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【原作】ドラキュラ・キャスバニ小ネタ/SSスレ【準拠】

17無題(5/6):2007/01/04(木) 03:30:21
「いいんだ。今では愚かな俺にも親父の選択が正しい事がよく判る」
――ヒュー……俺は今までお前の何を見てきたんだろう? いつものお前なら語気を
強めた口調で「さっさと行け! グズグズするな」と人が戸惑っていようがいまいが、
状況に応じて一瞬で判断し的確な指示を出して俺をいつも護ってくれていたお前が
……こんなにも弱くなるなんて。
「抱き起こそうか?」
 ネイサンは惰弱な精神の持ち主に堕した彼に、手を差し伸べようとした。
余りにも痛々しい姿になった彼を放って置く事が出来なくなり、今度は自分が護ろうと
考えたからだ。
「フッ…。これ以上、俺に恥をかかせるな」 
 しかし、ヒューはそんなネイサンの甘さを見抜くと、共倒れを避けるために敢えて愛する
者の申し出を揶揄した口調で拒絶した。
――それがお前の弱点だ。目の前の悲劇にすぐ対処しようとする。お前の目的はなんだ?
 ヨーロッパの全キリスト者を救うためにその聖鞭を振るうんじゃないのか? 
お前が与えられた使命を果たせ……
「親父を…。師匠の手助けをしてくれ。頼んだぞ」
 そして、儀式の間の扉にかけられている封印を解除するための鍵の在処を教えると、
ヒューは瞳と同じ漆黒の長髪を痛む手で掻き揚げ、いつもの自信に満ちた顔付きに戻って
ネイサンにその顔を向けた。
 ネイサンは今までであれば、「俺が一人で助ける!」とがむしゃらに息巻いて一人で事を
なしていた彼が、他人に事を任せたことに軽い驚きと、何故だか判らないが、いつも自分に
見せる、眩しいくらいの自信溢れる表情に戻った事を嬉しく思い、
「分かった」
 と満面の笑みで答え、鍵のある部屋へと走り去っていった。


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