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あわてんぼうのサンタクロース
1
:
mogmog
:2007/12/25(火) 10:05:30
あわてんぼうのサンタクロース2007
登場人物
舞 6歳 お嫁さんになることが夢の少女。
理恵香 30歳 舞の母。
五郎 38歳 離婚の危機にある男。
芳子 35歳 五郎の妻。
奈美 11歳 姉に仕返ししたがっている小学生。
由美 15歳 奈美の姉。
美雪 18歳 母親から可愛がられている夏海に嫉妬する。
夏海 12歳 美雪の妹。
梨花 17歳 多忙な母親を心配する高校生。
桃花 8歳 梨花の妹。甘えん坊。
第1話 今年もやってきましたクリスマス
「おじさん、喜んでください! 今年はクリスマスのお願い事が6通も来てますよ!」
「それって喜ぶほどの数か?」
「去年は結局3つだけだったからね。それに比べれば倍に増えたわけだぞ?」
「まあ、そうだけど」
「しかも去年は半ば強引に集めてきたのに対し、今回は向こうから送られてきたんだ!」
「それはすごいことではないか。しかし、いったいどういうわけじゃ?」
「実はホームページってやつを作って募集したんですよ」
「なるほど。それでか」
「『アイテー』ってやつじゃろ?」
「無理しないでください」
「でもよ、インターネットで募集してたったの6通か?」
「……」
「……」
「おほんっ。えーでは早速読み上げたいと思います。まずは舞ちゃん(6歳)のお願い事。『わたしははやくおおきくなってあかちゃんがほしいです』とのこと」
「おいおい、わざわざお願いしなくてもいつかはかなうことだろ」
「まあまあ。6歳児らしい可愛いお願い事じゃないか」
「そうか?」
「次行きます。五郎さん(38歳)のお願い事。『僕は芳子と結婚して今年で十年になります。でも、最近彼女の態度が冷たいです。僕が仕事ばかりに気をとられていたのが原因と思い、会社からなるべく早く帰るようにしたり、家事を手伝ったりしているのですが、それでも日に日に会話が減っている気がします。十年前に戻って、またラブラブな生活を送りたいです』」
「まあ、飽きてきたんだろうな。さては浮気してるな、この女」
「……次は奈美ちゃん(11歳)のお願い事。『私には4歳年上のお姉ちゃんがいます。お姉ちゃんはいつも私に意地悪をしてきます。この前けんかしたときは私のお気に入りのブローチを取り上げられました。一度お姉ちゃんを私より年下、できれば無抵抗な赤ちゃんにして仕返しをしてやりたいです』」
「さらっとすごいこと言うな。こいつ」
「四つ目。美雪さん(18歳)のお願い事。『私は妹の夏海がうらやましいです。夏海は12歳なのですが、いつも母親に甘えていて、とても幸せそうです。一日でもいいので、夏海より年下になって可愛がられてみたいです』」
「さっきと逆だな」
「人によって考え方はだいぶ違うものじゃのう」
「五つ目。梨花さん(17歳)のお願い事。『私は母と妹の三人で暮らしています。父は離婚して家を出て行ってしまいました。母は家事と仕事で毎日苦しそうです。できるものなら、母親と入れ替わってあげたいです』」
「すばらしい娘さんじゃのう」
「最後の六つ目。桃花ちゃん(8歳)のお願い事。『わたしはママとおねえちゃんとくらしています。でもママはいつもいそがしいし、おねえちゃんもぜんぜんあそんでくれません。わたしはあかちゃんにもどって、ママやおねえちゃんにもっとあまえたいです』」
「ん? もしかしてこいつ、五つ目のやつの妹か?」
「そうみたいだね」
「けっ! 姉と大違いだな! 姉をみならえってんだ!」
「それにしても今回は大胆な願い事が多いような……10年前に戻すとか姉を赤ちゃんに戻すとか」
「きっと俺たちのこと信じてないんだな。だから冗談半分でこんなこと書いたんだ」
「で、おじさん、どうします?」
「どうしますって、もちろんみんなかなえてあげるに決まっておるではないか」
「マジで!?」
「いいんですか?」
「わしらが本物であることを示すためじゃ。もしかなえなかったら信用を失ってしまうではないか」
「それもそうですけど……」
「おっしゃ! そんならさっさと準備しようぜ!!」
2
:
mogmog
:2007/12/25(火) 10:07:02
あわてんぼうのサンタクロース2007
第2話 舞と理恵香のクリスマス
「まま、みて!」
理恵香がお皿を並べていると、娘の舞が台所にやってきた。その手には赤と緑の靴下が握られていた。
「あら、それどうしたの?」
「さんたさんからもらったの!」
「え? サンタさん?」
「うん。これまほうのくつしたなんだって。くりすますのよるにあけるとおねがいごとがかなうんだよ!」
「へえ。それで、舞ちゃんはなんてお願いしたの?」
「はやくおおきくなって、あかちゃんがほしいっておねがいしたの!」
「それならきっとかなうわよ」
「ほんと!? じゃあ、あけるね」
靴下を開くと中から赤と緑の光の筋が飛び出し、舞の体を包み込んだ。
「わあ、きれい……」
赤と緑の光は舞の体に吸い込まれるようにして消えた。そのとたん、舞は体を縮めた。
「どうしたの?」
「からだがむずむずする」
理恵香は舞の体をさすった。
「どう? まだむずむずする?」
「うん」
舞の体を調べてみるが、特に変わった様子は無い。
その時、キッチンタイマーの音が鳴りひびいた。
「いっけない! お風呂があふれちゃう!」
理恵香は急いで風呂場へ向かった。
風呂場の蛇口を締めると、理恵香は台所に戻った。
「おまたせ。どう? むずむずはおさまっ……」
舞の姿を見た理恵香は絶句した。気のせいだろうか。舞が少し大きくなった気がする。
だが気のせいではなかった。舞は幼い少女から大人の女性へ急成長している最中だったのだ。
そのことを確信させる変化が舞の体に起こりはじめた。
舞の胸元がぷくっと膨れたかと思うと、乳房が服を押し上げ始めた。
「見て見て! 私どんどん大きくなってくよ!」
やがて舞の背丈は理恵香と変わらなくなり、成熟した姿になった。
「わーい! 私大人になっちゃった!」
鏡に映った自分の姿を見ながら舞ははしゃいでいる。
理恵香は目まいに襲われ、へなへなとその場にしゃがみこんだ。
「あれ? ママどうしたの? 様子が変だよ」
「大丈夫。ちょっと目まいがしちゃっただけ」
「そうじゃなくて、体の様子が」
「体の様子?」
そう言えばなんだか体がむずむずする。
「あ、あれれ?」
立ち上がった理恵香は仰天した。いつの間にか理恵香の背丈は舞の胸の高さまでしかなくなっていた。
「どうなってるの!?」
理恵香はどんどん小さくなって、舞のおへその高さくらいになってしまった。
背伸びをして洗面台の鏡をのぞき込むと、6歳の舞にそっくりの幼い顔が現れた。
「ママが子供になっちゃった! か〜わいい!」
舞は理恵香をぎゅっと抱きしめた。
「ぐっ、くるちい……」
「ねえ、ママは子供になりたいってお願い事したの?」
「ちがうわよ。まいちゃんはほかになにかおねがいごとしたの?」
「ううん。してないよ。あ、もしかして……」
「なに?」
その時、二人の体が輝いたかと思うと、舞はエプロン姿に、理恵香はピンクのパジャマ姿になった。
「やっぱりそうだ。ママは今日から私の子供になったのよ」
「わたしがまいちゃんのこども!?」
「そうよ。ほら、このエプロンはママが着ていたものだし、ママが今着ているパジャマは私のでしょ? サンタさんはちゃんと私のお願い事かなえてくれたのよ!」
「でも、わたしはべつにあかちゃんになっちゃったわけじゃないよ?」
「じゃあ、もしかしたら明日の朝には赤ちゃんになっちゃってるかもね」
「そんなのやだよ!」
「大丈夫。ママが赤ちゃんになっちゃっても私がちゃんと育ててあげるから。さ、良い子はさっさとお風呂に入って寝なさい」
理恵香は舞の言う通りにした。
お風呂から出るとすぐに子供部屋に行き、布団にもぐりこんだ。
理恵香は布団の中でサンタにお願いをした。「どうかこれが夢でありますように」と。
3
:
mogmog
:2007/12/25(火) 10:07:49
あわてんぼうのサンタクロース2007
第3話 五郎と芳子のクリスマス 前編
五郎がマンションに帰宅した時には、芳子はまだ帰っていなかった。
そう言えば今日は友達とデパートに行くと言っていた。帰りは10時ごろになるらしい。
時計を見ると9時過ぎだった。あと1時間ある。
先にシャワーでも浴びておくかと思っていると、丁度芳子が帰ってきた。
「あら。今日は早いのね」
「そりゃあ、今日はクリスマスだし。はい、これ。僕からのクリスマスプレゼント」
「まあ、珍しい。この前の結婚記念日は忘れてたくせに」
クリスマスぐらい雰囲気を良くしようと思って買った真珠のネックレスだったが、逆に雰囲気を悪くしてしまった。
「それはそうと、実はあなたに話したいことがあるの」
「話したいこと?」
「離婚しましょう」
「えっ?」
唐突な言葉に絶句した五郎は、頭の中が真っ白になった。
「私、他に好きな人ができたの」
「う、浮気?」
「そうよ。なんか文句ある? あ、もちろん慰謝料は払うから安心して」
「そんな……急に……」
「あなただって一人のほうが仕事しやすいんじゃないの?」
「そんな事は無いよ」
「はい、これ、離婚届。私からのクリスマスプレゼント」
離婚届にはすでに芳子の書く欄が埋められていた。あとは五郎が記入し、印鑑を押すだけの状態だった。
「私シャワー浴びてくるから、それが終わるまでに記入しといて」
そう言って芳子は脱衣所に入っていった。
五郎はかばんから赤と緑の靴下を取り出した。
1週間前に「サンタにおまかせ!」という怪しげなサイトを見つけた。メールに名前と願い事を書いて送れば、その願い事をかなえてくれるというのだ。
フィッシング詐欺か何かと思ったのだが、名前とメールアドレス以外は書かなくても良いらしいので、冗談半分で「十年前に戻りたい」という趣旨のメールを送った。
するとその3日後にこの靴下が送られてきた。添えられた手紙には、この靴下をクリスマスの夜に開けば願いがかなうと書かれていた。
馬鹿なことだとはよくわかっている。でも、今はこんなものにでも頼らなければ解決できない状況なのだ。
五郎は願いがかなうように祈りながらゆっくりと靴下を開いた。
五郎は体に異変を感じた。それはこの靴下が本当に魔法の靴下であることを意味していた。だが、どうも様子が変だ。
五郎は視点が徐々に下がっていくのを感じた。背が縮んでいるのだ。
五郎は首をかしげた。10年前に比べて体重はむしろ減ったし、身長も大して変わっていないはずだ。なのに背が縮んでいくのはどういうことだろう?
背が縮んでいくにつれて服がゆるくなっていく。だが不思議なことに、胸周りと腰周りだけはゆるくなるどころか、どんどんきつくなっているのだ。
自分の胸元を見下ろした五郎は絶句した。シャツの胸元が丸いふくらみによって押し上げられている。
恐る恐るボタンをはずすと、豊かな二つの乳房が現れた。
続いて股間に手を当てる。無い。いつも目にしているものがなくなっている。
「あたし女になっ……」
驚いて口をつぐむ。女性らしい高い声になっているだけでなく、しゃべり方まで女っぽくなってしまっている。
体の変化が止まると、続いて服が変化し始めた。スーツは形を変え、ゆったりとした婦人服になった。
「どうしてなの? あたしは十年前に戻りたいってお願いしたのに〜」
洗面所へ駆け込み、鏡で自分の姿を見てみると、五郎はふくよかな体つきの女性になっていた。
大きく開いた襟元からくっきりとした谷間がのぞいている。
自分の姿を観察していると、背後で悲鳴が聞こえた。
振り返ると、シャワーを終えた芳子が顔を引きつらせて立っていた。
4
:
mogmog
:2007/12/25(火) 10:08:27
あわてんぼうのサンタクロース2007
第4話 五郎と芳子のクリスマス 後編
「あなたいったい誰なの? もしかして五郎の浮気相手?」
「違うわよ! あたしは誰とも浮気なんかしてないわ」
「あんたのこと聞いてんじゃないわよ。で、五郎はどこなの?」
「あたしが五郎よ」
一瞬固まる芳子。
「何言ってんのよ。あんたのどこが五郎だっていうのよ」
「あたしサンタさんから靴下をもらって、それでこんな……」
「はいはい。あんたの話は後で聞いてあげるからね。さて、五郎はどこに隠れたのかしら?」
芳子は五郎の話をさえぎると、寝室に入っていった。
「だから靴下を……うっぷ」
急に吐き気に襲われた五郎は洗面台に顔を向けた。幸い夕食前だったので口からはつばしか出てこなかった。
「いったいどうしたのかしら。あれ?」
おなかを押さえたとき、下腹部がわずかにふくらんでいるのに気づいた。
ふくらみは徐々に大きさを増し、服の上からでもはっきり目立つようになった。
「これってもしかして……妊娠!?」
おなかが大きくなるにつれ、バランスがとりにくくなっていく。
バランスをとろうと身を反らしものの、急に反り返ったせいで腰を痛めてしまった。
「あたたたた……」
五郎はその場に座り込んだ。
そこへ芳子が戻ってきた。
「寝室には隠れていないようね。それじゃあ、次……」
洗面所で座り込んでいる妊婦を見て、芳子は息を呑んだ。
「あなた妊娠してるの? それって五郎の子よね?」
「いや、これは……」
「その大きさだと、もうすぐ生まれそうじゃない。てことは、少なくとも十ヶ月前には一緒に寝たことがあるってことよね? そう言えば……」
少し考えた後、芳子はポンと手を鳴らした。
「そうよ。思い出したわ。十ヶ月前といえば、五郎が『新しいプロジェクトの責任者になったからこれから帰りが遅くなる』って言ってたころだわ。あれはうそだったのね?」
「ちがうわよ。あたしは本当に……」
「近寄らないでよ、汚らわしい! 私は離婚が決まるまで浮気相手と子供は作らないって決めてたのよ? それなのにあんたたちは……」
五郎は必死に説明しようとするが、もはや芳子の耳には何も聞こえていなかった。
「私は五郎を探しに行ってくるから、それまであんたはここでじっとしていなさいよ? ま、その体じゃ歩き回れないでしょうけど」
そう言って芳子はマンションの部屋を出て行ってしまった。
芳子を追いかけようと立ち上がろうとしたが、おなかが痛み出し、再び座り込んだ。
「うぐうううう……これが陣痛なの?」
五郎は仰向けに寝そべった。あまりの苦しさにうめき声を上げずに入られなかった。
パンティーが湿っぽくなる。破水を起こしたのだ。五郎は痛みに耐えながらパンティーを脱いだ。
お尻から何かが出てくるのを感じた。五郎は最後の力を振り絞って新しい命を産み落とした。
「おぎゃあー! おぎゃあー!」
苦しみから解放され、五郎はほっと胸をなでおろした。
ゆっくりと起き上がり、ぷっくりとした血だらけの生き物を抱き上げる。
その生き物はなんとも醜い顔をしていた。だが、五郎にはその顔がたまらなく愛しく感じられた。
5
:
mogmog
:2007/12/25(火) 10:10:34
あわてんぼうのサンタクロース2007
第5話 奈美と由美のクリスマス 前編
「あ、それ私が取ろうとしてたのにー!」
「早い者勝ちでしょ? さっさと取らないのが悪いのよ」
夕食が始まって30秒も経たないうちにけんかが始まった。両親はあきれて見ているだけで仲裁には入らない。いつものことだからだ。
結局今回も姉の由美の勝ちに終わった。これもいつものことだ。体が小さい分、奈美には何もかもが不利になってしまう。
だが、いつもと違う所があった。いつもなら奈美は泣きながら母親にすがりつくのだが、今回は泣くのをぐっとこらえ、おとなしく別のフライドチキンをお皿に取り、黙々と食べ始めた。
「あら、少しは成長したのね」などとつぶやきながら両親も食事を進める。
由美も不思議に思いつつも戦利品にかぶりついた。
奈美にとってフライドチキンの取り合いなどもはやどうでも良いことだった。
今まで由美には散々意地悪されてきたがそれも今夜で終わるのだ。
夕食が終わると、奈美は由美を自分の部屋に連れて行った。
「何よ、見せたいものって?」
「ふふふ。これよ」
奈美は机の引き出しから赤と緑の靴下を取り出した。
「それが何よ。ただの靴下じゃない」
「ブーッ! これは魔法の靴下よ」
「はあ?」
「これ、サンタさんからもらったの」
「ブッ。あんたまだサンタなんか信じてるわけ?」
「本当だもん。ちゃんと手紙ももらったんだから。それでね、この靴下でお姉ちゃんに魔法をかけてあげる」
「あたしをカエルにでもするわけ?」
「違うよ。お姉ちゃんを小さくするの!」
「あっそ」
「じゃあ、いくよ。小さくなあれ!」
奈美は由美に向けて靴下の口を開いた。
「何が『小さくなあれ』よ。ばかばかしい」
由美は奈美に背を向け、部屋を出て行った。
「さて、ブログでも書こうかな」
由美は自分の部屋に入ると、パソコンの電源をつけた。本体がうなり始め、画面が明るくなる。
しばらくして起動が完了すると、由美はいつものようにキーボードに両手を置いた。が、そのとき由美は自分の両手が袖の中にすっぽり隠れてしまっているのに気づいた。
それだけではない。いつもより机が高く感じるし、両足が床にとどかなくなっている。
「まちゃか、なみがいってたのって……」
由美はいすから下りると、姿見の前に立った。
「えっ、ちょんな、うちょでちょ!?」
由美は5歳くらいの幼女になっていた。茶色に染めていた髪はナチュラルな黒髪に戻り、メイクもすべて消えてすっぴんになっていた。
コンコン。
「お姉ちゃん、入ってもいい?」
ドアの向こうで奈美の声がする。
こんな姿を妹なんかに見られたくない。
「だめ! はいらないで!」
由美は鍵をかけようと、あわててドアに駆け寄ろうとした。
どたんっ!
ずり落ちたデニムのミニスカートが脚にからまり、由美はうつぶせに転んでしまった。
あまりの痛さに、思わず涙がにじんでくる。
「大丈夫? なんかすごい音したけど?」
ドアノブが回る。由美は涙をこらえて立ち上がると、ドアノブをぎゅっと握り締めた。しかし今の由美の握力では奈美の握力に勝てなかった。
6
:
mogmog
:2007/12/25(火) 10:11:11
あわてんぼうのサンタクロース2007
第6話 奈美と由美のクリスマス 後編
ドアが開き、由美の目の前に奈美の胸元が現れた。
見上げると、奈美と目が合った。由美は奈美より30センチ以上小さくなっていた。
「お姉ちゃん……だよね?」
由美はこくんとうなずいた。
「かわいい!」
奈美は由美をぎゅっと抱きしめた。
「ねえ、その服どうしたの?」
「ふく?」
見下ろすと、いつの間にか由美はオレンジ色のワンピースを着ていた胸元にはリボンの飾りがついていて、襟や袖はレースで縁取られている。
それは由美が十年前に来ていた服と同じだった。
「ふーん。お姉ちゃんにもこんな可愛いころがあったのね」
「そんなじろじろみないでよ」
「あれ、もしかして恥ずかしがってるの? か〜わいい! でも、本当はもっとちっちゃくなってほしかったんだけどね」
「もっとちいたく? これじょうちいたくなったらあかたんになったうじゃない」
「そうだよ。でも、これでもいいや。これからは私がお姉ちゃんよ。毎日可愛がってあげるからね。さ、いっしょにお風呂入っておねんねしましょ」
「なにいってるのよ。まだくじじゃない。わたちはこれからぶろぐかくんだから」
「だめ。小さい子は早く寝なきゃ。そうしないとサンタさんからプレゼントもらえないよ?」
奈美は由美の腕をつかんだ。由美はその手をほどこうとするが無駄だった。
「もちちゃんたたんがいるんなら、あんたこちょあかたんにちてもらうんだから!」
由美は奈美に引きずられるようして部屋を出た。
「だいたい、どうちてあんたとおふろにはいらなきゃいけないの?」
妹に幼いころの姿を見られるだけでもいやなのに、裸まで見られるなんて恥ずかしすぎる。
「その体じゃ体洗うの大変でしょ? だから手伝ってあげるの」
「よけいなおちぇわよ!」
居間では、テレビの音と両親の笑い声が聞こえる。
「おとうたん! おかあたん! たちゅけてえ!!」
由美はこの異常事態を両親に伝えようと必死に叫んだ。だが、居間では相変わらず笑い声が聞こえてくる。
必死に抵抗するのもむなしく、とうとう風呂場の近くまで来てしまった。
「いや! あんたといっちょにおふろなんてやだ!」
と、その時、急に奈美の握る手が緩んだような気がした。驚いたことに、奈美の手が見る見るうちに袖の中に引っ込んでいく。
由美と同じく、奈美の体も縮み始めていた。
「えっ? わたしまでちぢんでる!?」
服がぶかぶかになり、スカートがずり落ちる。
奈美はあっという間に由美より小さくなってしまった。
「いや。とまって! このままじゃ……はうっ」
奈美はぺたんとしりもちをつき、服の中に埋もれてしまった。
真ん丸い顔が襟からちょこんと出ている。由美はそれを見てくすくすと笑った。
「どうちてこうなゆの〜」
「じごうじとくでちょ」
やがて奈美の服は消え、由美の全身が現れた。由美はおむつをつけているだけで、ほかには何も身に着けてなかった。
「いや! みないれ!」
奈美は小さな両手で胸を隠した。
「なにちてるの? かくちゅものなんてないじゃない。ちょういえばなみにもこんなかわいいころがあったわねえ。さ、おふろにはいりまちょ」
「い、いや!」
「なにいってるのよ。あんたがいっちょにはいりたいっていいだちたんじゃない。ほら、おいで」
奈美はぎこちなく立ち上がると、由美の手から逃げようとした。だが、3歩も歩かないうちにぺたんとうつぶせに倒れてしまった。
「ふえーん! こんなのやらー!!」
奈美は泣き出してしまった。
結局姉妹の立場は変わらず、奈美は十年余計に由美からの意地悪に耐え続けなければならなくなってしまった。
7
:
mogmog
:2007/12/25(火) 10:11:42
あわてんぼうのサンタクロース2007
第7話 美雪と夏海のクリスマス
美雪は、満面の笑みを浮かべてケーキをほおばる夏海をぼんやりと眺めていた。
「あら、夏海ちゃんったら唇にクリームがついてるわよ」
母親は夏海の口をナプキンでぬぐった。
夏海は12歳。来年度からは中学生だというのに、いまだに両親に甘えきっている。
夏海が生まれた時、美雪は妹が出来とことに大喜びした。だが、両親は夏海ばかりを可愛がるようになり、美雪は次第に夏海に嫉妬するようになっていった。
嫉妬といっても、別に夏海を恨んでいるわけではない。うらやましく思っているだけだ。いつしか美雪は夏海の妹になりたいと思うようになっていた。
「あー、おいしかった。ごちそうさま!」
ケーキを食べ終え、美雪は夏海と一緒に子供部屋に戻った。
「あのう……夏海ちゃん?」
美雪は部屋に入るとすぐに夏海に話しかけた。
「何、お姉ちゃん?」
「あのさ、そのう……笑わないで聞いてくれる?」
「うん」
「あのね、私、ずっと前から夏海ちゃんの妹になりたいなって思ってたの」
夏海はそれを聞いて目を丸くした。
「そうだったの?」
「うん。それでね、その……サンタさんにお願いしたの。そしたらこれが送られてきたの」
美雪は赤と緑の靴下を夏海に見せた。
「この靴下をクリスマスの夜に開くと願いがかなうんだって」
「へえ、じゃあ、さっそくやってみようよ!」
「いいの? もし本当に私が妹になっちゃったら困らない?」
「どうして?」
「だって、お父さんとお母さんになんて説明したら……」
「大丈夫。私がちゃんと説明してあげるから安心して」
「そう。ありがとう」
夏海にも以外にしっかりしたところもあるんだなと美雪は思った。
「じゃ、いくよ」
靴下を開くと、中から赤と緑の光の筋が飛び出し美雪の体に吸い込まれていった。
「あっ……」
「どうしたの?」
「なんだか体がむずむずする」
ゆっくりと美雪の体型が変化し始める。つんと突き出た乳房はボリュームを失い、ブラジャーがスカスカになる。お尻も小さくなり、ジーンズのベルトが緩みだす。
美雪の年齢がどんどん夏海の年齢に近づいていく。やがて二人とも同じくらいの年齢になったが、美雪の体はさらに若返り続け、ついに美雪は夏海より年下になってしまった。
美雪は夏海を見上げた。さっきまで見下ろしていた顔が、今では自分の背丈より高いところにある。
自分が夏海より幼くなってしまったせいか、今まで幼く見えていた夏海が、何だかとても大人びて見えた。
美雪はいつもと違う視点から夏海の体を観察した。
夏海は性格が幼稚とはいえ、その体は着実に大人の体型へ変化しつつある。顔つきはまだまだ幼いものの、胸はそこそこボリュームがある。
美雪はその発育途中の胸に顔をうずめた。
少し硬いが、温かくてほっとさせられる。
「お姉ちゃん、痛い」
「あ、ごめん」
夏海はあわてて顔を離した。
「ねえ、私夏海ちゃんの妹にになったわけでしょ? だから夏海ちゃんのこと『お姉ちゃん』って呼んでもいい?」
「うん。いいよ。じゃあ、私はお姉ちゃんのこと『美雪ちゃん』って呼んであげる」
「うん」
「それで、美雪ちゃんは何歳になりたいってお願いしたの?」
妹に名前で呼ばれるのはちょっと恥ずかしかった。でも、ちょっぴりうれしかった。
「べつになんさいとはかかなかったけど、きゅうさいかじゅっさいくらいがいいな」
「でも、美雪ちゃんどんどん小さくなってくよ?」
「えっ!?」
さっきは目の前に夏海の胸があったが、今では目の前に夏海のおなかがあった。
ズボンはひざまでずり落ち、右肩が襟から丸見えになっている。
「おねえたん、あたちなんちゃいくらいにみえる?」
「うーん……4歳くらいかな?」
「ええっ!? あたちはただなちゅみよりとちちたになれればよかっただけなのに」
そう言っている間も、美雪の体はどんどん幼くなっていく。
「ふにゅっ!」
バランスを失った美雪はしりもちをついた。起き上がろうとするが体が思うように動かない。
美雪は起き上がるどころか、寝返りすらできなくなってしまった。
「おねえたん、たちゅけてえ!」
美雪は手足をじたばたさせてもがいた。すると夏海は美雪をやさしく抱きかかえた。
「こんなかららやらよう。もとにもろりたいよう。ぐすん……」
「泣かないで。美雪ちゃんが元に戻るまで私がちゃんと面倒見てあげるから」
「うぐ……うわーん」
美雪は激しく泣き出した。その涙には、不自由な体になってしまった悲しみと夏海の優しい言葉に対するうれしさが混じり合っていた。
8
:
mogmog
:2007/12/25(火) 10:12:22
あわてんぼうのサンタクロース2007
第8話 梨花と桃花のクリスマス
「わかった。うん、大丈夫。うん。それじゃ仕事がんばってね」
ガチャ。
梨花は受話器を置いた。
「ママなんだって?」
「今日も遅くなるって。パーティは私たちだけでやりましょ」
「えーっ! きょうははやくかえってくるっていってたのにい!」
「仕方ないでしょ。ママとっても忙しいんだから。さ、お姉ちゃんと一緒にケーキ作りましょ」
「やだ! ママのけーきがたべたい!」
「わがまま言わないの。また今度作ってもらえばいいでしょ?」
「やだやだやだー!」
「あっそ。勝手にしなさい」
ぐずる桃花を放置し、梨花は台所へ行った。
梨花はエプロンを着けると、テーブルの上に置いてあった赤と緑の靴下を手に取った。
その口を開こうとした時、台所に桃花がやってきた。
「あれ? おねえちゃんもサンタさんにおねがいしたんだ」
見ると桃花も同じ靴下を持っている。
「おねえちゃんはなんておねがいしたの?」
「私はお母さんの代わりになってあげたいってお願いしたのよ。桃花は?」
「ひ・み・つ」
「あっそ」
梨花は深呼吸をすると、靴下の口を開いた。すると赤と緑の光が飛び出し、梨花の体に染み込んでいった。
これで母親の代わりになれたはずだが、いまいちピンと来ない。効果はすぐには現れないのだろうか?
考えていても仕方ないので、ケーキ作りを始めることにした。
材料をボールに入れ、かき混ぜる。ケーキを自分一人で作るのは今回が初めてだったが、いつも母親を手伝っていたので、梨花にとってケーキ作りは大して難しくないはずだった。
だが、材料を混ぜているうちにだんだん動きが鈍くなってきた。
「あれ? 力が入らない。いつもなら……あれれ!?」
梨花は調理台が徐々に高くなっていくような気がした。だが実際は梨花の背丈が縮んでいたのだ。
振り返ると、桃花が目をぱちくりさせてこっちを見つめていた。
「おねえちゃん、しょうがくせいみたいになっちゃった」
「しょ、小学生!?」
桃花の言ったことは正しかった。洗面所に駆け込んだ梨花は、鏡に映し出された自分の姿に絶句した。
梨花の顔はすっかり幼くなり、Cカップあった乳房はかろうじて服の上から確認できるほどにまでしぼんでしまっていた。
台所に戻ってくると、桃花が靴下を開けようとしているところだった。
「ちょっと待って! なんてお願いしたのか教えて」
「えへへ。わたしあかちゃんになってママにあまえたいっておねがいしたの」
それを聞いて梨花は顔をしかめた。
「冗談じゃないわよ! ママの負担をこれ以上増やすつもり!?」
梨花は靴下をつかみ、奪い取ろうとした。
「ちょっと。やめてよ!」
桃花はがっちりと靴下をつかんで離さない。
ビリッ。
耐え切れなくなった靴下はとうとう破れてしまった。すると破れたところから赤と緑の光が飛び出し、梨花の体に吸い込まれていった。
「えっ? 私?」
梨花の体が再び縮み始める。かろうじて存在した乳房はさらにしぼんでぺったんこになってしまった。
くびれはなくなり、幼児体型へ変化していく。
「あ、あちがふらふらちゅる……」
梨花はとうとう立っていられなくなり、ハイハイしかできなくなってしまった。
ガチャッ。
玄関の鍵が開く音がした。
「あっ、ママだ!」
桃花は台所を出て行った。
「ただいま。マネージャーに頼んで早く帰らせてもらったの。梨花は?」
「それがね、おねえちゃんあかちゃんになっちゃった」
「ええ? どういうこと?」
台所にやってきた母親は床に座り込んだ赤ちゃんを見て驚いた。
「ほ、本当に梨花なの?」
梨花はこくりとうなずいた。
「どうしてこんな姿に……」
母親は困った顔をした。それを見て梨花は、なんだか悲しくなってしまった。
「ふえーん」
梨花は泣き出してしまった。母親の代わりになるどころか、母親に迷惑をかけてしまったことがたまらなく悲しかった。
9
:
mogmog
:2007/12/25(火) 10:12:57
あわてんぼうのサンタクロース2007
第9話 クリスマスの後で
「た、大変だー!!」
「どうした? ホームページがハッキングでも受けたか?」
「違うんだよ。また間違えたんだよ」
「あっそ。そんなのいつもの……なぬう!?」
「舞ちゃんの靴下が五郎さんに、五郎さんのが奈美ちゃんに、奈美ちゃんのが桃花ちゃんに、桃花ちゃんのが美雪さんに、美雪さんのが梨花さんに、梨花さんのが舞ちゃんに届いちゃったんだよ!」
「つまり、舞ちゃんが……???……ウン。ソレハタイヘンダ」
「で、おじさんはどこ?」
「あれ? さっきまでそこに……おいっ!! どこへ行く!?」
「(ビクッ)い、いや、わしはそのう……」
「どういうことですか? また去年みたいに靴下を入れ間違え……」
「違う! 靴下を入れ間違えたわけではない!」
「それじゃどうして?」
「ただ、その……手紙を入れ間違えただけじゃ」
「……」
「……」
「おっさん。それ、同じことっす」
10
:
どんさん
:2007/12/25(火) 17:44:03
mogmogさんからのクリスマスプレゼント、楽しませていただきました。
ちょっと、いじわるなオチもあるのになんだか温かな読後感があるのは柔らかな文章のせいでしょうね。
11
:
名無しなメルモ
:2007/12/25(火) 18:07:53
萌え萌えです!
12
:
名無しなメルモ
:2007/12/25(火) 19:52:01
サンタクロース、今年も良かったです。
どのお話も楽しかったですが、特に奈美と由美のお話が良かったです。
13
:
名無しなメルモ
:2009/04/07(火) 15:18:21
GJ!
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