したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

Pitiful creature of darkness・・・

42Pitiful madonna of darkness・・・ 第四話:2007/02/26(月) 01:17:04

その時、超獣ガマスと目が合った。
引き裂かれた腹から引きずり出された内臓を抱えて苦しむガマス。
その目は語っていた。
“もう、許して”と・・・。

「みんな、許して!」
ウルトラの母は、マザーは破壊光線を放った!

周囲を埋める、超獣たちの屍。
その中に、ウルトラの母は突っ伏していた。
突っ伏して、ただ泣いていた。
「ごめんね、ごめんね、ごめんね・・・」
彼女は号泣する。
超獣たちの悲しみを思い・・・、
超獣たちを救えなかった悲しみを思い・・・、
超獣たちを、自らの手にかけざるを得なかった悲しみを思い・・・、
彼女は、ただ号泣する。

悲しみに引き裂かれていくウルトラの母。

そんな彼女の心に囁きかける声があった。
歌うような、甘く艶めいた声が。

「悲しいだろう、ウルトラの母よ・・・」
「苦しいだろう、光の聖母よ・・・」
「つらいだろう、慈愛の化身よ・・・」

「その悲しみを・・・」
「その苦しみを・・・」
「そのつらさを・・・」
「我(われ)が癒してやろう・・・」
「我の偉大なる力で・・・」

「さあ、全てを委ねるのだ・・・」
「さあ、身も心も全て、我に委ねるのだ・・・」
「さあ、我に委ね、我に従うのだ・・・」

「さあ、ウルトラの母よ、我を受け入れよ・・・」
「さあ・・・」
「さあ・・・」
「さあ・・・」

引き裂かれた心に、歌うような甘い囁きがしみこんで行く。

いつの間にかウルトラの母の泣き声は止んでいた。

そして・・・、
バリン
空間が割れ、ヤプールが姿を現した。

突っ伏したままのウルトラの母の前に立つヤプール。
母が顔をあげる。
彼女は、微笑(ほほえみ)を浮かべていた。
あらゆる悲しみから解き放たれた、だがしかし、どこか空虚な微笑を。
主(あるじ)に全てを委ねきった者のみが見せる、空虚な微笑を。
ヤプールは、無言で右手を突き出す。
その手に、忠誠の口付けを行うウルトラの母。

光の聖母ウルトラの母は死んだ。
彼女は生まれ変わったのだ。
ヤプールの下僕たる、闇の聖母として。

そして、ヤプールに肩を抱かれながら、ウルトラの母は異空間へと去っていく。

後にはただ、超獣たちの屍だけが残されていた・・・。

****************************************


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板