぱたいてきた。
パチーンッ、パチーンッ、パチーンッ!
わたしは手足をばたつかせるけれど、悪魔さんの腕を全然振りほどけない。
「やめちぇ! やめてぇ!?」
「ごめんなさい。って言いなさい?」
穏やかな声なのに、叩く手は容赦ない。
「ごめんなちゃいっ! ごめんなちゃいっ!?」
わたしが泣きながら、必死に叫ぶと、悪魔さんは手を離してくれた。
ぐすぐす、ひっくっ。必死に「なみだ」を止めようとしても、中々止まってくれず。はだかんぼなのに、体の前を隠す余裕わたしは泣きながらしゃくりあげて、悪魔さんを見る。
悪魔さんは、視線を合わせてこっちに語りかけてくる。
「いーい、プラネちゃん? あなたはもうちっちゃな子供で、魔法も使えないの。わたしがいなくなったらぁ、あなたはどうするの? いっしょう、この森で一人で生きていくの?? ひとりじゃどこにもいけないし、なぁんにも出来ないでしょ?」
「……ぐすっ、ぐすっ、ひっくっ」
泣きながら、でも、頷くしか出来ない。はだかんぼになったせいで、わたしの今の体が、良く分かるんだもん。胸はぺったんこで、くびれどころかぷっくりと膨らんだおなか。ぷにぷにとした短い手足に、いかにもぶきっちょそうなちっちゃな指。
悪魔さんは続ける。
「だから、わたしはプラネちゃんのお世話をしてあ・げ・る。お馬鹿な人間の世話をするの、流行ってるんだから」
「……わたち、バカじゃないもん」
ぷくりと頬を膨らませて、悪魔さんをジッと睨むけど、逆に相手はわたしを笑顔で、なでなでしてくる。
「悪魔の罠にはまってお子ちゃまになったプラネちゃんはバカでちゅよー? でも、永遠にその姿で生きられますよー、良かったでちゅねー?」
「……ふええ、ふぐ、ふえええええええええんっ!!」
優しく、でもバカにしてくる悪魔さん。言い換えそうとしたけれど、今のわたしをやさしく説明されて、理解しちゃったせいで、もうガマンできなくなっちゃった。
大声で泣き喚いても、悪魔さんしか聞いてない。
よしよしと撫でながら、悪魔さんが続けてくる。
「だいじょうぶでしゅよー? わたしがママになってあげましゅからねー?」
わたしは、自分の気持ちがコントロールできなくって、ますます強く泣くしかできなかった。
4
:
りんごじゅうす
:2013/03/30(土) 18:39:01
単発作品専用スレッドでやるべきかと思いましたが、長くなるかもしれないのでスレを立てさせて頂きました。放置してる作品もあるのに……。
かなり作品としては無責任な事を言ってしまいますが、タイトルの通り、この作品は完結予定がありません。エピソードを思いつく限り続けていくスタイルで行こうと思ってます。
無責任なスタイルですが、よろしくお願い致します。
5
:
藤色ずきん
◆dBQtRqra3s
:2013/03/30(土) 19:05:49
>>4
初めまして。
『貴族の孤児院』の頃からのファンです。
何ヵ月も音沙汰が無かったので、筆を折ったんじゃないかと心配しておりました。りんごじゅうすさんの新作を拝読することができて嬉しいです。
6
:
りんごじゅうす
◆DkFptW8F1s
:2013/04/01(月) 15:02:16
わわ。こちらこそはじめましてー。箱庭の伊織、拝読させていただいております。
基本、テンションの浮き沈みが極端に激しいタチでして、沈みだすと一年ぐらいそうなってしまう事もあるのです……orz
のんびり行こうと思いますので、肩の力を抜いて期待しないで下さいませ。
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