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没作品供養スレ

8狂気と渇望の果てに… ◆XBbnJyWeC.:2006/07/07(金) 13:48:59
太陽は既に高く昇り、少年を鮮やかに照らす。
此れほどまで眩い光など、もうどれほど浴びていないだろう。
消えることなど想像もできなかった太陽は、カグツチとなり、
更にはそれを破壊した。
光など存在しない、ただ静かなる狂気が存在する闇。
だが此処には確かに存在する。
朝を向かえ、夜を廃し、光が雲を照らす。
「・・・綺麗だ。またこんな世界を見ることになるなんて…」
少年はポツリと口にし、微かに俯き、此処へ至る階段を囲う壁へと身を預け、
鮮やかに照らす日の光が創り上げた影へと隠れる。

―――今の僕には少し、眩し過ぎるくらいだ。

目を細め、その光を嫌うかのように、纏った布に身を深く沈めた。
太陽はまだ天頂へと達していないが、
全ての者たちを照らすに十分過ぎる光が届いていることには変わりなかった。

(このまま誰にも会わず、存在を消し続けることができるだろうか?)
(いや、この地に囚われている生贄たちの血が見たい…)
(だが、もう人の欲で面倒に巻き込まれることになるのは御免だ)
(友人をこの手で打った快感を忘れたわけではないだろ――)
交互に繰り返される問答。

――何を考えても、答えは出ない…か。

ふっと溜息をつき、天を仰ぎ見る。
抜けるような青空。
それに比べ、似つかわしくない己という存在。
普通に学校へ通い、普通に勉強し、進学や就職について人並みに悩んでいた頃なら、
気分も変わったかもしれないこの空の青さ。
――考える事すら馬鹿馬鹿しい。
もう、全て消してしまいたい。
そして自分も消してしまいたい…。
破壊と虚無への欲望に駆られながら、
少年は再び俯き、足元へ短く伸びる影を目で追った。


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