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【試験】ここだけ魔術のある世界 置きレス進行スレ【運用】
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非リアルタイムの絡み・イベント用スレです。
長期間の間がある置きレス(レスの書き置き)で進行してゆくスレです。
参加者同士で時間の都合が合わない場合や、イベントの長期化が予想される場合などに活用しましょう。
スレ立ては
>>900
>>950
>>980
>>1000
その他注意事項などは通常の本スレ参照。
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>>263
「ち、アイツは大魔術師と言うより疫病神か何かだな!」
飛び込んだ先で状況を聞いて悪態をつくアイバー
「俺が出て引っかき回すか?逃げに徹すれば当たらない自信はあるぞ!?」
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>>264
指示を出そうとした刹那、ニンビィが違和感を覚える。
「妙だな?いつでも料理できるってのに奴らは突入してこない?」
「・・・時間欠けてなぶり殺しにしようって魂胆じゃないのか?」
新人ストーカーがもっともなことをいうが、ベテランは否定する。
「いや、ここはミリタリーの詰所が近いんだ・・・さっさと始末して防御陣地を作らねえとミリタリーに殺されちまう。」
「遊んでいる余裕はないんだ・・・」
顔をのぞかせる新人
「バカ!狙撃が・・・・こない?」
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>>265
「………まさか、ミリタリーが来てくれた、とか?」
一番あり得なさそうな、しかしありえてほしい事を口に出してみる
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>>266
「いや、アイツらは夜中は基地の中に閉じこもっているんだ。」
「それにストーカーを目の敵にしている。助けに来るなんてことは・・・」
おずおずと外に出てみるニンビィ。
ストーカーの死体に混じってマーセナリーの死体が転がっている。
「頭だけに命中している。凄腕だぜ・・・」
突如銃声が沈黙を引き割くが、数秒で元の静けさに戻る。
銃声の方に顔を向けてみると、そこには見知った顔があった。
「よう、こいつで最後だ。もう安心だ。」
マークドワンである。
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>>267
「…ワークドワン!」
驚きながらも、自然と笑みが浮かぶ。まさかの援軍だった。
「良く来てくれたな、助かったぜ!」
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>>268
「帰り道で閃光弾の光を見たから、急いで走ってきたんだ。」
ミリタリーの基地まで5kmほどあるが、マークドワンは軽くジョギングしてきた程度の息遣いである。
「いやー拾った、アーティファクトがこんなに役に立つとは思わなかった。」
青白く光を放つアーティファクト、「ムーンライト」である。
「こいつは疲れをとってくれるんだ。だから全力疾走でも疲れないってわけ。」
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クリストフェル・マルカヴィアン・ヴァクトマイステル――――
有象無象の喰屍鬼《グール》を纏めあげ、喰屍王とも称される彼は、
ツァイス達が謎の研究跡を発見した頃、王座の前に膝を付いて頭を低くして己が王、ヴァクトマイステルの真祖に服従の意志を見せていた。
「クリスよ。何故妾の命を無視し、逃げ帰った?」
少女の姿をした真祖が言う。その声は酷く高圧的で、身の凍る様な感覚さえある。
「その件につきましては、先ほどウルリーカ様に報告した通りでございます。
私が着いた時には、既に笛吹《テキスイ》は件の男に敗れておりました為……」
クリスは、ツァイスに敗れた元悪魔狩りの男“笛吹”と共闘し、ツァイスを斃す命を与えられていた。
然しクリスはそれを由とせず、笛吹が倒されるまで待ち、その後にツァイスの前に姿を現した。
――ここまでは全て、クリストフェルの算段通りに事が進んでいた。
「貴様の能力ならば、その身一つでも闖入者を始末出来たと思うが?
よもや――――その闖入者に情を抱いているのではあるまいな」
「……滅相も御座いません。では、これにて失礼致します」
残る吸血鬼はクリスを除き、あと三体。
それはツァイスの敵であり、クリストフェルの敵でもあった……。
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>>269
「そんなものがあるのか…けど来てくれて本当に助かったぜ」
「ところでニンビィ、これからどうするんだ?…あと、ジェリコの事も」
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>>271
「そのジェリコってストーカー、まだ息があるのか?あるんだったらちょっと試してみたいことがある。」
ニンビィがジェリコを連れてくる。半死半生で、息をしているだけな状態だ。
「ひどくやられているな。大丈夫だ。すぐに良くなる。」
懐から別のアーティファクトを取り出す。なんというか、ビクンビクンと脈動する肉塊のようなシロモノだ。
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>>272
「お、おい…そんなグロいものどうするんだ?」
手で口を押さえながら、恐る恐る聞いてみた
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>>273
「何でも傷を癒すシロモノらしい。」
脈動するアーティファクトをジェリコの傷に当てる。
鼓動がひときわ強くなり、全身の傷が癒えていく。
「こいつはすげえや・・・」
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【本スレ補完用のあらすじ】
吸血鬼の血族“ヴァクトマイステル”により誘拐された仲間を救う為、
そして吸血鬼の一体『クリストフェル』との決着を付ける為、
彼奴らの居城に向かった魔族の剣士『ツァイス』と自称高貴な悪魔『プレさん』
そこで見た物は喰屍鬼の巣窟となった廃街と、空高く雲の上に浮かぶ洋城であった。
ツァイスは街に入ってすぐのところで、クリスと敵に寝返った悪魔狩りの一人に出くわす。
しかし戦闘の最中に地割れが起こり、クリスとツァイスの決着は遠ざかるってしまう。
それから色々とあって---
何とか城に辿り着き、茜と合流したツァイスは城の中を進む内に悪魔狩り『笛吹』と対峙する事になる。
笛吹はクリスとの連携によりツァイス達を倒そうとしたがクリスは一向に現われなかった。
プレさんの犠牲により笛吹を倒す事が出来た二人の前にクリスが現われるもの、又しても決着を先延ばしにされる。
その後、ツァイス達は謎の実験跡を見つけるのだが……?
↓以下ブランクを感じさせずに再開したい
「ここでの事と、あの吸血鬼達は関係があるのかな……だとしたら……」
茜が研究記録とおぼしきノートを読み開きつつ、切なそうな顔で言う。
自分達をこの事態に巻き込んだのは他ならぬ彼らであるが、それでもつい同情してしまうものだ。
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>>275
「……」
ノートを開く楓の近くで、ツァイスは壁に寄り掛かって黙っている。
延々と先延ばしにされているクリストフェルとの決着…そしてこれまでのた戦いとその犠牲を思い返す
(…違和感を感じる…クリストフェルは何か、別の思惑があるんじゃなかろうか…)
「…ここでどんな事が行われていたとしても、俺達には関係ない…同情するな、なんて事は言わないが…此処は奴らの巣だ」
「油断していると首を落とされかねない」
と、冷たく突き放すような言葉を口にした。
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>>276
「ええ……そうね……」
かくいう茜も、己の師であり育ての親である翁をここに来てから失っている。
復讐心に囚われてはいけないと、その事は出来る限り考えてこなかったつもりだが、つい思い起こしてしまう。
“星屑”が殺された、あの瞬間を。
「お爺ちゃんの為にも……私達は斃さないといけないよね」
それから茜は、もしかしたら何か吸血鬼の弱点が見つかるかもしれないと言い、研究跡の奥の方へ向かっていく。
その時だった。
二人が入る時に閉じた研究跡入り口のドアが軋みを上げ、開いたのだ。
その方向を見ると、ドアを開けたのはクリストフェルの傍に仕えていた茶髪の少女だった。
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>>277
「調べるのは良いが、余り離れるなよ…守り辛くなる…!」
軋みが耳に届いた瞬間、鞘に納められていた剣の鍔を指で弾く
何時でも瞬時に抜刀出来るようにしてから、ツァイスはその鋭い視線を来訪者へと向けた。
「…クリストフェルの腰巾着か…次の相手はお前か?」
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>>278
「ひゃあっ!」
少女はツァイスの顔を見た途端、素っ頓狂な声を上げ、ツァイスに背を向けて逃げていく。
彼女を追うべきだろうか。しかし、そうするとまた茜とはぐれてしまうかもしれない。
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>>279
「…チッ…」
なんとも素っ頓狂な声に顔を顰めながらも一瞬の思考を走らせる。
逃すべきではない、しかし茜をこのまま放置するのは下策だ。
だが―――
「茜ッ!扉が開いた!俺は敵を追うからお前もすぐに来い!!」
そう叫んで少女を追うべく走り出した。
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>>280
「…………。えっ!? あぁ、うん、分かったわ!」
部屋の奥に居た茜が返す。若干の間があったという事は、茜の方でも何か発見したのだろうか。
逃げ出したはいいが、少女は華奢な外見から想像出来る通り、身体能力はツァイスに遠く及ばない。
すぐに追いついて捕まえる事が出来そうだった。
が、しかし、この城の入り組んだ作りのせいで曲がり角で何度もとり逃してしまう。
そうしている内に少女がある部屋に飛び込んだかと思うと……
「きゃあああっ!」
部屋の中から甲高い悲鳴が聞こえた。少女のものだ。
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>>281
「チッ!これだから城と言うモノは!!」
内部の作りに文句を言いながら、ツァイスは走る速度を上げて少女を追う。
しかしこの構図はどっちが悪人か分かったもんじゃない。
「!」
突然部屋から聞こえた悲鳴に足を止める。罠か?それとも別の?
「考えるのは面倒だ」
鞘から剣を抜いてドアを蹴り破ると少女が飛び込んだ室内へと侵入した。
「鬼ごっこはここまでだ!クリストフェルの腰巾着!」
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>>282
一足先に少女が入った一室に飛び込んだツァイスの目に先ず入ってきたものは、
ツァイスが腰巾着と呼んだ少女に襲い掛かる巨大な喰屍鬼〈グール〉のおぞましい姿だった。
天井に頭が届く程の体躯である喰屍鬼のただれた皮膚から、触手の様な物が飛び出しているのが見て取れる。
一方の少女は、彼等の王たるクリストフェルの従者である自身に喰屍鬼が襲い掛かってくるとは、思っても見なかったのだろう。
部屋の壁際で恐怖に慄き、腰を抜かしてしまっている。
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>>283
光景を見て理解できたことは一つ。喰屍鬼がクリストフェルの腰巾着の少女を襲おうとしているということだ。
敵同士の…否、低能な喰屍鬼がとち狂って自分の主君の側近を襲っている。
「どうなろうと知った事ではないが、ボロボロにされてこっちの目論見が狂うのは面倒だ」
地を蹴り、巨大な喰屍鬼に飛びかかる
「でぇぇぇえやっ!!」
鞘から抜かれた剣を振り下ろし、喰屍鬼を両断せんとする
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>>284
気配に感付いた喰屍鬼がツァイスの方に身体を向けると、
間髪入れずにツァイスの縦一閃が、喰屍鬼の腹から股にかけてまでを切り裂いた。
痛覚等、余計な神経などは既に捨て去っている筈の喰屍鬼が、低い唸り声を上げて仰け反る。
しかしながら喰屍鬼から突き出ている触手は、宿主の動作とは関係無しに、ツァイスの四肢を縛り上げようと襲い掛かっていく。
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>>285
「鈍いくせにしつこい!これだから喰屍鬼と言うのは!!」
四肢に迫る触手を右、左、左下の順番で斬り落としていく
手数が間に合わず右足に触手が巻きつく。不快な感触にツァイスは表情に怒気を込めた。
「俺に…触れるな!!」
地面に剣を突き立てるように、巻き付いた触手に剣の切っ先を叩きつけた
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>>286
斬られ、床に落ちた触手がびちびちと不快な水音を立てて顫動する。
どうやらこの触手は本体から切り離された後も、単独で生きているらしかった。
ツァイスの右足に巻き付いた触手は、刃を突き立てられると直ぐに締める力を緩めていった。
だが、先ほどにも言った通り“触手は宿主とは関係無く動いている”のだ。
四方から襲い来る触手の対応に気を使っている間に、
喰屍鬼はツァイスの頭を握り潰そうと、成人男性の頭蓋ほどもある巨大な手を伸ばしていた。
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>>232
オブリ「チッ、こいつ・・・!」
ゼリオスの怪力でホールドされれば、容易に振り払うことはできない。
多少の抵抗は見せるが、そのまま壁の穴から引きずり出されてしまう。
2階(実はここは2階だったのだ!)から飛び降りた先は、それなりの広さを持つ裏庭だった。
通りに面してはいるが、周囲が騒動に気づいている様子は無い。
辺りをよく見ると、大使館を覆うように揺らめく空気の壁ができており、
これが周囲とこの敷地とを隔絶しているようだ。
オブリ「自分から孤立するとは、判断ミスじゃねえか!?」
地面へ落下している最中、身体を回転させ、脚に絡まるゼリオスの腕を振り払う。
着地と同時に跳躍し、真上から大きな拳を振り下ろしてきた。
>>233
鎌「ガッ・・・!!」
確かに高い運動能力を持ってはいるが、判断力は別だ。
攻撃を無視して突っ込むか、受けるか避けるか。
その判断を下すための一瞬の空白に鞭が滑り込んだ。
頭を強打された男は膝を落とし、右手を床につく。
>>234
風「・・・・・・」
かつて椅子だった木材を薙ぎ払い、素早く立ち上がる。
派手に転んでいたが、大きなダメージは無いようだ。
男は無言で魔力を練り上げ、右手に風を纏う。
風を一点に集中させ、威力を上げているのだろう。
風「追い打ちをかけなかったこと、後悔するぞ」
踏み込み、レノとの距離を瞬時に詰める。
伸ばした右手はレノの胸、更に言えばその奥にある心臓へと向かう。
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>>230
「っ」
二の腕に感じる痛みに思わず声が出た。
毒の有無は定かではないが、身体を動かす事に何ら支障は無いようだ。
即時性の物ではないのだろうか? いや、どちらでも構いはしない。
毒が塗りこまれていたとしても、回る前に終わらせるまで。
そうと決まると、身体は実に素早く行動を開始した。
「ふっ!!」
アイクは倒れた男へと接近し、起こし掛けた上半身――その鳩尾目掛けて拳を放つ。
意識を断絶させる事を目的とした、左手による一発である。
貴重な情報源だ、下手に命を奪うつもりは無いのだろう。
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>>231
「う、うん!」
ちょこちょこと後ろに下がる
とりあえずは安全になっただろう
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>>288
姿勢が崩れたところに、追い討ちをかける。
鞭を振り抜きつつ一歩引いては踏み出し―
時に腕や肘に添わせて動きに変化をつけつつ、連撃。
その苛烈さとは裏腹に、
まるで緑の羽を持つ銀の蛇と共に舞い踊るようにも見えることだろう。
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>>288
「その無駄な速さは褒めてやるが、その油断が命取りだ」
風の右腕は、一瞬後にはレノの心臓を貫いているはずだった。
しかし、気が付いたころには心臓どころか、前方にレノの姿は無く、
右後方からレノの声が聴こえた。
レノは、風が魔力を練り上げた時点で風の動きを予測し、風の動きに合わせてエネルギーの壁を作った。
風は、レノが作った壁にそって移動してしまった、というわけだ。
(ttp://bbs.avi.jp/photo/346991/106061)
間を空けず、風の右顔面を思い切り殴りつける。
勿論、魔弾で威力を増した拳によって。
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>>287
「ぐあっ!!」
グールの巨大な腕がツァイスの頭を掴み、潰そうと握力が込められる。
ギリギリと骨がきしむ音が室内に響く
痛みのあまりに眼を見開くツァイス、その表情は怒っていた
「俺にぃ……」
地面に刺さっていた剣を蹴り飛ばすツァイス。弧を描いたそれはグールの胸に突きささる
「触れるなぁっ!!」
そのまま剣の柄を掴むと深々と剣を押し込み、グールの頭目掛けて剣を振り抜いた
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>>293
出会い頭に腹から股を、次に胸から頭までを切り裂かれ、
文字通り皮一枚で繋がっている状態の巨大グールがツァイスの頭を掴んだ状態のまま、又しても唸り声を上げて仰向けに倒れる。
不死の生物といえども中枢神経を潰されては敵わんようで、グールは活動を停止したらしい。
落ち着いた後に先程の少女の方を見ると、彼女は安心し切った表情をし、肩の力を抜き切っていた。
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>>294
「漸くか…」
こちらの頭を掴んだ腕を乱暴に振り払うと、剣を納めてため息をつく
今さらだが置いてきた茜が心配になった。
「…さて」
再び視線を鋭くすると、ツカツカとわざと足音をたてて少女の眼の前に立ちつくした。
「悪いが俺は善意からお前を助けたわけじゃない…分かってるだろ?」
安堵した所に不意打ちの高圧的な殺意を向けた言葉を浴びせるツァイス。
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>>295
「ひっ……」
安堵して顔を上げた少女だったが、直ぐに頭を両手で押さえて床を見る。
立場が違えば職務質問を受ける事になりそうなやり取りであるが、状況が状況だ。仕方ない。
仕方ないが……。
「す、すみません……殺さないで……」
相手がこれでは、尋問しようにも優しく出来ないのは事実である。
胡散臭い関西弁を話す小動物が居れば少しは楽になったろうか。
「ツァイス? ここに居るの?」
と、そこに今しがだツァイスが心配した相手がやってきた。
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>>296
「殺されたくないなら俺の質問にスラスラと答える事だ、良いか、お前が悲鳴や口ごもって無駄な時間を費やせるのはあと3回までだ」
「それ以上無駄な事をしたら、どうなるか分からんぞ」
そう言って剣の柄に手をかけた所で茜がやってくる。
彼女からしたらツァイスの馬鹿が小柄な少女を脅してるように見えるだろう。
「茜か、見ての通り此処にいるぞ」
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>>297
「は、はい。分かりました、分かりましたので剣を……」
剣を納めてくれ、と言いたいらしい。
「…………。
ツァイス〜? 何をしてるのかしらね、アンタは……」
その光景を目にした茜はというと、引きつった笑みを浮かべている。
心なしか、ツァイスに近寄る足を止めているような、いないような……。
「まさか、その子が吸血鬼だなんて、世迷い事を口にするんじゃないでしょうね……」
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>>298
「…ふう」
ため息をはいて剣の柄から手を放すツァイス。
「茜、信じられないと思うがコイツはあのクリストフェルの腰巾着だ」
「それが吸血鬼じゃないと思う方が無理あるだろ?…で」
少女へと改めて視線を移す
「お前は結局何者なんだ?それと、クリストフェルの居場所までの最短ルート、このふさげた城に敵はあとどれだけいるのか…洗いざらい話してもらうぞ?」
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>>299
「なに溜め息なんかついちゃってるのよ……冗談よ、じょうだんっ!
ここまで来てくれた相手を疑うなんてこと、幾らなんでもしないわよ」
引き攣らせていた笑みは演技だったようで、茜はそれをすぐさまに解き、ツァイスの肩をぽんと叩く。
それから、少女に近寄り、先にツァイスの言った内容を怯える少女に柔らかな口調で言い直した。
「ね、貴方はあの吸血鬼達に捕らえられているんでしょ?
良かったら、この城の構造を教えてくれないかな。それから……もし吸血鬼の事を知っていたらそれも」
クリスと行動を共にする所を見ていない茜は、少女が自分と同じく浚われてきた人間なのだと考えた。
「……あ、貴方たちは、クリス様を手にかけるつもりなのですか?」
しかし当の少女は、質問に対して質問で返すのであった。
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>>300
少女の質問に対してツァイスはあからさまな舌打ちと睨みつける攻撃で返した。
「誰が質問して良いと言った?」
「そうだ、俺とクリストフェルは決闘を互いに誓いあった…その為に俺はこのくそ広い城の中をさ迷っているんだ」
本来の目的は別なのに随分とズレた本音を話すツァイスだった。
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>>301
「もう、そんなにきつく当たったら言いたい事も言えなくなっちゃうでしょっ!」
少女はツァイスの苛立ちを露にした睨みに体をびくっと震わせたものの、
茜がツァイスを??責すると、少し恐怖心の残る細々とした声で、こう続けた。
「このお城の事なら……わ、私は何でもお話しします。
でも、あの、クリス様のお命だけは見逃していただけませんか……」
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>>302
「甘いぞ茜、ここは敵のアジトだ…これくらいの姿勢でいなければ……」
少女が何でも話すと言って言葉を止めた。
「…さあな、奴が死ぬかどうかは運次第だ」
「俺が死んで奴が生きるか、俺が奴を殺すか…どうなるかは会うまで分からん」
「さあ、話してもらうぞ…まずは此処から先に進む一番最短の道をな」
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>>303
「では、クリス様のお部屋へ御連れしますね……こちらへどうぞ」
少女はツァイスの回答に対し、少し不満そうな顔を見せたが、納得はしたようで、
ツァイスと茜の二人を先導する形で、もと逃げてきた道を歩き出した。
「あ、そうだ。言い忘れるところだったんだけど……。
あの部屋でね、『プレさん』を見たような気がするんだけど……何か心当たりない?」
少女に付いて歩く最中、茜がツァイスに話しかける。
茜の言う"あの部屋"は研究記録の残っていた実験跡の事だろう。
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>>304
「始めから素直にそうしていれば良いんだ…」
少女の案内についていく形で歩を進めるツァイス達。そこで茜が意外な発言を。
「…何?まさか…あの小動物は確かに……」
無残な最期を遂げたはずだ。自分はこの目で確かに見た。
しかし自称凄い悪魔らしいプレさんだ。万が一生きている可能性も否定できないが…
「…」
ツァイスはこれまでに見落としがないか思い返してみたが、それらしい記憶は出てこない
「心当たりは…多分だが、ないな」
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>>305
「そう……ええ、そうよね。ごめん、変な事言っちゃったね……」
恐らくはあれはタダの野鼠か何かだったのだと、茜は心の中で自分に言い聞かせる事にした。
ツァイスが言うとおり、人語を解する愛玩動物はあっけなく散ったのだから、あれは見間違いであろう。
他愛もない話をしている内に、ツァイスと茜、それから少女の三人は階段を登っていた。
私腹の限りを尽くし作ったであろう、
大きな踊り場が付いた階段には、紅のカーペットが一面敷かれているが、その所々は赤黒く変色している。
そして、カーペットに血痕が残る要因を作った者たち、彼らがこの先に立ち入る事を許す筈は無かった。
「ふーん……そんな奴らを連れて、どういうつもりかな?」
上階から階段の下まで冷たい声が突き抜け、二人を先導する少女が歩が止める。
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>>289
ダガー「がッ――!!」
口から空気を吐き出し、再び仰向けに倒れ込む。
今度は起き上がる気配も無い。完全に意識を刈り取られている。
周囲ではまだ戦闘が続いているが、そろそろ決着がつきそうだ。
庭に降りたゼリオスの姿は見えないが。
>>290
二対の刃が甲高い音を立て、互いの命を奪おうとせめぎ合っている。
一見すると良い勝負だが、徐々にアセリアが押しているようだ。
襲撃者の表情が険しくなってくる。
ライナスが手出しせずとも、放っておけば決着はつきそうだが・・・?
>>291
鎌「ま、ッ!!・・・!!」
高い運動能力を持っていても、この連撃を捌くことはできないようだ。
為す術なく、上半身を仰け反らせて鞭を受け続ける。
まだ意識があったとしても、もう戦える状態では無いだろう。
鞭の風切り音の合間に、鎌が床に落ちるざらついた音が響く。
>>292
風「な、ぜ」
何が起こったのか分からない、という表情を貼り付けたまま、首が左方向に捻られる。
拳が顔を捉えた鈍い音の合間に、グギッ、という嫌な音が聞こえた。
男はその場に崩れ、両膝と両手を地面につけ、ガクガクと痙攣を始める。
意識は殆ど残っていないだろう。気合で持ち堪えているようだ。
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>>307
「教えねーよ」
四つん這いで耐える男の背中を、止めとばかりに踏みつける。
(んー、しかし、仮にコイツが多面的な攻撃が得意なヤツだったら――)
腕を組み、ひとり目を細めて考える。
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>>306
「脅して案内をさせてるだけだ、こんな奴をノコノコ歩かせてるからこういうことになる」
と、腕を組んで声の主に対して不遜な返答をするツァイス。
彼の悪い癖の一つに、敵の出方を伺う事をしないと言うモノがある。
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>>309
余裕有り気な態度のツァイス、怯える少女とは打って変わって、
茜は上階の闇中に対して魔力の弓矢を構え、引き絞っていた。
「ふぅん……それで君達はさ、ドコに行こうというのかな。
真逆(まさか) この先に進んで、兄さまやお婆さまを滅するつもり?」
闇の中から、貴族然とした服装をした少年――否、吸血鬼が出でる。
その背後には、本来彼等を滅する立場にある筈の悪魔狩り、その一人が薄気味悪い笑みを浮かべて付き従っていた。
「コサチ、君がまだヴァクトマイステルの使用人のつもりなら、今すぐ階段を下りなよ」
コサチ、そう呼ばれた少女がびくりと体を震わせる。
それが彼女に与えられた名だからだ。
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>>310
「貴様らの婆ァとやらには興味はないが…クリストフェルとはちょっとした約束をしててな」
「―――会うついでに奴は斃すつもりだ」
茜の動きに合わせるように剣の鍔を弾き、何時でも抜刀出来るように構える
「そこにいる忌々しい奴はどうでも良いが…小僧、随分と偉そうだな」
「何者だ?」
震えるコサチに興味は向いていないようだ。
ここで彼女が階段を降りる事を選んでも、ツァイスは何もしない。
その時はそこにいる藪医者や少年を締め上げて案内させるつもりなのだ。
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>>311
コサチは恐怖で足が竦み動けないでいるのか、
それとも彼ら吸血鬼と決別する意思があるのかは知れないが、その場に留まっていた。
「酷いなぁ、前に一度会った事があるんだけど……忘れちゃったのかな?」
ツァイスの問いかけを受けて、少年がブロンドの髪を梳きながら言う。
貴族種《サウザンド》の吸血鬼の特質――――いや、吸血の賜物か、
いかにも不潔な環境に居るにも関わらず、少年は全身から芳しい香りを放っていた。
「まぁいいや。それよりも、兄さまと? ふふ……君みたいな賎しい魔族が?」
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>>312
「お前まさか…あの時の?」
以前、クリストフェルを事を構えた時の事を思い出すツァイス。
「フン…貴族被れはこれだからな…」
カツン、カツンと階段を上るツァイス
結果的にコサチは置いて行かれる形になる
「クリストフェルと俺の盟約の間に、入れると思うなよ小僧」
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>>313
「あははははっ。なぁんだ、覚えててくれたんだ。
それにしても、随分と兄さまにご執心なんだねぇ。一夜を共にでもした?」
両手を広げ、無邪気そうにそう言い放つ少年は如何にも無防備だった。
今にも自身に切りかからんとしている男女が眼前に居るというのに、気まぐれに両手の指を組み、尚もツァイスの接近を許している。
藪医者も、何を考えているのか、にやけた表情からは全く汲み取れない。元々そういう男だったが……。
「ま、分からなくもないよ。君が兄さまに惹かれる理由はさ。……だって同じだもんね、君達は」
君達、という言葉には茜の事も含まれているのだろう。
少年は少し視線を逸らして、ツァイスの背後の茜を見た。
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>>314
「そうだな、初めて出会った時から俺と奴は不完全燃焼気味の中が続いているのでな」
「同じ?…奇妙な事を言うな…だが、これ以上お喋りをするつもりは無い。クリストフェルへの道を阻むと言うならそこにいる藪医者ごと…」
視線を低く構え、ツァイスは階段の段差を蹴ると一気に少年へと接近した。
「――斬るッ!!!!」
鞘から弾かれた刀が一気に少年の首目がけて抜刀される。
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>>315
少年は構えない。徒手空拳のままで、微笑みを浮かべている。
――――獲った。傍らで見ていた茜にすら、そう確信させた。
だが、言うに及ばず人斬り包丁である筈の刀は、少年の首元を咬まなかった。
以前に少年と相対した時の様に、又しても刀身は少年の右の掌底、要するに素手で止められていたのだ。
少年の真紅の瞳がツァイスの視界に映る。それはつい今まで緑色だったが、この一瞬で変化した。恐らく、何らかの力を使った為だ。
ツァイスに続いて、間髪入れずに茜も少年へ魔力の矢を放つ。
しかし瞬時に藪医者が短剣を飛ばし、矢は衝突の勢いで霧散してしまった。
「フフフ……物騒だなぁ、君達は。まだ名乗ってすらいないのに、こんなこと」
「藪医者《ドクター》、そっちのお姉さんはお前に任せるよ。……ただし、殺すなよ」
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>>316
翡翠の瞳が、真紅に染まった少年の瞳とぶつかる
「なら、さっさと名乗れ…!」
藪医者と楓が対立する形になった事に舌打ちをする
(無理はしなくていい、俺が来るまではな…)
「吸血鬼は余程出し惜しみが趣味らしいな」
そう言って少年を挑発した。
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>>317
少年の命を受け、藪医者がおよそ人のモノとは思えぬ程の跳躍力で少年とツァイスを飛び越えていった。
「なら名乗らせてもらおうかな。
ボクはコンラッド―――コンラッド・マルカヴィアン・ヴァクトマイステル」
「ヴァクトマイステル真祖の直系血族にして、“正統なる後継者”さ」
手刀で競り合わせた刀を、腕を振るってツァイスごと弾き飛ばしながら、少年が云う。
コンラッドはクリスを兄と慕っていたが、普通、家を継ぐのは長男のはず。ツァイスはその事に気を留めるだろうか?
「何事にも最低限の戦力で当たるのは貴族の常だよ。
君たちの間じゃ、貧乏性とでも言うのかな? フフ……」
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>>318
「後継者…」
脳内を巡る推測…クリストフェルはその『ヴァクトマイステル』の正統な直系ではない?
あるいは何かしらの事情から奴自身が家督を継ぐ事を止め二男にお鉢が廻ったか…どちらにしても、ツァイス本人にはさほど気に留めるような事ではない。
「なら貧乏性を出したまま斃されてしまえ、貴様の後には藪医者の奴もいるのだからな…!!」
突き飛ばされた事で開いた間合いを埋めるように、ツァイスは踏み込んで空気を裂くような突きをコンラッドの額目がけて放った。
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>>319
敵が突きを仕掛けてくるのを見て、コンラッドはすぐさまに左腕で防御する構えを取った。
ツァイスの攻撃は又しても弾かれるかに思われたが、その予想は外れた。
細く白い腕をツァイスの剣が突き貫いていた。
「フフ……ところがそうもいかないんだよ。
お婆様が君の様な下賎の者がこの城を荒らし回る事に大層腹を立てていてね、それに……」
コンラッドが、自分の腕に突き立てられた剣刃を右手で握る。
先程出くわした巨大喰屍鬼に勝るとも劣らない力で押さえ付けられ、剣はそれ以上動かせなくなった。
「……兄さまの気が君に向けられている事が、何よりも気に食わないんだよ」
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>>320
「下賤とは酷い言われようだな、これでも一応は由緒ある一族の血筋なんだがな」
とてもそうとは思えない粗野な言い方で返すツァイス。しかし内心は剣が今以上に動かない事に驚いているようだ。
(なんて馬鹿力だ……!)
「なんだ、嫉妬か?貴族ぶっていてもガキだな……貴様が俺とクリストフェルの間に対して何を思うかは自由だが…」
グッと剣に押し込む力を込める
「俺と奴の間の約束/決闘を邪魔する事だけは、何人たりとも許しはしない…!!」
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>>321
「お婆様はアナクロでね、ヴァクトマイステル以外の血は劣等な物だと思っているんだ。
ボクのこの力もそうさ。お婆様が、“兄さまみたいに野蛮な武器は使うな”ってね」
コンラッドの右手は、刃に素手で触れているにも関わらず、出血の様子が見られない……。
ツァイスに剣を押し込まれている左腕も、痛みを感じていないようだ。全くと言うわけでは無さそうだが。
「嫉妬? フフ……それは違うよ」
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ageついでに追記
>>322
「僕はただ、自分の玩具が独りでに動き出して、他所の子と遊んでいるのが気に食わないだけさ。
それより良いのかな? 早くしないとほら、悪魔狩りのお姉さんがやられちゃうよ」
剣を動かせずにいるツァイスに対して、コンラッドは挑発的に言う。
コンラッドの背後では茜がコサチの盾になるように、藪医者と対峙しており、
藪医者を睨む茜の表情には裏切られた事への戸惑いと、師を殺された事の憎しみが交錯していた。
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h ttp://xvideos697.blog.fc2.com/
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>>177(リッキー&ジェフ)
「不死者であるにもかかわらず、痛覚があるようだね。
奇妙な存在だ……俺が言うのも変な話だけどね」
昆虫を生態を探ろうとする学者のように観察を続けながらも、
ジェフの身体を物理的に損壊させようと、更に力を込めようとする……が。
二人の持つブレスレットが点滅を始める。
「うわ!また何か面白い事を始める気なのかな?」
ライタの身体にはあまり興味を向けず、
二人のブレスレットに関心を向けている。
だが、だからといって油断をしていたわけではなく――ジェフの攻撃は完全に決まりはしなかった。
ジェフの拘束を解き、自分の防御を優先する。
蹴りは命中したものの、敵の腕によって防がれる…。
と同時に、ジェフリーが消滅した。
「うわっと!君たちがやりたかったのはこれ?
なにか始まりそうな気配がビンビンするぜ!」
逃げたり、残ったリッキーに攻撃を加えようとはせず、
そのまま事の成り行きを見守っている。
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>>325
眩い光が収まる。
今までリッキーがいた場所には、突如消えたジェフでもなければ
リッキーでもない―しかし、互いの面影を持つひとりだった。
クセのある赤毛、ヘイゼルの瞳、しなやかに引き締まった体躯は小柄とはいえない。
ジェフ「リッキー!」
「……ジェフリーさん、力をお借りします!」
目の前にいる1人から、ふたりの声がする。
(あの攻撃の影響はある、けど、これ以上受ける前に)
ジェフ(叩き潰す!)
「行きますよ!
(そのために、ジェフリーさんは魔力を!)」
ジェフ「覚悟しとけ!
(おう! リッキーはしっかり凌げよ!)」
グレイヴの切っ先を真っ直ぐに向け、大地を蹴り、真っ直ぐに
彼らは敵手へと突きかかった!
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>>326
肉をえぐる音と感触……。
グレイブが『敵』の腹部に突き刺さった。
「ふ………ふふ」
『敵』は、グレイブを掴んでいた。
突こうとしても引こうとしても、力が強く動かない。
「ラアッ!」
『敵』は自分の力でグレイブを引き抜き、
その勢いのまま二人(?)を突き飛ばした。
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>>327
突き刺さった瞬間、赤毛の少年―リッキーの声が叫んだ。
「今です!」
ジェフ「"イグニッション"!」
今は姿の消えた、暗い金髪の少年―ジェフの声が唱えると同時に、
赤く燃え上がるようなオーラが立ち昇り―
掴まれたままのグレイブの柄だけがずれた。
刃の横に並んだ柄の先端には、魔力を持つ球体の結晶。
その球体が赤く熱く輝く。
「(このまま掴まれていれば、これで!)」
その手に力を込める目の前の少年、あるいは少年達だったが―
「!?」
ジェフ「マジかよおおおおおお!!!
おい、リッキー!」
変形したグレイブを構えたまま、突き飛ばされるひとつの身体。
「いちかばちか、このまま―!」
突き飛ばされながら、その不安定な姿勢のまま
球体から赤く太い炎が敵手へと放たれた。
ジェフ「あたれえええええええええええええ!!!」
命中すれば、その身を焼き焦がすであろう炎。
だが、もしも―外れたなら……周囲を焼き尽くす恐れのある熱さを持っていた。
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>>328
「ふふ!直接攻撃に加えて別の攻撃も追加する魂胆だったんだね!
僕の力とちょっと似ているけど、君等は発射も出来るんだ!」
『人間』は、腰を下げた。
炎に対する防御体勢を整えた……わけではない。
熱は、ガードすることも叩き落とす事もできないからだ。
『人間』は逆に――真っ直ぐ、前方へ大きく跳躍した。
当然炎に包まれて、全身を焼き焦がされる。
「はあああっ!!」
皮膚を焼かれ、苦痛の声を上げる『不審者』。
だが、跳躍の勢いは衰えない。
彼の向かう先には、リチャードでありジェフリーでもある男が居る。
「シヤッ!!」
炎に包まれた足で、蹴りを放つ。
自分で作った炎であるため、それによってダメージは与えられないかもしれない。
だが、『不審者』の身体能力と格闘技術については証明済みだ。
リチャード達は不安定だった体勢を立て直し、防御できるだろうか?
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>>329
彼の推測は完全なる正解ではなかった。
リッキーらにとって、直接攻撃は確実に魔術を当てるための手段。
今までの彼の行動からすれば、突撃してくれば間違いなく受けるだろう……。
そう予測し、刃が止まった瞬間に全力を込め零距離で魔術を放つ心積もりだったのだ。
この術を使うのはこれが初めてだった以上、どんな威力であれ確実に当てておきたかった。
が、結果は……彼の身体能力がリッキーらの予測を上回っていた。
行動も、である。
ジェフ「ちょ、ちょ無茶苦茶すぎんだろ!?」
崩れた体勢を立て直そうとした瞬間のジェフの叫び。
それがなければ、リッキーは敵手の無謀に見える反撃に気付けなかった。
「くっ!(炎はとにかく、蹴りを直接受けるわけには!)」
不安定な姿勢を支えるためにも、そして、その脚を受けるためにも石突を地面に突き立てた。
その柄を蹴り脚の軌道と垂直に交差するように立て、受け止める。
並のグレイブなら折れただろうが、これは一種の魔術を介して生成されたもの。
容易く折れたりはしない。
脚より飛び散る炎のかけらが2人で1人の身を焦がし、膝をつかせた。
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>>330
リッキー達はグレイブを地面に突き立て、防御体勢を整えた。
グレイブの柄に、敵の足が命中した。
――敵は既に、この戦いでかなり負傷している。
腹部や背中に、リッキーのグレイブやライタの拳による攻撃を受け、疲労とダメージが蓄積していた。
加えて、先ほどジェフリーが放った炎の熱傷。
リッキー達の身も焦がしているが、直撃を受けたのは敵の方である。
それらが積み重なり、『不審者』は体力を消耗していた。
にもかかわらず、『不審者』の脚部とグレイブが衝突した瞬間、強い衝撃が走った。
両腕が痺れ、グレイブを取り落としそうになる。
「いい動きだ!素晴らしい!
ただ武器を使えるだけじゃあないんだ!これは手強いね!」
敵は素早く後方に跳躍し、リッキー達と距離を取った。
肉弾戦を主体とする敵にとって、長柄使いであるリッキーとの間合いを広げるのは得策ではない筈なのだが……。
「君達を相手に、普通に戦って勝つのは難しそうだね!
ふふふ!ちょっと趣向を変えて……君等のマネをしてみようかな?」
彼(?)はリッキーに掌を向け、魔力を高めはじめた。
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〉〉331
魔力を高め始めた直後、手投げ斧が不審者めがけて飛んできた・・・ただ、ねらいがさだまらないのかはるかに右にそれて当たりはしない
「やっと見つけた・・・くっ感覚がつかめねえ」
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>>331
「「がっ…!!」」
明らかに消耗、いや、大ダメージを背負っているはずの相手からのものとは思えない衝撃。
痺れる腕でなんとか支えのグレイヴにしがみつく。
「ここまで…」
ジェフ「ちょ、んな弱気に…」
このまま追撃が来るなら…覚悟した矢先、下がる敵手。
ジェフ「なっ!?」
「…その力を撃つつもり…なの!?」
撃ち合えるなら負けるつもりはない。先ほどの自分達の火力ならきっと…
が、未だ消えぬ衝撃と未知の力を行使した反動により
短時間でまた放つことはできそうにない…
>>332
その時、後方から飛来した斧。
膝をついたまま振り返ると、鬼の姿がある。
「…よかった、動けるように…」
ジェフ「ったって見た感じはもどってねーって!」
ライタの目には、グレイヴを杖にやっと体を支える赤い癖毛の少年がいた。
その面影は共闘した暗い金髪の少年のようで、
そしてまっすぐな赤毛の少年のようでもある。
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>>332-333
敵が魔力を高めようとした直後、ライタの放った手斧が地面に突き刺さる。
ライタを横目でチラリと見た。
「おやおやおや? まだ動けるんだね。
負傷は回復したみたいだけど、それじゃあどうしようもないな。
君の相手は、後でしてあげよう」
どうやら、ライタを完全に戦力外だと判断しているようだ。
視線をリチャード達の方へ戻す。
魔力が高まり、掌に集中した。
「よ……っと!」
魔力の塊が、ジェフリー達に向かって放たれた。
いわゆる『魔弾』のような、破壊的な気配は感じない。
ただ、敵の拳に感じていた、異様な雰囲気がある。
『触れるとヤバイ!』
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>>333 >>334
再び手品みたいに手投げ斧を取り出すライタ
しかし今度は目を瞑り完全に視覚を遮断した状態のまま投げる
今度は正確に不審者の位置を把握したかのように
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>>334-335
(全く気にしていない……。
ということはあの人にこれ以上の追撃は行かないはず……)
一瞬ふと考えるリッキー。
その直後に魔弾が放たれた。
ジェフ「リ、リッキーこれなんかやべーぞ!」
「わかってます! けど……!」
回避する体力はない、先ほどのように防御できるものでもない。
それはジェフも理解している。
ジェフ「んなら迎え撃てば…!」
「迎え撃つと言われても……」
リッキーにとって使いこなせてなどいない炎の力を制御し放つには時間がなさすぎた。
迫る魔弾。―受けるしかできない。
その横を正確な軌道を描き斧が飛翔していく……
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>>335
放たれた魔力の塊とすれ違うように、投擲された斧が風を切って『不審者』の元へ向かう。
「へぇ……『気配を察知』ってヤツかい?
僕もさっき、そこの彼に視界を奪われる技――【ブラインド】って言ったっけ?――を受けたけど、
致命傷を避けるだけで精一杯だったよ。
比べて君は、ここまで正確に遠距離攻撃をしてくる。
流石だね。でも……」
敵は、放った掌とは逆の腕で、手斧を受けた。
――――『ばふっ』。
奇妙な音とともに、斧が地面に落ちる。
まるでスポンジ製の壁に命中したかのように、呆気無く地面に落ちた。
敵にダメージは、ほとんどない。
「僕の能力から逃れられたわけではない……思い出した?
五感を閉ざすだけが、私の力じゃないんだぜ」
>>336
ジェフ達に、魔力の塊が直撃した。
魔力が波のように体中に浸透してゆく……。
視界がぼやけてきた。
先程までよく聞こえていた物音が、よく聞こえなくなってくる。
そして触覚までもが弱まり――グレイブを握る感触すら、おぼつかないものになった。
「そして君も、彼と同じになった」
-
>>337
ジェフ「うあ……何もわかんねー……なんだよ、これ・・・」
「これが……っ(闇の中にいるだけどは訳が違う、ほんとうに、感覚が消えて……)」
消えてゆく感覚、存在―
立っているかも倒れ伏したのかも自分でわからない。
かすみゆく視界の端で、不自然な動作で墜落する斧の姿が映る。
ジェフ「だめだ、勝てねー……。つーか、俺たち……このまま……」
力の差を前にして、絶望あるいは諦めを抱き、不安へ飲み込まれそうになるジェフリーの意思。
「……(でも、なんとなくだけど、わかってきた。
それに……恐らくだけど、このままいれば追撃はされないはず……)」
一方、リチャードの意識は何かを掴んだようだ。
ジェフ「リッキー! おい、リッキー返事してくれ!!!
俺の声聞こえてっか!? なあ、リッキー!!!」
《ジェフリーさん、きこえますか?》
自分達の精神領域<こころのなか>で、リチャードがジェフリーへと話しかける。
今、ひとつの肉体を共有し”もう1人の自分”とも呼べる状態の相棒へと。
自問自答するように。
―さて、”不審者”の力は頭脳による思考にまで影響するのだろうか?
もし影響があるなら、ジェフリーの意識にこの呼びかけは届かないだろう。
-
>>337>>338
「くっ、なに言ってるかもあんまわかんねえのにペラペラしゃべりやがって…」
投擲が通用しないと判断し、今度はトンファーを取り出し構える
(動きは身体の経験でカバーする、視界は気配を読めばいい…だがあれは…どう防ぐ…?他にも誰かいるみたいだがどうするか…
)
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>>338-339
リチャードの声は、しっかりとジェフに届いた。
敵の力は、思考や意識にまで影響を及ぼすわけではないらしい。
一方不審者は、五感を大幅に制限され棒立ちになったリッキー達を眺めていた。
「ふふふ!上手くいった!
こんな芸当をやるのは初めてだけど、それにしては中々悪くない出来じゃないかい?」
自分の技が効果を発揮したことを確認した敵は、ライタの方へ身体を向けた。
「そして君の精神力には驚かされるなぁ……!そんな状態になってもまだ戦う気なんだね?
俺の力は、気配を察知する力さえ削ぐことができる。もう少し私の力を食らわせてあげれば、完全に無力化出来そうだ」
そのまま、ライタへ近づいていく。
敵も負傷と疲労が蓄積しているためか、先程に比べればスピードは高くない。
「とはいえ流石にこんな状態で、あんな不慣れな技を連発できそうにないな。
やはり直接、叩きこむに限るッ!」
『不審者』は大きく跳躍し、飛び蹴りをライタに放った。
-
>>339-340
ジェフ《! ばっちり聞こえるぜリッキー!》
《よかった……ということは意識にまで介入する訳ではないようですね》
ジェフ《んでも、この状況……!》
棒立ちしているようにしか見えない赤い癖毛の少年は、密かに次の手を考える。
《これはぼくの推測ですけれど、あの力は恐らく物質……いえ、触れられるものに対して
その”物質としての存在”を弱めるものです》
ジェフ《……えーと、つまり?》
《……物理的な手段は通用しなくなる、ということでしょう。
となれば打つ手は一つ……。》
ジェフ《魔術だな! んでも、この状態でどーやって当てるんだよ!?》
《それは任せてください。彼が次に向かう場所の予測はついています。
ジェフリーさんには一つ教えて欲しいことがあります》
ジェフ《俺に?》
《ジェフリーさん火球の魔術を使う時をイメージして、ぼくに伝えてくれませんか?》
ジェフ《あれは……えーっと、掌の上に……火がぼっと出て……それが渦巻いて……》
ジェフのイメージに従うように、グレイヴを持たない右掌を広げるリッキー。
その手に火が現れ、やがてそれは火勢を増しつつ渦巻くように球となり―
ジェフ《……んで、ぶっ放す!つーかぶん投げる!》
その火球が放たれた。
狙いはやや不正確ながら、ライタの真正面を横切るように飛翔する火球。
(彼はぼくたちと戦いながらも、”まだ動ける”と称したあの人[ライタ]に興味を向けていた。
ならば、ぼくたちが戦えないと予想される状況なら必ずその力を向ける!
先ほどのように放つにせよ、打ちかかるにせよ、彼[不審者]ならば真正面へ向かうだろう。
あの人[ライタ]の位置は感覚が消える前に見て確認済みだ!)
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〉〉340 〉〉341
気配を見て宙に浮いたのを見たライタは気を貯めて跳ぼうとしたそのときだった
横から来た魔力に反応して咄嗟にバックステップして回避する
「他に敵がいんのかよ!!?」
感覚がつかめないライタにはリッキー達の気配を感知しきれてなかったのだ
さらにとっさの後退で不審者の気配を完全に見失う
また溜めた気も拡散し一時硬直、そう・・・ライタが取った行動が自分の首を絞めてしまうことになったのだ
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>>341-342
「うわ!嘘だろ!?」
火球を撃たれ、驚愕する敵。
先程の炎に比べて狙いは正確ではないものの、五感を制限されているとは思えない精度だった。
正面にライタが居れば、反撃を覚悟の上で彼の身体を蹴り飛ばし、自身の軌道を変えられたかもしれない。
だが、ライタは後方へと跳んでいる……飛び蹴りを放った『不審者』に、攻撃を回避する手段はない。
火炎は、『不審者』に直撃した。
「ぐ……ああ!」
吹き飛ばされ、敵は地面を転がった。
するとライタ達の五感が、突如として復活した。
能力は、解除されたのだ。
だが……
「う……く………」
敵は死んではいなかった。
『この能力を受けていても、魔術による攻撃は通用する』
というリチャードの推理では、厳密には正確ではない。
物理攻撃だけではなく、魔術に対しても彼の能力は通用するのだ。
ただ、五感も同時に失われているので、肉弾攻撃の方が弱まりやすいというだけである。
とはいえ、敵は未だ立つことすら出来ていない。
勝利は確定だ。
さて、どうしてやろうか?
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>>342-343
ジェフ《今の感じ……行ったぜ! すげーよリッキー!》
《ジェフリーさんのイメージのおかげですよ。
ただ、これは相手の注意をこちらに引き付けただけだと思います。なので……》
もう一度火球を生み出そうとするリッキー。
その時、ほぼ閉ざされた聴覚に苦痛の叫びが届いた。
間もなく視界に光が差し、音が舞い戻り、その手に感覚が蘇った。
ジェフ「ぬあ!? …戻った!」
「! ということは……」
先ほど火球を飛ばした方向―ライタのほうへ振り返る。
予測位置よりやや後方で警戒する鬼。
吹き飛ばされたかのように倒れている敵手。
「命中……した……!」
ジェフ「っしゃあ! やったぜリッキー!」
生まれかけた火が消える。
「でも、まだ息はあるみたいですね……」
2人へ歩み寄る赤い癖毛の少年。
その手にはしっかりとグレイヴが握られている。
まずはライタに向かい、一言。
「大丈夫ですか?」
そう尋ねる。
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>>343>>344
感覚が元に戻り辺りを確認する
「あ?ああ、もしかしてあんたもやられてたのか?」
不審者の方を指差しながら訪ねてみる
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>>344-345
状況に変化はない――。
※行動を伴わないPC同士の会話は、勝手に進めてしまって構わない
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>>345-346
「ええ、なんというか……あなたがこの人と戦い始めたのを目撃したところで……」
ジェフ「いきなりケンカ売られたってーか……」
目の前にいるのは1人なのだが、なぜか同じ場所から2人分の声がする。
ジェフ「! って、他の人は!?」
激闘で周囲に気を配る余裕はなかったのだが、
他の―例えば、ほぼ同じ場所にいたものの不審者の見えなかった旅一座の3人には
彼らの戦いはどう見えていたのだろうか。
そして周囲の建物などには被害はあるのか?
そして……不意にリッキーは何か疑問を感じた。
「(戦いが始まった時……そういえばこちらの方[ライタ]とこの人[不審者]の力量は
ほぼ互角、いや、むしろこの人のほうがやや劣っていたはず……なのに……。
それに、ぼくたちの魔術を見てから力を見よう見まねで撃っていた……)」
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>>347
旅一座の3人から見ると……
最初のうちは、リチャードとライタが各々一人芝居を演じていたようにしか見えなかっただろう。
だが、自然に傷が生まれたりしているのを見て、途中から『何か得体のしれない事態が発生している』という認識はできたはずだ。
さらに最後には、何もないところから突然『ボロボロの人間』=『不審者』が現れた――という形になる。
周囲の建物などに、被害は全くない。
ただ、リチャードとライタの武器や服装などは、傷や汚れが出来ている。
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>>348
狂ったかのように見える一人芝居を目撃した人々は、まずは遠巻きに観察していた。
だが、ただの一人芝居で傷ついていく様を見て、魔物か、魔術かと誰かが騒ぎ出した途端、
なすすべない人々は散り散りになって逃げ出していた。
その中で、旅芸人の3人は最後まで成り行きを見ていた。
ララ「!」突然現れたボロボロの人間に驚く踊り子。
サルバ「これは……もしや彼らはこの人間と戦っていたのか?」
位置関係や洩れ聞こえる会話から推測する歌い手。
ホセ「・・・・・・」
弾き手はただ目をやや見開いているだけだった。
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>>347>>348
「…まぁいいや、俺は疲れたからもう帰るわ…後よろしく」
そう言ってその場を去るライタ
色々ありすぎてついていけなくなったようだ
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>>349-350
ライタは現場から立ち去る……。
状況が状況なため、当事者であるリチャード・ジェフリーとライタ以外、
異常に気づいたものはほとんど居なかった……。騎士団も呼ばれていないようだ。
「く……」
『不審者』は死んではいない。
放置するなら生き残るだろう。
-
>>350
ジェフ「うぇ、あ、えーと……(つい喋っちまったのにリアクションなかったー!?)」
「わ、わかりました……。えっと、お大事に」
無理もないだろう。この状況では特に説明しても理解してもらえるか不明なのだから。
その背中を見送った。
>>351
ジェフ「んで、どーするコイツ? まだ生きてるっぽいけど」
「……あの、ジェフリーさん、どうやったら元に戻れるのかわかりますか?」
ジェフ「えーと、えーーーと……あん時は勝手に戻ってたしなー……。
とりあえず、こうか?」
いつも憑依をとく時のように飛び出してみるジェフ。
すると、あっさりと融合は解け、元の真っ直ぐな赤毛を持つ小柄な少年と
癖のある暗い金髪を持つ少年霊とにわかれた。
「……悩むようなことじゃ、なかったみたいですね……」
『……え、えーっと! んで、どーすんのリッキー?』
不審者に近づくリッキー。グレイヴを握りなおすと、それを媒介に闇の魔術を編み上げる。
『ちょ、ちょ待て』
不審者に放たれた魔術は―
「―【ヒーリング・オブ・ダークネス】」
回復の術式だった。ただし完全に回復するほどの強さは込められていない。
むしろ、気休め程度でしかない。
『……うぇ?』
「ぼくの声が聞こえますか?」
リッキーはごく穏やかに問いかけた。
-
>>352
ほんの僅かながら、『不審者』の傷が癒され体力が回復する。
「………おやおや。
いいのかい……そんなことをして?」
立ち上がる気力は未だないようだが、喋れる程度には復活したらしい。
-
>>353
『そーだぜリッキー! 下手すりゃまたさっきみてーに』
「わかってます。けど」
不審者へと向き直るリッキー。
「いくつか聞きたいことがあります。
あなたはぼくたちや先ほどの方たちのように一部の人にしか見えず、
力を影響させることもできない。
そのことをあなた自身も自覚なさっています。
それは、生まれつきなのですか?」
-
>>354
「それに答えなくちゃいけない理由が私にあるかい?」
『不審者』はニヤリと笑う。
「フ。冗談だよ……。でも、別に大した物語があるわけじゃあないよ?
アルラィンとかいう変な『本』を読んで、書いてある儀式みたいなことを試したら、こうなった――それだけさ」
-
>>355
『てめ……!』
「答えたくないなら構いません。ぼくがただ知りたいと思っただけですから」
「変な[本]ですか……。恐らく魔道書の類だったのかもしれませんね……。
あの感覚に作用する力も、その本の儀式を試してから手に入れたもの、ですね?」
ここで一呼吸置きつつ少し思考。
「それから、あなたはぼくたちとの戦いの中だけでその技術を高めていったように思えます。
その、ええと学習能力、あるいは才能は本を読む以前から?」
-
>>356
>「あの感覚に作用する力も、その本の儀式を試してから手に入れたもの、ですね?」
「そうだよ。というか……『僕がなった状態』と『君達にかけた状態』は、同種のものさ。
少し君達のほうが……困るように設定したけどね」
>「それから、あなたはぼくたちとの戦いの中だけでその技術を高めていったように思えます。
> その、ええと学習能力、あるいは才能は本を読む以前から?」
「さあ……? 自分では気づかなかったな。俺はそんなに成長が早かったかい?
意外と戦いの才能ってやつがあったのかも知れないし、これも含めて『本』の力――なのかもね」
「……」
「私から見れば、君……君達の方がずっと『奇妙』だね。最初は多重人格かと思ったけど、そうじゃないみたいだし」
-
>>357
『え、同種? んなわけねーだろ、いや、だって』
ジェフは混乱しているようだ。
「―ものの"存在"に作用する力、というわけですね。
あなた自身には"存在感"を薄くするだけ、ぼくたちには肉体としての"存在"も薄くしていくように……」
『リッキー、説明希望』
「(……ぼく自身が闇を纏えば身を隠せる[ハイディング]けれど、
相手に闇を纏わせれば視界を奪うことが出来る[ブラインド]……これと似たような感じです)」
「……確かにぼくたちも奇妙、ですよね」
『うぇ、そうか?』
「詳しく説明するのは難しいですし、信じがたいと思いますが、ぼくは幽霊と共に行動しているんです。
あなたが見た姿の中で、癖のある暗い金髪とヘイゼルの瞳のものがありましたけど、それが幽霊の姿です。
彼がぼくに憑依することで、その姿を変えたり、あるいは彼にぼく自身の身体を貸したり、
力を借りることが出来る……といったところです」
「それと、憑依しなくてもこんな風に……」
不審者には何もなく見える空間に、ブレスレットを向けるリッキー。
―Twin Mode Startup
その空間に、癖のある暗い金髪、ヘイゼルの瞳、リッキーより背の高い少年―ジェフの姿が現れた。
「彼を一時的に実体化させることもできる。
そんな力をぼくたちは持っているんです」
-
>>358
「そういうことさ。正確には、僕自身『存在』そのものが薄くなっていたけどね。
ぶっちゃけてしまうと、俺自身原理とかはよくわかってないんだ。これも闘いながら覚えた感じなのさ。
君達と戦う前にも何人かにちょっかいをかけていてね……彼らも今頃は、僕の力が消えて驚いているところだろうね。
もっとも、私が知らないだけで時間が経てば解除されるのかもしれないけれど」
ちら、と現れたジェフを見る。
「幽霊か――考えてみれば僕も、幽霊みたいなものだね。
存在は希薄で、限定的にしか他人に影響を与えられない……」
「ま……そんなことはどうでもいいか。
これからどうするんだい? 僕とこのままくっちゃべってるつもりかい?
言っておくが俺は結構生命力が高いぜ。放っておくと復活するぞ」
-
>>359
「……あなた自身が……」
ジェフ「なー、リッキー……」
しばしの絶句。
「……あなたはこの先も、今のように見える人に出会っては力を試し続けるおつもりですか?
そして、その力を持ち続けたいと思っていますか?
この二つが、最後の質問です」
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>>360
『不審者』は再びニヤリと笑う。
「ああ、どちらもYESさ」
一瞬の躊躇もなく、きっぱりと言った。
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>>361
ジェフ「てっ、てめー!!! 人の気持ちは、どーだっていいのかよ!」
爆発する感情と共に拳を握り締めるジェフ。
「……わかりました。それが答えなら」
す、とグレイヴを天へ翳すリッキー。
再び刃がずれ動き、現れた宝玉は漆黒に染まっている。
「もう、話し合うことはありません!
扉よ開け、【ゲート・オブ・ダークネス】」
漆黒の宝玉から、3人の頭上へと魔法陣が投影された。
魔法陣からは闇が舞い降り、3人を覆い隠す。
一部始終をなおも見守る旅一座からも、まばらに通りすがる人々にも彼らは見えなくなる。
「―[バインド]!」
魔法陣から降り注ぐ闇の中から、腕のような”力”が幾筋も伸びてきて
『不審者』に絡みつこうとする。
誰も見ることはできない鎖の狙いはあまりにも正確だ。
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>>362
「人の気持ちを考えられる奴が、通り魔なんてできると思ってるのかい?」
リチャードがグレイブを掲げて魔法陣を投影する間、『不審者』は抵抗の意思すら見せなかった。
笑みを浮かべたまま、拘束されるに任せる。
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