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36合わせ鏡の物語〜悠二の章〜完結編 1/7:2005/07/22(金) 19:47:55 ID:x0jj.buk
 進路を決めると後は動くだけ。
 坂井悠二は慎重に歩を進める。
 ただ、先ほどから体がおかしい。眩暈がする。時々物が二重に見える。
 それは水の煌き。研磨され鏡のような石。そして水面。
 自身の変化に戸惑い小さな水溜りの側に座りこむ。
「どうなってるんだろう。僕の体は」
 悠二は考え込む。先ほどの制限の解除の影響だろうか。
 いや、それでも二重に見えるのは特定の物。その特徴はなんだろうか。
 水の煌き。研磨され鏡のような石。そして水面……
「まさか……鏡?」
 脳裏に浮かぶは合わせ鏡の物語。鏡、鏡……水鏡……
「異界の形成が始まっているのか? 何故僕に見える? まだ2日目になってないのに」
 あの話と内容が違う。何故……いや、僕が物語を拾ったのはどこだった?
 そのときに拾った物はなんだった?
「水……ペットボトルの水」
 ガラスの剣を水で洗った時血の落ちが異様に早かった。
 そしてかすかな鉄錆の匂い。これが意味することは、あの水に何かが入っていたということ。
「この現象は、あの水に……血が混ざっていたのか……?」
 ふと水面を見る。そこは相変わらず二重に見え、
 平衡感覚が歪むような強烈な眩暈を襲われて目の前の景色が"ぐにゃり"と歪んだ。
        
「うぁ…………」

 動けない、体が傾く。

 ぱしゃ!

 意外に軽い音を残して底の浅いはずの水溜りに悠二は沈み込んだ。

 ――鏡は死者の国につながっている

 その脳裏には物語の一文を浮かべながら。


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