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1名無しなメルモ:2006/11/16(木) 18:58:55
その荷物が届いたのは、日曜日の朝のことだった。
両親は、遠方の親戚の結婚式のため、昨夜から留守。帰ってくるのは今夜・・・それもかなり遅くだ。
瑞樹と結香の2人は、うるさい母親がいないのをいいことに、かなりだらしない朝食を済ませたばかりだった。
届けられたのは10センチ四方ほどの小箱。
宛名は・・・瑞樹と結香の2人の名前が書いてあった。
「ねえねえ、お姉ちゃん。これって何?」
手紙ならともかく、自分宛のこういった荷物というものに縁がない結香は興奮を隠しきれないようだった。
結香は今年小学6年の12歳。
高校生の姉という存在のためか、かなりの耳年増。大人への憧れも大きく、何かにつけ背伸びをすることが多い。
「ちょっと待って。これ送り主の名前が書いていないじゃない。」
通販などで、こういった荷物にも慣れている瑞樹が落ち着いた口調で妹を諭す。
瑞樹は、高校3年生の18歳。
ちょっと周囲の同世代に比べると小振りな胸が不満だが、両親譲りの太らない体質のお陰で、ダイエットとは無縁のまま、見苦しくない容姿でいられることがちょっぴり自慢だ。
「変なサギでないといいんだけど・・・」
「もう、いいじゃない。」
しびれを切らした結香が横から荷物を奪うと、さっさと包装を破いてしまった。
「あ、こら、結香。」
だが、今更怒ってみても、もう遅い。
包装の中にはボール箱、そしてその中には・・・
ヴァイオレットのビロード調の小箱。
「あ、これって、指輪とか入ってるアレ?」
ぱかっと、小箱を開ける結香。
予想は違わず、その中には指輪が入っていた。
それも2つ並んで。
片方は金色。もう片方は銀色。
「わあ、お姉ちゃん、これって本物?」
「本物って意味が、純金と純銀ということならまず偽物ね。良く似た金属か、メッキでしょ。」
「ふーん・・・」
ちょっと期待していたらしくつまらなそうに呟く結香。
「でも、なんの指輪だろ。安物だとしても、この箱、ちょっと高そう、こっちの方が高そうなくらいだし。」
と、開けた蓋の裏から、折りたたまれた紙が落ちてきた。
「何、これ?」
紙を開くと、中を覗き込む瑞樹。
「なになに?お姉ちゃん。」
「えーと・・・ね。この指輪は、はめた人間の年齢を移動させるものです。へ?」
信じられない文章に思わず言葉に詰まる瑞樹。
「まさかそんなこと・・・指輪をはめた状態で、指輪と指輪を接触させてください。銀色の指輪をはめた方から金色の指輪をはめた方へと年齢が10歳移動します・・・まさかね。たぶん、これって何かの玩具だわ。」
「えー!そうなの、つまんない。」
「あなた、もう12なんだから、こんな話信じるんじゃないの。年齢が移動するって片方が若返って片方が成長するってことでしょ。マンガじゃないんだから、本当にそんなこと起こるわけがないじゃない。」

155名無しなメルモ:2008/02/23(土) 00:00:38
作者さん忙しいのかな?
おでぶ瑞樹の続きが気になります。

156名無しなメルモ:2008/02/23(土) 21:30:55
一時期、変な書き込みがあったので、物書きさん、ドン引きしちゃったじゃないかな。
悪意はないににしても、後々の事を考えて書き込みはあえて一歩引いて考えた方がいいかも

157名無しなメルモ:2008/02/24(日) 19:03:09
そうですよね〜僕も同感です。
作者が安心して書けるような雰囲気にするのが大切ですよね。

158安地栄神宮:2008/03/20(木) 21:11:57
自分の境遇に不満を隠しきれない瑞樹だったが、
「あ、みずきちゃん、ちょっとといれにいってくるね。」
見るからにそわそわ、我慢しきれないといった素振りで、馨は駆け出していった。
小さな子の方がトイレが近いと言うことは、瑞樹も先ほど体験済みだ。
「あ、馨さん。」
あの身体では階段とか気を付けて、と言おうとした瑞樹だったが、既に馨の姿は見えない。
「大丈夫かな。」
廊下に顔を出してみると、しばらくして
「あ、み、みずきちゃん、はやくきてー!」
階下から情けない中にせっぱ詰まったことが聞こえた。
どうやら下り階段は無事クリアしたようだが、別の問題が発生したようだ。
慌てて階段をおりる瑞樹。
トイレの前までいってみると、開け放たれたトイレのドアの前で、明らかに苦しそうに我慢の表情を浮かべている馨の姿があった。
「馨さん、何があったんですか?」
こんな小さな子を相手に、さん付けで呼んでいる事への違和感を覚えながらも、瑞樹は馨に問いかけた。
「そ、その…こんなちいさいからだと、ひとりじゃできないから…」
「あ」
確かに、2歳児の身体では、下着を下ろしたりするだけでも大変だし、そもそも洋式トイレでは便座にまたがることは不可能だろう。
個人差はあるが、おしめやトレーニングパンツを使っていても不思議ではない年齢でもあるし。
「ちょ、ちょっと待ってくださいね。まず下着を脱がないと…」
「う、うん…でもいそいでね…」
瑞樹に手を借りながら、どうにかパンツを脱ぐ馨。
続いて、瑞樹はトイレの便座を持ち上げると、馨のスカートを捲り上げ…幼児サイズのミニのジャンスカだけにある意味これは楽だった…後ろから馨の事を抱き上げた。
両脚の腿を持ち上げるようにした…そのまんま、子供におしっこをさせるための姿勢だ。
「ど、どうぞ。馨さん。」
「う、うん…」
2歳になってみたいと自分から言い出した馨だったが、こういった形でトイレを済ませることになるまでは予想できないことだったのだろう。
その口調からは明らかに恥ずかしさが伝わってくる。
それなりに我慢していたのだろう。
すぐにおしっこが迸りはじめた。
もちろん、小さな子のおしっこだけにそれはすぐに済んだ。
瑞樹は、ちゃんと身体を揺すってやって雫も切ると、トイレットペーパーで拭いて後始末もしてあげると、パンツもはかせて、捲ったスカートも乱れを直してやる。
「あ、ありがとう。みずきちゃん」
顔を真っ赤にし…瑞樹に抱き上げられた時からそうなっているのだろう…どうにかお礼をいう馨。
「どういたしまして。で、どうします?もう元に戻ります?それとももう少し、このままでいますか?」
瑞樹にしてみれば、こんな太った身体のままでいることを歓迎する気にはなれなかった。

159名無しなメルモ:2008/03/21(金) 23:34:03
安地栄神宮さん更新乙です!
瑞樹にはそう簡単に元に戻ってほしくないですね
今の境遇かなり気に入ってますのでもっと恥ずかしがってもらうとか
18才に戻っても太ったままとか波乱万丈がいいですね。

160名無しなメルモ:2008/03/27(木) 16:16:49
久しぶりの更新乙です
続きを楽しみにしてますので
これからも頑張ってくださいね。

161名無しなメルモ:2008/04/12(土) 17:51:10
早く結香が帰って来ないかなぁ・・
今の状況を見たらぜったい驚くだろうねw

162名無しなメルモ:2008/04/18(金) 23:25:02
安地栄神宮さん元気してますか?
瑞樹ちゃんの活躍が早く見てみたいので、お時間がございましたら
ぜひとも続きをお願いいたしますね。

163名無しなメルモ:2008/04/24(木) 11:46:38
安地栄神宮さんの小説いつも楽しく読ませていただいています。
妹との立場逆転や、お姉さん的存在の女子大生との親子の差程の逆転、
また8歳のやせっぽちな幼児体型から28歳の成人女性の肥満体型、恥ずかしい身体に
変身していく災難なヒロインの展開にドキドキしながら読ませていただいてます。
ヒロインの心境の描写が事細かに書かれていて読み手としてはとても移入しやすいです。
これからの展開も非常に楽しみにしてますので、時間に余裕ができたらぜひお願いしますね。
それではお体に気をつけて頑張って下さい。

164名無しなメルモ:2008/05/14(水) 00:01:55
続きがすごく楽しみです。
瑞樹の太った姿を見た結香の反応が早く見たい。

165安地栄神宮:2008/05/16(金) 22:30:35
「う〜ん」
瑞樹の言葉に馨は考え込む素振りを見せた…が、2歳児の身体だと、まるで意味も分からず大人のマネをしているようで、深刻と言うより愛らしいばかりだ。
「せっかく、ちいさくなっているんだからもうすこしこのままでいるわ。といれとかちょっとふべんかもしれないけど、なんか
たのしいもん。」
馨のその返答に、瑞樹はどうにか苦悩と無念を押し隠した。
「ねーねー、みずきちゃん、それより、そとにでてみない?」
続くその言葉は瑞樹にとって意外といえば意外だった。
「え、いいんですか?家の中でもこれだけ大変なのに、外にでるともっと大変ですよ。」
8歳児の身体でさえ、あれだけトラブルがあったのだ。
2歳児となれば、身体的にも人間関係的にも、問題が山積みなのは想像するだけで充分過ぎる。
「そのたいへんなところがおもしろいんじゃない。それにみずきちゃんもいてくれることだし。」
「あ」
確かにその通り。
先ほど、瑞樹が苦労することになったのも、自分一人で出歩いたからであって、それなりの年齢の同伴者がいてくれれば、その行動はずっと楽になっただろう。
「でも…この格好は…ちょっと恥ずかしいかも。」
自分でみても恥ずかしい、明らかに太ったこの体型。
それを人に…それも顔見知りの人に見られるとなれば。
「だいじょうぶよ。いまのあたしをほんとうは22さいのかおるだときづけるひとがいないみたいに、いまのみずきちゃんのことにきづけるひとなんかいないから。」
馨の言葉ももっともだ。
どうみても30歳前後にしかみえない今の瑞樹を、本来の18歳…女子高生である馨と直接結びつける人間はいないだろう。
確かに、微妙に面影は残っているかもしれないが、それはむしろ親戚とかそういう方向へと想像を働かせる材料になるはずだ。
「折角だし…少しぐらいならいいかな…」
「そうよ。こどもづれでそとにでるなんて、おもしろいたいけんだとおもわない?」
子供連れ。
その言葉に、瑞樹の心が更に傾く。
母性本能がないはずがない瑞樹の心に疼くものが生じる。
実際、今の馨は愛らしい幼児だけに、そんな彼女を連れて出歩けることはある意味優越感へと繋がるものがあった。


やっと仕事に余裕がでてきました。
リハビリなんで、今回はちょっと短めです。

166名無しなメルモ:2008/05/18(日) 01:21:18
なかなか皆さん書き込みませんね。
久々の続き、お待ちしておりました。
18歳の女子高生だったのに今はむっちり28歳の身体。
いいですねぇ。すっかり母子のようになった馨と瑞樹の
行く末が楽しみです。

167安地栄神宮:2008/05/18(日) 08:42:39
「じゃあ…ちょっとだけ外にでてみようかな…でも、この近所ですよ。留守番のこともあるし、遠くでトラブルに巻き込まれると厄介だし。」
「わかってるわ。へんしつしゃとかゆうかいとかにまきこまれたはないもの。」
馨の誘惑にのせられる形で、瑞樹は再び外出することを決めた。
今度は、大人の姿…それも子連れで。
さて、体型が変わったとしても、18歳と28歳では足のサイズはそれほど変わるものではない。
とはいえ、今着ている、如何にもおばさんな服装では、スニーカーやローファーが似合うはずもなく、やむなく、母親のサンダルを借りることにした。
馨には、服と一緒に見つけた、キャラクターモノがプリントされた…かなり古いしかなりすり切れてはいるが…小さなスニーカー。
玄関の框に腰を下ろした馨にその靴をはかせてやると、彼女を抱き上げ、瑞樹は玄関のドアをあけた。
幸いと言うべきか、辺りに通行人はいないし、お隣から見られた様子はない。
今日、この家には瑞樹と結香しかいないということは両隣ともしっているだろうから、そこから、子供連れの大人の女性がでてくれば何か怪しまれることになったかもしれない。
入念に玄関のカギをかけると、瑞樹は道路へと出た。
そのまましばらく歩いていると、
「ねー、みずきちゃん、ちょっとおろしてみてよ。」
瑞樹の腕の中で、抱きついていた馨が声をかけてみた。
「え、いいですけど…あ、それと、人目のある場所だと、瑞樹ちゃんはまずいですよ。」
「あ、そうね。ねえ、ママ、かおる、じぶんであるくからおろして。」
少々わざとらしく言い直す馨。
言われるがままに馨を下ろしかけた瑞樹は、途中周囲を見回し、車とかがこないかを確かめた上で、馨を地面へと下ろした。
「わあ…」
瑞樹の手から完全に解放されると同時に、馨は感嘆の声をあげた。

168名無しなメルモ:2008/05/19(月) 22:06:06
安地栄神宮さん復帰おめでとうございます。
お待ちしておりましたよ!
太った身体を恥ずかしがる瑞樹がまたたまりません。
外出したことによって更に恥ずかしい展開を希望します。
同級生や知り合いに太った身体を見られ恥ずかしがるのも
いいですよね、結香との対面も楽しみです。
これからも頑張ってくださいね。

169名無しなメルモ:2008/06/20(金) 22:43:36
28歳の瑞樹ちゃんいいですね、続きが楽しみです。
むっちりした体でどんどん活躍させてください。

170安地栄神宮:2008/07/21(月) 20:22:20
「わあ…」
馨は地面に下ろされると同時に感嘆の声をあげた。
「ちっちゃいこのしかいってこんなかんじなんだ…」
その小さな顔が、回転しそうなほどせわしく左右へと動く。
確かに、いくら小さいとはいえ、1メートル以上ある8歳児の身長と、明らかに1メートルを切っている2歳児の身体とでは、その視点の高さの差は歴然だろう。
8歳児の視点の高さがちょっとかがんだぐらいだとすれば、2歳児の視点は完全に座って更に身を屈めているようなもの…なにしろ、大人の腰の下をくぐり抜けられるぐらいの背しかないのだ。
視点の高さが低くなればなるほど比例的に、その視界の広さも狭まっていく。
瑞樹の場合、結香を探すことに夢中になっていたこともあって気づかなかったせいもあるが、いつもより、遠くがみえない…すぐ近くしか見えない世界というのはある意味新鮮なのかもしれない。
「ふわ〜ぁ…なんか、まちかどでちへいせんがみえちゃうそう。」
わざとらしく繭の上に手をかざす馨。
「でも、こんなにちかくしかみえないんじゃ、ちいさなこがじことかにあいそうなのもむりもないはなしよね。」
「でも、今は馨さんがその小さな子なんですよ。気を付けてくださいね。」
妙な大人びた口調の2歳児に、思わず苦笑混じりになる瑞樹。
「そうね…まま、だっこ。」
その小さな手を伸ばしてみせる馨に対して、瑞樹は反射的に抱き上げていた。
(あれ…これって、やっぱり母性本能なのかな?)
2歳ともなれば、そこそこ重いモノの、小さく履かない存在を自分が護っているという肉体的な実感が、瑞樹になんともいえない満足感を与えてくれていた。
なにか、このまま家にいるのも勿体ないような気がしてくる。
「ねえ、馨さ…かおるちゃん、折角だし、どこか遊びにいこうか?」
本来は自分より年上の人間であることを敢えて忘れることにしてそう問いかけてみる瑞樹。
「ままー、こうえんにいこうよ。」
馨の方も、子供扱いされることに別の意味で満足感を味わっているようだ。
こうなってくると瑞樹も、今の自分のおかれた状況を楽しまなければ損だという気分になってくる。
「かおるちゃんは、シーソーがいいのかな?それとも滑り台かな?」
「かおるはねー、すなばでおままごとしたいの。」
「じゃあ、砂場に向かってレッツゴー!」
「れっつごー!」
肉付きのいい体だし、馨を抱いていることもあるから走るわけにもいかなかったが、それでもできるかぎりの早足で瑞樹は近くの公園へと向かった。
休日だけに、公園は親子連れで賑わっていた。
予想以上のその多さに、瑞樹はちょっと引いてしまう。
どうやら、それほど知った顔はいそうにないものの、にわか母娘という微妙な立場だ。
本当の親子ばかりのこの状況での公園デビューは、怖じ気づいてしまうところもでてしまう。

171名無しなメルモ:2008/07/22(火) 16:41:17
はじめまして、全話読ませていただきました。
12歳の結香が22歳、22歳の馨が2歳、これだけでもギャップで興奮してしまう
のですが、主役の瑞樹が18歳から28歳の太った女性になっちゃったのには
かなり興奮してしまいました!
正直僕もおデブ属性はないと思ってたのですが、AR・APフェチ=変わり果てた体型
による羞恥や困惑ということで、太った姿を恥ずかしがる瑞樹に興奮しまくりました。
これからも服が破れる・ブラウスのボタンが弾ける、などの恥ずかしい展開を期待します。

172名無しなメルモ:2008/07/24(木) 10:07:44
安地栄神宮さん更新乙です!
お忙しい中本当にありがとうございます。
ARRは大好きな小説なのでいつも楽しみにしております。
今はお互い状況を楽しんでいる馨と瑞樹ですが、
更に恥ずかしい展開やハプニングをついつい期待してしまいます。
それではこれからも頑張ってくださいね、応援してます。

173名無しなメルモ:2008/08/19(火) 22:36:28
安地栄神宮さんはじめまして。
最初から全部読ませて頂きましたがすごく良かったです。
瑞樹さんにとっては災難かもしれませんが読んでる側は喜べます。
馨さんのノリの良さと瑞樹さんの恥じらいが対照的で良いですね。
ところで指輪を付けたまま砂場に入ったのなら今後の展開が非常に楽しみです。
これからも続きを宜しくお願いしますね。

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175安地栄神宮:2008/09/07(日) 13:57:47
一方、馨にしてみれば、自分から言い出したこともあって、怖じ気づいたり躊躇う理由などどこにもない。
「ねー、ままー、はやくおろしてよー。」
自分の腕の中でむずかる存在に、瑞樹は慌てて、しゃがみ込む。
ちょっと腕の力を緩めると、馨はあっという間に、砂場に向かって駆け出していった。少々、危ない足取りではあるが。
「ねーねー、あたしもいれてー!」
砂場でままごと遊びをしている女の子達に、躊躇の素振りをみせずに話しかける馨。
「うん、いいよぉ。えっとね…」
「あたし、かおるっていうのー。」
「うん、じゃあ、かおるちゃんは、おねえさんのやくね。」
その場を仕切っているらしい、今の馨よりちょっと上…3歳か、4歳にはまだなっていないようだが…の女の子に言われるがままに、ままごとに参加しはじめる馨。
ここなら大きなトラブルに巻き込まれることもなさそうで、ちょっと一息をついた瑞樹は、空いているベンチに腰をおろした。
砂場で、プラスチックの小さなお鍋やフライパン、お椀やスコップを振り回している馨は、小さな女の子そのもので、周囲に完全のとけ込んでいる。
「こんにちは、この辺ではおみかけしないんですけど、どちらから?」
いつのまに来たのか、自分の隣に座っていた女性…今の瑞樹と同じくらいの年齢か…に声をかけられ、驚きながらも慌てて我に返る瑞樹。
「え、あ、こ、こんにちは…え、あのぉ…親戚が、そう、この近くに住む親戚がちょっと旅行…というか、え、あ、お葬式で遠方にいくということで…」
一瞬、返答に窮した瑞樹だったが、両親が留守であることを思い出し、これを使おうと思いついた。
「それで、家に子供だけというのも不用心ということなので、ちょっとお留守番のお手伝いにきたんです。」
「そうですねえ。最近、なにかと物騒ですから、子供だけというのは危ないですしねえ。」
どうやら、即興の作り話に、この主婦は納得してくれたらしい。
「ええ、でも、ずっと家の中にいたら、あの子がちょっとむずかりだしたものですから、少しだけ気晴らしにここまで来てみたんですよ。」
「あら、ならここは一番いい場所ですよ。すぐそばに交番もあるし、遊具とかの管理もきちんとしてますし、トイレも清潔で。」
「そうですね。近くにこんなところがあって助かりました。」
「それに、あれくらいの歳の子がいたんじゃ、いつも大変でしょう?ここならちょっとくらい目を離しても、他の誰かがみていますし、安心ですよ。息抜きをするつもりで、こちらにきませんか?」
ちょっと断るには難しい雰囲気。
下手な言い訳をしてややこしいことになるのもイヤなので、瑞樹は渋々ながら彼女と一緒に、近くのベンチに座っている主婦のグループへと合流した。
紹介をされたものの、まだ高校生にすぎない瑞樹にしてみれば、一回り年上の主婦の中にいるというのは、あまり気分のいい物ではなく落ち着かないことこの上ない。
実際、主婦ならではの、ある意味グロテスクとさえいえるような噂話や愚痴などを聞かされていると、気が滅入ってくる。
なにか、ここから逃げ出す言い訳はないものか、瑞樹が真剣に考え始めた頃、その理由は向こうからやってきてくれた。
「ままー」
声がした方へと顔を向ければ、少し辛そうな顔をした馨の姿が。
「まま…お、おしっこ…」
家でトイレを済ませてからそれほど経ったわけでもないが、やはり小さな子はトイレも近い。
「あら、もうオトイレとか自分でいえるんですか。やっぱり女の子の方がしっかりしてますね。」
「ええ、漏らす前に、ちょっと失礼しますね。」
急いで、馨を抱き上げると、トイレへと向かう瑞樹。
「も、もれちゃうよ」
馨の顔は先ほどより辛そうなものになっていた。
なにしろ、にわか親子だけに、着替えなど何も持ってきていない。
本当に漏らしてしまったら、この後、色々と大変なだけに、瑞樹は足を速めた。

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177とも:2008/09/07(日) 19:22:10
安地栄神宮さん、更新お疲れさまです☆
言葉遣いなんかもすっかり幼児になってしまっている馨は最高に萌えますね♪
間に合わずにこのままお漏らししちゃっても良いんじゃないかな〜?とも思います(笑)
瑞樹は色々大変そうですが、馨にはまだまだ幼児を満喫してもらいたいです♪

178名無しなメルモ:2008/09/08(月) 09:16:20
安地栄神宮さん更新ありがとうございます!
ついにおもらしが見られそうなのでドキドキしてます
ともさんと同じく馨にはまだまだ幼児のままでいてもらいたいです。
ドタバタだけどホンワカした瑞樹と馨のにわか母娘劇がすごく良いですねー
これからどうなるのかすごく楽しみですので頑張ってください。

179クマ:2008/09/24(水) 21:57:09
馨のおもらしシーンを楽しみにしております
それとその後の入浴シーンもw

180安地栄神宮:2008/12/07(日) 17:03:33
「もれちゃう。もれちゃうよー!」
瑞樹の腕の中で必死の形相になる馨。
駆け込んだトイレは、主婦達が話していたように、かなり綺麗な方だった。
と、そんなことに感心している余裕はなかった。
一度、馨を下ろすと下着を脱がせてから再度抱きかかえ直し、個室へと入った。
と同時に、馨の脚の間から、勢いよく…といっても子供のものだけにチョロチョロも混じっているが…おしっこが注がれ出す。
必死に強ばっていた馨の表情がようやく緩んだ。
「よ、よかったあ…いくらあかちゃんのからだでもおもらししちゃったら、はずかしいもの」
ちょっと顔を赤らめた馨に、縛られていたからとはいえ漏らしてしまった瑞樹は苦笑いするしかなかった。
「でも、そろそろ家に戻った方がいいかもしれませんね。」
主婦達の噂話にすっかりまいってしまった瑞樹はかなり辟易した表情でそう提案する。
「そうね。こんどはへんな場所でおしっこしたくなったらこまるし。」
「家をいつまでも留守にするのも心配だし、結香のこともあるし。」
「そうね、ゆかちゃんもいるわけだし…そういえば、おとなになったゆかちゃんにどんなかんじなんだろう?」
「家でまっていればみれますよ。」
あの主婦達に見つからないよう、馨を抱いたまま瑞樹はトイレからそっと抜け出した。
そのまま公園を後にして、家路につく。
「でも、たのしかったあ。こどものからだですなあそびやままごとっておもしろいもんね。」
「今度はちゃんと準備していってみますか?次はおしっこ対策に紙オムツとかも用意して。」
「えー、おむつするのははずかしなあ。」
遠目で見る分には、母娘の微笑ましいシーンだが、その会話を聞いた人間はちょっと首を捻るかもしれない。
そうこうしているうちに家に着いた瑞樹。
玄関にはまだ靴はなく、結香は帰っていないらしい。
「結香ったら、どこで遊んでるのかしら。もう夕方になろうっていうのに。」
「ゆかちゃんもおとなになってたのしいのよ。あたしもおぼえがあるからわかるわ。みずきちゃんだって、たしょうはおぼえがあるでしょ?」
「それはそうですけどね。それより、馨さん、元に戻りますか?」
「う〜ん、もうすこしこのままでいようかな。」
「それなら、後で焦らないように今のうちにトイレ済ませておきましょう。」

181妄想郷T.K.:2008/12/07(日) 21:03:09
安地栄神宮さん久しぶりに更新乙です。
最近まで更新が滞っていたので心配していました
そちらの事情で忙しいときもありますが、頑張ってください

182とも:2008/12/08(月) 10:15:47
お漏らししそうで焦っていた馨が可愛かったです。
恥ずかしがらずに常にオムツ着用でも良いのにな〜と思います(笑)

183安地栄神宮:2008/12/13(土) 20:54:36
今回はせっぱ詰まったものでもないし、慣れた自宅のトイレと言うこともあって特にトラブルも起こらなかった。
「にしても、ゆかちゃんはおそいわねえ。」
やや急角度で時計を見上げながら、馨が呟く。
「ホント。大人の身体だからいつもはできないことが楽しめるからって遅すぎるわ。最近はなにかと物騒だし、なにかあったらどうする気かしら。」
「なんか、そういってるといまのみずきちゃん、ほんとうのおかあさんみたい。」
無邪気な笑みを浮かべながら呟く馨。
「や、やめてくださいよ。結香のこと心配じゃないわけじゃないけど、ちゃんと帰ってきてくれないと、あたしも困るんですから。」
そうでなくても、今のおばさん体型に辟易している瑞樹は、慌てて馨の言葉を打ち消そうとする。
「えへへへ、それより、みずきちゃん、わるいけど、のどかわいちゃったから、なにかちょうだい。」
「あ、それじゃあたしも何か飲もうかな。馨さんは何飲みます?」
「じゃあ、こーひーちょうだい。」
いつものように、カップを取り出そうとした瑞樹は、馨が赤ん坊同然であることを思い直し、比較的小振りなカップを取り直した。
「はい、お待たせしました。」
とりあえず、馨の分のコーヒーを先に彼女に差し出す。
「いただきま−す。」
子供の声というだけで、インスタントコーヒーがまるでご馳走でもあるかのような響きに聞こえる中、瑞樹が自分の分のコーヒーを入れようとした時、
「う、んぐ!」
咳き込むような咽せるような馨の声。
「に、にがい…」
演技ではなさそうな馨の声…というか、その瞳は既に涙目状態。
「苦いって…コーヒーも少なめだし、砂糖もミルクも入れたはずなのに…」
「うげ、げほ、ぐほ…み、みずきちゃん、おみずちょうだい…」
「は、はい…」
慌てながらも、ミネラルウォーターを注いだコップを差し出す瑞樹。
いっきにそれを飲み干すと、馨はどうにか人心地がついた表情に戻った。
「に、にがかった…って、よくかんがえたらあたりまえよね。こどものしたのほうがにがみとかからみにびんかんなんだもん。」
「あ、そういうことでしたか。」
馨が自分から事態を解決してくれたことにほっと安堵する瑞樹。
「じゃあ、これは、コーヒー牛乳にでもしましょうか?砂糖もたっぷりいれて。」
「うん、みずきちゃん、おねがいね?」
そういいながら、カップをさしだそうとした馨だったが、小振りとはいえ中身が入った状態では2歳児には大きすぎたらしい。
がしゃん
手から滑り落ちたカップが派手にテーブルの上に転がる。
幸いというべき割れこそはしなかったものの、その中身もまた派手に散らばり、かなりの部分が馨に降りかかった。
「きゃ!あつ!」
「だ、大丈夫ですか?馨さん。」
急いで駆け寄る瑞樹。
「と、とにかく、服を脱いだ方がいいです。」
自分では着替えが出来ない以上、瑞樹が脱がせるしかない。
お湯がゆるめだったコトが幸いし、火傷というほど酷いことにはなっていなかった。
ちょっと肌が赤くなっている程度だろうか。
「ふう、良かった。」
濡らした布巾で赤くなった部分を拭いてあげながら呟く瑞樹。
子供の肌は敏感なだけに心配もまた大きくなる。
「う〜ん、みずきちゃん、なにかベタベタするよ。シャワー浴びれないかな?」
肌はともかく髪にかかった分のコーヒー、砂糖とかも入っているので、かなりべたつくのだろう。
ほのかとはいえ、コーヒーそのものの匂いも気になるところだ。

184名無しなメルモ:2008/12/13(土) 22:04:57
更新ありがとうございます。
馨と瑞樹の擬似育児体験はまだまだ続きそうなので
今後も楽しみです。
これからお風呂編突入ですので赤ちゃん体型の馨と
むちむちダイナマイトボディの瑞樹のお披露目が楽しみです。
続きが楽しみですのでこれからも頑張ってくださいね

185安地栄神宮:2008/12/14(日) 19:00:00
「そうですねえ…」
髪が乾いてしまうとついてしまった匂いはとくに厄介だし、コーヒーがまともにかかったので服も着替えないといけない。
「お風呂入れるのには時間がかかちゃうからシャワーでガマンしてくださいね。」
そう言いながら下着姿の馨を抱き上げる瑞樹。
「それに、あたしも一緒に入りますからね。お風呂に入るわけじゃないですけど、小さな子だとお風呂場も危ないですから。」
8歳児の身体でシャワーを浴びた時のトラブルの経験上、瑞樹としては用心するにこしたことはない。
「わかってるって。ままと、おっふろー♪」
馨にしてみれば、2歳児の身体での入浴も楽しむ気満々らしい。
脱衣場で一度馨を下ろすと、自分の服を脱ぎ始める瑞樹。
と、鏡に今の自分の弛んだ身体が映っているのをみてしまい、再び情けない気分になってしまう。
(やっぱり真剣にダイエットのこと考えなきゃ…)
今は、裸同然の馨を放ってもおけないので、彼女の下着を脱がせてやり抱き上げると、浴室に入った。
シャワーからでるのが水からお湯に切り替わるまでしばし待ち、幼児の敏感な肌に熱すぎるのはよくないかあと思って、少し温度を下げる。
「ああ、馨ちゃん、きれいきれいしましょうねえ。オメメつぶって。」
反射的なものなのか、瑞樹の声に馨の両目がぎゅっと閉じられる。
幼い顔立ちの真面目ぶった一生懸命な表情が浮かぶ様に、思わず苦笑混じりの笑みを浮かべてしまう瑞樹。
まずゆっくりと髪からお湯をかけると、続いてシャンプーを手に取る。
と、頭を洗ってあげるには今の馨の足元が危なっかしいことに気づいた。
「ほら、馨ちゃん、転ぶと危ないから、ママのお膝の上で抱っこしようね。」
正座した瑞樹は滑らないようにと腿の上にタオルをしくと、馨を座らせた。
ちょっとだけだが、馨の頭の位置も低くなって洗いやすくなる。
「おめめが痛くなると大変だからちゃんとつぶっていようね。」
小さな子の髪を丁寧に洗ってあげるというのは、なかなか楽しい経験だったがいつまでもそうしているわけにもいかず、後ろ髪引かれる思いで、シャワーでシャンプーを洗い流し、リンスも済ませる。
「じゃあ、今度はおててやお腹をきれいにしようね。」
ベビーソープとかはないので、洗顔用のスポンジとソープで馨の身体を洗い始める。
「きゃはは、まま、くすぐったーい。」
やはり子供の肌は敏感らしく、特に意識して洗っているのでもないのに笑い転げる馨。
それを抑えつけながらどうにか瑞樹は洗い終わった。
最後にもう一度シャワーのお湯をかけてあげると、タオルで身体を拭いてやる。
「じゃあ、馨ちゃん、風邪を引く前に、お洋服着ようね。」
先ほど探した時に答えはでていたことだが、2歳児用の服はないので、着替えもまた3歳児ようのもの。
しかも今回は、先ほどよりちょっと大きめだったので、馨はダブダブの服を着せられているというか服の中に埋もれているような格好になってしまった。
もっとも、大きめのワンピースの中に入っている馨は、それはそれで愛らしい。
袖の中にほとんど隠れてしまい、中指と人差し指の先しか出ていない手がまたそれを強調する。
「それじゃ、今度は髪を乾かそうね。」
今のソファに着替え終えた馨を座らせると、温度を低めにしたドライヤーで乾かしながら、瑞樹はその髪を梳かし始める。
結香の髪を梳かしたり、編み込んでやったりすることもあるが、彼女の場合なにかと注文が多いだけに、黙って自分の思うとおりに髪を梳かしていられるというのは楽しい時間だった。

186とも:2008/12/15(月) 01:04:33
お風呂に入っている馨がすっかり幼児になりきっている様子に興奮します!
そのまま精神も幼くなったら面白そうです。
瑞樹も馨のお世話をするのがまんざらじゃなさそうですね。
いつも萌える展開をありがとうございます。

187名無しなメルモ:2008/12/15(月) 23:37:56
いつも更新ありがとうございます、好きな作品ですのでいつも楽しませてもらってます。
今は余裕の馨ですが、2歳児から元に戻れなくなって慌てる馨の姿も見てみたいです。
その展開だと瑞樹のほうも28歳の肥満体型のまま元に戻れないから慌てるでしょうが・・
両親が帰ってきてしまい3人を見て驚くのもいいですね。

188安地栄神宮:2008/12/20(土) 19:01:55
「あ、そうだ。みずきちゃん、しゃしんとって。」
髪も梳かし終えて、やっと解放された馨が無邪気に瑞樹に提案する。
「写真…て、馨さん、こんな赤ちゃんの格好の写真でいいんですか?」
「だって、せっかくのきかいなんだし…それにあたしって、あかちゃんのとき、かめらとかきらいだったんで、たいていねているか、ないているしゃしんしかないのよね。どうせだから、ちょっとかわいくうつってるしゃしんもほしいし。」
「そういうことですか。ちょっと待ってくださいね。」
最初は携帯で済ませようかと思った瑞樹だったが、思い直して、デジカメを取りにいった。
モードを子供用に切り替え、レンズを馨へと向ける。
「いいですか、馨さん。」
それに応えるようにポーズを取り始める馨。
ちょっとサイズが合わない服装がちぐはぐだが、それもいっちょまえにポーズをとる様は、オマセさんという感じで可愛らしい。
あっという間に30枚近く撮ってしまう。
「でも、このふくがちょっとざんねんよね。せっかくだしもすこしかわいいふくだとよかったのに…そうだ!こんどはふくとかかめらとかちゃんとかりてきてさつえいかしない?」
「え、またこんなことするんですか?」
「みずきちゃんも、8さいのこどもでかわいいふくとかきるんならいいんじゃない?」
確かにその通り。こんな太った28歳の身体では、写真など間違っても撮られたくはないが、8歳という可愛い子供の格好なら話は別だ。
どうせなら、小学生でないと似合わない服…をもっと色々着てみるのも悪くない。
「そうですね。今度、ちゃんと予定をたてて、撮影会しましょうか。」
「うん、たのしみー」
と、そこで携帯が鳴り出した。
一瞬、親からではないかと慌てた瑞樹だったが、結香からのメールであることに気づく。
「どうしたの?みずきちゃん。」
「あ、結香がそろそろ帰ってくるそうです。」
「そう、なにもなくてよかったね。じゃあ、そのまえにもとにもどろうか。」
馨のその言葉に、瑞樹の脳裏にちょっとした悪戯心が浮かんだ。
「馨さん、結香がくるまで、このままでいませんか?」
「?…いいの?ゆかちゃんにこのかっこうみられちゃうよ。」
「それはちょっとイヤですけど…どうせなら結香にちょっと仕返しをしてやりたくて…」
「しかえしって…なにをするき?」
そう問いかける馨の表情には期待の色が浮かんでいた。
「じゃあ、馨さんもちゃんと協力してくださいね…計画は…」

189名無しなメルモ:2008/12/22(月) 16:54:33
お忙しい中更新ありがとうございます!
続きがすごく気になる展開です、
結香ちゃんにどんな仕返しをするのか楽しみです。
瑞樹・結香のどちらかの赤ちゃん化に期待してます

190とも:2008/12/23(火) 12:03:13
更新お疲れさまです!
結香へどんな仕返しがされるのか楽しみです。

191安地栄神宮:2008/12/23(火) 21:46:37
「…でね。ちょっとまえ、かいものついでによったんだけど、そのおみせ、こどもふくもいろいろあったの。しゃしんとかもいっぱいかざってあってかわいいのばかり。よやくすればおみせでさつえいもしてくれるって。」
「え、そんなお店あったんですか。」
「うん、じゃあ、こんどふたりでいっしょにいってみる?」
今度機会が会った時の撮影会に向けて、2人で相談していると、いつのまにか時計の針は6時になろうとしていた。
「もう、結香ったら遅いわね。でも、夕ご飯どうしようかな。コンビニに買いにいってもいいけど、面倒くさいし出前とった方がいいかな…あ、馨さんも食べていきます?」
「うーん、こんなあかちゃんなからだだとあんまりたべられそうにないしね。」
「そうですね。いっそのこと離乳食でも食べてみます?」
「それはいいわよ、まえしんせきのこがたべているのちょっとおすそわけしてもらったことあるけど、とてもおいしいものじゃなかったから。」
「あはは、赤ちゃんの食べ物ですしね。でも、御飯どうしようかなあ。」
そんなことを話していると
がちゃりと玄関が開く音がした。
カギはしめてあるし、両親が帰るにはまだ早すぎるから、当然その相手は結香ということになる。
「ただいまあ。」
考えを裏付けるように声が聞こえた。
「馨さん、いいですか?」
「まかせておいて。」
馨が頷くと、瑞樹はその小さな身体を抱き上げて玄関に向かった。
玄関には、ちょっとだけ大胆なワンピース姿の女性の姿。
いうまでもなく、22歳になっている結香の姿だ。
が、そのことを瑞樹は知っているが、今の瑞樹が28歳の身体になって2歳になっている馨を抱いているとは結香自身は知らない。
「あ、お姉ちゃん、ただいま…って、え??」
自分を出迎えたのが、18歳でもなければ8歳でもない姉ではないことに気づき、驚きの声を漏らす結香。
「あら、貴女どなた?」
わざとらしく、結香に問いかける瑞樹。
ただ28歳になっただけなら、結香も瑞樹だと気づいたかも知れないが、太ったことが幸い(?)して、目の前の女性が自分の姉だとは気づけないらしい。
しかも、小さな女の子まで抱いているとなれば。
「どなたって…あなたこそ、どなた…なんですか?」
本来自分の家であるはずの場所に、見知らぬ女性がいることに戸惑いを隠しきれない結香。
「どなたって…こちらのお宅、今日ご両親がお留守でお子さんだけだと不用心ってことでお留守番を頼まれた者ですよ。
そういう貴女こそ、だれなの?カギはかかっていたはずなのに、開けて入ってくる何て…こちらのお宅には貴女みたいな人はいないはずですけど…」
瑞樹は、かねてよりの計画通り、問いつめるようなキツイ口調で結香へと話しかける。
「え、あの、その…」
予想しなかった事態に結香は完全にしどろもどろだ。
自分が、本当はこの家の子供…12歳なのだと説明したくても、この格好では信じてもらえないことはいくらなんでも分かり切っている。
とはいえ、他に自分のことを説明するというか、この場を乗り切れるような話をでっちあげられるほど場慣れもしていない。
「早く出て行かないと、警察に連絡しますよ!」
ここぞとばかりに、声を荒げる瑞樹。
8歳の身体の時には散々な目にあったのだ。これくらいの仕返しはしていいだろう。
一方、遂に追いつめられてしまったらしく、結香はといえば、やはり所詮は小学生、どうしようもなくなったあげく、とうとう目に涙を浮かべ始めた。
まあ、無理はない。
22歳になって楽しい思いをして家に帰ったと思ったら、予想もしない事態。
まるで浦島太郎な気分だ。
もう少し苛めてもいいかと思ったが、涙を見せられては瑞樹としても、実の妹相手、ちょっと可愛そうになってくる。
そろそろ種明かしをしてもいいかなと思い出す。
「もう、そんなに泣かないでよ。まるでこっちが悪者みたいじゃない。結香。」
「…結香?へ??」
結香が瑞樹の仕掛けたいたずらに気づくのには更に1分ほどの時間が必要だった。

192名無しなメルモ:2008/12/24(水) 12:28:30
安地栄神宮さま、いつも更新お疲れ様です。
ついに瑞樹・結香・馨が揃いましたね、
落ち着いて改めてじっくり状況を確認した結香の
馨と瑞樹の姿に対するリアクションがすごく楽しみです。
これからもがんばってくださいね。

193安地栄神宮:2009/01/25(日) 20:42:34
「結香?ゆか?ユカ?…え、まさか…」
「そのまさかよ。結香、でもそんなに簡単にばれるとは思っていなかったし、ばれるようじゃこんなこと初めから考えなかったし。」
「それじゃ…あなた、お姉ちゃん?瑞樹お姉ちゃんなの?」
「ご名答。」
「ひっどーい!あたしのこと騙すなんて…でも、どうして子供だったお姉ちゃんがこんなに大人に…それにその赤ちゃん…」
瑞樹の言葉だけでは説明のつかないことも多く、首を傾げる結香。
「えへへへ、ゆかちゃんは、わからないかなあ?」
「え?赤ちゃんが?どういうことなの???」
ちょっと舌足らずとはいえ、妙に大人びた口調の赤ん坊の声に、結香は再び驚いた。
「結香、このコはね、馨さんよ。」
「かおるさん!?…え、あ、そうか!あの指輪で、馨さんが赤ちゃんになって、その分、お姉ちゃんが大人になったんだ。」
「ちょっと気づくの遅いわよ。結香。まあ、身体は大人でも、中身は小学生だもんね。」
「しょうがくせいだもんね。」
「もう、ひどーいひどーい。でも…赤ちゃんの馨さん可愛いなあ。かおるちゃんて呼んでもいい?」
「いいわよ。はたちをすぎちゃうと、もうだれも『ちゃん』づけじゃよんでくれないもの。」
「わーい、かおるちゃん、可愛いなあ。ねえ、あたしにも抱っこさせて。」
「気を付けてよ。2歳過ぎてるからそれなりに重たいし。」
念を押しながら、結香へと馨を渡す瑞樹。
「わぁ…」
馨を抱きかかえると同時に、感嘆混じりの声を漏らす結香。
瑞樹が感じたのと同様に、小さな子供の存在を実際に触れて確かめることで母性とでも言うものが目覚めたのか。
「ちっちゃくて、柔らかいし、それに暖かい…」
その様子に、瑞樹の表情も思わず和む。
「でも…」
不意に、結香の視線が瑞樹へと向けられた。
「お姉ちゃんてば、大人になるとこんなデブになっちゃうんだ。」
自分がナイスバディになれた自慢も手伝って、遠慮なしの言葉を投げつける結香。
言われることは承知していたが、こう正面から言われては、瑞樹も憤慨を隠しきれない。
「余計なお世話よ。それより、早く元に戻りましょ。もし、こんなところにママ達が帰ってきたらそれこそ大騒ぎだわ。」
「はいはい。お姉ちゃんてば、なんか喋り方までおぼさんみたい。」
「そんなことより、あたしの服なんだから、早く脱いでよ。」
「えー?別に脱がなくても良いじゃない。」
「いいから早く脱ぎなさい。」
「はいはい、分かったってば。」
人目があるとはいえ、女同士、それに今は自慢できるスタイルだ。
遠慮なく服を脱ぐ結香。
「それしじゃ指輪をはめて。」
瑞樹はポシェットの中にしまっておいた指輪のうち1つを取り出すと結香へと差し出した。

194安地栄神宮:2009/01/25(日) 21:07:40
受け取った指輪を特に確かめずもせず、反射的に指にはめる結香。
不意にそれが金色であることに気づく。
「あれ、お姉ちゃん、これって逆じゃ…」
結香が言い終わる前に、瑞樹は、自分の指にはめた銀色の指輪を、結香のはめた金色の指輪に軽くぶつけた。
こーん
続けてもう一度
こーん
瑞樹は自分の視点の高さが不意に低くなったことに…半日前に体験したものと良く似た…気づく。
そして、彼女の目の前に立っているのは、明らかに40歳を越えた…中年の女性だった。
それも、28歳の瑞樹と同じくらいか、あるいはそれ以上太った女性。
その顔立ちには、28歳の瑞樹に似たものと同時に、結香の面影もうっすらと…
「え?え?どうしたの?コレって一体?え…お姉ちゃんがまた子供になってる?」
その女性は、中年ならではの妙に濁った感じの声で狼狽えの言葉を漏らす。
「鏡をみてみたら。結香。」
そう言われるが早いか、中年女性は、壁にかけられていた鏡へと向かった。
「えーーーーー?!」
声が濁った分、耳障りな悲鳴。
「あ、あたし、おばさんになっちゃってる…それにこんなに太っちゃって…」
鏡の中の女性の顔が涙目になる。
「…!お、お姉ちゃん、はじめからそのつもりで…」
ようやく事態と陰謀に気づき、怒り露わに向き直る結香。
ノーメイクのおばさん顔だけに、かなりの形相だ。
だが、その時、瑞樹の方の準備はできあがっていた。
その手の中にあるのは、デジカメ。
ぱしゃぱしゃぱしゃ
遠慮なしに、シャッターが切られていく。
「え、あ、や、やめてよ。こんな格好撮るの。」
こんなみっともない姿を写真に収められたくないというのが乙女心。
途端に、腰砕けになってしまう結香。
流石に、実の妹相手だけに可愛そうになってしまい、またこれ以上のことも考えていなかったので瑞樹は、ここでやめることにした。
「ほら、指輪を交換しましょ。」
「うん…」
金色の指輪を馨にはめさせ、結香がはめなおした銀色の指輪に2回くっつける。
馨は本来の身体に戻り、結香の身体も再び22歳になる。
今度は瑞樹が金色の指輪をはめ、結香の指輪にぶつけて、2人はそれぞれ元の年齢に戻った。
「うーん、面白かった。」
大人の身体での体験は、それなりのものだったのだろう。
かなり満足した口調で呟く結香。
「そうね。ちょっとだけなら赤ちゃんとか子供の身体になるってのも楽しいしね。」
こちらもすっかりご満悦な馨。
結局、今回は瑞樹だけがババを引いた形だ。
「そうだ!それじゃ…」
瑞樹の手が素早く結香の指から指輪を抜き取る。
「あ、お姉ちゃん!」
「これはちょっと結香には渡しておけないわ。寝ている間とかに、また子供にされたらかわないもの。」
「そうね。結香ちゃんが持っているにはちょっと危ないかもね。」
馨にまでそう言われては結香も反論できない。
「そうふくれないの。あたしだって、今度はもう少し準備してから子供を体験してみたいし、その時にはまた大人にしてあげるから。」
瑞樹の言葉に、結香の瞳が輝く。
「ホント?ホントに?約束だよ。」
「ハイハイ。騙すつもりならもっと上手いウソをつくから。」
「そうね。あたしもまた子供とか赤ちゃんになってみたいし…そうだ。結香ちゃん、ちょっと赤ちゃんになってみない。」
「あ、それいいですね。」
しまった指輪を取り出し直す瑞樹。
「ちょ、ちょっとやめてよ!」
「大丈夫、馨さんが着ていた服もあるし、オムツもちゃんとしてあげるから。」
オムツという単語に結香の表情が引きつる。
「…あはは、大丈夫、そんなことしないから。」
瑞樹の言葉に、結香の表情がどうにか緩んだ。
「今日の所はね…」
安堵する余り、結香は姉がぽつりと呟いたその言葉を聞き逃してしまった。

ARR  終わり

195安地栄神宮:2009/01/25(日) 21:16:26
不安定な途切れ途切れな投稿になってしまって、申し訳ありませんでした。
ARR、一旦、これで終わりです。
続けようと思えば、グダグダと続けることもできたのですが、とにかく一度完結させて、指輪の設定から別の話、あるいは瑞樹、結香、馨は登場するけど、もう少し別の日/場所での話を書きたいと思ったものですから。
今回、投稿して最大の収穫は、やはり、急成長した際太ってしまうというシチュが思いの外ウケが良かったことですね。
私にはデブ専のケはないはずですが、書き出してみたら、意外なほどハマってしまいました。
女性が不本意に姿を変えられる。という設定が好きな私はやはりSのようです。
次回作はいつになるか約束できませんけど、なんとか頑張りますので、また応援と感想をよろしくお願いします。

後、作中で説明を忘れていたのですが、ARRとは、「AGE REーMOVE RING」の略です。
明らかに訳し方はおかしいですが、あまり突っ込まないでください。

196妄想癖:2009/01/25(日) 21:30:42
足掛け4年の連載、お疲れ様でした。
楽しい話で、感心していました。次回作ものんびりやってくださいね。また期待しています。v(^^)

197名無しなメルモ:2009/01/26(月) 00:25:38
お疲れ様でした。いつも楽しみにして読んでました。
小学生の心で40代の身体。
シーンは短かったですが、個人的にはツボです。

私も某所で長く書いているので、作者さんを見習って書き上げたいです。
続編もありそうですので、楽しみにしてます。

198名無しなメルモ:2009/01/26(月) 17:54:52
安地栄神宮さん
私はかなりのAR派ですが、それはやはりSなんだと思います。
女性が幼児や赤ちゃんに戻されて恥ずかしがる・困る、といった
不本意な姿に変えられてしまう事に興奮を感じるほうなので、
APの場合も乳房の異常成長や肥満体型化をいつも想像していました。
ですので「ARR」で急成長+肥満体型化が出た時の感動は一際凄かったです。
長い間の連載本当にご苦労様でした、新作でもぜひ肥満体型化をお願いしますね。

199とも:2009/01/28(水) 21:21:49
>安地栄神宮さん
長い間お疲れさまでした!
とても楽しく読ませてもらいました。
姉妹の立場が入れ替わったり、馨が幼くなる様子が最高でした☆
またよろしくお願いしますm(__)m

200妄想郷T.K.:2009/01/28(水) 21:44:26
お疲れさまでした!
僕も序盤から見させてもらい指輪で入れ替わる
という発想にまた新たなおもしろさを抱きました
最後まで無事に終わって良かったです
長い連載ありがとうございました

201名無しなメルモ:2009/03/03(火) 07:57:39
本当に面白かったです。
成長&おデブ化はまた他作品でもお願いしますね。
人によって太り具合が違うのも面白いです。
近年稀に見る興奮シチュでした。

202<削除>:<削除>
<削除>

203名無しのメルモ:2009/10/16(金) 21:25:08
あくまで想像ですが、実は指輪の送り主は大人に憧れてこっそり購入していた結香だったりして!?

204とも:2009/10/20(火) 12:32:44
色んなエピソードがありそうですね☆


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