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没作品供養スレ

7狂気と渇望の果てに… ◆XBbnJyWeC.:2006/07/07(金) 13:48:11
高層ビルのそびえ立つ、臨海地区だった街。
身に布を被った少年は文明によって創られた、高い建物の上に立っていた。
限られた人間が閉じ込められたこの街に、警戒しながら歩く者がいたとしても、
ビルの上、それも道からは決して見えない場所までは警戒が届かない。
地上を歩けば誰かに遭遇する可能性も有り得る。
人目を避け、この街の情報を得るためには、上空が最も回避率の高い場所だと踏んだのだ。

この狂気の世界――いや、創世を潰した世界の方がずっと狂気の沙汰だったのかもしれないが――へ呼ばれた時、確かに声は言った。
「浮いている」と。
ならば、本当に浮いているのか確かめるのも面白い。
どれほどの規模で街が「浮いている」のかを見てみたい。
ただ、それだけだった。
何故浮いているのか、どうすれば地上に着陸するのか。
それを考える前に、まず本当に浮いているのかを確かめたかった。
いや、むしろ足が勝手にこちらに向いた…という方が正解か。

―――確かに、この大地は浮いている。
底がないと思える程に、青い空間が広がる。
土に根を降ろさず、そこには空が存在した。
――だが、だからどうした?
だからといって己の置かれる状況が変わるわけでもない。
無が支配している闇に戻れるわけでもない。
少年はその行動の無意味さに失笑し、無限の青を眺めていた。


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