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没作品供養スレ

11迷いの末に訪れる冷静 ◆XBbnJyWeC.:2006/07/07(金) 13:51:10
「――久しぶりじゃない、尚紀君。」
ダレダ。
何だこの違和感は…其ハ誰の名ダ。
ナオキ…尚紀。

  (アァ…俺ハ・・・…僕の…人としての名だ。)

そうだ。
カシマナオキ…嘉嶋尚紀。
狂気の衝動が徐々に薄れていく。
緋に染まる瞳はその色を戻し、発せられる禍々しい気は消失していく。
手を横へと振り、血を求める仲間を消し去った。
散乱する悪魔の肉と咽返るような血の臭いの中、独りの少女が立っていた。
  (そうだ。僕は…僕は彼女を知っている。)

「久しぶりだね…千晶。」

人として生きた唯一の証である己の名を知る数少ない人物。
だが、僕をそう呼んだ人は皆死んだ――。

―――ソウダ オ前ハ独リダ。 求メヨウトモ 仲間ハオラヌゾ…
違う!生きる為には仕方なかったんだ!

―――狂気ニ駆ラレ 破壊ヲ悦ビト感ジテイル 今ノオ前ガ
     何ヲ求メルノダ…ククククク…
煩い!自ら求めているものは、こんなことじゃないんだ!

心の奥底で目覚めている、何者かに干渉される影を、少年は底深くへ呑み込んだ。
歓喜の表情で少年を見つめる少女。
彼女は少年の姿をただ、邪な笑みと共に見つめ返し、彼の背後へと視線をずらした。


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