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TSFのSS「ターニング・ポイント」

3luci★:2016/11/02(水) 00:56:12 ID:???0
「高遠先生いらっしゃったんで――うっ臭っ! あっ?!」
 背後からフラシュライトが照らされ、顔見知りの警備員の声がした。思わず振り返ると闇に慣れた目が光を拒んで自然と手で遮っていた。
「待ってくれっ、私は」
「そこっ動くなっ――警備室、高遠先生のところに侵入者だ、応援頼む!」
 とにかくこの状況を打破しないといけないが、狭い扉の前に警備員がいる。出口は窓を除けば一か所しかない。窓から飛び降りようにもここは四階だ。ただでは済まない。そんな逡巡をしているうちに、不用意にも警備員が近づく。
「やっと捕まえたぞっ最近うろちょろしやがって、この泥棒猫がっ。高遠先生ご無事で――ひぇっ?!」
 ライトに照らされた死体を見たのか、警備員がひるんだ。高遠はその隙に乗じて書類を投げつけ脱兎のごとく走り出した。
「あってめっ」
「うぁ?!」
 翻った白衣の端を掴まれ一瞬足が鈍る。が、大きめの白衣はするりと脱げてしまう。
「まてっ――ぐぎゃ」
 無様にもオフィスの書類に足を取られた警備員は派手に転んでいた。それをしり目に真っ白な裸体は闇に消えていった。

 階段側オフィスから、男の怒鳴り声と女の微かな声が聞こえてきた。それまで震えていた手がすっと自分の意志通りに動くようになった。男は汗の滴る頬に笑みを浮かべていた。


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