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緊急投下用スレ

916【未來の】【乙女】:2009/03/15(日) 23:23:41 ID:6QGSI.WY
その青年は突然に、私たちの乙女の園――有栖川荘にやってきた。
上下揃いのタキシードを品よく着こなし、口元に笑みを絶やさない優男だった。
一見すると人畜無害そうで、どっか慇懃無礼な気配。こういうタイプ、私はあまり好きじゃない。
 
「今いる方たちだけで構いませんから、食堂に呼び集めてはもらえませんか」
柔らかい口調で伺うも、そこには有無を言わせない響きがあった。
アルバイトに行った数名を除く面々が一堂に会すると、青年は恭しく名刺を配りだした。
 
「白崎と申します。このたび、学園からの連絡事項を、みなさんに伝えに来ました」
 
彼の語るには、学園理事会が、このほど有栖川荘の風紀について難色を示したのだとか。
つまり、管理人不在のまま、学生の溜まり場にはしておけないという見解だ。
その意見には、私も賛同したい。学生だけでは、なにかと心配だもの。
 
「学園としては、有栖川荘そのものを一時閉鎖する方向で纏まりつつあります」
「ちょ、ちょーっと待ったです! じゃあ私たちは、どうなるですか!」
「学園側が斡旋する寮、アパートに移ってもらうことになりますねぇ」
 
冗談じゃない。入居して早々、追い出されるなんて嫌だ。みんなと離ればなれになるのも、だ。
ならば、選ぶ道はひとつ。学生たちが資金を出し合って、新規の管理人を雇うしかない。
 
「私たちは、ここで暮らし続けたいです。だから絶対に、この有栖川荘を守るですよ!
 真紅さんの帰りを待つためにも、入居を希望するだろう未來の乙女たちのためにも」
 
ただの独りよがりかも知れないけれど、それが今の住人である私たちの使命だと思う。
幸い、みんなも私の意見に賛意を示してくれたので、問題提起のキッカケは掴めたようだ。
 
「なるほど……解りました。これは一度、理事会と話し合いの席を持つべきですね」
白崎さんは、また後日に来訪すると告げて、今日のところは引き上げて行った。
そして私たちも、当面の管理人代行および運営委員を二名、民主的手段で選出したのだった。




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