レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
ここだけ魔術のある世界
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参加する際の注意事項
・俺Tueeeeeeeeeeeや、厨設定、強さのインフレはほどほどに
・魔法は「魔元素設定」に沿った設定であることが望ましい
・『中の人の』安易な気持ちで人(自キャラ、NPC含む)を殺すな。死んだら生き返りません。
・鬱展開とシリアス展開は違います。ただし、↑と共に『キャラとして』相応しいなら問題はありません。
・場の空気は出来るだけ読もう。カオスな時もあります
・書きこむ前にリロードを
・描写はできるだけ丁寧に。認識のすれ違いを避けるためです。
・本スレの出来事は演技ですから恨まぬように、また演技に私怨を持ち込まない。
・眠い時は無理せず寝ましょう 健康を損ねないように
・多数対少数の場合は、少数の中の人たちのことも考えよう
・スルーされてもめげない
・一番重要なのは楽しませること、そして楽しむことです。
イベント、ストーリー展開に関する注意事項
・乱入されても泣かない。乱入が嫌なら先に断っておきましょう
・あまりにも無茶な振りをしない。されて困る事はしない
・次の日に持ち越す事も考えよう。
・単なる自己満足はほどほどに
・イベント発生場所に貴方のキャラクターが居る可能性がありますか?
・相手のキャラクターとの関係はどんなのですか?
・自分のキャラは何事にも首を突っ込むキャラですか?
・乱入する前にレスをしっかり読もう。
スレ立ては
>>900
>>950
>>980
>>1000よろしこ
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>>前999
「……よくわかんない……です」
『ぅきゅー……』
難しすぎるよヒースさん。
「そんな優しい竜が悪さを? ボクには信じられないです」
『きゅー』
-
>>前999
「サファイアドラゴンか。初めて聞く竜だな」
多分トラジーはどんな竜の名前を聞いても同じことを繰り返すだろう。
なぜなら彼女は芋だから。そう芋だからなのだ。
「その竜が暴れているのを見た者はいるのか?」
>>前1000
「さすがエル殿だな。そこまで食べるとはさぞ魅力的なのだろう。
うん、確かに今は食べられる雰囲気ではないな」
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>>前1000>>2-3
町人1「調べに行くにも、恥ずかしい話ですがこの土地はこんな環境なのでモンスターなんて殆ど出ないんですよ」
町人2「平和なので良いのですが、それが理由でこの街には戦える力を持った人は全くと言って良い程いないんです」
駐在の騎士が1名いるが、引退前の老人だと言う。
町人2「私達もサファイヤ・ドラゴンが暴れているとは信じがたいですが…そうだ!旅の方々、あなた達は腕に覚えがありそうですね!」
一応武装しているであろうエル、トラジー、ヒース。シャーリーもオリビンを連れているからもしかしたらサポート要員と思われたかもしれない
町人2「もしもよろしかったら、山の様子を見てきていただけないでしょうか?」
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>>4
エル「なるほど、そりゃドラゴン怖いわな」
仕方ねえ
エル「た、確かに俺様はチャンピオン級の最強さを誇る伝説の勇者だが・・・」
エル「(あ、でもこっちにもドラゴンが3.5体も着いてるしな)」
0.5はオリビン
エル「いいよ」
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>>4
「ゼットンたちを連れていけば、もしもの時には対応出来るだろう。
幸いここの住人たちは竜の存在を認知しているから隠す必要はないだろうし」
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>>4
『きゅー』
「モンスターがいないって、いいなあって思ったけど……大変なこともあるんだ」
>>5-6
「エルさん、トラジーさん……」
急に頼まれたのに、人のために即答できる人生の先輩達の背中が大きく見える。
「ボクたちも行きます! そのサファイアドラゴンさんにも会ってみたいし」
『きゅ!』
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>>5-7
ヒースは言わずもがな、断るわけはなかった。
町人1「おお、ありがとうございます!」
「では、この辺りの地図を頂けますか?できれば、この地域全体の地図も」
町人1「勿論です、道具屋に用意させましょう、お持ちください」
地図、無料でゲット
と言うわけで、一行は相棒の竜達に再び乗り込み、街道の中心である山を目指すのだった。
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>>7>>8
エル「おっと、解決したら雪菓子たらふく食わせてくれよな!
じゃないと次は他のドラゴンたちが暴れることになるぜ!」
人のためじゃなかった。
ガル≪・・・なるほど、暴れているドラゴンを何とかするのか。
任されよう≫
説明を受け、目的地を目指して飛ぶ。
-
>>8>>9
「え、エルさん……(ボクも食べたいけど……)」
『……きゅ。』
とにかゼットンに相乗りして目的地へ。
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>>7
「外の世界は勉強になるなシャーリー」
頭ぽんぽん
>>8
「サファイアドラゴンとはどのような竜だろうか」
ゼットン(まあ小物だろうな。俺様が頂点だから仕方ないが)
「お前のその自信は私も見習おう」
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>>9-11
アスタリオン<外の世界は広い…もしかしたら俺達以上の大物かもしれんぞ…あのグラドニスのような>
オリビンも覚えているだろう。パシュツルプスで戦った狂気の竜騎士、【怪物】パスカルが操っていた暴竜だ。
結局は乗り手の身勝手さで哀れな最期を遂げてしまっていたが、全うな乗り手があの化け物を操っていたら、結果は違っていたかもしれない。
‐スノール山‐
山に入ると、確かに荒れに荒れていた。木々は倒れ、地面の雪は竜らしき生き物の足跡で踏み荒らされている。
さらに山の中にある植物も傷つき、燃えカスのようなものまで眼に入った。
よほど気性の荒い何かが暴れているのだと手に取るように分かる。
「酷いあれようだな…サファイヤ・ドラゴンがやったのだろうか…?」
-
>>12
エル「なーに、本当にヤバかったら撤収すれば良いさ。
こっちにはゼットンという頼もしい囮がついてるからな!」
などと喋っている間に目的地付近だ。
ガル≪これは派手にやったものだ≫
エル「おおぅ・・・」
軽く請け負ったのをちょっと後悔してみる。
-
>>11
「はい。ほんの少し来ただけでも知らなかったことがたくさんありますもん」
>>12
『……きゅ』
彼―グラドニスを助けたかった。その思いはオリビンの中でまだ消えていないようだ。
--スノール山--
「ひどい……」
『きゅー……』
「でも、竜が自分の棲んでる場所をこんなにすることってあるのかな……」
-
>>12
「ふむ、随分と荒らされている。
どうやら何者かが荒らしているのは間違いなさそうだ」
足跡をしゃがみ込んで観察している。
「竜のような足跡だけど、付近に魔物もいないと言っていたし」
ゼットン(グラドニス…まあちょっとだけ手強かったながはは!
俺様が強すぎたのが運の尽きだったが)
>>13
ゼットン(ああ、お前という最高の囮がいるから問題ないだろう。
そしてお前を相手の口に放り込んだところで倒す作戦だ)
-
>>13-15
ガザッ
「…む、何かいるぞ!」
雪に覆われた茂みの方から音がして、ヒースは警戒して槍の向けた。
出てきたのは青色…いや、サファイア色に輝く鱗を持った竜だった。
『おや、久しぶりに人間に出会った!嬉しいなあ!』
紅い瞳が嬉しそうな声と共に細まった。竜としてはかなり小柄なようだ。およそ2mくらいの大きさしかなかった。
そしてどうやら人の言葉を介する事が出来るようだ。知性が高いというのは偽りないのだろう。
間違いない、この竜がサファイヤ・ドラゴンだ。
ちなみに声のトーンから察するに雄のようだ。
「お前がサファイヤ・ドラゴンか?」
サファイヤ・ドラゴン『見ての通り、嘘偽りなくサファイヤ・ドラゴンだよ!最近は人間が通らなくなって寂しかったんだ!…その手に持ってるの、武器だよね?この山には大した動物はいないよ?』
狩りに来た人とでも思ったのだろうか?帯剣しているエル達を見て的外れ過ぎる事を話すサファイヤ・ドラゴン
そして、ようやくゼットンやガルズラ達に気付く
サファイヤ・ドラゴン『うわっ!?外の竜かい?僕なんか哀れに見えるほど大きいねぇ!?』
-
>>16
「!」
その身が固まる。
が、相手の正体を見てほっと胸をなでおろした。
「あなたがサファイアドラゴンさん……。
(小さい……。でもパパのいる里の竜より大きいんだ……)」
「はじめまして、ボク、シャーリーって言います」
『きゅー』
恐らくオリビンも挨拶したのだろう。
「えっと、ボクたちは狩に来たんじゃなくて……」
-
>>15
エル「おいおい、お前の方が適任だって!
俺とお前が並んでれば、誰だってお前を血眼で追っかけるさ!人(竜)徳の差ってやつさ!」
>>16
エル「うわっ出たあああああ!!」
ガルズラの後ろに隠れる。
ガル≪む、お前が噂のサファイアドラゴンか≫
身構えるが、あまりのフレンドリーさに戸惑う。
ガル≪あ、ああ、どうも。
・・・ちょっと待て、思ってたのと違うぞ≫
エル「・・・あれ?女の子?うほっ!
僕の名はエル=ノアだよ、よろしく!
そうそう今日は狩りをしに来たんだ。君のハートを射止めにねッ☆」
キュピーン
-
>>16
「実は私たちは山を荒らされているという話を聞いて確かめに来たんだ」
突然現れたが冷静に対応する。
「思っていたより小さいな。人間とあまり変わらないサイズだが」
触りたい衝動に駆られているトラジー
ゼットン(お前が山荒らしてるのかおい?何が不満なんだ?)
上から見下ろすゼットン。
高圧的な態度なのはいつものことだが
>>18
ゼットン(俺のことはビビって狙ってこないだろう。
お前のような小物を先に狙うに決まっている!)
-
>>17-19
こんにちは、お嬢さんに坊やとシャーリーとオリビンに挨拶を返すサファイヤ・ドラゴン。話の通り温和そうだ。
サファイヤ・ドラゴン『僕はオスだよ人間…いや、エルフ?じゃなくて人間?……狩りじゃない?』
ドラライに戸惑いながら話を聞く問題のドラゴン。
そして山を荒らしていると言う話を聞いて、驚きの余りに羽を広げた
サファイヤ・ドラゴン『ぼ、僕が山を荒らすわけないだろう!…僕は、ちょっとの草木とこの山の雪解けの川の水だけでお腹を満たせるんだよ?荒らす理由なんてないよ…』
「しかし、現に山は荒れているぞ?」
サファイヤ・ドラゴン『……多分、他の山に住んでいる竜の仕業だと思う』
「他の竜?」
サファイヤ・ドラゴン『僕達は世間からは宝石竜って言う総称で呼ばれているんだ、外の人は知らないかもしれないけどね…これはこの土地の学者さんが教えてくれたんだ』
このドラゴンの話では、西側にある山で暮らしている宝石竜が、何かの理由でこの山を荒らしているのでは、と話す
果たして真実か?しかしこのドラゴンは肉を食べる必要もなければ暴れるような性格にも見えない
-
>>19
エル「その言葉、そっくりののままお返ししてやる!!」
ガル≪うるさいぞ、ふたりとも齧ってやろうか≫
>>20
エル「チッ、ハスキーボイスなメスではなかったか」
ガル≪君にこの山を荒らす理由が無いのは分かったが、他の宝石竜が荒らす理由は何なんだ?
同じ宝石竜として、何か心当たりは無いか?≫
エル「なんだ、他の山にも居るのか。
じゃあそいつが犯人なんだな!ボコ決定!いこうぜオイ」
ひとまずサファイア・ドラゴンの言うことを信じているようだ。
-
>>20
「他の山の……?」
『きゅー?』
「でも、それでも変です。あなたじゃないのはわかりますけど……」
足跡とサファイアドラゴンの体格を見比べてみる。
「何のためなんだろう?」
『きゅきゅきゅー。
(さみしかった? 最近、あんまりニンゲンこなかったんだよね)』
とことことサファイアドラゴンに近寄って話しかけたオリビン
-
>>20
「他の竜の仕業か。なるほど」
ゼットン(嘘はついてないだろうな?嘘だったら食べちゃうぞこら)
>>21
ゼットン(お前のせいで怒られたぞ。どうしてくれる)
-
>>21-23
サファイヤ・ドラゴン『この辺りには東西南北に山があって、それぞれに僕達宝石竜が住んでいるんだ…そのうちの一頭が、とても気性が荒くて乱暴者なんだよね…僕みたいに人とお話も出来るのに』
「ふむ…」
とりあえず話を全て聞いて判断しようとしているヒース
サファイヤ・ドラゴン『嘘をつく理由なんてないよ!僕はこの山の奥にある巣にいるんだけど、そこは外の音があんまり届かないんだ、もしかしたらその間を狙っていたのかもしれない』
そして寂しかった?と聞いてきたオリビンの顔を向ける
サファイヤ・ドラゴン『そうだね、人は僕とも仲良くしてくれるから、最近全然会えなくてさみしかったよ…あとほら、良く見てよ。あの足跡と僕の足跡、大きさは近いけど微妙に違うでしょ?きっと≪アイツ≫が尻尾の先っちょでつくったんだよ…』
と、話し込んでいると…何やら大きな音が君達の耳に轟いた。
そしてそれは生き物の声……もっと言えば竜の咆哮だと言う事に気付けるだろう
-
>>24
『きゅー(そうだよね……)
きゅきゅきゅーきゅ!(でも、オイラたちがお兄ちゃんじゃないって言ってあげる!)』
そうしたらきっとまた来てくれるよ! と続けたオリビン。
「あ、ほんとだ。この足跡、サファイアドラゴンさんのじゃないです」
そこに聞こえる竜の咆哮。
『きゅ!』
-
>>23
エル「怒られるなんてご褒美だろうが!文句言ってんじゃねえ!」
>>24
ガル≪ふむ、ならその気性の荒い奴のところも訪ねるべきだな。
君を疑ってすまなかった≫
エル「よーし、仕切り直しだな!そいつが住んでる山ってのは・・・」
ここで咆哮を耳にする。
エル「ひええ」
ガル≪む、例のドラゴンか・・・?≫
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>>24
「そうか、疑いが晴れたなら村人も安心するな。
まだ問題は解決していな…噂をすればか?」
ゼットン(俺たちがいるのも知らずに来たのか可哀想に)
>>25
「シャーリーもオリビンもおいで」
トラジーの後ろに隠す。
>>26
ゼットン(ご褒美……だと?ダメだこいつ早くなんとかしないと)
-
>>25-27
声を聞いて空を見上げると、今度は大型の竜が視界に入った。
大きさはガルズラ達より一回りだけ小さいと言った感じだ。それでも十分大きいだろう。
その身体は、なんと眩いダイヤモンドのように輝いていた。
恐らく名前も………
サファイヤ・ドラゴン『ダイヤモンド・ドラゴン!僕の山に何の用だ!』
やはり予想通りの名前だっただろう。
D・ドラドン『チッ…巣にいると思ったら間の悪い奴め』
粗野な若者といった印象の声だ。この竜も確実にオスだろう。
「どうやら、簡単に真犯人が見つかったようだな」
槍を構え、アスタリオンに乗り込むヒース
D・ドラゴン『人間と、それに従っている家畜の竜か…用心棒ってわけか、サファイヤ・ドラゴン』
S・ドラゴン『何を言ってるんだ!?この人たちは町の人に頼まれて……』
その言葉を遮るように、ブレスを吐いてくるダイヤモンド・ドラゴン。威嚇で放ったため、離れた位置の木々を燃やした。
D・ドラゴン『黙っていろ、俺には沢山の木が必要なんだ…もらっていくぞ!邪魔をするなら容赦はしない!!』
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>>28
エル「うおっ、マジか!」
素早くガルズラの背に乗り込む。
ガル≪ふむ、あっさりと犯行を認めたか。
ダイヤモンド・ドラゴンとやら!お前がこの山を荒らすことで、街の人間が脅えているんだ!≫
エル「そ、そうだぞ!」
ガル≪木が必要と言ったな。その理由を聞かせてくれないか。
私たちも、できれば争いたくはないんだ≫
エル「そ、そうだぞ!」
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>>28
「あなたが……なんでこんなこと!」
『きゅ!』
「あっ、オリビン!」
トラジーの背後から、緑の雛竜がダイアモンドドラゴンのほうへ走っていく。
それを追うシャーリー。
『きゅきゅ!
(待ってよ! なんでそんなに木がいるの?)
きゅーきゅーきゅ!
(それに、木がほしいんならちゃんと言えばいいのに!)』
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>>28
ゼットン(ダイヤモンドなら高温の炎で一撃だな。
俺様の足元に及ばない小物だ)
「ゼットン、まだ早いぞ。
向こうの言い分も聞く必要がある」
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>>29-31
「皆の言う通りだな、ただ力ずくで奪うのは蛮行でしかないぞ?長寿で知識抱負な竜族ならばそれくらいは…」
D・ドラゴン『黙れ!!余所者の雌や雛、ましてや人間などに話す言葉などないわ!!そして、俺は格下に下げる頭など持っていない!必要ならば奪うだけよ!!』
S・ドラゴン『僕たちは同じ宝石竜じゃないか!それを…』
D・ドラゴン『人間ごときに付けられた侮蔑な名前に喜ぶような奴を仲間などと思わん!それに…貴様ら程度の炎で俺をやれると思うなよ、図体ばかりの余所者どもめ』
ゼットンを挑発するダイヤモンド・ドラゴン。言葉による和解は難しそうだ。
D・ドラゴン『この誇り高きダイヤモンド・ドラゴンに逆らった愚か者は、全て討ち倒すまで!!』
そう言って口を開くダイヤモンド・ドラゴン。バチバチと電気が迸る
そして、君達のいる場所に向かって雷のブレスを放ってきた!
「逃げろ!!」
全員に退避の指示を出してヒースはアスタリオンと共に空にあがった
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>>32
エル「飛べ!」
ガル≪クッ・・・≫
地を蹴り、上空へと舞い上がる。
エル「危ねえ〜」
ガル≪乱暴者というのは本当らしいな。
しかし頑固な、理由を話せば人間たちも理解してくれように・・・≫
エル「うん?・・・まあ良いや。やるってんなら、相手してやる!」
ランスと盾を構え、D・ドラゴンと対峙する。
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>>32
『きゅ!』
「オリビン危ない!」
咄嗟にオリビンを抱えて走り、なんとか回避。
『きゅー……』
「うん……。話し合えばわかってくれるって思ったのに……」
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>>32
「ゼットン!」
ゼットン(その必要はねえ…!)
避ける猶予はあっただろう。だが敢えてゼットンは飛ばずに
トラジーやシャーリーたちを包み込むような形で羽を閉じてブレスを受け止めた。
そのまま羽を広げるとブレスは霧散していった。
にぃって凶悪な顔をして笑うゼットン
ゼットン(小物の俺様にも受け止められるようなブレスだったか。残念だったな。
グラドニスの十分の一もない威力だったぜ。ああ、あいつは大物だったからな)
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>>33-35
「全員無事なようだな…」
アスタリオン<雷のブレスか…防げたようだが油断するなよ、何があるか分からん>
D・ドラゴン『…フン!手心を加えて加減したのが間違いだったか!!容赦せんよ!!』
眩く輝く羽をはばたかせ、高速で飛来するダイヤモンド・ドラゴン。まずは一番近くにいたガルズラへ向かって言った
そしてシャーリー達の近くにいたサファイヤ・ドラゴン
S・ドラゴン『アイツは頑固だから…皆さん、手間がかかりますが話を聞かないといけません!ソイツを動けなくしてもらえますか!?』
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>>36
エル「こっちくんな!」
ガル≪良い度胸だ、その頑固な頭をほぐしてやろう≫
咆哮を上げ、ガルズラも真向からD・ドラゴンに向かって突っ込む。
組み合うつもりだ。
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>>35
「ゼットン……ありがとう」
>>36
『きゅ!』
「動けなく……」
腰のポーチに手をやり、魔本を取り出すシャーリー。
そして一つの記述に目を通した。
「この文章……前も思ったけど、これなら……」
トラジーとゼットンを振り返る。
「トラジーさん! ボクたちを乗せてダイヤモンドさんに近づけますか!?」
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>>36-37
「ゼットン、ガルズラが組合ったら援護する!」
ゼットン(どてっぱらに一撃キツイのをくれてやるよ!)
トラジーを乗せ飛びあがるゼットン
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>>37
『オオオオオォッ!!』
真正面から組み合う二頭のドラゴン、乗り手のエルからしたらたまったものではないだろう。
ヒース「一対一なら申し訳ないがはじめからこちらは複数なのでな!!背中を取るぞ!!」
アスタリオン<うおおおお!!!>
ガルズラの援護をしようとダイヤモンド・ドラゴンに体当たりをしかけるアスタリオン、だが勢いに乗った騎竜の突進を背中から受けてもダイヤモンド・ドラゴンはビクともしなかった。
逆に、アスタリオンの方が弾かれてダメージを受けている
『馬鹿め、俺の身体は生半可な攻撃など効かない…無論、貴様も同じだ!!』
組み合ったままガルズラに向かって口を開くダイヤモンド・ドラゴン。
先ほどのブレスを至近距離で放つつもりだ。
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>>38
シャーリーも背中に乗せて飛びあがるゼットンであった。
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>>38-39
一足早く援護に出たアスタリオンが弾き飛ばされるのが見えた
そして、今まさにガルズラに至近距離でブレスを見舞おうとしている
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>>41-42
「アスタリオン、ヒースさん!」
「(ボク達の力で……止められるの……?)」
その光景に自信をなくしかけるシャーリー。
『きゅ……!』
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>>40
エル「ぐえええっ!?」
鞭打ちだ。
ガル≪くぅっ・・・!!≫
組みついたまま、D・ドラゴンの身体の至る所を噛み、蹴りまくる。
アスタリオンが弾かれたところを見ると、効果は薄そうだが。
エル「や、やべえ!ガルズラ避けろって!」
ガル≪避けれるように見えるのかこの間抜け!≫
身動きが取れない!やべえぜ!
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>>42-44
ゼットン(おっと、そのままブレスを吐いてみろ。
お前の腹に俺もぶちかますぜ)
下方から急上昇してきたゼットンが、ダイヤモンドドラゴンのお腹に喰らい付いた。
そしてダイヤモンドドラゴンからは見えないだろうがゼットンビーム発射の準備をしている。
グラドニスすら破ったゼットンビームだ。無傷とまではいかないだろう。
「ゼットンでもさすがに噛み砕くことが出来ないか」
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>>44
ダイヤモンドも本来ならばガルズラにとっては砂の塊のように脆いものかもしれないが、この竜の鱗の堅さは別格だろう。
今のところビクともしていない。
『自分の愚かさを悔やむんだな』
まずは一匹、と言うように勝ちを確信する口ぶりのDドラゴン。
>>43
『怯えないで』
と、さりげなく追い掛けて飛んできたサファイヤ・ドラゴン
S・ドラゴン『お友達の為に頑張ろうとしてるのなら、きっと上手く行くよ』
励ましの言葉をシャーリー達に向ける
-
>>46
「サファイアさん……」
『きゅ……』
その声に背中を押され、頷きあうシャーリーとオリビン。
>>45
魔本の記述に手を翳す。
すぐ近くにいるシャーリーとオリビンの影は、繋がっている。
「―(ゼットンに合わせて……いくよ!)」
オリビンの口元に集う冷気。
-
帝都の繁華街を、一人の子どもが歩いていた。
黒い髪に幼い顔立ち、恐らく十歳にも満たないであろう子だ。
活気と娯楽で満ち溢れたこの場所において、その子の格好は目立っていた。
随分と擦り切れた服、それの所々に付着した血液の痕、ろくに洗っていないのかベタついた髪。
服の裾から覗く肌には殴られた痕らしきアザ。
だが、誰もそんな少年に声を掛けたりはしない。理由は実に簡単で“どうでもいいから”だった。
金も持っていなさそうな、関わったら面倒そうな、そんな子どもに声を掛けようとする人物は今この時点では居ない。
さてさて、それはさておき。
自分がこの場において如何に異様であるか、という事。
そんな事は微塵も気にする様子を見せない少年は、目を輝かせて視線を右往左往と巡らせていた。
目に映る物全てが珍しい――そんな気持ちが伺える表情である。
しかし、人混みの多い繁華街で前方の注意を怠ると言う事は……通行人の誰かに衝突してしまってもおかしくない。
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>>48
「ねぇ、どうしたの?」
一人の女性が少年を下から覗き込むようにして声をかける。
165cm前後の非常にスタイルの良い眼鏡の美女。
小奇麗な身なりで腰にはサーベルを帯びている。
若干ウェーブがかった金発が優しそうな印象をさらに強めている。
-
>>49
「え……? うわっ!」
突如、声を掛けられた事で少年は驚き、尻餅を付いた。
そこまでは特におかしくもない光景だろう――が、
「……ご、ごめんなさい、怒らないで! 怒らないでぇ!」
アスティの姿を見ようともせず、叫びだしたかと思うと、なんとその場に蹲ってしまった。
その光景に、通りすがった人々も何があったのかと視線を向けている。
少年の格好も合わさって、アスティが少年を虐めている、と勘違いされてしまうかもしれない。
何はともあれ、少年を落ち着かせてあげるのが良さそうだ。
-
>>50
「えーっと・・・・大丈夫だよ、落ち着いて。ね?」
少年を優しく抱き寄せて頭をなでる。
「怪我、手当てしないとね。
すぐそこの宿屋に滞在してるんだけど・・・そこまで歩ける?」
どこまでも優しく、まるで母親か修道女のように話しかける。
-
>>51
アスティが抱き寄せた時も、少年はやはり怯えるように体を跳ねさせた。
叩かれる、と、そんな事を思ったに違いない。
少年の格好からして、虐待を受けているのは明らかなのだから。
「……あ…」
しかし予想とは違う感覚に、小さく声を漏らした。
与えられた心地良い感覚が、少年にとって衝撃的だったのは言うまでもないだろう。
泣き叫んでいた筈が、一瞬でピタリと止んでしまう程だ。
「は、はい、歩けます……だいじょうぶです」
自分を見つめるアスティの視線が恥ずかしかったのか、頬を赤くして答える。
-
>>52
「強い子ね。おいで。」
にっこりと笑って立ち上がり、手を引いて滞在している宿屋へと向かう。
「私はアステリア・ビュッフェル。皆からはアスティって呼ばれてるわ。」
-
>>53
手を掴んでやると、少年は強く握り返してきた。
離したくない、という気持ちが初対面のアスティでさえ強く感じられた事だろう。
手を引いてもらえるのは、初めてなのかもしれない。
宿屋に到着し、アスティの名乗りを聞いた少年は
「ぼくは……ショウ・アキツキ、です」
と、自身の名を答えた。
東方名のようだが、ファーストネームが先に来ている事からして、生まれは別なのだろうか?
――などと考えていると“ぐうぅぅ〜”なんて音が室内に響いた。
「あ……」
もちろん、少年――ショウの腹の虫が鳴いた音だ。
-
>>54
「おなか、すいてるのね。下でスープとパンを貰ってくるから、
その間に手当てをしてもらっててね。」
アスティは自分の部屋の扉を開ける。
部屋の中には130cmあるかどうかわからない、ひょっとしたらショウよりも小さいかもしれない獣人が椅子に座っていた。
「彼女はリューディ。あんな成りだけど一応神官で薬師の資格も持ってるから安心していいわよ。」
猫と人間の中間のような毛におおわれた顔。手足も同様に毛むくじゃらで、掌には肉球も見える。
ショウはもしかしたら彼女がレッサーリカントと呼ばれる蛮種、あるいは魔獣に分類される存在であることを知っているかもしれない。
後は頼んだわ。とリューディに告げてアスティは今上った階段を下りていく。
-
>>55
「は、はい、ありがとうございます……うわぁっ!?」
室内で座っていた獣人の姿が視界に入ると、驚いて尻餅を付いてしまった。
獣人の名がリューディということ。
神官であり薬師の資格を持つということ。(これに関しては分からないのか首を傾げていた)
以上の話を聞き、アスティが階段を下りていくと、
ショウはおそるおそるリューディへと近づき、顔を覗き込んだ。
「……こ、こんにちは」
-
>>56
「はいこんにちはです。随分ボロボロですねえ?あ、アメちゃん食べるです?」
意外と気さくである。
皮袋からハチミツで作った飴玉を取り出して手渡す。
「ちょっと触りますよ。痛くても我慢してくださいね。」
ぺたぺたと骨折の有無や痣の箇所を確かめ、
乳鉢で薬草をゴリゴリとすりつぶし始める。
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>>57
「うわっ……は、はい、ありがとうございます」
リューディが話した事に驚いたようだったが、飴を受け取ると素直にお礼を言う。
診断してみると、どうやら骨折はしていないようだ。
しかし至る所に殴られたような痣があり、右頬の痣に至っては最近出来たばかりだと分かる。
余談だが、痣を触られていても顔を顰めるだけで、声は上げなかった。
「あの、アスティさんとリューディさんって、何をしてる人なんですか?」
と、薬草をすり潰し始めたリューディを見て聞いてきた。
-
>>58
「アスティはお隣の国の・・・まあ騎士さんですね。
わたしは見ての通り、神に仕えるお医者さんですよ。ちょっとした事情でこっちに来てますけど。」
痣になっている場所に刷毛ですりつぶした薬草を塗り、布と包帯で覆っていく。
凶暴な獣人と見た目はほとんど同じだが、手当も手慣れたもので、人間に比べて太い獣の指を器用に使っている。
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>>59
痣が多いので、みるみる内に包帯だらけに!
「おとなりの……えっと、たしか……“らだ”?」
ラダ公国の名は知っているようで、そう答える。
そして、リューディが『神に仕えるお医者さん』であると聞くと、ショウの表情が曇った。
「……神さまって、本当にいるのかなぁ……」
その声はリューディへの問い掛けというより、独り言のようだった。
詳しい事情を知らないリューディでも、自分が受けている仕打ちを顧みての言葉だと分かるだろう。
-
>>60
「よく知ってるですねえ。勤勉は美徳ですよ。」
窓辺につるしていた薬草を何やら選んでいる。
「難しい疑問ですね。
わたしはこの通り、人間やエルフ、ドワーフとは違う”蛮種”と呼ばれる生き物です。
同一種族であっても魔獣として迫害されることもありますし、
こうして人間と共に歩んでいくことだってある。そんな微妙な立ち位置に居ます。」
椅子の上に立って尻尾でバランスをとりながら高いところにつるした薬草を取ったり、
乾燥具合を確かめるように匂いを嗅いだりしながら独り言にこたえる。
「もちろん本来なら信仰する神様も違います。
戦の神、商売の神が我々の種族の神様なんですけどね。」
薬草をすり潰して調合をはじめる。
-
>>61
リューディが薬草を選んでいると見ると、先程貰った飴を口に含んだ。
もごもご、と口を動かしつつ、彼女の言葉を必死で理解しようと唸っている。
「……はくがい、って怒られたり叩かれたりすることですよね。
リューディさんも、そんな事をするんですか? ぼくには、そんな風に見えません」
「ぼくにとっての神さまは……おねえちゃん、です。
ぼくを見捨てて何処かに行ってしまったって、家のおじさんが言ってたけれど、きっと嘘だ」
薬草が調合される様子を眺めながら、ぽつりと呟く。
“おねえちゃん”なる人物がショウにとっての神――信じられる相手だった。
しかし“おじさん”曰く、ショウを見捨てて失踪してしまったというが、ショウはそれを信じていない、と。
「嘘だって……思いたいけど、おねえちゃんは、来てくれない」
-
>>62
リューディ
「わたしはどちらかというとされる側です。
まあ人間社会にしばらく溶け込んでるので、そこまで酷い迫害は受けてませんけどね。」
「・・・小さいのにいろいろと苦労してるんですねえ。」
そこにスープを持ったアスティが帰ってくる。
アスティ
「お待たせ。・・・手当は終わったようね?」
-
>>63
「それなら、よかった。
リューディさんにはそんなことして欲しくないし、されて欲しくないです」
リューディの後半の言葉には答えず、顔を伏せた。
嗚咽らしき声が室内に響いている――“おねえちゃん”の話をして、彼女が居た頃を思い出したのだろうか。
「あ……はい、リューディさんに治してもらいました!」
しかしアスティが戻ってくると、顔を上げて笑顔を見せた。
不自然に元気そうな様子、それに加えて目が赤くなっているからバレバレだが。
-
>>64
アスティ
「・・・そっか。でも無茶はしちゃ駄目だよ?」
それを察してあえて知らないふりをしてニッコリとほほ笑む。
リューディ
「それにしてもこんなに怪我して、いったいどうしたんですか?」
-
>>65
「は、はい」
アスティの笑顔を見て、照れ臭そうに顔を逸らした。
幼い彼には、なかなか刺激が強かったようだ。初心なものである。
「…………家のおじさん達に、叩かれて、こうなりました」
リューディの問いかけから実に十数秒の間を置いて、ショウは答えた。
「おじさんは『おまえは“悪魔の子”だ』って、言ってました。
おにいさんは『せっかく引き取ってやったんだから、憂さ晴らしぐらいさせろ』……って……」
言っている最中に、また嗚咽を漏らし始める。
二人とも察していたかもしれないが、彼は虐待を受けているのだ。
-
>>66
リューディ
「・・・やっぱりですか。」
アスティ
「・・・・・ショウくん、君はどうしたい?」
目の前にしゃがみこんで顔を覗き込む。
アスティ
「その『おじさん』をやっつけたい?
それとも一人で生きていくだけの力が欲しい?」
今までのほんわかした顔とは少し違う真剣な眼差しでショウを見つめる。
-
>>67
――今回の話とは直接関わりの無い事だが、
二人は“悪魔の子”というフレーズを聞いて、ショウから何かを感じ取るかもしれない。
言葉に言い表せぬような、本当に微弱な違和感――たとえを挙げるなら、“悪魔”の気配。
……ただ、仮にそれを感じ取った所で、二人が態度を変える事はないだろう。
経緯はどうであれ、目の前に虐待を受けている子どもが居る。
きっと、二人にとってはそちらの方が重大であり、大切な事である筈だ。
今までとは違う、アスティの真剣な眼差しにショウは一度、肩を震わせる。
そしてまた黙り込んで――先程より早く、十秒もしない内に口を開いた。
「一人で」
「一人で、生きていくだけの力が欲しい、です。
強くなって、生きて、それで……会いたいひとが、いるんです」
アスティには分からないかもしれない。
しかし、先程の話を聞いたリューディは“会いたいひと”が誰なのか、知っている。
-
>>68
アスティ
「そっか。じゃあここだけは強く持っておくこと。」
トン、と拳をショウの胸に当てる。
アスティ
「どんなに厳しいことがあっても、自分で信じたものだけは大切にする。
ただそれだけ、でも一番難しいこと。それが君の力になるはずだから。」
眼鏡を外し、ショウにかけさせる。
見える視界それ自体は変わらないが、その風景を直接頭の中にたたきつけられるような
違和感、あるいはショックを受けるだろう。
-
>>69
「信じたものだけは、大切に……」
自分の胸に当てられた拳を、おそるおそる握り締める。
「っ、これ、は……!」
眼鏡を掛けられ、それを通して映る光景に違和感を覚えたようだ。
ぐらり、と体をフラつかせ、アスティへと視線を向ける。
-
>>70
アスティ
「驚いた?」
ショウにかけさせた眼鏡を外し、かけなおす。
リューディ
「その眼鏡は魔道具。アスティは仕事中の事故で視力がほとんどなくなってるのです。」
アスティ
「私もこんな眼鏡に頼らなきゃいけなくなった時は、正直ショックを受けたわ。
でもね、それでも私が国のみんなを守ることが出来るから、私はずっとその事を大切にしてきたの。」
ニッコリと笑う。
アスティ
「拳を握って殴りあうことだけが『戦い』じゃない。
自分に対して誇れる自分であり続けるのだって『戦い』だとお姉さんは思うな。」
-
>>71
「……眼が……」
リューディの言葉を聞き、アスティを見た。
盲目同然の状態でありながらも、笑顔を見せて、誰かを守ろうとする彼女の言葉を聞く。
「自分に対して、誇れる自分で、あり続ける……」
ショウはその言葉を、しっかりと胸の内に刻むように復唱している。
「自分が信じた“自分”(モノ)を、強く持ち続ける――って事でしょうか」
-
>>72
アスティ
「そう。それさえ持ち続けていれば何度だって立ち上がれるはず。」
ショウの肩をポンと叩いてほほ笑む。
リューディ
「・・・・それはそうと、ショウくん?
あまり衛生的じゃないようですね?」
-
>>73
「……はい!」
アスティに釣られたように、笑顔を見せる。
さっき見せたぎこちない物とは違う、心の底からのものだった。
「え? ……あ、はい。
お風呂に入らせてもらえるのが一週間に一回なので」
しかもろくに食事も取らせてもらっていないようで、年頃の男子と比較して明らかに痩せていると来た。
-
「新しい武器が手に入ったからといって、使いこなせなければ意味はないな」
早朝から訓練場に一人でいるシカゴ。
考え込みながらどう武器を扱えばいいかを考えていた。
相手の剄を吸収してカウンターとして使う鉄鞭。受け止めた方向にしか返せないようだが。
「私次第で強力な武器になることは確かだ。
その為には、今の剄とは別に新しい使い方を編み出す時が来たか」
-
>>75
「……今の私は基本的な剄を使っている。
もちろん一年生よりもレベルは上だが、あくまでも基本の剄を強化したに過ぎない」
重量の増した鉄鞭を目標に叩きこむ。
明らかに威力が向上しているが、スピードはその分落ちた。
前の重量と同じスピードで振るにはまだまだのようだ。
「やれやれ、不器用なのは苦労するものだな」
-
>>74
リューディ
「それはいけません。バイ菌が入ったら病気になってしまいます。アスティ、水と布を。」
アスティ
「今持ってきますね。」
ぐいぐいとショウの服を脱がしにかかるリューディ。
-
>>77
「え、ちょ、ちょっとリューディさん!?」
ぐいぐいと脱がされる。
いくら男の子と言っても所詮は子どもなのであった。
「た、たすけてー!」
その後、あっという間にキレイキレイされたのは言うまでもない。
-
>>78
「だーいじょうぶですよ。おばさんに任せてください。やさしーくしますからねー。」
余談であるが、彼女が生まれたのはおよそ40年前。ただし人間に換算すれば20歳前後である。
-
>>79
ごしごし。
ごしごし。
きゅっきゅっきゅっ、にゃー。
ウルトラじょうずに、ふけましたー。
「……あ、ありがとうございました」
洗浄前とは打って変わって綺麗になった。
服装が血液だのなんだので汚れているのを除けば、だが。
-
-砂海-
「いつまで経っても学ばないものだな」
砂の海を単独で動くことが出来るヴォルグ。
執行官候補生の中でも唯一人この能力を有している。
ラダの技術力を持ってして生まれた者だからこそだろう。
この国の技術は独自で、他の国とは一線を画している。
ヴォルグなどは人の姿とはとても呼べない容姿だ。
狼とケンタウロスの融合された外見。顔や体には多くの傷が刻まれている。
「懲りない連中だ」
今日も砂の海を自由気ままに暴れ回る砂賊の一団の相手をしている。
砂海は独特の流れと毒を含む広大な土地で、単独での行動は不可能だ。
ひとたび海原に飛びだせばすぐさま飲み込まれて藻屑となることだろう。
だが物事には例外が存在する。その例外がヴォルグだ。
砂賊「ゲェー!ラダの執行官!」
「お前たちも牢獄送りだ。
アーティファクトを略奪する輩は容赦せん」
国に忠実な騎士。迷いがない男
-
>>80
リューディ
「あとは服ですけど・・・。わたしのでは少し小さいでしょうか?」
身長およそ125cm。
とはいえ砂海方面の僧衣なので多少はゆったりとしている。
リューディ
「替えの服とかはありませんよねえ・・・。」
アスティ
「ショウくん・・・そのおじさんの家には戻る気はある?」
-
>>82
「え、えーっと……大丈夫だと思います」
ショウの身長は130cmに届くか届かないか、と言ったところだ。
ゆったりとしている服装というのもあって、問題は無いだろう。
また、当然というべきか替えの服などは持っていない様子。
「……戻りたくは……ないです」
アスティの問いかけに、何処か迷いを感じさせる表情で答える。
多少なりと、引き取ってもらった事に恩義は感じているのかもしれない。
受けている仕打ちを考えると、少しの恩義を感じるだけでも大したものだろうが……
-
>>83
アスティ
「そっか。じゃあ新しい君の誕生祝いに
お姉さんたちが服と最低限の旅道具をあげよう。」
返事を聞かずに買い物に出かける。
リューディ
「そういえば剣とか何か武器は使える?」
-
>>84
「あ、あの……貰えるなら、刀が良いです」
早速とばかりに出かけたアスティを見送り、リューディの質問に答える。
「基本は本で学んだから、多分大丈夫だと思います」
-
>>85
リューディ
「お、結構本を読むほうですか。じゃあ・・・。」
何冊かのボロボロになった本を取り出す。
リューディ
「食べられる野草、よく生えている薬草、その他野戦に関する本です。」
-
>>86
「はい、家に本は沢山あったんです。
おじさん達が居ない時にこっそり読んでました」
と、答えた。
「わあ、ありがとうございます!
……あ、あの、最後のは必要なんでしょうか?」
『野戦に関する本』を見てぽつりと。
幼くしてサバイバーとなるには、必要なのかもしれない。
-
>>87
リューディ
「野宿の時の知恵も詰まってるのですよ。たとえば・・・。」
しばらくの後、アスティが服や装備を買い揃えて戻ってくる。
軽めの鎧、刀、衣類、初級冒険者旅立ちセット。
そしておよそ一週間の宿代程度が入った財布。
アスティ
「とりあえずラダの冒険者ギルドの『初心者のすすめ』を基準に集めてきたわ。」
-
>>88
「……ふんふん、なるほど。
あ、アスティさん、おかえりなさい」
リューティの話をすっかり聞き入っていたようだ。
「わぁ、こんなに……あの、本当に良いんですか?」
冒険者旅立ちセットに加えて資金まで用意してくれた事に、申し訳なさそうに問い掛ける。
既に買ってしまったのだから、今更言っても仕方ないだろうに。
-
>>89
リューディ
「子供が遠慮するものじゃありません。」
アスティ
「何なら一緒にラダまで来る?
騎士になれるまで鍛えてあげてもいいけど。」
この時の思いつきが後に鬼教官を生むこととなる。
しかし誰一人としてそんなことには気づくはずはないだろう。
-
>>90
「は、はい、分かりました」
と言う訳で、好意に素直に甘える事にしたようだが、
「さ、さすがにそこまでは!
旅の道具や装備を用意してもらっただけで、もういっぱいいっぱいですから!」
これ以上は申し訳ない、と断りを入れるショウ。
――もしかすると、危機的な何かを感じ取ったのかもしれない。たぶん。
「……えっと、その。
アスティさん、リューディさん、本当にありがとうございます。このご恩は忘れません」
と、年に似合わず畏まり、お辞儀と共にお礼を述べた。
-
>>91
アスティ
「そっか。じゃあもしラダに来ることがあったら、聖堂まで顔見せに来てね。」
リューディ
「とびっきりのいい男に育つのですよ。」
ニッコリと笑う二人。
彼女達のもう一つの側面を知らなければ聖母のようにも見えるだろう。
-
>>92
「はい、お二人もお元気で!
……いい男になれるかは、分かりませんけど」
困ったようで、しかし照れ臭そうな笑顔を見せて、二人の笑みに応えた。
彼女達のもう一つの側面――ショウはそれを知る由もない。
しかし、仮に知っていたとしても、彼の反応は変わらなかっただろう。
虐待から逃れようと家を出たは良いものの、何をすべきかも分からず迷っていた。
そんな自分に“道”と、そして“自分”を教えてくれたのは、彼女らなのだから。
――その後は、特に語る事も無い。
一つの目標を持った少年は旅立ち、二人の聖職者はやるべき事に戻っただけ。
機会があれば、もう一度巡り合う時が、いつかきっと来るだろう。
-
--前回までのあらすじ--
買い物途中のリッキーの前に現れたレイジ。
ジェフを通じて、彼がデュアリスト狩りのデュアリストと知ったリッキーは、
仕掛けられた戦いを受けて立つ。
ジェフも合流して刃を交える二組の”兄弟”―。
その最中、レイジ達が自らの意思でデュアルモードを発動させた!
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「次のステージぃ?何のことか知らねーが、黙ってやられたりしねーよ!」
ライザーに触れ、路傍に落ちたままのグレイヴをしまいつつナックルブレードを装着。
迫る灰色の拳に右ストレートで真っ向勝負を挑む。
-
>>94
ぶつかり合うブレードと灰色の拳、触れて気付くだろうがこの拳は霊体にもダメージを与える一種の呪いのような効果を持っている。
しかも、レイジの拳をという物理物を介しているせいで実体にもダメージが入るようだ。
灰色の気に守られた拳がブレードと真っ向から押し合う
「ハハハ!!楽しませてくれるじゃないか!!喜べよ、殺風ェッ!!」
自由なもう片方の手に、いつの間にか刀が握られている。レイジ/殺風はそれをジェフに向かって振り下ろす
-
>>95
「ぐっ!?」
《うっ!? ジェフリーさん、この拳……一端下がりましょう!》
押される右腕が重くしびれるように痛む。
そのせいだろう、脇にブレードを携えた拳が押されていく。
「下がる、つったって……! やべっ!!」
押されるまま、後ろに倒れこむように振り下ろされた刀をかわそうとする。
「うあああああっ!」
《うわああああっ!》
服が裂け、鮮血が舞う。
致命傷にこそなり損ねたが、その刃はリッキーの肉体に傷を刻み付けた。
仰向けに倒れていく。
-
>>96
「こんなものか?」
『少しは骨はあろう?』
刀を振り抜き、付着した血を払うレイジ
デュアルモードを完全に使いこなしているように見える。
「俺達が楽しめないならさっさと壊すまでだ」
-
>>97
「くっ……リッキー、大丈夫か?」
《……な、なんとかまだ……立てそうです》
手をついてふらふらと立ち上がる。
「こいつら……使いこなしてる……」
《この場所で続けるのは、まずいですね……。周囲にも被害が……》
「かといって、退けそーもねー……」
じり……と、一歩下がる。
《確か、右手にある路地の先は行き止まり……。なんとかそこまで行きましょう……》
じりじりと、距離を取ろうとする。
夕日の残光が徐々に消えていく街路に赤い跡が伸びていく。
-
>>98
(…夕刻ももうじき終わりか…惜しいが、全力解放が出来ないだけだし問題はないだろう)
「そうだ、立ってくれないと面白くないぞ」
『我が闘争、終えるには早すぎる』
両手で刀を握り、構えるレイジ。
「避けられるかぁ!?」
そしてすぐさまジェフリーに向かって斬りかかる
-
-ネクロの工房・外-
逆から術式を構築するという発想にいきついたネクロは慎重に術式を創り上げて行った。
そして、本来は夕焼け色の光を放つ黄昏の魔弾の魔法陣が青白い光を放ちだしたのに気付く
周囲の温度も、多少下がってきた
「よし…上手く行ってる」
魔術、魔道書に対して元々高い適正を持っているネクロだがここまで慎重に事を進めている
ところで、完成したらその魔弾はどうするつもりなのだろうか?と楓は疑問に思うかもしれない。
-
>>99
「くっそぉ!」
咄嗟にブレードで受ける。
右手のナックルに左手を添え、渾身の力を込めて押し返そうとする。
が、出血と痛みのせいだろう、見る間に押されていく。
《受け切れない……! ブレードを右に傾けて!》
「こ、こうか!?」
ぎりぎりではあるが、リッキーの判断に従って刀の軌道を外そうとする。
《これで体勢を崩せれば、その隙に路地まで……。
無理だったら―無理でも、何とか行くしかない!》
-
>>100
「その魔弾が完成したら、戦闘にでも使うの?
攻撃手段は多いに越したことはないものね」
なんとなく、そんな使い方をするんじゃないかと予想している。
-
>>100
「な、なんか冷えてきてない?」
楓と一緒に見ている。
-
>>101
「おっと!」
体勢を崩されて踏みとどまるレイジ
『剣の心得はあれど経験は無し、そこが荒に繋がったな』
「うるせぇよ」
余裕を見せる会話だが、隙が生まれた
-
>>102-103
「まだ素早く組みあげられないから、すぐに戦闘で多用ってわけにはいかないな」
ようやく、青白い球体がネクロの掌に生まれる。
良く見ると光が渦巻き続けてる事で球体の形をかたどっているそれは、周囲の温度をゆっくりとだが確実に奪っているように感じる
「っ…しかし身体になじまない術式だ…楓、試しに受けてもらえないか?防いで構わないから」
ランタナは近くにいると危ないぞ?と言った。
-
>>104
《今です!》
「おう!」
その隙を突いて、2,3歩後退。
そして迷わずに路地までふらつきながらも駆け込む。
見失うことはないだろうが、流れる血の跡がレイジ達を確実に案内するだろう。
街に闇が迫る。
一番星は既に天に淡く輝いているが、月はない。
『あれ……体が、軽い?』
路地までの道中、なぜかふらつきが消えていく……。
「なわけーねーだろ。全っ然……楽になんねー……って、おいリッキー?
なんかおめーの声がさっきから離れてくんだけど……」
-
>>105
「あんた実験台に私を選ぶとは…これでも女なんですけど。
まったく私のことをなんだと思ってるんだか」
とぶつぶつ不平を垂れながらもしっかりと防御の構えを取ってくれている。
マエストロのもとで修業していた仲なのだから、今さらなのだろう。
-
>>106
「こんな場所で仕切り直しかい?」
と、底冷えするような声が聞こえた。
当然だが、すぐさまレイジが後を追ってきたようだ
「夕日が沈んじまったが、大した問題はないな…月もない夜に同情するよ、お前らの末路って奴をな」
刀ではなく、再び拳を構え、『破壊』する事を宣言するレイジ
-
>>105
「おー」
青白い球体を見てさすがに感心か何かしたらしい。
「はいはーい」
離れる。
>>107
「レディは大切にしないとだめだよねー?」
-
>>107
「信頼してるから頼んでるんだよ、お前だけならお願いできるからな、こんな事」
などと言いながら、魔弾を撃つ構えを取るネクロ
(お前以外じゃ危なくて試せないしな、こんなの)
「行くぜ楓!…術名は記載されてないから、とりあえず黄昏の魔弾…いっけぇっ!!」
青白い冷気を纏った魔弾が、楓の方に放たれた。大きさは大したことはないので、受けきれない事はないだろう。
-
>>108
「っはぁ……はぁ……」
振り返ったジェフは息が切れている。
『月のない……そうか……それで……』
リッキーが何か納得したように呟いた。
そして闇が訪れた―。
街灯の灯も遠い路地の中だ、常人の視力はがたりと落ちるだろう。
が、レイジと殺風には見えた。
「え、ちょ、のわぁぁぁあぁああ!?」
正面にいる少年の身体から、少年の霊が弾きだされる光景が。
-
>>110
「はいはいどうも」
ネクロの言葉などあまり聞いていないのか適当に聞き流している。
(まあこれくらいの大きさなら受けきれないこともないか)
避けずにそのまま防御した。
威力もそこまで高くないものだろうと判断したのだ。
-
>>111
「どういう事だ?」
『我にも分からぬ』
何が起こったか今いち判断しかねているレイジ達。しかしやる事は決まっている。
「まあ何でもいいさ、弾きだされたなら別々に壊すまで!!」
そう言いながら地面を蹴り、霊を弾きだした身体…つまりリッキーを狙って拳を振り下ろした
-
>>112
防御した瞬間、楓は寒気を感じる。いや、これは寒気と呼ぶべきものだろうか?
魔弾に触れた瞬間、体温がその魔弾に吸い取られていくのに気づくだろう。
それだけじゃない。魔弾の温度はどんどん下がっている。このままもし魔弾が存在したら…自分は凍てついてしまうのではと危惧するだろう。
しかし、魔弾は最小威力で放たれた為、そのまま消えてしまった。
後には、冷え切った身体に震える楓がいるだろう。
たとえるなら薄着で雪山の頂上にいたような感じだ。
「だ、大丈夫か楓!?」
-
>>113
「―【ダーク・ショット】」
振り下ろされた拳に、何かが衝突した。
通常ならば骨が砕けるかとも思えるほど強烈な一撃。
デュアルモードで強化されている今でも、手が赤く痛むことだろう。
『いってて……何すんだy……』
弾き出されたジェフが見たのは、ただその掌を拳に向けているだけのリッキー。
だが、何かが違う……。
『り、リッキー……?』
普段とは違う雰囲気を感じ取り、思わず後ずさりするジェフ。
-
>>115
「ぐっ…!?」
力を手に入れてから、久しぶりに感じる痛みに驚くレイジ
「なんだ…いきなり力が…?」
『この者、闇の中に己に見出すのか…?』
-
>>114
ぶるぶると体を震わせながら肘を両手で抱く仕草をする楓
「さっ…む……大丈夫。体温を奪われただけみたいだから怪我はない」
しゃがみ込んで体を抱いている。
まるで自分一人だけが極寒の世界にいるような。
「その技、人に向けて使う時は注意した方がいいっぽいかな。
私だから良かったものの、へへ」
-
>>117
「体温を奪う…加熱の逆は奪熱って事か?」
寒さに震える楓の話を聞いて術の特性を把握するネクロ
「そうだな、思った以上の威力だったし手加減しなかったらと思うとぞっとする」
身につけていた黒マントを外して、楓に被せる
「ないよりはマシだろ?こんな事につきあわせて悪かったな」
-
>>118
「マシかどうかも分からないレベルよ。
体の内側から体温奪われてる感じだから、取り敢えず受け取っておくけど」
マントを羽織る。
「雪国で遺跡調査をすることもあるだろうし、良い経験になったわよ」
-
>>116
「やっとわかりました。ぼくの力―」
『うぇ……?』
驚くレイジ達を見据えながら、ライザーに触れてグレイヴをその手に取る。
「闇が深ければ深いほど、光が遠ければ遠いほど―」
グレイヴの刃先が横にそれた。
その跡に現れたのは漆黒の穴、あるいは闇の瞳。
「ぼくの力は、強く出せる!」
刃先及び穴をレイジに向けると、そのまま突きかかった。
―速い。 対応できぬほどではないが、かわしたほうが賢明か―
-
>>119
「かなりえげつない技だって事だな…こりゃあジジィも俺達に教えなかったわけだ」
誤った使い方をすれば、とんでもない事態を引き起こしかねない
「暖かいもんでも飲んで温まった方が良いな…立てるか?」
と、手を差し出す
「雪国、か…俺、寒いとこは強いんだよな」
-
>>118-119
「すごいや……」
一部始終を見ていたランタナが感嘆の声を上げる。
「(使ってみたい……。あ、でも、契約しちゃだめだしなー)」
-
>>120
「片方の力が増幅したおかげで、相方が飛ばされたわけか!?」
『さてな』
突き出されたグレイブから逃れるように後退するレイジ
「とりあえず素手じゃ不利だ、殺風、任すぞ!」
『御意』
退き、姿勢を低くすると再び刀を構え出した
-
>>122
「お、珍しくランタナも驚いているようだな…そうだな、そうやって素直に俺を褒める分には全然構わないぞー」
ランタナが何を考えているかも知らず、気楽なものである
-
>>121
「こんなことならネクロ弟に溜めさせるべきだった。
生きてるわけではないから寒いの強そうだし」
ネクロの手は掴まずに一人で立ち上がる。
問題ないということだろう。
「うん、ちょっと暖まるものでも飲みたいかな。
寒いのに強いなんて羨ましいわね」
-
>>123
「―」
何か詠唱するリッキー。
詠唱しながらも、グレイヴを下段に構えなおす。
「はぁっ!」
気合と共に振り上げられるグレイヴ。
その峰の背後で、柄に繋がれた闇の瞳が妖しく魔力を宿した。
-
>>125
「言わなかったか?俺実は雪国だからな」
初耳だろう。楓がマエストロに弟子入りした時からネクロはもうマエストロと一緒にいたのだから。
「じゃあ、暖かい紅茶でも入れてやろう」
-
>>124
「さすがにこれは見直したよーネクロー」
いつもの調子で、褒めてるのだろうが貶されてるような気もしなくもない一言。
「(ま、やめとこ。
苦労して掴んだものなのになんか悪いし……)」
-
>>126
「まるで『こちら側』だな…死後も妖の類に似た者を相手にするとは…因果とは面白い」
その様子に怯む事なく、灰色のオーラを纏った殺風は暴風を起こしながらリチャードに迫る
間合いに入ったと同時に刀を横一閃に振るうつもりだ。
-
>>127
「へぇ、雪国出身とは知らなかった。どんな国なの?
サンキュー助かる」
と笑顔で工房に突入。
ソファーにどかっと我がもの顔で倒れ込む。
相変わらず自分の私物だとでも言わんばかりの態度だ。
-
>>129
「(来た……!)」
暴風に押され若干下がるが、そのままグレイヴを振りぬいた。
しかしそれは殺風を切り裂くことはできなかった。
が、
「―【ブラインド】」
"闇の瞳"が殺風を見た瞬間、リッキーは魔術を発動させた。
一瞬で殺風達の視界が闇に覆われる。
その隙に、間合いを外してさらに背後に回りこんだ。
(ジェフリーさん、ぼくの後ろに)
『あ、お、おう……』
-
>>128
「ハッハッハー、相変わらず本心か分からない事言いやがって」
と言いつつも新術を手に入れた事は嬉しいのか笑顔だった。
>>130
「んー…雪と氷ばっかの寒いだけの土地だったよ」
多くは語らず、簡単に話した。自然体な口ぶりなので何かを隠してる風には見えないが。
「そして本当に遠慮を知らない奴だなお前は…」
呆れながら、ネクロは楓をねぎらうべく暖かい紅茶を淹れるのだった
-
>>131
「なんと!?」
『視界が…くそ、落ち着け、気配までは消せないはずだ』
刀を下段に降ろして闇の中周囲を警戒する
-
>>132
「冗談だよ☆」
「って、言ったらどーするー?」
と、またからかう。
「(つくづく思うけど……おいらの力って、反則だよな……。
なんで大いなるお父様は……)」
内心に呟きを秘めていることは、誰も気付かないだろう。
-
>>132
「まあ雪国って過酷な環境よね。
食物だって育ちにくい場所だろうし」
ふうん、と楓は頷いた。
「これは正当な見返りよ!実験台になったんだから」
-
>>133
確かに、気配までは消えないようだ。
背後に回り込む気配を感じる。さらにその背後に隠れる霊の気配も。
「【ダーク・ショット】 ―」
闇の魔弾を放ち、そして詠唱。
殺風たちの視界に光はまだ差さない。
しかし、声と、飛来する力の気配がしただろう。
その力は、ジェフが弾かれて間もなく拳に打ち込まれたそれと同じだ。
-
>>134
「ったく、お前ってホントに飄々としてやがんな……大人ぶったって、その姿じゃガキと変わらないんだからな、あんまり本心隠したりするんじゃないぞ?」
何かうっすらと感じたのか、ネクロは子供に聞かせるような口ぶりでそう言った。
>>135
「実験台とか大声で言うなって…何事かと思われるだろう」
ただでさえ、スラム街にある不気味な屋敷という認識を世間に持たれているのだ。
-
>>136
「ぬぅん!!」
気配に身体を向け、迫る力の気配に刃を振るった。
闇の魔弾を斬り落とし、移動した気配の方向へ踏みこんで突きを放つ
『視界がないのがこうも不便とはな…眼が悪いのは前からだが、これは堪える』
-
>>137
「間違ったことは言ってないんだけどぉ?
それとも何かやましいことでもしてるのかなネクロ君」
にやにやと笑みを浮かべながらからかう
-
>>138
「!」
魔弾はたやすく落ちる。
続いて繰り出された突きに手ごたえがある。
しかし
「はっ」
同時に、リッキーも突きを繰り出していた。
グレイヴと刀ではリーチの差がある。その分だけ、リッキーに増えた傷は浅くすんでいる。
そこでようやく視界に光が戻った。
魔力を抱いた闇の瞳が、刃の向こうから二人を見据えていた―
-
>>139
このままでは、何時も通り楓のペースで会話が進んでしまう。ネクロは何か思いついた顔になり
「…してたらどうする?俺だって魔術師だ、公にできない研究の一つは二つ、平気でしてるかもしれないぜ?」
と、にやにやする楓をからかってみる
-
>>141
「な、あんたやっぱり何かしてるってわけ!?
変態!変態!変態!変態!」
クッションで自分とネクロの間に壁を作りながら罵る。
-
>>140
『ぬぐ…不覚……!?』
ダメージを負い、レイジと入れ替わる殺風
「眼が…!?く、しくじったか!!」
悪霊の拳を咄嗟に放つが、間に合うだろうか?
-
>>141-142
「変態ヘンターイ☆」
楓と一緒になって罵……いや、からかう。
-
>>142
「ああ、あれは大学の図書館で偶然見つけた禁書の写本から始まった…って冗談だ、冗談、そんな壁作るんじゃねぇっつの!」
クッションを奪い取るネクロ
-
>>144
「お前意味分かって行ってるんだろうなあおい!?」
殴れる対象じゃないので怒鳴るしか反撃手段がない
-
>>145
「ああん、私のクッションが〜!」
名残惜しそうに手を伸ばすが間に合わなかった。
「考えてみればあんたにそんな度胸があるわけないか」
-
>>143
リッキーの口元がわらうように形を変えた。
「―【ダークネス・カノン】」
闇の瞳から、強大な闇の魔力が放たれた。
悪霊の拳が飲み込まれ、闇に沈んでいく―
『ちょ、ちょ待ーてーよ!リッキーストッーーープ!!!』
が、それがレイジを直撃することはなかった。
軌道が逸れてその右肩を抉るように打ち据えていっただけ―。
遅れて、背後の壁が崩れる音がした。
-
>>147
「元は俺の部屋のもんだろうが!」
クッションを投げて楓に返すネクロ
「ったく…そうだよ、俺にそんな悪どい研究が出来るかっての、今の研究だって全うにデウ…ゴホン、ともかく、今やってるものも全うな研究だから信用しろって」
-
>>148
「くっ……」
デュアルモードが解除され、元の状態に戻るレイジ。
倒れはしないが辛うじて片膝をつく
「まさか、新月に力を得るとは…まるで魔族みたいな奴だな」
『我、まさか二度に渡り不覚を取るとは……力におぼれ、敵を侮ったか?』
-
>>149
「へぶっ」
顔面で受け止めることになったクッション
クッションが顔から落ちると鼻を赤くした楓の顔が現れた。
「信用もなにも、研究内容すら知らされてないんですけど私」
-
>>151
「それはいくら楓でも教えられないな…どっち道、まだ初期段階で見せられるレベルですらないしな」
全然進んでないくせに誇らしげに語っている
-
>>150
「ジェフリーさん、なんで止めるんですか?」
ふと顔を上げると、赤毛を揺らしながら背後に抗議をするリッキーと
『おま、あのままじゃあいつら死んでたぜ!?』
デュアライザーを掴みつつ、背後から抱え込むようにその身を押さえるジェフがいた。
どうやらジェフが”闇の魔砲”の射線をずらしたらしい。
そのためにレイジの傷が横に伸びたが……。
「でも、このままだと他のデュアリスト達が殺されるかもしれないんですよ?」
『だ、だからって、あそこまでやるこたーねーだろ!』
リッキーを押さえながら、ジェフが指差す先には壁。
闇の力に破壊された壁は穴が空いている。
しかし―瓦礫は一つも見当たらない。闇に消えていったのだろうか。
あれが命中していたとすれば……
-
>>152
「見せられるレベルでもないのに随分と偉そうな。
はいはい、それなら期待しないで待っておくわ」
手をひらひらと振って答える。
「ま、私もここにずっと滞在するわけではないから
完成は見られないかもしれないけど」
-
>>153
「少年に助けられたってわけか…」
壊してきた自分が、壊されかけていたと言うのか
『その者の言う通り、我々は戦いの決着を求める者…故にこの場で敗北しようが、命あらば次なる機会に必ず敵を討つ』
「殺風の言う通りだな…俺達は止められんよ、一度堕ちたら二度と戻れない…それが修羅道だ」
リチャードを見るレイジ
「今までデュアリストを狩ってきた俺が許せないなら討つと良い…だが、≪自分の為に≫相手を討った瞬間、お前も俺達の仲間入りだ。脅すわけでも命乞いでもないが、覚悟はしておけよ?」
-
>>154
「考古学者様は忙しいってか」
「まー…完成は遠いだろうしな」
(俺が生きてる間に完成…しないだろうなあ…)
そこで、ふとある事に気付く
「なあ、あのデットコピーはまだ戻ってこないのか?」
ネクロ弟の事だ
-
>>156
「まだ卵だけどね。だからこそ学ぶこともいっぱいなの」
遺跡の調査は歴史を明かすことにも繋がることだ。
楓にはそれが魅力的なのだろう。
「連絡手段もないから今どこにいるのかも分からないもん。
案外機能停止でもしてたりして」
-
>>157
「お前そんな冷たい物言いを……」
ネクロ弟「全くだ、短い間だがコンビを組んだと言うのに…お前の人間性を疑うしかないと言わせてもらおう」
「ああ、その通りだまったk…っておい、何時から戻ってた!?」
さもいる事が当たり前と言うように、台所の椅子に座っているネクロ弟
ネクロ弟「少し前だ、具体的に言うと楓とお前がクッションを取りあう前後か」
-
>>155
「…………」
レイジの言葉に、無言をもって答えるリッキー。
『……俺だって、聞いた話だけじゃおめーら許せねーぜ。
でもよー、目の前であんなのをあn……相棒がなんてよ、気分いーわけねーだろ。
それにおめー……』
何か続けかけるジェフ。
『……なんでもねー。
リッキー、帰んぞ。ぶっちゃけあいつらもこの場じゃもうやる気でねーって』
「ジェフリーさん……」
ライザーを嵌めたリッキーの手を引いて、ジェフは路地を後にする。
それに引きずられるように去っていくリッキー。
ジェフの横顔が、何か思い悩むような色を浮かべていた。
-
>>158
「冷たいって言われてもゾンビだからねぇ。特にはってあんたいつの間に!
帰ってきたなら来たって言いなさいよね!死人に人間性を疑われる私ってどうなの」
-
>>158
「え、ひょっとして二人とも気付いてなかったー?」
コイツは気付いてた。
「しっかしよく似てるなー……」
足元でネクロ弟観察中。
-
>>160-161
「死人とは思ってないから助けたんじゃないのか…?」
ネクロ弟「オリジナル、楓の言動の不明瞭さにはついていけない、ここは付き合いの長いオリジナルの翻訳を切に求めると言わせてもらおう」
「止めろ、その声でそんな理屈っぽい喋り方すんな…」
そしてランタナに気付くネクロ弟
ネクロ弟「当然だ、俺はオリジナルを模倣する為に作られたのだからな」
ひょいと持ち上げる
-
>>162
「へー……おいら達で言うレプリカドールみたいなもんかー」
持ち上げられつつ、さらに観察。
-
>>159
「それに…何だって言うんだ?」
その場を去った二人に、聞こえない問いかけをするレイジ
『レイジ…』
「面白いじゃないか…デュアルモードを使いこなすだけじゃデュアリストに勝てない…そういう展開は俺好みだ」
―――壊しがいがあって、良いじゃないか
夜の帳に取り残されたレイジは、そう告げてその場から去るのだった
-
>>162
「最初に見掛けた時は本人だと思ってたからね。そりゃ助けるわよ。
というか誰であっても助けるけどもさ。助けたらゾンビってことで驚いたなー」
そして面倒な事件に巻き込まれていたことを思い出した。
-
--路地--
レイジらも去った後、一人のこどもが現れた。
「すばらしい力」
破片もなく空けられた壁の穴に触れながら呟く少年の声。
「強大な力。でも」
その淵を指でなぞりながら呟く少女の声
「ボクたちの望む力ではない」
「そう、イレギュラー」
やがて、騒ぎを聞きつけ血痕を辿った騎士達が駆けつけてきた。
そのこどもは、騎士の問いにこう答えた。
「気になって見てみたら、こんな風になってた。誰もいなかったよ」
普通の子供と同じような受け答え。
それによって、二組の兄弟を隠したのだった……。
-
>>165
「ああ、それで俺のコピーを殺して回ってる奴と戦ったんだっけ?」
「…その事なんだけどさ…俺の偽物、実は以前にも帝都で出てるんだよ…」
楓からすれば初耳だろう
「そんときはもう殺された後で、死体をもう調べてたんだ…そしたらこんなものが出てきた」
瓶詰めされたものを見せられる。
液体の中には黒いビーダマのようなものが入っていた。
「俺の知る知識ではどういう造りになっているかまでは解明できなかったけど、この球の中には人間の脳みそ一個分に匹敵する情報が埋め込んである…死体に組み込んで、臓器を動くようにすれば簡単にゾンビか何かを創れる程のな」
-
>>167
ネクロ弟の腕の中から、瓶の中身に視線を向ける。
「コアクリスタルみたいなもんかー……それもディストートのほうっぽい」
そう呟いた。
ランタナは似たようなモノを知っている。ネクロも楓もそう感づくだろう……
-
>>167
「この小さな物体にそれだけの情報が?
信じられない技術ね。いったい何者よ作った人間は」
まじまじと見つめている。
いずれにしろ、並大抵の人間ではないことが容易に分かる。
「ゾンビを作って何がしたいんだか。
訳のわからない計画なんて考えて」
ちらっとネクロ弟に視線を移す。
-
>>168
ネクロ弟「ディストートとは何だ?と素朴な疑問を提示させてもらおう」
「…何か知ってるのか?ランタナ」
>>169
「造ったのは人間じゃなかったりしてな…冗談だ」
「確かにな、俺のコピー作って兵隊を作りたいにしてもなんか効率が悪そうだし…」
ネクロ弟「……そうだな、俺の中ではもう時効だし、話しても良いかもしれない」
ネクロ弟「俺達が作られた理由と、作られた俺達が『実験』によって殺される理由を、な」
-
>>168
「ディストートも気になるけどこの人形が動いてる仕組みも気になるな私は」
未だに人形に悪魔やその類のものが入りこんで動かしてると考えているらしい。
「慎重にやるから解体してみたいという研究者魂が」
危ない人間だった。
>>170
「人間じゃなかったら誰が作るのよ。神がこんな悪趣味なことしたってわけ?」
そしてネクロ弟が急に語り出したのでそちらに耳を傾けた。
「作られた理由と実験の目的か。誰が作ったのかも知ってるの?」
-
>>170-171
「てゆーか、おいら達ドールと似てるなーって。
おいら達も魔力とか知識とか情報が詰め込まれたコア・クリスタルって言うのを持ってんの。
まー、おいらの場合はコア・プリズムだけど。
コアを組み込むのが死体じゃなくて人形ってだけの違いしかないと思うなー」
ちら、と楓を見る。
つまり自分はネクロ弟と変わらない仕組みで動いているといいたいのだ。
と、ネクロ弟を振り返る。
「ディストート……最悪のコアだよ。
人の魂を邪悪な術で改造して作ったコア。
おいら達プリズムドール……
他のドールより強大な力を持ったドールのレプリカ作るために使われてる。
改造された魂は永遠に転生できないで消えてくだけ……」
顔色が暗くなる。
-
>>44-47
ダイヤモンド・ドラゴンはゼットンを一瞥すると、人間で言うならば鼻で笑うような態度を取った。
D・ドラゴン『そのままブレスを吐くか?貴様とて無事では済まないんじゃないか?』
S・ドラゴン『強がりは止めろよダイヤモンド・ドラゴン!一体何がお前をそうさせるんだ!』
D・『………』
頑固者と称されるだけあってダイヤモンド・ドラゴンは真相を語ろうとはしない。
このままでは自分の身が危険になろうともガルズラにブレスを発射してしまう
しかしその意識はオリビンには向いていない。雛だからと完全に無視しているのだろう。
-
>>173
ゼットン(いいや、俺様にはなんら問題はない。
鍛え方が違うからな、がっはっは!)
「私に構うな、やれゼットン!」
トラジーの指示を聞き、口内に莫大なエネルギーが溜まり始めた。
発射すればお腹に大きな穴が空き倒せるだろう威力だ。
真相は分からなくなってしまうが、ガルズラを失うのと天秤にかけるなら迷う必要などない。
-
>>173
エル「くそっ、こうなりゃ俺様の全力魔術で!」
ガル≪・・・いや、待つんだエル≫
何らかの魔術を行使しようとしたエルを、ガルズラが制する。
ガル≪ダイヤモンド・ドラゴン、命を懸けようとする気持ちは評価する。
しかし、今ここでお前が死ねばどうなる?何が残されるか、考えてみろ!≫
D・ドラゴンを正面から見据え、吠える。
絶体絶命の状況にもかかわらず、なんだか怒っているようだ。
-
>>173-175
「でも、これじゃ話が聞けなくなっちゃう……」
ゼットンにあわせるつもりだったが、それでは”止める”意味がない。
そう考えたシャーリーがオリビンと視線を交わした。
「いくよ!」
『きゅ!』
オリビンの視線がダイヤモンド・ドラゴンの翼に向く。
「コールド・スプラッシュ!」
オリビンから凍てつく冷たさの激流が放たれる。
その流れはドラゴンを撃ち落すほどの威力はない。
しかし、だからこそ―
命中した箇所は凍りついていくだろう。
-
>>174-176
ガルズラの問に、初めて金剛石の鱗を持つ竜が怯みを見せた。
ダイヤモンド・ドラゴン『残るもの……外の竜が偉そうに…!!耐え抜いて討ち倒してやるわ!!』
ゼットンのビームを受けようと身構えた時だった。
ノーマークだったオリビンからのまさかの攻撃。
みるみるうちに翼が凍てつき、ダイヤモンド・ドラゴンは空にとどまれなくなる
D・ドラゴン『う、ぐ…!?』
滞空する事が出来ずにガルズラから腕を離し、地面へと落下していく
ゼットンは牙を離しただろう。
サファイヤ・ドラゴン「ダイヤモンド!!」
そのままズトォンと音を立てて雪の上に竜が落下した
-
>>177
エル「うおっ、落ちた」
ガル≪ひとまず助かったか。奴はどうなった?≫
体勢を立て直し、少し高度を下げて様子を見る。
>>176
エル「シャーたんナイス!後でご褒美をあげよう!」
ガル≪オリビンもよくやった≫
-
>>177
今さら止められるはずもないゼットンのエネルギーは
ダイヤモンドドラゴンが地上に落ちた後、空へと放たれた。
曇り空に大きな穴が空き、それは遥か空の彼方まで飛んでいった。
「外したか。ガルズラが助かったのが幸いだな」
そっとシャーリーの頭を撫で
「ゼットン!」
ゼットン(おうよ)
ダイヤモンドドラゴンを追撃した。
雪の上に落ちたドラゴンを、抑えつけるように両足で踏みつける。
一つは凍った羽を。もう一つの足はお腹を
「これで話が聞きやすくなったな」
-
>>177-178
「やった……!」
『きゅ!』
凍りついた翼が解けるまでそう時間は掛からないだろう。
シャーリーとオリビン、二人分の力で放たれたものではあるがまだ未発達なのだから。
「ご褒美? わ、ありがとうございます♪」
『きゅー♪』
トラジーに撫でられて照れながらエルに答える。
「ボクたちの勝ちです。
……お話、聞かせてもらえますか?」
ダイヤモンド・ドラゴンに話しかける。
-
>>178-180
サファイヤ・ドラゴン『…負けたんだ、素直に話を聞かせろよ』
ダイヤモンド・ドラゴン『………クソ』
観念したのかダイヤモンド・ドラゴンは頷いた。
「どうやら、話してくれる気になったようだな…ゼットン、脚を離しても大丈夫だろう」
アスタリオン<…この頑固者は負けたら負けたで潔良くはあるようだな>
ダイヤモンド・ドラゴン『…火を焚く為に、多くの木々が必要だった、俺の住む山はもう限界まで木々を使ったから、他の山の物を使うしかなかった』
サファイヤ・ドラゴン『そんな理由なら言ってくれれば分けたのに…』
-
>>181
ガル≪ふむ・・・≫
近くに降り立ち、D・ドラゴンの言葉に耳を傾ける。
エル「まったくだ、みんなそこまでケチじゃねーだろ。
しかし山の木全部って・・・。宝石竜って寒がりなん?」
-
>>181
ゼットン(ああん?脚を離す必要はないだろう。
こいつが隙を見て逃げ出したりまた襲ってきたりするかもしれないからな)
ヒースの提案をゼットンは却下した。
自分の仲間が後一歩でやられたかもしれないということに対して相当御冠なようだ。
怒髪が天を突く勢いなのだ。素直に口には出さないが
ゼットン(それだけの理由で俺様の手下を襲ったってのか?
やっぱり小物だったながっはっは)
「ゼットン、脚をどかしてあげよう。
困っているようだからな」
ゼットン(けっ、分かったよ)
-
>>181-183
「ほら、ちゃんと話せばよかったのに……」
『きゅ。』
-
情報屋で話を聞いた三人。
分かったことといえば、伝説の暗殺者は噂ではなく実在していること。
東方から貿易商として来た銀月という組織の一部がいること。
そしてその銀月と揉めているのがアーカムシティで勢力を伸ばしているロベルタ商会。
「あーロベルタ商会ってこの前関わったばかりじゃない」
嫌な事を思い出したかのように呟く沙耶。
シロウはなんのことだかまったく分からないだろうが
「これからどうする?その銀月って組織かロベルタ商会に聞き込みでもしてみる?」
いきなりマフィアの組織に乗り込もうなどと提案してくる沙耶の頭のネジは20本くらい外れていることだろう。
-
>>182-184
ダイヤモンド・ドラゴン『黙れ、誇り高き金剛竜である俺が他者に頭を下げるなど出来るか!』
サファイヤ・ドラゴン『……ねえ、もしかして火を焚く理由って……』
何かに気付いたような様子のサファイヤ・ドラゴン
ダイヤモンド・ドラゴン『……そうだよ、卵が産まれそうなんだよ!』
どうやらこの金剛石竜、つがいがいる模様。
ようやく話が分かった。つがいの竜がまさに卵を出産しそうだと言う。
しかしこの雪山で卵を産むのは酷く身体に負担がかかると言う。現に、今彼のつがいは身体が冷え切っているのだろうと言う。
その為、最初は自分の山で木々を集めて燃やしていたが、山に住む少数の動物達の住み家や食料までも奪うわけにはいかなかった言う。
何時もならば、自分の山で採れる木々で薪は足りたはずらしい。
しかし今年は得に極寒が続き、山の中にある木が減っているのだと言う。
-
>>185
「いや、良い兄さんだったな」
まさかの収穫だ、と語る。
シロウ自身としては、本当に感謝の気持ちだけだったのだが。
「沙耶、ロベルタ商会を知ってるのか?
……って、いや流石にそれはマズイだろ。
いきなり部外者が聞き込みに行って、教えてくれる訳が無いじゃないか。
それに、相手は健全な所でも無いんだ。危険すぎる」
実に全うな意見が返ってきた。
おそらく、紅姫も同じような意見を返すだろう。
-
>>186
ゼットン(自分のプライドのせいで結局はあらゆる生き物に迷惑をかけるとはな。
随分と小さなプライドなこった。いや、小物らしいといえば小物らしいか)
「話は分かったが、確かに方法が悪かったな。
頼めば協力してくれるだろうに」
-
>>186
「卵が……それで暖かくしないとだめだったんだ!」
『きゅきゅきゅー♪(わぁ、おめでとう♪)』
今日会ったばかりなのに、素直に祝福しているようだ。
「ボクたちに何かできることないかなあ……」
『きゅー……ぅ』
オリビンは氷竜の子だ。冷やす術はあるかもしれないが
その逆は持っていないだろう。
-
>>183
ガル≪(あいつは後で燃やそう)≫
話を聞きつつ不穏なことを考えている。
>>186
エル「なん・・・だと・・・」
ガル≪やはりそういう事か。
ならば尚のこと、初めから正直に話すべきだったな。
あれでは命を落としていても不思議じゃないぞ≫
などと言っているが、責めるような声色ではない。
元から説教くさい物言いなのだ。
ガル≪さあ、それでは早く動こう≫
おもむろに腰を上げ、伸びをする。
-
>>187
「あの情報屋は信頼できる人物よー話過ぎなことも多々あるけど」
とは沙耶談
「ロベルタ商会はこの前少し揉めちゃってね。
下っ端だったからなんとかなったんだけど」
そう平然と話すが実際は危険な話だ。
紅姫「あらまあ、そんな危険なことを」
「下っ端が勝手に動き回ってただけみたい。
でも善良な市民にいきなり襲ってくるようなマフィアなら即潰されてる気がするけど」
沙耶の言う通り、堅気の人間にいきなり手を出す連中は
ランク分けするなら本当に下の下だろう。そんな組織なら覇道財閥に即潰されているはずだ。
紅姫「私も頼んだ手前まだお付き合いしたいのですが
お仕事の時間が近くなったので、これで失礼します」
どうか危ないと判断したら、身を引いてください。
そう言い残して笑顔で紅姫は去った。やはり遊女の一番は忙しいのだろうか。
-
>>188-190
『俺達金剛石竜は決して他に頼らない、必要な物は全て自分で手に入れ、必要ならば奪うのだ』
サファイヤ・ドラゴン『その考えを改めなかったせいで、僕たち宝石竜は4つの山で各々で寂しく暮らす事になったんじゃないか…』
寂しげな声でサファイヤ・ドラゴンが話す
『………』
そして周りからの言葉に返す言葉もないのか、ダイヤモンド・ドラゴンも無言になった。
『行こうだと?何のつもりだ?』
ヒース「言うまでもないだろう、なあ皆」
-
>>190
ゼットン(はっ…!何やら悪寒が。いや武者震いに違いない)
>>192
「そうだな。話を聞いて終わりにするほど薄情ではないぞ」
ゼットン(付き合ってられねえな。俺はどこかで時間でも潰させてもらう)
ばさっと翼を広げるゼットン。
大きなその翼で羽ばたくと、積もった雪が舞い上がる。キラキラと
「待て、どこに行くつもりだゼットン!」
ゼットン(さあな。適当に時間が経ったら帰ってくらぁ)
トラジーの静止も聞かず飛び立っていってしまった。
「ガーン…私ゼットンに捨てられちゃった」
卒倒して雪に埋もれるトラジー
「この雪からもう出たくない。ここが墓場なんだー!」
-
>>192
ガル≪ああ、まったく野暮な質問だ≫
エル「・・・チッ!仕方ねえ、解決しないと雪菓子食えそうにないからよぉ」
乗り手もやっと立ち上がり、肩を回す。
エル「で、木ってどれくらい要るんだ?」
-
>>190>>192
『きゅ〜?』
「行くって……」
しばらく何のことか理解しそこねるシャーリーとオリビン。
「……そっか! それならボクたちでも」
『きゅ! きゅきゅきゅー!』
それがわかった瞬間、はやく行こうとせかし始めるオリビン。
-
>>191
成る程、と納得したように頷く。
商売が成り立っているのだろうか? という疑問が浮かんだが、まぁ大丈夫だろうと気にしない事にした。
「揉めたって、また平然と言うな……!
下っ端だろうと何であろうと、下手に関わろうとしないでくれ。危険だから」
当然と言うべきか、強い口調で沙耶へと注意する。
沙耶も(ピエロから生まれた、という意味では幼いが)一人の大人だと分かっていても、やはり心配なのだろう。
「まぁ確かにそうだけど、覇道も万能って訳じゃないから――
あ、はい。今日は本当に有り難うございました、お気をつけて」
笑顔で去る紅姫を、挨拶と共に見送った。
-
>>193-195
サファイヤ・ドラゴン『僕の巣の近くまで行きましょう、そこならまだたくさんの木があります』
ダイヤモンド・ドラゴン『………』
信じられないと言うような眼で、君達を見る竜。サファイヤ・ドラゴンが口を開く
S・ドラゴン『ほらね?人間は悪い人ばかりじゃないんだ、それ以上に良い人もいる…君もそろそろ肩肘張るのをやめたらどうだい?』
ダイヤモンド・ドラゴン『……礼は言う』
ヒース「と、トラジー!?そんなところにいると霜焼けで身体中痒くなるぞ!!」
慌てて引っぱり出すヒース。
ヒース「ゼットンにも思う所があるんだろう、戻ってくるまで待てば良いさ!」
サファイヤ・ドラゴンの案内で木をしこたま集める事になった!
-
>>193
「と、トラジーさん!」
雪からトラジーを掘り出そうとするシャーリー。
『きゅー……』
ゼットンに何か言いたいことがあるようです。というか、帰ってきたら言うつもり。
>>197
「ボクたちはずっと竜と暮らしてきたんです。
だから竜が困ってたら助けてあげるのは当たり前です♪」
『きゅきゅきゅーきゅ! (オイラ竜だけど、ニンゲンのシャーリーと友達だもん♪)』
-
>>193
ガル≪まったく、あいつも面倒な性格だな≫
飛び立つゼットンを見て、口の端を釣り上げ苦笑する。
エル「まあまあ、気にすんなよトラジー。
俺がゼットンの代わりになってやるから」
そして四つん這いに。
エル「ほら、背中に乗っても良いんだよ?むしろ乗って!」
>>197
エル「そんで、後どんくらい掛かりそうなんだ?」
木を倒すのはガルズラに任せ、D・ドラゴンに聞いてみる。四つん這いで。
卵を産むまでの期間を訊いているのだろう。
-
>>196
「はい、気をつけます」
と何やら心配してもらうのが嬉しいのか笑顔で返事をした。
「紅姫さんも帰っちゃったし、じゃあどうしようかしら。
表向きは貿易商をしてる銀月に行く?何か知ってても答えてくれないでしょうけど」
・後ろから紅姫に抱きつく
・銀月を訪ねてみる
・ロベルタ商会に突撃してみる
・家に帰る
・ピエロを訪ねる
-
>>197
「うむ、木を集めよう。
ゼットンのやつめ、私を置いていくとは」
ぶつぶつと呟いている。
>>198
すっかり二頭身のようになってしまったトラジーが掘り起こされた。
デフォルト化されたちっこいトラジーは木を集めるようです。
>>199
「エル殿が私の相棒に…ぐす」
鼻水垂れ娘になっているトラジーはちょこんとエルに跨った。
きっと(=ω=.)な顔してる
-
>>198>>199>>201
D・ドラゴン『…おそらくは今日中には産まれるだろうと思う、だからこそ暖かい火が必要だ…俺の雷のブレスでは代わりはできないからな』
サファイヤ・ドラゴン『人と竜が助け合うなんて、素晴らしい場所もあるんだね』
にっこりと笑ってるであろうサファイヤ・ドラゴン。
彼の巣の近くまでいくと、並木がたくさんあった。
この場にある木を全て譲ろうと言う。
かなりの数がここで稼げるだろう。D・ドラゴンも感謝を言いたいらしいが素直になれず先ほどからずっと無言だ。
-
>>200
「分かったならよろしい。
……頼むから、本当に気をつけるんだぞ」
対するシロウはいつもの仏頂面だ。
ただ、笑顔の沙耶に釣られてか、少し柔らかい表情にも見える。
「さて、そうだなぁ。
収穫があるとは思えないけど、銀月とやらを訪ねてみようか。
どんな組織なのか、って事が少しでも知れたら良いんだが」
何故かシロウは一度だけ紅姫の背中へ視線をやって、そう提案した。
表向きは貿易商なのだから、取引目的で訪ねに行く分には問題は無いだろう。
→銀月を訪ねてみる
-
>>202
「だったら急がなきゃ!」
『んきゅっ!』
「うん、ボクたちにできることをだよね!」
木を倒すにも運ぶにも力不足なので枝を拾い集める。
竜の火力からすれば不要かもしれないが、
火がつきやすいものがあると火を起こすのはだいぶ速い
そう、以前ママに教わったとシャーリーは言う。
結構あちこち飛び回るママのようだ。
-
>>201
エル「うほっwwwwやべえイイ!」
くねくねと身悶えして悦んでいる。
エル「た、叩いて!おしり叩いて良いよ!?」
ガル≪木を切れゲス野郎ッ!!!≫
>>202
エル「なるほど、なら俺様の魔術やガルズラの炎で何とかなるだろう」
芋女の椅子にされたまま喋る。
エル「それとテメー、性格直せとは言わないけどよ、次からは他の宝石竜を頼れよー」
ガル≪そうだぞ。誇りも大切だろうが、それよりもっと大切なものがある筈。
こっちから歩み寄れば、きっと向こうも手を差し伸べてくれる。もちろん人間もな≫
-
>>202、>>205
「うむ、お尻を叩く前に木を切らないとね」
きこりトラジーは木を切る。
-
>>204-206
燃えやすく切り分けたたくさんの木が用意できた!
サファイヤ・ドラゴン、ダイヤモンド・ドラゴンの案内で彼の山に向かうとしよう
…それにしてもゼットンはまだ戻ってこないのだろうか?
ダイヤモンド・ドラゴン『…今回は俺に非がある事は認めよう、善処は…する』
もう少し他を頼れと言う言葉にはまだ素直には応じなかったが、進歩はあったようだ。
-
>>203
「あ、今紅姫さんのこと見たでしょ?
色気あるもんねーああいう人が好みなの?」
にやにやとシロウにツッコミを入れる。
銀月を訪ねることになった二人。
場所は商店街を抜けた先にあるようだ。
さすがに表向きは普通の商売をしているだけあって場所も人が多い場所だ。
-銀月の入口-
二階建ての建物で入口には看板があり、銀月と漢字で書いてある。
見た目は至って普通だ。怪しいところなど微塵も感じられない。
「意外にちゃんとしてる」
-
>>208
「ち、違うって、そんなのじゃない。
ただ選択肢として選んでみたかったなって思っただけだよ。
ん? 何を言ってるんだ俺は……まぁ、いいか」
ツッコミに対してこう答えると、二人で銀月へと向かった。
「意外にちゃんとしてるな」
建物を一通り眺めると、沙耶と同じ感想を漏らす。
近くに銀月関係らしき人物は居るだろうか?
-
>>206
エル「チィッ!」
密かに舌打ちし、しぶしぶ木を切るフリをする。
>>207
ガル≪その言葉を聞けただけで満足だよ、私は≫
エル「竜生は長い!気長にいこうぜオイ。
それより出発だ!レッツラゴー!」
ガルズラに木を括り付け、自分も背に乗る。
D・ドラの巣に出発!
-
>>207
「これだけあれば……大丈夫かな?」
『きゅ、きゅきゅー……』
ふたりとも両腕いっぱいに枝を抱えている。
「オリビン大丈夫? 前、見えてる?」
『きゅ〜……』
-
>>209
「そ、それはメタ的な発言だー!
おっと私は何を言って」
どうやら近くにはいないようだ。
エミヤが視線を扉に戻した頃には沙耶が
コンコンコンコンと高速でノックしていた。
「すいませーん!どなたかいませんかー?」
肝が座っているというかなんというか
しばらくしてガチャと扉が開き
黒い服をきたガタイの良い男「どちら様で?」
「なんかすごい人出てきたシロウ」
-
>>207
ゼットンは一向に帰ってくる気配はない。
「これだけ動いていると暑くなる」
マントを脱いで作業中
-
>>212
「お、おい沙耶早まるな――うわぁ」
出てきた男を見て、シロウは思わず変な声を出した。
見た目だけならそれこそ、物語に出てきそうな程に典型的なモノだったからだ。
「……えー、私はこういう者です。
銀月さんの方で、鍛冶仕事に使えそうな素材は取り扱っておられないかと思いまして、いかがでしょうか?」
とりあえず出てきてしまったものは仕方ない。
自分が鍛冶屋である事を説明し、素材があれば取引出来ないだろうか、という事を問い掛ける。
取引が成立するにせよ、しないにせよ、この場を凌ぐ事は出来るだろう。
-
>>210>>211>>213
とりあえず、ゼットン抜きで山へ向かう事になった。
トラジーはガルズラにエルと一緒に、シャーリーとオリビンはアスタリオンに乗る事になる。
ダイヤモンド・ドラゴン『……では、行こう』
サファイヤ・ドラゴン『久しぶりに君の奥さんに会うんだなー…あ、出産前じゃ会うわけにもいかないか』
などと会話しながら、二頭の宝石竜が先頭を飛ぶ
-
「……ぅん」
『お、気ぃついた』
「……ジェフリーさん……。ここは」
『病院。家まで帰りたかったけどさー、おめーの傷結構深くて持ちそーになかったから。
ここの看護婦さんが俺とか見える人でよかったー』
「ジェフリーさん……」
『?』
「ぼくはやりすぎだったんでしょうか」
『あー……』
『止めといてなんだけどわかんね。
たぶん、俺がおめーだったら同じことしてたかもなー……』
「え? でも、一緒に居たじゃないですか」
『うぇ、あ、あーそれはそのー……。
あ、看護婦さーん! リッキー気がついたっす!!』
-
>>215
エル「ぐふふ、しっかり掴まってねトラジー」
ガル≪(幼馴染といったところか。微笑ましいな)≫
2頭の宝石竜を見てそんなことを思う。
-
>>214
黒い服の以下略「……少々お待ちを」
一度中に入っていった男。
そして数分して再び戻ってきた。
黒い「ハオ様がお待ちです。中へどうぞ」
「あ、案内された」
シロウの後ろから覗くような形で男を見ている。
様付けということからどうやら偉い人なのだろう。ハオ様という人物は
-
>>215、>>217
「ゼットンなら放っておいても大丈夫。行こう」
ガルズラに乗って
「分かった!しっかり捕まってる」
ぎゅっとガルズラに捕まった。
-
>>215
『きゅー♪ きゅきゅきゅ……』
「わわ、オリビンつかまってつかまって!」
と、言っても両手いっぱいなので口でシャーリーをくわえる形になるが。
なんとかかんとかアスタリオンの上でバランスを取っている。
-
>>217>>219>>220
「シャーリーもしっかり俺に捕まっておけよ?…まあ、速度も出さないから振り落とされる事はないだろうけども」
サファイヤ・ドラゴン『昔は同じ山で一緒に暮らしていたんだよ?でも何時からか皆自分の力の優劣を決めるようになっちゃって、別々の山で暮らし始めちゃったんだ』
と、昔を思い出して寂しげに語る。
ダイヤモンド・ドラゴン『………あそこだ』
数十分ほど飛んで、別の山が見えてきた。
森はまだ残っているが、虫食いのように地面が見えている。
ダイヤモンド・ドラゴンがギリギリまで木々を集めていたからであろう。
巣は山の頂上のようだ。
ダイヤモンド・ドラゴンの案内でたどり着くと、巨大な巣には焚火の火があった。
その近くに、全長3mほどの竜が蹲っている。
姿かたちを見るにダイヤモンド・ドラゴンと同じ種族のようだ。そして細身の体躯とからも分かるが『彼女』がダイヤモンド・ドラゴンのつがいだろう。
-
>>218
「ありがとうございます」
一礼し、『失礼します』と一言加えて中へと立ち入った。
真面目な状態だからか、沙耶の呟きに対して返答は無い。
さて、建物の中に入ってからというものの。
黒(暗殺者ではない)に悟られぬよう、室内の様子を随時確認している。
何か変わった様子はあるだろうか?
-
>>222
中は和風のようでいて少し違う、大陸の匂いを感じさせる装飾になっていた。
そして建物の奥、二階に案内される。階段を上がると扉がいくつかある。
その中でも一際目立つ朱色の扉。そこを黒いのが開けると一言
黒いの「どうぞ中へ」
そう告げて降りていってしまった。
ハオ「ようこそ銀月へ。鍛冶屋さんだったかな?」
メガネをかけ笑顔のよく似合う男が話しかけてきた。
この男がハオだろう。笑顔が似合うといっても張り付けたような笑顔だ。
しゅっとした体格でやはり黒いスーツを身につけている。
-
>>219
エル「そっちかー!いいよいいよ、トラジーはそれでいいんだ!」
チクショー!
>>221
ガル≪そうだったのか。・・・また昔のように、同じ山に住めるようになると良いな≫
山に到着したので、焚火から少し離れた位置に着地する。
エル「やあやあ奥さん、お美しいですねー」
ガル≪急にお邪魔してすまないな。
我々は・・・。やっぱ詳しい話は旦那さんに訊いてくれ≫
自己紹介を端折った。
ガル≪とにかく木を下ろそう≫
-
>>221
「……また一緒に暮らせないのかな」
そして到着。
「はじめまして! お邪魔します」
『きゅー!』
-
>>221
「知識を持ったドラゴンたちはやはり少数で暮らしたくなってしまうのだろうか。
ゼットン見てると何も考えてなさそうだが」
>>224
「な、何を言ってるんだエル殿?
言われた通りにしただけなのに」
エルの悶絶を他所に木を下ろす作業に入った。
-
>>224-226
D・ドラゴンは、身ごもったつがいを労わるように顔をすりよせていた。
サファイア・ドラゴン『それじゃあ早速薪をくべて暖かくしよう!』
つがいの竜『…この人たちは?』
D・ドラゴン『木を…譲って運んでくれた…気にせず、頑張ってくれ』
つがいの竜『…こんにちは、人間と外の竜の方々…こんな状態でなければ、身体を起こしてお出迎えするのに』
と、優しげな声で出迎えるD・ドラゴンの嫁。あんな頑固者によくもまあこんな優しげな雌竜が嫁いだものだ。
サファイヤ・ドラゴン『知恵がついただけじゃなくて、優劣を決めようとしたのが問題だったのかもね…こんなふうに他を頼る事も素直に出来なくなる程に、頑なになっちゃったんだよ』
と、トラジーの言葉に対して返事をしたのだった。
-
>>223
(和風……というのも少し違うか。
どちらかっていうと――おっと)
黒いのに声を掛けられ、会釈して見送る。
そして、笑顔で話しかけてきた男――ハオへ視線を向けた。
「はい、わざわざお時間を割いて頂き感謝致します。
私はエミヤ、エミヤシロウと申します。よろしくお願い致します」
柔らかい笑顔を浮かべ、一礼と共に挨拶。
「……早速、取引の件に移りたいのですが、よろしいでしょうか」
なお、こちらも同様に正装だ。スーツでは無いが。
取引の場で普段着と言う訳にもいかないので、沙耶にも着替えてもらっている。
-
>>227
「ボクはシャーリーです。それから、」
『きゅきゅー!(オイラはオリビンって言うんだ!)』
アスタリオンから降りて、早速自分たちが抱えている枝を火にくべ始める。
「ボクたち旅をしてて、その途中でダイヤモンド・ドラゴンさんに会ってお話を聞いて、
なにかお手伝いできないかなって」
『……きゅっ!』
-
>>226
エル「いや、トラジーは正しい!自信を持て!
間違っているのは世の中さ・・・」
遠い目
>>227
エル「こ、このロリコンめ!!!」
突然D・ドラゴンに向かって叫ぶ。
ガル≪良い奥さんじゃないか。ほんと対極のような。
・・・さあ、我々の出番らしい≫
S・ドラゴンに促され、焚火に薪をくべ、更にガルズラの炎ブレスで火力を強めた。
ガル≪山火事にならないよう気を付けなければな≫
-
>>228
ハオ「ええ、私は構いませんよ」
張り付いた笑顔を崩さずに受け答えをする。
数々の激戦をくぐりぬけてきたエミヤなら気付くだろう。
ただ座っているだけだが、隙がない。エミヤがどのように動くかも見逃さずに見ている。
そこらのごろつきとはレベルの違う男だ。
ハオ「ああ、自己紹介がまだでしたね。私はハオ。
銀月という貿易商会にいまして、今回こちらに支店を出すこととなり
それを任された立場の者です。以後お見知りおきを、エミヤシロウ君」
(紳士だわ!爽やかな笑顔で好感度も高い……これは女性ファンが付くわね。
今のうちにフィギュアを作って売り捌けば家計の足しに!)
-
>>227
「優劣を付けたがるのは生物の本能だから仕方ないのかもしれないな」
そして山頂より少し下った地点で、ズシンと何やら音がした。
トラジーが確かめに行くと、大量の木がそこには落ちていた。
「……?何やら木が大量に。せっかくだから使わせてもらおう。
おーい、すまないが運ぶのを手伝ってくれ」
>>230
「さすがは賢者様だな。言う事が一々深い!
勉強になる。シャーリーにも色々教えてあげてくれ」
-
>>231
ハオから見て、エミヤの動きはどう映るだろうか。
今エミヤは、敢えて“一般人”としての動きを取っている。
動作一つ一つが緩慢で、言ってしまえば隙だらけにしか見えない筈だ。
ただ、ハオがエミヤの想像以上の強者であるのなら、
この隙だらけの行動が『わざと』であると言う事はすぐにバレてしまうだろう。
僅かながらもハオの様子を見ての判断だったが、吉と出るか凶と出るか――
「成る程……それはめでたい限りですね。
今後とも末永くお付き合い出来れば光栄です、ハオさん」
交流の記念としてか、エミヤが右手を差し出してきた。
その動作もやはり、ハオを警戒している様子の無い、一般人のそれだ。
-
>>229>>230>>232
突然現れた大量の木を見て苦笑するヒース
「彼も素直じゃないな…」
そう言いながらアスタリオンと共に運ぶのを手伝うのだった。
そしてガルズラのブレスによってより強い火が巣の中を温めて行く
サファイヤ・ドラゴン『うーん、これは暖かい!素晴らしいね!』
D・ドラゴン『…どうだ?』
嫁竜『はい、かなり楽になりました…皆さん、ありがとう』
ドラライのロリコン発言の意味が分からないダイヤモンド・ドラゴンであった。
-
>>232
エル「あ、ああ、任せな!みんな一人前の竜乗りにしてやんよ!」
なんか自棄だ。
ガル≪ん?木?
・・・ふん、オスというのはどうしてこうなんだろうな≫
何やらぼやきつつ、落ちてきた木を集める。
>>234
ガル≪そうか、それは良かった≫
木を集め終え、ひと段落といったところか。
ガル≪さて、じゃあ私たちは離れていた方が良いかな≫
-
>>233
ハオ「…そうですね。今後とも末長いお付き合いになるでしょう」
二コリと笑い、握手を交わした。
ハオが何を考えているかは分からない。
「ハオさん、何やら噂でどこかと揉めてるだとか聞きましたけど大丈夫なんですか?」
ここで再び爆弾を投下する沙耶
ハオ「ああ、こちらも困っているところなんですよ。
何を勘違いされているのか、商売敵として見られているみたいなので」
「そうなんですか、大変ですね」
-
>>232
『きゅ?』
突然増えた木を疑問に思うオリビン。
「……くすっ」
その意味に気付いたシャーリーが小さく笑った。
「オリビン、これ、きっとゼットンだよ」
『きゅ!? ……きゅ〜』何か納得したようだ。
>>234
「どういたしまして!」
『きゅ!』
>>235
「いろいろ教えてくださいね、エルさん!」
-
>>234
当のゼットンの姿はどこにもなかった。
「さて、私たちがいたら落ち着けないだろうし
ガルズラの言う通り離れていよう」
-
>>235>>237>>238
巣を離れて、また寒い雪の地に立つこと数十分……
ダイヤモンド・ドラゴンが、ゆっくりと歩いてきた。
サファイヤ・ドラゴン『その様子だと無事に卵を産んだようだね』
ダイヤモンド・ドラゴン『…ああ、三つ子だ』
それを聞いてサファイヤ・ドラゴンは笑顔を見せて空を飛んだ
サファイヤ・ドラゴン『そいつは良かった!おめでとう!!』
ダイヤモンド・ドラゴン『……今回ばかりは人間とお前達に感謝するしかない…だが、用心するんだな…コイツ(S・ドラゴン)のように人に馴れ馴れしい竜はもうこの辺りにはいない』
残りの宝石竜の事だろうか?
しかし、何はともあれダイヤモンド・ドラゴンの問題も解決し、サファイヤ・ドラゴンの誤解も解く事が出来た。
エル・ノア達にとってはめでたしと言った所だろう。
-
>>239
「み、三つ子!それはめでたいな」
雪に埋もれ、顔だけしかでていないが祝福した。
「ゼットンがいるから大丈夫さ。
あいつはとても強いからな!」
-
>>239
「わあ、おめでとうございます!! 三つ子ちゃんかあ……♪」
『きゅきゅきゅきゅきゅー♪』
素直に、笑顔で祝福するシャーリーとオリビン。
-
>>237
エル「ふ、ふふ、もちろんイロエロ教えてあげよう」
ガル≪ごほんっ≫
エル「・・・色々教えてあげよう」
>>239
エル「よっしゃ宴だぞてめえらああああ!!」
ガル≪静かにしろ!奥さんの体に障る!
・・・とにかく、良かった≫
エル「まあ気を抜かずに卵を守れよ!ロリコン・ドラゴン!」
グッb
ガル≪なに、心配無用だ。だが忠告はありがたく受け取っておくよ≫
そう言って笑う。気が抜けたのだろう。
後は街の人々の誤解を解けば、一件落着だ。
-
>>236
ハオの思考が伺えないと知ると、ひとまず商談を済ませる事にした。
一応のボスの存在が知れたのだから、長居する必要も無いだろう。
――の筈が、沙耶が地雷原に突っ込んでしまったので、予定変更。
「弱者の妬み、という事であまり気にする事も無いでしょう。
変に構っていては、逆に付け上がるだけでしょうから」
「……とはいえ、あまりに害を被るようでしたら、騎士団にでも通報するべきでしょうね」
エミヤも一応は商売をしている身だ。
規模の大きさこそ違うが、同業者とのトラブルも経験している。
そういった事態に陥った時、騎士団の世話になる――ここで騎士団という言葉が話に出てくるのも、自然な話だろう。
-
>>243
ハオ「そうですね、心に留めておきます。
ご心配をおかけして申し訳ありません」
エミヤがこれ以上黒についてや銀月について探るつもりがないのなら
この場から去って問題ないだろう。話も仕事の話から発展することはないようだ。
-
>>240-242
『……ありがとう』
小さく、だがはっきりと礼を言ってきた。
サファイヤ・ドラゴン『人間も悪くはないだろ?それじゃあ、奥さんと子供を大切にな』
『…ああ』
とりあえずゼットンがいない状態でスノールの町に戻る事になった一行。
今回の事件の真相を伝えると、町の人達は話をすぐに信じてくれた。
物流がこれで安定すると喜び、町では小さなお祭りが開かれた。ダイヤモンド・ドラゴンの子供が生まれ事も祝して。
そして、事件を解決した竜乗り達にはスノール自慢の雪菓子がたくさん振る舞われる事になるだろう。
-
>>244
「……それでは、今日はこの辺で失礼致します」
本格的な商談に関してはまた後日、という事で今日は帰る事にしたようだ。
特に何も無ければ、そのまま部屋を出て銀月を後にするだろう。
-
>>246
ハオ「エミヤシロウ君、きみたちも気を付けて。
私たちに関わって因縁をつけられないようにくれぐれも注意を」
そう言って部屋の出口まで見送った。
エミヤと沙耶はこうして銀月を後にするのだった。
-外-
「どう思う?表向きは情報通り真っ当そうな仕事してるのかもしれないけど
明らかに堅気の人間ではない雰囲気だったわね。やっぱり黒のこと聞いておくべきだったかしら」
-
>>245
エル「にやにや」
ガル≪にやにや≫
一通りニヤニヤとD・ドラゴンの目を覗き込み、ひとまず暇を告げて街へ下る。
エル「雪菓子YABEEEEEEEEE!!!」
ガル≪良かったな。これで私たちも堂々としていられるわけだ≫
両名とも満足な様子。
幸せムードの中、疲れを癒すことになるだろう。
-
>>245
「また遊びに来ますね!」
『きゅー!』
そして宝石竜たちに別れを告げ、街へと戻る。
--------
「んーっおいしー♪」
『きゅー!』
「オリビンも食べる?」
『きゅきゅ!』
ごきげんで雪菓子をほおばるシャーリー。
-
>>245
「雪菓子……美味し過ぎるぞ!
そうかこれが恋というものなのだな!」
雪だるまトラジー興奮気味
ゼットンは先程の自分たちが待機していた地点で横になっていた。
-
>>247
「明らかに、動きが“商売人”のモノじゃなかったからな」
「……いや、あれは聞かなくて正解だよ。
彼は、こちらがただの商売人であると判断して、態度を崩さなかったんだと思う。
下手に探りを入れてたら、こうやって外の空気が吸えなかったかもしれないぞ?」
と、自分の意見を述べた。
敵のテリトリーで喧嘩を売るような真似をしてたまるか、という事なのだろう。
-
>>248-250
「ああ、ただ雪を使っている氷菓子かと思ったが、中々どうして…」
雪菓子のクオリティにはヒースもビックリなようだ。
雪にシロップをかけたいわゆるかき氷的なものもある。寒い中で食べる冷たい菓子の美味しさに驚く一行であった。
サファイヤ・ドラゴン『優しいんですね、ゼットンさん』
と、いつの間にか山を降りていたサファイヤ・ドラゴンが横になっているゼットンにそんな事を言うのだった。
-
>>251
「んー確かにね。でも結局分からず仕舞いねこのままじゃ」
銀月がただの商売集団ではないということが分かっただけだ。
そしてやはりロベルタ商会というところと揉めているのも間違いないだろう。
ともかく、今日のところは引き返すことになった二人であった。
-銀月・ハオの部屋-
壁からすうっと現れる人影。まるで妖術でも使ったかのように突然現れた人物。
ハオ「おや、盗み聞きとは人が悪いですね黒」
黒「雇い主を守ることも仕事のうちだ。
しかし厄介な連中に目を付けられたものだな」
ローブを被り、仮面をつけて口元しか顔は分からない。
声も中性的で性別もどちらなのかは判断が出来ない人物。
ハオ「知り合いなのですか彼らと?
鍛冶屋のエミヤシロウ君…いやはや、今後の成長が楽しみですけどね」
黒「話を聞いている程度だ。詳しいわけじゃない。
私も仕事をしてくるとしよう」
そう言って再びその場から消えた。
ハオ「仕事、ねぇ」
-
ネクロのもとに、ある依頼が訪れる。
ミスかトニック大学の学生でもある依頼人の青年は、両親が失踪した事を告げた。
両親が向かった先は、峻嶮で有名なセントジャクソン山。
両親がなぜそんな場所へ行ったのか突き止め、可能ならば連れ帰る……それが今回の目的だ。
青年は後から追うということで、合間合間に便箋型の魔法便で連絡を取るよう言われた。
二人は一日かけてセントジャクソン山へたどり着く。
麓の村で話を聞いてみると、実際に老夫婦が訪れ、案内人を断って山に入ったという……。
また山には『社』と呼ばれる建物が存在し、山の名前の由来ともなったジャクソンという人物が修業をした場なのだそうな。
二人はこれから、山に入るところだ。準備は良いだろうか?
ライタがミスカトニックに入学して少し経った頃、ライタはある青年がチンピラに絡まれている場面に遭遇する。
当然の如く勝利したライタは、彼が自分と同じミスカトニックの学生である事を知らされた。
それから二人は、しばしば学内で交流するようになった……。
時が下り、現在。
ライタはミスカトニックから離れた帝都で、青年に遭遇した。
一緒に居たエミヤと共に話を聞くと、思いつめた表情の青年は語り始める。
ある事情から、知り合いである『ある人たち』の起こそうとしている行動を止めなくてはならない事。
探偵を雇い、セントジャクソン山へ向かった『ある人たち』を追跡させている事。
自分はこれから、『ある人たち』の住居を捜索しようと思っている事。
青年は、先程から少し歯切れの悪い物言いを繰り返しており、やや不明瞭な点がある。何か事情があるのだろうか。
そして最後に己の護衛を依頼し、エミヤとライタはそれを快く引き受けた。
青年「さて、ではもう出発してしまっていいですか?
それほど急いでいるわけではないですので、何かしたい事があるなら、して頂いても大丈夫です」
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>>254
「俺は必要ないぜ、いつでも用意できてるから」
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>>254
「俺の方は大丈夫だ。行くなら早くした方がいいぞ?」
此方の準備は万全のようだ。
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>>254
「さて、便箋も送ったし進んでみるか」
腰のホルダーには魔道書ネクロノミコンと、もう一冊の書物が備えてあった。
ウルスラと二人、今まさに山に入るだろう。
「しかしジャクソンって名前が人から来てたとはねぇ…何にせよ、依頼人の両親に会えれば良いけど…」
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>>255-256
青年とともに、二人は帝都を出発した。
アーカムシティまで馬車で行った後に、徒歩で少し離れた田舎町へと辿り着いた。
青年に案内されて、さらに数十分ほど歩く。
目的の家が見えてきた。周囲には民家があまりなく、閑散としている。
青年「…………人の通った跡がある」
彼の顔には、緊張の色が見て取れる。
確かに、足跡らしきものが一つ、家屋の扉まで伸びていた。
-
>>258
「……これいつ付いた足跡だ?」
足跡を眺めながら歩く
-
>>254
「レオ単独ならば山越えは簡単に出来るだろうが・・・
生憎こいつには人を探すための能力は期待できんから地道に行くか。」
石の獅子を従えて呟く。
-
>>258
(帝都と比べると、やっぱり田舎だな)
そんな感想を抱きつつ、青年の案内に任せて歩き続ける。
しばらくして、目的の家屋が見えてきた所で――家屋にまで続いている足跡を発見した。
「君の捜し人のもの……って事は無いか?」
足跡の様子を伺う。
最近出来たものなのかどうか、という大雑把な事項は把握出来るだろう。
-
>>260
「最悪、俺とウルスラさんで飛んで探しますか?」
と、歩きながら話すネクロ
ネクロにはマギウス・ウィングと言う飛行能力がある。短時間だがこのような場所で人を探すには、うってつけかもしれない。
-
>>257 >>260
二人は、山を登り、社へ向かう……。
確かに、かなり険しい道のりだ。登るにつれて気温も低下してきた。
ネクロたちはある程度、魔力によって肉体を守ることも出来るだろうが、一般人が大した装備もなしにこの山を登るのは難しいだろう。
麓の店の主人によると、老夫婦はかなりの軽装で、案内人もなしにこの山に入っていったという。
確かにこれなら、野垂れ死んでいても不思議ではない。
やがて分岐点が見えた。
今までも同じようなものはあったが、ここには朽ち果てかけた標識のような看板のようなものがある。
ボロボロになっているせいで読むのに苦労しそうだ。
-
>>263
「チッ…やっぱ高所だけの事はあるなあ…」
額に浮かぶ汗を拭いながら、ネクロは分岐点の標識を睨む
「あー…くそ、古びてて良く読めないな…」
果たして少し時間をかければ読めるものなのだろうか?
-
>>259 >>261
足跡はどれもそれほど古くはなっていないのだが、その中にひとつ際立って新しいものがある。
何度か出入りしているようだ……。
「僕のものではないです。……ど、どうしましょう?」
荒事には慣れていないようだ。
狼狽というほどではないが、もう慌て始めている。
-
>>259 >>265
(『僕のものでは』……?)
最初の反応からして、青年のものではないとこちらに伝わっている。
何故また、そんな事を言ったのだろう?
「まず、俺が中に入ってみるよ。
何も無ければ合図するから、そのまま入ってきてくれ」
「ライタ、何か有ったらその時は頼む」
二人へ提案すると、そのまま足跡を辿って家屋の入口前へ。
ここまでに何か異変が無ければ、そのままゆっくりと扉を開くだろう。
-
>>262
「いや、飛べない私は素直に山道を歩くことにするさ。」
マギウス化できることは秘密にしている。
深い理由があるわけではないが、あまり能力を晒さないようにしているのだ。
・・・尤も、ある程度の戦闘能力はすでに見せてしまっているのだが。
>>263
「こんなに朽ち果てていたならばどちらに社があるかはわからんな。
自然風化ではイブン=ガズィの粉末でも文字を見ることは出来んだろうし・・・。」
何かないものだろうかとレオの背に括り付けた荷物を探っている。
-
>>265>>266
「あいよ」
いつの間にトンファーを装備している
エミヤの冷静な判断なら大丈夫だと信頼しているので従う
-
>>267
「あ…ウルスラさんって博識だし、俺よりも術のバリエーションがあるからてっきり飛べると思って…」
なんかすみません、と悪く思ったのか謝罪するネクロ
魔術師として…というか能力を持つ者として余り力を晒さないようにするのはむしろ当然だろう。
いくら味方だからと言って色々とさらけ出しているネクロの方が自覚がないのかもしれない。
「こんな最初の場所で二手に分かれるのも得策ではないっすしね…読めると良いなこれ…」
古びた標識を睨むネクロ
-
>>264 >>267
ウルスラが荷物を漁る。
その間、読みづらい標識まで近づくネクロ。
それは、彼の魔術師としての直感が働いた結果だったのか――それとも、修羅場潜り抜けてきた事によって培われた、無意識の警戒だったのか――。
あるいは、運が良かっただけかもしれない。
ネクロの足元に、ふと何かが見えた。
それは土によって巧妙に隠されていたが……紛れもなく、小型の魔機だった。
ネクロはこれを知っている。これはいわば一種の爆弾で、作動は魔力なのだが、爆発力は純粋に火薬である。
火薬であるせいで、炎の魔力・精霊力を感じられないようにしている。他にも高度な偽装がいくつも施してあり、それだけに恐ろしく高価な品だったはず。
しかもどうやら、爆発ではなく、『火炎』を撒き散らすように改造してある。
何故わざわざこんなことを?
だがそれを考えている時間はない。ネクロが発見した直後、それは作動した。
タイムリミットは――――数秒。
-
>>269-270
「何かいい道具があればいいのだが・・・。」
荷物からセス=ビショップ抜書を引っ張り出す。
当然魔機にはまったく気づかず、魔道書をペラペラとめくりはじめる。
-
>>266 >>268
エミヤが扉を開けた。
特に異変はない。人の気配は全くしなかった。
内部に侵入するが、やはり何もない。
生活臭はほとんどしないが、かつては人が居たのであろう。
埃が溜まっている様子はない。かなり整理されている。
とりあえず、パッと見た限りでは普通の家屋だった。
-
>>270-271
「―――っ!?」
ふざけんな…!そう叫びたかったがそんな事をしている場合ではない
爆発まで秒読み、時間などありはしない。
「ウルスラさんっ!!」
どんな偶然か、勘か知らないがこれに気付けただけでも僥倖だった。
ネクロは踵を返して地を蹴り、後ろからレオごとウルスラ突き飛ばして押し倒す
少しでも距離を稼いで身を守る。
そのまま自分の身につけていたマントを翻して視界を覆う
-
>>268 >>272
整理されている様子から、最近まで人が居たであろう事は分かったようだ。
「……」
もう一度、内部を隅々まで見渡す。
異変が無ければ、ライタと青年へ順番に合図を送り、家屋に招き入れるつもりだ。
-
>>271 >>273
ふと、ウルスラは魔力の動きを感じ取った。
紛れもなく、魔術の発動だ。他の魔術的現象ではなく、人間が魔術を発動させた感覚。
それに気づいた直後、レオの身体から、力が入らなくなった。
これは……『攪乱』? それも対ゴーレム専用のものだ。
あろうことか、ウルスラのゴーレム作製技術でさえ絶縁しきれなかったほどの、強烈なもの。
それに対してウルスラが対処をする前に、ネクロの方から爆発音と熱風が巻き起こる。
叫びとともにネクロがウルスラをかばった。
ネクロは、身体の一部に熱傷を受ける。
凄まじい炎渦!
周囲一帯はほとんど地獄のような光景と化した。
爆発とともに油か何かを撒かれたのだろう、炎は留まる気配を見せない。
-
>>272>>274
「………」
気配を張り巡らせる
怪しい気配を感じて少しでも動ければとの考えだ
-
>>274
…………?
よく注意して観察してみると、奇妙なことに気付く。
外から見た家屋の形から考えられる内部の面積よりも、家が狭いように感じられるのだ。
家の西側が、どうも奥行きが足りない。
だが、西側の壁は、目視した限りごくごく普通の壁である。
>>276
青年も、先ほどから緊張の面持ちだ。
恐ろしげに周囲をきょろきょろと見まわしている。
-
>>273,275
「む・・・罠か!」
レオが動かなくなったのを見てとっさに最大の防御魔術を準備するが、間に合わない。
間一髪ネクロに庇われることでダメージは音と熱によるものだけで済んだ。
「・・・炎か。ネクロ、少し退いてくれないか?」
持っていた魔道書のページをめくり、
深い青の刻印がなされた超大型の魔銃──いや、魔砲というべきかもしれない
クトゥグァをさらに大型化させたような呪法兵装を召喚する。
-
>>275>>278
「ぐお……!?」
顔をマントで隠し、炎を直視しないようにするネクロ。
それでも火の存在を感じて冷や汗が滲みでて、呼吸が荒くなる
加えて熱傷だ。散々だ。
何か手を打たなければと思考した時、ウルスラの声が聞こえた。
ウルスラは聞いただけかもしれないが、ネクロは火炎恐怖症である。原因は幼少期に起こったクトゥグアの直視から来ているらしい。
マントで顔を隠して炎を見ないようにしている。
「は、い……!」
強張った身体をウルスラから退けて、彼女が自由に動けるようにする。
今はウルスラに頼るほかないだろう。
-
>>276-277
「?」
外から見た家屋、中から見た家屋。
その二つを比較して違和感を覚えたのか、何度も家屋の出入りを繰り返す。
ライタと青年から見たら、何をしているのだろうと思うかもしれない。
(この家の、西側――か?)
家屋の壁に触れて、家屋全体の『構造』を解析し始めた。
数秒の後には、家屋の構造のイメージがエミヤの脳裏に浮かび上がるだろう。
そのイメージから、明らかにおかしな部分を探し当てようと言うのだ。
-
>>278-279
「妙な動きはするな!」
突然の声が響く。
その主の姿は、炎と陽炎によって遮られよく見えない。
だが、そのシルエットだけは確認できた。男性が、かなり遠くから呼びかけている。
「ネクロ=L=ハーシェルド・セルシドに、ウルスラ・ジークリンデ・ベルガーだな!
貴様らの素性は知っている!特にセルシド!貴様の弱点は熟知している!」
ネクロだけではなく、ウルスラの名も知っている。
確かにこちらの情報は、ある程度持っているようだ。
「貴様らの目的は何だ!答えなければ追撃を加える!」
-
>>277>>280
(しっかし……あいつはなんであんなにビビってるんだ?いくらなんでもおかしいぜ……)
トンファーを振り回しながら周囲に気を張り警戒、エミヤの指示を待つ
-
>>281
(トラップからまさかと思ったが……待ち伏せ…!?)
一体、誰が何のためにこんな真似をしているのだろう?しかも相手はこちらの弱点まで承知している。
確実に不利な状況だ。しかも堪えなければ追撃を加えるだと?冗談じゃない。俺達はただ人探しで此処を訪ねただけだ。
…そう言いたいが炎に対する恐怖効果でろくに呂律が回りそうにない。
ここはウルスラに事情を説明してもらおう。
「…う、あ……!」
(くそ、改めてポピュラー過ぎるものが弱点なのを痛感するぜ…!)
-
>>280
解析してみて初めて、その壁の正体を知った。
壁の部分には魔術的な『隠蔽』が施されており、壁に据え付けられた扉の存在に気付けぬようになっていたのだ。
普通の手段では、ほぼ間違いなく扉を発見できなかっただろう。それほどまでに入念に隠されている。
また、例えば魔剣エミヤの結界のように即席のものではなく、非常に長い年月の経過にも劣化しないようになっている。
だが、今エミヤが使ったような解析や、分析・暴露・看破などの術にはほぼ耐性がない。
実際、こうして即座に存在がバレてしまった。
>>282
青年はやはり、何かにおびえている様子だ。
風の音がしただけで異様に反応した。
青年はどうも、『漠然とした不安』ではなく、明らかに何らかの『特定の存在』に震えているように見える。
-
>>284
追記
扉には鍵や認証のようなものはついておらず、開けようと思えばすぐに開けられそうだ。
-
>>279
「ゲル=ホーの深淵より──」
と、手にした魔銃の引き金に指をかけた時。
>>281
男性の声に止められる。
「人に褒められるような偉業などやっていない
ただの魔術師をよくぞそこまでご存じだな・・・。」
ボソリと独り言のように呟く。
「・・・目的ね。山を登る人間にそんなことを一々尋ねるために
こんな大がかりな罠を仕掛けているというのか。随分な道楽だ。」
「まあ取り立てて隠すことでもないだろうし、構わんな?ネクロ。」
ネクロの様子を見て(>>283)勝手に説明する。
「我々の目的は依頼人の両親の捜索だ。
その夫婦がこの山に入ったと聞いてここまで来たにすぎない。
貴様らが私の邪魔をしないならば、
たとえ帝都に攻め入る計画をたててようが私には関係ない。これで十分か?」
慇懃無礼。傍若無人。追い込まれているつもりは無いのか虚勢なのかはわからない。
-
>>284
「なあ……あんまり疑いたくはないんだがさ……なんか俺達に隠してる事…ないよな?」
目を合わせる訳でもなく、周りを確認しながらさりげなく声をかける
-
>>284-285
(――魔術による隠蔽。
それも、かなり入念に施されてるじゃないか。
この魔術が、構造解析に対して耐性が無かったのが幸いか……)
見事、違和感の正体を暴く事に成功した。
鍵や認証が必要という訳でもないのは正に僥倖だ。
さっそくライタ達を呼び、扉を開けてみよう。
>>282
「ライタ、こっちに来てくれ。ここに扉がある」
『隠蔽』の魔術そのものが解除された訳ではないので、ライタからは壁にしか見えないだろう。
しかしエミヤは自前の解析能力で、この壁が『扉』であると調べたようだ。
扉に手を掛け、ゆっくりと開く。この先に何があるのだろう?
-
>>283 >>286
「ふん。現マスター・オブ・ネクロノミコンと謎の魔術師が、完全武装で『こんな山』に登っているのだ。
警戒しない方がどうかしている」
男性はウルスラの話を聞き終えると、大きく溜息をつく。
そのまま何も返答せず、10秒ほどの時間が経過した。
再び何らかの魔術を発動させた気配が漂ったが、攻性のものではないようだ。
もう一度溜息をついてから、ようやく話を始めた。
「……嘘はついてないようだな。
良かろう。貴様らはこのまま帰り、その依頼人とやらに失敗を報告するがいい。
もし不満があるなら……そうだな、貴様らが貰う筈だった成功報酬、纏めて私が払ってやる」
-
>>289
「うざ…えんな……」
訳:ふざけるな
「いううも……いらあいえ、そんあいっとおあいあえがえいるか…!」
訳:理由も知らないで、そんなみっともない真似が出来るか
遠方にいる男に視線を向け、抗議するネクロ
警戒という男の言葉も分からなくはない、だがこれはあまりにも理不尽だ。
-
>>287-288
ライタとともに青年が中へ入ってくる。
エミヤが扉を開くと、そこには小さな部屋があった。
書物や巻物の類が詰め込まれており、少数だが祭具もある。
この部屋の品には、かなり魔力を感じるものもある。
「…………」
その部屋で、ライタが青年に問いかける。
暫く無言で下を向いていたが、何か決心したように顔を上げた。
「……はい。実はライタ君の言うとおり、お話していないことがあります。
でも、僕はお二人を陥れようとか、そういうことを考えているわけじゃありません。
それに嘘もついていません……」
「お願いします。僕を信じてくれませんか?」
青年の瞳は、真摯なものであるように見える……。
-
>>289
「フン、断る。」
男の提案を鼻で笑って蹴っ飛ばす。
「金額などネクロという男にとっては二の次。
困っている人間を助けることがこの男にとって何よりの報酬だ。」
「もしどうしても帰ってほしいのなら、
依頼人の両親を貴様が連れてこい。
なんなら貴様が道案内と手伝いをするのも構わん。」
挑発しているわけではない。ただ我儘なだけである。
-
>>288>>290
「よく見つけたなエミヤ…」
正直驚いてる
そして青年の言葉を聞き、目を見て答える
「……わかった、俺も男だ信じてやんよ」
-
>>290
「ふざけてなどいない。私は本気だ」
読唇術でも使えるのか、ネクロの言いたいことを読み取ったようだ。
「セルシド……ここで刃を向け合うのは、お互いの為にならん。
それに、よく考えてもみろ。貴様らが死ねば当然、依頼は失敗する。
また貴様らが勝利したとしても、無傷ではいられまい。この過酷な山では、尋ね人の捜索もできまい。」
「いいか、すでに貴様らは、私と戦闘状態に陥った時点で、依頼の達成は不可能になっているのだ。
ならば最上の選択は、ここで退くことだ……わかるだろう?」
>>292
「困っている人間を助けること……か」
「……」
「…………」
やはり沈黙。そして、魔術の発動。
「二人とも、武装を解いてこちらへ来い。ゆっくりとだ」
男は言いながら、緑色の瓶を投げた。
地面に落ちて割れ、中から液体が飛び散ると、その部分だけ炎が失せた。
「それから、もっと詳しく話せ。依頼人とその両親について、知っていることすべてだ」
-
>>291 >>293
「……宝物庫って程の大げさな物でも無いが、
隠し部屋を見つけた報酬としては申し分ないな、これは」
わざわざ魔術で隠蔽してあった理由に納得し、周辺を見渡してから青年へと向き直る。
「嘘はついていないんだろう?
なら信じよう――と言いたいところだけど、まずは質問に答えて欲しい」
「君は『この家に秘密があるかもしれない』と、そう言っていたな。
何故そう思ったのか。
この部屋が君の考えていた『秘密』なのかどうか。
もしも違うとするなら、君が予想していた『秘密』とは一体なんなのか」
「この三つについて、正直に答えてくれ。
……もしかすると、君の安全にも関わってくるかもしれないからな」
エミヤの最後の発言は、何を思っての事か。
青年にも、無論ライタにも、その真意は伺えそうに無かった。
-
>>292>>294
ウルスラの説明が男の心理を動かしたのか、話し合う状態になったようだ。
こんな状況でなければ照れくさいくらいの感情が出てきたかもしれない。
ようやく一部分の炎が消えて、ネクロは精神をその部分だけに集中させる。
火のない場所だけを凝視し、他のものを視界に入れないようにする。
それだけで、かなり落ちつける。
「…敵対する理由がねぇ、少なくとも俺達にはな」
男の指示を聞き、ゆっくりと歩き出すネクロ
抵抗や敵対する気がない事を示すように両手を頭の後ろに組んでいる
-
>>294
「いいだろう。
だがどこまで話していいことなのかは私には判断できん。
それはネクロの裁量に任せるとする。」
魔銃を消し、レオの背に背負わせた荷物に透化の魔術薬をかけておく。
>>296
「と、いうわけだ。説明は任せたぞ。」
結果的には話し合いの機会を設けられたとはいえ、
無礼極まりない物言いで引っ掻き回したくせに無責任である。
-
>>294へ追記
ウルスラ(>>297)に頷き、ネクロは簡潔に、しかし正確に今回の事を話す
依頼主はネクロも縁のあるミスカトニック大学の生徒で、彼は大学の紹介で自分を訪ねてきた事
依頼の内容はこのセントジャクソン山に無謀にも軽装で登山に挑んだ彼の両親の捜索だと言う事
途中で得た情報でこの山の社に居るのではと聞かされたので、今この場所に来た事を洗いざらい話した。
依頼主の名前までは明かして良いか分からなかったので、受け取った似顔絵を見せた
「俺達が探しているのはこの人達だ、アンタは見覚えあるかい?」
-
>>293 >>295
「…………わかりました。
と言っても、お話しできることはあまりないのですが……。
僕は、何らかの秘密があるという確証があったわけではありません。
ただ、調べられるのがここくらいだったから、ここを探して頂いただけです。
でもこの部屋は、僕の予想していた秘密から、そう外れてはいません。
僕は、『あの人たち』が魔術師ではないかと思っていたのです。それも、邪悪で強力な……」
青年は、小部屋を歩く。
棚に収められていた書物を、順に読み上げてゆく。
「死霊術……病魔……吸血鬼化……呪詛。
ここに収められているのは、禁断とされる術がほとんどです」
「『あの人たち』が恐ろしい魔術師であったことは明白です。
いえ、研究していたからといって悪人であるとは限りません。それはわかっています。
しかし、彼らが向かったのは、ある意味聖地とも言えるセントジャクソン山。何らかの悪質な意図があった可能性がある」
「そうであった場合、僕は……彼らを止めないといけない」
-
>>295>>299
「………かぁぁ、俺達意外にも大きそうな事件に足突っ込んだ訳か」
嫌な訳でなくワクワクとした好奇心が強い感じの言い方、ライタの悪い癖が出てる
-
>>296-298
二人の話を聞き、似顔絵を穴の空くほど見つめていたが、
「…………最悪の事態だな」
と言って3度目の溜息をついた。
「こいつらは、かつて南の小国で猛威を振るった暗黒魔術師だ。
悪事にもかなり手を染めていたが……その魔力と知識を国の為にも役立て、恩赦が出て減刑された。
恩赦分の働きをした後は姿をくらましていたが……当時はシティではなかったアーカム近郊の村に移り住んでいたらしい」
「私の依頼人が彼らの存在を知り、疑いをかけた……私は奴らの情報を得て、ここセントジャクソンの『社』へ向かっていることを知った。
必死で社の情報を入手したが、何もわからなかった。
伝説は間違っていない。セントジャクソンはあの社に籠って修行をした。それは確かだ。
だが、魔力の類は全く存在しない。あれはただの建物だ。
神霊との交信など出来ないし、中に居る人間の魔力が高まるわけでもない。
セントジャクソンの力が込められた遺品も無ければ、隠し通路や暗号も無い。
どこにでもある普通の家と変わらん。おそらくセントジャクソンは、ただの修行場所として使ったんだろう」
「奴らも、社についての正しい情報を知らないんだろうな。あんなところに行く意味はない。
だが、奴らがあそこへ向かう以上、私も追う必要がある。
……さて、貴様らは奴らの正体を知りながらなお、依頼を果たすつもりか?
そうならついて来い。案内してやろう」
-
>>299
(という事は、この隠蔽は『あの人たち』の仕業か。
まぁ自宅にわざわざ隠蔽を施すなんて、家主ぐらいだよな)
彼らを止めないといけないと、青年が静かに語った数秒の後、
「大体の理由は分かった……話してくれてありがとう。
君が嘘を言っているとも思えないし、信じるよ」
青年がまだ話していない事は山ほどあったが、ひとまず信用する事にした。
『必要であれば』『質問する事で』答えてくれるのはたった今明らかとなったし、
これ以上の情報を、今この場で聞きだす必要も無いだろう。
「さて、これからどうする?
今から山へ向かうつもりなら、俺達も手伝うつもりだけど」
-
>>301
まさか、このような事態に巻き込まれる事になるなど思わなかったのだろう。ネクロは酷く驚いていた。
依頼主から聞いた話では平穏無事な生活を営んでいたと聞く…悪行からは足を洗ったのだろうか?それともその間も今起きている事への準備だったとしたら?
…とにかく考えても仕方がない。ネクロにとってはこれは両親探しの依頼なのだ。
「…ついて行かせてもらう、もしかしたら…もしかしたら何か別の思惑があって此処にきているのかもしれない…」
そう言って、ネクロは男について歩き出す。
「ウルスラさんも、それで良いっすよね?……万が一の時は、流石に戦うかもしれないですけど」
-
>>301,303
男の説明を聞いてからゆっくりと頷く。
「私はただの手伝いだ。ネクロの決定に従おう。」
ウルスラにとっては探し人がたとえ暗黒魔導師でも関係ない。
全てはその人間の選んだ結果にすぎないとドライに考えているのだ。
-
>>300 >>302
「僕たちは……山へ向かおうと思います。
アーカムシティへ行けば、山の方へ向かう馬車が出ているはずです。そちらへ向かいましょう」
扉を閉め、家を出る三人。
>>303-304
「ふん。好きにするがいい。後悔しても知らんぞ」
男を先頭に、社への道を登ってゆく……。
ちなみに、看板の示した方向と男の足取りは一致していた。誤った方向へ導かれているという事はないだろう。
「そういえば、あいつらに子供がいたというのは初耳だな。そいつも暗黒魔術師か?」
-
――帝国から遠く離れた土地の、ありふれた戦場――
長きに渡り、この土地にある二つの国が争っていた。
争いの内容は、領土の利権……よくある話だった。
たかが土地の一つや二つで多くの血が流れる事を、よその人間が見れば馬鹿らしく思うだろう。
しかし一度弓引いてしまえば、なかなかそれを終わらせる事は出来ない。そこが人間の愚かしさなのだろうか?
実に100年近い時を対立と敵対で費やした両国の関係はすぐさま改善出来るモノでもないし、また両国も今のところ手を取り合おうとは思わなかっただろう
だが、この二国の紛争は突如として終わりを告げる
両国に突如として降りかかった正体不明の災厄―――戦場を分断するように現れた『何か』が両軍を瞬く間に壊滅させたという。
『何か』によって齎された被害により、両国は戦争を継続させる事が不可能な程にまで痛めつけられ、結果として和睦を成す事となった。
まるで神の神罰が起こったかのような話だが、そんな話で終わらせるわけにいかなかった。
現場に居合わせた生き残りの兵士によると、その『何か』は――――まるで竜のようだったと話している。
この世界には数多の種族が存在し、また多数の命が営みを続けている
長寿で豊富な知識を持つ竜も確かに存在するだろう…だが、人同士の争いにここまであからさまな介入をしてくる竜族など今まで聞いた事がない
しかもあくまでそれは竜の「ようだった」とされている。万が一何処かの勢力の者が何かを企んでいるのならば…それが悪しき事ならば未然に防がなければならない。
今回の事件は帝国を始めとする諸国にも大きな衝撃を与える事になった。
帝国と友好関係にある『聖フューリー王国』は調査隊を組織して事態の捜査を開始したと報じられている。
これが大きな事件の幕開けになると、当事者達はまだ思ってもなかっただろう―――――。
-
--フェキア王国・首都フェキアポリス--
バー・ドラクール。
フェキア商人が情報や噂で酒を飲むこの場所にも、”神罰”の話題は広まっていた。
「おかげさんで100万ほど稼ぎ損ねたよ。ついでに顧客もロストと来た。
これが神のやることだというなら、ますます信仰に値しないね」
「ったくだ。こうも派手にあっさり共倒れされちゃあ、兵器商としちゃ商売上がったりだ」
「ふうん、竜の如き姿をした災厄ね……」
「どうだ、面白いだろ?そいつの情報で一儲けさせてもらうつもりだが、
お前さんも一口乗らないか?」
「チャンスに浮いてるところ悪いが、それならうち(国)の情報部が動いてる、らしいぜ」
「だからだよ。先に重要情報ゲットして売りつけるのさ。ばかかお前さん」
「……サンセットがネタ集めに動いてるという噂もあるのはどういうわけだろうな」
「あーあのオバハンの交易屋か。そりゃあ、そんなでかいもんがいたら交易もし辛いってとこだろ」
-
>>307
「ところでよお、聞いたかい?」
酒によった商人が一人、口を挟む。確か紙や書物を専門に扱う商人だったか。
「西大陸にケープヴァーンって森があっただろ?ほれ、昔魔道大戦で激戦区になった森林地帯の…」
若い商人見習い「それがどうしたんで?」
紙商人「『神罰』が起こる二日前に『鱗の羽をもった人間』がいたって話があってなあ」
若い商人見習い「なんだそりゃ?ハーピィか何かじゃねぇのか?」
紙商人「だったら男なんていわねぇだろ?…まあ真相はともかく、その羽人間はあっと言う間に飛び去ったらしいぜ…最もこのくらいの情報はもう出回ってるかもしれねぇけどなあ」
-
>>308
「ああ、聞いた聞いた。
竜人ってことになってるが、何かの予兆だったかもしれんなあ」
「魔道大戦の激戦区に、ね。奇妙なこともあるものね」
若い女商人が口を挟む。
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>>309
「竜人なんて滅多なものがそう簡単に世の中に出てくるとは思えないけどねぇ…しかも、あの土地に」
見習い「親方、なんか知ってるんで?」
「そうやって身内に聞いてるうちは半人前って事だよ、そこのお嬢ちゃん見習いな」
おそらく弟子であろう見習いを酒瓶で小突きながら若い女商人に視線を向けた。
-
>>310
「あら、あの土地だからこそかもしれなくてよ?
ああいう派手な戦いの跡地には未だに当時の影響が残ってるって話だわ」
A「戦場跡っつったらジャンク屋連中の溜まり場だな確かに。
しかしもうとっくにめぼしいものはないんじゃあないか?」
「アンタ、道具類なんて目立つものだけ落ちてると思ってないでしょうね?
フェキア人の私らにはあんまり関係ない話かもしれないけど、
魔術師なんかだと魔力とかの回収もできるらしいわ」
フェキアにおいて、魔術を扱える者は非常に少ない。
ほとんどのフェキア人は魔術というものを知らないのだ。
-
>>311
「魔力か…ろくなもんになりゃあしねぇぜ、あんなモノ」
見習い「親方、魔術師みた事あるんですよね?」
「…キッド(小僧)、その話は止めろ…俺は天と地がひっくり返ったって魔術師とは二度と関わらねぇって決めたんだ」
見習い「キッドはもうやめて下さいよ!?俺もう21ですよ!」
この商人は齢60を超えている。魔道大戦があった頃に何かしら活動していたのだろう、きっと。
-
>>312
A「魔術って、そんなヤバイものなのか?」
「アンタほんっと何も知らないのね。
よくそれで今まで宝石商が勤まったものだわ」
呆れたようにグラスを傾ける女商人。
「ま、確かに厄介すぎるお客様だけど、付き合い方一つね。
……まあ、見てしまったんじゃ仕方ないかもしれないけど。
あと、21じゃまだまだお子様よ」
そういう彼女も相当若そうだが、レディに年齢を聞くのもどうなんだろうね?
-
帝国やフューリーから離れた土地にも、神罰の情報は伝わっていった。
エドワード「竜の神罰だって?」
部下「ええ。飆風と戦場に現れ、両軍を壊滅させたとか」
エドワード「事実だとしたら、恐ろしい話だ」
部下「フューリーは既に調査を開始しているようですね。いかがします?」
エドワード「三国と各部署に通達後、外留小隊にも特令を。
注力する必要は無いが、関連情報は迅速にバックするように」
最低限の対応は行うものの、まだ警戒レベルは低いようだ。
-
>>313
「宝石商ならそのうち魔術師に声をかけられるかもしれねぇな…そん時は用心しとくんだな」
新しく酒を注文して煽る紙商人。
見習い「そ、そんな〜……」
女性に年齢を聞くわけにもいかず、見習いはがっくり肩を落とした。
その時だ。
店の中にいても分かるほどの突風が、外から巻き起こった
当然、驚きの声や物が倒れる音がするだろう。
-
>>315
A「ああ、そうするわ。あんたの言うことは聞いといた方がよさそう……」
風の音を聞き取ったマスターの手が止まった。
「随分騒がしいわね?」
ざわめく店内。
女商人が窓から外を眺めてみる。
-
赤龍皇帝の精神内
「むっ・・・」
「どうしたのだ火竜王、お前の番だぞ」
今日も暇な一人と一匹は将棋を指して遊んでいた
「やることが出来たかもしれないぞ赤龍皇帝よ」
「何!?暇な現状打破のためならば力は惜しまないぞ俺は!」
「お前・・・そこで張りきられてもどう返せばいいかが分からぬのだが、
まあいいこの一手で丁度貴様が詰みだ、動くぞ」
「何!?詰み?えっ?嘘、マジで?あっ?えっ?あ・・・・無いわー・・・本気出すとか無いわー」
-
>>316
外を眺めてみると、度肝を抜かれたような顔をした人々が空を見上げていた。
釣られて自分も空を見上げると―――――竜らしきものが滞空していた。
それは人の姿を持ちながら、竜の羽とその鱗におおわれた両腕を持っていた。
-
>>314
下っ端「報告します!」
そこへ、新たな情報を持った者がはせ参じた
下っ端「不審な飛行物体が、半日前に件の小国の領土で確認…方角的にはフェキアの方だと推測されます!」
-
>>318
「ウソ、竜人……?」
A「何だって!?」
女商人の一言で窓際に押し寄せる一部の商人達。
--店外--
「おいおいおいおい、なんだよあれ」
「なんでこんなところにいるんだよ」
何事か量りかねる市民。
「珍しいこともあったもんだね」
「ああ。この目で見ることになるとは思わなんだ」
その中で、周囲より冷静に状況を眺める小柄な男と大柄な男がいた。
-
>>320
ゆっくりと高度を下げ、羽をもつ男―――フェキア人の呼び名を借りるなら竜人は地面に着地した。
顔は人間そのものだった。
年頃は20代くらいの、若い男の顔。鼻は高くやや紫がかった黒髪に、藍色の瞳の整った顔立ちをしている。
しかしそれ以外の部分が問題だった。両腕は竜の腕を人に移植したかのような異形、背中には間違いなく竜族の羽をはやしていた。
若い男は口を開き言葉を述べた。やや掠れた声だ。
「此処は人間の国か?」
-
>>321
市民「そ、そうだが……おま、何者だよ!」
驚きながらも答える一般市民。
そこへ軽装鎧に身を包んだ守備隊が駆けつける。
とはいえ、まずは様子見といったところだ。
小柄な男「どうする、ラルフ」
大柄な男「連絡準備だけしておいてくれるか、フレディ」
-
>>319
部下「フェキア、交易大国か・・・」
エド「思ったより早く動きがあったね。うーん、胸騒ぎ」
部下「では、周辺の外留小隊と随時連絡を」
エド「うむ。
ああ、迅速な連絡をありがとう。良い働きぶりだ」
下っ端に笑いかけ、腰を上げる。
エド「さて、一波乱起きるかな」
-
>>322
「…人の国…いつの間にか人間は随分と偉くなったようだな」
侮蔑の笑みを浮かべ、右腕を一般市民へと向けた
数秒後、掌に緑色に光る魔弾が生まれる
「だが脆いんだろ?お前らと一緒で」
そう言うと、魔弾を撃ち放った。市民を狙ったのではなく、近くの建物の屋根を狙って。
-
>>324
フレディ「魔弾……」
屋根に炸裂する魔弾。
それを合図に動き出す人々。
市民を庇うよう前に出、あるいは避難誘導に掛かる守備隊。
守備隊員「それ以上動くな! 我らが国内にて意図的な破壊を行うことは罪となる!
キサマの目的はなんだ、答えろ!」
守備隊の背後で、呪符を真上に投げるフレディ。
札は一瞬煌き、消えた。
市民「うわぁぁぁぁぁ!!!」
屋根の破片が一人の市民に襲い掛かる。
が、それの一つとして市民には当たらなかった。
ラルフ「大丈夫か」
ラルフが彼を咄嗟に引き寄せたのだ。
市民「ありがとうございます……!」
-
>>325
「…目的?」
何を今さら、と守備隊を嘲笑う竜人
「お前達人間は短命なくせに血だけは長々と続きやがる……時間が経ちすぎて大切な事を忘れてしまったらしいな」
答えになっているかもわからない返事だ
「だったら思い出させてやる…万物の王、生命の頂点に立つ者の力をなぁっ!!」
両手を守備隊に向けると、先ほどと同じ魔弾を弾幕のように発射してきた。
人も建物も等しく破壊しようというのだろうか
-
>>326
守備隊員「何を……うわぁっ!?」
たちまち弾幕に襲われる守備隊。
フレディ「ウィンディシールド・発動!」
咄嗟に呪符を投げるフレディ。
呪符は風になり、魔弾の軌道を若干そらして守備隊より前の地面に叩きつける。
守備隊長「問答無用というわけか!
攻撃承認、総員かかれっ!」
隊長の号令と共に剣を抜き、隊唯一の魔術師は詠唱を始める。
ラルフ「フレディ、通りすがりだぞ俺たちは」
フレディ「いやあ、つい……」
市民らに紛れ姿をくらます。
-
>>327
「かつてより薄れた力だが…思いだすには丁度良い…!!」
男はその口を開く。犬歯…いや、竜の牙が見える。
『ドラゴ・ブレスッ!!』
カッと眼を見開くと、青白い光が竜人の眼前に球体として現れ、巨大なエネルギーの塊が守備隊と魔術師目がけて撃ち込まれた
ラルフ達の存在にはまだ気付いていない様子
-
>>328
魔術師「大地の守りの力よ―!」
塊の行く手を阻むように現れる石の壁。
押し留めることはできようが、あくまでも石である。
竜人の力量ならやがて砕けるだろう。
隊員「うおおおお!」
壁の両側方から飛び出し切りかかる隊員。
大きな翼の影が遠く西方に見えてきた。
-
>>329
数秒の押しあいのあと、石の壁を砕いたブレスの衝撃に襲われるだろう
そして斬りかかってきた隊員達の剣を、竜の鱗に守られた両腕で掴み取る
「脆い」
掠れた声でせせら笑い、手に力を込めると隊員達の手にしていた剣が砕かれた
驚く彼らに身体をひねり…やはり生えていた尻尾でまとめて払い飛ばす
そして翼の影を見る
「竜族か?」
-
>>330
魔術師「くっ!!」
隊員「何! うわあっ!!」
隊長「怯むな、行くぞ!!!」
壁の向こうで、衝撃から立ち上がった隊長を筆頭に隊員が突撃する。
隊員「あれは……!」
その影はやがて白く巨大な鳥の姿を見せた。
守護隊の背後の地面に魔方陣が照らし出される。
魔方陣から、守護隊のそれとは全く異質な鎧を纏い、
顔をヘルメットで隠した人の姿が5つ現れる。
隊員「ウィザードリィ・レスキュー!」
W-1「周辺住民の避難は任せてください!」
隊員「はい!」
ウィザードリィ・レスキューと呼ばれた者たちは、竜人には向かわず
周辺の建物へ。
-
>>331
「ふん…」
隊長らに向けて手を向ける竜人、次の瞬間、竜巻が巻き起こり守備隊と町へ襲い掛かる
そして新たに現れた5人が自分に向かってこないのを確認すると、口を開く
「人間お得意の助けあいか?荷物を進んで運びに行くとは殊勝な心がけだが―――」
何気なく右腕を振るう竜人。すると右手の向いていた方向の建物がなんと崩壊した。
魔術か、それとも別の攻撃手段か。
「きりがあるまい?」
-
>>332
守備隊「くっ、回避ー!」
襲い掛かる竜巻。
W-3「っ、【レスキュー・フィールド】!」
最も近くにいた緑のラインを鎧にあしらったレスキュー隊員が竜巻に向かう。
左腕にある魔機に触れると、竜巻が緑の透き通る壁に足止めされた。
衝撃を受け止めることのできる魔力の壁―。
隊員を中心に球状に展開されるそれの中は、一時的ではあるが最も安全な場所となる。
隊員「な……!」
緑の隊員に庇われた隊員が驚愕の表情を見せる。
視線の先で崩壊する建物―
その内部では赤いラインの隊員が、今まさに人々を避難させようとしていた。
W-5「うわ!?」
-
>>333
「ハハハハハハ」
変わらず渇いた声で、けれど確かに響く声で高らかと笑う竜人
守る事に全力を注ぐ彼らが滑稽に見えるのだろうか?
倒壊した建物に取り残されたせいで、W5の作業は難航するだろう。おそらく負傷者も増えているはずだ。
そんな被害のある中、張本人は高らかに笑っている
「抗わず逃げるばかり……最も素直な行動だが、つまらぬ」
そう言うと、来た時と同じようにゆっくりと羽を広げて空へと飛翔しだした。
「人間、答えろ…」
守備隊員達に指を指して問う
「より人と竜が親密な土地、国を」
答えなければ、今以上の攻撃を行うと竜人は眼で語っていた。
「知る限り答えよ」
-
>>334
W-3「W-5!」
『こちらW-5、な、何とかフィールドで凌いでます……』
W-3の腕の魔機から声。見ると、瓦礫の隙間から淡く赤いドームの存在が見える。
守備隊員「く……隊長……」
守備隊長「我ら守護隊はフェキアの民を守るもの。
しかし、我らがフェキアに、他国を傷つけさせる真似はできん!」
空中で待機していたらしい白い鳥―鳥の姿をした魔機仕掛けのゴーレムが動き出した。
鳥は舞い上がった竜人目掛け高速で突き進む。
W-3「隊長!」
『こっちは俺に任せてもらう。W-5の援護に向かえ!』
-
>>335
「それが答えか……」
呆れたようにため息をつく竜人。やれやれといった仕草で左腕を守備隊らに向け―――
「ん…!」
上空から突っ込んできた鳥のゴーレムに気付く
「愚かな」
ゴーレムを受け止めるつもりなのか、両腕を上空へ向けた
-
>>336
『その手は食わないぞ!』
両腕の延長線を避けるように、鳥はその身を傾けつつ竜人の横に回りこむ。
腹にある脚が竜人に掴みかかった。
人間と同じ大きさである竜人なら、掴まれれば何もできないほど大きい―
その間に緑のレスキュー隊員が崩壊した建物に走る。
手の出しようがない守護隊もその援護へ。
-
>>337
「小賢しい…っ!!」
羽を大きくはためかせ、距離を鳥から放して腕を回避する竜人
そのまま魔弾を作り、腕をふりかぶり―――鳥ゴーレムめがけ撃つ!
下の救助状況はお構いなしのようだ
-
>>338
『甘いな』
その魔弾をかわす鳥。
と、その鳥に人の大きさをした緋色の影が現れ―
「ただの竜人族というわけではないようだな」
鳥から離れた影は、竜人の目の前で緋色の鷹翼を持つ人の姿となった。
いや、翼を持った姿をした人の霊体に―。
-
>>339
「竜人賊?…は、あんなものと同一視などするな、汚らわしい」
霊体に向け、竜人は腕を組み余裕を見せた態度で語る
「しかし…この国には人間しかいないようだ…」
荒れたフェキアの街並みを見下ろし、つまらなさそうにため息をつく竜人。
そして視線を改めて向ける
「貴様に問う…俺は竜と人の住まう土地、国を探している…今すぐ教えるなら、今回はこの国を我が眼下から外そう…どうする?」
両手に眩く輝く魔弾を創りだす竜人。先ほどとは比べ物にならない魔力を持っている。
防ぎきれるかどうか、難しい威力だろう。
-
>>340
「竜人族ですらないだと」
正確に言えば、彼は霊とは言えないだろう。
肉体を捨てた魔族。
頭部にも翼と同色の飾り羽を持つその姿は、魔界中深層に住まう妖翼と呼ばれる種族。
竜人が知っているかどうかは判らないが―彼の姿は純潔の妖翼とは違ってその脚は人のソレである。
「そうだな……」
眼下の街を見ながら考える。
その視線の先に、ハシゴを背負った赤い虎の姿と
救い出された人々を避難させていくレスキュー隊及び守備隊。
「その魔弾を撃ってみろ。
それで俺を撃ち落せたなら教えてやってもいい」
翼を広げ、誘う。
その鷹の如き目に魔族の持つ威圧感をたぎらせて。
-
>>341
「…お前、魔族か」
この竜人には魔族に対する知識があった。それ故に特徴を見ただけで判断は出来たようだ。
そして、魔弾を撃てと言う提案を聞き、この者の視線はそちらに集中された。
―――しかし、放たれた威圧感に対しまるで身構えていない
まるで相手にする事もないと言っているようだ…が
「避けきれるか?お前に」
そういうと右手に形成された魔弾を、妖翼の彼に向かって放つ
凄まじい魔力を内包し、追尾してきた
そして
「『答えろ』と言ったのに、愚かな奴だ」
左手の魔弾を、フェキアに向けて撃った
方角は町ではなく―――港
-
>>342
「はっ!」
追尾してくる魔弾に、激流を放つ妖翼。
激流は魔弾を砕き、ただ雨となって町に降り注ぐ。
が、それがフェイクだったことに気付くには、一瞬遅かった。
「しまった!」
咄嗟に部下達と本部へ伝える。
―至急、港の住民の避難を!
白い鳥の腹に魔方陣が浮かび、消える。
同時に転移して消える隊員と虎のゴーレム。
白い鳥だけが港へ急ぐ―。
転移陣が届く距離まで。
鳥は、魔弾を追うが―追い越せない。
-
>>343
「フ」
魔弾は港に到達し、港を通り過ぎ――――海に叩きつけられた
その衝撃で畳み返しにあったように波が立ち、小規模ながら激流が港に覆いかぶさった。
海水はその量と勢いで人を呑み込み、家屋を破壊するだろう
「ハハハ」
そのさまを見て、竜人はまた再び高笑いをあげた
「クハハハハハ!!魔族や人間風情が、生意気にも逆らうからだ…先ほどつまらんと言ったが、取り消そう、久々に大笑いができた」
救助活動を嘲笑うかのように被害を生み出す謎の竜人。
再び羽を大きく広げた。青空の中で存在を主張する黒点のように。
「この笑いに免じて、貴様らの無礼を今回は許そう」
せいぜい生き延びろ、と言い残し竜人は名乗りもせず、ただフェキアを荒らしてその場から飛び去った。
その速度は全速力の竜に匹敵するように見えた。
-
>>344
波が港に襲い掛かったのは、転移陣が投射される僅か前だった。
「……く、そっ……!」
破壊されていく家屋を見ながら拳を握り締めるしかない緋翼の魔族。
それは、今鳥のゴーレムの体内にいる隊員達も同じだ……。
飛び去る竜人を追う者は誰もいない。
「……悔やむ暇はない、行くぞ!」
白い鳥へと全力で飛翔し飛び込む。
波が去った直後の港に転移陣が現れ―
6つの人影が港を駆け巡り始めた。
――ただ、救うために。
-
魔道書『聖十字軍の艦隊』が回収された一部始終をある方法で見ていたハイパティアは
遊郭に赴き、「行き場の無い野良魔道書をネクロが回収している。」とリタに告げる。
リタはその話を信じ込み、魔道書回収のためか偶然か訪れたネクロから
逃げようと遊郭から外から雑踏を走り去っていったのだった。
「せっかく自由に動けるようになったのに・・・逃げなきゃ・・・・!」
雑踏を抜け、帝都を走り回っている。
血のように赤いドレスに黒水晶で出来たドクロの装飾品のついた
まるで悪魔や地獄を思わせるドレスはよく目立つだろう。
-
>>345
今回の事件によって、『神罰』の正体は明らかとされるだろう。
『正体不明の竜人』という不明瞭な情報ではあるが、それでも災害という言葉で濁された存在よりははるかにマシだろう。
フェキア襲撃―――これを皮切りにこの竜人が各地で被害と災いを振り撒くのはすぐ後の事だった。
-
>>346
目の前に、頭頂部の薄くなった中年男性が現れた。
リタに気付いた男性は、遮るようにして彼女の前に立ちふさがる。
「そこの君、待ちたまえ」
よく見てみると、遊郭で見かけたことがあった。
金回りが良くいつも盛大に使ってくれる上客だ。
そういえば、職業は魔術師だとか。
「君……確か、遊郭に居たな。
どこへ行くんだね? マスターは居ないのか?」
-
>>348
「・・・捕まるわけにはいかない・・・折角自由になったのに!」
魔弾を放つ。しかしマスターも居ない、
それも無理矢理精霊を呼び起こされた若い魔道書では目くらまし程度にしかならない。
-
>>349
「おっと!」
指先で何かを弾く。
小さな黒い影が飛び、放った魔弾を撃ち落とした。
「いけない娘だ。……今の所マスターは居ないようだな。捨てられたか?」
男性はリタににじり寄る。
「私がマスターになってやろう。遊郭で働いてたんだ、『そっち』の方も磨いてるんだろ?」
更に一歩近づいた。
だが、どたどたと慌ただしくこちらに走り寄ってくる音が聞こえた。
そして現れたのは、騎士2名と、若い魔術師風の男だった。
騎士たち「いたぞ!あの男だ!捕まえろ!」
中年魔術師「チッ!」
リタを無視して戦闘を始めた。
今なら逃げられるかもしれない。
-
>>347
数日後・フェキア政府 宰相執務室
宰相ソーンダイク「……建造物損壊28棟。
負傷者52名、うち重傷5名。行方不明0名、死者……0名」
報告書を読み上げる宰相。
補佐官「死者・行方不明者0? あれだけの被害が出ながら……。
WRが速かったとはいえ海に流された者もいたはず、そうなれば……」
ソーンダイク「知っているかね、レスキュー隊が港を走り回っている時、
港近くで鯨が目撃されたそうだ」
補佐官「鯨ですか? それが何か」
ソーンダイク「同時に鎧を纏った半魚人の姿があったとも言うな。
……半魚人ならば溺れた人を助けるのも造作ないだろう」
ニヤリと笑う宰相の顔を見て、補佐官は何か納得したようだ。
-
>>350
「やっぱりこの程度が限界・・・・。」
魔弾ですら満足に放てず、疲労しきっている。
男の提案にしてももはやほとんど聞こえていないだろう。
「こうなったら・・・この男を喰ってでも・・・。」
残り少ない魔力を攻撃に回そうとする。
しかし目の前で戦闘が始まったため野次馬に紛れてよろよろと逃げていく。
目的地もないリタが無意識のうちに目指したのは時計塔の方向。
もはや消耗しきっていて飛ぶことも出来ない。
-
>>352
しかし、リタの進路は再度塞がれることになる。
全身黒ずくめの変態が、横の道から飛び出してきたからだ。
こいつも遊郭で見かけたことがある。体中から変態のオーラを出しているので、遊女からは忌み嫌われており、まだ一度も買えたことがないという。
何故か経営者と親交があるらしく、出入り禁止にはまだなっていない。
変態「ゲッ!お前はジュウガの手下!」
黒尽くめが叫ぶ。
当時の姿はガルマキルマだったので、リタにはわからないかもしれない。
中年の魔術師と戦っていた若い魔術師が、変態の叫びに反応した。
青年魔術師「ジュウガだと!?」
偶然にも、彼はミスカトニックと深い繋がりがあった。
ジュウガによる秘密図書館潜入事件を知る数少ない人物である。
彼は騎士に指示を出す。
青年魔術師「彼女を捕まえてくれ!重要参考人だ!」
中年魔術師「いいや、あれは私が先に見つけたんだ!」
二人の魔術師と騎士が、こちらへ向かってくる。
今度こそ逃げ場はない。
変態「え? なにこの状況? ひょっとして美少女のピンチに現れちゃった感じ?」
こいつを利用してやるのが一番楽かもしれない。
アホそうなので騙すのも簡単だろう。
-
>>353
「このままじゃ拙い・・・・。仕方ない。
あなたの命、私が有効に使ってあげる!」
魔力を振り絞って立方体の結界を張る。
かなり作りは荒く、衰弱していることがよくわかるだろう。
「魂喰らう立方体(キューブ・オブ・バートリー)!」
生命力を魔力に変換して吸収する結界術。
万全な状態ならば結界のプロフェッショナルでも防ぐことは難しいのだろう。
-
>>354
リタが力を失っていなければ、結果は違ったものになっていたかもしれない。
変態「な……ッ!」
黒尽くめは、結界の構築中にその性質に気付いたようだった。
魂喰らう立方体が完成する頃には術式の解析がかなり進んでおり、数秒を待たずに全解読。直ちに解呪に着手した。
結界を構成する魔力一つ一つを解きほぐし、無意味なものへと変えてゆく。
最終的にリタは大した量の生命力を奪えぬまま、結界を解除されてしまった。
変態「お前何しやがるんだよ!死にそうだからっつってもやって良いことと悪いことがあるぞ!」
そうこうしている間にも、他の面々がじりじりと近づいてくる。
変態「つーかお前なんで追われてんの? ジュウガって倒されたんじゃないの?」
-
>>355
「そんな・・・私の結界が・・・。」
その場にへたり込む。
マスター不在のままこの日まで実体を保てたのが
そもそも奇跡に近いものであり、
さらに魔術を何度も行使していてはもはや体力すら残っていないのだろう。
「彼らは・・・私を封印するつもりみたい。
・・・あなた、結界について少しは詳しいみたいね。名前は?」
今にも倒れそうな声で尋ねる。
-
>>356
「封印? そりゃあ大変だな……」
まるで他人事だ。実際他人事なのだが。
「俺は魔剣エミヤ。まあ、確かに結界についちゃ詳しいな。つうか世界最強? みたいな?
ところで、イメチェンした? なんか喋り方とか変わってね?
あとさっきの俺の質問にも答え……」
中年魔術師の放った黒い影が飛来する。
変態はすぐさま結界で防御したが、間一髪だった。
「早ッ!? ななな、なんかこれヤバくね? ピンチじゃね?
よし逃げよう!さあ逃げようそれ逃げよう!お前も来い!」
来いとは言ったもののリタが動けそうにないので、少女を担いで疾走した。
後方から罵声や攻撃が飛んでくるが、結界で防御しながら脱兎のごとく逃走し、何とか振り切ったようだ。
「はぁはぁ……ウィング持ってくれば良かった。そういえば、あんたの名前は?」
-
>>357
「・・・・魔剣エミヤ・・・。どこかで・・・会ったかしら?」
担ぎ上げられながら問いかける。
「私は・・・酷神賛歌骨片(ディマン・グローリア)のリタ・レパルサ。
・・・・・もし飛べたら・・・逃げ切る自信はあるの?」
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>>358
「だいぶ前、マティアスとかいう奴が残して死んだ『無名祭祀書』を、ジュウガと取り合ったことがある。その時に見かけた。
俺が戦った相手は、アルタイル……だっけ? ちょっと違うな。まあそんな感じの名前の奴だ」
「そうだな、飛べたら確実に逃げ切れるだろう。まあ逃げ切れなかったらまとめて俺がぶちのめしてやるさ。ハハハ」
乾いた笑い。
-
>>359
「アルタイア・・・深海の水晶板(スペルユーザーズクリスタル)・・・。」
「・・・・・・信じてみるのも悪くない・・・か。
いいでしょう。魔剣エミヤ。あなたを私のマスターとして承認します。」
リタの身体が紙の束となって解け、黒水晶のドクロがついた漆黒のローブとなってまとわりつく。
同時に膨大な量の知識が流れ込んでいく。
その中に背中から骨のような翼を生やすことで飛翔する術があることも気づくだろう。
-
>>360
「そうそう!そいつだそいつ。そいつと戦ったんだ」
「はい? ま、マスター……? えっ!? ちょ……」
ローブに巻きつかれる。
既に実体が存在しない魔剣エミヤの脳に、情報の奔流が押し寄せた。
情報を得る術というものの恩恵を受けたことはあるものの、魔道書丸々一冊分の知識の洗礼を受けたことはない。
その激流に飲み込まれそうになりながらも、なんとか精神を保ち――やがて、術《じゅつ》を参照する術《すべ》を得た。
「うごご……こ、これで……」
魔道書から術を発動させる。
魔剣エミヤの刀身の代替として、シャドーマンから翼が生えた。
不格好極まりない姿勢になりながらも、何とか地を蹴り飛翔する。
「やった……すげえ………」
精神的な疲労が異様に溜まってしまったらしい。
「ところで、これからどうするよ……言えあるの? ウチ来る? 居候だけど」
-
>>361
×「ところで、これからどうするよ……言えあるの? ウチ来る? 居候だけど」
○「ところで、これからどうするよ……家あるの? ウチ来る? 居候だけど」
-
>>361
「わたしのマスターだというのにずいぶん情けないのね。」
リタはちんまりと縮んでローブの肩についた髑髏の眼窩から顔を出している。
「結界をといたのはまぐれだったのかしら?
ま、いいわ。わたしの記述は追々つかいこなしてもらうこととして・・・。
マスターにしたがうのは魔道書のつとめ。案内なさい。」
小さくなったが元気いっぱいになっている。
精神的な疲労のうちの一部はリタに魔力を吸われたのだろう。
「ああ、そうそう。わたしは遊郭でざつようをしてたんだけど、
このけいいは女将さんにはあなたからせつめいしておいてね。」
舌足らずな口調で我儘をつきつける。
-
>>363
「その情けないマスターに助けられたのはどちら様ですか?」
「うう、頭痛い。……俺はあれだ。こういうの初めてなんだよ。
結界は大得意だが魔道書と契約なんて……自分でも信じられん。一生出来ないと思ってた」
結界術という共通点が、それを可能にしたのかもしれない。
「まあ、元気になって何よりだ。でもあんまり精神力を吸わないでくれ」
「女将さんって、ああ、ピエロか。
しまったな。部下を一人奪ってしまったことになるのか? 悪いことをした」
「……ところで、魔道書ってみんなあんたみたいに横柄なの?
謙虚な魔道書って見たことないんだけど」
アル=アジフを初めとして、ハイパティア、ジュウガ、等々。
-
>>364
「魔道書が全部横柄かはわからないけど、
ハイパティアから聞いた話だと『紫色陶片』は引っ込み思案だそうよ。
・・・そっちのほうがよかった?」
少し不機嫌そうである。
-
>>365
「へえ。そうか。引っ込み思案なのか。そっちの方がよかったなぁ……って言ったら怒るか?」
「安心しろ、冗談だよ。単純にそういうもんなのかと疑問が湧いただけだ。
スネてるあたり、横柄である自覚はあるみたいだな?」
こちらは逆に楽しそうだ。
そうこうしているうちに、笑み家に到着。
お世辞にも優雅とは言えない体勢で着陸した。
「ココが我が家ですぜ。居候だけど」
-
>>366
「ぐぬぬ・・・。」
言い返せなくなって水晶の中に引っ込む。
エミヤ家前に到着し、着地の衝撃で水晶の眼窩から落ちそうになり、
あわててよじ登って魔剣(というかシャドーマン)の頬をペチンと叩く。
「わたしのマスターなら、もっとゆうがに着地なさい。
で、この東洋風の家?あなた、とうげい家に弟子入りしているの?
まあ・・・はなしはあとで・・・きく・・・。」
ローブが解け、血に染まった骨の欠片を
その中に封印した黒い水晶が表紙に嵌っている赤黒い不気味な魔道書となり、
小さくなったまま寝息を立て始めたリタがポテンとその上に落ちる。
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>>367
「うわ、すみません」
落下しそうになったリタを支えるために結界を出たが、自力でよじ登ってくれたのですぐに消した。
「もうちょっと練習しないとな、飛行も魔道書も。
陶芸家? 違うな。ここは鍛冶屋だ。で、俺はただの居候。
え……ちょ、おい? 大丈夫?」
魔道書とリタをしばらく見つめる。
幸いなことにグロテスクな魔道書には慣れている。未だに『妖蛆の秘密』を所持しているのだ。
眠りを妨げないようにそっとリタと魔道書を手に持ち、武家屋敷へと入っていった……。
-
―アラゲイジア 人の国の首都ウルベーン―
『フェキアポリス、【竜人】に襲撃される』
このニュースは世界各地に広がり、各国の民を不安に陥れた。
まるで世界に敵対するかの如く、この竜人は人や国を襲い暴れてると言う。
しかし現在、世界で認知されている竜人族やヒトと交流を持つ竜族はこの竜人との関係の一切を否定している。
曰く、件の竜人の特徴を持つ竜など存在しないと言う。
古のドラゴンライダー族の生き残りであるエドワードにも、恐らく竜人についての聴取が行われたかもしれない。
そして、ウルベーンに今…接近する不穏な気配があった。
-
首都ウルベーン
城壁に囲まれた、アラゲイジアの中心となる都市だ。
帝都と比べれば見劣りするものの、豊かな街であることが見て取れる。
行きかう人々の顔は一様に笑顔で覆われている。
どうやら市民たちにとって、フェキアで起きた竜人騒ぎなど、井戸端会議のネタ程度でしかないようだ。
遠い地で何が起ころうと、この街の営みには変わりがない。
・・・筈だった。
-
「伝わってくるぞ…巨大な竜の力の気配…そしてそれを従えるヒトの気配を…!!」
黒竜の羽を羽ばたかせ、あっと言う間にアラゲイジアの領土、海域に侵入。
飛び去った後に突風を起こして波を荒らしながら、陸地に到達。
凄まじい風と共に、ウルベーンの上空へ姿を現した。
漆黒の竜翼を広げる、竜人がウルベーン上空にいた。
-
>>371
ウルベーンの城壁を巡回していた兵が、いち早く上空の影に気づいたようだ。
兵士「な、なんだあれは!」
直後、けたたましい警鐘が鳴り響き、詰所から武装した兵卒が姿を現す。
皆空を仰ぎ、突如現れた竜人を唖然と見上げる。
兵士「あれは、まさか・・・?」
少し遅れて、街の市民達も気づいたようだ。
竜人の眼下が騒がしくなってくる。
-
>>372
「気配につられて赴いてみたが……竜の姿は見えない……?」
騒ぐ街を見下ろし、掠れた声で呟く
「だが、この土地は面白い場所だ…人間だけではない…『ヒト』が多く集まっている」
竜人は凄惨な笑みを浮かべると両手で巨大な魔弾を創り上げた
直径で2mはあろうかと言う大きな魔弾だ。まさかそれを街に落とそうと言うのだろうか?
-
>>373
竜人が魔弾を形成したことで、眼下の雑音がハッキリと悲鳴に変わる。
兵士1「あいつ、やっぱり例の竜人だ!」
兵長「弓隊!魔術隊!奴を撃ち落とせ!城にも報告だ!」
即座に位の高そうな兵が号令をかけ、兵士たちから矢・魔弾が一斉に放たれる。
どちらも標準的な威力だ。竜人に致命傷を負わせることができるか疑問だが、
巨大な魔弾の発射だけでも阻止しようというのだろう。
-
>>374
魔弾や矢を受けながら、竜人は平然としている。
というか通常の魔弾や矢は当たってもまったく彼の身体に傷を負わす事で出来ていなかった。
「はぁっ!!」
短い掛け声とともに両腕で形成された巨大な魔弾が街目がけて落とされた。
現状の戦力では防ぐことは難しい。このまま地面に激突すればウルベーンの首都に10mほどのクレーターが生まれるのは間違いない威力だ。
-
>>375
兵士「おわた」
魔弾が放たれたのを見て、兵卒たちは武器を下ろす。
生き残るイメージが湧かなかったのだろう。
しかし、彼らの命を奪う筈であった魔弾は、地面に達する前に爆発した。
どこからか放たれた、同程度の威力の魔弾により相殺されたのだ。
爆発したことで一部の建物が被害をこうむったが、死人は出なかったようだ。
-
>>376
「来たか」
どうやら竜人にとってはこれは挑発行為だったようだ。
同威力の魔弾を放った存在へと視線を向ける
-
>>377
「あれ、もしかして誘い出されたのかな?」
竜人から少し離れた位置、高い建物の屋根にその男が立っていた。
一括りにした長い黒髪を風になびかせ、穏やかな目で竜人を見据える。
アラゲイジアの竜騎士、エドワード=ノアだ。
「言いたいことは色々あるが、まずは僕の頼みを聞いてほしい」
どことなくやる気のない感じで、それでいて竜人にも聞き取れるような声量で喋る。
「少し場所を移さないかい?僕としては、国民を巻き込むのは心苦しいんだ」
-
>>378
対照的に風に煽られ、紫がかった黒髪が乱れる竜人
その眼は鋭く、戦意と殺気に満ちている
「頼み?ヒトごときが、この俺に頼みを申すか?…笑わせる」
口端がつりあがり、見下すような笑みを浮かべる
「巻き込む?ああ、こういうことか?」
掌大の魔弾を作ると、再び街へと向ける。
そしてエドワードの表情の変化を確認しているようにも見える。
「貴様だけか?お前から竜の気配がする…強き力を持った竜が此処にいるはずだ…」
渇いた、掠れた声だがはっきりと聞こえてくる。
-
>>379
「穏やかじゃないね、どうも」
竜人の殺気を受けようとも、魔弾を街に向けられようと、表情や仕草に変化は見られない。
内心は定かでないが、ヤワな精神の持ち主ではなさそうだ。
「竜?・・・ああ、そうだね」
少し表情が引き締まる。
「申し遅れたが、僕の名はエドワード=ノア。アラゲイジアの竜騎士だ。
故に、ドラゴンとは堅い絆で結ばれている。君が感じたのは、僕のパートナーの気配だろう」
とは言うが、周囲に竜らしきものは見当たらない。
-
>>380
「エドワード=ノア…」
確認するように名前を呟く竜人
「竜騎士、か…あの国を襲った時にも思ったが、ヒトというのは長い歳月の中で自分達の本当の位置を忘れてしまったようだな…何時から竜を従える立場になった?」
周囲に竜の気配がない事を確認する。
「貴様の竜とやらは何処にいる?」
尚も魔弾を眼下の街に向けたままだ。
-
>>381
「従えているつもりはないよ。部下や奴隷ではなく、パートナーだ」
尚も穏やかに喋る。
その間にも、市民達は続々と避難している。時間稼ぎだろうか。
「興味があるのかい?」
口元に笑みを浮かべ、小首をかしげる。
「ふむ、是非とも引き合わせたいところだが、彼女は大きいのでね。
街中に呼び寄せるわけにはいかないよ」
手を広げ、辺りを示す。
「街から2km程東に荒野がある。どうだい?」
-
>>382
その言葉に対する返答は行われず―――予備動作もなく警告もなく突然魔弾が街へ放たれた。
完全な不意打ちだ。建物が破壊され街に被害が出る。
「―――俺に移動しろと言ったのか?空ならば問題あるまい…呼べ」
と、今度はもう片方の腕を街へ向けながら命令する竜人
-
>>383
「・・・・・」
破壊音と一際大きな悲鳴が響き、エドワードの纏っていた空気が一変する。
常人ならば逃げ出すような重圧だが、竜人にはさして効果は無いだろう。
「よかろう。僕のパートナーを引き合わせるとしよう。ただし・・・、君が無事ならばね」
瞬間、エドワードが“ブレ”た。
凄まじい速度で、竜人目がけ風弾を放ったのだ。
音を置き去りにする速度で、5発の風弾が迫る。
-
>>384
風弾が羽、腹部、足、腕、顔と言う順番で直撃し、当たる度に後方へ押しやられる竜人
顔を撃たれ、のけぞった姿勢のまま数秒制止する
が、突然身体を曲げてエドワードを視界に押さえると突如姿を消した。
いや、消えたように見えるほどの速度で背後に回り込んだのだ。エドワードの風弾と同じく、動いた後で突風を起こす音が聞こえた。
「誰が…無事ならだ?」
怒りを宿した眼で竜人はその鋭い竜爪を持つ右手を振り下ろした
-
>>385
「おっと?」
振り下ろされた右手はエドワードの服を割いたが、肉を割くことは叶わなかった。
前方に飛び込むことで回避したのだ。
「ダメージは無さそうだね。それにそのスピード、警戒に値するね」
飛び込んだ先の空中に立ち、品定めするように竜人を見る。
この男も尋常ではない速度で行動できるようだ。
「なぜ国を襲っている?良ければ聞かせてくれないかね」
-
>>386
「『ヒト』にしてはよく動く」
「何故襲う?貴様らに話したところで理解できるとは思えん…ただ何も考えずに滅ぼされた方が貴様らの為だぞ」
どうやら説明する気はないようだ
が、竜人は腕を組むと1秒だけ考える顔になる
「あえて、言うならば…俺はこの世界の全ての命を滅ぼす為に動いている…そう、破壊神だ」
-
>>387
「なんとも、それはまた・・・、大きな目的を持っているようだね」
呆れているのか感心しているのか、良く分からない表情を浮かべる。
「しかし、全ての生命を滅ぼすと言う割には、竜に興味を持っているようだが、
それはどういった理由かな?」
街が少しずつ静かになっていく。
周辺の住人は殆ど避難してしまったようだ。
-
>>388
「知れたこと…竜族は念入りに殺しつくす為だ」
竜人ならば竜とは深い関わりを持っているはず。だと言うのにとんでもない物言いだ。
そして街が静かになった事に気付くとつまらなそうに視線を下へ向けた
「貴様らヒトは庇いあう事だけは上手くなっているようだな」
-
>>389
「君が言うと、どうにも笑えないね」
竜人の視線を追い、街を見下ろす。
「ヒトは日々進歩し、変わっていくものさ。君もね」
視線を竜人に戻し、腰を落として構える。
「・・・君の名は?」
-
>>390
「そして世代と血を重ねすぎて、自らの位置をヒトは忘れたと見える」
エドワードに視線を向ける
「名乗っても無駄だと思うが……アディスザルト……アディスザルト・ドラクル」
言い終えた直後に口を開く、圧縮されたエネルギーの塊が竜人の前に出現した
「滅べ!!」
エドワードに向けて、竜のブレスが放たれる。凄まじい熱量と威力だ。
-
>>391
「アディスザルト・ドラクル」
名を繰り返し、脳に記憶する。
「覚えておこう」
そして迫るブレスとエドワードの間に、人影が割り込んだ。
輝く紫の髪を持つ女性だ。
割り込んできた速度や、二人が空中に居ることを考えると、これも普通の人間ではないだろう。
ブレスに対し、ドラクルと同じように口を開き、真っ赤な炎柱を放った。
二つのブレスはぶつかり合い、やがて相殺するだろう。
-
>>392
「ほう…ヒトへの擬態を覚えた竜か」
ブレスが相殺され、正体を見抜くドラクル
「貴様に問う、『薄明の名を持ちし悪竜、正義を手に取りし軍勢により聖罰されん』」
女性に対し、突然何かの文章の一節ような言葉を述べた
「この言葉の意味が分かるか?」
女性、あるいはエドワードはこの言葉の真意が分からぬとも聞いた事があるか、それとも初耳の言葉か?
-
>>393
オテイシム「え?な、なに?」
出てきていきなり妙な質問をされたのだ。
当然ながら困惑し、視線をエドワードとドラクルに往復させる。
エド「・・・待ちたまえ。君、ドラクルと言ったか。それに今の一節は」
眉根を寄せ、ドラクルを睨む。
エド「聞いたことがある、・・・と思う。だが、何の言葉かまでは知らないね」
何やら引っかかるようだが、はっきりとした答えは出ないようだ。
オテイシム「ちょっとちょっと、もう少し私の登場に驚きなさいよ!」
-
>>394
「そこの雌よりは博識のようだな」
オテイスムを嘲笑うように視線を向けると、背中の竜翼を大きく広げた
「手始めだ、貴様らというヒトと竜、まとめて血祭りにあげてやる」
先ほどまで以上の巨大な力の気配をエドワードは感じる。今の今まで全力を見せていなかったというのだろうか?
突撃姿勢を取ると、エドワードとオテイスムごと吹き飛ばさんと超速度で突進してきた
-
(こいつは……)
目を細めるゼットン
(良い雌竜がどこかで登場した気がする!
うひょーーー俺様に逢いたがってるに違いない!)
雪を食べながら暴れるゼットン
トラジー「ゼットン煩いぞ」
(……)
-
>>395
オテイシム「ちょっとぉ!私だって聞いたことあるような気はしてたわよッ?
ただ急に訊かれたからぁ・・・」
エド「ッ! オットー!来るぞ!」
オテイシムを突き飛ばし、その反動でエドワードも回避する。
しかし、風圧までは回避し切れない。
その場から吹き飛ばされてしまった。
オテイシム「ヤル気ってワケねん?久々に骨がありそうだし、私もいくわ♪」
空中に投げ出されたオテイシムが光に包まれ、瞬間的に身体が膨張する。
ヒトの擬態を解除したのか、全長200mはあろうかという紫色のドラゴンが姿を現した。
-
>>396
エル「ざまああああ!トラジーに怒られてやんのー!!
この万年発情トカゲがッ!万物にひれ伏すが良い!」
ガル≪エル煩いぞ≫
エル「・・・・・・」
-
>>397
「ハアアッ!!!!!」
気合を入れるように叫ぶと更なる衝撃波がエドワードを襲う
そして竜の姿に戻ったオテイシムを見るとドラクルはまた凶悪な笑みを浮かべる
「来い!!」
オテイシムに向かって先ほど街へ放とうとした特大魔弾をすぐさま形成して放つ
直撃すれば大ダメージは免れない
-
>398
ゼットン(ぎゃはははお前こそガルズラに怒られてるじゃねーか!
人間とエルフの分かりづらい面しやがって俺様にひれ伏せ!)
「ゼットン煩い」
ゼットン(……)
-
>>398>>400
「なんだか楽しそうだね♪」
『きゅ』
雪遊び中。
-
>>399
エド『千里導風(せんりどうふう)』
エドワードが掲げた両掌から、巨大な風柱が放たれる。トルネードを横向きにした感じだ。
かなりの魔力を練りこんだ風で衝撃波を穿ち、そのままドラクルを狙う。
オテイシム≪カモ〜ン≫
街中に響き渡る咆哮を上げ、正面から魔弾に向かっていく。
そして口を大きく開き、なんとその魔弾を噛み砕いた。
オテイシム≪味はイマイチ、ねっ!!≫
そのまま巨体を回転させ、尻尾をドラクルに叩きつける。
正面から風柱、横手からは巨木のような尻尾だ。
-
>>398>>400
「…………」
アスタリオン<……>
その様子を黙って見ている竜と竜騎士。
何故黙っているか?きっとなんとなくだろう。
…アスタリオンは喋れないので
-
>>400
エル「テメーが先に怒られたんだろうが!!
お前なんてカイナの面汚しだ!ウパリオンの足を舐めろ!」
ガル≪エル煩い≫
エル「・・・・・・」
>>401
エル「ゼットンが怒られてるんだ。お前らあんな大人になっちゃダメだぜ?」
-
>>402
「カッ!!!」
正面からくる風柱にブレスをぶつけ押し抜く勢いで止め、迫る尻尾はなんと右腕一本で受け止めた
ビリビリと衝撃が伝わってくる
「行儀のなっていない雌だ!!」
そして残った竜の左腕で手刀をつくり、尻尾に振り下ろして痛烈な殴打を喰らわせる
-
>>401
ゼットン(エルが怒られてるんだ。お前たちはあんな風に育つなよ?)
>>403
「アスタリオンは騎士らしい竜だな」
>>404
ゼットン(ウパリオンなんか俺様のこと崇拝してるわ!
カイナはむしろ俺様が看板だろう!代表格だろう!)
ウパリオン「うぱー」
「ゼットン煩い」
(……)
-
>>405
オテイシム≪うっ・・・!?≫
受け止められたことに驚愕する間もなく、尻尾を弾かれた。
エド「長くは持たないな。オットー!」
ブレスで押されるも、風の威力を維持し拮抗させた。
が、明らかにエドワードの方が押されている。
本人の言う通り、長くは持たないだろう。
オテイシム≪冗談キツイわよ、このムッツリ!≫
その間に、今度は炎のブレスを放つ。
鉄をも溶かす高温だ。
-
>>404>>406
「えーっと……どっちだと思う?」
『きゅ』
両方って答えたっぽいよ。
-
>>403
エル「お前も怒られろ!クセになるぜ!」
こっちこいよ!
>>406
エル「ウパリオンはまだ子供だから善悪の区別がつかないんだ!
じゃあもうカイナのお先真っ暗だよ!3日でみんな逃げ出すぶああっ」
ガル≪エル煩い!≫
尻尾で吹き飛ばされた。
>>408
ガル≪正解だオリビン、成長したな≫
-
>>407
「!」
炎のブレスに呑みこまれるドラクル。
その凄まじいブレスの勢いで姿が見えなくなる
ドラクルのブレスは消える事なくエドワードの風と押し合っている
-
>>406>>408>>409
「いや、わけもなく怒られるのは遠慮願う…」
真面目すぎてこういった時にノリ悪く見えるヒース
アスタリオン<騎士と共に戦場をかけるべく育てられたからな…褒め言葉として、受け取ろう>
「…と言ってる気がする」
「シャーリー、オリビンももっと広く世界を見た方が良いぞ…よし、今日は俺が南西に遠征演習に言った時の話を(ry」
-
>>408
「オリビンは賢いね」
なでなでトラジー
>>409
(3日もあれば世界を征服できぶふぉ)
(ゼットン!)
目潰しされた。
-
>>410
エド「くっ・・・!!」
風柱の射角を変えることでブレスを少しズラし、風の放出を止める。
炎に飲み込まれて尚ブレスの勢いが保たれるとは、完全に想定以上だったのか。
オテイシム≪まさか耐えるとはねぇ。でも、ミディアムはイッたんじゃない?≫
3秒ほどブレスを吐き続け、攻撃の手を止める。
果たしてドラクルの様子は・・・?
-
>>409>>412
「ほんとだ、両方だね……」
『ぴー♪』
>>411
ヒースさん、お話されるのは構いませんけど……
「うーん……?」
『きゅー……』
難しすぎてこの子達には今ひとつわかりません!
-
>>413
ドラクルの放ったブレスは狙いを逸らされて彼方へと消えて行った。
そして空中に留まっていた炎が収まると……
「フン」
人の部分を隠す衣服が焼かれ、生身を晒したドラクルの姿があった。
身体のいたるところに酷い火傷を負っているが、今この瞬間も再生していく。
「なるほど、竜族のブレスも衰えはしていないようだ」
右手をエドワードとオテイシムに向ける
緑色に光る掌大の魔弾が生み出される
「返礼だ」
空気を震わせる甲高い音と共に高速で魔弾が発射された。
大きさは小さいが、圧縮された分高い威力を誇るだろう、それがオテイシム向けて迫って行く
-
>>411
エル「爺さんみてーだな・・・」
離れた場所までガルズラに弾かれ、くしゃくしゃになりながら呟いた。
>>412
エル「(トラジーやべえ・・・これから怒られたら2回目で言う事聞いとこう」)」
ゼットンの犠牲で学ぶことができた。
-
>>415
オテ≪あ、あらら〜・・・?≫
エド「再生能力まで併せ持つとはね。おっと!」
エド『馬慈闘風(ばじとうふう)』
瞬時に全身を風の刃で覆い、腕をクロスさせ魔弾を受ける。
その際に上体を仰け反らせ、衝撃を受け流すのだが・・・。
エド「うおっと!」
やはり体勢は崩れてしまう。空中ともなれば尚更だ。
くるりと後ろに一回転してしまう。
オテ≪無駄よっ!≫
一方、オテイシムは瞬時にヒトの姿に転化し、小さくなって魔弾を避けた。
間髪いれず、こちらもブレスで応酬。
炎の弾を3連射した。
-
>>414>>416
「何を言うかエル!俺はドラじいからシャーリーの守護を仰せつかった」
谷を出る時の話だ。
「ならばせっかくだ、旅をするシャーリーに少しでも見聞を広げさせようとするのは『彼女の騎士』となった俺の勤めである!」
凄い事を言ってるが、ヒースの中では=保護者
-
>>418
エル「う、うん、そうだな」
勢いに押されて頷いた。
エル「そうだな、ヒースはシャーたんにイロイロ教えるんだよな、イロエロ」
うんうん
-
>>417
狙いが外れた魔弾は海の方へ向かい、一際大きな水柱を吹きあげた
「ハァァアアッ!!!!」
そして右手、左手、右手の順に腕を振るい火弾を弾き飛ばす。無茶苦茶なパワーだ。
羽を広げ空中を一回転してから体勢を崩したエドへと向かう。
そして右手が再び手刀を作り、エドワードを貫こうと突き出された
-
>>420
オテ≪うわーお!≫
エド「(空中で接近戦は無いな)」
迫るドラクルを視界に捉え、即座に空中浮遊の魔術を解く。
当然自然落下を始めるが、それだけで避けられる筈は無いので、
エド「『重力の強化』」
自らに働く重力を大幅に強化し、物理法則に反した速度で地面へ落下していった。
距離は開くが、これで手刀は回避できるだろう。
エド『風竜寅慈(ふうりゅういんじ)』
地面に着地する直前、また別の魔術を行使。
風が巨大なドラゴンを形作り、ドラクルへと迫る。
全身が風の刃だ、触れれば裂かれてしまうだろう。
-
>>421
「チィッ!!」
逃げられた事に苛立ちながら、飛翔して口を開き、再びブレスを吐いて風とぶつける
球体として吐きだされたブレスの塊が風と押し合うだろう
さらに
「これは」
両手それぞれにバスケットボール大の魔弾を形成
「防げるか!」
エドワードとオテイシムにそれぞれ放たれる。
飛翔して移動した事で位置が代わり、回避すれば街の方へ魔弾が飛んでいってしまう
-
>>422
風でできた竜はブレスを包み込むような形になり、派手な音とともに破裂した。
ブレスと風の衝撃で、周囲の建物の屋根が吹き飛んだ。
エド「うーむ、防ぐしか無いね」
オテ≪痛いのは嫌なんだけどねぇ≫
地上のエドワードは拳を腰のあたりで溜め、全身に強化を施す。
エド「ハァアァァアアッッ!!」
更に風の刃を纏った拳を、迫りくる魔弾に叩きつけた。
空中のオテイシムは、再び擬態を解き、本来の巨体に戻る。
オテ≪良いわよ、受けて立とうじゃない――!!≫
そして、大胆にも真正面から魔弾を受け止める。
エドワードとオテイシム、両名が魔弾を直に受けた。
無人の街を守るためか、それとも挑発のつもりだろうか。
エド「・・・ふふ、痛いね。久しい感覚だよ」
傷を負ってはいるが、倒れてはいない。
薄っすら笑みを浮かべ、拳を空中のドラクルに突き出している。
-
>>423
「………」
オテイシムもエドワードも決して無事な状態ではないだろう。
何せ街を全壊させかねない威力の魔弾を防いだのだから。
しかしそんな勇気ある行動を、ドラクルは嘲笑うでもなく憤怒するわけでもなく
ましては褒めたたえるわけでもなく眺めていた
まるで興が殺がれたと言わんばかりの態度だ
「……」
もう一度エドワードとオテイシムに視線を向けるも、何も言わずに背を向けてウルベーンから凄まじい速さで遠ざかって行った。
あの速度で動けると言う事は、まだ余力がかなりあったと言う事だろうか?それとも、ああ見えて疲弊が激しい為の撤退だったのか?
ともかく、ウルベーンは荒らされたがドラクルと言う――――破壊神を名乗る竜人は姿を消したのだった。
-
>>424
エド「・・・・・・ふぅ」
暫くドラクルが去って行った方向を眺め、その場に仰向けに倒れこむ。
ヒト型をとったオテイシムもすぐに合流した。
オテ「あっれ〜、わざわざ受けて挑発したのに、帰っちゃったのぉ?」
エド「いやぁ、冗談じゃない。撤退してくれて助かったよ。
空中で戦うのがどれほどキツイか知ってるのかい?しかもあんなのを相手に」
オテ「ええ、まあ、あれは強すぎたわ」
エド「とにかく本部に戻ろう。手当てをしたら、諸国にこの事を伝えなくては」
ひとまず首都を守ることはできたようだ。
所感あるが、今はそれで良しとしよう。
-
「さて……」
図書館の一角。
黒尽くめは、酷神賛歌骨片(ディマン・グローリア)を開いた。もちろん読むためだ。
傍には古代語や暗号解読の本も積まれている。
出会った時のように情報を直接得てもいいのだが、魔剣はそういった術には慣れていない。
色々と疲れるのだ。
「とりあえず、どうしたもんでしょうかね、コレ」
――そもそも読めるのだろうか? 魔術文字やツァト=ヨ語なども多少は読解出来るが、読めなかったらリタに協力してもらわないといけない。
悔しい。
-
>>426
中身は魔族が好んで用いる言語を暗号化した上で
古い魔術文字(書の劣化具合から書かれた当時に使われていたであろう)で書かれている。
魂喰らう立方体の記述(キューブ・オブ・バートリー)
魂喰らう四角錘の記述(ピラミッド・オブ・バートリー)
暴虐帝の剣の記述(エンペラー・オブ・ヘラクレス)
名君にして暴君の記述(トゥームブレイカー)
魔術師の衣の記述(マギウススタイル)
・・・・・
様々な記述が記されていることは図書館の書によってはわかる。
内容もおそらくある程度は理解できるだろうが、
しかし一部の記述。酷神礼賛の記述(ルキファージュ)だけは
使われている文字がまったく違うためおそらく内容は理解できないだろう。
もしもリタを連れてきているのならば起こして聞いてみるのもいいかもしれない。
-
>>427
「うへえ……気が滅入るな、これは」
完全に読解するには相当時間がかかりそうだ。
しかも、全く解読不能の記述まで存在する。これには手も足も出ない。
「仕方ないなぁ、うん」
知的好奇心には抗えない。
鞄からリタを取り出して机の上に置き、揺り起こす。
どうでもいいが鞄から精霊が出てくるというのは凄い光景だ。やったのは自分だが。
-
>>428
「・・・ん・・・。」
むくりと起き上がるリタ(小)。
周りをキョロキョロと見回してからゆっくり立ち上がり、
スカートの埃を払ってから助走をつけてジャンプ。
ぺちんと額に張り手を放って再び机に着地する。
「わたしのマスターならレディの扱いぐらいは心得ておきなさい。で、何の用?」
-
>>429
リタを起こしたら、立ち上がって机の上を走り始めた。
一体何をするんだろう……ボーッと見つめてたら攻撃された。
「痛!」
結界が間に合わなかった。間に合っていても解除されたかもしれない。
「す、すみません。えーっと……魔道書が読めないんだけど。
特にこの辺。全くもって意味不明なんだけど」
指差したのは、件の酷神礼賛の記述(ルキファージュ)。
「何とかしてくれ。全然わからねえ」
-
>>430
「ああ、それは分からないでしょうね。これだけは原本を解凍(デコード)しただけで
翻訳はまったくされていない超古代の言語そのままなのだから。」
あたりに人がいるかどうかを確認している。
「まあ、その記述の正体を先にいってしまえば【鬼械神】(デウスマキナ)ね。
マスターオブネクロノミコンやスペルユーザーズクリスタルが使っていた
最強の鎧。あるいは最強の巨人。ちからのある魔道書の証拠でもあるわね。」
-
>>431
「鬼械神(デウスマキナ)………か」
「ふがいないマスターで悪いが、俺はそれを使えないかもしれないな。
適性もあるかどうかわからないし、発動は出来ても行使できるかどうか。
だが、その仕組みには興味をそそられる」
数回だが、この目でその威容を間近に見たことがある。
魔剣エミヤがデウスマキナを使える可能性は低いが………もしかしたら。
「何とかして読む方法はないのか?
いや、読む以外でもいい。昨日みたいに情報を直接摂取すれば、俺にも理解できるかな?」
-
>>432
「わたしが手伝ってあげれば、召喚できないこともないわ。」
得意げに胸を張る。
「理解できるかどうかはあなたしだいね。
・・・まずは・・・これ、わかるかしら?」
書を閉じ、表紙に嵌っている黒水晶をペチペチ叩く。
その中には血に染まった骨片が封じ込めてあるのがわかるだろう。
-
>>433
「なんですと!?」
光明が見えてきた!
「ふむ。やるだけやってみよう」
黒水晶を覗き込んでみる。
そういえば、リタはこの中に出たり入ったりできるようだが、どういう仕組みなのだろう?
「うん、血と骨みたいなのが見えるな。これが?」
-
>>434
「それがわたしの本体で原本。
うしなわれた秘術によって高密度にあっしゅくされているから
そんな小さい骨片にこれだけの力が宿っているのよ。」
よーく目を凝らせば小さな何かが刻まれているのが見えるだろう。
「つまり、あなたは二冊の魔道書によるバックアップを受けるのと一緒。
それだけ無理もきくけれど、あまり無茶をしすぎると・・・その分危険だってことは覚えておきなさい。」
魔道書をバラバラに解いて纏い、大きいほうのリタになる。
「わかった?」
-
>>435
「ああ……だから『酷神賛歌骨片』なのか」
酷神賛歌・骨片。
魔道書に力と精神の宿った骨が付属し、事実上2冊分の力を持つ。
「なんか、俺に似ているな。
この身体に魔力と精神を持った俺が付属していて、2人分の力を発揮できる、と」
いや、俺の場合は0.5+0.5でようやく1人分か?
「面白いが、凄まじい労力が要りそうだな。マジで緊急事態にしか使えないかもしれない。
あ、でも術式の研究の為に呼び出すだけなら、そんなに負担はないかな?」
力への欲求もあるが、知的好奇心の方が強い。
例え実戦で使えなくとも、ここまで強力で特殊な術を学べるなら、目的の半分以上は達したことになる。
-
>>436
「そういうこと。」
机の上で足を組んで長い髪を払う。
「そういえばあなたも『魔剣』エミヤと名乗ったわね。」
「呼び出すだけならそこまででも無いけど、
長時間戦った場合の肉体への影響は・・・・
って、そういえばその身体が壊れたらあなたどうなるの?」
彼女はまだガルマキルマの身体と
目の前のシャドーマンの身体を扱っている人物(?)が=でつながっていない。
-
>>437
机の上で組まれた足を見咎めた。
「もうちょっと行儀よくしなさい。ここ図書館だぞ、俺のこと言えないな」
全身全霊の力を振り絞って、リタの脚に目が行かないように自制する。心臓に悪いぜ。
「もしも戦闘で使わなきゃいけない場合は、緊急回避とか、最後の一撃とか、カラータイマー点灯後のスペシウム光線とか、そういうのに限るな。
……ああ、俺の方の説明がまだだった。簡単に言うと、」
懐からお馴染みのナイフを取り出す。
「これが俺の本体。魂がナイフに取り付いてる。思考も魔術も完全にこっち。で、この黒い肉体を操ってる。
操ってるだけだから肉体が死んでも影響はないが、ナイフの方を潰されると終わり。
多分だけど、『契約』したのはナイフの方。でもマギウススタイル? みたいなのは、代替として肉体に纏われたようだ。
過酷な魔術行使の負荷は、俺の精神とかナイフの魔術発生機構とかに影響してくると思う。
……自分の体のことなんだが、未だによくわからん。試してみるのも怖いしな」
-
>>438
「はぁい。」
ピョコンと机から降りる。意外と素直だ。
「ふぅん・・・。
・・・ひょっとしてルキファージュを直接操ったほうが
わざわざ纏わせるよりもリスクは少ないんじゃないかしら。」
じーっとナイフを見ながらそんなことを呟く。
「ルキファージュは超古代の鬼械神。
魔術回路に対する負荷もさることながら
その超重量級の鎧を軽々と扱わされるから
肉体に対する物理的な負担もかなりのものよ。」
コツコツと周りを歩きながら講釈を始める。
「それを直接操れば肉体への負担は無くなりそうだけど、
こんなイレギュラー同士の契約なんて
おそらく筆者(ちち)でさえ想定してなかったでしょうし、
何が起こるか分かった物じゃないからやめておきましょう。」
くるりと振り返り、意地悪そうな笑みを浮かべる。
「万一あなたが私の記述を介して
私を乗っ取ったら何するかわからないしね。」
-
>>439
なんか俺が保護者みたいだな。そういったら怒るだろうか。
「なんか俺が保護者みたいだな」
言ってしまった。まあ、マスターはこちらだし、間違っちゃいないだろう。
「直接?
………ああ、なるほど。『操縦』するのね」
元々、こういった講義を受けるのは嫌いな方ではない。
割と熱心に聴いた。
「ま、それもそうだな。実験中に失敗して死亡なんてことになったら浮かばれねえぜ俺。
デウスマキナにそれほど拘ってるわけでもねえし、可能だったとしても扱いきれないしなー」
「乗っ取る? おいおい……心外だな。幾らなんでもそんな事はしないさ。
それに、俺が肉体を操作するには、相手の許可を得るか、精神抵抗を打ち破らないといけない。
この身体は、魂が存在しないから操れてるだけだ」
-
>>440
「・・・ぐぬぬ。」
言い返せない。意外と口げんかは苦手なようだ。
「操縦するか纏うかは大きさによるけど、まあ一緒ね。」
「へえ・・・ってことはこの身体は貴方が離れても
いきなり襲い掛かってくることはないのね。」
コンコンと頭を叩いてみる。
「ま、それはそれとして。
私の一部なんだから、私が許可した時点でどうなるかわからないし、
たとえ貴方が乗っ取るつもりじゃなくても、
中身が入れ替わることだってあり得ないとは言えないんじゃなくて?」
机の向かい側から身を乗り出して魔剣(ナイフの方)をじっと見つめる。
「仮に乗っ取ったとしても、貴方ならすぐに返してくれるでしょうし。些細なことね。」
-
>>441
「あれ、なんか悪いこと言っちゃった?」
今回は、思ったことを口に出しただけである。
「いや、俺の場合は等身大の相手でも、やってることは『操縦』だ。
今もほら、シャドーマンの体を操縦してるわけだし」
「うむ。どうも上手いこと知能だけ機能停止しているみたいだ。
ライタっていう知り合いが見つけてきた」
痛みはあるから強くしないでね、と叩かれながら言う。
「確かに……うん、確かにイレギュラーな状態だろうなあ、何が起こるか全然分からん。
中身が入れ替わったまま、デウスマキナに固定されて戻ってくる可能性も、まあ0%とは言えないな」
何となくナイフをくるくる回す。
これこそ魔剣エミヤそのものなので、それなりに扱いは上手い。
「さて……デウスマキナの実戦利用は、ほぼ最後の手段として、今は無視。
とりあえず今は、デウスマキナ召喚と、その研究だ。
てなわけで、公園にでも行って試してみたい。良いかな?」
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>>442
「・・・別にぃ?」
正論だけに言い返せないのであった。
「ふぅん・・・ってことは案外貴方を選んだのも間違いじゃなさそうね。」
「ま、その身体が壊れた時の最後の手段って所ね。」
クルクル回るナイフを頬杖をついてじーっと見ている。
「公園?私は別にかまわないけど・・・公園で大丈夫なの?」
頬杖をつく姿勢のまま羽を生やしてプカプカと浮かび始める。
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>>443
「子供みたいだな。そういえばリタさんお幾つですか? 精霊は年齢がわからん」
いきなり女性に年齢を聞いた!
ぶしつけ極まりない。
“ぶしつけ”は、“不躾”と書く。これこそ躾がなっていない。
「あんまり期待しないでください。ホントに。魔道書使いとしては三流以下です」
ジャグリングのように軽く放り投げ、落ちてきたナイフをキャッチする。
これくらいなら離れても大丈夫なんだよな、と半分独り言。
「大丈夫じゃない? とりあえずは人間大のを召喚する予定だし、帝都じゃちょっと奇怪なものを出してもあんまり驚かれないだろ。
……それとも、他に何か問題があるの? 見ただけで一般人が発狂するような外見とか?」
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>>444
「私自身は0歳よ。この間初めて生まれたのだから。」
にっこりと妙に迫力のある笑顔で答える。
ちなみに書は随分と古く、本体となる骨片はおそらくもっと古いだろう。
ミスカトニック大学の考古学博士あたりならば年代を特定してもらえるかもしれない。
が、その好奇心とリタに本気で怒られる恐怖心のどちらが勝つのだろうか。
「ええ、わかってるわ。だから貴方が一流の魔道書にふさわしくなるように
こうやって色々と教えたりしてあげてるの。」
「人間大のなら大丈夫かしら・・・。」
バサッと解け、小さいリタと魔道書に変身する。
当然といった顔で魔剣(シャドーマン)によじ登り、肩にしがみつく。
「心配事は道中で話すわ。さ、行きましょう。」
-
>>445
「そ、そうでしたか……」
笑顔に気圧された。
多少の好奇心はあるものの、命には代え難い。
いや、死ぬよりも恐ろしい目に遭う可能性もある。
「感謝してますぜ。でも、ホント適性とか薄いんで、出来ない子でも勘弁して下せえ」
「と、思うよ。協力してくれれば。
て、うわ。何してんの」
小さい子によじ登られるのはリリスで慣れている。
とはいえ、いきなりされるとやっぱり驚くものだ。
「よじ登らなくても、言ってくれれば普通に乗せるのに」
初めはリタを落とさないようにそろそろと、やがて普通に歩きだした。
公園へ移動。
-
>>446
「ちゃんとレディを丁寧に扱えるようになったら
貴方の手で乗せてもらうことにするわ。さ、行きましょう。」
公園へ向かう途中。
「ルキファージュ。別名ルキフグス。ルキフゲ=ロフォカレ。
光を避ける者という意味の名をもつ悪魔。
それを元に・・・というのは正しくないけれど、
大体似たような経緯から誕生したのが私の鬼械神。
ま、一般人なら分からないでしょうけど、
素人が本だけで知識を得た『なんちゃって魔術師』が
好奇心から解析しようものなら発狂間違いないわね。」
あっさりととんでもないことを言う。
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>>447
「道のりは長そうだな」
「悪魔なのか……悪いが俺は知らない。
ルシファーに似てるが、言葉の意味は全然違うな。
発狂はいくらなんでもヤバイな。やっぱり公園はやめようか。
そうだな、エミヤ家の地下室にしよう。
……というか、その『なんちゃって魔術師』ってほとんど俺じゃね?」
てくてく。
-
>>448
「そういえばルシファーの部下とも言われているわね。
ええ、それが賢明ね。ちゃんと制御できれば問題ないのでしょうけど
初召喚ではどこまで制御できるのかわからないわ。
あら?私の結界を解読し、解除できるなら一応は立派な魔術師よ?」
彼女なりに褒めているのだろうか。
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>>449
「部下なら山ほど居そうだけどな。直属?
制御できるかどうかは分からないが、あそこならちょっとくらい暴走しても多分大丈夫だろ。
そうかな? うん、そうだな。俺は立派俺は立派」
そんなこんなで、エミヤ家地下室。
この一角は実質的に魔剣エミヤの自室と化している。
5年間彼が寝泊まりし、魔術の研究や実験、修業、実践を行ってきたこの空間は、
結界師としての力をフルに用いて整備した、一種の工房だ。
「さて、じゃあ早速やるか……」
魔道書に手を置く。
まずはマギウススタイルの記述を具現化。
-
>>450
「直属ね。片手で数えるほどの数の。」
エミヤ家地下室。
「まあまあって所ね。さ、始めましょう。」
魔道書が解けてシャドーマンの身体にまとわりつき、黒いローブとなる。
肩には水晶の髑髏が現れ、ネクロのものとは違った印象のマギウスと変化する。
「上出来よ。次はルキファージュの具現化だけど・・・
現代語訳の詠唱が存在していないから今回これは私が担当するわ。
貴方はコレを使ってルキファージュのページにあった呪文を空中に描きなさい。
ただ強く念じながら振ればいいものだから。」
ジュウガの下に居た時にリタが使っていた骨の鎌が召喚される。
-
>>451
「そうか……そんな名前を冠された奴を召喚できるのかな。自信なくなってきた」
ローブがまとわりつくと、精神に軽い負荷を感じた。
リタおよび酷神賛歌骨片との相性がいくら良好だとはいえ、記述の具現化は未だ慣れず、元より向いているとは言えない。
マギウススタイル。おそらく、魔道書を直接扱うマギウスとしては基本の術であろう。
そんな位置づけの術――とすら呼べないかもしれない行動――ですら、扱うのは一苦労だった。
「先が思いやられる……ぜ。ネクロはいつもこんなの使ってんのか。
昨日の生命力吸収の結界とかは、これなしで使った方が良いかもな」
骨の鎌が召喚されてゆく様を眺める。
「そんなもんまであるのか。武器といいローブといい髑髏といい、ストレートに黒いな。死霊術師になった気分だぜ」
黒尽くめのシャドーマンには、中々映えるかも知れない。いや、逆にクドイだろうか?
鎌を受け取る。
ほとんど扱ったことが無い道具なので不格好だが、術としてはバルザイを用いたそれと同じだろう。
特に問題もなく、言われたとおりに呪文を描きはじめた。
-
アラゲイジア総合政府ヴァーデンより、各国政府や王室に伝書が届いた。
例の竜人騒ぎの件だ。
内容はアラゲイジアの首都ウルベーンが例の竜人に襲われたことから始まり、その際に得た情報が記載されている。
世間を騒がしている竜人と思しき者は『アディスザルト・ドラクル』と名乗り、
自らの目的を『世界中の全ての命を奪う事』であると公言したと言う。
そのためか他者に対して危害を加える事を厭わず、特に竜族に対しては並々ならぬ憎悪を抱いている様子が覗えたらしい。
言葉の端々から、彼の行動の起因は遥か過去にあると見られるが、詳細は全くもって不明。
各国に情報を求めると共に、更なる警戒を呼び掛ける内容となっている。
特にドラグノフ、パシュツルプスなど、竜との関わりが深い国に関しては、
他国よりも襲撃を受ける可能性が高いことが指摘されている。
また、カイナの谷など竜との親交がある地域や部族にも、特別に同様の伝書が宛てられた。
長い内容だが、要約すると「マジやばいから気を付けろ」ということだ。
-
ウルベーン襲撃からまたいくつかの国や土地に被害を与えたドラクル。休むことなく大海の上空を羽ばたいている。
今彼の向かう場所は果たして何処か…。
「しかしなんと不便な身か……奴らはこれを狙ってヒトの形に封じ込めたか…だがそれももう意味もない事、遺された力でも十分」
アラゲイジア政府からの情報伝達でドラクルはより一層警戒される事だろう。
しかし彼にはそんな人々の考えなど、全く意に介しはしないのだった。
-
―某所―
「そろそろ国の一つは見えても良い頃だが…」
休む事なく羽ばたきながら、ドラクルは独り言をつぶやく
その大きな力と竜翼が羽ばたく度に、周囲に衝撃や荒波などの影響を与えていた。
彼を待ち受ける者の存在など想像もせず、ドラクルは大空を駆ける
-
>>453
--フェキア--
宰相・ソーンダイク「……以上がヴァーデンよりの伝書でございます」
国王・エドバルド「アディスザルト・ドラクル、か……」
ソーンダイク「いかがなされましたか、陛下」
エドバルド「情報収集と警戒態勢の強化を。そしてわが国の商人達の保護を急ぐように」
ソーンダイク「仰せの通りに」
--北方・森の中の隠れ里--
「……竜族への憎悪を抱いている竜の如き人とな。
この森に目をつけたなら……」
『全力を持って戦うのみ、だ。
民も竜も、私やフォルカーと同じ考えを抱いてくれるだろう』
「グラウ……。わかった、直ちに知らせよう」
この森の民と竜らに事を知らせるべく里の長は動く。
その腕に相棒竜を乗せて。
「……シャーリー、お前は無事でいるのか?」
-
>>455
そこへ、地平線の向こうからドラクルへ向かい、高速で接近してくる影……正確には具現化した『オーラ』の塊のような物が接近してくるのが見える。
その中心は生命体であることがわかる。
どうやら、何処からドラクルを尋ね、向かってきたらしい。
また、具現化しているオーラから、相当の使い手という事も察する事が出来る。
-
>>455
ドラクルの視界内に、何者かの影(>>457)が入ってきた直後。
同様にドラクルの魔力感知圏内で、魔術が行使される気配がした。
魔力は、明らかにドラクルに向かって投射されていた。
翼の様子がおかしい。明らかに動きが鈍い。
このままでは失速する。
魔力の投射元は分かっている。右前方の地上だ。
さて、どちらに対応するか?
-
>>457-458
「何?」
翼への異変、自分へと向かってくるオーラの塊
どうやらこれらは皆自分に対して明確な敵意を持っている
…面白い、何人たりとも我を妨げる事など出来ない事を知れ
翼に対する不快感が我慢ならないのか、ドラクルは右腕を魔術を行使されている地上に向けた
「ハァッ!!」
そして投射元に向かって緑色に輝く魔弾を発射する
迫ってくるオーラに対し隙を見せるが、構うまい
-
孤児院のエアリーのもとに走る。
「遅れてすまん。母の日のカーネーションだ。」
-
>>459
ドラクルが攻撃をしたのと同時に、飛来するオーラの塊に変化が現れる。
ただでさえ、膨大な量のオーラであるが、それが空中で2つに分裂した。
1つは本体、もう1つは魔弾のようなオーラの塊であろう。
そして、その魔弾のような塊は、オーラの刃となり、音を抜き去るスピードでドラクルに迫ってきた。
避ける事が困難な上に、被弾すれば軽微な損害では済まないかもしれない。
-
>>459
飛行しているときは気付かなかったが、注意して見てみれば、そこに二つの影があった。
みすぼらしい中年オヤジと、性別の分かりづらい――おそらく男――若者だ。
意識していなかったとはいえ、ドラクルが気配を感じ取れなかったあたり、こちらもそれなりに経験を積んでいるに違いない。
中年の方からは、かなり高い魔力を感じる。翼に魔術を放ったのもこちらのようだ。
青年の魔力は、中年に比べるとかなり小さい。しかし、何やら奇妙な力を持っているような、得体の知れない気配を持っている。
緑色の魔弾が放たれると、中年の方は逃げ出し、青年が庇うように前へ出た。
魔弾が青年に炸裂。全身に火傷を負いながら吹き飛び、大地に転がった。
翼の不快感はいまだに続いている。
逃げ続ける中年の方を殺さなければならない。
-
>>461
「フン…!」
超スピードで迫る魔弾の塊を、両腕を前に出してクロスさせた姿勢で受けるドラクル。
爆発が起こり煙が舞いあがるが、その中からすぐさま姿を現した。
竜の特徴が大きくでた両腕が傷付いているが、見て分かる通り再生していっている。
そして口を開き、ドラゴンブレスをオーラの戦士本体に吐きだす
凄まじい速度と熱量で戦士にブレスが襲い掛かった
ブレスを放つとドラクルは高度を下げる
>>462
「何処へ逃げる気だ」
大地に転がった青年を無視し、ドラクルは逃げる中年を追いたてるべく高度を下げた。
オーラの戦士の攻撃で両腕に傷を負っているがドラゴンとしての要素が与えたのであろうか?
脅威の回復力で傷が癒えて行っている。
「俺に不快を与えたのだ、覚悟くらい出来てるだろう?」
聞こえているか不明だが、中年にそんな事を言うとドラクルは左腕を素早く振るった
すると地面を砕く衝撃波が起こり、地割れのような勢いで中年へと迫る
喰らえば思い切り吹き飛ばされる程の威力を持っている。
-
>>463
そうこうしているうちに、オーラの戦士が目視可能な位置まで迫ってきている。
そして、ある程度まで距離を詰めると減速する。
その姿はどうやら、銀色の鎧に全身を包んでいる以外には武器もない戦士らしい。
「ドラゴニック・ブロウ!」
戦士はそう叫ぶと、ドラクルが放つブレスに劣らない規模のオーラを放ち、ブレスその物をドラクルに対し押し返して見せた。
すなわち、ブレスの効果がそのままドラクルに返ることになる。
-
>>463
そこへ何かがドラクルめがけて飛んできた
巨大な岩だ。岩がまるで何かで撃ちだされたかのように飛んで行く
武装船のようなものが近くにあるのだろうか?
-
>>463
オーラの戦士にブレスを放ち、高度を下げ始めた頃……唐突に、翼の不快感が消えた。
中年が逃走しながら振り向き、短く詠唱したのち、魔力を込めた指先をドラクルに向け、放たれた。
……とりあえず、そのときは何も起こらなかった。
だが、ドラクルが中年に攻撃しようとした瞬間、翼に受けていたものと同様の不快感が、今度は両腕を襲った。動きが鈍り力がうまく入らない。
とはいえ、中年の魔術も腕を完全に停止させることはできなかった。
予定よりも速力や威力が劣るものの、それでも激しい勢いを持った衝撃波が中年に向かう。
そこへ再び、青年が飛び出し盾となる。
明らかに満身創痍だったはずだが、傷は癒えかけていた。
またしても青年が吹き飛ぶが、中年はまだ逃げている。
ドラクルは、腕の鈍った状態でオーラの戦士と戦わなければならない。
-
>>464-465
「!?」
まさかブレスが押し返されると思わなかったのか驚きの表情を見せる
押し返されたブレスを両腕で受け止めた直後――――投擲された巨大な岩がドラクルに直撃する
その衝撃で弾き飛ばされたドラクル。押し返されたブレスは対象を失い海面へ落ちて爆発を起こした。
弾き飛ばされドラクルはすぐに制止し、岩を投げられた方向に視線を向ける
-
>>466
「……」
逃げる中年を見て、舌打ちをするドラクル。
腕にかかる不快感に苛立ちながら現状を確認するように周囲を見回している
どうやら中年がドラクルの能力に影響を与え、青年が盾となるようだ。
そして残りのオーラの戦士らがドラクルと直接戦うのだろう。
-
>>467
「噂を聞いて見に来てみれば、取るに足らんただのモンスターのようだな」
戦士は黄金のオーラに身を包みながら空中に滞空し、ドラクルよりも高い位置から見下ろしている。
「今なら降参も認めてやろう。降参したところで、貴様が楽に死ぬか、苦しんで死ぬかの違いしか無いがね」
-
>>467
視線の先にいたのは…小さな人影だ
まさかあの人影があの岩を投げたのだろうか?人間ではありえないことだ
だがドラクルはその人影から「同族」の気配を感じることができるかもしれない
-
>>468
中年はある程度距離が開くと、その場で停止した。
あまり遠すぎると、魔術の効果が薄れてしまうのだろう。
青年は……既に肉体が回復し、完治しつつある。
二度の致命的な攻撃を受けても尚、ここまでの再生能力を維持している。
だが、どちらの攻撃もなす術もなく吹き飛ばされた事を考えると、防御力は高くないのだろう。
尤も、ドラクルの攻撃を受けて五体満足でいられるだけで、一般人よりは相当に頑丈な筈だが。
腕の状態は、悪いままだ。むしろ、ゆっくりとではあるが悪化している。
これは純粋な魔術なので解呪は可能だろうが、その間他の者たちに隙を晒すことになるだろう。
-
>>469-470
「………」
オーラの戦士の言葉に、ドラクルは何の返事も返さない
そして岩を投げつけた人物を見る。
その人物はドラクルに「同族」の気配を感じたのだろうか?
ドラクルはそちらに大して「同族」と言う意識を抱く事はない。
「竜?いや、ただの竜人か……?」
どちらでも構わんが、と続けオーラの戦士に顔を向けた。人の顔だ。紫がかった黒髪に藍色の眼…年若い青年の顔。
「降参?……お前達がするのか?」
オーラの戦士に、挑発的な視線と笑みを浮かべた
-
>>471
「忌まわしい……ヒトの小賢しさだけは歳月を重ねるごとに成長していると見える」
両腕を睨むと顔を中年と青年の方へ向けた。
そして口を開く。先ほどオーラの戦士には防がれたが、同威力のブレスを彼らに向かって撃ち放つ
青年と中年をまとめて薙ぎ払おうという狙いだろう。
-
>>472
「どうやら、人語の理解能力も低いようだな。貴様に恨みは無いが、俺の使命なのでな。さっさと消えてもらう」
常人にはとても視認する事が困難な速度で、ドラクルの視界から消える。
実際には、高速で宙に浮くドラクルの下方に移動したのだ。
「ドラゴニック・インパクト!!」
下方からドラクルに接近しながら、右腕を振り上げる。
ドラゴニック・インパクトと称しながら、実際にはアッパーのような攻撃だ。
しかし、その威力を例えるならば、鉄の塊を粉々に砕いてあまりあるほどの威力がある。
-
>>473
ドラクルが口を大きく開くと、腕の不快感が消えた。
中年が、ドラクルを指さす。
先程と同じだ。ドラクルが腕で攻撃しようとしたあの時、不快感が消えて腕に現れた。
おそらく中年は、翼に放った魔術を解き腕に再投射することで、攻撃力を弱めたのだろう。
しかし、今回の攻撃はブレスである。一体何をしようというのか?
『ヒュッ』
妙な音が出た。
他ならぬドラクルの口から、おかしな呼吸音が漏れたのだ。
無論、意識してのことではない。中年の仕業だ。
横隔膜の痙攣。
人はそれを、しゃっくりと呼ぶ。
内臓部分であるので、魔力的な防護は翼や腕より強いが……ブレスを弱める程度の役には立った。
だが、腕の衝撃波を消せなかったように、ブレスを阻止するには至らない。
青年だけではなく、中年も吹き飛んだ。
中年も受け身を取ったが、傷が治る様子はない。
しゃっくりは、まだ続いている。
-
>>472
同族の意識を感じたかどうかはドラクルからはわからない
ただ何か不快感を持っているということだけは確かなようだ
そしてもう一つ岩が飛んでくる
ただ投げただけだが、大砲で撃ちだされるより威力も速度も上だ
-
>>474
両目を見開き、ドラクルはそのアッパーを身体で受け止める
衝撃が身体を貫いたような手ごたえにオーラの戦士は勝ちを確信しただろうか?
と同時に、しゃっくりのような声が聞こえた
「……」
ドラクルは苛立った眼つきを露にしながら、アッパーを受けた姿勢のまま全力で右拳を振るう
激しい衝撃を纏いながら、オーラの戦士の放ったアッパーと同等かそれ以上の威力で彼の胸に拳を直撃させる
オーラの戦士は少なくともその場から吹き飛ばされるだろう
>>475>>476
「…!!」
喉を押さえながら、ドラクルは倒れた中年を睨む
オーラの戦士を殴り飛ばすと受け身をとった中年目がけて羽を広げて接近する
投げつけられた岩を一瞥すると、左腕を力強く振るってなんど砕いた
-
>>477
「チッ……!」
攻撃を喰らう瞬間に身をそらしたものの、避けきれずに吹き飛ぶ。
しかし、鎧の効果か、さほどダメージを受けていない様だった。
しいて言えば、若干の痺れを覚えている程度だ。
「どこを見ている!!」
すぐにドラクルを追いかけ、オーラを纏った腕をドラクルの肩に振り下ろす。
自らのオーラの力で、ドラクルの腕を肩から切り落とすのが狙いだ。
-
>>477
中年は素早く立ち上がり、再び逃走の構えを見せた。
だが、ドラクルの速力には敵わない事を悟り、その場に留まり対峙する。
「お前は確かに強い…
生まれも特殊なようだ…
人間でもないし、竜でもない…」
ドラクルのしゃっくりが止まる。
次に何をしようというのか?
「だが、これまでの戦いの中で分かった…
お前は紛れもなく、『生物』だ…
どれだけの強さを誇ろうが、そのくびきからは逃れられない…」
中年の魔力が高まっている。
-
>>478
「邪魔だっ!!」
オーラの戦士がドラクルに追いついたところで、ドラクルは腰から生えているその強靭な尻尾を鞭のようにしならせてオーラの戦士へと振るう
狙いは脇腹になる。振り下ろされるはずだった腕も止められるだろう。
>>479
「人間風情が、俺に教鞭を執ろうと言うのか?」
「笑わせる!!」
両腕への不快感もない今、ドラクルは万全の状態で両手で魔弾を創り上げる
そして二発の魔弾を右、左の順番に手から放った。
二発放った理由はどちらかを青年が防いでも中年に当たるようにする為だ。
-
>>480
「!!」
ドラクルの攻撃に気が付き、自らの攻撃を中断する。
迫るドラクルの尾。
しかし、
「甘いッ!!」
振るわれた尾が脇腹に当たった途端、その尾を両腕で掴む。
「平伏せるがいい!」
そして、尾を掴むだけに留まらず、ドラクル自身を振り回し、地上に叩き落とす。
それにより、青年や中年に向けられた魔弾も、軌道がずれてしまうであろう。
-
>>480
「あらゆる動物には、絶対に抗う事のできないものが、いくつもある…」
「貴様に教えてやる…
その中で、最も耐え難いものを…!」
中年の魔力が、ドラクルに全投射された。
「恥辱に塗れて死ね…! 『便意の呪詛』……ッ!!」
―――ずん。
ドラクルの体内で、何が起こったかは省略しておこう。
ただひとつ重要なのは、中年の発言に嘘はなかったということである。
精神を集中して、便意に抗うか?
それとも、便意を受け入れ、『する』のか……それはどちらでも構わない。
いずれにせよ、オーラの戦士の前で見せる隙は、今までのそれと比べものにならない。
そしてまた、放った2発の魔弾も、既にドラクルの手を離れていた。
ドラクルの予想通り、若者が片方をかばうが、もう片方を中年男性が受け、大きく吹き飛ばされる。
-
>>481-482
「――――!?」
どうやら魔弾は当たってしまったようだ。
そしてドラクルはオーラの戦士に尻尾を掴まれて地面へと叩き落とされる
魔弾に当たった青年と中年はどうなったのだろうか?
「うぐ……ああああああ!?」
身体を起こし、腹部を左腕できつく押さえながら、ドラクルは叫んだ。
これはもしも中年魔術師を倒しても呪詛が消える事はないのだろうか?
なんたる屈辱、まさかこのような愚かな状態になろうと誰が予想したか。
「…お、おおお…おおおおおおお!!!!!!」
悲鳴とも取れる咆哮を上げ、ドラクルは自分を中心に全方位に魔力による衝撃波を繰り出した。
当たりの物を根こそぎ吹き飛ばす威力だ。
-
>>477
「ふふん、そうでなくちゃ戦いがいもないわね!」
投げる岩がなくなったのか、別の攻撃をくわえる
手に熱を集め、光球を作りだし放つつもりだ
-
>>483
中年は……生きていた。かろうじて、ではあるが。
中年を殺せば、呪詛は解除されるだろう。
青年が中年に肩を貸し、逃走を始めた。
今までと様子が違う。距離を置くための戦術的撤退というより、敗走のようだ。
だが先ほどよりもずっと遅い。追いつこうと思えば追いつけるだろう。
ただ、襲いくる便意とオーラの戦士たちをどうにかしなければならないが。
-
>>484
ドラクルが魔術師が放った呪詛により、尋常ではないくらい苦しみだす。
次なる手を打とうしていると、咆哮と共にドラクルは広範囲に渡って衝撃波を繰り出した。
辺りを吹き飛ばす威力だ。
-
>>485追記
中年がドラクルから離れた場合でも、この呪詛は消える。
-
>>483
「無駄だ。俺がこの鎧を纏っている限り、貴様程度の攻撃は効かん」
言葉通り、オーラの戦士は衝撃波を受けてもさほど影響を受けていない様だった。
「そして、そろそろチェックメイトのようだな。これで終わりにさせてもらう!」
戦士が一息、気合を込めるような声を発すると、鎧全体が光に包まれる。
その後、光の中から現れたのは髭を生やした生身の戦士。歳は40前と言った所だろう。
そして、鎧を脱いだ戦士の右腕には大きな斧が握られている。
「消えろ、ドラゴニック・パニッシュ!!」
オーラの戦士が急上昇したかと思いきや、再び高速で降下し、ドラクルに向かって斧を振り下ろす。
推測からしても、これを喰らえばドラクルは粉々に吹き飛び、地面には大きなクレーターを残すことになるだろう。
-
>>486
防ぐ手立てはなかったので頭を保護するように腕を構え、衝撃波に備える
かなりの距離を吹き飛ばされたもののすぐに起き上がってくる
ただ、体のあちこちから血を流し、完全に無事というわけではないようだ
-
>>485-489
吹き飛ばされた>>489は意に介さず、鎧を解いたオーラの戦士に視線を向ける。
変わらず腹部を押さえたままだ。眼が血走っている。
「キサマ ガ 消エロ !!」
降下してくる戦士の身体を狙い、ドラクルは口からレーザーのようなブレスを放った。
鎧がドラクルの攻撃を阻んでいたと言うのならば、その鎧が解けた今戦士の身体を守るものはないだろう。
今のところ逃げる中年達に向かう余裕はなさそうだ。
-
>>490
「むっ!?」
思わぬ反撃に、急降下を中断。
そして腕を体の前で交差し、自らのオーラのみでの防御を試みる。
-
>>490
青年が、中年に治癒の魔術をかける。
普通の魔術はあまり得意でないのか、傷の治りはあまり速くない。
そしてようやく、便意の呪詛が消えた。
二人が範囲外に到達したのだろう。
-
>>491
「かぁっ!!」
さらにオーラの戦士に向かってブレスを叩きこむ。
先ほどまでの仕返しだと言わんばかりに。
>>492
痛みが治まり、冷や汗をかいている事を自覚する
恥辱と怒りが込み上がり、範囲外の方向に逃げた二人へと改めて怒りを向ける
「あいつ等……楽には死なせん…!!」
-
>>493
「ぐああ!」
たまらず上空へ避難し、ドラクルを見下ろす。
オーラで防御したとはいえ、腹部に大きな火傷を残す事となった。
「下等生物の分際で、貴様……!」
目を血走らせ、斧を握る。
「おぉぉぉ……どぅらあああぁぁぁぁ!」
再び、斧を構えながら急降下。
今度はブレスが来ようとも、斧の衝撃でブレスごと吹き飛ばして見せよう。
-
>>493
ドラクルの優れた視力は、呪術が切れるほど遠くに離れていても、二人の姿がよく見えるのだろう。
中年の傷を青年が直し続けているのを見て取った。ゆっくりではあるが、先ほどからずっと治癒を継続しているので、体力も戻りつつあるようだ。
しかし、あれほど長い間ずっと魔術を使い続けるには、かなりの魔力が必要だ。
だが青年の魔力は、それほど高くなかったはず……。よほど燃費が良いのか?
いや違う。ドラクルの魔力認識能力は、青年の魔力がほとんど減っていないことに気付いていた。
あの青年、回復するのは生命力だけではないのか?
-
>>490>>493
「さーて、手伝ったほうがいいのかしらね」
ドラクルへ向き直す
オーラの戦士の攻撃を待ち、追撃するつもりのようだ
-
>>494-496
「ッ…!!」
急降下する戦士に対し、ドラクルは突如姿を消した。
そして討伐隊ら全員を見下ろせる高度の位置に再び姿を現す
超スピードによる回避行動だった。
「忌々しい『ヒト』ども…」
右腕で腹を押さえ、ドラクルは元から掠れていた声をさらに掠れさせながら咆える
「今もなお、俺達を愚弄するか…!!」
ドラクルにとってはもう呪詛だろうが青年の魔力などどうでも良いのだ。
オーラの戦士が竜と関係を持っているのか、フレイアが竜人なのかもどうでも良い
ただ彼にとって自分が侮辱されたと言う事実だけが彼を怒り狂わせる
本能に従った怒り、まるで子供の癇癪にも等しい感情だが――彼はそれを知りつつ押さえる術を持たない
「があああああああ!!!!!!」
天に向かった咆哮、それは最初こそ人の叫びのようだったが、やがて竜の咆哮に変貌する
討伐隊はドラクルの姿が一瞬、巨大な竜の姿に見えただろう。眩い、まるで薄明のような輝きを持つ竜の姿に。
そして突然、ドラクルがいた地点から巨大な魔力の波が押し寄せた
凄まじいその勢いに留まる事は出来ず、一同は大きく吹き飛ばされるだろう。
……荒れ果てた大地と、荒波に惑う海岸を残し、ドラクルの姿は消えていた。
-
>>497
「ぐおお……こいつ……!!鎧化!」
吹き飛ばされながら、呪文のような言葉を呟くと斧が鎧に変化し戦士の体を包む。
しかし、オーラの戦士はその鎧姿のまま海中に落下し、水柱を上げて姿を消した。
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>>497
中年「……」
若者「……」
中年「消えた、か…」
若者「逃げたのか…?」
中年「『見逃してもらった』というのが正しいかもな…」
若者「……」
中年「……」
若者「親父は、昔からあんなのと戦ってたのか…?」
中年「いや、流石にあんなのを相手にするのは… 俺も初めてだ…」
若者「……」
中年「……」
若者「報酬、出ると思うか…?」
中年「知らん…」
若者「クソッタレ…」
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>>497
「く…な、何よこれ…!」
魔力の波に押し流され吹き飛び、岩に激突してやっと止まった
「いっ…たたたた…」
なんとか立ち上がるものの、傷が増え骨も数本折れているようだ
頑丈な体と言え限度はあるのだ
「あいつどっか行っちゃったし、これ以上追いかけられないから帰るしかなさそうね
あーあ、怒られちゃうかも」
愚痴をこぼしながら、乗ってきた覇道財閥の船に乗って帰路へ着くことになりそうだ
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>>452
「バートリーの名を冠する記述は結界術。
あなたが覚えることさえできれば、私のサポートなしでも使えるでしょうね。」
右肩の髑髏の眼窩にすっぽりと収まっている。
「記述の具現化の際にイメージすれば、赤や白のローブになるわよ。
髑髏の飾りとこの鎌は変えようがないけれどもね。」
鎌で呪文が描かれるのに合わせて耳鳴りがするような言葉で詠唱を始める。
もし古代魔術言語が理解できるのならば
『私の願いを叶えろ。』『貴様をこの杖で打ち据えるのをやめてやろう。』
『貧しき者には施しを与えてやろう。』『契約は絶対である。』
などといったニュアンスの詠唱だと気づくだろう。
「『汝は全ての栄光を司る者。地獄の宰相・ルキファージュ!』」
最後にルキファージュの名を高らかに叫ぶ。
同時に描かれた呪文がいくつかの輝く輪となって目の前に収束し、
やがて光が人の形を取りながら黒く染まっていき、
ずんぐりとしたフォルムの黒い重鎧が具現化される。
魔道書自体がある程度魔術回路の代わりをしてくれるとはいえ、
慣れない魔術を使ったときと同じぐらいの魔力を消耗するだろう。
-
>>501
「ふむ、じゃあ独力で使えるようになることを目指しますか……。
少なくともマギウススタイルなしで使えるようにはなりたいね」
あまり女の子が喜びたがらないような場所にいるリタに目をやる。
前にもそこに入っているのを見た。
「……そこ定位置なの?」
耳障りな呪文に耐えながら、鎌による作業を続ける。
詠唱を完璧に理解したわけではないが、高圧的な印象を受けた。
「う…………おあッ!!」
負荷に耐えながら、なんとか鬼械神を具現化した。
「………くっ」
やはり消耗が大きい。
片膝をつき、数秒の間体力と魔力を整えた。
落ち着いてから立ち上がり、黒鎧に触れて感触を確かめる。
「成功したのか……?」
とりあえず、腕部分を動かしてみる。できるだろうか?
-
>>502
定位置なのかという問いには「何か問題でも?」と答える。
ネクロがマギウス化しているときのアルは飛んでいるのだが・・・。
黒い鎧は現在のドワーフ達に作らせた最高級の鎧にも匹敵しそうな硬さを持っている。
が、その最高級の鎧をはるかに上回る重量があることも感じられるかもしれない。
「上出来ね。ただ、ルキファージュ自体はただの光や熱に強い鎧。
纏って呪法兵装を行使して初めて一人前の鬼械神よ。」
超重量級の魔道騎士の腕がグニャリと曲がりながら上がる。
中身の居ない今、幾重にも重なったプレートそのものが関節として機能しているのだろう。
-
>>503
「いや全然」
文句も問題も全く無い。
「良い鎧だ……文句のつけようもない。加えて光や熱に強いのか。
しかしまた重そうな代物だな……あんたの著者はどんなマギウスを想定してこんな鎧を作ったんだ?
これを扱える奴って魔術師というより戦士だろ。前の肉体の時に会いたかったぜ」
「で、その呪法兵装ってのは一体なんだ? ネクロのレムリアインパクトみたいなやつ?」
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>>504
「実際纏う分にはそこまで重くないわ。
でも、それはあくまで体感の話。身体にかかる物理的な負荷はかなりのもの。
優れた魔術師が常に肉体強化(エンハンス)をかけ続けながら纏うことで
頑丈さと速度でゴリ押しできるように作ってあるの。あまり美しくない戦い方ね。」
魔剣の脳裏に二つの記述が浮かぶ。
リタから送られているのだろう。
「それが呪法兵装の一つ。撃振槌(アガレス)の記述。
・・・召喚するのは勝手だけど、絶 対 に !ここでは使わないこと。」
「もう片方は機神修復(マルバス)の記述。
破損箇所を修復、換装、あるいは単純な形状変化が可能な記述よ。
形状変化はあなたのイメージ力次第。もし使いたいのならこちらのほうにしなさい。」
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>>505
「いずれにせよ肉体派のためのデウスマキナか……。
うーむ、重量による負荷なら、全部身体の方に回すことも出来るな。
身体を使い捨てにすれば、実戦でも……いや、本当にすぐ身体を潰しちまうな。やっぱりナシ。
美しくないって……自分のデウスマキナにそんな事言っていいのかぁ?」
送信された記述を参照。
必要なものだけ送ってくれるなら、前回のように情報の渦に飲み込まれるような事はない。
さりげないけど嬉しいサポートだ。
「そう言われると使いたくなっちゃうなーァ!? ……冗談です。
というかそんな危なそうなもの、使ったりしないって」
「イメージ力か!任せろ!俺様の妄想力は帝都一だぞ!」
機神修復(マルバス)を起動。
左腕をタコの触手に変える。流石に無理か?
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>>506
「そうね。さっきも言った通り、この鎧を直接操れれば
おそらく負荷は完全に無視されるでしょうけど何が起こるかわからない。
私の美的感覚にあわない戦い方だもの。仕方ないわ。
大いなる魔道書(グラン・グリモワール)の証明か資格か知らないけど、いい迷惑ね。」
「叩きつけた物、あるいは場所に巨大な振動を起こす呪法兵装よ。使ったら私たちは生き埋めね。」
アガレスの記述について。ちなみにスライムなど流動体相手ではほとんど意味がないようだ。
「一体どう変化させるのかしら・・・。これはサソリの尾かしら?なかなかいいセンスね。」
重鉄の左腕が無数の関節を持ち、しなる鞭のような形状に変わる。
軟体動物のように動かすことはできるが、リタの言うようにサソリにも見えなくもない。
-
>>507
「じゃあ当初の予定通り研究続行、と。
ふうん。魔道書の精霊と記述っていうのは同一のものかと思ってたけど、そうじゃないのね。
お仕着せの武器をパパから与えられてる感じ?
『大いなる魔道書(グラン・グリモワール)』? また知らない用語が出てきたな。世界の名魔道書100選みたいなもん?」
「デウスマキナにピッタリの超ゴリ押し系武装だな。そういうの嫌いじゃないぜ。使う機会は一生来ないかもしれないけど」
出てきた鞭のようなサソリの尾のような、よくわからないものを振ってみる。
「想像したものとは大分違うものが出来上がったなー。俺の想像力不足か?
いや、重鎧で触手を作ろうとしたのが悪かったのか? それを補おうとしてこんな感じになったのか。
まあ、これはこれで悪くない。実戦的かどうかは分からないけど」
一般的な武装なら可能だろうか?
剣、槍、斧などのポピュラーな形状に変形できるかどうか試してみよう。
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>>508
「そうね。まあ姿には別に文句はないのだけれど。
『大いなる魔道書』は私の本体が作られた時代の優れた6冊の魔道書。
それぞれの鬼械神が『ルキファージュ』『サタナキア』『アガリアレプト』
『フルーレティ』『サルガタナス』『ネビロス』と名付けられているわ。
・・・尤も、『大奥義書』という後に発見された魔道書が全て網羅しているし、
『妖蛆の秘密』の鬼械神『ベルゼビュート』よりは劣るものらしいのだけれど。」
ようするにそこまですごくはないけれど、特別な魔道書だったらしい。
鞭の腕は思った通り自由自在に動く。
鞭としてしなり、サソリの尾のように突き、タコの足のようにグニャグニャと曲がる。
「触手ねぇ・・・。あなたのセンスはよくわからないわ。
ま、機能を強くイメージすればその機能はちゃんと備わるはずよ。
ある程度ルキファージュの記述が勝手に解釈して変形するけれど。」
手首から先が剣のような形に変形。
そこから刀身の方向に鍔が移動し細く伸びて槍のような形に変形。
さらに槍の鍔が変形し、斧のような形にもなる。
シンプルな武器は完全にイメージ通りの形状で実体化された。
「手持ちで使いたいのなら、ツノを使えば可能よ。
腕に限らず、様々な箇所が変形できるけれど、
纏っている場合は最少サイズ・・・
つまり中身以下の体積には出来ないから注意することね。」
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>>509
「へえ。同じ時代にデウスマキナを持つ魔道書がそんなに記されてたのか……。
それみんな悪魔の名前だよな? 名前しか知らないが。
というか、その『大奥義書』っていうの普通じゃないな。6つの鬼械神が全て収められてるのか。
え? 『妖蛆の秘密』ってそんなのがついてるの? 知らんかった……一応持ってるのに」
ヤバイ、この武器かなりいけてるかもしれない。
武器というよりは拷問器具?
「機能をイメージか。触手の機能といえば、粘液と吸盤だ!!」
無理そうだがチャレンジ。
そしてもう片方の腕でオーソドックスな武器を色々と変形させる。
「最大サイズはどれくらいかな? 超長大武器とか出来るんだろうか?」
右腕を、元の状態に戻す。
ゴミ箱から紙屑を取り出し、宙へ放り投げた。
紙屑が床に落ちる前に右腕を紙屑に向け、槍化。
槍は紙屑を貫通できただろうか?
-
>>510
「宰相ルキファージュ、大将サタナキア、司令官アガリアレプト、
中将フルーレティ、旅団長、サルガタナス、総監督官ネビロス。ええ、全部悪魔ね。
私も『大奥義書』を見たことが無いからなんとも言えないけれど、
『呪詛の預言書』が言うには、鬼械神としてではなく、呪法兵装として従えているらしいわ。
・・・あら、あなた既に魔道書を持っていたのね。ちょっと裏切られた気分。」
少し機嫌を損ねたようだ。
「・・・・粘液に吸盤ねえ・・・。」
多関節の腕に吸盤らしき窪みが形成される。
そして黒い泥のような魔力の塊がボタボタと落ちる。当然微量ずつ魔力は消費されていく。
いわば泥の魔弾を放っているようなものだ。
「あなたの魔力しだいね。私の本のバックアップだけなら・・・腕の3倍ぐらいかしら。」
コンマ数秒遅れて狙った座標を正確に貫く。
事前の動作である程度間隔をつかんでいれば紙屑を貫通しただろう。
-
>>511
「本当に大物揃い……ていうか宰相さんですか、こいつ。全然見えねえ。
『鬼械神としてではなく、呪法兵装として従えている』……? どゆこと?
操縦するんじゃなくて命令するのかな?
……え。何ですか裏切るって!別に何にも悪いことしてませんよ!」
無実なのに罪悪感。なぜ俺はこんなにも慌てて弁解しているのか。
「うーん、魔弾はあまり役に立たねえなあ……吸盤はどうだろう。くっつくなら戦闘にも使えそうだけど」
窪みを触ったりなでたり。
「腕の三倍か……長柄武器としてはちょい物足りないが、柄の部分まで高い強度を持っているから問題はないな。
すごく長い剣として見れば、中々使い道もありそうだ」
「ふむ。外れたけど威力も速度も申し分ない。
――うん、形状変化はこんなもんにしておくか。あ、最後にあれができるかどうかやっておこう」
剣の表面に鋭利で微小な、歯のような突起を生み出し、滑るように高速で走らせる。
「チェーンソー!別名輝彩滑刀だ!」
-
>>512
「ま、ただ財宝の管理を任されてるだけだしこんなものでしょ。
さあ?ひょっとしたらそのまま武器に変形させるのかもしれないけど・・・。
だって貴方、とても魔道書を持っているようには見えないもの。」
素直かつ残酷な感想である。
「あら、その泥もちゃんと使えれば毒沼ぐらいにはなるわよ?
あなたがバートリーの結界を両方ともちゃんと使いこなせればね。」
窪みは金属質だが、まるで呼吸するかのように空気を吸っている。
強く意識すれば吸引力はそれだけ強くなり、吸着することもできるかもしれない。
さらに窪みには牙のようなものも生えており、それで噛み付けば壁も登れるような気もする。
「纏って使うなら、鎌の先に角を取り付けるようにして変形させることで
ある程度の長さまでは拡大できるけど・・・それ以上は貴方の魔力次第ね。」
「・・・あれ?」
ほぼイメージ通りのものが出来上がる。
ただし、その動きに鎧がガタガタと震えている。
「ちょ、ちょっと。そんな風に動かさないで!
中身も居ないんだから直立させるのが難しくなるのよ!」
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>>513
「もしかして名誉職みたいなもんなのかな。宰相というなら戦闘中に知能が活性化するとか、そういう付属効果があればいいのに。
今度会ったら聞いてみるか。ハイパティアさんはネクロとかが虚空に向かって呼びかければ出てきそうなイメージがある。
くっ……言い返せねえ!」
自分でもそう思う。むしろ魔術師にも見えない。
「毒沼か。考慮には入れておこうかな。まずはそのバートリーの結界とやらを扱えるようにならないとな」
窪みをしげしげと観察し、指を突っ込んで吸収力や牙の形状を確かめる。
「うーむ。想像とは違うが、しっかり役割を果たしてくれそうだな。
流石はデウスマキナってところか……これを組み上げた著者も、やっぱり只者じゃねえな。
俺なんかが使っていいんだろうか、ほんと」
「了解。俺の魔力はほとんど当てにできないから、さっきのが限界だな」
予想通りのものが出来上がったのは喜ぶ間もなく、リタに咎められた。
慌ててチェーンソーを停止。倒れる方向によっては俺が潰されかねない。
「いやあ、すみませんね。あんなにガクガクするとは思わなかった。
でもこれはあれだな。凄い使えるんじゃね? ドリルとかも出来るかもしれない」
「さて……今回はこの辺にしておくかな。
デウスマキナを維持するのが大変になってきたし、解除しても良いかな?」
特に何もなければ、デウスマキナを戻す。
-
>>514
「ひょっとしたら金運があがるのかもしれないわよ。
私も呼び出されたのを見るのは初めてだし、分からないけど。」
「もし両方の結界を魔道書無しで使えれば、
あなた自身もずいぶんとパワーアップできるはずよ。
なんたって魔力を吸収できるのだから。」
「腐っても地獄の宰相ね。ひょっとしてこの処理能力が宰相の由縁かしら。」
余談ではあるが、吸盤が噛み付くようになっているのは蛸ではなくイカである。
「がらんどうの腕だけ動かせばああなるわよ。
ドリルが何かは分からないけれど、動かすのにも魔力をつかうのは覚えておきなさい。」
若干ぐったりしている。
「ええ、じゃあ戻すわね。」
ルキファージュは光につつまれ、呪文に分解、空中に消える。
-
>>515
「魔道書とデウスマキナで金運アップって、どんだけ回りくどい開運アイテムだ。
とか言いながらも期待せずにはいられない」
「あ、そういえばそうだな。攻撃系の結界にはほとんど適性が無かったから、それもかなりありがたいね。
でも、一体どうすりゃいいんだろう? 普通に読んで理解するのが良いのか、マギウススタイルで試して身体で慣れるのが良いのか。
なんかコツとかありません?」
「ああ、なるほどそういうことかもな。術者の意向を解釈して近似的な解決策を導き出してくれるのは、確かにスマートかもしれない」
全然知らなかった。魔剣にも知る由のない事である。
「あ、忘れてた。うわー危ねえ危ねえ。言われなかったら初っ端からあれやって往生する羽目になってたかもしれん」
デウスマキナが消え去ったため、負荷が減って一息つけた。
こっちもちょっとぐったり。
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>>516
「展開したまま戦えれば、ある程度大きな魔術も簡単に使えるし・・・。
コツ?・・・実戦で死に掛けながら覚えるぐらいかしら。」
どうやら何も思いつかなかったようだ。
「そうそう。いま具現化して気づいたけど、
一部の記述に欠損があって使えないみたい。
回収できるのならばしたいところだけど・・・。
ネクロノミコンのマスターにでも聞いたほうがいいかしら。
私以外の魔道書も狩っているみたいだし。」
-
>>517
「なら、理論で知っているだけの術も使えるようになるかもしれないな。
……そうですか。あんまりそういうの苦手なんだけどな」
「欠損? そりゃ参ったな。
え? ネクロ? あいつ魔道書狩りなんかしてるの?
ふーん。古本屋でも始めるつもりかね? うん、とりあえず今度会いに行こうか」
「色々どうもありがとな。すごく助かった。
さて、じゃあ俺は魔道書の結界でも練習するわ。
あそこらへんの記述は俺一人でも読めるから、疲れたなら寝ても構わないぜ」
元々は寝ているリタを鞄に詰めてきたわけだし。
-
>>518
「ま、私のマスターにふさわしくなるようがんばりなさい。」
「よく分からないけど、
他の魔道書・・・『聖十字軍の艦隊』といったかしら。
それをすでに回収したそうよ。
・・・ま、マスターがいる今なら私は対象外だから大丈夫でしょうけど。」
「ええ。がんばりなさい。」
背中、足を伝って降りて部屋の隅っこに移動した。
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>>519
「がんばります」
「ふーん。精霊集めてハーレムでも作るつもりかな?
……ああ、確かにあいつのコレクションに加えられるのは願い下げだろうからな。
妙な勘違いをしている。が、いつものことだ。
「さあて、それでは早速」
記述を思考で処理し、術式を組み上げ始めた……。
-
-辺境の村-
豊かな自然に囲まれた村。近くの山々には動植物も多く恵まれた環境だ。
この村は大国の端の方にある田舎の村である。村人たちは農業と酪農、そして街に出掛けて野菜などを売って生活している。
そして今、この村に立ち寄っているのはカイナの谷出身の二人
ビビ「情報なしか、こっちの地方には来てないようだね」
黒い下着にスリットの入ったミニスカート。上半身も黒の下着一つ。
これは水着なので本人は特に気にしていないのだが、他の人からしたら目のやり場に困る。
そして首にはロングマフラーを巻いている季節感無視のファッション
腰まであるピンクの髪をポニーテールにしている。
クー「そうだな。次は北の方でも目指してみるか」
高身長の黒髪短髪の爽やかイケメン。ちなみにトラジーの初恋相手でもある。
こちらも軽装だ。腕には籠手のようなものをはめている。
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>>521
ビビ「ヴァイオレット、行くよ」
ヴァイオレット(次はどこへ行く)
クー「北の方さ」
パッション(適材適所だ)
ビビ「パッションそれ使うタイミング違う」
そして二人と二頭は辺境の村を後にした。
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―自宅―
「ずっと帝都にいるのに、家に居る時間が減ったな」
そりゃあずっと工房に籠っていればそうなるだろう。
しかし「あんまり陰険な所に居ては頭にキノコが生える」とリリウムらに言われ、ネクロは久々に我が家へ戻っていた。
「ま、『これ』を試す機会にもなるし、都合は良いかな」
視線の先には、プレートのような鉄製の表紙の書物があった。
-
―18小隊・訓練場―
「ふっ……ふっ……ふんっ……!」
訓練場の隅の方で黙々と腹筋をこなしている。
今日は珍しく一度も刀を握っておらず、ひたすら基礎訓練を行っているのだ。
“――魔剣士エーヴェに憧れるなら”
「っ……ふっ、ふっ……」
“――あんな程度の犬っころは軽くいなせるように頑張れよー?”
「……ふんっ!!」
掛け声と共に、腹筋運動の回数は三百に達した。
-
>>524
「…頑張るね」
その様子を見ていたアオイが、何気なく呟いた。
ショウの奮起の理由を知らないので当然の反応だが…。
と、そこでふいに訓練場の扉がノックされた。
アオイが出ると、それなりに意外な訪問者だった。
クライア「ようアキツキ、今暇か?」
なんと12小隊の隊長であるクライアが訪ねてきた。
クライア「時間あるなら、良かったらちょっと付き合ってくれないか?シカゴには話通しておくからさ」
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>>525
「だろ? でも……ちょっと休憩」
間を置かずの三百回は流石に堪えたのか、腹筋運動を止めて壁に凭れ掛かった。
用意してあった水を一気飲みして、一息付く。
そこでやってきた来訪者の対応はアオイに任せて、もう一杯飲み干そうとして――視線は、入口の方へ。
「クライア隊長?
はい、今は休憩中なので大丈夫ですけど……どうしたんですか?」
軽快に立ち上がり、クライアの元へ歩み寄って問い掛ける。
-
>>526
クライア「お、休憩中だったか?実はなー、ちょっと人が足りなくてお前に数合わせで参加して欲しいんだよ」
「一体何にですか?」
クライア「ああ、ちょっとしたリハビリを兼ねた模擬戦だな…アオイは……こなくて良いぞ!(ニコッ」
「え゛!?」
クライア「どうだ?ショウが良かったら参加して欲しいんだが」
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>>527
「な、なんだってー!?」
まさかのお誘いに驚いたのか、思わず顔が変貌してしまった。
次の瞬間にはいつもの童顔に戻っていたが。
「ええと、僕は大丈夫ですよ。むしろ喜んで。
あ、アオイは訓練場の掃除をしてくれてて構わないぞ」
「ところでリハビリって、クライア隊長がですか?」
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>>528
アオイ(お呼びじゃないのは分かったけどあんまりじゃないか…?)
端っこでいじけてるアオイ
「よし、それじゃあ行くとしよう!」
了承したショウを連れて訓練場を出るクライア。
アオイは…多分、訓練場の掃除をしてくれるだろう、清掃員のバイトしてるし!
「いや、俺のリハビリじゃなくてなー…まあくれば分かる!」
と、懐かしい……かは不明だが、12小隊の訓練場にショウは連れてこられた!
そこでは既にケヴィン、キース、ユンスンがスタンバイ状態で待っていた。
ケヴィン「お!ショウじゃーん!」
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>>529
(来たのは……片手で数えられる程度だなぁ、ここ)
久しぶりに訪れた12小隊の訓練場を眺めていると、いつもの三人の姿を発見した。
「お、ちょっと久しぶりだな。
三人も、クライア隊長が言ってた『模擬戦』に参加するのか?」
周りを見渡しても、クライアと三人以外の武芸者が居ないようなので聞いてみる。
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>>530
18小隊の訓練場と造りは同じはずなのに、何処か違う雰囲気た漂っている。
ケヴィン「そんなとこだな、俺達なら丁度良いって声かけられたんだ」
ユンスン「お相手は誰なんでしょうね?リハビリと言っていたから復帰した方でしょうか?」
はて、と首を傾げるユンスン。
キース「……来たぞ」
と、キースがドアの方を指す。クライアが人を招き入れていた。ショウは驚くだろう。
現れたのは、アイネズ・レーヒィだった。
アイネズ「あら」
思わぬ人物がいたと思ったのは向こうも同じだったのか、アイネズはショウを見ると手を口にあてた。
「どうした?」
アイネズ「別になんでもないわ、ただホントに1年生用意したんだって驚いただけよ」
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>>531
何処か違う雰囲気を感じ取ったか、落ち着かないように周辺を見回してばかりだ。
「最近復帰した人って言うと――ん、待てよ確か――お?」
入口の方へ視線を向けると、ショウは目を見開いた。
クライアが招き入れた人物……アイネズ・レーヒィの登場に驚いているのだ。
「……クライア隊長、リハビリってもしかして、アイネズ先輩の?」
-
>>532
クライア「ん、ああそうだな…昨日、頼まれてな」
「そろそろ実戦に戻らないといけないから、丁度良い戦力持ってるクライアにお願いしたのよ…ほら、お隣のお付き合い」
12小隊と13小隊は確かにお隣だ。
クライア「と言うわけで、比較的連携の取れるお前らを用意したわけだ」
ケヴィン「用意って隊長!僕らまだ一年ですよ!部隊長とやりあって勝負になるわけないでしょ!?」
抗議するケヴィン。まあ気持ちは分からんでもないが。
クライア「お前らにも良い経験になるだろう?何、アイネズは病み上がりだしそんなに酷い勝負にはならんさ」
「言ってくれるわねぇ…さて、(剄を)吸い尽されたいのはどの子からかしら?」
何処か性的な事を連想させる台詞を言いながら、アイネズは愛用のデスサイズを構えた。
-
>>533
「な、なるほど……うん、ケヴィンの気持ちはよく分かる」
後半は小声でボソリと。
入学当時とは比較出来ない程の実力が身に付いた、という自覚はケヴィンにもあるだろう。ショウもそうだ。
しかし複数人で挑むとはいえ『アイネズに勝てるか?』と問われると難しいのだ。
(でも、クライア隊長の言う通り一方的ってことは無いだろうし――)
だが勝敗がどうであれ、良い経験になるのは間違いない。
そして何より――今のショウには、逃げられない理由がある。
「……じゃ、最初は僕からでお願いしますよ、先輩。
簡単にヤられるつもりは無いですけど――ね!!」
アイネズが構えたのを開始の合図と見たか。
高速で展開した術式兵装を構え、我先にとアイネズ目掛けて突進していく。
彼女がショウの間合いに入るまで妨害が無ければ、すかさず抜刀し、横薙ぎの一撃を放つだろう。
-
>>534
「良い度胸ね天剣授受者君」
好戦的な視線を向け、ショウの放った一撃を鎌の部分で一歩引き受け止めた
ケヴィン「あーもー!ショウばっかにカッコつけさせるか!!」
やけっぱちな勢いでケヴィンも参戦、槍を手にアイネズの右後方に回り込む
続けてキースがショウの後ろで弓を構え矢を放った。何も言わずショウの身体スレスレに放った矢だ。
アイネズはショウと押し合う形を止めてキースの放った矢を回避、そこを狙い、懐に入り込もうとしたユンスンだったがデスサイズの柄を棒のように振るわれて払われた
-
>>535
「ど根性が取り柄ですから、ねっ!!」
三人の一連の行動をしっかり把握しつつ、アイネズと押し合う最中、左拳へ剄を集中させる。
押し合いの形が崩され、ユンスンが払われた瞬間、溜めた剄弾をアイネズの腹部目掛けて発射した。
一秒とチャージされていない、しかも使い慣れていない放出型の剄だ。
仮に直撃しても、アイネズが相手では体勢が崩される程度だろう。
アイネズの技能ならば、他の三人との攻防ついでに弾かれてしまうかもしれない。
そして剄弾の命中の是非に関わらず、ショウは再度斬りかかる。
次の狙いはアイネズの脚だ。強烈な一撃を見舞う役目は、他の三人に任せるつもりなのだろう。
-
>>536
「フッ…!」
クルンとデスサイズを回してショウの剄弾を弾く、刃に剄が纏っていた。
しかし防御に転じたアイネズを狙い、ケヴィンが槍で突撃を行う
アイネズはあえて前身する事で攻撃の軌道から逃れる。形としてショウに近づく事になった。
そして脚を狙ったショウの攻撃、アイネズは内心で判断ミスをしたと舌打ちする
ショウの一撃がアイネズの脚を捉え、アイネズはバランスを崩す
そこを待ってましたとユンスンが踏み込み、痛烈な拳を腹部へと叩き込んだ
アイネズは勢いに押されて2m程離れた位置に飛ばされて受け身を素早く取る
「やるじゃない」
それでも、アイネズは余裕の表情をあえて見せる
「…次はこっちから行くわよ」
と、デスサイズの構え尚すと剄をゆっくりと放出しだした
かつての泥のようなものではなく、半透明な黒い光を放っている
-
>>537
「やるでしょう? 何せ期待の新人ですから」
アイネズが受け身を取ったのを見て一息付いた。
追撃を仕掛けようとはせず、自身の体勢を整える事にしたのだ。
しかしアイネズが放出した半透明の黒光――剄を見て、表情が強張る。
それは決して恐怖からではなく、相応の覚悟を持たねばという意思からだ。
「……どうぞ、何処からでも来て下さい」
そう言って、ショウは刀を構えたまま一歩前に出る。
自然とケヴィン達よりアイネズに近づく事となるだろう。まるで、自分が受けるとばかりに。
-
>>538
「そーらっ!!」
デスサイズを力強く横振りすると、黒い剄の波が放たれる
キースがその剄の勢いを殺そうと矢を放つ。その矢にはキースの剄が込められていた。
しかし黒い波に矢が呑まれると、キースの込めた剄も飲みこまれるように消えた。
そして黒い波の勢いが増す
ユンスン「こ、これはマズイですよ!」
-
>>539
黒い波が放たれると同時に、それを飛び越えようと前方へ跳躍した。
剄を用いて身体能力を向上させた状態だ、おそらく波の回避は成功するだろう。
「剄を使わず、回避に徹するんだ!
明らかに勢いが増してる! 間違っても防御しようとするなよ!」
黒い波が明らかに勢いを増した様子を見て叫ぶ。
剄技を使うことで、逆にアイネズの技を強化してしまう……ショウはそう判断したのだと見える。
波の回避が成功したならば、技を放ってから動いていないであろうアイネズへ上空から斬りかかるつもりだ。
-
>>540
キース「う…!」
ショウの後方にいたキースは回避が間に合わず黒い波が直撃、壁に叩きつけられた
そしてデスサイズを上に向けてショウの一撃を防ぐ。甲高い音が響く。
「死神ってのが名前負けじゃないってのを見せてやるわよ?」
悪戯っぽい笑みを浮かべると、押し合った状態からショウに向かってそのスラっと延びた脚でショウの脇腹を蹴りあげに来た
-
>>541
(くそっ!)
キースが壁に叩きつけられたのを見るが、構う余裕は無い。
「! がはっ……!」
振り上げられた脚を防ごうとするが、押し合っている状態からでは間に合わない。
見事に直撃し、たまらず後方へよろめいた。自然とアイネズとの距離が開く。
「痛いのは慣れてます、よっ!!」
腰に差していた鞘を抜き、左腕と鞘の両方に高速で剄を巡らせ、アイネズへと投擲した。
強化された腕から放たれたそれは、時速二百キロに届く速度だ。
先程放った剄弾とは違い、直撃すれば少なくないダメージとなるだろう。
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>>542
「!!」
かなりの速度で迫る鞘に顔色を変えるアイネズ
大きく後退すると壁になるように黒い剄を放出、鞘を受け止める
鞘から剄を吸い上げ威力と速度を殺すが、薄い剄の幕では受けきれなかったのか鞘は黒い波を破りアイネズへ向かう
アイネズは左腕で鞘を受けると痛みに顔を顰めた
それを確認したケヴィンが槍を振り上げて真横から奇襲する
が、アイネズは表情を変えてデスサイズを素早く振り抜く
剄も纏ったその一撃でケヴィンはショウの方へ吹っ飛ばされた。
ケヴィン「そんなっ!?」
-
>>543
(絶対防御って訳じゃないのか……
剄を吸い上げるといっても、限度があるんだな。)
鞘の一撃が通った様子を眺めつつ体勢を整える。
ちょうど奇襲を仕掛けたケヴィンが吹き飛ばされたが、しっかりと受け止めた。
ケヴィンを地面に下ろすと、その隣に立って構える。
「大丈夫か?
……いや参ったな、療養してたとは思えないほどに手強い」
四人掛かりでも互角とはいかない状況だ。
ショウがそんな感想を漏らすのは、至って自然と言えるだろう。
さて、アイネズは受け止めた鞘をどうしているだろうか?
-
>>544
鞘はアイネズの足元に転がっていた
ケヴィン「あのおみ足は一見の価値はあるぜ…お前も蹴られて来いよ」
と、自分ばかり良い所がないのでジト眼でショウを見て言うケヴィン。
ショウとしてはアイネズの脚は堪能済みなので、これ以上は勘弁願いたいだろう。
ユンスン「キースは撃破判定ですね…本番だったらもっと酷いダメージだったかも」
キース「チクショウ…!」
「さて、次はどんな手を見せてくれるのかしら?」
長い髪をかきあげながら余裕綽綽と言った様子のアイネズ…と思ったら髪をかきあげる仕草の中で汗を拭っていた。
疲労はあるようだ。
-
>>545
(足元――よし、放っておこう。
そもそも鞘に篭めた剄は奪われてるし、操作は出来ない)
剄が残っていれば、足元から奇襲を仕掛ける事も出来ただろう。
もしくは自身の近くに転がっていれば、再び投擲に用いる事も出来た。
それらの選択肢は切り捨て、ショウはケヴィンの言葉を尻目にアイネズを見据える。
「さっき味わったからな、蹴られるのだけは勘弁してくれ。
……さて、キースが抜けたのは厳しいな。遠距離から仕掛ける事が出来なくなった」
アイネズの様子を伺いつつ、どうしたものかと考え込んでいる。
どうやらこちらが仕掛けるのを待ってくれているようなので、十分な時間が見込める筈だ。
(しっかり疲労は溜まってるようだから、俺が囮になって二人に決めてもらうか……?)
-
>>546
黒い系はアイネズの周りを囲むレースのように漂っている
ユンスン「私が前に出てかく乱しましょう、そしたらショウとケヴィンで一気にキメに行く…どうです?」
ケヴィン「確かに一瞬の加速はユンスンの持ち味だけどよ…俺は先に二人で左右から攻めて、ガラ空きになった正面か背後をつく方が良いと思うぜ?」
構えながら思案する二人。アイネズは体力回復に時間を当てている為すぐに行動してこない。
しかし悩み過ぎては彼女が元気になってしまう。
ショウはどう決断するか
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>>547
「……ユンスン、頼めるか?」
ショウの決断は早かった。
アイネズに休む暇を与えまいと急いだのだろうが、果たしてこの決断は正しいのか……
「ケヴィン、ユンスンが動いたら左右から挟み撃ちを狙おう。
可能なら同時攻撃で、無理でも連続攻撃で、どちらかは確実に決めるんだ」
提案を告げると、ショウは刀を構え、ユンスンが動くのを待つ。
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>>548
ユンスン「…任せて下さい」
ニコっと坊主頭の武術家は笑みを見せた。
「相談は済んだかしら?それじゃあ…」
行くわよ、と構えようとしたアイネズより速くユンスンが動いた
ユンスン「速ッ!!」
シカゴやアオイも時折見せた、剄を脚部に貯める事で行う加速だ。
ユンスンも同じ事をやったのだが、かなりその過程がスムーズで速かった。
上級生であるシカゴや、天剣授受者であるアオイと比べるのは酷だが一年生の中ではかなりの速度だろう。
そしてその加速はアイネズを驚かせるに十分だった。
「チッ!!」
黒い剄による迎撃ではなくデスサイズを大振りする事でユンスンを妨害する
ユンスンはその一撃を間一髪で回避すると、アイネズの後方に回り込んだ。反撃を行わないのは力量差の為だろう。
ケヴィン「行くぞ!!」
段取り通り挟み打ちを行う為、ケヴィンはアイネズの右側へと向かった
-
>>549
(さっすが!)
ユンスンの軽快な動きに思わず口笛を吹く。
明らかに自分を上回る速度の様を見て、選択は正しかったと確信出来た。
いくらアイネズとて、今のユンスンを捉えるには少々の時間を要する筈だ。
――その“少々”の間に、決着を付けてみせる!
「おう!!」
ケヴィンの掛け声に応じると、アイネズの左側へと向かう。
全身に剄を巡らせて身体能力を向上させた状態で、彼女の隙を常に伺う形となるだろう。
-
>>550
「…!」
ショウとケヴィンが左右に展開にした事に気付くが素早く自分をかく乱するユンスンが邪魔で思うように動けない様子だ。
しかしそれも長くは持たない、ユンスンの動く先をアイネズは先読みしてデスサイズを振るう
ユンスン「っ!?」
咄嗟に籠手で防御するが痛烈な一撃で仰向けに倒された。
尚、読まれたのは動く先のパターンが良くも悪くもシンプルだった為である。
しかしあの大鎌を振り抜いた姿勢は大きな隙だ。
ケヴィンはそれを確認すると槍に剄を通して一気に突撃した
-
>>551
ユンスンの動きが読まれる事、そこまでは想定内だ。
そして此処からは想定外。結果がどう転ぶかは、これからの行動の成否にかかっている。
ケヴィンの突撃――その行動から“一瞬”遅れて、ショウはアイネズへと斬り掛かった。
ケヴィンの得物は槍だ。槍の基本は“突き”である。
棒術の如く扱う事もあるだろうが、それが決定打と成り得る事はまず、無い。
ケヴィンならば、トドメを刺す場合には“突き”の一撃を以て仕掛ける筈だ。
そして、リーチを活かした突きの一撃は強力だが、攻撃範囲が狭い事が弱点である。
僅かに身体を逸らす事で回避されてしまう事もありえる。
ならばアイネズは、ケヴィンの一撃を“横”に移動する事で回避する筈だ。
――その回避先を狙って、ショウは全力で刀を横一文字に薙ぎ払う!
-
>>552
「チィッ!!」
長い髪を振り乱し、アイネズは突撃してくるケヴィンに向かって剄波を放出する
放出された黒い剄にケヴィンの槍に灯されたエネルギーは吸い上げられ、ケヴィン自身の動きも大きく鈍る
ケヴィン「あが…!?」
そのまま間合いに入ってきたケヴィンをデスサイズの柄で殴り飛ばしその反動でショウの方へ身体を向けた
反動で動いた先にはショウがいた。既に全力で振るわれた横一文字の一撃、アイネズが後出しでそれに対応できる技は今は無い
「!!」
スタンモード故、重い打撃音と金属音と共にショウの一撃によってアイネズは斬り飛ばされて横向きに倒れた
クライア「…そこまで、だな」
アイネズダウンと共に煙草に火をつけたクライアがそう判断した
-
>>553
「はっ、はっ、は……」
クライアの合図を聞くと、剄の展開を止めて息を吐き出した。
全力で動き回った事で息が乱れているのだろう。
「一応、判定を聞いても?」
床に転がっている鞘を拾い、刀を納めると、腕輪形態へと戻す。
-
>>554
クライア「ま、お前らの勝ちだな」
ふーっと窓の外に煙を吐くと、微笑みを向けてそう言った。
「くー…まさか4人とは言えルーキーに負けるなんて……死神の名折れねぇー」
クライア「…前から思ってたんだが、気に入ってるのかそのあだ名」
「『智将』なんて呼ばれてニヤけてるのはアンタも一緒じゃない?」
スコア的には被撃破2、生存2でショウチームの勝ちと言う事だ。
-
>>555
「……よっしゃ」
堂々と喜ぶのもアレなので、小声と共に小さくガッツポーズ。
「でも、4人がかりで漸くですからね。
一対一じゃまだまだ無理ですし、やっぱり先輩はスゴイですよ」
(ところで、部隊長達の間で二つ名を付けるのは流行ってるんだろうか?)
とか、どうでもいい事を気にしていたり。
-
>>556
「まあ、仕方ないわね」
何処となく残念そうな感じのアイネズ。やはり負けては面白くないか。
クライア「シカゴだってきっとそのうち変な二つ名つけられるぜ?」
ショウが考えているどうでも良い事を読み取ったクライア。
ケヴィン「しっかし結局美味しい所はショウかー……次はお前が動くの待つようにしようかな…」
キース「しかたあるまい、お前はそのポジションが似合いだ」
ケヴィン「まっさきに撃破された人には言われたくねぇ!!」
-
>>557
(まあ、俺が先輩の立場でもあんな感じだろうなー)
タメにはなるだろうが、やはり負けては面白くあるまい。
ショウは苦笑を漏らさずにはいられないのであった。
「……“生真面目”とか?」
ぼそりと。きっと何処かで、ある女子生徒がくしゃみをした事だろう。
「まあ日ごろの行いが良いと好機が勝手にやってくるって事だ、頑張りたまえケヴィン君。
……確かにキースには言われたくないだろうなー(ひそひそ)」
もちろん発言に悪意は無いぞ!
-
>>558
クライア「ステキな二つ名だな、だがうちのフェイスだって生真面目だぞ」
くしゃみをする生徒が一人増えただろう。
キース「なっ……」
ユンスン「まあまあ、今回のスコアは尊い犠牲になった僕の物と言う事で一つ…」
ケヴィン「いや、そりゃあおかしいだろ!?」
と楽しいやり取りをしていると、アイネズが何か思いついた顔になった。
一瞬の事なのでショウ達は気付かなかっただろう。
こっそりとショウ達の後ろに寄ってくる
-
>>559
「ああー、確かに!
あの二人って結構似てますよね、主に生真面目な所とか、あと真面目な所とか」
くしゃみサンレンダァ!×2
「ユンスン、流石にそれは無いわ……
ほら満場一致で俺のスコアって決まってるんだから、お前達は早く俺を崇めるんだ。ほれほれ。
ショウ様素敵ーって言ってくれて構わぬぞよ」
実に芝居がかった口調、それに加えてふんぞり返ってやがる。
アイネズがこそこそと背後に移動してきたことには気付いていない。
-
>>560
ちなみにクライア、アイネズの動きに気付いているが何も言わない。
「ショウ様ステキー♪」
と、実戦じみた動きでアイネズがショウの後ろから抱きついた
ケヴィン「え!?」
キース「…」
ユンスン「はい?」
「まさか本当に負けるとは思わなかったわねー…仕方ないわ、『約束通り』、あとで部屋に来て良いわよ…」
と、顔を赤らめ恥じらないながらとんでもない事を口にしだすアイネズ。
約束って、約束なんてしてない
ケヴィン「」
ユンスン「」
唖然とする視線
キース「あほらし」
-
>>561
「うぇっ!?」
抱きつかれた事に加え、まさかの発言に変な声を漏らした。
そしてアイネズの衝撃発言に唖然とするケヴィン達(キース除く)。
「お、おいコラ待てお前ら、何勘違いしてるんだ!
先輩離れてくださいって、というか何嘘っぱち全開で喋ってるんですか!?」
あたふたあたふた。
-
>>562
慌てるショウを見て心底面白いと言った表情を浮かべるアイネズ。
「嘘だなんて…酷いわ、最初の時から遊びだったのね…」
くすんくすんと嘘泣き
ケヴィン「知らなかったよ…ショウがレーヒィ隊長とそんな仲だったなんて…は!?だからあの時13小隊の寮から!?」
ユンスン「……これは、ショウ君のお姉様やクラスの皆に報告ですね…」
この丸坊主、感づいてからかっていやがる…!
クライア「おーおー、アキツキもしっかりやる事やってるのかあ」
我関せずとしてるくせに煽る元上司。酷い。
キース「…」
-
>>563
「おい其処の坊主頭とチャラ男! お前ら後で体育館裏に来い!
クライア隊長も見てないで止めてくださいよ! ついでにキースお前もだコラッ!」
くそ、慌てれば思惑通りだが約一名が完全に信じてやがる……!
このままでは勘違いした姉による汚染獣ジェノサイド・プランが開幕してしまう!
あ、その方が良いのか? ならこのままでも――よくねえ! 助けて天の声!
-
>>564
クライア「ハハハ、おいレーヒィ?後輩の純情を弄ぶのもそのくらいにしておけって」
そう言われ、アイネズは仕方なくショウから離れた。
「フフ、調子に乗られるのは癪だからね」
キース「そんな事だろうと思った」
ぷいっとそっぽを向いて言うキース。先ほどの問答を少しすねてる?
「まあ良いリハビリになったから、皆にはその点は感謝しておくわね」
ユンスン「いえいえ、僕たちも良い経験になりました…ね、ケヴィン」
ケヴィン「え!?…あ、うん」
-
>>565
「た、助かった」
少しだけ残念そうな表情を浮かべていたのは此処だけの話。
「おいキース、さっきのは冗談だって、そんなに拗ねるなよー……っと。
いえ、こちらこそ良い経験になりました。ありがとうございます、先輩」
アイネズと、そしてクライアへと頭を下げつつ。
-
>>566
「あら、ちょっと寂しそうな顔してるわよ?」
最後からからかうアイネズ。
キース「拗ねるか!俺は子供か!?」
ケヴィン「実際ガキっぽ…ってちょ!?あぶな!?今矢掠めたよね!?ねぇ!?」
「じゃあ次は小隊戦かしらね、この借り、しっかり返すわよ」
クライア「ハハハ、俺としては良い新人教育になったから万々歳だ…シカゴに言っておいてくれ、次はこっちが人手貸すってな」
そんなこんなで、突然の模擬試合は終わるのだった!
-
>>567
「べ、別にそんな事は――ってうひょー!?
キース待った待った! 悪かったから矢は止めて! 流石に洒落にならないっておわあああ!?」
ショウ の レベル が あがった!
れんけいぎじゅつ が 5 あがった!
なにか たいせつ な もの を うしなった!
-
「うーん……今日の授業は何時もより長かった…気がする」
伸びをしながら学園の廊下を歩くアオイ。
さて、今のところ一人だ…と言っても、クラスでもショウを始めとする特定のメンバーとしか一緒に集まらないので彼らがいない時は基本的に一人で過ごしてはいるが。
-
>>569
「よっ美青年。勉強が楽しくて仕方ないという顔だね」
アオイの進行方向から現れたのは、よりにもよって教師だった。
魔術科なので接点はそこまで多くないが。
-
>>570
「えっ?…アルパイン先生ですか、どうも」
会釈をしながら挨拶をするアオイ。
アオイは武芸者なので訓練の時もあまり顔を合わす事はなかった。
が、18小隊の様子を時折見に来てくれる彼女の事は古参の隊員達から聞いてはいる。
「その、美青年ってやめませんか?なんかからかわれてる気がします」
-
>>569
「アオリンは対抗戦してる時と授業中はギャップがすごいね」
アオイと同級生で警備隊に所属している。
-
>>572
「ナツキ」
アナベルに声をかけられて対応していたら今度は後ろから同級生に声をかけられた。
「そんなにギャップあるかなあ…僕としては、何時も通りのつもりなんだけど…」
汚染獣戦や対抗戦の様子が何時も通りじゃあ誰もアオイに近寄らなくなるだろうに
「どうしたの?ミッフィやメイレンと一緒じゃないなんて珍しいね」
-
>>570
「あ、先生ここにいましたか」
そこへエスメラルダもやってきた
何やら紙束を持っている
-
>>571
「アルパイン先生ですよ、ええ。
生徒どもにはアナベル先生とかアナベルちゃんとか呼ばせてるから、お前もそうしていい。
だからこれ以降私はお前をアオリンちゃんと呼ぶからな」
「からかってんだよ勿論。この色男。スケコマシ。
実際モテてるんだろ? 雰囲気で分かった」
-
>>574
「それ以上近づくな、エスメラルダ!
あんた私に仕事をさせる気だね? その手には乗らん!今すぐその紙を持って帰りな!」
-
>>575
「はあ…じゃあ、アナベル先生で…って先生までアオリンですか!?しかもちゃん付けですか!?」
アオイちゃんと呼ばれるとどっちがマシかひそかに考えたが答えは出なかった。
「そんなはっきりからかってると公言しなくても…っていうか、モテてたら彼女の一人くらいは作るでしょうに」
つまり、彼女のいない自分はモテていないと言いたいらしい。
自覚のない悪意レベルでどうしようもない鈍感だった。
-
>>573
「今日はお弁当忘れたからこれから購買に買いに行くところだったんだよ。
二人は教室にいるよ。おっと、先生と話中だった?」
-
>>576
「あの…これ宿題なんですが…」
困った顔をしている
「そもそもこんな量の宿題を出したのは先生じゃないですか!」
-
>>578
「ああ、なるほど」
そう言えばこの先すぐの所に食堂や購買があったはずだ。
「まあ、雑談かな?」
特に込み入った話題で話しているわけではないようだ
-
>>577
「だって名字とか嫌じゃん? 『アルセディア君』って呼びかけるの面倒。
アオリンが嫌なら他ので良いさ。小隊内では何て呼ばれてんの?」
「…………ここまでの朴念仁は天然記念物レベルかもな。
いいか、モテキャラってのはイーグリットみたいな奴ばかりじゃないんだぜ?」
>>578 >>580
「うん。アオイは私が占有してる。
でも彼のような逸材を一人占めするのは勿体ない。見返り次第では貸してあげても良いぞ? ん?」
生徒にタカる教師。
勿論冗談だろうから、適当に餌付けでもしてやるといいだろう。
>>579
「どれどれ?」
「あ……これよく見たら来週分の宿題が混ざってた。
でもエスメラルダならこんくらい楽勝でしょ? もし全部できたら追加点あげるよ」
-
>>580
「ほら、私は二人のように器用じゃないからお弁当とか作らないし」
特にメイレンは断トツで家庭的なスキルが高い
-
>>581
「がんばってはみますが…まだ半分も終わっていません
少し厳しいかもしれませんよ…皆さんは特に」
気まずそうに頭をかく
-
>>581
「えーっと……普通にアオイって呼ばれるのが殆どですが…」
約一名からルセルセと呼ばれているが、これは言わないでおく。理由はバラしたりしたら自分の脛が危ないからだ。
「…別にアオリンでも何でも良いですよ、先生が呼びやすいように呼んでください」
「僕そんなに朴念仁ですか?…まあ、イーグリット先輩みたいに豆ではないですけど…」
「って先生僕で他の人にたからないでくださいよ!?」
>>582
「ああ、そう言えばメイレンはお菓子職人になるとかで調理科専攻だったっけ?同室だと一緒に美味しい物食べれたりするんじゃない?」
と、メイレンがこっそり届けているお弁当の正体にも気付かずこんな話をするアオイ
-
>>581
「見返りって先生、私は大丈夫ですから他の必要としている人に貸してあげてください」
苦笑しながらそう答えた。
-
>>584
「メイレンの料理はすごく美味しいよ。ってアオリンも…」
(あー気付いてないのかなこれ。メイレンちゃんと伝えてないっぽいし)
ナツキは三人のうちでは面倒係のポジションに当てはまる。
-
>>583
「次の授業では生徒からのブーイングが飛び交うだろうな。
ま、この私が頭を下げて一言謝ればみんな許さざるを得ないだろ?」
笑顔キラッ☆
白い歯が眩しい。犬歯が大きい気がするのは、目の錯覚だろう。
>>584
「フツーだねえ。……そういやさ、『アオイ』ってどういう意味?
聞いたことのない言葉だけど、外国語?」
「もっと、オナゴの気持ちに鋭敏になりなさい。
ていうか好きな子とか居ないの? 居るだろ一人くらい? 話さないと点数下げるぞ」
>>585
「むむ、そう来たか。でもそう言われると困っちゃうな。
流石にセールスなんてしたら、上からお咎めが来るだろうし。
仕方ない。飼えないペットは捨てるに限る。野良アオイとして生きていくんだよ」
涙をハンカチで拭った。
-
>>586
「へえ、そうなんだー」
「機会があったら是非食べたいね」
確実に気付いていない様子。おそらくは手の込んだデリバリーか何かだと思っているだろう、この笑顔は
-
>>587
(アルバイン先生ってすごい面白い人なんだなー授業も楽しそうだ)
となんとなく思ったナツキ
「あまりからかってるとアオリンが困っちゃいますよ先生」
-
>>589
「少しくらい困らせてやった方が良いだろ?
この男が鈍感なせいで涙を呑んだ女子、一人や二人じゃ済まないぜ」
全く根拠のない憶測を、自信満々で断言。
「せめて戦闘中の鋭さを、もう少しこっち方面に回してくれたらと思うね」
-
>>587
「野良アオイって…あと、特別異性として意識してる子は………まだいませんよ」
微妙な間だった。
「アオイの意味、ですか?…この名前をつけてくれた人の話だと、東方にある国の言葉から取ったらしいです」
確か、花か何かの名前だったかなと首を傾げながら答えた
「東方のその国の風習だと、「アオイ」って名前は本当は女性につける名前で、男につける時は別の読み方か何かがあるらしいですけど」
-
>>587
「そ、そんなものなのですか…?」
明らかに困惑している
-
>>588
「アオリン…、そ、そうだね。機会があったら是非食べてあげてよ」
顔が若干引き攣ったナツキ
>>590
「そうですね先生!まったくもってその通りです」
激しく頷くナツキであった。
-
>>591
「もっと自分に素直になったら? 思春期の男の子には、恋愛自体に拒否感抱いちゃってるのも居るけど、恥ずかしがらなくても良いんだぜ」
『命短し恋せよ乙女』という言葉をもじってアオイを更にからかおうと思ったけど――この大陸の今の状況じゃ、不謹慎だね。
「花の名前? 私と同じじゃん。女の子が欲しかったのかね……?」
-
>>592
「そういうものさ。それに、次に出る宿題がわかってるんだから、対策も取りやすいだろ?
あ、ついでに、あんたの知り合いだけにでいいから、宿題が多すぎたこと伝えといて」
-
>>593
「うん、機会があったらね…ナツキまでそんな事言うのか?」
アナベルの「この男が鈍感なせいで〜」に同意するナツキに驚く。
味方がいない
>>594
「いえ…別に拒否してるわけじゃないですよ?ただ、その…僕は…」
―――人を愛する事も、愛される資格もない気がする。
そう思ったが口には出さなかった。
「さあ、女の子が欲しかったかどうかまでは僕にも…多分、花言葉か何かに良い意味があったんですかね?」
興味もないので調べてはなさそうだが。
「先生の名前も花から取ってるんですか、初めて聞きましたよ」
-
>>595
「え、じゃあこの宿題をもう一度出すんですか?」
「あー…は、はい。わかりました」
恨まれ役を買うことになってしまった
-
>>593
「うんうん、あんたもそう思うだろ?
だからさナツキ、あんたがこの朴念仁系スケコマシ野郎を、調きょ――教育してやってくれない?
もうちょい恋愛力アップさせれば、さりげない断り方とかも身に付くだろ?」
-
>>596
「本当にアオリンは戦闘以外にもうちょっと気が回せたらね」
がっくり肩を落とした。
>>598
「そうですねってちょ、調教って先生!
私はそういうことはあのそのごにょごにょ」
-
>>596
「そう? ふーん……」
「あっちにも花言葉ってあるんだねえ。
『アオイ』がこっちで何て呼ばれてるのかわからないから、調べようがないけど」
「そういう名前の花があるのだ。まあ他にも説はあるらしいけどね。尤もらしい奴が。でも面倒だから花にしておいて?」
-
>>597
「やってきた分は免除さ。宿題の前借りだね。
分かんないところは聞きに来ても良いから。来週の分でもね」
-
>>599
「お? 意外と反応がでかい。アオイの毒牙はこんなところにまで迫っていたか!許すまじ!」
「ま、そういうことだから、こいつの面倒見てやって。隙あらば盗っちゃっていいから」
-
>>599
「…そんなに気が利かないかな…僕…」
尚も見当違いな事で頭をひねるアオイ。多分、はっきりと伝えた方がコイツには伝わるが…そうはいかないのは人なのだろう。
>>600
「分かりました、そう言う事にしておきます」
頷くアオイ
「僕も『アオイの花』の他の名前を知らないので何とも…もしかしたら、青色を指してるだけだったりするかもしれないですね、僕の名前」
これはなんとなく思いつきで言った言葉だ。
-
>>601
「じゃあ、全部やったら来週の宿題はなしでいいんですね?」
少し嬉しそうだ 彼女ならすべてやりきってしまうかもしれない
「それなら少しよろしいですか?ここと、ここを…」
-
>>602
「盗るって、私はそう言う話があまり得意じゃないだけです先生!」
誤解を解こうと必死になるナツキ
>>603
「うーん…や、優しいかな」
考えた結果、そう言ってフォローしてあげたナツキ
「じゃあ私はそろそろ購買に行ってくるよ。
売り切れてお昼を逃すのは困るからさ」
アナベルに軽く会釈して、アオイとエスメラルダに手をあげて購買に去っていった
-
>>605
「優しい?…あ、うん、頑張ってー」
激戦区となってるであろう購買へ向かうナツキへエールを送るアオイだった。
-
>>603
「青い? 青い花なの?」
>>604
「そういうこと。エスメラルダは夏休みの宿題早期に終わらしちゃうタイプだっけ?
それなら今回のはボーナスみたいなもんだよ」
「ああ、ここは……昨日やった公式を使えばできる。ちょっと面倒だが、実際に使う公式は2つだけだから、コツがわかれば楽勝。
もう一つは、残念だけど暗記するしかないねこりゃ。一応理論も教えられるけど、高等部の範囲じゃない」
>>605
「オッケー。争奪戦頑張ってーなーー」
お昼の争奪戦なのか、男の争奪戦なのかは明言しなかった。
-
>>607
「それはもちろん。貴族たる者後に溜めるなどというはしたない真似はしません」
自信満々だ
「なるほど…そう解くのですか」
まじめに聞いている
-
>>607
「…いえ、深い意味はないです」
凄くつまらないジョークを言った気分に人知れずなるアオイ
「あ!今日の授業で課題が出てたんだ!」
思いだしてマズイ、と表情を変える
「すみません、お話の途中ですけどこれで失礼しますね…また、気が向いたら声かけて下さい!」
何処か他人行儀な事を言って、アオイは大急ぎで寮へと走って行ったのだった
-
>>608
「スケジュール管理や、多量の障害を小分けにするのも大事な技術だよ。貴族とは関係ないかもしれないけど」
>>609
「……? そう?」
「おお、そりゃ大変だな。頑張れよ美青年。
あと、お前なんかに言われなくたって勝手に声かけるから安心しな!」
「……こういうところだけ見れば、本当にただの学生なのにねえ」
どことなく遠い目になりつつも、すぐ焦点をアオイに戻して見送った。
「さて、じゃあ私もそろそろ行かなくちゃ。じゃあな」
アオイとは逆方向へ消えた。
-
“ずるずる、ずるずる”
帝都の一画にて、そんな音を立てて歩く青年が居た。
いや、正確に言えば、音を立てているのは青年自身ではない。
音の発生源は、青年が必死で引き摺っている荷車だ。
「あのオッサン、自分の基準で物言うなっての……っ!」
荷車に載っているのは、猪の死体×二頭。
オッサンもとい最近は忘れられがちなカンタン・ワダーイのマスターに依頼されて、帝都近郊の森から持って帰って来た所であった。
最近は暑くなってきた事もあり、汗ダラダラで運んでいる。
さて、カンタン・ワダーイまで百メートルを切った。もう少しでこの重荷から解放されるのだが――
-
>>611
「すげえ!ワダーイまでもうすぐだぜ!本当に猪をこんな所まで運べるなんて!それも二頭も!
エミヤ頑張れ!お前ならできる!周りの人々のこちらを見る目線が痛いけど気にするな!」
荷台に乗っている。
-
>>612
「ああ……猪にぶっ飛ばされながらも何とか捕獲して、
『なにあれ? 魔機とか無い頃の狩人みたーい』と通行人(女性)に囁かれつつ、
それでも重みに耐え、痛みに耐え、何よりも視線に耐え、もう少しで到着するわけだが」
「お前はいつまで其処に乗ってるつもりだコラッ!!」
罵声と共に荷台を蹴り飛ばした!
荷台に乗っている魔剣エミヤを大きな揺れが襲う事だろう。
-
>>613
「うむ。まあ俺のサポートのおかげだな。
猪の相手はもちろん、周囲の痛い視線にだって俺が防御壁になってやってるんだから」
コイツの言う『痛い視線に対する防御壁』というのは、ヒソヒソと囁き合う人々に対してガンつけする行為である。
エミヤが口真似をした通行人などに至っては、『魔機には魔機の欠点があるんだぞッ!つうか狩人舐めんなコラア!』
と帝国中に響き渡るような大声で叫んでくれたりもした。
荷台を蹴り飛ばされたが、タイツ男は平然としている。
「す、すまん冗談だ。ほれほれ」
よく見ると翼がついている。
シャドーマンのオプション装備、メタルウィングだ。
荷車から僅かに浮いているので、重荷にはなっていなかったが、位置的にエミヤからは見えない。
「猪と一緒に居たから、獣の臭いが染み付いちまったぜ。
それにしてもあれだよな。エミヤって本業はあるけど、バイトやりまくってて既に何でも屋に近いよな。
猪狩りとか鍛冶屋の仕事じゃねえだろ、常識的に考えて」
「ま、強いからそっちの方が良いのかな?
ネクロとか魔術探偵だけど探偵業やってる姿ほとんど見たことない。やっぱり何でも屋だよね。それとも殺人事件とか解決してるのかな」
-
>>614
「……お前の“防御壁”のお陰で、逆に痛い視線が増えた気がする。
あと、よく見たらお前飛んでたんだな。いや悪かった」
翼を確認すると、成る程とばかりに謝罪。
どうでもいい事だが荷台を蹴った脚を押さえていた。お察しください。
「ん……ああ、確かにそうかもしれない。
自分で言うのもなんだけど、鍛冶屋より他の仕事の方が接してる期間が長い気がする。
家計の問題もあるけど、身体動かしてる方が性に合ってるからかな?」
他にも『大量生産の依頼が来ないため、鍛冶仕事で“忙しい”状況があまり無い』という理由もあるとか。
「ネクロさんは探偵というか、傭兵が受けるような依頼ばかり受けてるな。
魔物の討伐とか、危険地域の調査とか――殺人事件はやっぱり騎士団が担当してるんじゃないか?」
-
>>615
「はあ? 俺が居ると痛い視線が増えるっていうのか? んなわけねえだろ。気のせいだ。
ああ、猪戦の時は飛ばなかったからな。これがやりたかったからわざとそうしたんだ」
「どれが副業だかわかんないな。まあ、仕事があるのは良い事だ。
確かにエミヤってなんか、間違ってるかもしれないけど、あんまり職人気質って感じじゃない気がするし、実際『鍛冶』はしてないし。
1000億VIでエクスカリバー作ってとか言われたら、作るの?」
「傭兵……なのかな? 傭兵は戦争屋ってイメージがあるな。単に言葉の問題だけど。
なんつーか、冒険者に近いかな? それともやっぱり何でも屋?
あ、そういえばそうか。でも密室殺人とかアリバイトリックとかは私立探偵がやるイメージがついてんだよねー」
べらべらべらべら無駄口を叩く。
だが流石にエミヤに負担をかけすぎたと思ったのか、荷車を引きずるエミヤの横に降り立った。
「そろそろ曳くのを代わってやろうか?」
確かに凄く臭い。獣臭が黒い男からプンプンする。
-
>>616
“気のせいじゃねえよ、この獣臭め!”
そんな視線がエミヤから向けられた気がする……
「いや、一応『鍛冶』はするぞ? もちろん時と場合によるけど。
武器の修理に関しては殆どが魔術で“修復”と“強化”をするから、それが印象に残ってるのかもしれないな」
ちなみに、今カイザーが使っている長剣は、以前にエミヤが鍛冶仕事で一から製造した物だ。
なおライタやウルスラが使う投擲用のナイフは“投影”で量産している。
「お前の言う“エクスカリバー”がどういう代物かによるけど、たぶん作らないよ。
いや、正確には“作れない”――というのが正しいかな、この場合は」
「うーん、確かに傭兵というのもおかしいか。
やっぱりあの人は『何でも屋』ってのが似合うかな。
言っててしっくり来る……っと、悪いな、頼むよ」
荷台から離れ、元居た位置を譲った。
魔剣が近づくと鼻を押さえていたのは、決して気のせいではない。
-
>>617
「お、おい……そんな瞳で見つめるなよ。惚れちまうだろ」
頬をピンク色に染めた。全身黒なのに。
「あ、そうだったのか。完全に勘違いしてたわ。すまんね。
魔術でぽんぽん産んでるのかと思った」
「あー、エクスカリバーは無理なのか。じゃあなんでも良いんだけど、とにかくすげえ逸品を。
というか、エミヤが今作れる最強の武器ってなんなの?」
「実際、強い人は結構色々できるよね。俺もかなりフリーター寄りだけど何でも屋と言えないことはないし。
それとも、『職業:魔術師』とかなのかな、俺たち」
牽引役を引き受けて持ち手を握り、荷車を曳き始めた。
「重ッ!なんじゃこりゃ!
エミヤさんこれ筋力と強化魔術だけで運んでたんすか!? つーかこの重量で荷車が壊れないのがおかしい!」
ちょっとだけ本気で焦り始めた。
よくよく考えてみたら、当のエミヤが足を痛めるくらいの勢いで蹴っても壊れない荷車だ。
ただの荷車ではあるまい。どこにでもあるような普通の荷車に偽装を施してはいるが、おそらくは特別製。
鋼鉄製だろうか?
否、だとしても頑丈すぎる。きっとマジックアイテムに違いない。
それも、ただの魔術品ではない――おそらくは、宝具。
荷車の宝具? 馬鹿げている。ありえない。
常ならばそう思うところだが、今回の依頼人はオッサ……ワダーイのマスターだ。
この荷車、確かあそこから借りてきた品だったはず。あのオッサンなら、そんなふざけた品を持っていても何の不思議もない。
「ふんごごごごごごごご!!!」
いずれにしても荷車の重さは変わんないけどね!
ゲロ吐きそうな顔で牛のように荷車を曳く。
ずるずる、ずるずる。
-
>>618
スパコーン! と景気の良い音が響いた。
発生源はシャドーマンの頭からである。何故ならエミヤが頭を叩いたからである。
「いや、気にしてないさ。魔術で“投影”してる事が多いのも事実だし」
「“最強の武器”――って言われると難しいな。
単純な破壊力や規模という意味なのか、特殊能力の強さという意味なのか、その辺りで変わってくる。
一応どっちの意味合いでも、いくつかの候補はあるぞ。どっちが良い?」
“あとさ、魔術師って“職業”で良いんだろうか?”
そんな疑問をエミヤが返してきたが、曳いている荷物の重量の酷さに、答える余裕は無いかもしれない。
「うん。ちなみにマスターは猪五頭を積み上げるように乗せて、鼻歌混じりに片腕で曳いてたよ」
ずるずる、ずるずる。
ゲロ吐きそうな顔で堪えつつ曳いていると、カンタン・ワダーイまでの距離は三十メートルを切っていた。
実に数キロは曳かれた荷車だが、宝具(仮)であるためか車輪すら無傷だった。どうかしてやがる。
-
>>619
良い音だ。やはり魔機獣人間は普通の人間と構造が違うから、頭を叩いた時の音も違うのだろうか。
あとスパコーンとスパコンって似てるよね。
「じゃあ、単純な武器性能が一番大きいのは?」
血管が切れそうになりながらも、会話と牽引を並行して行っている。
ちなみに、文面を見ると普通に話しているようだが、実際は息が切れ切れだったり、念話で補っていたりする。
「やっぱり職業じゃねえか。類似の言葉に賢者とかあるし。
……あのオッサン、多分生まれてくる世界を間違ったんじゃないかな」
かめはめ波とか出せそうだ。割と本気で。
クレイジーな荷車を引きずって、ワダーイまでの距離を縮める。
牛歩のような速度だが。
-
>>619-620
「イノシシって美味しいの?」
イノシシの着ぐるみをした沙耶が隣に登場する。
そう彼女はイノシシに混じって野性を堪能していたのだ。
「私を食べてってやかましいわ!」
そして何も関係のない魔剣エミヤの頭をスパコーンと叩いた。
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>>620
言葉が似てるだけで、意味としてはまるで掠ってもいないぞ!
ちなみにエミヤは、必死の思いで荷車を曳く魔剣を見てるだけだ。
念話が来ようが口頭だろうが、涼しい顔で眺めてやがる!
「武器性能なら……これかな。ちょっと待ってろ」
発言から数秒の間が空いたかと思うと、エミヤの右手には変な形状の剣が握られていた。
刃が螺旋状――ぶっちゃけドリル型――に捻れている、剣というにはちょっと歪な物だ。
「カラドボルクって言ってな、空間を切断する能力がある……らしい。試した事は無い。
俺の魔力量じゃ試せないし、そもそも試すような機会が無いから、本当に性能が大きい“だけ”の剣だな」
そう言うと、エミヤはすぐさま“投影”を解除して、剣を消滅させてしまった。
万が一にも教会の関係者に見られないためだろう。
見れば、投影する前より明らかに汗の量が増している。
強力な武装というだけあって、投影だけで相応に疲弊するのだろうか?
「成る程、という事は職業かな。つまりお前もフリーターではなくてしっかり職を持ってる訳だ!
ああ、うん、彼は何故酒場のマスターなのか未だに分からないからな。
正直なところ、騎士団を引退した今でも騎士団の誰よりも強いんじゃないかって思う」
残りは十メートルだ、頑張れ魔剣エミヤ!
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>>621
「猪のワイン漬けが美味いとかマスターが言ってたよ」
数秒の間を置いて、
「うわっ!? お前いつの間に!」
その驚きとほぼ同時に、魔剣が頭を叩かれた。
余談だが、今の沙耶もさぞかし獣臭い事だろう。
シロウ達から発せられる獣臭は、周りの通行人を遠ざける程度のレベルである。
-
>>623
「ふふふ、さすがのシロウも気付かなかったようね!
つまり私は完全に野性になれていた!」
沙耶が言っている野性の意味が分からないが、本人が満足そうなのでそれでいいのだろう。
そしてビシッとポーズを決めている。
「猪のワイン漬け…匂いを取るってわけね」
本人は獣臭いを気にしていないようだが
明らかに他者から見たら臭いだろう。
-
>>624
「うん、すごいすごい。とりあえずその着ぐるみを脱ごうか。
というか何処から調達してきたんだよ、それ……」
やる気なさげにパチパチと拍手を送っている。
満足そうなので、きっとこれで(勝手に)喜んでくれる筈だ。
「だろうな、臭いを何とかしないと、いくら美味くてもキツイだろうし。
ところで沙耶、買い物の方はもう終わったのか?」
マスターの依頼を受けるという事で、本日の特売戦争(肉、全品半額)を沙耶に任せていたのであった。
-
「……はっ!?」
必死こいて曳いていたせいか、意識が暫く飛んでいた。
>>622
「別に投影して見せなくてもよかったのに。
空間を切断か。実際空間なんて切断してどうするんだろうな」
「いや、うーんやっぱり違うような。
俺がどんな職に就いていてもフリーターに近いことは変わりないし。
騎士団全体で見たら、意外とマスターを超える人は居るかもよ? 俺は見たことないけど」
>>624
「猪丸ごと二頭漬ける量のワインってどのくらいなんだろうな……風呂桶100杯くらいか?」
こちらも獣臭がする。
-
>>625
「せっかくだからこのままワダーイまでこれでいたいよーやだやだやだー
あ、これ?知り合いの人にもらったのよね。いらないからあげるって」
猪の口から沙耶の、サレナの顔だけ出ている。シュールだ。
「今日の私は正に猪突猛進!
特売の激戦区に突っ込んで見事勝ちぬいたわ!」
右手に戦利品が抱えられていた。
-
>>626
「風呂桶100杯じゃ足らないんじゃない?分からないけど。
むしろワイン作る時の大きな樽にどーんと入れちゃったりして!」
そうすると猪を丸ごと漬けるようの専用樽があることになるが
-
>>628
「一体どこでそんな大規模な作業をするんだろうな。
ワダーイの秘密空間か。あそこの地下とか宇宙が広がってそうだよな」
ワダーイでは何が起きても不思議ではない。
-
>>629
「ワダーイの地下ってダンジョンになってそうよね。
見たこともない道具とか魔物とかが潜んでそうだわ」
そう、ワダーイを知っているのはマスターだけ
-
>>626
「よし、到着だ。よく頑張ったな」
必死こいた甲斐があったのか、気がつけばワダーイの前だった。
マスター曰く『店の前に置いててくれれば勝手に片付ける』との事なので、もう放置しておいて構わないだろう。
報酬? そんなものねえよ!
「んー、どうやら人間じゃどうしようもない魔物を討伐する為に、これが用意されたみたいだ。
空間を切断出来るほどのパワーが無いと、太刀打ち出来なかったのかもしれないな」
今現在、この世界の何処かにもそんな化け物が居たりして。
「……それはお前自身があまり働いてないからじゃないか? うん。
あれ(マスター)を超える人物が居るなら、俺は是非とも見てみたいな。
たぶん素手でドラゴンを殴り倒したり、深海を素潜りで活動したりするんだろう」
>>627
「う、うん、じゃあそのままで良いよ。
その“知り合い”が何を思ってその着ぐるみを手に入れた(作った)のか、気になって仕方ないけど」
猪は四足歩行だから、サレナ(沙耶)が着て立っている様子は実にシュールなものだろう。
「おお、流石だな! これで今日も安心して肉が食えるぞ」
ヒャッホーイという擬音が似合いそうな勢いで喜んでいる。
主夫としては、特売において勝利する事は人生の勝利とも言える瞬間なのだ。
-
>>630
「うむ。一体どんな人外魔境が広がっているのか見当もつかないな。
いや案外逆かもしれない。何もない、だだっ広い空間が無限に広がっているとか」
>>631
「わーいやったーありがとー!
そんでもってお駄賃は……ねえの!? えっじゃあタダ働き!? ウソだろ!? 同じことするのに一般人何人必要だと思ってんだよ!!」
「え、特殊能力じゃなくてパワーで空間を切断してるのか。なんと狂った性能」
「そうですよ? それが何か?
そもそもマスターだって騎士団員なんだ、ひょっとすると騎士団特有の訓練法か何かがあるのかもしれん。
メチャクチャ才能のある人がそれを習得すると、マスターみたいになれる、とか。だから現役騎士団員にも……とか。まあ完全に妄想だけど」
なんとかワダーイの前に荷車を置いた。
「もう駄目だ……一歩も動けねえ」
そのまま店の前でゴロンと横になってしまった。
「Zzz………」
おまけに爆睡。
この後、魔剣エミヤは撤去されたという。
-
怪しげな雰囲気の漂う酒場。
その片隅に、一人の『男』とお前らがテーブルを囲んで座っていた。
男はある特殊な魔術の使い手であり、賞金首になっている。
お前らはそれぞれの理由から、この酒場にやってきた。
ぶらりと立ち寄ったとか、『男』を狩りに来たとか、常連であるとか、まあいろいろあるだろ。
お前らは既に男と戦闘状態に陥っている。
戦闘状態とっても、殴り合いとかじゃない。
「私の魔術が一旦発動すれば、『ゲーム』の敗者は仮死状態に陥る。私も例外ではない。
ゲームのルールは、『参加者が順番に、面白い事をする』……そして、『笑った者が敗者』だ。
さて、このゲームに参加する意思があるなら、自分の本名とともにそれを宣言したまえ。それで『契約』は完了する」
-
>>633
「あぁ。よろしく。私はこういうものだ」
内ポケットから名刺を取り出し、テーブルの中央に差し出す。
名刺には名前が書いてある。
『うんこ食べ朗』
男はもう、攻撃を仕掛けている。
「うんこたべろう、51歳だ」
なんと、51歳にもなって小学生レベルの下ネタを放ってきた。
-
>>633
「なるほど・・・お前を捕まえるためには笑わせれば良いということだな?」
カイザーはこの男の噂を聞きこの酒場に来ていた
数々の屈強な者どもを仮死に追いやり懸賞金を掛けられた男
騎士団だけでは手に余ると判断したのだ
「良いだろう、俺はガイウス・カイザーだ」
恐れることなく名を名乗った
-
>>634
「ウンコタベロー君か。面白いね」
無表情だ。
「今ので思い出したが、面白い名前の話を専門にしてくれた奴も居たな。
彼は強敵だった」
「…………」
「にゃほにゃほたまくろ〜」
ボソッ。
-
>>634
「ブフゥーーーーーーー!!!」
何とカイザーはその下ネタに笑ってしまった!!
契約成立前か!?セーフか!?アウトか!?
-
>>635 >>637
「君も早い男だな……」
何も起こらない。
多分、成立前なのだろう。
-
>>633
「我が名はオイデヤ=スタロウ、無職だ」
堂々と名乗り出たのは、たまたま酒場に来ていた男だ。
「ちなみに年齢は25歳で、今では『帝都一のスネカジリー』と呼ばれている」
180cm程の身長、整った顔立ち、透き通るような金髪のショートヘア。
無駄に優雅な仕草で髪を払いつつ、男は堂々と宣言した。
-
>>638
「フゥ・・・フゥ・・・・あぶな・・・」
>>636を聴く
「ブッ!ゴッハアア!」
何と血を吐いた!
そう!笑いを必死に我慢する為に口の中を噛みきったのだ!
(こ・・・こいつら・・・や・・・やべぇぜ・・・)
-
>>636
「……んっ」
長い間を経て出たギャグに屈しそうになるが堪えた。
「それでは、君に司会進行を頼もうかな」
>>639
「よろしく、チンチン君」
こいつ、下ネタばかりだ
>>640
「大丈夫かい、よろしく」
うんこ食べ朗が握手を求めてきた。
-
>>641
「はぁ・・はぁ・・あ・・・あぁ・・・よろしく・・・」
握手に応じる
-
>>641
「んん、よろしく。
しかし君は下品だな? なってないぞ、我のようにもっと優雅に!」
右脚を軸に右回転、
「スマートに!」
左回転、
「振舞うようにしたまえ」
実に7回ほど回転してから、堂々と言い放った。
その後、その場で吐いた。
-
>>643
「いよいしょおおおおおおおおおおおおお!」
突如カイザーは机を頭突きでたたき割った!
そう!カイザーは笑いを頭突きの痛みによって書き消したのだ!
額から血が出ている
-
>>643(というか参加者全員)
「…………!!」
唇を必死に噛んで笑いをこらえている。こらえすぎて、通常ではありえない表情だ。
「フンッ!!」
そして、笑いを吹き飛ばすため喝を入れる。
同時に鼻水が、同じく通常ではありえない速度で噴出し、床に落ちた。
-
>>645
それを舐めた
-
「そうそう、途中参加は自由だ。名前を言ってくれさえすればね」
「それにしても、参ったね……。
ここまで面白い人たちが集まってくれるとは、正直思わなかった。
私が真っ先に負けるかもしれないな」
誰ともなく話し始める。
大声ではないが、よく通る声だ。
「だがね、君たち。
私には、君達に無いものがある……それはだね、めそ」
びちゃ。
顔に血液と鼻水がこびりついた。
-
>>644-645
「おろろろろろろろ」
文章にすると意味不明だが、胃の中の物が吐き出されている音だ。
先ほどまで飲んでいたらしき酒の、強烈なアルコール臭が周辺に漂い出した。
「ふう……なかなかにやるではないか、お前達。
我の純真無垢な心を利用した攻撃、紳士ぶった野蛮人どもに相応しいモノよ」
勝手に回って勝手に吐き出しただけのオイデヤ=スタロウは堂々と言い放ったが、
「ンゴッ……ブフッゴッ!」
うんこ食べ朗から放たれた鼻水、それを舐めたカイザー。(>>645-646)
一連の様子を見てか、奇声と共に顔を引き攣らせている。
かなり怪しいが、かろうじて笑ってはいないようだ。
-
>>647-648
よし・・・大丈夫だ・・・ようやく慣れてきた・・・
さてどうする・・・ここから一体どうするべきか
額と口からだらだらと血を流しながらとても真面目な顔をしている
-
>>646
顔を上に向けて回避。
しかし、気持ちの上では少し弱っている(笑いそうになっている)。
>>647
「……」
無表情だ。
「ところで、今日、君たちに会えた事を祝して、土産物を持ってきたよ」
そういうと、自分の持っていたバッグの中から、お歳暮のようなそれなりに大きな紙箱を取り出し、テーブルに置いた。
「君が開けてくれ」
>>648
「汚らわしい……」
-
>>647
「ンメッ」
これまた奇声を発して、身体を海老のように逸らしては右手で顔を覆った。
隠された顔から辛うじて伺える口元は、ピクピクと引き攣ってはいるものの、笑いのそれでは無いと分かるだろう。
「フゥン、成る程、それが我には無いと豪語するモノか。
だが甘いな、甘すぎる。それこそママの作るチョコレートケーキより甘すぎるな」
髪をかき上げつつ、血と鼻水が付着した顔を指差して言い放つ。
>>647 >>649-650
「ところで貴様ら、タオルを持っていないか。持っていたら今すぐ渡せ」
その場の参加者全員へと呼びかける。
「ゲロが服に付着していて気持ち悪いのだ」
-
>>651
「あぁそれならこれを使うといい」
出したのは
額からの血で血だらけのタオル
-
>>650
「それは嬉しいね。危険物じゃないといいんだが」
特に箱に対して妙なことはせず、自然に開封した。
-
>>651
「タオルあた!!!!」
突然血相を変え、冷静に見えた態度を崩しながらタオルをテーブルに出した。
言葉通り『今すぐ』渡したのだろう。
>>653
特に美人でもない皺だらけのババアのヌード写真が一枚入っていた。
明らかに箱の大きさにつりあっていない。
-
>>654
「……」
写真を手で丁寧に千切りはじめた。
ババアの部分だけ綺麗に千切り取り、裏返しにして倒した。
カイザーの血でまみれたテーブルの上に、ババアの写真。
「殺人現場」
-
>>655
「ゴハァ!」
そこに吐血でババァの写真の端を絶妙に血のコーティング
-
>>652 >>654
カイザーのタオルを受け取るまでは良かったのだ。
そこまでは、良かった。
「…………」
ぶふー、と鼻から空気を吐き出しつつ、自分の頬を抓り上げている。痛そうだ。
抓る手と口元がピクピクしている様子からして、食べ朗のタオルの渡し方がツボに入ったのだろう。
「ふう、む……では、有り難く頂戴しようではないか」
そう言って、受け取ったタオルで鼻を噛み始めた。
チーン! と豪快な音が室内に響き渡る。
オイデヤ=スタロウがタオルから顔を離すと、タオルと顔の間に見事な透明のアーチが描かれていた。
-
>>655-656
「……」
一度だけ指で突いてみる。理由は不明。
「失礼」
着席時にテーブルに置かれたお冷を口に含んだ直後、>>657。
「ブゥッ!!」
豪かいに水を周囲にまき散らし、爆笑してしまう。
-
>>657
「そぉい!」
突如ブリッジをする
そう彼はブリッジをすることで笑いを(ry
勢いよく頭を床にぶつけた為突き抜けてそのまま犬神家に
-
>>658
うんこ食が爆笑した瞬間、男の目が光った。
「おっと、『笑った』な……。チェックメイトだ」
突然、周囲の魔力が収束し、術が発動した。
うんこ食の意識が、だんだんと遠のいてゆく。
「少しばかり攻勢に出すぎたようだな? 中々強敵だった……さようなら」
-
>>660
ガタン、と音を立て、食べ朗は床に倒れた。
今やそれが本名だったのかどうかもわからない。
倒れた瞬間、食べ朗の内ポケットからは何十枚もの名刺が飛び出した。
殆ど「うんこ食べ朗」で、その中に家族の写真が一枚だけ交じっていた。
良く見ると、写真に食べ朗も写っており、その隣には先ほどのヌードのババア。
食べ朗の妻だったのだろう。
良く見なければ気付かないため、スルー可。
-
「さて諸君、少しばかりネタのペースが落ちてきたようだね?
まあ無理もない事だ。最初のうちにスパートをかけるのは悪い事じゃないが、ネタ切れの危険性は拭い去れない。
また当然、我々もそれなりに身構えるから、結構笑いを取るのは難しい――。
一発ギャグで笑いを取るのは難しくなってくるぞ。
そろそろ、もっと落ち着いた笑いを取りに行こうではないか?」
テーブルの上のコップを持ち、水を一杯飲んだ。
「君たちは『矛盾』の故事を知っているかな?
あるところに商人が居て、最強の矛と最強の盾を売っていた。
それを見ていた老人が言った。『その矛でその盾を突いたらどうなるのか?』
商人は言い返した。『では、貴方その盾を持ってみなさい』
老人が盾を構えると、商人は言った。『最後は、使い手の力量によります』
商人は老人を矛で突き殺した」
-
>>662
突如カイザーの口から血が噴き出した
そうカイザーは吹きだしたのだ
-
>>659
「おいおい、あまりにみっともない姿を晒さないでくれよ。
傍から見てあまりに滑稽だぞ、もっと我のように恥ずかしくない様を見せたまえ」
ぶらんぶらんとタオルと顔の間で揺れる鼻水橋を晒したまま、言った。
>>661
「ふぅん、我の超絶的なテクニックの前に没したか。挑む相手を間違えたな」
自分の様を見て倒れた事を確認すると、まるで誇らしげに堂々と胸を張った。
――オイデヤ=スタロウは油断した。
何故なら、食べ朗の内ポケットから飛び出した名刺に視線をやってしまったのだ。
「――――ッ!!?」
彼の視界に納まったのは、先程の写真のババア。
まさか食べ朗の妻だとは、夢にも思わなかったのだろう。
自分の妻のヌード写真を堂々と晒す輩が何処に居るというのか。いや、ここに居たのだ。
「ぶっ……ククッ、ククク……!」
堪えようとはしたが、既に遅い。
オイデヤ=スタロウは明らかな『笑い』を見せてしまった。
-
>>663
再び、ゆっくりと魔力の渦が巻き起こる。
それはカイザーを包み込むと、彼の意識が遠くへ追いやられた……。
-
>>665
そこに残ったのは本当の意味で犬神家となってしまったカイザーだけだった
-
>>664
オイデヤ=スタロウが己の失敗を自覚すると、既に知覚能力は失われてしまっていた。
「……私の勝ちのようだな。
ほとんど同士討ちだったが……やれやれ。タイマンなら死んでいたな」
意識を失っている3人をテーブルに残し、立ち上がる。
「それにしても、随分と汚れてしまったな。
鼻水や吐瀉物や血液で、床が凄い状態だ。
ふふ。『すべ』らなかったのが不思議なぐらいだな」
会計を3人に任せ、酒場を立ち去った。
-
-学園都市-
ある日の小隊合同訓練後…
「…100……101………102…」
そこには防護服を着た上で背中に砂がたっぷりと入った袋を背負って腕立て伏せをしているアオイの姿があった。
今日行われた、小隊同士の合同訓練の内容は『2人編成による連携行動での撤退戦』と言うものだった。
合同訓練の相手小隊はもはや馴染みの12小隊だった。
この訓練は対汚染獣戦を仮想したもので、訓練用の場もそれに応じて準備されている。
今回は『殲滅が非常に難しい量の汚染獣の群れに対し、任務終了後の消耗したツーマンセルのチームが如何にして撤退を成功させるか』と言う条件の訓練だった。
結果、それぞれ成功失敗があっただろうがアオイは別格だった。
シカゴとコンビを組むことになったアオイだったが、仮想的として用意された的をなんと『単独行動で掃討』してしまったのだ。
相変わらず見事なスタントプレイだったがこれは流石に教官の怒りを買い、ペナルティで上記のような苦行を行っているのだ。
尚、スタントプレイに走った理由は『汚染獣に発見されたのでやむなくの応戦』だったらしい。
「108…109……110回…!!」
「お、終わったぁあ………」
どさり、とアオイは汗だらけで床にうつぶせで倒れこんだ
-
>>668
「アオイ、こればっかりはフォローできないぞ。
どうしてそうワンマンプレーに走りたがる。まるで死にに行ってるみたいだ」
隣でしゃがんでアオイに話しかける。
こ、これはアオイからしたらアングルが素晴らしいことになっているに違いない
-
>>668
「お、終わったみたいだな。お疲れ」
アオイが苦行を終えると、大量のドリンクを抱えたショウが戻ってきた。
倒れ込んでいるアオイの手元にドリンクを一つ置くと、残りは壁際にまとめて置いた。
他の隊員達が勝手に持っていくだろうから、特に問題は無いだろう。
「『撤退』が目的なんだから『掃討』なんてするなよー」
自分もドリンクを取り、それを飲みつつ。
-
>>669
声をかけられてシカゴの方に顔を向けるアオイ。そして素晴らしい光景が眼の前に広がっていただろう。
「!!?」
その光景の感想は言うまでもない。顔を真っ赤にして顔を背けてしまった。
シカゴからすると「うるせえやい」とそっぽを向かれたように感じたかもしれないが。
「す、すみません…」
二重の意味で謝るしかなかった。
「昔からの習性と言うか…『マズイ』と思ったらもう身体が動いてしまっていて…」
以前にシカゴと話した時から、仲間を信頼し頼る事をしようとはしているアオイだが、まだまだ上手くいかないようだ。
>>670
シカゴへのステキなアングルから一転してショウと眼があった。アオイの顔が赤いのはきっと疲れだけが理由じゃない。
「あ、ありがと…」
うつ伏せのままドリンクを手に取るアオイ
「見つかったと思ったら、気がついたら的三つ転がしてたよ…」
はあ、とため息をつくアオイ。
-
>>670>>671
「よいしょ…っと。あ、終わりましたか?」
こちらはパンを持って戻ってきた
「まったく、ダメですよ無理しちゃ…」
そう言ってドリンクに手を伸ばそうとするが…
「あの、このドリンク、誰が作ったんですか?」
それだけは確認しないと命が危険だと感じたのだろう
-
>>670
「ショウ、私もありがたくいただくぞ」
ショウが持ってきてくれたドリンクを手に取った。
>>671
「むっ、顔を背けるなんて反抗期なのか?」
さすがシカゴや!気付いていない!
「そういう環境で過ごしてきたのだから仕方ないとは思うが
私ももっと頼られるよう励もう」
-
>>671
「ムッツリめ」
ドリンクを一口飲んで、ボソリと。
シカゴには届かず、アオイには届く声量で呟いた。
「お前だけ『術式兵装が損壊した』って条件を付けておいた方が良かったんじゃないか?
もしくは『全身麻痺してる状態』とか『剄がすっからかんで超疲弊してる』とか」
もはや足手まといというレベルではあるまい。
ちなみに今回の訓練、ショウはしっかりと成功させて終えている。
コンビを組んだ相手は第12小隊のケヴィンだった。新人同士ながらも、堅実に動いていた事だろう。
-
>>672
「あ、それは売店で買ってきたものなんで大丈夫ですよ。命の保証はします」
ドリンクを飲むだけだというのに、一々確認しなければならないとは悲しい。
ショウは既に飲んでいるようなので、そういった点でも安心して良いだろう。
「エスメラルダ先輩はイーグリット先輩と組んでましたよね、どうでした?」
小隊同士の合同訓練というのもあって、全員の結果を把握しているわけではないのだ。
>>673
「はい、遠慮なくどうぞ」
笑ってドリンクを手渡した。
イーグリットが作るドリンクを好むシカゴとしては、少々物足りない味かもしれない……
-
>>672
「あ、お疲れ様です…」
汗だくでうつ伏せになっているアオイがいた。苦行は終わったようだ。
「大丈夫ですよ、ショウが持って来てくれたドリンクです」
>>673
「い、いえ反抗なんてそんな事は微塵にも!」
(無防備過ぎるんだよこの人〜)
「僕が素直に頼らないのが悪いですから、隊長も気にしすぎないでください」
やはり申し訳ないとは思っているようで上手くはないが謝罪を重ねるアオイ。
>>674
「だ、誰がっ!?」
思わず大声で反論
「そんな条件じゃあクリアどころか一歩だって動けないでしょ…」
と、ため息をつきながらアオイはショウの持って来てくれたドリンクを開けて口にした
「――――ぶっふー!?」
吐きだした。誰にもかからなかったのが救いだが綺麗な放物線と一瞬虹を描いた。
イーグリット「なあなあ、誰か俺のドリンクしらねえか?」
-
>>672
(エスメラルダもやっぱりイーグリットのドリンクが好きなのか)
>>675
「やはり運動の後の水分補給は美味しいな」
普通のドリンクでも満足そうだ。
イーグリットのドリンクだと更に元気が出るのだろうが
>>676
「いや、私自身ももっと強くならねばならないと
この間実感したところだからな」
クロジンデとの戦闘のことだ。
シカゴは特に誰にも話していないが
-
>>675
「ああ、私は無事成功しましたよ。イーグリットさんが頑張ってくれたおかげです」
にっこりとほほ笑む 自覚はないがこの2人の関係も進んでいるのだろうか?
「そ、そうですか…私ドリンクにあまりいい思い出がないので…喉も渇きましたのでいただきますね」
ぐっと飲んだところで>>676のイーグリットの声が聞こえてきた
さあ天国か地獄か、硬直してしまったエスメラルダの運命やいかに
-
>>677
「ゲホ、ゴホ……そ、そうなんですか……」
真面目に返答をしているつもりだが口にしたドリンクの味が凄まじかった為噎せているアオイ。
「な…ガホ…何かあったんですか?」
イーグリット「お、アオイ!それ俺のドリンクだぜ」
「…でしょうね…」
>>678
口にしたエスメラルダを、今回は神が見捨てなかった。ぶっふーと盛大に吐きだしたのはアオイだったのだ。
よってエスメラルダの口にしたものは純正の普通のドリンクだ。
イーグリット「ん?どうしたんだラルちゃん、固まって」
-
>>679
「ああ、少しな。
こちらの問題だから気にしないでくれ。
それとイーグリットドリンクを吐きだすなんてもったないぞ?」
-
>>676
「――」
ニヤリ、と。
ショウの口元に、そんな擬音が似合う笑みが浮かんでいた気がする。
「アー、ドウシタンダ、アオイ。大丈夫カ?」
実に棒読みだった。
そう、実はショウが手渡したのは『イーグリットドリンク』だったのだ……!
>>677
「ぶはー、やっぱり運動後は格別ですよね」
自分が持っていたドリンクをあっという間に飲み干し、幸せそうに話す。
「そういえば先輩、最近また一層と気合入ってますね。
あまり無理はしないで下さいよ、何事も程ほどですよ、程ほど」
クロジンデと戦闘した事に気付いている訳ではないのだろう。
ただ、さらなる強さを求めるシカゴの様子が、人を観察する事に長けたショウに伝わっているだけで。
>>678
「おお、それは良かった。
先輩とイーグリット先輩の相性良いし、今後も安泰ですね」
何を思っての発言なのだろうか?
おそらくは小隊の事を言っているのだろうが……
-
>>680
「そうですか…あの、隊長も僕で良かったら頼ってください」
「何が出来るか分かりませんけど、きっと力になりますから」
そう言ってやっと身体を起こして背負っていた砂袋を降ろした。
「いや、その…味が凄まじくて…」
イーグリット「そういや最近シカゴには振る舞ってなかったな?飲むか?」
と、アオイから返してもらったドリンクを差し出すイーグリット。
>>681
「くっ…ショウ……!?」
まさか君が、と表情で見事に語っていた。
そしてあからさまな態度に唖然とする
イーグリット「おいおいショウ間違えてもってったのか?しょうがない奴だな…あと俺とラルちゃんの相性が悪いわけねぇだろ?と言うか俺と女性の相性が悪いわけがない」
-
>>681
「心配かけてすまないな」
くしゃっとショウの頭を撫でた
「もう倒れるまで訓練するようなことはしないよ。
さすがに皆に迷惑をかけるわけにはいかないからな」
そう言って苦笑した。
>>682
「私なら既に頼っているぞ。
ただ頼りすぎると甘えてしまうからな。なるべくしないようにしているが」
そして目が鋭くなった。
「イーグリット!とっておきを頼む!」
-
>>679>>681
「あ、ああいえ…一気に飲んだものですから喉が…」
無事に彼女はもとの世界へ帰還することに成功した
どこへ行っていたかはわからないが、元の世界へ帰ることができたのだ
「そ、そんなことないとおもいますが…そ、そう!腐れ縁というやつで…」
ショウの発言をあわてて否定する
「ですから、そんなことばかり言っているといつか刺されますよ…?」
イーグリットをからかっている
-
>>683
「じゃあ、僕も隊長や皆をどんどん頼らないといけないですね」
と、笑顔で返した
そしてそのシカゴの言葉に、アオイは肝を冷やしイーグリットが眼を光らせた
イーグリット「よし来た!」
何処から取り出したのか、持ち歩いていた鞄からさまざまな器具を取り出しなんとその場でドリンクを作りだした!
そしてシカゴへと差し出される至極の一品……!!
イーグリット「『アボガドヨーグルトドリンクver.1.09』…今日のとっておきだぜ」
>>684
シカゴにドリンクを渡してやり切った顔になっているイーグリット
イーグリット「だから前も言っただろうラルちゃん、それは本望だけど『今はその時じゃない』って」
-
>>682
“君がムッツリなのがいけないのだよ”
……ショウの目はそう物語っていた。
一瞬の劣情に気を惹かれたアオイを、彼は罰したのだ!
というのはもちろん嘘で、ただ単にイタズラ目的である。
ラッキースケベはたまたまだしね。
「いやぁすみません、ドリンクのデザインが似てたもので」
「いえ、そこは聞いてないです。というか自分で言わないで下さい。
昨日、街の喫茶店で女子生徒と談笑してたのは分かってますから」
ヒナタと買い物中に見かけたのだという。
-
>>685
「そうしてくれると私も嬉しい」
そしてイーグリットから受け取ったドリンクを一気に飲み干した。
「今回のはクリーミーでいてコクがある味だったな!
美味しかったぞさすがイーグリットだ」
なんと一気に飲み干したのだ。アオイもショウもエスメラルダも絶句することだろう。
そしてシカゴは倒れる所か美味しいと満足気にしている。
-
>>686
イタズラは予想以上のダメージをアオイに与えたようだ。
一歩間違えれば戦闘時のあの怖い眼つきの勢いでショウを見ている!
と、その横で凄まじいドリンク造りを披露していたイーグリットがシカゴにそれを振る舞うとショウの方を向いた。
イーグリット「あらー見られちゃった?いやあ中々誘えない5小隊の子だったからつい頑張っちゃってさー♪」
絶好調なようだ。刺される日も遠くないかもしれない。
-
>>687
「…………」
嘘、だろ?
そう言いたげな顔でアオイはシカゴを見ていた。
イーグリット「だろう?いやあーやっぱりこうやって飲んでくれる人がいると味の改良が進んで良いねぇ」
イーグリットも満足そうである
-
>>685
「まだ刺されたくないなら少しは自制をですね…!」
またお説教がはじまった。もはや18小隊の名物になっているのかもしれない
>>687
「嘘…?」
恐怖の対象でしかないイーグリットドリンクを一気に飲み干し、しかもおいしいなどと言っているのだ
彼女の常識の全く外のシカゴに、ただ恐怖するしかなかった
-
>>683
「うおぅ」
実に変な声を漏らした。
まさか頭を撫でられるとは思っていなかったのだろう。
「本当にお願いしますよ?
小隊としても一隊員としても、何より個人としても、先輩に無理して欲しくないですから」
「……まぁ僕が言えた立場でもないですけど」
指で頬を掻きつつボソリと呟く。
シカゴには秘密だが、昨日の訓練中に体を酷使し過ぎて倒れそうになったのだ。
その場には居なかったものの、シェリ辺りにはバレてしまっているだろう。
>>684
「いつか刺されちゃえばいいんですよ、この人」
自慢げに語るイーグリット(>>688)の様子を見て一言。
しかもドリンクをこの場で作るんじゃねえ! と彼に対して露骨に冷たい視線を向けている。
-
>>689-690
「ああ、これからも美味しい奴をどんどん作ってくれ。
小隊のみんなも喜ぶだろうからな!」
不安な言葉が聞こえた。そして良い笑顔だ。
シカゴがすごく良い笑顔だ。
>>691
「はは、隊長だからな。少しくらいは無茶をさせてくれ。
これでも先輩としての面目があるからな」
得意気に言った。
シェリ「……」
知っていても無暗に口に出さないのがシェリだ。
きっと本当に倒れた時には注意されるだろう。
心配をしていないわけではないのだ。感情表現が得意ではないだけで
-
>>690-692
「!?」
不穏過ぎるシカゴの発言に驚愕するアオイ
イーグリット「ああ、任せておけって!」
自信満々なイーグリット、この先には隊員にとっては絶望しかないかもしれない。
と、ふとシェリの方に視線を移すアオイ
「そ、そう言えばシェリ先輩は上手く行ったんですか?撤退訓練」
話題を変えてきた。ドリンクの話題から逃れるように。
-
「あ、皆さんお揃いのようで」
暫くの間訓練所を離れていたグリエルモが戻ってきた。
ちなみに合同訓練では『任務終了後の疲労時』というシチュエーションだったため、魔力が枯渇して散々な状態だった。
魔力が無いグリエルモはただの豚である。
-
>>694
「あ、グリエルモ先輩」
お疲れ様です、と訓練終了時に言えなかった挨拶をするアオイ。
「何か用事だったんですか?」
-
>>693
「私はクライア隊長に守ってもらいながらでしたので、特に問題はありませんでした」
どうやらクライアが組んでいたようだ。
-
>>696
組む時に何気なくフェイスから悔しそうな視線がきていたのは言うまでもなかったそうな。
「あ、そうだったんですか…クライア隊長なら指示も行動も的確だしそりゃあ問題ないですよね」
クライアの小隊生存率の高さは未だにどの小隊も越えられない学園都市有数の記録の一つだったりする。
-
>>694
「グリエルモもイーグリットのドリンクがあるから良かったら飲んでおくといいぞ」
早速グリエルモにもすすめておいた。
>>697
シェリ「そうですね、あなたと違って単独で突っ込むなんてことはしませんから。
置いていかれる心配がないので良かったです」
ジト目で苦言を呈すシェリ。
こういう時は容赦がない。
-
>>695
「いえ、特には」
「………………」
会話が終わってしまった。
>>698
「ああ、そうですね……はい」
-
>>698
「か、返す言葉もないです…」
しょんぼりと肩を落とすアオイ
全く持って正論なだけに、文字通りぐうの音もでない
-
「あ、すみません。また用事を思い出しました。それでは失礼」
挨拶もそこそこに、訓練所から去って行ってしまった。
一体何がしたかったのかわからない。
-
-帝都・夜の公園-
それは突然やってきた。
幸いにも人がいなかったのが有り難い。
大百足とエミヤとネクロは夜の散歩に公園に来たのだ。
二人は気まぐれで大百足に誘われた。
そしてこの公園にはもう一人いる。
細身の黒い服装をした男。細い目をしていて右目には三つの爪か何かで傷付けられた痕がある。
男「失礼、少し窺いたいことがあるのだが」
そう言って近寄ってきた。
-
>>702
「なんですか?」
隻眼だろうか――と、その男を見ての最初の感想がそれだった。
それ以外には特に思う所はなく、男の問いかけに答えようとする。
-
>>702
夜の公園を散歩とは、平穏無事な時ならなんとも乙なものだと感じていた。
気まぐれで誘われたとは言え、ついてきて良かったと思った。ここしばらく根を詰め過ぎていたから。
しかし、そんなのどかな時間もすぐに終わってしまった。
如何にも―――な格好をした男に声をかけられてしまった。
「何だい急に?」
だがまだ何か問題が怒ったわけでもない。ただ道を尋ねたいだけの人かもしれないので、ネクロは対応した。
「俺らで答えられると良いんだが」
-
>>703-704
大百足「あんたの格好に似てるね坊や」
ネクロを見ながらそんなことを言う大百足
男「この街で暴れている妖怪なんて知らないか?」
にこりと笑顔でそう問いかけてきた。そして開けられた目は両目とも見えているようだった。
-
>>705
「俺の印象ってああ見えてるのか?」
男に聞こえないように返事をするネクロ。やはりそろそろ新しい服を購入すべきか。
「街で暴れている妖怪?」
思わず聞き返してしまった
妖怪とはここ最近関わる事が非常に多いが、今この街で暴れてる妖怪には心当たりはなかった。
「…さあ、俺は聞かないね」
だから、こう返事を返した
-
>>705-706
「いえ、知りませんけど」
赤銅髪の青年からは、実に自然な様子で返答があった。
細身の男と違い笑顔では無いが、かといって訝しげな表情でもない。
隣の男(ネクロ)と示し合わせたという様子でも無さそうだ。
「あの、この街で妖怪が暴れてるんですか?」
興味を惹かれたのか、青年はそう聞き返してきた。
-
>>706-707
大百足(こいつ、妖怪の存在を知ってる)
そう、二人からしたら最早当たり前になってしまった存在の怪異だが
一般人は知らない人の方が多いのだ。なぜなら妖怪たちは人間社会に溶け込んで行るのだから。
男「そうか、知らないか。邪魔したな」
ネクロの返事に答え背中を向けた。
男「いや、暴れてる噂があれば聞きたかっただけだ」
そして続けてエミヤの質問にも答えた。
男「ああ、ついでだ。そこの女には死んでもらおうか」
顔だけをこちらに向けた男は、憎悪に籠もった目で大百足を睨みつけた。
男が懐から何かを素早く取り出し大百足に投げた。
大百足「ん…札?」
大百足に飛んできた札を軽く払おうと触れた瞬間、爆発が起きる。
大百足「がはっ!」
-
>>708
「!?」
静寂に満ちた夜の公園に響く爆音
やられた…!!ネクロは内心で激昂と後悔が同時に渦巻く
話をされた時点で警戒をしておくべきだった
この男の目的こそ知れないが、妖怪と敵対してるのは行動以前に今の発言や眼を見れば明らかだ。
「お前っ…!!」
大百足はピエロと肩を並べる妖怪だ。この爆発一撃で死ぬとは思わない。いや、ネクロの内心としては思いたくないんだろう。
腰に下げたホルダーから素早く魔銃を抜き取る
両手に手にし、地を蹴って男の方へと距離を縮めに接近する
-
>>708-709
はあ、と気の抜けたような返事。
そこで問答は終わりなのだと、気を抜いたのがいけなかった。
「な――」
気の緩みと、想像以上の素早さも加え、男の動きに対応できなかったのだ。
――だが次の瞬間には、エミヤの両手に宝具【干将・莫耶】が握られる。
「テメエ、何しやがる……!!」
男へ接近を仕掛ける事はなく、二刀を投擲する。
エミヤの手から離れた双剣は弧を描き、男から見て左右から同時に襲い掛かる。
直撃したとしても即死は無い。だが、まともな動きを取ることは出来なくなるだろう。
また、投擲を仕掛けたと同時にエミヤは大百足を庇うような位置へ立つ。
-
>>709-710
大百足「こいつ…何者」
爆発でダメージを受けたようだが軽傷だ。
さすがに大百足の体は鎧並の頑丈さ。
男「人間が妖怪をかばっても良いことはないぞ」
ネクロへと札を飛ばし、飛んできたエミヤの二刀を両手に札を持ち受け止めた。
男「金は火により滅する」
札に触れた干将・莫耶は溶けるように蒸発した。
男「陰陽五行の関係はこの世の理。
人間でも妖怪をかばうなら容赦はせん」
-
>>711
(起爆札か?東方に伝わる魔術師…陰陽とか言ったか?そういう手合いが持つ装備っていうのを昔聞いたことがあるが…)
見るのは初めてだ。
ネクロは飛ばされた札に素早く銃弾を撃ち込み、もう片方の銃口を男へと向ける
「あいにく、俺は妖怪だろうが魔物だろうが知り合い友人を見捨てる真似が出来るほど器用じゃないんでね」
「アンタ何者だ?妖怪を狩る人間ってところか?」
-
>>711
「!?」
馬鹿な、宝具をいとも容易く破壊――いや、消滅させたのか?
……待て、“陰陽五行”の関係?
「――成る程、そういうカラクリか。
『金は火により滅する』とはよく言ったものだな」
双剣を消滅させたカラクリを一目で暴いたのか。
しかし、再度エミヤの両手に具現化した武装はやはり【干将・莫耶】だった。
双剣を構えたまま、大百足の前から動く気配は無い。
男が次にどう動こうと対応出来るよう、万全に備えているようだ。
>>712
「ネクロさん、銃を決して札に触れさせない方が良い。
たぶんその魔銃でも、俺の双剣のように消滅させられる!」
大声で呼びかけ警告する。
-
>>712-713
東方、さらに詳しく言うなら大陸から伝わる技だろう。
銃弾が撃ち込まれた札は穴が空き爆発した。
この男、少々厄介な相手かもしれない。
男「何者か。名前はとうの昔に捨てた。今は金をもらって妖を退治している」
大百足「あんたたち、逃げな。どうやらあいつの狙いは私だけみたいだからね」
エミヤの肩に手を置いて、前に出てきた。
大百足「私は静かに暮らしてただけなんだけどね」
男「人間に接触する妖怪は危険だ。ここで消す」
-
>>713-714
「心得た!」
エミヤの発言に返事をするネクロ。
男からは油断なく視線を外さず、大百足に言葉を返す
「生憎、そう言われて逃げられる程賢かったり薄情な人間じゃないんですよ俺」
だから勝手に助けさせてもらいます、と言い切った。
「名前を捨てて金で妖怪を狩る、ね…悪いが俺からみたらいきなり女性に襲い掛かる不埒もんだぜアンタ!」
-
>>714-715
「断る」
前に出ようとした大百足を制する。
ネクロに前衛を任せたまま、決して離れようとはしない。
男の狙いが大百足であると分かっているからだろう。
「『静かに暮らしてただけ』って言ってるのが判らないのか?
金さえ貰えれば、ひっそりと暮らす妖怪さえ殺しに掛かるテメエの方がよほど危険だよ」
忌々しげに吐き捨て、男を見据えている。
-
>>715-716
男「それはお前たちが無知なだけだ。
妖怪の恐ろしさを知らないだけだ。奴らは隣人のように近づき友人のように接し
そして最後には、簡単に裏切る!」
妖怪に対しての憎悪が尋常ではないこの男
大百足「確かに、あんたたちはお人好し過ぎかもしれないね。
ただ私は守られる側は似合わないんだよ。どきな!」
大百足(だからこそ、協力してやろうって気にもなったんだし)
エミヤの制しを聞かず、飛び出した。
そのまま拳を握り、男に向かっていく。
だが
男「お前はそこに縛られていろ」
大百足に札が飛ばされると、電撃が走るように結界が生まれた。
そしてその中に閉じ込められる大百足
大百足「ぐうあああ!な、動けない……!」
妖怪を捕縛する専用の結界といったところか。
それも、もがけばもがく程にダメージの入る。
-
>>717
「性悪な妖怪も確かにいるな、それはアンタの言う通りだ」
そして大百足が結界に閉じ込められてしまう
「…!!けどな、中にはただ産まれて、生きて、子を遺して死んでいきたいだけの妖怪だっているんだよ!!」
男に向かってネクロは魔銃を構え、二挺を同時に発射する。
片方は灼熱を宿した魔弾として、もう片方はいくつにも分裂して不規則な動きをして迫る氷の魔弾として
「人と同じだよ!!俺は少なくとも彼女(大百足)の他に知っている妖怪も皆良い奴らばかりだった!」
-
>>717-718
「ああ、知らないな。
何せそんな妖怪とは出会った事が無いんだ、知ってる筈も無いだろ。
俺が知ってる妖怪は良い奴ばかりさ。
“木を見て森を見ず”――今のアンタには、これがお似合いかもな」
「――っ、馬鹿!!」
慌てて止めようとするも、大百足が結界に囚われてしまう。
「投影、開始――“一発は”援護する、後は結界を解いてからだ!」
呪文、そしてネクロへと大百足の救出へ向かう事を告げると、先程のように双剣を投擲した。
弧を描く軌道も、男の左右から迫り来るのも、先程と同じ。
やはり先程と同じように札で“触れれば”消滅させられる筈だが……?
一方でエミヤは大百足の元へと向かう。
ネクロを目前としている男は気がつくだろうか? エミヤの視線が僅かに、双剣へと向けられていることに。
-
>>718-719
男「ちぃっ…」
舌打ちをした男。対応するには数が多い
ただ的になるつもりもないのか再び札を取り出した。
男「火は水で滅する。氷は木によってせき止められる」
灼熱の魔弾が消滅し、氷の魔弾をいくつか受け止めるが分裂したものすべてを消滅はしきれなかった。
どうなるのか分からないが、きっと当たった箇所が凍ってしまうのだろう。
脚に当たって動けなくなったことにしよう。違うならこの描写はキャンセルしてしまって構わない。
エミヤの投げた剣にまで対処が及ばずよけようとしたが脚が凍っていたため動けなかった。
辛うじて片手だけ札を握り、消滅させるために出すが
-
>>720
「よし!」
足を凍らせることに成功した。
そのまま男の後ろに回り込むべく走り出す、男はエミヤの剣を消滅させるため、こちらにまで気は回せないだろう
(俺の予想が正しければ次のエミヤの手は…)
-
>>720-721
男は恐らく“金”に対応した術を発動させようとしただろう。
――それがエミヤの狙いだった。
札に触れようとした剣、そしてもう一振りの剣が突如“爆発”を起こしたのだ。
零距離同然から迫り来る左右からの爆風、回避は非常に困難だろう。
予め調節した威力だ、仮に直撃しても即死は決して有り得ない。
だがマトモな人間であれば、強烈な火傷と痛みに苛まれる事は明らかだ。
「“金”じゃなくて“火”だよ、クソヤロウが」
その声が届く頃には、男は既に爆風に呑まれている筈だ。
「――さて」
無事、大百足の元に辿り着くことは出来ただろうか?
-
>>721-722
男「…なっ!」
爆発した剣、五行に従うと火と火では比和の関係になる。
結果から言えば威力が増すということだ。火に火を入れたら大きくなる。
男は一瞬で意識を刈り取られることだろう。放っておけば命もない程の威力だった。
そして爆発の熱で大百足を封じていた結界の札が破れた。
大百足「…対妖怪のエキスパートか。
相性が悪いわけだ」
-
>>722-723
見た状態だけで判断するならば、エミヤの機転で自爆したと言う所だろうか
「身から出た錆ってこういう時に使うんだっけか?」
後ろに回り込んでホールドアップに持ち込む算段だったネクロがそう呟いた。
絶妙に使い所を間違えているが
「…さて、と」
倒れた男に慎重に近づくネクロ、怪我の具合を確かめる
「気持ちは…分からんでもないがね」
そう、小さく呟いた。おそらくこの場の誰にも聞こえてはいない。
-
>>723-724
「ええ、それで合ってますよ……たぶん。
さて騎士団を呼ぶか、回収してもらわないとな」
目覚められてまた大百足を狙われても困る、という事だろう。
もちろん彼女に限った話ではないが。
魔法便(で良かったっけ?)を書き、騎士団詰め所方面へと飛ばす。直に駆けつける筈だ。
「妖怪どころか、下手な魔術師相手でも喰えると思いますよ。
“金”だけならまだしも、一般的な“火”や“水”にも対応してるみたいですし」
札を介さないと発動できないのが幸いだった、と付け加えた。
-
>>724-725
大百足「この男、このまま放っておいたら死んじまうよ?
あたしは助ける術を持ってないけど、どうしたもんか」
大百足はあんな目に合いながらも男を担ぎあげた。
大百足「取り敢えず、医者にでも運ぶかい。
二人とも面倒かけたね」
-
>>725-726
「東方の魔術師ってのは凄い能力を使うもんだな」
エミヤの話を聞いて頷いている
「俺が軽い治癒術なら使えるんで、応急処置だけしておきましょう」
「で、医者に見せて事情を話して……そしたら騎士団に引き取ってもらおう」
エミヤが魔法便を飛ばしたのを見て、そう考えた
「それで良いか?二人とも」
-
>>726-727
「そうですね。まずは医者に見せて、騎士団に引き渡すのはそれからで」
『医者を頼む』という事を書き忘れていたので、直接医者へ連れて行く事にした。
いや、うっかりうっかり。
-
>>728
「騎士の人には俺から話しておくよ」
こういう時は年上の俺に対応させろ、とネクロは胸をトンと叩いた
(…それに…)
ネクロは男に視線を向けた。怪我の具合を見てるようにしか見えないだろう。
(男が素直に騎士団に事情を話せば、調べられて俺達が不利になる可能性も大きい…なら、引き渡すのはなるべく遅らせるべきだ)
「妖怪」と言う単語を聞いて友好的な発想になる人間は少ない。
下手をしたら藪を突いて蛇どころか大蛇が出てくる結果にもなりかねないとネクロは思ったのだ。
ならば…この男ときっちり話をツケた方が良いと、判断したのだ。
-
>>727-728
大百足「そうだね、それでいいよ私は。
この男も妖怪相手にきっと何かされたんだろうね。
名前まで捨てるってのはよっぽどの執念だよ。それにあの眼」
大百足を見た時の憎悪の籠もった目。そして爪のような傷跡
大百足「妖怪も人間も一緒さ。危害を加える奴は平気で加える。
あんたたちも気をつけるんだよ」
そう、エミヤもネクロも経験しているだろう。
片や首つり狸、片やカマイタチの二男
こうして男は治療を受けた後騎士団に引き渡されたのだった。
-
>>729
訂正
男は騎士団ではなくネクロに引き渡されるのであった。
-
銀月を訪ねた次の日
「ババーン!では、今日の目的地を決めようと思います。
本日二日目の行き先はこちらになっております!」
・ピエロのいる遊郭に行く
・銀月と揉めているロベルタ商会に聞き込みをする
・寝る
-
>>732
「ね、寝たい。でも今此処で寝ると色々と終わってしまう気がする」
そう、実は今の時刻は早朝なのだった!
強力な睡眠欲に耐えつつ、慎重に選択した結果は
→ 銀月と揉めているロベルタ商会に聞き込みをする
「今はまだ、ピエロの所に行っても冗談で済まされてしまうだろうしな」
-
>>733
「じゃあロベルタ商会に乗り込みね!
今日の私は何でも出来る気がするわ!一人で国と戦争することもね!!」
やけにテンションがヒートアップしている沙耶
「ちなみに場所はアーカムシティよ。
この前下っ端を見たけど、下っ端自体は大したことなかったなぁ、ただ」
アーカムシティに向かってる道中でそう語る。
-
>>734
「き、今日は随分と張り切ってるな。
元気なのは良い事だけど、空回りしないように気をつけてくれよ?」
テンションが高いからわざわざ早朝からなのか、と一人納得していた。
一応の注意をして、アーカムシティへ向けて出発する。
「ただ、上の連中はそうでもない、か?」
沙耶が言おうとしたであろう事を予測して問いかけた。
-
>>735
「うん、幹部と言っても一人しかいないんだけどね。
ほらこの前会った情報屋が教えてくれたんだけど」
人差し指を立てて説明を始めた。
「なんでも傭兵部隊を一つ自分の組に引き入れたのよ。そこから勢力も伸び始めたんだけどね。
その傭兵部隊を率いてた人物っていうのが凄腕らしいわ」
ロベルタ商会はアーカムシティ、つまり覇道のお膝元にいるにも関わらず勢力を伸ばしているのだ。
「通称ブラッディベア。それがロベルタ商会唯一の幹部で傭兵部隊を率いていた人物」
そうこうしているうちにアーカムシティに到着した。
-
>>736
「傭兵を組織に引き入れるなんて、随分と思い切った決断だな。
でもそれが功を奏して、覇道のお膝元でありながら勢力を伸ばしつつあると」
しかも、引き入れられた傭兵部隊の長が唯一の幹部と来た。
あくまで飾りか、それとも実力故か、果たして。
「物騒な二つ名だ。
……何はともあれ、争いだけは避けたい所だな」
そう言って、アーカムシティへと足を踏み入れた。
さて、ロベルタ商会のアジトは何処だろうか?
-
>>737
「こっちだと思う」
アーカムの裏通りを歩く。
表通りと雰囲気が違うアンダーグラウンドな匂いが漂う。
薄着で男を誘う女
謎のアンティークショップ
バー
そして裏通りを更に奥に続く道
「案外話に尾ひれがついて大層なあだ名だけ付いちゃったのかもしれないわね」
奥をちらっと覗きこむと、大きな屋敷があった。
入口には黒い正装をした男たちが見張りをしている。
「ビンゴ」
-
>>738
自然と沙耶を庇うような位置を取って、黙々と歩く。
アーカムシティと言えど決して安全と呼べない場所だ、当然の対応だろう。
「はは、案外有り得るかも。人間のイメージ力ってのは壮大だからな」
沙耶の案内で辿り着いた屋敷の外観を眺め、そして入口の見張りへと視線を向ける。
「銀月の時みたいに、商売人として接触すれば行けるか……?」
沙耶はどう思う? と、見張り達へ視線を向けたまま訪ねた。
-
>>739
「でもあっちはバリバリのマフィアっぽいわよ。
銀月はまだ普通の商売してるってイメージは出してたけど」
シロウの肩越しに覗く
するとふと影が落ちた。エミヤと沙耶の上に一瞬前まで輝いていた太陽は影に隠れたのだ。
そして背後には誰かの気配。振り向かなくても分かる。この影の人物大きい
「うわー振り向きたくないなーこれ。どうしよう振り向かなくてもいいかなー?」
-
>>740
「だよな、鍛冶屋程度じゃ取り合ってくれなさそうだ。
強行突破なんて御免だし、どうしたものか――」
シロウの言葉が途切れる。
二人の背後に迫ってきた気配に気がついたからだ。
「……振り向かなくて良いぞ」
決して楽観的ではない沙耶の声に一言だけ応えると、素早く振り向いた。
それと同時に、沙耶と前後の位置を交代するように動く。
背後の人物から見てシロウが手前、沙耶が奥の位置取りとなるだろう。
-
>>741
「おわっと早いって熊ーーーーーーーーーー!!」
少し驚く沙耶、そして自然と自分も振り返る形になった。
そして叫んだ。
男「俺が熊ならお前たちはひよこってところだな」
大きい。シロウも見上げる高さ。
目測で2メートル近くあるだろう。そしてガタイも普通ではない。
正装の上からでも分かる筋肉質な体つき。縦横に大きい。
そして赤い髪をオールバックにしている。
男「ひよこが来るような場所じゃねえ。退け」
見張りをしている男たちと同じ格好。
そしてこの存在感、間違いない。
ブラッディベアだ。
-
>>742
「バッ、声が大きい!」
慌てて沙耶の口を手で塞ぐ。
と言っても、既に叫んでしまったものは遅いだろう。
さて、沙耶も落ち着いた所で問題の人物を見た。
シロウの身長は170cmギリギリと言ったところだ、2メートル近くの男を見上げて当然と言える。
「……そりゃどうも。お言葉に甘えて退かせて貰いますよ」
圧倒的な体格差ながらも、気後れする気配は見られない。
目の前の男が“ブラッディベア”である事を確信して、沙耶の手を引いてその場を離れようとする。
-
>>743
男はシロウが退いたことにより、奥の屋敷へと向かっていった。
入口で見張りたちが姿勢を正して挨拶をかわしている。そしてブラッディベアは屋敷の中へと消えた。
「あー行っちゃった。驚いてないで話を聞きだすべきだったわ私。
どうする?正面から素直に訪ねてみる?殴り込みでもしてみる?」
この沙耶、頭がおかしい発言しかしていない。
だが動かなければ物事が動かないのもまた事実だ。
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>>744
「此処がアーカムシティでなければ、選択の余地はあったかな」
殴りこみでもしてみる、という沙耶の提案に対してそう答えた。
相手がただのチンピラ――見境無く人を襲うような連中であれば有り得ただろう、と。
「ま、今回は選択肢として“有り得ない”って事にしておこう。
ちょっとばかり危険だけど、真正面から訪ねてみるか」
「……と言う訳で沙耶」
一区切り、間を置いて
「お前は街で待っててくれ」
共に向かうのは危険だと感じたか、沙耶へと自分の意思を告げた。
-
>>745
「確かに。無暗に手を出してこない辺りただのごろつきとはレベルが違うわよね統率も取れてるみたいだし。
でも待たないわ。せっかくここまで来たんだし暇だ…ごほん、何より私は紅姫さんから預かった脅迫状を持っているのよ!」
ババーンと脅迫状を高く掲げた。
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>>746
「な、なんだってー!
……まさかとは思うけど、それを連中に見せるとか言わないよな?」
流石にマズくね? と、高々と掲げられた脅迫状を指差しつつ。
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>>747
「別にピエロが狙われてるって言う文面しかかかれてないし
見せても大丈夫だと思うわよ?それに黒の名前を出せば何か教えてくれるかも」
沙耶は戦闘力的に弱いくせに突っ込みたがるから厄介なタイプだ。
言うなれば物語で無暗に首突っ込んでピンチになるようなあれだ。
アモルフ印の銃を持っているが、これは弾代がかかるからあまり使わないようにしているらしい。
いざとなったら使うだろうが
-
>>748
「……ったく、それなら尚更俺だけで良いじゃないか」
溜め息混じりの呟き。
敢えて口に出したのは、言葉にした所で沙耶が引かない事が分かっているからだろう。
ひょいと、沙耶の手元から器用に脅迫状を取り上げる。
きっと返せだの何だのと騒ぎ出すだろうが、それを慌てて制すると、
「少しでもヤバいと感じたら逃げるんだぞ。約束だからな」
そう言って、屋敷の入口へと向かっていった。
-
>>749
「あ、返…むぐ」
先手を打たれてエミヤに制された。
「はーい、気をつけます」
屋敷の入口に辿り着くと、見張りの男が二人こちらに向かってきた。
マフィアA「ここはガキの来るところじゃねないぞ」
マフィアB「ん?待てそっちの女どこかで…あー!」
エミヤは知らないだろうが、このマフィアたち
先日騒動を起こして沙耶たちと狼王に成敗された下っ端だ。
マフィアA「今日はまた別の男連れってか?良い御身分だな。
この間の借りを」
「いきなりピンチになるとは誰が思ったであろう」
すると屋敷の扉が開いてもう一人マフィアが現れた。
マフィアC「おい、お前らやめろ。そいつらは客人だそうだ」
マフィアB「ああん?誰の」
マフィアC「ブランカさんのだよ」
「そうよ。分かったらさっさと通しなさいよね」
(ブランカって誰だろ?)
-
>>750
「何が何だか判らないけど、これは逃げた方が良い気がしてきた」
叩きのめすだけなら出来るだろうが、こう、何か予感を感じ取ったのである。
例えるなら『ボコボコにされたモブが復讐に来た』みたいな。
そういった事態では、下手に対応せずトンズラするのが良いと聞いた!
等と考えていると、新たに現れたマフィアの言動に驚かされる。
沙耶がふんぞり返って話しているので、
「アンタら、少しは人の話を聞いてくれてもいいだろ」
ジロリと、マフィアAとBを睨みつけておいた。
客人云々の事情は知らないが、どうやら中に入れそうで何よりだ。
-
>>751
「まったく、これだから下っ端は困るのよね。
礼儀を知らないんだから」
マフィアA「ぐぬう」
マフィアC「お前たちも、ブランカさんに失礼なことをするんじゃねえぞ」
こうして応接室に通された。二人
扉を開くとそこには
-
――18小隊訓練場。
既にアナベルの戦闘準備は完了していた。
対峙するトッポに声をかける。
「開始距離は、アンタが決めていいよ」
中指に魔力を制限するリングが嵌められている。
対戦相手に致命傷を与えることを阻止するためのものだが、それ以下の魔術を減衰させることはない。
-
>>753
トッポも同じ効力を持つアイテムを装備する。
「そういう事なら……」
10m程度は距離を空ける。
可能な限り距離を稼ぎつつ、背後に退路も用意した。
「俺は、いつでもいいですよ……」
杖を手に、腰を落として戦闘準備を完了する。
-
>>754
「――丁度アンタくらいの時、アタシは本格的に魔術師としての道を歩み始めた」
アナベルの掌に、指先ほどの小さな灯が煌めく。
それは球状に収束すると、ゆっくりと膨張し始めた。
「アンタには言うまでもない事だけど、魔術には様々な属性や分野がある。
自然、それを扱う魔術師たちも多種多様になる。
多様な術を身に着けた者も居れば、少数の術に特化した者も居る。
アタシが使える術の範囲は、今のアンタよりも狭かった。
その分、得意分野では誰にも負けなかった――まあいわゆる、特化型ってヤツだね」
炎はやがて、掌を完全に覆った。
「アタシ同様、自己を特化型と認識している魔術師は山ほど居るが、特化の具合も様々だ。
例えば、召喚術しか扱えない魔術師が居るとする。
こいつは……特化型かな?」
トッポに向け、炎弾を飛ばす。
それなりの大きさと速度を持っているが、対処は容易い。小手調べといったところだろうか。
-
>>755
「召喚術しか使えないなら、特化型じゃないんですか!」
対処は容易い。しかし安易に受けてはいけない。
そして、今は先生がまだ様子見の手加減をしている。
そう読んだトッポは早速魔術を唱えた。
「アストロー(突風魔術)!!」
トッポの杖先から突風が巻き起こる。
突風は炎弾を巻き込み、炎の突風としてアナベルに跳ね返る。
-
>>756
「そうだよなぁ。それが一般的な考えだ。アタシもそう思う。
じゃあ逆に、火水風の属性を万遍なく使える魔術師が居たとしよう。
こいつは汎用型かな?」
喋りながら、再び炎を形作った。
降り注ぐ熱風を、身体で受け止める。
己の産み出した炎ゆえか、その高熱を苦にした様子はない。
突風はまともに受ける筈だが、それすらも自前の魔力抵抗のみで打ち消している。
「機転が利くねえ。色んな術を“持つ”だけじゃなく、ちゃんと使いこなせてるじゃん」
突風に巻き込まれながら……次の炎弾を放つ。
アストローを突っ切って、トッポへと一直線に向かってゆく。
威力も速度も向上している。しかもアナベルにはまだ、余裕がありそうだ。
-
>>757
「火水風……組み合わせ次第でどんな場面にも対応できる汎用型でしょう?」
質問の意図が汲み取れないが、深く考えるのはやめた。
このまま跳ね返しても、ジリ貧か。加えてまだまだ余裕がありそうだ……。
そう考え、トッポは脇に飛び出し、炎を回避できるコースに移動した。
「ドーター(泥化魔術)!!」
同時に、アナベルの足元へ向けて泥化の呪文を唱えた。
アナベルの足元は時間を追うごとに泥化し、最終的にははまれば抜け出せない底なし沼に変化する。
-
>>758
「ふんふん。やっぱそう思うよな。
確かに召喚の専門家は、普通の魔術師に比べれば特化型。
だけど、火蜥蜴・魔犬・巨人・大蛇・飛龍・不死者・食人鬼――エトセトラ。これら全ての魔物を使役できるとしたら、その召喚術師は本当に特化型なのか?
少なくとも、一つの獣しか召喚できない召喚術師に比べれば汎用性は高えよな。こっちの方が更なる特化型だ。
逆に三属性を使える魔術師は汎用型っぽいけど、四つや五つの属性を持ってる奴の方がもっと汎用性がある。
結局、相対的な問題なんだよなぁ。汎用型と特化型の間で、明確な境界線は、きっとない。
他人より扱う術が広ければ汎用型で、狭ければ特化型なんだ。
あ、『何でそんな話すんの?』みたいな顔してんな。
別に有り難い講釈とか、実戦を交えた教訓を授けよう……ってわけじゃない。
わかってるだろ? アタシはそんなガラじゃないさ。師匠ズラをするつもりもない。
山もないしオチもない、教訓もない。ただの昔話、世間話さ。何となく話したくなっただけ」
炎は直進し、トッポが居た位置に命中した。
追尾機能の類はないようだ。
アナベルは炎弾が回避されたことを確認する前に、次弾を放つ。
トッポの呪文により、足場は不安定な状態になる。
「おおっとっとっ」 などと言いながら跳躍し、泥化の中心地からは離れた。
滞空中にさらに一発、炎弾を撃ち出す。
正面と上方、二発の炎弾がトッポを襲う。
-
>>759
前方とななめ前方から炎弾が迫る。
此方からも攻撃をしかけなければ、アナベルの攻撃は止まらない。
それはわかっている。
しかし、生半可な攻撃は無意味だ。
(俺は魔術師。必ずしも積極的に攻撃すればいいわけじゃない!)
まずは、攻撃の糸口をしっかり作らなければならない。
以前ならばアレイム(上級火炎魔術)で正面から対抗していたかもしれないが、得策ではない。
「……先生は、特化型と汎用型、どっちがいいと思う?」
炎弾との距離感を見極めながら、後ろに飛び退く。
「アクーア(水流魔術)!!」
炎弾が目の前に迫り、2つが衝突するポイントを狙って魔術を唱える。
決して大規模な水流ではないが、水は、炎の弱点であるというポイントを突いている。
二つの炎弾を消すには、不自由のない水量の水が杖から放たれる。
-
>>760
「そりゃあ難しい問題だね。一概には言えない。
才能ってやつは人それぞれだし、性格にもよるだろ?
ただ――そうだね、アタシは最初っから、自分が特化型だとわかってた。
どうせ特化するなら、とことんやりたかった。
中途半端な特化じゃなくて、極限まで先鋭された専門家になりたかった。
アタシは考えた。“究極の特化型魔術師とは、一体どんな奴だろう?”
扱う術の量が少ない事は言うまでもないね。でもそれだけじゃあまだ足りない。
質の面では……術の効果が限定されるほど、特化は強くなるはず。理想的には『ひとつの結果』のみを引き起こす魔術が良い。
『召喚術』のような大きなくくりではなく、もっと小くて狭いものを、アタシは求めた。
アタシの属性は、炎と雷。
どちらもほぼ均等に得意だから、一方を切り捨てるのは得策じゃあない。
真っ直ぐな性格――ていうか単純バカだったから、シンプルな術ほど良いと思った。
結局あまり迷わなかった。二つの属性にそれぞれ一つだけ、シンプルな・単純な・真っ直ぐな術を習得しよう。
それを高め、伸ばし、ひとつの結果を産み出そう。
今のところアンタは、数多の手札を持ち状況によって最適な手段を選択する……って戦略だろ? まるで正反対だね。
だからまあ、アタシのケースはあんまりアンタの役にゃ立たないかもしれないね。でもちょびっとくらいは参考になる点もあるぜ?
それはなんていうか……自分の『未来像』を決めておくこと。
魔術師アナベルは間違いなく、若いころに作り上げた未来像に規定されたから、ね。
ま、アンタの師匠がそういうことをとっくに教えてくれてたなら、完全に釈迦に説法だけどな」
トッポの目論見通り、炎はジュッと音を立てて消えた。
一方アナベルは、泥化してゆく床の上で体勢を取りながら両掌に魔力を集中しはじめた。
再び跳躍する気配はない。自らの身体が底なし沼に埋もれてゆくのに任せている。
「さて、小手調べはこの辺にしておくか。
話すネタも尽きちまったことだし。そろそろ大きいの行くぜ……」
-
>>761
「武芸者はとことん一途に……極端に特化していて良い。けど、魔術師はチームで動くことを考えた場合、あらゆる視点から武芸者をサポートしていくチームメイカーであるべき!それが俺の理想……未来像ですよ」
底なし沼に沈み行くアナベルを見て、ふと思った。
アナベルが今放とうとしている魔術を、受けて見るべきでは、と。
アナベルから見ても、この時トッポが何かを考えている様子がわかる。
トッポは腰を落とし、その場に構えた。
-
>>762
「なるほど、やっぱりアンタはそっちの道を行くわけか。
それも一つの選択だ。が、特化と汎用は一長一短。純粋な威力では、太刀打ちできないよ」
アナベルが語った通り、彼女が実戦で使う術は恐ろしく少ない。
だから次に放つ攻撃も、やはりそれまでトッポに見せたものと同じ魔術だった。
汎用性や融通性を排除し、ただひたすらに破壊力のみを求め、辿り着いたもの。
掌が炎を産み出す。
単純な魔術であるがゆえに非常に燃費が良く、投入した魔力のほとんどは目的の為に使われる。
だが、非常に僅かではあるもののアナベルの制御を離れてしまう魔力がある。それらは、周囲の温度を上げる事に消費されてしまう。
訓練場の温度が、高まる。
漏れ出てしまった、全体としてはごく小さな割合の魔力だけで、トッポの身体は蒸し暑さを感じる。
気流が生まれる。風魔術ではない……急激に熱されたアナベル周辺の空気が膨張しているのだ。
炎属性魔術――基礎にして究極。
「ファイヤーボール」
炎の玉が2つ、トッポへと飛来する。
大きさはそれまでとあまり変わりはない。
だが速度はまるで違っていた。そしてそれ以上に、火力が桁違いだ。
アナベルはトッポと互角になる程度に魔力を抑えているが、宣言通り単純な威力では敵わない。
単純な、威力では。
-
>>763
「マバリア(魔術防御結界)!!」
温度が高まるのと同時に溜めていた渾身の魔力で結界を発生させる。
しかし、同時にトッポの表情が青ざめた。
アナベルがファイヤーボールを放つと同時に、
それがさして効果がないことは、トッポから見ても一目瞭然であったからである。
「うわああぁぁぁぁ!!」
防御態勢を取ったものの、結界を容易く突破した炎に包まれながら吹き飛ばされる。
そして、その勢いのまま壁に激突し、床に倒れた。
-
>>764
「……受けきれなかったか」
トッポなら、真正面から対抗することが上策でないことは分かっていた筈。
にもかかわらず防御結界を使ったのは、トッポの手持ちの札に炎弾を捌けるものが無かったのだろう、きっと。
あるいは、泥化した床がアタシを完全に呑み込むまで耐えしのぐつもりだったのか……。
「大丈夫? まさか死んでないだろうね」
負けたふりをしているのでなければ、泥化は止まっているだろう。
トッポの元へ向かい、手を差し伸べる。
-
>>765
しかし、アナベルはトッポの元へ向かう途中、足を止めることになるだろう。
理由は、トッポが再び動き出したからだ。
「グリエルモが……武芸者の、回復をするはずさ……」
両手をつき、ゆっくりだが立ち上がろうとしている。
武芸者と異なり、丈夫な体を持ち合わせていない魔術師が、強力な一撃を受けて立ち上がれるのは何故か。
「そして、回復した武芸者の皆が……先生が泥から抜け出す前に倒す……!」
トッポを立ち上がらせたのは、もはや理屈ではない、根性。
ふらふらのまま立ち上がりながら、未だ熱の残る視線をアナベルに向ける。
「俺たちの……勝ちですよ……!」
一対一の戦闘ならば間違いなくトッポの負けであるはずが、勝手に『チームで戦っている』という前提に置き換え、勝利に変えてしまった。
「ぐっ……」
しかも、アナベルがそれに反論する前に倒れ、意識を失った。
-
>>766
「……?」
立ち上がろうとするトッポを見て足を止める。
奇妙な発言を訝しみつつも、反撃に備えて魔力を結集させ始めた。
だが、やがてトッポの状態に気付いた。
既に相手の体力が大きく消耗しており、おそらく理性は残っていない。
「やれやれ……」
何と言ってやろうか考えているうちに、トッポが倒れる。
「――まあ、一年前ならあの炎弾を撃つまでもなく負けてたか。
確かに成長してやがったな。でもこいつが修業で一番鍛えられた部分は、闘争心だったかもな」
ていうか根性か?
などと言いつつ、医務室へ赴いて意識を失ったトッポを運んでもらった。
-
今日も今日とて、姉弟は訓練場に居た。
互いに得物を持たず、徒手空拳の状態で模擬戦を行っている。
「くっ……!」
と言っても、ヒナタはあくまでショウの拳を捌き往なしているだけだ。
ショウは剄を全開にして臨んでいるが、模擬戦が開始して数分、未だヒナタの防御を突破出来ずにいる。
剄も魔術も扱えずとも、やはり彼女は天剣授受者なのだった。
『足元がお留守だぞ?』
放たれた拳を避けると同時に、ヒナタは足払いを放つ。
見事にショウの体勢を崩し、彼の身体を背中から床に叩き付けた。
「っ、くそ、まだまだ!」
即座に起き上がり、ショウは構える。
ふふん、と不敵な笑みを零してヒナタも構える。訓練はまだまだ続きそうだ。
-
-ある日の18小隊訓練場の倉庫-
「はあ、どうしようかなあ」
術式兵装を弄ってる時以外何時も眠そうなキリクが、けだるげにため息をついていた。
-
>>768
訓練に勤しむ二人の耳に、キリクのため息まじりの言葉が倉庫の方から聞こえてきた。
何やら困っているような様子だが…?
-
>>768
「毎度のことながら、精が出ますねえ……」
最近『精が出ますねえ』が口癖になりつつあるグリエルモが、魔道書片手に呟いた。
魔道書と言っても普通の図書館に置いてあるような品で、事実書店から贖ったものである。
書を読むのに丁度良いスペースを探そうとしたところへ、キリクのつぶやきが耳に入った。
>>769
「どうなさいました?」
特に何も考えず、声をかけてみる。
-
さらに数分後。
其処にはボロボロになったショウと、ピカピカ無傷のヒナタの姿が!
「もう二度と素手で模擬戦挑んだりしないよ!」
>>771
「最近は逆に、訓練しないと落ち着かなくなってきましたよ」
近くにあったドリンクの中身を口に含みつつ、ショウが答える。
と、グリエルモ同様にキリクの呟きに気付いたヒナタ。
>>770
『どうした、また術式兵装のデザインに悩んでいるのか?』
グリエルモに続いて声を掛けた。
-
>>771-772
「いや、それがさあ…」
と、三人の質問に応えるように机の上に置かれた一振りの刀を見せる。
白い柄に銀に輝く刀身、鍔は金色で柄頭には太陽の模様が刻まれている、ちなみに鞘は墨のような黒塗りだ。
ちょうど、ショウの持つ刀型の術式兵装と対になっているかのようなデザインだ。
「前に刀身だけ作った兵装が勿体なかったから完成させたんだ…」
それだけなら問題はあるまい、ただ担い手がいないだけだ。
「勿論、作るのはタダじゃない、それなりに予算で作るつもりだったんだけど」
作っているうちに熱が入って良質なダイトや予算を結構使ってしまったらしい。
「このままじゃ使用予定のない装備の為に経費無駄使いしたって予算委員会とシカゴにどやされる…!!」
-
>>773
「『ほー』」
刀を見て、感心したように息を漏らす二人。
「あ、これ俺のと似てる」と、ショウは術式兵装を取り出してまじまじと見比べている。
『ふむ、確かに経費の無駄遣いになってしまうな。
何より――せっかく生み出されたというのに、使ってもらえない刀も可哀想だろう』
フォローする訳ではなく、むしろ追い討ちをかけるヒナタであった。
『誰かに使ってもらうのはどうだ?』
-
>>773
「またいつもの癖ですか?」
いつの間にか合流していたエスメラルダ
「私が使います!と言えばかっこいいのですがね…私では重くて扱えない気がします」
-
>>772
「なんだかちょっとだけ怖いですね……倒れたりしないで下さいね?」
訓練に夢中で水分補給忘れたぜ!みたいな事が起こらないか気が気でない。
更に疲労のあまり迂闊にもイーグリットドリンクを飲んだりしないかどうかが気がかりである。
>>773
「ほう……これは素晴らしい」
刀剣の目利きは専門外だが、素人目にも価値の高そうな品であることは一目瞭然だ。
流石はキリク。
「えっ……これ、特に目的もなく作ったんですか?」
やっぱりキリクは流石。
「ちょっとそれはまずいでしょう……どうするんです?
隠したりしたらもっと酷い目に遭いますよ? 売却でもしますか?」
小隊で作った術式兵装を売っても良いのかどうかは分からないが。
-
>>774
「うぐ」
ヒナタの言葉が心にクリーンヒットするキリク。
「そうなんだよ、問題は使ってくれる人がいれば解決するんだ…そうだ、ヒナタ、君これ使わない?」
>>775
「エスメラルダは本職は魔術だからねえ、それに今からレイピアから刀に鞍替えもしんどすぎるだろうし」
>>776
「なんかさー…作るのが趣味だからもう楽しくてしょうがなかったんだよー」
後悔先に立たずだ。
「売るか…いや駄目だ、足がつく上にどっちみち使い込んだ分のお金を取り戻せるとは思えない…この場ならヒナタに使ってもらうのが一番誤魔化せそうだ」
ショウは既に刀持っているしね
-
>>776
「はは、大丈夫ですyぶっふ!!」
噴き出した。それはもう盛大に噴き出した。
ショウの口から吹き出された緑色の液体が宙を舞い床を汚す。
「馬鹿なっ、この俺が……“見間違えた”だと!?」
息も絶え絶えにショウは語る。
よく見れば、本来彼が飲む筈だったドリンクは、今持っているドリンクの隣に置いてあったのだ。
彼が手に取ったのは【いーぐりっと】と書かれたラベルが貼られたもの。
>>777
『む、私が?
別に構わんが、刀は扱った事が無いぞ? たぶん』
少なくとも記憶の限りでは無いと、ヒナタは言う。
今、使用している術式兵装も剣、斧、槍の三種に変形するものだ。
『まぁ予算委員会やシカゴにどやされるよりはマシか……』
馴染まないようであれば、あくまで『所持』するだけに留めようと。
そう付け加えて、ヒナタは机に置かれた刀を手に取った。
-
>>777
「まあ作ってしまったものは仕方がありませんしね」
誤魔化すために隊員に使ってもらうというのは、行き当たりばったりというかその場しのぎ感が否めない。
ヒナタなら扱いに不自由はしないだろうから、まるっきり無駄になるわけではないが。
>>778
「ぶわ!?」
ショウがリバースした怪しさ抜群の液体を危うい所で回避する。
危ない所だった――それが汚い事は勿論のこと、それがイーグリットドリンクであることを考えれば、飛沫一滴の付着ですら命取りになりかねない。
「言った傍から思いっきり間違えてるじゃないですか!どれだけ体張ったボケですか!?」
-
>>778
「アオイはなんか刀嫌がるし、ショウに二本も持たせても意味がないからねえ」
ともかく使用者がいればどやされる事はない。
「大丈夫だって、ヒナタならきっと使いこなせるよ!うん!!」
そしてある程度使用してもらえば予算委員会もやかましく何か言う事はあるまい
というわけで、キリク作刀型術式兵装その2、『雅志・白』はヒナタが所持する事になった。
本来の性能は剄や魔力を装備に流した時に発揮されるらしいが、このままの状態でも制作者のキリク曰く「アオイの長剣型の兵装と真っ向から打ちあえる強度」を持つらしい。
刀にあるまじき強度(そしてそれに比例する攻撃力)と言える。
>>779
「うむ、次からは可能な限り自重しようと思うよ…」
今は反省しているがきっとまたやらかすだろうな、とグリエルモは思っただろう。
-
>>778
「な、なぜそんなものを持ってきたのですか!?」
すんでのところでドリンクのスプレーを回避した
もしまともに食らっていたら何が起こるかわからない
>>780
「まったく…これからはこういうことがないようにするのですよ」
どうせ言っても無駄だろうが、一応言っておいた
-
>>780
「こんなに信用ならない『可能な限り』は初めて聞きましたよ……」
ほとんど病気みたいなものだ。しかも多分これは治らない。不治の病である。
まあいいか。そこまで害はないし。むしろ小隊の戦力向上を考えれば大した犠牲ではないだろう。
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>>779
「好き好んでこんな命懸けのボケなんてやりませんよ! 素ですよ!
訓練後で腹が減ってたから余計に胃に来ましたよ、くそっ!」
台詞だけ読むと余裕があるようにも見えるが、実際は瀕死の状態だ。
ぜえぜえと肩で息をしつつ受け答えしているのだ。
しかし、その状態でも床に飛び散った液体の掃除をするのだから、真面目だといえる。
>>780
『刀二本で文字通りの“二刀流”でも良いと思うがな。
ま、それは置いておき、軽く使ってみるか』
最初は確認ついでに使っていたが、的を殴っている内に使い心地が気に入ったのか。、
後半は武芸者もビックリな空中コンボショーを繰り広げていたとさ。
『ふむ、意外と刀は馴染むな。
性能自体は元(マカリ)の方が上だが、気分転換には良いかもしれない』
満足そうに頷く。
かくして『雅志・白』の担い手はヒナタとなったのであった。
-
>>781-783
「少しは信用しようぜ二人とも」
グリエルモの言う通り全く信用ならないが。
何はともあれヒナタにもしっくりきたようでキリク的には幸いだったと言えるだろう。
その五分後、イーグリットが訪ねてきて「誰か俺のスライムウォーターしらねぇ?」と言いに来たと言う。
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(ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7220/1306790779/48 から)
--屋敷--
「それにしても起きなさ過ぎでしょ」
小さな赤い影がベッドの傍らでうろうろしている。
「これじゃあ、外にも出られない契約もできないじゃないの。
この世界には、いばら姫を目覚めさせる王子様はいないの?」
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>>ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7220/1306790779/48
あの戦いから数ヶ月の時間が経った。
教会の暗部の一つである『聖王庁』に所属する人間の一人…バルトロマイ。
魔薔薇の操り人である彼もまた、このアーチをくぐれる数少ない人間である。
目的は、言うまでもない
何か一抹の胸騒ぎのようなものを感じ、彼は「彼女」の様子を確かめに来たのだった。
-
>>786
茨のアーチがバルトロマイを感じると、その向こうに森ではない景色が広がった。
花の揺れる庭園と屋敷―
彼がアーチをくぐる瞬間、枯れた茨は黄金に咲き誇り
その奥へ去ったとたんにまた枯れた茨に還る。
金のつぼみが揺れる合間の道を進み、屋敷の前に立つバルトロマイ。
その扉が音もなく開き―彼を屋敷の主人の部屋まで誘う。
屋敷内で、小さな物音がした。
それが鳴るはずはない。なぜなら―
-
>>787
「相変わらずだな、此処は」
景色を一度見渡し、ため息をつくように言葉を紡いだ
メアリー…眠りについた彼女の様子を確認しよう、そう思って一歩を踏み出した時だ。
屋敷内からの小さな物音、するはずのない物音にバルトロマイは敏感に反応を示した。
(賊…?いや、まさか…)
すらりと袖から一本の赤い薔薇を取り出し、音のした方角へと歩を進めた。
メアリーは…無事なのだろうか?
-
>>788
普通の賊が入りこめるような場所ではない。
ここに足を踏み入れられるのは屋敷の主とその薔薇が認めた者。
あるいは―他の薔薇使い。
薔薇使いの屋敷の門を破り侵入し、薔薇と戦い主を倒し、
その王花に力を認めさせた薔薇使いはその薔薇を手に入れられる―。
だが、薔薇使いでもないようだ。
バルトロマイの赤い薔薇は同族の気配を感じ取っていない。
しかし確実に物音はしている。
方向は―メアリーの眠る寝室。
-
>>789
「……」
血染めの薔薇は同族を感知しない
つまりはメアリーが起きていると言う事もない
一体何者が彼女の寝室に…?そう考えただけでバルトロマイの心は棘のような鋭さを増していく
「事と次第によっては神に懺悔をする事になりそうだ」
十字を切り、バルトロマイはメアリーが眠っているだろう寝室へと向かうのだった。
-
>>790
寝室のドアが―開いている。
あの日メアリーを送り届け眠りにつかせた時、確実に彼が閉めたはずなのに。
メアリーが目覚めたわけでもないというのに……。
ドアの隙間から、小さな赤いドレスが揺れているのが見えた。
人にしてはあまりに小さい。子供―いや、
人形?
-
>>791
見覚えのない人形が、彼女の寝室で動いている?
何が起こっているのか見当はつかないが、派手な赤いドレスが動いていては嫌でも気がつく
なんなのだ?あの人形は…?
「…何者だ?」
静かにドアを開き、バルトロマイは人形へと視線を向けた。
人形遣いの類が侵入出来る可能性はゼロだ。ならば異変である人形に尋ねてみるしか、あるまい
-
>>792
声に反応して、背中を向けていた人形がブルネットの長髪を揺らし振り向いた。
頭だけで。
頭部と胴体があべこべの方向を向いたままで
バルトロマイを無言で観察し始める赤と黒のオッドアイ。
「やっと二人目だわ。この世界の人間に会うのは」
-
>>793
ホラー小説染みた光景に思わず立ち止まるが、声を発した人形と言う事実の方に驚きは向く
「…もう一度聞く、お前は何者だ?この場所は、薔薇に認められた者しか立ち入る事の出来ない場所、俺と…彼女だけが居る事が許された場所だ」
実際は他の薔薇使い達もいるのだが、これはバルトロマイの小さな独占欲から出た言葉だ。
-
>>794
「あら、そう……」
胴体がバルトロマイの方に向いた。
「だから”はじめて庭に出たとき”、薔薇たちが勝手に戦いを挑んで来たのね。
ようやく理由がわかったわ」
「私はリコリス=ローズ=ルビー。
鏡という扉の向こうから来たお人形」
壁にかかった鏡を背に裾をつまみ、一礼してみせる。
「ここに居ることは貴方と彼女だけが許されてること?
それは違うでしょ? 現にこの場に私がいるんだもの。
というか、私はここから出してもらえないの」
もしこの喋る人形がこの場にいることを許されていないなら、
既に金色薔薇たちがこの小さな身体を傷つけているか、あるいは追放してしまっているはずだ。
ところが出ることすらできないという……何故?
-
>>795
「鏡という扉から来た人形だと…?」
そんな馬鹿な、と言いたげな様子だ。そして彼女の物言いが彼を苛立たせる
「出してもらえない?ここの金薔薇は貴様のような人形一つ壊せない程に弱くなっているのか!?それは愚か追放すらできないだと?『認められ』でもしない限り、そんな馬鹿な事が…!!」
ふと、メアリーの方へ視線を向ける
「まさか、そんな事……」
-
>>796
「世界は一つじゃないの。
ひとつの世界で生きていてはわからないことなんて山のようにあるでしょ。
そんな山のようにある不思議の一つが私、ってところ」
信じられない様子のバルトロマイを見てどこか満足げだ。
「私はただのお人形じゃない。見てわかるでしょ?
今ではこの薔薇たちもわかってくれてるわ」
意味ありげに笑う。いや、表情が笑うように変わったというべきか……。
メアリーを護るように茨はベッドを覆っている。
その茨に抱かれ、瞼を閉じたままのメアリーは―
小さな寝息を立て、安らかに眠っていた。
-
>>797
「なるほど、確かに…お前の言う通りかもしれん」
リコリスの話を聞いて、頷きを見せるバルトロマイ。全てを受け入れたわけではないが、否定しては先に進めないと悟ったからか。
そして笑う表情を作る人形の言葉を聞いて薔薇に視線を向けた
「守護の薔薇達を屈服させたのか?…メアリー」
ベッドへと近づき、バルトロマイは静かに彼女の名前を呟いた
「…一体どうしてしまったと言うのだ?リコリスと言ったか、お前は何故この場所に現れた?見ての通り、この屋敷の主は封印されたように眠り続けている」
「コンタクトなど、とりようがないだろうに」
-
>>798
メアリーは何も答えない。
「確かに彼女とは何も話してないわ。
私はまだ心にダイブできないもの」
「きっと私も元は"薔薇"だったからかも。
仲間だと思ったのでしょ」
自らの小さな掌を開いてみせるリコリス。
するとその手から黒い薔薇の花弁が現れ、柱のように舞い上がる。
-
>>799
「元が薔薇…なるほど」
つまり薔薇使いの理論がリコリスと守護の薔薇の間で成立したようなものか
黒い薔薇を見つめ、バルトロマイは思案顔になる
「お前、何か目的があるのか?」
-
>>800
「貴方が思っていることが正解じゃないでしょうけどね。
私は違う世界のお人形だもの」
「目的? あるわ。
ただの通りすがりだったけど……事情が変わった」
黒薔薇の柱がリコリスを包むように動き出す。
「私の力を解放して、そしてこの世界に迷い込んだ私の同族を見つけて……。
私が完全なドールになる」
黒薔薇が意思を持ってバルトロマイに向かっていく。
-
>>801
「お前の力を解放するだと?」
意思を持ち近づく黒薔薇に警戒し、指先で赤い薔薇を構える
「完全なドール?お前の同族…?協力して欲しいなら分かりやすく説明して欲しいものだな」
-
>>802
黒薔薇はどうも目くらましのようだ。
黒に隠れて赤の位置が正確に把握できなくなる。
「説明は私に相応しい人間にだけ。
受け入れない人間に話して、敵に情報が洩れたら困るでしょ?」
いつの間に回りこんだのか、背後から声。
その正反対の方向から
赤く揺れる何かが熱と光を帯びてバルトロマイにアタックを仕掛けてきた。
-
>>803
本来ならば、彼女の寝室で荒事は控えたいのだが…
「聖王庁を舐めるなよ!!」
指先で掴んでいた薔薇を振るうと、いくつものの赤薔薇が出現して鞭となって攻撃を仕掛けてきた熱の正体へと振るわれる
-
>>804
黒薔薇のカーテンの向こうから迫っていたのは
真っ赤な火を纏った数枚の花弁―
火は赤薔薇の鞭を焼き、バルトロマイの胸に飛び込んだ。
防御も何もしないなら、服の下にある皮膚は赤く浅いやけどを負う。
逆に言えばその程度。
それだけの力量しかないのか、あるいは……様子見のための手加減なのか
-
>>806
「炎の花弁…!?」
(火を操るのかコイツの能力なのか?だとしたら相性は最悪だな…!!)
右手を振るうと幾重もの薔薇の花びらがバルトロマイの眼の前に咲き乱れて壁となり、燃える
リコリスから距離を取り、投げナイフのように魔薔薇を投擲して反撃する
-
エミヤ家。
魔剣エミヤはいつになく真剣な様子で(と言ってもシャドーマンの顔は隠されているのだが)、屋内をうろつき回っていた。
「…………」
既に居候を初めて5年が経とうとしているこの家を、まるで初めて訪れたかのように隅々まで視線を送っている。
探し物をしているようにも見えるが、同じ場所を数分間も見つめることもあった――。
-
>>807
「どうしたの?本体でも落とした?」
子鬼がその気配につられて離れのほうからやってきた。
-
>>808
「ん? ああ、いや、そうじゃない。落としたなら場所はすぐわかるぜ。あんまり長く離れられないしな」
百鬼丸に気付いて振り向く素振りにも、問いに答える声色にもシリアスなものは感じられなかった。
別に緊急事態ではないらしい。
「やりたかったのは、簡単に言うと結界の強化だよ。
ネクロのことは知ってたっけ? あいつが新しく工房を作ったことに触発されて、俺もちょっとやってみたんだ。
元々この屋敷には、エミヤの父親――切嗣って名前だっけ――が張ったものがあるんだが、
それを壊したり乱したりせずに、強度を増強して機能も増やしたいと思ってね」
「だが、これが意外と難しくてな。一向にうまくいかない……。
既にやれるところまでやっちまった感があるんだよな〜。
こういう……なんというのか、東方っぽい領域に適した結界が良いんだが、心当たりない?」
-
>>809
「結界ねえ・・・。うちの家系の技じゃないから苦手だけど・・・。」
懐から珪砂と煤の入った袋を取り出し、中身を笛の形に成型。高温の鬼火で焼き固める。
シンプルなガラスの横笛が出来上がった。
「鬼宝・魔笛冬風。細かい説明を省くけど、いろいろな物を封印できる笛だよ。たとえば・・・。」
さっきまで煤が入っていた袋を差し出す。
-
>>810
「ほう、こりゃすごい。
炎でガラス製品を作るっていう発想はなかったな。しかも効果つきか。
しかし、これと結界とどう関係が……?」
疑問符を浮かべつつも、差し出された袋を受け取った。
「ん? これをどうしろと?」
-
>>811
「まあ見てなって。」
笛を吹き鳴らす。
美しく澄んだ音色があたりに響きわたり、袋がまばゆい光に包まれる。
と、次の瞬間袋が忽然と消えてしまう。
「袋の存在を封印した。これでその袋に干渉することは出来ない。
・・・ま、本物の魔笛だったらの話だけどね。」
実際袋の感触などはそのまま残っており、見えないもののたしかに存在すると感じられるだろう。
-
>>812
「ほう!こりゃすげえ!」
驚き方がさっきとあまり変わっていない。語彙が貧弱なためである。
目に見えずとも存在する袋を、空いている方の手でしきりに触ったり撫でたり。
「へーえ。存在を封印か。面白い魔術もあるもんだね。
いや、魔術じゃあないのか。何て言うんだ? 鬼パワー?
ていうか、モモさん音楽も嗜むんですね。多芸だなあ」
ひょっとするとエミヤより多才なのでは?
「うーむ、しかし興味深い術だが、俺に使えるかどうかは微妙だなあ……。
屋敷に応用するとしたらそれなりの規模になるだろうし」
-
>>813
「うちの山じゃ鬼術って呼んでるね。
ま、伊達に大将張ってたわけじゃないよ。」
得意げにニッカリと笑う。消えた袋はだんだんその姿を現してくる。
「本物の笛の力だったらこの屋敷を100年でも200年でも隠せるけど、
まあ隠しちゃったら出入りが不便になるから屋敷向けじゃあないね。
大体そういう細かい策ってのは基本的に鬼には必要ないからあんまり発達してないのさ。」
けらけらと笑っている。
と、突如屋敷に誰かが侵入してきた警報の結界が作動する。
-
>>814
「鬼術か。割とそのまんまなネーミングなんだな。
まあそれを言うなら魔術も妖術もそのまんまだけどね。
まさに『お山の大将』……いや、これは違うか」
「屋敷全体でなくとも、重要な蔵とか部屋とか防犯装置とかを隠しても良いんだが……それでも袋を消すのとは大違いだな。
ふーん。割と大雑把な感じなんだなあ。ま、細かい術策が好きなのは人間と、ドワーフとか近縁種族だけかもしれないな」
「うーむ、ではどうしようかな。久々にどこかに勉強しに行って…………うん?」
警報に気付いた。
エミヤ家の結界についてはかなり詳細に把握している。
反応した警報の位置を割り出す。
「やれやれ。どうやら招かれざる客ってヤツのようだぜ。
珍しいね、空き巣か何かか?」
物陰に隠れながら、足音を殺して侵入者が居ると思しき方向へ歩み寄る。
-
>>815
「まあ他の鬼はどうだか知らないけどね。
うちはずいぶん前から外界との交流を絶ってるはずだし。」
「ひょっとしたら近所の悪ガキが忍び込んだだけかもよ。
ってことでモモはお茶でも用意してるから、何かあったら呼びなよ。」
手を振って魔剣を送り出し、台所へ向かう。
侵入者はどうやら玄関に居るようだ。
もし数がわかるのであれば、その数は2。玄関から動く気配は無い。
-
>>816
「悪ガキ……だと良いんだけどなあ。
強盗が押し入ってきても返り討ちにする自信があるけど、この家には暗殺者まで来た実績があるし……」
ブツブツぐちぐち言いながら、玄関に近づく。
物陰に隠れ、外から見えない位置に陣取って停止。
長期間の維持を前提とした結界は、構築に要する時間と魔力に融通が利くため、即席の結界と比べて大規模で強力なものを作りやすい。
しかもエミヤ家は魔術師の領域。家主と協力する立場であれば、屋敷を一種のシステムとして結界にも活用できる。
俺が最も得意なものは防御結界だが、これは屋敷に攻撃を加えられて初めて意味があるので、侵入者に対して有効に働くとは限らない。
攻撃系の結界が使えれば罠として活用できるものの、俺には攻撃結界なんて――
「――使えるじゃねえか」
ホルスターを開け、中から取り出したるは酷神賛歌骨片(ディマン・グローリア)。
「いい機会だ、こいつらで試してやるか」
大まかな位置は既に把握しているので、このまま攻撃しても良いのだが――念には念を入れる。
『魂喰らう立方体の記述(キューブ・オブ・バートリー)』を玄関周辺に仕込んだ。
許可なしに内部に侵入するか、庭へ回ろうとした場合、魔術が発動する。
侵入者が弱った時点で解除すれば、悪がき相手でも大したダメージにはならないだろう。
-
>>817
「ごめんやすー。誰かいてはります?」
何者かが戸を開き、中に侵入する。
もし結界を発動させたならば、結界を通じて生命力から変換された
大量の魔力が流れ込んでくることを感じるだろう。
-
>>818
「……え?」
まさかこんな形で来るとは思わなかった。とりあえず結界発動は中断。
ただの来訪者にまで、警報の結界が作動してしまったのだろうか?
それとも、こちらを油断させるための偽装か?
逡巡したが、結局その場を動かないことに決めた。
このまま無断で入ってきたら侵入者と見做して良いだろうし、玄関先で待っていたなら来訪者の可能性がある。
結界自体はそのまま維持し、いつでも発動できるように待機。
また、もう片方の気配を探る。
片方が囮でもう片方が裏口から侵入する役、という可能性もあるからだ。
-
>>819
「いてはりませんのんー?」
カラカラという下駄の音。外からの風にほんのりと花のような匂いが運ばれてくる。
もうひとつの気配は玄関の外から中庭のほうへ移動しようとしている。
足音からは犬や狼の類だと感じられるだろう。
-
>>820
(人間に……獣?)
エミヤの知り合いか何かが、犬の散歩がてらに現れた、とか?
可能性はあるが、その場合リードはしっかり握っているはずだ。中庭へ行こうとするのを止めるのが普通だろう。
杞憂かも知れないが、何となく怪しい。
中庭に設置された警報の精度を一時的に上昇し、犬の挙動が正確に把握できるようにしておく。
一方で女性らしき相手は、玄関先の方で待っていたことを考えると、ただの来訪者である可能性が高くなってきた。
無害であると決まったわけではないが、応対した方が良さそうだ。
「はーい。いやすみませんねどうも。ちょっと手が塞がっておりまして。はは」
とか言いながら玄関へ行き、姿を現す。
-
>>821
「ああ、ごめんやす。ちょっとお尋ねしたいことがあるんやけど。」
薄菫色のおかっぱ頭。それにあわせたかのような薄い菫色の狩衣。
赤く、澄んだ魔性の瞳。そしてその額には百鬼丸よりも短い角がちょこんと生えていた。
「ええと・・・桃色の髪を二つ縛りにした子がこちらに居てはると聞いて尋ねさせていただきました。」
まるで熊の毛皮のような黒い犬が玄関からこちらを伺っている。
目の前の鬼と同様、こちらの犬もただの犬ではなさそうだ。
-
>>822
「ああ、はいはい何でしょう?」
人外か。予想はしていなかったが、驚くほどではない。
他の地域ならいざ知らず、ココは帝都である。しかも笑み家である。
「ああ、その子なら居ますよ。失礼ですがどういったご用件で?」
別に隠すようなことではない。
-
>>823
「ええと、その子はうちの故郷の領主様の一人娘なんどすけど、
少し前に悪い男に騙されて姿を消してましたのですわ。」
鬼の少女はしどろもどろになりながら答える。
後ろの犬は少しあきれているようにため息をついてその場に寝転ぶ。
「そないなわけで、うちがお迎えにあがったいうわけなんです。」
-
>>824
「はあ、領主様の。
しかし、あの子そんなこと言ってたっけなあ……?」
ていうか封印されてたんじゃなかったっけ?
領主様の一人娘というか、領主そのもののような。
「えーと、失礼ですが、あなた『方』のお名前は?」
-
>>825
「ええと、人違いかもしれまへんけど、
東方の民族衣装着てて桃色の髪の子なんです。」
滝のような汗を流して説明する鬼。
「あ、申し遅れました。うちは朱雀門 多聞丸・・・の娘、凪岐姫(なぎひめ)。
あの子は・・・ユミ言います。」
-
>>826
「なるほど」
台所にいると思われる百鬼丸に念話を飛ばす。
『とおおるるるるるん。もしもし魔剣ッピオです。
なんか会いたいっていう人が来てるよ。いや人じゃないな。種族は分からないけど角が生えてる。
朱雀門 多聞丸の娘さんで凪岐姫って言うんだって。あとユミとかいうでかい黒犬。
全体的に怪しさ満点なんだけど、知ってる?』
「とりあえず、立ち話もなんですからお上がりください」
エミヤ家はこっちのテリトリーである。最悪の場合は叩きだしてやる。
-
>>827
『・・・あー・・・知り合い。
っていうか下駄作ってくれた一応仲間の鬼。
ユミは・・・まあ・・・・うん、知り合い。』
歯切れの悪い返事が返ってくる。
「ほな失礼して上がらせていただきます。」
振る舞いは姫という名にふさわしくとても優雅で、それでいて自然にこなしてみせる。
領主に仕える家の娘というのは嘘ではなさそうだ。
黒い犬も後について上がる。が、上がる際に足を払って砂を落とすなど犬らしからぬそぶりを見せる。
-
>>828
『なんか妙な返事だなあ。とりあえず中に入れたぞ。
会いたくないなら適当にお茶を濁して帰ってもらうけど、会えるなら早めに出てきた方が良いぜ』
来客を部屋にお通しする。
犬は駄目です、と言いたかったが言いそびれてしまった。
まあ知性も高そうだし、汚したりはしないだろう。
-
>>829
『あー・・・うー・・・。』
客間でしばらく待っていると、お茶を4人分入れた百鬼丸がやってくる。
百「えーと・・・ひさしb」
言い終わる前に凪岐姫が電光石火の勢いで百鬼丸にラリアットをしかけて部屋の隅へ連れて行く。
以下ヒソヒソ話。聞き耳を立てれば十分聞こえるレベル。
凪「アホモモ!何『怨京』解いとん!」
百「えー、だって刀から開放されるとき大々的に暴れちゃったし、いまさら人間のフリとかだるいじゃん。」
凪「またそうやって後先考えずに!鬼てバレたら最後何されるか分からんのはモモが一番知っとるはずやろ?」
百「大丈夫大丈夫。この国はそこまで鬼は有名じゃないから。」
凪「またそないなこと言うて!」
その様子を見ていた黒い犬が魔剣を見据えて口を開く。
犬「・・・ワシらの正体を知って、それでこの家に通したのか?」
-
>>830
「早ッ!?」
戦闘時には結界魔術師として防御を担っているこの俺が、凪岐姫のラリアットに全く反応できなかった!
あっという間に拉致されてしまい、右往左往しているうちにヒソヒソが始まったので超聞き耳。
『怨京』ってなんだろう。人間に化ける術かな?
「え? いや全然知りませんよ。あの娘も鬼なのかなーとは思ってましたが確証はありませんし、
貴方に至ってはただの犬系の魔物にしか見えません。妖怪か何かですか?」
こういう動物系が喋っているのを見ると、どうやって人間語を喋っているのかいつも気になってしまう。顎が辛そうだ。
-
>>831
犬「まあ・・・今となっては妖怪だな。」
犬はやれやれといった感じで首を振る。
犬「おいナギ。バレてるらしいぞ。改めて自己紹介すべきだ。」
・・・・・・・・・・。
凪「・・・えー、七代目・朱雀門 多聞丸(すざくもん たもんまる)。巷の呼び名は毘沙門童子で通ってます。
凪岐姫言うのは昔の名前。モモが百鬼丸ついださかい、うちも対応する形で多聞丸の名を継がせていただきました。」
ペコリと頭を下げる。もしある程度人相に詳しければ苦労人の相が見えるだろう。
犬「ワシは篠津守 悠巫(しのつかみ ゆみ)・・・と、このままでは失礼だな。」
グニャリと犬は姿を変え、熊に、そしてナギより少し大きい程度の少女に姿を変える。
僅かに翠の入った深い青の長髪に何色にも見える不思議な瞳。
襦袢の上から熊の毛皮を羽織っているなかなかワイルドな格好だ。
悠「かつては土地神とされたシシガミの一族の末裔だ。
だいだらぼっち、と呼ばれていたこともあったかのう。」
-
>>832
「はあ、いわゆる零落した神様?」
とりあえず、自己紹介されるのを待とう。
――――――
「毘沙門? じゃあ多門丸っていうのは多聞天ですか。
うーん、じゃあ仏教かヒンドゥーの神様なんですか? でもそんな感じしないなあ……鬼ではないんですよね?」
なんだか混乱してきた。名前もいっぱいあってどれがどれだかわからないが、とりあえず犬の方がナギと呼んでいるのでそっちで覚えよう。
顔も、軍神には見えないし幸福の神にはもっと見えない。
「やっぱりそちらも神様でしたか。なんか凄い事になってきましたね。神様だらけだ。
土地神様がこんな帝国くんだりまでやってきて大丈夫なんですか? あ、今は土地神じゃなくて妖怪なのか」
犬の方まで少女になってしまった。
て言うか今、俺は三人の少女と同じ部屋に居るのか。なんだか凄いことになってきた。神様だけど。
-
>>833
凪「まあ人間がそう呼んでたから貰おかーてノリで名乗り始めたもんやし、
そこのアホが百鬼丸を継がなかったら貰わんはずの名やさかい、ナギでええですよ。」
ニッコリと笑う。百鬼丸と違って本当に良家のお嬢様といった振る舞いだ。
悠「ワシはただの魔獣になってから生まれたから神ではない。
人間は皆『シシガミは下級な動物霊、鬼は暴れてばかりの野蛮な魔人、竜など自然現象』と
ワシらに対する畏敬の念を忘れたからな。
特に獣など勝手だからな。甘い汁が吸えなくなるやさっさと散っていったそうだ。」
やれやれと肩をすくめる。生まれる前のことだから他人事のようだ。
凪「まあそんなこんなでウチらは別にたいしたもん違うし、敬語やのうてええですよ。
とりあえず目的はそこのアホを山に連れ戻すこと・・・なんやけど、戻る気無さそうやな。」
-
>>834
「六代目とかついてる割にいい加減なんですねえ。
じゃあ適当に呼びます。ナギさんとか多聞さんとか安定しないかもしれませんが、よろしく」
百鬼丸は見た目は少女中身は鬼という状態だけど、こちらは本当に正道な感じだ。
角さえなければ、東方の一般人と言っても差し支えなさそうだ。
名前も、朱雀門ナギとかで充分通じる。
「ああ、貴方たちも人間の想念やら思想やらに強い影響を受ける存在なんですねえ。
となると帝都は教会の力が強いから完全にアウェーでしょう、ご苦労様です」
「あ、そう? じゃあタメ口で話させてもらおうかな。
まあ、百鬼丸に関しては本人の好きなようにさせれば良いんじゃね? 悪事を為して滅ぼされても、それは本人の責任だし」
-
>>835
悠「まあこの街に入るのは少々梃子摺ったが、
信仰されていないワシにとっては世界中どこでも同じだな。」
どうやら帝都の魔獣避けの結界に引っかかったらしい。
ひょっとしたらさっきの結界もユミの所為かもしれない。
凪「仮にも一国の長が遊び歩いとる言うのもカッコつきまへんし、
それに他の鬼達もモモが無事かどうかずーっと心配してましたから。」
百「モモより100歳以上年下のくせにえらそうに。」
凪「封印されとった時間差っ引いたら同い年やんか。」
-
>>836
「なるほど。それもそうだ」
零落したとはいえ異国の神。見方によっては悪魔と同じだ。
結界に引っかかるのも無理はない。逆に信仰されていないからこそ、結界が積極的に排除しなかったのかも。
「そういえばさ、この娘ホントに長やってたん?
確かに実力はあるし色んなことできるけどさ、百鬼丸が人の上に立つ仕事をしてたとは思えないんだよね。人じゃないけど。
まあたまに里帰りするとか手紙を書くくらいは最低でもした方が良いんじゃない? あとは他の人に百鬼丸の名を継いでもらうとか」
「うわあ、やっぱりみんな凄い年齢なんだなあ……。
俺なんか小童だよね、こわっぱ。
……あ、い、いやその、すみません!女性にこんなことを言うなんて」
-
>>837
凪「ええ、一応は。バリッバリの武闘派で。
本当はモモの兄上様が百鬼丸を継ぐはずやったけど、
人間の娘と恋に落ち、鬼であることがばれ、それでも無抵抗のまま死んでいきはった。」
目を伏せて語る。
百「気楽に里帰りできればいいんだけど、結構遠いからね。
さっきのあの術みたいに、笛の力で存在を隠してるから手紙なんかも送れないし。」
参った参ったと笑っている。
悠「年齢など些細な問題だ。人と鬼が結ばれた例もいくつかあるしな。」
-
>>838
「うーむ……それはまた、壮絶な…」
さらりと説明されたが、実はかなりすごい事なのではないだろうか?
どうも口ぶりから察するに、東方では――少なくとも百鬼丸の居た地域では、人間と鬼は敵対しているようだ。
敵であるはずの人間との愛を貫いて死んでいった鬼。一体どんな奴だったのだろう。
「ホントに参ったなこりゃ。力になってやりたいが、手段が思いつかない。
あとは、配下の鬼に禅譲しちゃうとか……というか、今までそういう動きはなかったの?
百年も山を留守にする長など長ではない!みたいな」
「なるほど……しかし、その混血は苦労しそうだなあ。
迫害の対象どころじゃないでしょう。そうでもないのかな?」
「ていうか、皆さんに自己紹介して頂いたのに俺は名乗っても居なかったですね!
魔剣エミヤです。このエミヤ家で居候してます。……あれ? 自己紹介が終わってしまった」
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>>839
凪「ま、他にもモモの母上様のお姉さんやったかな?
角落として秘術で鬼を止めはって、人間として生きていったいう話もあるし、
そもそも人間が勝手に鬼を怖がってるだけで鬼は人間に対してほぼ無関心やからな。」
凪「まあ人間との交流が断絶した現代やと
あんま長の仕事て無いねんで。宴会の乾杯の音頭ぐらいや。
結界で隠されてる以上人間が攻め込んでくることも無いやろし、
仮にあったとしても他の守護鬼達が居れば大丈夫やろからな。」
どうやらとんでもなく平和な民族のようである。
悠「基本的に鬼を辞めてから子を作るからな。
生まれた子も鬼としての力を教えなければ人間と変わらぬ。」
凪「これはご丁寧に。そうそう。
モモを養ってくれはったこの家の主様にもちゃんと礼をいわなあきまへんなあ。」
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>>840
「ふーん。ていうか親族だけで2人もいるんだな。
酒呑童子みたいなのは例外的なのかな? それとも地方によって結構違うんだろか」
「なんか鬼って基本的に人間とか襲ってるもんだと思ってたぜ。
噂は当てにならねえな。というか逆に何で東方の人間は鬼をそんなに怖がってるんだろう。
強い生物を恐れるのはしょうがない部分があるが、いくらなんでも過剰反応すぎじゃね?」
拍子抜けというかなんというか。
「そもそも、鬼ってやめられるのね。イメージと全然違うわ。
ていうか、あんたら本当に鬼? 俺の知ってる鬼とは名前が同じの別物という気がしてきたぜ」
「そうですねー、まあ俺から言っておくぜ。
それと、実は俺も詳しい経緯は聞いてないんだが、封印を解いてくれた人も別にいるんじゃなかったっけ?
その人にも一応お礼言っておかないとなあ。誰か知らないけど」
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>>841
百「実は人々が気づいていないだけで鬼の血を受け継いでるのが居るかもしれないよ。」
ニヤニヤと笑っている。
百「うちの山では人間とあんまかわらないよ。野菜とか猪とか、あとお酒なんか造ったり。」
凪「羅生門一族が来る前は割と想像通りやったと思います。
人を襲って自分らの力を誇示したり、ようわからん物を芸術や言うて集めたり。
あと人間て化物を全部鬼て言うてる節ありますし、吸血鬼やら食屍鬼やら。
本島の鬼はもっとえげつないて話も聞きますし、そういったんから怖がられてるんと違いますかね?」
凪「ええ。角落として色々と手順踏めば人間と変わらんようになります。
逆に人間が鬼になった言う話も聞きますやろ?」
百「ああ、お礼ならたっぷりしておいたよ。」
封印を解いた人物・無明法師は百鬼丸を封印した武士の末裔である。
彼は封印から解放された百鬼丸に叩きのめされ、現在は治療費の分病院で働いているとかなんとか。
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>>842
「そうだな……鬼から人間になれるなら、血も人間と同じなわけだし、隠そうと思えば隠し通せないことはないか……」
「マジで人間とほとんど変わらねえな。
話を聞いた限りじゃ、エルフよりも人間に近そうだ」
「ふむ、やっぱり鬼にも色々あるんだなあ。氏族? みたいなもので性格が異なる感じか。
うーん、鬼という言葉自体がほとんど怪物やケガレの総称みたいなもんだからなあ……。『あんたら』を指し示す語を作った方が早そうだぜ。
元々は『まつろわぬ民』を意味する語だったという話も聞くし……駄目だな、考えようと思えばきりがねえ」
「人間が鬼に、か……そういえばかつての陰陽師も、中央を追いやられて鬼になったという話は聞くな。
包装紙? とかいう名前の鬼はかつて鬼退治側の人間で、今でも悪鬼悪霊を祓うらしいし」
方相氏のことだろう。
「あ、そう? ならいいんだが」
なんか、言い方に不穏なものを感じるぜ。
「ああ、それにしてもだらだらだらだらと長話をしてしまったな。
ええと、結局みなさんはどうします? 百鬼丸を連れて帰りたいというのなら止めはしないが、本人の意思もあるだろうし……」
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>>843
百「ちょっと力が強くて、もっとお祭り好きで、ずっと長生きなだけだからね。
それも人間になると寿命も変わるし。」
凪「・・・鬼やバラした割に細かいこと話してないんですか。
まあ氏族で性格が異なるいうか、元々意味もなく人間襲っとったようなもんやし、
勝手気ままやってたんをアホモモのお祖父様が統一して近代化の道を歩んだいう訳ですわ。
ま、神も鬼も人間が勝手にそう呼んでるだけやし?うちらは別に神でも人でも鬼でも悪魔でも構いまへん。」
結構いい加減である。
悠「方相氏か。噂には聞いたことがある。
他にも鬼瓦なども鬼の名を冠する魔よけだな。
・・・そういえばこの国でも見た気がするな。翼の生えた鬼瓦を。」
ガーゴイルの彫刻である。
凪「うちの鬼術はどちらかというとその陰陽師寄りのものが多いです。
どうしてなんかは分からないんですけどね。」
百「ああ、そうそう。ナギもたしか結界術いくつか使えるんだよ。」
凪「?」
凪「うちは連れて帰る義務があります。」
百「モモは帰りたくない。だって人間の生活に興味あるし。攻撃してこない人間は珍しいからね。」
悠「ワシはこの国に興味があるな。何やら同じく『妖怪』に分類される気配がする。」
バラバラである。
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>>844
「ふむ……力と長生きは分かるが、祭り好きっていうのはどういうことだ?
祭りと言っても色々あるが、ありゃ基本的には祭祀だろ?
本来鬼は祭るというより祭られる側の存在じゃねえのか? それとも、単純にお祭り騒ぎが好きなだけか?」
「ああ、良く考えてみればこちらも、あまり積極的に尋ねようとは思わなかったからなあ。半分はこちらが原因かも。
近代化、か……なんか鬼のイメージからは正反対の言葉に感じるなあ。俺も古典的な人間ってことだな」
「鬼瓦は、単純に恐ろしいもので恐ろしいものを追い払おうという、割と単純な思想だよな。
翼のある鬼瓦? ……ああ、あれか。あれは館を物理的に守護する人造生命体的な存在にまで行き着いてるからなあ。厄除けって意味じゃ徹底的だ」
「御先祖様には鬼化した陰陽師とかいるんじゃない? 『朱雀門』って姓は京の朱雀門――南の門を守っていた事から由来するのかも。
ん? でも多聞天は北方だったような……まあいいか。
あ、結界使えるの? そりゃ好都合。実はだね……」
粗方の事情を説明。
「……というわけで、屋内か敷地に適した結界とかない?」
「えーっと…………どうしよ。
こちらからは何も言えませんぜ。口出しする立場にないですし、どちらにも理がありますし……。
まあ、急いで結論を出す必要もないでしょうから、ナギさんたちは何日か帝都に逗留して話し合ってみたらどうです?
宿ならいくつかあるから紹介するし、何ならここに泊まっても良いですよ」
居候のくせに勝手極まりないが、いつものことである。
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>>845
百「昔は神と同一視されてたからね。酒やら米やらを人間達が持ってきて
舞や音曲で我らを楽しませてくれていたんだけど、年がたつごとに鬼として、敵としてみるようになってね。
で、仕方が無いから鬼たちは鬼たちでその頃を懐かしんで騒ぐようになったわけ。らしい。
まあ今の鬼の祭りは人間たちの言葉で言うなら隠し芸大会とか、『こんぱ』とか言うのが近い感じかな。」
凪「まあ鬼は近代化以前から、人間が青銅を使てた時代から鉄棒を愛用してましたし、
人間の近代化とは順序が逆んなったてだけのことですわ。」
悠「なんと、人間はそこまで進んだ術を編み出したというのか。
いや、一人の力が強くないからこそ、そのような優れた術を生み出せたというべきか。ううむ。」
目を好奇心に輝かせてそわそわしているだいだらぼっち。
表面上は平静を装って感心しているつもりなのだろうが、獣の尻尾が出ている。
凪「なるほどなあ。確かに初代多聞丸以前の事はよう聞かんし、人から鬼に変わったとしても不思議やあらへんなあ。
まあうちの守る土地・朱雀門。あ、これは京やのうてうちらの島の地名やね。
その朱雀門は愛宕からは南やけど人里からは北やから、人間からしてみたら北の鬼ちゅう事になりますなあ。」
凪「ほうほう、なるほど。んー・・・魔剣はんは呪符作りは得意どすか?」
凪「んー・・・。しゃあない、しばらくこの町に滞在しますわ。
この家に住まはってる皆さんの何かお役に立てることがあれば何でもさせていただきます。
宿はまあ適当に探しますんで大丈夫です。」
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>>846
「祭られてた時代を懐かしがって……てことは、自分で自分を祭ってるのか。
いや、やっぱり宴会したいだけか? 酒好きみたいだし」
「随分昔から冶金の技術があったんだな。いや、あのガラスの笛みたいに術で造るのか?……。
そういえばスサノオとヤマタノオロチは元々製鉄民族の争いが伝承となったみたいな話も聞いたな。
大陸からの技術者集団が怪異として扱われた結果生まれた妖怪も居るし……あんたらに技術があってもおかしくはないか」
「個人の弱さの他にも、単純に頭数が多いから流派も沢山あって、多種多様な術が生まれたという考え方もできるな。
更に体系化やら編纂やらが大好きな人間の特性が組み合わさって、全体としては進歩が速くなったと。
あとは、人間にもたまに化物みたいなのが生まれるから、それが魔術を発展させていったのかも」
尻尾には言及しないが、どうしても気になる。
時たまちらちらと尻尾に視線を送る。
「陰陽師鬼化説以外にも色々と考えられるな。例えば陰陽師って式神や鬼を使役するわけだろ?
使役されていたのか、対等だったのかはわからないが、先祖と陰陽師の間に何らかの交流があった可能性はある。
あ、島? 島なのに門? 不思議だな。鳥居みたいなものか? まさか異世界への扉でもあるのか?
あーなるほどなるほど。じゃあ多聞丸っていう名前は人間由来なのかもしれないわけだ」
「呪符? んー、いや、実は全然駄目だ。からきし。
教本とかがあれば作れないことはないがね、やっぱり弱い」
「うん、そうした方が良いでしょう。
最悪の場合でもあと100年すれば飽きるかもしれませんし」
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>>847
百「まあ宴会と酒は大好きさね。何かに理由を付けて呑むし。」
酒のみの理屈は人間と変わらないようだ。
凪「うちはできまへんけど鉄の石を鬼火と怪力でこね回して鉄だけを取り出す技術ですわ。
なんならモモに実演してもらえばええと思いますけど。」
百「朱雀門の一族は非力だし、ナギは特に弱いからね。まるで人間みたいに。」
悠「たしかに東からずっと歩いてきたが、人間とまったく会わぬような日は思ったほど無かったな。」
百「そういえばあの長耳女も半分人間なんだっけ?」
ウルスラのことである。
凪「たしかに。この衣もうちの一族の伝統やけど、陰陽師のものと似てるしなあ。
あ、うちらの島・愛宕山には鬼の領域と人里の間に門があるのですわ。
それとは別に異世界いうか黄泉の門もあります。
いろいろ言われがありますけど興味あるようでしたら、今度またゆっくりお話ししますえ?」
まるで教会の宣教師か何かである。
凪「んー。まあひょっとしたら参考になるかもしれまへんし、一応符術もお教えしますわ。」
ピッと呪符を4枚取り出し、床へと正方形になるように放って印を結ぶ。
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>>848
「そういえば一度聞いてみたかったんだが、『鬼ころし』ってマジで鬼殺せんの?」
「『たたら』とか『ふいご』なしで鍛冶が出来んのか……しかも東方だから和鋼か。
一度エミヤと一緒に刀でも作ったら? 良いのが出来るかもしれない。ひょっとしてもうやってるかもしれないけどね。
あ、凪岐姫さん非力なんだ。非力な鬼って想像できないなあ。術とかが得意なんです?」
「色んな所にうじゃうじゃいるからね。オークやゴブリンの方が繁殖力高いって聞くけど、人間の方が上かも。
長耳女? ……ああ、うん。そうだよ確か。そうか、色んな生き物と混血できるのも数が多い理由になるかな」
ハーフといえば人間との混血が一番居るような気がする。まあ、人間の都に住んでいるからそう思えるだけなのかもしれないが。
「あ、そういえば陰陽師と同じだな。気付かなかった。なんか偉そうだとしか思わなかったぜ。
へえ、本当に門があるのか。『門』っていうのはそのまんま、鉄か何かで出来た門があるの? それとも象徴的な意味で置かれてるだけ?
黄泉のは……あれか、伊弉諾尊(←なぜか変換できる)が下って行った黄泉比良坂か。
うん、結構そういうの好きでね、暇があったら是非聞かせてくれ」
伝承神話の類はかなり好きな方だし、魔剣エミヤにとって東方は異世界とはいえ半分は故郷のようなものだ。
「おお、実演か? いやあ何だか済まないな」
少し移動して、凪と呪符を視界内に収める。
結ぶ印にも注目し、感覚を研ぎ澄ませて魔力――という名前を鬼たちは使わないのかもしれないが――の動きを感じ取る。
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>>849
百「あー・・・モモが封印されるときに一服盛られたのがソレだから
まあ殺すというか油断を誘われたって逸話は本当にあるよ、うん。」
視線を逸らして頬をポリポリと掻いている。
百「ん、まあもっといい鉄を手に入れる方法があるから、
いつか教えてあげるつもりだけどね。気合入れて作ろうって時とかに。」
凪「非力言うても人間並にはありますよ。試します?」
腕相撲のジェスチャー。
百「あと何かヘンな、魔獣みたいな匂いの混じったのもこの前見たし。
人間って不思議な生き物だねえ。」
と、不思議な生き物に言われる。
凪「一応ちゃんとした門はありますけど、どちらかというと結界の基礎の役割が大きいかな。
ま、しばらくは滞在しますし、伝承やら風習やらも話させてもらいますわ。」
凪「鬼略・念牢陣。」
呪符が強く光り、ピタリと床に張り付く。
凪「これでこの符で囲まれた領域に入り込んだ人間は『ある条件』を満たすまで出ることが出来なくなります。
うちが得意とするんは、鬼略言う戦略鬼術。行軍を止めたり、広域を攻撃したり、そんな術です。」
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>>850
「なるほど。ヤマタノオロチの方は泥酔だったな。
ていうか百鬼丸さんお酒飲んで平気なんですか。ひょっとして人間換算でも大人なの?」
どう見ても子供にしか見えない。
「まず鉄鉱石か砂鉄仕入れるところから始めるのか? 難儀そうだな」
エミヤも魔物退治の冒険は何度もしたことあるだろうけど、採掘は未経験じゃなかろうか?
「いやいや辞めておきます。もし女の子に腕力で負けたら俺のプライドが崩壊します」
こんなことを言ってしまう時点でプライドも糞もない。
まあ強い女の人は好きだけどね!
「魔獣みたいな匂いの生き物? 誰だろう、沙耶かな?
あんたも十分不思議だよ。俺も人のこと言えないけど」
外見が一番異様なのは絶対シャドーマンだ。
「なるほどなるほど。今度東方旅行に行って鬼の里でも行ってみようかな。人間が入れるところまで。
うん、それじゃ今度お話を聞かせてくれ。人間が話す鬼退治は物語は子供時分に死ぬほど聞いたが、鬼の自分語りなんて滅多に聞けないし」
「ほほう。本来は規模が大きい術なのかな? 応用範囲も広そうだし、使い勝手は良さそうだ。
内部の人間が呪符を剥がしたりは出来るのかな。
その『ある条件』っていうのは? 決まってるのか、可変なのか?」
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>>851
百「人間に換算すると・・・20歳ぐらい?」
凪「封印されとったからもっと若いやろ。」
見た目で言えばナギも同じ程度である。
百「我ら羅生門の一族ならば人智の及ばぬ高温を操れる。
その気にさえなれば適当な古兜からでも鉄の分離は可能さ。」
にやりと笑う。こんなちんちくりんでも一応鬼なのだ。
百「大丈夫だよ。ほんとに人間並だから。」
百「んー・・・いや、この家の匂いじゃなかったかな。
確かに。ヤドカリみたいだしね。」
凪「うちの山に来るなら歓迎しますえ。守護鬼とシシガミの保証があれば山の皆も安心やろし。」
凪「規模はまあ大きめやな。範囲もそこそこ。あと符を増やせば五角形にもできるし、
門の前に仕掛けるだけでも時間稼ぎぐらいにはなります。
特性上内部からの破壊は不可能やけど、ある条件を満たせば出られますから。
条件は雑念を払うこと。疲れ果てて無心で歩くようになれば自然と出られますわ。
あと例外にしたい人物は符のどれかに書いておけば、その人は入れるようになります。」
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>>852
「ハタチ未満ならお酒駄目じゃないですかー!」
いや、元服はしている年齢だから、彼らの文化では大人なのか?
「鉄のリサイクルを火力だけで出来るのか。随分とエコロジーだな。
でも鉄分が熔け出るだけなら製錬には向かないような……炉なしでやるなら尚更じゃね?」
単純な火力だけではないのかもしれん。恐るべき鬼パワー。
「えー。でもうちのエミヤとかカイザーとかライタだって人間だぜ?
あいつらに腕相撲して勝てる気しねえ」
『人間並』という言葉は『怪物より弱い』という言葉と同義ではない。少なくともこの界隈では。
「うーん、誰だろうなあ。魔獣的な人なんて数え上げればきりがねえぜ。
ヤドカリか。中々面白い例えだ」
「あ、じゃあ今度本当にお邪魔しちゃおうかな。むしろ俺が鬼を怒らせて食われないか心配だけど」
「ふむ……」
立ち上がり、隅に向かって歩き出した。
目を瞑り、手を伸ばして指で符に直に触れ、結界を解析する。
「俺にも――応用できないことはないかもしれない。
精度も効果も耐久性もずっと劣るが………それこそ時間稼ぎ目的なら……」
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>>853
百「でも鬼にとっては水も酒も似たようなものだよ?」
凪「別に毒やないし。ええと思いますけど?」
そもそも法律という概念が無さそうである。
百「そこらへんは火力の調節と腕次第さね。
あと刀なんか作るときは古い包丁鉄とか釘なんかも使ったりすることがあるし。」
腕をぶんぶんとまるで何か麺類を練るかのように振っている。
百「あー、いやそういう戦う人間じゃなく。
大体酒樽をちょびっと持ち上げるのが精一杯ぐらい?」
ちなみに百鬼丸は樽4つぐらいなら軽々と運べるらしい。
百「匂いが人間と違うから印象に残ってたんだけどね。
多分どっかの宿屋のあたりで見かけたと思う。」
凪「気難しいのはあんまり居まへんよって安心してええと思います。」
凪「ま、結界言うより幻術に近いもんやけど。
それにひとつ欠点があって、極端な臆病者やと
『出たい!』いう一念が他の雑念をかき消してあっさり脱出できたりするんですわ。
一応詳しい解説はこんなかんじかな。」
一枚の紙を取り出すと、呪符の書き方、書くための墨の材料などを記し、手渡す。
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>>854
「ふう……」
指を呪符から離す。
元の席に戻り、座って一息ついた。
「いや飲みすぎると毒でしょ酒は。え? じゃあなに? 鬼ってどんだけ飲んでも酔うだけで中毒になったりしねえの?
マジィ〜〜〜? 超うらやましいんですけど。俺も鬼になりてえ。百鬼丸さん今度身体貸してくれませんか?」
法は無くても掟はあるだろ! 掟もねえのか!
「便利だな鬼。リサイクルした鉄なんて使ったら普通の鉄製品ならともかく、刀作るには不純物が多すぎて弱くなりそうだけど」
「あれか。『一般人並』って奴か。パンピー」
シャドーマンなら2つくらい何とか……ならないかも?
「そういう術の場合、幻術と結界双方の素質が必要になるんだよね。
幻術の方が不得意だから、大した効果は期待できない……ってこと。
ああ、なるほど。じゃあ追撃には使えないわけか。まあ俺の役割を考えるとそれはあんまりデメリットにはならないかな」
紙を有り難く頂戴した。
「いやあ、なんか悪いね、ここまで親切にしてもらって」
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百「飲みすぎたことは無いからなあ。
身体貸すっていってもさあ・・・コレ制御できる自信ある?」
しゅるっと髪を結ってた紐を解く。とたんに決壊したダムのように魔力があふれ出す。
凪「ま、一升瓶を空にできて初めて一人前の社会やからね。」
百「いや、古い鉄をほどよく混ぜることで折れにくくていい刀が出来るのだよ。」
余談だが、実際の刀鍛冶も古い銃などから鉄を取り出して作ったりするらしい。
百「そうそう一般人並。細かいことが得意だから将棋なんかも一番強いし。」
凪「うちらの場合、符術が得意なら符である程度はカバーできるんやけどな。
ま、外からは丸見えやからほんの少しの間一方的に攻撃できるいう大きな利点はあるけどな。」
凪「いいええ。モモがお世話になってますさかい、このぐらいは当然ですわ。」
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>>856
「酔うとしても樽単位が必要になるかも知れんということか……。
……お? うおお? こりゃまたすげえな……。
でもその辺は問題ない。俺の力は相手の肉体の所有権というか支配権を奪い取るモノのようだからな。
対象の肉体や魔力的な強さは関係ないんだ。精神が強いと奪う事は出来ないが、相手の許可があればそれも問題はない。
そもそも相手の力が関係してくるなら、今のシャドーマンや昔の大男だって支配できない」
「一升瓶空とか馬鹿じゃないの? 鬼どもはどんだけ巨大な酒蔵持ってんだよ。少し分けろよ……」
「あ、別に全部古い鉄で作るわけじゃないのか。
まあ良く考えてみれば、砂鉄で剣を量産するのは大変だよな……東方じゃ鉄鉱石もあんまり採れないだろうし」
「なるほど。鬼のも色んな性格の奴がいる――っていうのはさっきわかったけど、身体的にも千差万別なんだな。
ああ、でも朱雀門一族のような知将派は少数派で、やっぱり大多数はマッチョな感じなんだろうか」
魔剣の乏しい想像力では、鬼=角+棍棒+虎柄パンツ である。
「その符術も、俺はからっきし……っていうのはさっき説明したな。フォローもカバーもできません。
ただ、術の骨格を変更せず、符ではない形に移植できないもんかなあと。
オリジナルには劣るだろうけどレパートリーを増やして損はないし」
「いえいえとんでもない。さりげなく家事とかしっかりこなしてますし、戦力としても申し分ない。
家主も世話をしているという感覚ではないと思いますよ」
むしろこの家で一番世話されているのは魔剣エミヤである。
たまに稼いで金を家に入れたりするが、頻繁に留置場にブチ込まれては引き取りに来てもらっている。
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>>857
百「いや、うっかりすると火事になるかと思ったから一応ね。
というか、他人の身体で酒飲んで美味しいとか感じられるの?」
凪「もちろん普段はそんな飲みませんよ。
祭りの時に一人前や言う子が一升瓶を一息で空けて、
そんで目ぇ回さんでいられたら一人前言う・・・いわば元服の儀式やな。」
百「そういうこと。流れ星を捕まえて鉄を取り出すっていう話もあるけどね。」
隕石に含まれる鉄、あるいは他の金属だろうか。
凪「ええ。むしろウチら朱雀門が異端で、みんな腕ッ節自慢ですわ。」
なお、愛宕山に限って言うならば魔剣の想像はほぼ当たっている。
凪「ほんに人間は勉強熱心ですなあ。あ、魔剣はんは人間違いましたっけ。」
百「そういうこと。まあシロウが一世一代の大作を作る!って言い出したら全力でサポートするつもりだけどね。」
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>>858
「火事になるかも……ってことは、度数も高いのかよ。
ああ、視覚聴覚と同じで味覚も酩酊も感じられるよ。
持ち主が好きなものを食べて俺も美味しいと感じるかは話が別だけどな。
ただし、身体が欲するものは俺も影響を受ける――これは予測だけど、妊婦の身体を借りたら酸っぱいものが食べたくなると思う」
「あ、そうなんだ。すげえ勘違いしてた。流石に毎日そんな呑まねえか。はは。
ところで凪岐姫さんや悠巫さんは強いの?」
「流れ星……? それは初めて聞いたな。隕鉄のこと?
それとも、なにか象徴的な話かな、神話みたいな」
「じゃあインテリなわけだ。鬼の中でも偉かったりするの? 貴族みたいな」
「まあ精神は人間ですな。妖怪に転じても人間は人間。
他の『意思ある道具』系の性格はどうかわからないなあ」
「そういえば俺、贋作者としてのエミヤはともかく、鍛冶屋としてのエミヤはほとんど知らないなあ。
普通に剣も作れるみたいだけど、どれくらいの実力なんだろう」
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>>859
百「モモは炎と熱を得意とする一族だからね。
一度余興で火の付いた酒を樽から飲もうとして小火起こしたし。
へー・・・ってことはあの長耳になったらまっ黒焦げの魚でも平気で食べられるのか。」
凪「うちは普通やと思いますよ?」
悠「鬼に比べれば弱い。というのも捧げ物は基本的に握り飯だったからかもしれぬがな。」
鬼の普通は大体一升瓶を一気飲みしても目を回さない程度。やはり人間に比べればかなりつよいだろう。
百「詳しいことは分からないけど、飛んできた流れ星を受け止めて刀にしたっていう言い伝えとか、
あとは鬼の血を引く刀鍛冶が兜や胴ごと人間を両断できる刀を作るために
落ちてきた鉄の流れ星を使ったとか、そういう話があるから多分その隕鉄ってやつだよ。」
凪「まあ立場だけで言えばモモの次て事になります。」
凪「なるほどなあ。ま、うちらの術をどう応用するのか楽しみにしてます。」
百「たしかに。人間の刀鍛冶なんて噂でしか聞いたことないし、楽しみだなあ。」
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>>860
「これが本当の火酒ですってか。
アルコール比率が高くねえと燃えずに蒸発するだけだから、そんだけ強い酒を樽で飲もうとしたわけか。
やっぱ鬼は反則だよ、うん。
え? ああ――そうだな。そういう事になる。考えてもみなかったが。
まあ、生物学的に味覚が死んでいたらの話だけどな。精神的な要因に起因する味覚障害なら意味が無い」
「なるほど、なるほど。他の鬼とそれほど肉体的な相違があるわけじゃねえのか。腕力が無いだけで。
え、悠巫さん犬か熊か何かでしょ? 米食べるの? だいだらぼっちだから?」
「ふうん、でも隕鉄ってそんなに強いかなあ?
鉄じゃない別の金属か、あるいはただの隕石とは違うなにか特殊なものだったのかもしれないな。
ひょっとすると堕ちてきた石を拾ったんじゃなくて、マジで流れ星を捕まえたのかも」
「あ、じゃあすげえ偉いんだ。ん? てことは当主代行じゃないの?
お山ほったらかしにしてきて大丈夫?」
「応用なんて出来ないかも知れないけどね!期待はしないで。楽しみにもしないで」
「一世一代の大作を待たずとも、今度お願いして鍛造して貰ったらいいんじゃね?」
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>>861
百「うん。で、躓いて転んでボワーッと。」
おそらく帝都じゃまず聞かない火災の原因だろう。
悠「犬か熊・・・そういえばその姿しか見せてなかったか。
ワシは基本は鹿だが、獣の神と呼ばれた一族は伊達ではない。
狸にも、牛にも、虎にもなれる。モモとナギのサラシもワシの毛から作られてるのだ。
で、握り飯の理由は推察の通り、だいだらぼっちだからだ。
今ではたまに稲荷と勘違いして油揚げなんぞを置いていく旅人が居るがな。」
百「一度伝説の方の剣は見たことがあるけど、鉄と同じで硬くて銀色だったよ。
ひょっとしたら『みすりる』とかいう金属なのかもしれないけど。」
鬼の目から見ればニッケルもニオブもおそらく鉄なのだろう。
凪「ああ、モモと親しい中で
鬼としての気配を消す術が一番得意やから
ウチが連れ戻しに来たんですわ。」
凪「いいえ、折角話の分かる人間に会ったんやし、楽しみにさせてもらいます。」
口元を扇子で隠してクスクスと笑う。
百「でも『見たいから作ってくれー。』ってのも失礼な話じゃないかなあ。」
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>>862
「あっちは木造建築多いからなあ。大変だっただろう」
「へえ。獣全般の神様なのか。毛も利用できるってのは便利だな。
油揚げ? 随分と粗忽な旅人だな、普通間違えんだろう。社に狐の像とか置いてあったりしない?
まあ、米食べられるなら油揚げも食えるだろ。経済的でいいな」
東方の妖怪には便利な奴が多いな。
「正直言って俺も他の金属と鉄の見分けはつかねえな。合金かも知れない。
それこそエミヤに鑑定してもらうしか、判断する方法はないな」
「ああ、さっき話してた奴?
それなしだと鬼の気配がだだ漏れになっちゃうというわけか。
まあこの辺じゃ人外なんて珍しくないし、人を襲ったりしない限り大丈夫――
ああでも、ここに来るまでの道のりが大変か。やっぱりあんたが来て正解だったかもね」
「困ったなあ……」
割と本当に困っている。
魔剣エミヤは研究家としては三流も良い所。下手糞でいびつな作品を作りかねない。
「いいんじゃねそれはそれで。『今度作る時が来たら見せて』ってな感じでも良いでしょう」
-
>>863
百「宴会で他の鬼が居たから小火で済んだけどね。いやあ怒られた怒られた。」
ケラケラ笑っている。
悠「トドやセイウチは管轄外だがな。
まあ道端にあるやや古びた社なぞ、稲荷と間違われても仕方ないがな。」
自分で掃除するのは威厳にかかわるし、とヘンなところでプライドを保っている。
百「そんなに鉄みたいな金属は多いのか。人間は物知りだ。」
凪「ええ。うち位になれば、人に道を聞いてもまったく印象に残りまへん。」
百「あ、なるほど。そう頼めばいいのか。」
-
扉の先には、大きな客間があった。中央には大きなテーブル
そしてゆったりと、座ればクッションが沈むであろう高級なイスが並べられている。
そして、ブランカ
彼がイスに腰掛けて待ち構えていた。
ブランカ「子供が何の用だ?こんなところに来るくらいだ。余程のことなんだろう?」
沙耶(うわーものすごい待ち構えているわ。しかもなんという余裕)
-
>>865
「“黒”」
余裕を見せるブランカに対し、一言。
「この人物に心当たりは有りませんか」
わざわざ招き入れてくれたのだ、遠慮する必要は無い。
しかし、最低限の礼儀は見せつつ問い掛ける。
-
>>866
ブランカの眉毛がピクリと動く。
そしてすぐさま口角をあげて笑った。
「知ってるも何も、既にうちの構成員が何人もやられている。
そんな奴を探して何しようってんだ?子供が首を挟むには早い」
-
>>867
「そう言われても、此方にも事情があるのですよ。
付き合いの長い友人が“黒”に狙われてましてね、私は奴を止めたい」
「“黒”について少しでも知っている事があれば、教えて頂けませんか」
互いに敵対する理由は無い。
“黒”の脅威が無くなるとすれば、ブランカにとっても悪い話では無いだろう。
そう、本当に無くなるならば。
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>>868
ブランカ「狙われてる?それはどこから仕入れた情報だ」
あの脅迫文を見せれば何か反応を示すかもしれない
もちろん見せる必要がないと感じたのなら見せる必要もないが
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>>869
沙耶から取り上げた脅迫文をテーブルの上に広げて見せる。
「数日前、これが友人の元に届いたそうです。
友人は『悪戯だろう』と取り合ってくれませんから、こちらで対処したい」
ロベルタ商会も被害を受けているという事は、似たようなものが送り付けられているのではないだろうか。
とすれば、この脅迫文は確かな証拠と成り得る筈だ。
-
>>870
ブランカはその脅迫状を手に取り徐に読み始めた。
そして数秒後、読み終わったその手紙を机に投げ捨てる。
ブランカ「くっくっく……確かにそれはイタズラだな。
黒はそもそも脅迫文なんてものは出さない」
そして急に怒りを露わにして机をドンと蹴った。
沙耶「きゃっ!」
突然のことに驚き悲鳴をあげる沙耶
ブランカ「そもそも暗殺者が予告状なんか出すわけねえだろうが。
これで分かったろ。その差出人が何する気は知らないがそれは黒じゃねえ」
そのまま机の上に足を置き
ブランカ「用が済んだなら帰れ。下らないことに時間を費やしたな」
そう吐き捨てた。
-
>>871
「……それもそうですね」
ブランカが否定した事に対して、あっさりと肯定の意を見せる。
そして机に投げ捨てられた手紙を拾い上げ、懐に仕舞い直した。
「お時間を取らせてすみませんでした。失礼致します」
言って、ブランカへ一礼。
『沙耶、行くぞ』と返事も待たず彼女の手を引いて、扉から出て行った。
何事も無ければ、そのままアジトの外へと出るだろう。
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>>872
そのまま二人は何事もなく屋敷から帰された。
どうやらあのブランカという男、マフィアを率いている元傭兵団の団長だけあって
そこらの下っ端のように肩で風を切って歩いているような人物ではないようだ。
「振り出しに戻ったわね。でもどうやら偽物みたいで良かった。
取り敢えず紅姫さんに報告しましょ。少しは安心してくれるはずよ」
次なる目的地は沙耶の提案により遊郭になった。
物語はまだまだ続く。当然何事もなく終わるはずもなく
-
>>864
「ふむ…………今度やってみようかな(ボソッ」
不穏極まりない。
「ああ、四足獣っていうか陸生哺乳類限定か。トドとか想像もしてなかった。
うーむ確かに。しかしあっちじゃそういうの珍しくなさそうですな。八百万の神ともいうし、何でもかんでも適当に祀るし」
別に威厳は関わらないんじゃね? などと。
「うん、ひょっとすると俺たちが区別している様々な金属を、鬼や東方の人は「鉄」っていう言葉でまとめている可能性はあるけどね。
そもそも埋蔵量やコスト、生産技術のことを考えたら、武器としてはやっぱり鉄が最優秀かも知れない……物知りでも活用できないと意味が無い」
「鬼特有の気配どころか、気配そのものを薄められるほどなのか。
確かに正しい人選だったな。――一番偉い人が自分で行くんだから人選とは言わないか?」
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>>874
悠「他にも虎の姿で狒々の顔になることなども出来るぞ。
ま、何でも祀るおかげでワシのような地味なものは忘れられていくのだがな。」
お茶をずずーっと啜る。ちなみに尻尾が出てたのは無意識のようだ。
百「たしかに。こっちで教えてもらうまで『みすりる』は知らなかったし。
あ、あと鬼鉄っていう鉄のすごいのがあるけど、作るの疲れるからやっぱり普通の鉄が一番優秀だろうね。」
また腕を振り回して饂飩を打つようなジェスチャー。
凪「相手の認識に潜り込む技術やから、相手からすればどこにでも居る人間と思い込むわけですわ。
ま、最終的に多数決で選ばれたさかい、人選言うのも間違いないです。」
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>>875
「その合成獣的な姿で人里を頻繁に訪れたりすればいいんじゃね?
そうだなあ、忘れ去られたくないなら積極的にアピールしないといけないな。
そうだ!某アニメのようにアイドルになればいいんだッ!ついでに犬耳と犬尻尾を生やせば……否!
どうせなら毎日違う耳や尻尾にしよう!狐→猫→犬と日毎に取り換えるんだッ!あんたなら出来る筈だな!よし、これは売れるぞッ!!」
これなら無意識に尻尾が出ようと耳が出ようとかまわない。
「ミスリルやオリハルコンはまた別格かも知れないけどな。
その鬼鉄っていうのは、珍しい種類の鉄なの? それとも鍛造が特殊なの?」
ドロドロに熔解した鉄を素手で打つのかな……服とか燃えねえのか?
あ、悠巫さんの毛なのか。
「あーなるほど。結構高度な術――だな、俺の感覚では。
多数決とは民主的な。文化も進んでらっしゃる」
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>>876
悠「いや、遠い親戚にあたる者がそれをやったのだが・・・
鵺と勘違いされて坊主やら巫女やらに追い掛け回されたそうなのだ。
あにめ?あいどる?なんだかわからんが、ワシは今の待遇でもそこまで不満はないぞ。」
百「簡単に言うなら温泉場で取れる鉄を只管高温で練って作るとっても硬い鉄さ。
人間の力じゃとてもじゃないけど刃付けができないから再利用は難しいだろうね。
それに必ず鬼鉄が出来るわけでもないから運頼みみたいなところもあるしね。」
悠「もっと高度な術もありますえ。相手の認識を上回ることで、姿を晦ます高速移動とか。
ま、頑固な先代の守護鬼達は全部死んで、今は女子供だけやから
半分馴れ合いみたいな治め方やけどな。」
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>>877
「そ、そうか……良い案だと思ったんだが。
ま、今が良いならそれでもいいか。無理してなるようなもんじゃないし」
「ふーん。あんまり硬すぎても武器には向かなそうだが……そこらへんは鬼の力と技術の見せどころか」
「うわなんだそりゃ。相手の認識を上回る……って、ただの超スピードと違うん?
ああなるほど。となるとこれからの運営が大変そうだなぁ。ああでも朱雀門さん政治力もありそうっすね」
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>>878
悠「人間程々が一番。ワシは獣だがな。」
再びお茶をすする。
百「そういうこと。人間の力じゃとても加工できないから刃物には向かない。
でも鬼の全力ならば刃をつけることができる。まさに鬼のための鉄さ。」
凪「ただの超高速と違います。気配をその場に一瞬留まらせることで
相手にとっては消えたように感じられる。そんな歩法ですわ。
ま、鬼は人間ほど複雑やないからさほど大変やないですわ。」
-
>>806
赤い炎に焼かれていく赤い薔薇。
「減点1、ね」
ナイフのような薔薇を避けることなく、リコリスは小さな右腕を挙げた。
それに応えるように、薔薇を燃やし勢いをつけた炎が腕となって伸びてゆき
投擲された薔薇を掴み取った。
炎に抱かれた薔薇はまた焼け落ちていく。
「私の能力に察しがついてるなら、勢いづけるような真似はしないでしょ」
リコリスの周囲を黒い薔薇と赤い炎の腕が舞う。
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>>880
「そうだな、確かにこれだけならば私の失策だ」
「だが!!」
バルトロマイは構わずに薔薇をいくつも投擲していく
何か狙いがあるのだろうか?
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>>881
「何か策があるのでしょ」
炎の腕がリコリスを隠しながら薔薇を焼き払っていく。
その姿は大蛇のようにも思える。
「いいわ、乗ってあげる」
大蛇の影のように従う黒い花弁が、焼き払いきれていない赤薔薇にそっとよりそった。
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>>882
焼き払われた薔薇は灰となって床に砂のように落ちる
黒い花弁が焼き払いきれなかった薔薇に寄り添うと、異変に気づくだろう
花弁がゆっくりと砂になって行っている
「主よ、我が権能の御名においてその身を捧げた紅の花々を憐れみ、お救い下さい」
「理を紡ぐは我が口、我が意思、それを聞き入れて下さいませ」
十字を切り、バルトロマイは神に祈りを捧げる聖職者の如く振る舞う
焼き払われた薔薇の灰と、残った薔薇の砂が部屋の大気中に万遍なく漂っていく
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>>883
「砂……」
赤薔薇が砂となったがために、寄り添った黒薔薇がはらりと床に落ちる。
「("聖王庁"という言葉といい、この振る舞いといい……聖職者というところでしょ)」
赤い炎蛇の勢いが、燃やすものがなくなったため落ちていく。
細くなった蛇の影からリコリスの姿が見えるようになった。
リコリスは蛇への供物たる黒薔薇の群れを再び呼び始める。
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>>873
「……俺にはそうと思えないけどな」
沙耶の言葉に対し、納得いかないとばかりに顔を顰めて呟く。
いずれにせよ、これ以上此処に留まっていても収穫は無い。
「だな、ひとまず帝都へ戻ろう」
アーカムシティを発ち、帝都へと戻った。
何事も無く遊郭へ到着したのなら、さっそく紅姫に報告しよう。
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>>879
「獣……ということは、常態が人間に近しい鬼とは違って、今の姿は変身みたいなものなの?
それとも『人間』も動物の範疇に入ってるのだろうか」
「ふむ、例えば武器を作る際は、金属部分は全部その鬼鉄で造るのか?」
加工ができたとしても、硬すぎると柔軟性が減って脆くなり、逆に強度が落ちるのではないだろうか。
日本刀は硬度の違う鉄を組み合わせて作るそうだが……やっぱり軟鉄の部分は普通の鉄なのかもしれない。
「うわあ、なんだかえげつない使い方が出来そうな術だな、フェイントとかに最適なんじゃね?
ああ、そういうもんか。でも構造が単純な分、実力が無いとトップには立てないんじゃね? 簡単じゃなさそうだな」
それをこなしているのだから、百鬼丸も凪岐姫も一角の人物ではあるのだろう。
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>>885
「あの脅迫文が本物ってこと?
でも暗殺者が出すものなのかしら。ブランカが嘘を言ってるようにも見えなかったけど」
遊郭へ向かう途中、時計塔の方を通った。
そして時計塔の入口付近に誰かが立っていた。
普段なら特に気にすることもないことだ。だがその人物は明らかにエミヤと沙耶を見ていた。
「シロウ、あの人知り合い?こっち見てるみたいだけど
って言ってもローブとお面で口元しか見えてないわね」
-
>>887
「あの脅迫文を“黒”本人が出したのか、そこまでは判らないけどな。
敢えて暗殺者らしからぬ行動を取る事で油断を狙う、という可能性もあるだろ。
まぁ、可能性を言い出せばキリは無いけど――ん?」
明らかな視線を感じ取ったか、時計塔の入口へと視線を返した。
ローブの人物とは、自然と視線が合う形となるだろう。
「……さあ。そもそも顔が見えなくて判らないな」
そう言いつつ、こっそりと千里眼を発動させる。
物体の透視を可能とするその眼は、お面とローブを見透かして正体を暴けるだろうか?
なお、暴いた顔に見覚えが無ければ特に反応も見せず立ち去るだろう。
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>>888
「視線だけ感じるっていうのも不思議な話ね」
物体を透視する千里眼でエミヤが見たものは、その人物の向こう側の景色だった。
時計塔の入口にいるのに千里眼で見るとその人物も透けて向こう側が見えてしまう。
幽霊、という可能性も考えられるが最も可能性が高いのは何らかの魔術だということだ。
そこにあたかもいるように見せかけて、その実はただの術。だから千里眼で見破れるということだろう。
「あ、時計塔の中に入ってちゃった」
沙耶はローブの人物が魔術で作られたものだとは気付いていないようだ。
時計塔の中にそのまま入っていってしまったというありのままを見ている。
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>>886
悠「さあ、そこの所はワシもよくわからん。
ただ昔からの仕来りで対峙する者と似た姿をとることになっておるのだ。
真の姿というか、だいだらぼっちとしての姿はまた別にあるがな。」
百「いや、中は普通の鉄。やわらかい心鉄に硬い皮鉄がカタナがよく切れる秘訣さね。」
推測どおりである。
凪「ご想像通り、えげつない術やで。モモの一族の必殺拳もそれを応用したものやし。
ええ、ほんに大変ですわ。その実力が認められへんかったから、先代達を死なせてしもたし・・・。」
-
>>889
「……沙耶、あれは幻影だ。
どうやら俺達は、あいつに誘われてるみたいだな」
ローブの人物が時計塔に入っていった後、自身が見た物の正体を伝えた。
姿ごと透視してしまうという事は、実体が無い事は明らかなのだ。
この距離間では魔力を感知する事は出来ないが、何かの術で構成されているのは間違いないだろう。
「紅姫さんへの報告、多少遅れても良いか?」
-
>>890
「対峙する者……って俺か。うん、確かにそれは良い事かもしれないな。コミュニケーションが円滑になる」
「あ、やっぱりそうなのか。まあ当たり前か――ミスリルみたいなのは別なのかもしれないけど」
「攻撃にも応用されてんのか。百鬼丸さんの性格に反して技はストレートじゃないのね。
ん……もしかして聞かない方がいい話だったか?」
-
>>891
「ええ!?あれ魔術だったの?
普通の人かと思ったわ。相変わらず便利なお目目ね」
エミヤの目を覗いてから時計塔の方へと向き直る。
「私は別に構わないけど、大丈夫かしら?
調べ回ってる私たちが明らかに邪魔になってきたってことかしら」
-
>>893
「いやまぁ、眼というか技術というか。
そんなじろじろ見てもビームは出てこないぞ」
と、ズレた返答をした後、
「邪魔になってきた、か。
とすると、さっきのローブの奴は“黒”本人かもしれないな。
そうでなくとも“黒”と関わりのある人物か――」
話すシロウの手元に見慣れた双剣が現れる。
続けて投影した布でそれを束ね、ぐるぐる巻きにすると、
「沙耶、これを持ってろ。
懐に仕舞うなり、自信があるなら使ってくれても良い」
そう言って、布に巻かれた双剣を差し出してきた。
「揃えて持ってれば物理・魔力、どちらに対しても耐性を付加してくれる。
その辺の魔術師が使うような下級魔術なら、完全に無効化するほどだ」
「付いてくるなって言っても、付いてくるんだろう?」
-
>>892
悠「なるほど、そういう目的であったのか。」
ピコンと一瞬獣の耳が頭頂部に生える。
これも無意識のようだ。
百「鬼鉄を練るのも疲れるしね。
一応鬼鉄の素は少し残ってるから、
今度見せてあげるよ。大昔は神事だったんだ、感謝しろよ。」
ニッコリ笑う。
凪「まああんアホは別の技のほうが好みらしいけどな。
いいえ、おかげさんでウチの言うことは間違いないて信じてもらえましたから。」
百「ヤな奴でしょ。表面上はいい子ぶってるけど裏で何考えてるかわからn」
綺麗に百鬼丸の顎を捉えた拳。
舌を噛んが桃色の鬼は床をのた打ち回っている。
-
>>894
「目から何か出たらそれはもう人じゃないわよ」
などと冗談を言い合っている。
そして双剣を受け取る。
「ふふん、私のこと分かってるじゃないシロウ。
そっ、止めてもついて行くのが私!」
そして今度は沙耶がエミヤの手を引っ張って時計塔の中へ突入した。
中に入ると先程の人物(と言っても幻術なので実体があるわけではないが)は既にいなくなっていた。
辺りを見まして見ると、上へ続く階段を昇っていくローブの一部分がエミヤには見えた。
「あれー?もしかしてもう消えちゃったのかしら」
沙耶は発見できていなかったようで首を傾げている。
どうやらエミヤの読み通り、ローブの人物は二人を誘っているようだった。
時計塔の中は妙に静まり返っていて、やけに音が響く。
エミヤ達以外には今は誰もいないようで沙耶の声が反響して聞こえる。
-
>>895
「えっ気付いてなかったの? あと耳出てますよ耳」
これでは人間に変身した意味もあまりないのではないか?
いやだが、犬や熊の姿で喋られるよりはずっとマシか。
「人間にはとても作れないんだっけ? そりゃあ疲れるだろうなあ。
あ、素があるのか。うん、是非見せてくれ。神事なら尚更見たいね、感謝ならいくらでもしますよ」
「好きな技というとあれか。あの投げ技。百貫落としだっけ? 何か違う気がする。まあいいか」
そして見事なアッパーと転げまわる百鬼丸を見て、
「仲が良いんですねえ」
と呟いた。
-
>>896
「出来れば待ってて欲しいんだけどな」
活き活きとして答える沙耶に対し、苦笑混じりに答える。
そして自分用の双剣も投影して、時計塔の中へと突入した。
「……階段を登って行ったみたいだ。
せっかくのお誘いだし、乗ってやろうじゃないか」
かん、かん、かん、と音を鳴らして階段を上がっていく。
周辺に気を配りつつ、万が一の奇襲に対して備えつつ、だ。
-
>>897
悠「!!」
ハッとして頭を抑える。
百「温泉の湧いてくるあたいからとってきた鉄でね。
この辺に温泉、いや火山れもあればとれるかもひれないけど・・・。」
舌を噛んだため若干発音が不明瞭である。
凪「ええ、愛宕山落とし。昔はよくいじめられましたわあ。」
取り繕ってホホホと笑っている。
百凪「「そんなわけないじゃん!」ありまへん。」
見事にハモっている。
-
>>899
(誰も教えてくれなかったのか……)
百鬼丸や凪岐姫を盗み見る。本来は彼女らが耳打ちしてやるべきなのだ、多分。
もしかしたらあえて言わなかったのかもしれない。
「この辺の火山や温泉は知らないなあ。もう少し遠くに行けばあるのかもしれないけど」
「今の一撃は復讐というわけですね、わかります」
きっと成長してからはあの手この手を使って恨みを晴らしているに違いない。
朱雀門こわいよ朱雀門。
「仲良いじゃん。様式美だなあ」
「さてと……確認になりますが、百鬼丸の今後についてはもう少し様子を見るということでよろしいですね。
それから、鬼術や結界の講義は中々参考になりました、ありがとうございます」
頭を下げる。
-
>>900
二人ともキョトンとしている。どうやら別に注意することでもないと思っていたようだ。
百「たまーに金も出るんだよね、温泉。」
熱水鉱床ではたまにあることらしい。
凪「ええ。それはもう新技だなんだてウチのことを投げたり固めたり。よよよ。」
百「わざとらしいウソ泣きなんかしちゃってさ。お前だって船に穴あけたりロクでもないこと」
今度は裏拳。
凪「ええ。ほなウチに用があるときはこの子の裏に用件を書いて机の上において三回叩いてください。
よほど遠くでなければこの子がウチの下まで飛んできますさかいに。」
ペコリとお辞儀をし、人型に切られた紙束を手渡す。
悠「すっかり邪魔をしたな。この家のほかの皆にも礼をしたい、と伝えておいてくれ。」
犬の姿に戻り、ナギにつれられて玄関へと向かう。
-
>>901
(……ま、いいか)
いままで指摘が無かったという事は、それで問題ないという事だろう。
鬼の視点でそう見えるというだけで、異種族とのコミュニケーションではどうかわからないが。
「へえ。温泉と金鉱脈と一緒に掘り出せたら大金持ちだろうな……まあ、そう簡単に見つけられるものじゃないだろうけど」
凪岐姫さんは一体何をしでかしたんだろうか。
聞きたい気もするが、腕力で圧倒的に勝っている筈の百鬼丸を一方的にボコっているところを見ると、何か怪しげな術を使ってるに違いない。
触らぬ鬼に祟りなしだ。沈黙。
「お、式神? 便利ですねえ……」
紙束を受け取り興味深げに観察していたが、話が途中であることを思い出し慌てて注意を三人に戻す。
「いえいえこちらこそお世話になりっぱなしですよ。はい、了解です」
玄関まで一人と一匹を見送る。
-
>>902
百「・・・二度とくるな性悪チビ。」
見送った後呟いた百鬼丸の顔に小石がカーンと飛んできた。どうやら聞こえたらしい。
顔を押さえながら魔剣の後について戻っていく百鬼丸でした。
-
>>903
「すげえコントロールだな」
本当に非力なのか?
ちょっとだけ訝しみつつも、百鬼丸とともに屋内へ戻った。
-
>>898
もうどれくらい昇っただろうか。一向にローブの人物は話かけてくることもしなければ
何かアクションを起こすようなこともしてこない。ひたすらに階段で上を目指す。
「つ、疲れた。どこまで昇る気なのよあの人
…そうかあれ実体がないから疲れることもないのか」
沙耶は文句を言いながらも昇っていく。
そして時計塔の最上階近くだろうか、そこのフロアにローブの人物が待ち構えていた。
ローブの人物「……」
「あ、やっと到着?」
-
-この世界のどこかの空-
「今日の風はいつもと違うわね。
クー、どう思う?」
ピンクの髪がをポニーテールにした肌の露出の多い彼女は
鋭角なフォルムをしたバイオレットに乗って空を飛んでいる。
クー「そうだな。なんというかピリピリしてるいるとは思う」
-
>>906
二騎の竜が飛ぶ空に、クー曰くピリピリしている空気の正体が刻々と迫ってくる
二人から見て、1km程離れた空に浮かぶ黒い点…今までに感じた事のない程の殺気と魔力を纏ったそれが、今まで見た事もない程の速度で迫って来ていた。
-
>>907
バイオレット(何かいる)
「ねえクー、こんな空のど真ん中であの速さで接近してくるものってなんだと思う?」
クー「さあ、でも穏やかじゃないっていうのは分かるな」
爽やかイケメンのクーは冗談混じりにそう答えたが、接近してくる目標から視線を逸らすことはしない。
そして巨大な岩石のような体をしたパッションと呼ばれる竜が静かに口を開く。
パッション(竜だ)
-
>>908
ビビ、そしてクー達の2、3m手前で急停止する謎の存在。停止した事で強い風圧に襲われるが問題はないだろううか。
パッションは竜と言ったが、眼の前にいる存在の身体的特徴を的確に表現するならば、竜人と言う言葉がふさわしいだろう。
紫がかった黒髪に藍色の瞳をした人間の青年、しかし背中には鱗の翼をもち、四肢はそれこそ竜と見違えるような異形だった。
「…強く、それでいて群れていない竜の力を感じ参じたが…お前達か」
掠れたような細い声で、竜人―――ドラクルは口を開いた。
ビビ達は知っているであろうか?最近各地を飛び回り荒らし回っている竜人の話を。
近日、その竜人は世界的脅威と認定されて世界中から狙われていると言う話を。
-
>>909
風と共に生きている民族の二人と竜には問題なかったようだ。
うまく風を乗りこなしている。
「わお、もしかして立ち寄った街で聞いた噂の?」
クー「これは最早災害と同じレベルだな」
バイオレット(……)
パッション(何用だ)
-
>>910
ドラクルは勘が外れたかと落胆するような表情でため息をついた後、凍てつくような鋭い眼光で一同を見返し返答した。
「黙れ、人に買われてる駄竜ごときが俺に意見など出来ないものと知れ」
「…貴様らに聞いても無駄だと思うが…プラチナ・ドラゴンの集落を俺は探している…知っているならば、ありのまま話せばこの場は生き長らえる事を許そう」
知らぬのなら、頭を垂れ許しを乞い去ね…ドラクルは低い声でそう言い放った。
なんとも傍若無人だ。
-
>>911
「飼うっていうのとはまた別なんだけどね。
私たちは竜と共存して生きている。そこに上下関係はないのよ」
腰の手を当てて答えるビビ
クー「悪いけど、プラチナ・ドラゴンの集落は知らないな。知っていても君には教えられない。
だからどちらにしても君の期待には沿えないってことだね」
-
>>912
「黙れ」
「人と竜の共存?…貴様らもへどが出る事を言うのだな人間…それと」
静かにドラクルは右手を向ける
「何時、俺がそこまでの発言を許した?貴様ら人間は何時もそうだ…己を弁えない身の程知らずめ」
言葉と共に高濃度の魔力が右手に凝縮されていく、ビビ達は身の危険を感じるだろう。
-
>>913
「クー、どうやらおっぱじめる気みたいよ向こうさん!」
クー「やれやれ、裸の王様だな。パッション!」
クーの声を聞きビビたちの前に躍り出た。
バイオレット(近くに街がないのが幸い)
-
>>914
「勘違いするな?俺は王ではない、ただ全てを消し去る破壊者だ」
ためらいなく魔弾を放つドラクル。直撃すれば竜と言えどその強靭な鱗が焼け爛れるだろう威力だ。
-
>>915
「全てを破壊した後一人になったあんたもどうするのさ」
クー「風壁…!」
パッションは全員の盾となりその魔弾の直撃を受ける。
クーの風の壁と岩石のような体のパッション。
バイオレットが受ければひとたまりもない威力の魔弾だ。
だがパッションは焦げた跡が軽くあるだけ
パッション(適材適所だ)
クー「パッションがダメージを受けるなんて久しぶりだな。
どうやら口だけってわけではないみたいだ」
-
>>916
「侮るなよ」
魔弾を放った直後、ドラクルはビビ達の背後に回り込んでいた。
そして素早く魔弾を二発放つ。防御の内側からだ。
-
>>917
バイオレット(そちらこそな)
バイオレットはパッションとは対照的に素早さに特化している。
急激に上空へと上昇し、空気の壁をぶち破る。
パッションには再び魔弾が直撃する。先程と同じものならダメージは見込めないだろう。
そして高度を上げたバイオレットは、今度は急降下してドラクル目掛け突撃する。
鋭角な翼は触れる者を切り裂く。
「私たちにはやらなきゃいけないことがあるからね。
さっさと帰ってくれるとありがたいんだけど」
-
>>918
「人間に飼われた竜風情が…!」
傍目から見たら軽く退いたようなしぐさにしか見えないが、的確に急降下してきたバイオレットの一撃を回避するドラクル
魔弾は先ほどの同じ威力のものをあえて放ったようで、ダメージは少ないはずだ。
「ほう、やらなくてはいけない事?貴様らのような短命な者達は何時もそうだな、何かお題目を掲げなくては動く事もままならない」
嘲るように、恨みごとを吐くように、ドラクルは語る
「この程度の魔弾を防げるくらいで、調子に乗るなよ」
ドラクルの右腕が突如異変を起こす。血管が浮き出ているのだ。そしてゆっくりとだが巨大化しているようにも見える
-
>>919
「バイオレットの一撃をかわすなんてね…!」
クー「白い双頭の竜を見掛けなかったかい?
俺たちはその竜を探してるんだけど」
「そりゃ私たちは何かをするために生きてるからね」
-
>>920
「遅くて欠伸が出る…もっと速く動けないのか?」
ククッと喉を鳴らして笑い、挑発するような言動だ
そして白い双頭竜の話を出される
「…さて、な」
なんとも意味深なリアクションだ。しかしドラクルは人間を軽んじている、適当にはぐらかしているだけの可能性もある。
「貴様ら、そのような竜と何の因果があるのだ?冥土の土産に聞いてやらぬ事もないぞ」
-
>>921
「うちの村には長がいるんだけどね。その長になるはずだった人物の仇さ」
声のトーンが落ちる。
クー「許すわけにはいかないからのさ」
バイオレット(…)
パッション(……)
黙って話を聞いてる二頭
バイオレットは旋回しながら再びドラクルと同じ高さまで上がってきた。
-
>>922
「………」
「下らんな」
巨大な竜を思わせる右腕を振るい、ドラクルは再び魔弾を作りだした。大きさこそ変わらないが、威力は先ほどとは比べ物にならない程の魔力が籠っている。
パッションとクーの防御をもってしても、受けるので精一杯だろう。
「短命なものが命を落としただけで、何だと言うのだ?それを言うなら………」
と、言葉を止めるドラクル。その顔には何やら苛立ちが浮き上がっていた。
「興が殺げた…」
そう呟き、生み出した魔弾を下方へと向けた。
はるか下の大地、その周囲は街も村もないが街道だ。そしてそこは旅人や行商などが少なからず歩いている。
「これを貴様ら」
-
>>923
「ま、他所から見たらそうなのかもしれないね」
クー「ん?まさか…!」
下の異変に気付いたクー
クー「パッション!」
「バイオレット!行くよ!」
バイオレット(ああ…パッションでは間に合わない)
ビビとバイオレットが急降下を始めた。
他の人を巻き込まない為に
-
>>924
「間に合わんさ、無力さを知れ」
遅れて放たれた魔弾の速度は凄まじく、先に降下したパッションは愚かバイオレットすら追いぬいて大地に叩きつけられた。
爆発と衝撃が付近を襲う。
煙が晴れると、大地には大きなクレーターとも言うべき風穴が開けられていた。
「素直に頭を垂れ許しを乞えば、無駄な労力を出さずに済んだものを」
つまらない物を見る眼でドラクルは嘲った。
-
>>925
クー「……」
「あんたはああああああ!」
バイオレットで再び突撃をかけるビビ
クー「さっき、少しいらついたみたいだけど
もしかして君にも何か心残りがあるってことかな?」
-
>>926
「――――興が殺げたと言った、俺にこれ以上無駄な労力を使わせるな」
突撃してきたバイオレットを、なんと右腕一本で押しとどめるドラクル
そしてクーの発言に再び視線を向ける
「さて?お前らのような分別を弁えない輩が増えてから苛立ちがなりを潜めた事などないのでね…心残りと言えば、そのような者達をこの世にはびこらせてしまった事への失態か…」
-
>>927
バイオレット(くぅ…!?)
バイオレットを伝ってドラクル目掛け風の刃を飛ばした。
切れ味はそこそこあるが、竜の鱗を持つ者にはそれほど期待できるダメージはないだろう。
クー「まるで自分がこの世界を治めてるような物言いだね」
-
>>928
風の刃がドラクルの腕や顔を傷つけるが、映像の逆回しのように傷は再生していく
「治める?貴様、俺の話の何を聞いていたのだ?俺は破壊者だ…こんな汚れきった世界、治める価値すらない」
そして力任せにバイオレットを押しのけた
「だが覚えておけ、ヒト、そして竜の驕りが原因で貴様等は滅びるのだとな」
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>>929
クー「やれやれ、どうやらこれ以上の話は無駄みたいだね」
バイオレットとビビはバランスを失って墜落する。
そのまま地上付近でバランスを取り、うまく激突は避けられたようだ。
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>>930
「貴様ばベラベラ話しているだけだ、俺はわざわざそれに答えてやった…礼を言ってほしいくらいだな」
「俺の言葉の意味が分かる頃には、貴様らヒトは後悔に苛まれているだろうさ」
地上付近まで下がったバイオレットを見下すように見て、ドラクルはその羽を広げて再び飛び去ってしまった。
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>>931
クー「そうだね。ありがとう、白い双頭の竜には気を付けるんだよ。
むしろ出会っても手を出さないでももらいたいものだね」
「クソ、関係ない人たちを巻き込んじまったね」
バイオレット(ビビが悪いわけではない)
パッション(何が奴をそこまで駆り立てるのか)
クー「分からない。ただ、とんでもなく強いってことだけは確かだ。
お前に傷を付けられるのなんてアギトや双頭の竜くらいさ」
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>>905
「だと良いんだけどな」
沙耶の疑問に答えると一歩、前に出る。
「こんな所に呼び出して、どういうつもりだ?
出来れば手短に済ませてもらいたいんだが」
双剣は握りしめたまま、しかし殺意は見せずローブの人物へ問い掛ける。
……今更ではあるが、自分達をおびき寄せてその隙に本命を狙いに行く可能性もあった。そうでない事を祈ろう。
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>>933
ローブの人物「エミヤシロウ並びに沙耶、呼びだしたのは言うまでもない」
ローブの人物は二人の名前を口にする。
どこで調べたのだろうか。エミヤシロウのことは調べるのにはさほど苦労することもないかもしれない。
何といっても自分の店を持ち本人も鍛冶師を生業にしているのだから。
ローブの人物「黒のことだ」
中性的な声
性別の判断も出来ない格好
「え、黒のことを知っているの?
ローブの人物「その前に、お前たちが話すに足る人物なのか試させてもらう」
ローブの中から大剣を取り出し構えた。
エミヤの千里眼を使えば分かるだろう。
先程の幻術と一点だけ違うところがある。幻術は幻術だが実体があるのだ。
「な、なんか凶悪なものを取り出してるんですけどシロウ」
どうやらあの人物は力試しをするつもりのようだ。
罠、という可能性もまだ捨てきれないが
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>>934
「……ま、そんな予感はしたさ。
話だけで終わるなら、こんな所に誘き出す意味も無いもんな」
罠という可能性もあるが、真実という可能性もある。
とすれば結局、目の前の事実を受け入れ、立ち向かうしかあるまい。
ローブの人物から見て“黒の事を話すに値する”と認められれば、今最も必要とする情報が得られるのだ。
――意を決したか、エミヤが構える。
守りの型ではなく攻めの型、手数を以てして相手を制圧する双剣の構え。
『あの大剣と真っ向から打ち合おうとするな』
『基本的に後衛として動け、俺に当たっても気にするな』
以上の二つを沙耶に言い聞かせると、エミヤは動いた。
大剣を構えたローブの人物へと、常人では反応もままならぬ高速度で突進していく。
大剣の間合いに入っても動く気配を見せなければ、左右から双剣の一撃を見舞う。
動いたならば、行動の内容にもよるが、それに対応した動きを見せるだろう。
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>>884
言うなれば薔薇の霧と言うべきものが室内一帯に立ちこめる
リコリスの姿が見えた時、バルトロマイは素早く手を翳した
「去ね…!」
霧の中から真紅の花びらを模した、魔力で構成された刃が射出される
その夥しい数はまるで薔薇の花吹雪のようだ
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>>936
黒薔薇を食い、再び猛りだす炎の蛇を操り花弁を防ごうとする。
が、それは花弁ではなく魔力―単純な火力で燃やせるものではない。
「うっ!」
防ぎきれず、人形の無機質な肌に幾つも幾重にもひびが入る。
胸部を腕で庇いながら、咄嗟に黒い花弁を大量に出し、幾重にも重ね壁とする。
この刃の前では、あまりに脆い壁だろう。
だが―
「減点を取り消そうと思ったけど……だめね」
刃の薔薇吹雪を遮るように、傍らのベッドでは黄金の薔薇は茨の鳥籠を主の周りに編み上げていた。
その鳥籠に炎の蛇が迫っていた。
「止めないとこっちの薔薇が燃えることになるでしょ」
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>>937
(能力の違いでこちらが不利なのは先刻承知…していたが…)
「そうすれば俺が降参するとでも?」
やってみろ、と言いたげにバルトロマイは肩を竦めた。
次の瞬間、深緑色の茨の蔦が床を突き破って出現しリコリスを背後から拘束しようと殺到してきた
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>>938
「貴方は私を見てこう言ったわ。
ここは自分と彼女だけがいることを許される場所だと。
そして貴方は彼女の名を呟いたわ、静かに……!」
そこまで言ったところで、破れた赤いドレスを纏うリコリスを深緑の茨がきつく抱きしめた。
「…それだけで、貴方とメアリーが親しい間柄ということくらい―」
そのままの姿でわざとらしく彼女の名を口にした。
「察しがつくでしょ」
炎の蛇が、遠慮なく鳥籠に喰らいついた。
見る間に赤く炎上する茨。
抗おうと伸び始める金のつぼみが、炎に照らされ輝く。
そのまま伸びていけば、メアリーの最も近くにあるつぼみにさえ燃え移る―。
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>>939
「!!…おのれ、貴様…!!」
拘束すれば炎の蛇の動きが止まるのではと甘い考えをしたのが間違いだったか、鳥籠が燃え盛る
自分の能力で火を消す手段は限りなくゼロに近い。リコリスを茨で拘束したまま、バルトロマイは鳥籠へと駆けよる
「メアリー!!」
新たに伸び始めたつぼみに薔薇を投擲して払い落とし、籠の中に眠る彼女を助け出そうとする
炎の蛇に対し、自らの腕を振るう事で払いのけようともする
-
>>940
つぼみを払ったことが幸いし、まだメアリーまで炎はなんとか届いていない。
蛇を払いのけようとした腕に赤いやけどが生まれ、ひりひりと痛み出す。
しかし浅いもののようだ。
払われたわけではないだろうが、蛇が頭を返しリコリスの元へ帰る。
「残念。私の契約者にするには甘すぎるでしょ」
リコリスを縛る茨を炎で噛み破ると、蛇は消えていった。
「やっぱり外に出て探さないと……」
蛇は消えたが、鳥籠に燃え移った火は消えないままだ―
と、不意につぼみの一つが開いた。
-
>>941
「言いたい放題言ってくれる…!!」
腕が火傷で痛むが意に介さず、籠で眠るメアリーを抱き寄せ安全を確保する
聖王庁のバルトロマイともあろう者が、良いようにやられてしまっている…自分でそう感じた瞬間だった。
火をどうにかせねばと思っていた時、突然につぼみの一つが開いてしまった
-
>>942
このままでは二人とも炎の中に散ってしまうだろうとも思える。
開花した金色薔薇がその花をもたげ、自ら炎へ飛び込んでいく。
やはりというか焼かれる薔薇。
しかし
それ以上火が燃え広がることはなかった。
新たにもう一つ、花が開く。
それに呼応するかのように
鳥籠の火が金色に染まっていき―
その全てがリコリスへと向かっていった
「何ですって……」
リコリスは花の壁を出す愚かさを知っている。
一片の黒だけを媒介に火の蛇を呼び、あまりに小さく金の炎に抗うしかない。
-
>>943
「これは…!!」
突然起った減少に驚くバルトロマイ
これは自分の力でもない、そして金色の薔薇が勝手にここまでの活動をする事もない…まさか
咄嗟にバルトロマイは、彼女へと視線を移した。
リコリスがもう大した抵抗が出来ないのは分かっていたから。
-
>>944
金色の炎に、赤い火は埋もれていった。
バルトロマイが視線を移したとほぼ同時に呟く声。
メアリー「……そのくらいにしてあげなさい」
声に応えて、炎は鎮まる。
屋敷、及び金色薔薇の主はまだ、半分まどろみの中に居るのか目を閉じたまま。
しかし意識は夢の世界から還ってきているようだ。
その証に護衛の薔薇が次々と咲き始めた。
-
>>945
「メアリー…!?」
まさかの覚醒に驚きの声を上げるバルトロマイ
だが、確かに彼女は眼覚めている。
「…置き抜けで悪いが、少々此処は荒れ過ぎた…」
リコリスの方へ視線を向けたまま、バルトロマイは一輪の薔薇を取り出す
「聖王庁に一度退く…悪いがついてきてもらうぞ、メアリー」
-
>>935
「わ、分かった!」
狐火をローブの人物へ飛ばす。
それを難なくローブで払い消し飛ばす。
ローブの人物「……」
接近してくるエミヤに対してクナイと呼ばれる東方の飛び道具で数本飛ばしてきた。
-
>>946
そう、王花による術を破られた反動にしてはあまりにも早すぎる目覚め。
それを促したのはリコリスのせいなのだろうか、あるいは偶然か……
事情は薔薇を通して知っているのか、メアリーはひとつ頷いた。
リコリスは床に倒れ、顔を向けることもせず動かない。
ただ焼け落ちたわけではなさそうだ。
-
>>948
薔薇を投げて印を結ぶと、バルトロマイとメアリーは館から帝国内にある教会施設の一つ、その礼拝堂に移動していた、
当然、倒れたままのリコリスをあの場所に置いたままと言うわけにもいかなかったので一緒に移動させている。
「…メアリー…何故今、君が眼覚めている?…それにアイツは…」
倒れたリコリスに警戒を向けながら、改めて事態を確認しようとするがイレギュラーが多すぎる。
そこへ、バルトロマイと同じ聖職者が身につける白衣を着た青年が現れた。腰には剣を下げている。
?「おや、バルトロマイ…一体どうしたというのだい?」
彼の立ち位置はリコリスの背後だ。
-
>>949
メアリーが応えるより先に、
「うっ……ここは……」
傷だらけのリコリスが気付いたらしい。
聖職者の青年から見れば奇妙な光景だろう。
足元に横たわっていた傷と焦げをあしらったドレスの少女人形が声を発し、
動き始めたのだから。
さらに言えば―彼がバルトロマイの前所属先である魔種監査局の内情を聞いていたなら―
バルトロマイが連れてきたのは
監査局の反逆者、メアリー・ジェインウェイであることに気付くだろう。
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>>950
?「それが君の愛でている薔薇かい?バルトロマイ」
「…ペテロ、彼女は…」
ペテロ「良いんだよバルトロマイ、メアリー・ジェインウェイは同部署のユリアーヌス・ゾルコーヴィによって裏切り者として処断されている…君が抱いている女性に、僕は興味はないよ」
それよりも…とペテロと呼ばれた青年はリコリスに視線を向けた。
ペテロ「この哀れなお人形は一体何なんだい?」
と、リコリスを掴みあげて顔をマジマジを見てきた。リコリスからするといきなり茶髪の青年が自分を持ち上げて顔をマジマジと見てきているのだ。
尚、メアリーならばペテロの事は知っているだろう。教会の暗部、処刑人達と対立する聖王庁のリーダーであると言う事も。
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>>951
「っ……」
いきなり持ち上げられて、見覚えのない顔が近くにある。
一瞬思考が停止しかかるが、すぐに観察し返した。
「そんなに見ても、面白いものじゃないでしょ。
貴方は聖職者で、そこの彼のお仲間……そんなところでしょ」
メアリー「……お久しぶりですわね、ペテロ様。
と、言うのもおかしい話ね……私は今や無縁の人なのに」
ようやく目を開いたメアリーがペテロに挨拶した―形だけだが
-
>>952
「ああ、バルトロマイは僕の大切な仲間さ」
と気優しい青年と言った口ぶりで話すがその瞳の奥は暗く、真意が見えない。
そして形だけの挨拶をしてきたメアリーにペテロは視線を向ける。
「いやいや、僕のような一介の教会騎士に様なんてつけなくて良いですよ、メアリー・ジェインウェイ?」
表でのペテロの職業はそうなっている。
「さて、可愛いお人形さん、貴女は一体何者なのかな?僕は見ての通り…神に仕える神父様や信徒を守る教会騎士の者で、ペテロと申します」
-
>>953
メアリー「表の顔と仮面の下とでは随分と位が違うものですわね。おかしなほどに……。
私の言えた義理ではありませんけれど」
皮肉って、あるいは自嘲気味な返答。
メアリーは魔種監査官として、潜入調査のたび数多の仮面を被ってきたのだから。
「私はリコリス=ローズ=ルビー。
鏡という扉の向こうから来たお人形」
バルトロマイにしたものと全く同じ自己紹介。
「見ての通り?
でも聞く限り、単なる教会騎士ではないでしょ」
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>>954
「お互い様と言う奴だねジェインウェイ、まあ僕らのような存在は明るみに出ない事が前提なのだし仕方のない事なのだけれどもね」
あくまで穏やかに対応するペテロ。腰に下げた剣はまるで飾りとでもいうくらいに隙だらけにも見える。
「丁寧にありがとうリコリス…鏡の向こうからやってきた、か…なるほど」
何か知っている、とでも言うような風な態度で頷くペテロ
「単なる教会騎士さ、時々、教会を離れて『お仕事』を行う事がある程度のね」
「では、見る限りは君はバルトロマイ達と鉢合わせて争ったようだね…外に出られて返って幸運だったのかな?」
-
>>955
「『お仕事』ね。
どこの世界にも似たような人間の職業があるものね」
バルトロマイから見れば、リコリスは隙だらけに見えるペテロに仕掛けそうに思えるだろう。
「その見る限りのとおりでしょ。
それにしても貴方、どこかで見ていたみたいによく知っているのね」
しかし、何か探りを入れているのか興味深そうに観察しているのか
全くそんなそぶりを見せない。
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>>956
バルトロマイ「……」
隙だらけのはずのペテロを諌めようともしないバルトロマイ。ペテロの実力は彼もよく知っている。
その為、目覚めたばかりのメアリーの介抱を優先していた。
たとえ、リコリスが本当にペテロに仕掛けても問題ないと信じているのだ。
「『お仕事』柄かな、色々な噂が真偽関係なく僕の耳に入ってくるからね…ドールとか、なんとか」
と、リコリスを掴んでいた手をそっと離す
「重ねて言うが、耳に入ってくるだけだがね」
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>>957
メアリーもペテロに関してそれ以上言葉を発さない。
バルトロマイのように直接ではないが、聖王庁のリーダーであるというだけで実力に察しはつく。
「そう。随分と地獄耳なのね」
床に下ろされると赤いドレスの裾を直しはじめるリコリス。
裾の一部はほとんど糸数本で繋がっているだけになっていて、床に完全についてしまっている。
その影に隠れて黒い薔薇の花弁ひとひら。
「どこまで知っていて、どこまで力があるのか興味深いわ。
だって、そんな振る舞いなのにこの二人が何も言わないのだもの。
相当自信があるのでしょ?」
その破れた裾を持ち上げた瞬間に、隠した花弁をペテロの足につけようと飛ばす。
-
>>958
バルトロマイ「ペテロ!」
飛ばされた花弁に流石に口を開いたバルトロマイだが、ペテロは視線で制する
「さあ…ホントは何も知らない上に振舞い通り程度の人間かもしれないよ?」
と大した抵抗もせずに花弁がペテロの足へとくっつく
「おや?」
-
>>959
「どうでしょ」
くっついた黒薔薇はそれ以上何もしない。
赤い火となることもなければ、仲間を呼び寄せることもない。
先ほどの戦いでリコリス自身が消耗したせいだろうか?
「少なくとも、そこの彼より甘いことはないでしょ?」
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>>960
「さてね?」
底の見えない笑顔をリコリスへと向ける
「それは確かにそうかもね、バルトロマイは冷たいようで実はとても優しい男だから…実は僕の方が薄情かもね」
黒薔薇が取りついている事を気にも留めず、ペテロは語る
「それでリコリス、君は何かしたい事でもあるのかい?」
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>>960
「ますます興味深いわ」
「したい事? そうね今は……。
この世界の街にでたいわ。まだまだ面白そうなものがありそうだもの」
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>>962
「僕も君のような珍しい子には興味があるかもね」
「…成程、確かにこの世界に来たばかりならば興味を持って当然だ、僕で良ければ外まで案内しようと思うが?」
そこの二人を二人だけにしてあげたいしね、と余計な事まで喋る
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>>963
「だったらお互い様でしょ。
お願いしたいわ。教会騎士の案内なら間違いなさそうだもの。
何かは知らないけれど、積もる話もありそうだものね」
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>>964
「それじゃあ可愛いお人形さんと一緒に街めぐりでもしましょうか」
腕にリコリスを乗せて、教会の外へと続く扉へ向かう
バルトロマイ「ペ、ペテロ!」
「神は慈悲深いよバルトロマイ、リコリスや僕がいては、彼女と落ち着いて話も出来ないだろう?」
からかうような口ぶりでバルトロマイを黙らせると、この場所…礼拝堂にメアリーとバルトロマイを置いて、ペテロはリコリスを街へ案内しに出て行ってしまった。
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>>947
放たれた複数のクナイ、それらがエミヤに届く事は無かった。
一つは剣に弾かれ、一つは剣に叩き落とされ、さらに一つ二つ或いは三つと、器用に身体を逸らして避けられたのだ。
多少なりと突進の勢いは緩まったが、エミヤが到達するまでの猶予が一秒伸びただけだ。
「ふっ――!」
全てのクナイを捌いたエミヤが素早く斬り掛かって来た。
一振りの刃が、構えられた大剣とは逆の方向からローブの人物へと迫り来るのが見える。
余程の速度で振り回せでもしない限り、大剣による対応は困難だろう。
また、仮に完璧に防がれたとしても、その隙を見計らった沙耶が追撃してくれる筈だ。
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>>966
ローブの人物はエミヤの剣の芯を外すように片腕で受け止めた。
ローブの下には籠手を付けているようだ。それでも芯を外して受けるという芸当は失敗すれば腕ごと切断である。
そしてもう片方の空いた手から大剣を離し、エミヤの顔に腕を向けた。
ローブの人物「エミヤシロウ、相対した人物がゆったりとした服装の時は暗器に気を付けろ」
そう言った直後、手首辺りから収納されていた小型のナイフが飛び出した。
「嘘っ!?」
一連の流れを見ていた沙耶は思わずそんなことを口にした。
狐火を立て続けに撃ち込む。それを再びローブで払い、打ち消される。
「なんて器用なのよ!」
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>>967
「わざわざ忠告するほど弱く見えるか?」
手を向けられた瞬間、身体ごと顔を横にズラした。
直後に放たれたナイフはエミヤの側頭部を僅かに裂いたが、致命傷とは程遠い。
だがもちろん、毒でも塗り込んであるのならば、この時点で勝敗は決定する。
――エミヤからの反撃は即座だった。
篭手に受け止められた側の剣は、ナイフを放とうと突き出された腕を、
そうでない側の剣は、肩口までを逆袈裟に切り裂こうと腰口を、
一撃目と二撃目の間隔を微妙に開けて、より回避を困難とする二連撃が放たれたのだ。
先程のように篭手で防ぐ事は可能と思えるが、一歩間違えれば腕を両断される。
しかし、逃げ場を無くすように動く双剣を相手に回避は難しい――やはり先程のように防ぐのが最善だろうか。
『沙耶、魔力を溜めてデカいのを一発見舞ってやれ。
狐火が簡単に防がれる事からして、ローブ自体に対魔力効果が有る可能性がある』
沙耶へと、シロウからの念話が届く。
ローブで払えないような強力な一撃を撃てという事だろう。
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>>968
ローブの人物「気にするな…老婆心というものだ」
そしてエミヤの攻撃によりローブの人物は両断された。
両断された体はそのまま霧のように消滅して跡形もなくなる。
「おっと、私が出る必要はなかったわね」
エミヤの体にも変化は見られない。
どうやら毒などの類は塗られていなかったようだ。
本当に実力を試すための戦闘だった。
「消えちゃったけど、話はどうなったn(ry」
するとこつこつと、ゆっくり階段を下りてくる人物が。
再びローブの人物がエミヤ達の前に現れた。
ローブの人物「幻術とはいえ、分身を相手にほぼ無傷で立ちまわることが出来るとはな」
(この人無限に出てくるんじゃないの?)
などと沙耶は頭の中で疑問が生まれていた。
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>>969
思っていたよりもずっと早く容易に決着は着いた。
傷口の具合を確かめ、毒物も何も無い事を確認すると、階段の方へと視線を向けた。
「どうも。アンタ、そんなに歳食ってるようには見えないんだけどな」
降りてきた人物へ、礼と疑問をぶつける。
中世的な声色も魔術で変化させているのかもしれないが、判別の術は無いのであった。
「まぁ、それは良いとして。“黒”についての情報を教えてくれるのか?」
催促したように問い掛けるが、無理もない。
ピエロの命が掛かっているのだから、逸る気持ちを抑えろという方が無茶なのだ。
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>>970
ローブの人物「少なくともお前よりは年上だエミヤシロウ」
静かに降りて来ると、そう答えた。
(ゴクリ…)
ローブの人物「教えるも何も、私がその黒だよ。
お前たちが探している張本人だ」
「な、なんだってー!うおー犯人!」
荒ぶる沙耶。興奮が醒め止まない
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>>971
「なんだと?」
嘘を言っている――ようには見えない。
そして、自分の事を調べ上げているという事は、“黒”の行方を追う理由も知っている筈だ。
わざわざ嘘を付く理由も無いが、名乗り出るメリットも無い。
(ローブ越しとは言え)姿を晒しに来たという事は、よほど予告した暗殺を遂行する自信があるのか。
“――黒はそもそも脅迫文なんてものは出さない”
……もしくは、別の理由があるのか。
何にせよ、せっかくの好機だ。洗いざらい吐かせてやろう。
「まさか本人が直々に出てくるなんてな。
俺が何故“黒”を捜しているのか、知らない訳じゃないだろう。
――まぁいい。とりあえず質問だ。
一週間ほど前、この脅迫文を繁華街の遊郭に出したのはアンタか?」
懐から取り出した脅迫文の手紙を、黒の足元へ放り投げる。
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>>972
黒「知っているからこそ、出てきたのだ」
足元に投げられた文を拾い上げ、内容を見るでもなくエミヤに投げ返した。
黒「こちらとしても困っていてな。その偽物の脅迫文に」
「え?」
黒「直々に探したいところだが、私はこれでも多忙の身。
そこで正式にお前たちに依頼をしに来た。ピエロという人物を狙う依頼は受けていない」
どうやらブランカの読み通り黒は脅迫文など出していないようだ。
それどころかピエロを狙ってすらいないと言う。
だからこそ犯人探しを依頼してきた、ということなのだろう。
-
>>973
投げ返された脅迫文を受け取り、懐へと仕舞い直す。
「……成る程な、お互いが迷惑被ってるってワケか。
しかしアンタの言っている事が真実だと、どうやって証明する?
俺達を騙して、その間に依頼を遂行する――その可能性が無いわけじゃないだろう?」
仮にも相手は暗殺者、言う事全てを考え無しに信用する事は出来ない。
エミヤの反応も当然だと言える。
「知人の生死に関わってくるんでな。
出来れば、真実である事を証明してもらいたいんだが。
それが信用できるなら……アンタの依頼を受けたいと思う」
“黒”の依頼が『自分を騙る偽者を殺せ』というものであったとして、彼はそれを受けるのだろうか。
黒がエミヤシロウを何処まで知っているかは不明だが、エミヤの言葉は信用するに値するのだろうか?
-
>>964
二人きりになった礼拝堂。
長椅子に横たわっていたメアリーが身を起こした。
「改めて言うわ……おはよう、そしてお久しぶりね……」
やや、間があって
「ジュリィ」
-
>>974
黒はそのまま背中を向け階段に向かって歩き出した。
黒「お前は受けるさ。私の依頼を……どの道それ以外に道はないだろう?
生憎、証明する術を私は持っていないのでな。これで失礼させてもらう」
「え、ちょっとそっちはもう時計塔の屋上よ」
-
>>975
「…」
その名は止めろ、と言おうと思ったが言葉が出てこなかった。
「ああ、おはよう…久しぶりだな、メアリー」
ペテロは何もかも知っていてあえて見逃した。ならば今この瞬間だけは本来の自分でいても良いハズだ。
-
>>976
「……」
言葉は返って来なかった。
しかし、その沈黙が肯定の意である事を、黒が気付かない筈も無い。
背後から不意打ちの一撃でも撃ちこめば良いのに、それをしない事が証拠だ。
「いいさ、好きにさせてやれば」
沙耶の疑問を掻き消すように言う。
さて、黒が立ち去るというのならば、これ以上此処に留まる理由も無い。
改めて、遊郭へ向かうとしよう。
-
>>977
「聖王庁での名前で呼んだほうが良かったかしら……?」
微妙な間は、愛してくれた人をそう呼ぶべきか考えたが故だった。
ふと周囲を見回す。
二人のほかに誰もいないのはわかっていても確認したいらしい。
-
>>978
「なーんか見透かされてるわね。まさかこんなに早く黒に会えるなんて思わなかった」
黒は屋上で景色でも眺めているのだろうか?
それとも飛び降りた?この高さから
ともかく、エミヤがそれを確認するつもりがないのなら、このまま遊郭に行くことに。
-遊郭-
歓楽街は今日も賑わっている。賑わっていない日などこの場所にあるのだろうか?
いや、そもそも帝都自体が常に賑わっているのだ。ここに限ったことではない。
遊郭に到着すると紅姫が出迎えてくれた。
紅姫「あら、エミヤ様と沙耶ちゃん
その後何か分かりましたか?」
-
>>979
「…構わんさ、俺の本名を知っているのはあのペテロだけだ」
何処か穏やかさすら感じる口調のバルトロマイことユリアーヌス。
「この礼拝堂はペテロが居ない時はほぼ無人だから警戒する事はないぞ…まあ、無理もないだろうがな」
-
>>980
「奴の言う事が本当なら、これからが本番って感じだけどな」
飛び降りたにせよ、景色を眺めているにせよ、関係の無い事だ。
もしも黒の言う事が真実であれば、じき近い内に再会する事となるだろう。
彼(彼女かもしれないが)の依頼を受けるという形で。
―遊郭―
「こんにちは。
二、三日色々と調べてたんですが、あまり収穫らしい物はありませんでした」
という切り出しから、今までの経緯を説明し始めた。
銀月の事、ロベルタ商会の事、黒の事。
紅姫の興味を一番引いたのは、先ほど黒と遭遇したという話ではないだろうか?
-
>>982
紅姫「まあ、黒本人と会ったなんて
大丈夫でしたか?危ない噂を聞いていますが」
「シロウがかすり傷を負った程度で大丈夫でした」
さてこれからどうする?
・遊郭の中に怪しい人物がいないか探る
・沙耶を帰して遊郭で遊ぶ
・ピエロに会ってみる
-
>>983
「ええ、まぁ」
向こうは本気じゃなかっただろうし、と内心で思う。
勝敗の程は不明だが、本気ならばこちらが掠り傷で済む訳は無いだろう。
「――ああそうだ、紅姫さん。今ピエロと会えますか?」
-
>>981
「なら、よかった……」
それは彼の名のことなのか、無人であることに対してなのか……。
いずれにせよ、しばし沈黙が訪れる。
「ジュリィ。
……話しておかなければいけないことがあるわ。
あの”上弦の夜”のことで」
上弦の夜、それはユリアーヌスとメアリーが完全に別れた、悪夢のような日のことだ。
メアリーがこの度の眠りについた日に、片のついた話のはずだが……
-
>>985
「…もう済んだ事じゃないのか?君が眠りについたあの日、確かに魔獣は…」
ユリアーヌスとしては余りぶり返したくない話だ。しかし、意味もなくメアリーがそんな話を持ち出す女出ない事も知っている。
「まだ、何か俺の知らない事があるのか?」
-
>>984
紅姫「ええ、今なら遊郭のご自身の部屋にいますよ。
きっとピエロさんも喜びますから是非会っていっておくんなし」
客「紅姫さんはいつでも綺麗だなぁ…ふへへ」
ちょっとラリった客がそんなことを言っているのを横目に二人はピエロの部屋を目指す。
-ピエロの部屋-
ピエロ「あらエミヤシロウ、久しぶりね。
私に何か用?それとも戦いにでも来たのかしら」
愉快そうに、そして妖しく笑う。
相変わらず無駄に色気がある。
-
>>986
「確かに魔獣はもう斃れたわ。
でも、これだけはあなたと―魔獣と戦った全ての人に伝えなければならない」
思い出したくないのは同じ。それでも……真相を知らせなければ全ては終わらない。
「……私の懺悔を、聞いてくれるかしら?」
-
>>987
「喜ぶかどうかは判らないけど、是非会って来ます」
どうも、と紅姫にお礼を言ってピエロの部屋へ。
ラリった客は華麗にスルーした。
そしてピエロの部屋へと足を踏み入れる。
「まさか、ただ話をしに来ただけだよ。
早速だけど、数日前にアンタ宛に脅迫状が届いただろ?」
紅姫から聞いた、という事は一目瞭然だ。
「で、勝手で申し訳ないとは思ったんだが、それに関して色々と調べてたんだ。
……アンタ、脅迫状を出したのが“黒”本人じゃないって事、知ってたか?」
ピエロは紅姫に対して『冗談』の一言で済ませていた筈だ。
それが確信を以ての言葉だったのか、或いは楽観的な憶測だったのか、気になったのだろう。
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>>988
「そうか」
短く返事を返すと、ユリアーヌスはメアリーの前に立ち、懐から十字架のペンダントを持ち出して首に下げた。
服装から、若い神父にも見える
「俺達教会暗部の人間は皆、表は通常の教会職務を全うしている…処刑人ですらな…そして君も知っての通り、私の表の顔は神父だ」
「…話したまえ、君の懺悔を」
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>>989
ピエロ「まあこういった悪戯は割とあるからね。
なんとなく本物じゃないな、ってくらいには思ってたわ」
呑気に煙管を吸っている。
ピエロ「ほら、こういう商売だしやっぱり目立つのよ私って。
この美貌だし目立つのよ私って」
何故か二回言った。
ピエロ「それに脅迫文が来たくらいで店を閉めるわけにはいかないからね。
それより、紅姫は良い子でしょ?可愛いし器量良しだし」
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>>990
「あの頃から変わらないのね。
私は……基本的にはシスターだった……」
そして、神父の前でメアリーは懺悔を語りだした。
「あの魔獣は、フレッドが元々内に秘めていたものではないの。
確かに彼は魔種、それも中位魔族の血を色濃く継いだ混血……。
でも、あの魔獣は」
「私が彼と知り合う遥か前から封印されていたもの……」
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>>992
「何だと……!?」
懺悔を受ける以上は語りを遮るつもりはなかったが、思わず口に出てしまった。
「…続けてくれ、メアリー」
(つまり、フレッドの奴は元々が魔族との混血で、別の時にあの魔獣を身体に封印していたと言うのか?メアリーはそれを知っていて?)
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>>991
「成る程、有名人は大変だな。
命に関わってきそうな悪戯なんて、俺は勘弁して欲しいよ」
諸々の事情もあるが、並大抵の暗殺者ならば返り討ちに出来るという事もあったのだろう。
伊達に何百年と生きて世界を巡ってはいまい。
「ついさっき、黒本人と会ってきた。
黒が言うには脅迫状を出したのは偽者らしい。
……まあ、言いたかったのはこれだけだ。一応狙われてはいるみたいだから、用心しろって事で」
強調された言葉は華麗に無視して、話を切り上げようと思っていたのだが、
「え? あ、ああ、うん良い人だし綺麗だと思うけど。それがどうかしたのか?」
まさか紅姫に関して話題を振られるとは思わなかったようだ。
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>>993
「……それも、あの日までその封印を持っていたのは、
受け継ぎ守っていたのはフレッドではなくて……」
表情が窺い知れないほど、深くうつむいた。
「私なの」
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>>994
ピエロ「まったく、私の心配までするなんて相変わらず変わった人間ね。
心配されるような者でもないわよ。悪さだってするし」
最後は目を細めてにやりと笑う。
ピエロ「私のお気に入りなのよ。もちろん他の遊女たちもお気に入りなんだけど
だから何か困ったことがあったりしたら助けてやってね」
「ピエロはシロウに色仕掛けをしないように!」
沙耶がシロウとピエロの間に割って入る。
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>>995
「待て、待ってくれてメアリー…懺悔を止めるようで申し訳ないが…」
じわりと浮き出た汗を拭い、ユリアーヌスは礼拝堂の椅子に深く座り込む
「私には君の言っている事が理解できない…封印が持っていたのは奴ではなく君?わけが…わけが分からない!」
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>>996
「知ってるさ、だからこそ心配なんだよ」
笑うピエロに対して、いつもの仏頂面で答える。
今ピエロが意味無く“悪さ”をしでかそうとすれば、エミヤシロウは止めに入るだろう。
だが今は、何もしていない。それだけなのだ。
「まあ、うん、それは構わないけど。
アンタの方が彼女を知ってるだろうし、紅姫さんも俺よりピエロを頼るだろ」
「って、なんでさ」
割って入ってきた沙耶を見て一言。
自分が知らない内に色仕掛けをされていたのだろうか?
流石ピエロだ、油断も隙も無い女である。
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>>997
「……理解できない気持ちもわかるわ……でも」
「あの魔獣の封印は、私が母から受け継いで守ってきたもの……。
金色薔薇と共に受け継がれてきたものなの」
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>>999
「つまり、つまりだメアリー…」
「君と、あの男の一族は代々であの魔獣を封じてきた…そう言う事なのか?」
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