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没ネタ投下スレッド

1名無しさん:2005/04/10(日) 20:57:02 ID:EGTFaGMo
書いてたキャラを先に投下された
書いては見たが矛盾ができて自分で没にした
考えては見たが状況からその展開が不可能になってしまった

そんな行き場のなくなったエピソードを投下するスレッドです。
没にした理由、どこに挿入する筈だったのかを添えて投下してください。

2</b><font color=#FF0000>(wh6UNvl6)</font><b>:2005/04/20(水) 22:38:05 ID:Hw7b583Y
宗介とかなめがクルツの死を悲しみつつ商店街を歩いている時、
彼らと一時別れた祥子・しずく・オドーの三人はまじめに食料を探していた。

「BBは何処にいるんでしょうか…?火乃香さんのことも気がかりです」
誰にともなくしずくはつぶやいた。
今、自分は商店街の端にある酒屋の中で食料を探している。
しかし意識はこのゲームに参加しているはずの知人の方へと向けられる。
「そもそもザ・サード管理下にある私達をどのように連れ出したのでしょう…痛っ!」
思考に集中していたため、足元にあるわずかなへこみに足をとられて転倒。
(何してんでしょう私…あら?)
転倒し、視線が低くなったおかげでカウンターと床のわずかな隙間に取っ手が見えた。
「何であんなところに取っ手が?何か隠し物でも有るのでしょうか?」
(こういう時は、とりあえず報告しましょう)
しずくは店を飛び出した。
オドーには気がかりな事があった。
「恐ろしい、恐ろしい民族だな。日本人とは…」
原因は先ほどからの千鳥と宗介の様子だった。
宗介に出会ったのもつかの間、いきなり千鳥は宗介に蹴りを入れ、
空腹を指摘されるとバックで顔面を殴打した。
しかも彼女にはそれが日常らしく、彼女は普通の高校生だという。
「ならば、ならば普通の高校生は日常的に強力なツッコミを入れることになる」
日本で暮らす事になった自分の唯一の血族である、
ヒオ=サンダーソンのことが猛烈に心配だった。
(あの娘は、あの娘は本当に大丈夫だろうか…!)
そんなオドーの心を吹き飛ばすように声が聞こえた。
しずくが自分を呼んでいる。
「ここです、オドーさん」
「分かった、分かった。私がカウンターをどかせば良いのだな」
パチンッ!
指が鳴り、カウンターが斜め上から打撃され横にスライドする。
「やっぱり、扉です」
そこには頑丈そうな鉄扉が床にすえつけられていた。
「鍵が、鍵がかかっているな。ではこのアンチロックブレードとやらでこじ開けるか。
しずくは、祥子を呼んできてくれ」
「はい、そろそろ八百屋のシャッターを開けてくれている頃ですね」

3</b><font color=#FF0000>(wh6UNvl6)</font><b>:2005/04/20(水) 22:39:26 ID:Hw7b583Y
---数分後---

三人は扉が封じていた物を見ていた。
「地下室…ですか?良く見つけましたねこんな所」
「そうなんです。怪我の功名というかなんというか」
しずくは転倒したことは隠して、しかし何処と無くうれしそうだ。
「まず、まず私が入ろう。何が有るかわからんからな」
オドーに続いて祥子・しずくも地下室に入ってゆく。
地上の光と懐中電灯の光だけが頼りだ。
しかも入った地下室は思ったより広く乱雑に物が置いてあり何が有るのか良く分からない。
「えっと、ここにスイッチが在りますね」
次の瞬間部屋に光がともりそこになにがあるかがはっきりとした。

「ここは、地下室?」
見渡すと冷蔵庫、テレビ等があり、窓がない以外は
普通のマンションの一室と代わらないような部屋だった。
「これは、これは休憩するにはもってこいの場所だ。」
「それではこちらに集合しましょうか?」
「そうするとしよう。しずく、千鳥と軍曹を呼んできてくれ」
しずくが去った後、オドーと祥子だけが残された。
「さて、さて我々は本題に入ろうか」
「何のことです?私に問題でも?」
「なかなかの、なかなかの演技力だった。しかし貴様は軍曹に注意を払いすぎだ。
 不自然なほどにな」
「当然です。あの人は、会ったばかりの私を殺そうとしました」
「あくまで、あくまでしらを通すつもりか?ならばこちらにも考えがある。」
そういうとオドーは指を鳴らした
見えない力が祥子を押し付けた。
「ぐっ!なんですかこれは!?」
床にへばりつきながら祥子は口を開いた。
「これが、これが私の力だ、手加減はしているが。」
「…」
相当な力で押し付けられる、体が潰れそうだ。
「時間が、時間が無いのでな。駆け足で質問させてもらおうか」
喋らなければ殺される、そう察した祥子は真実を話した。


「そういう、そういうことか。要するに人探しの途中か、危ない橋も渡ってきたようだな」
「はい…」
祥子は全て真実を話したが、一つ嘘をついた。
彼女の殺人は全て相手が襲ってきてそれに立ち向かった結果とした。
オドーの指が扉をさす。
「止めはしない、彼らが、彼らが来ないうちに行くといい」
「私は敵となるかもしれないのに…なぜ?」
「簡単な、簡単なことだ。獅子身中の虫などいらぬ、だが自ら進んで殺す気もない。
 私はこんな下らんゲームには反対なんでな」
「そうですか・・・では、私はお言葉道理に行かせてもらいます」
銀の剣を握りしめ、踵を返す。
地下室から去り行く祥子にオドーは声をかける。
「探し人が、探し人が見つかったら戻ってきてほしい。
 共に脱出法方を考えよう…」
祥子の返事は聞こえなかった…。
しずくに呼ばれた宗介達は少し遅れて地下室にやってきた。
飲料水確保に手間取っていたらしい。
宗介は祥子が居ないことに気づき、
「大佐、あの女は何処に?野放しにすると危険ぐはぁ!…何をする千鳥」
「うるさい!ったくあんたはどーしてそうネガティブな方向へ話を持ってくのよ!」
「しかし、常に最悪の状況を考えて行動しなければ最悪の事態に陥る、この前とある国の…」
オドーは二撃目を叩き込もうとする千鳥を制し、
「もうよい、もうよいのだよ軍曹。彼女は人探しの途中だった、群れるより
 単独の方が動きやすい。だから別れた、過去のことはこの際忘れろ」
「…了解しました」
場に漂う気まずい雰囲気を壊すため、しずくが口を開いた。
「じゃあ私達はこれからどうしましょうか?」 、
「そうだな、とりあえず、とりあえずは食事を取るとしよう。
 そのあとはこの後の行動の検討。私と軍曹の腕の見せ所だな」
さらに宗介をを見て、
「軍曹、軍曹は何か意見があるか?」
「ハッ、進路を決めるのは次の放送の後からのほうがよろしいのではないかと。」
「ふむ・・・そうだな、それでは、それではそうするとしよう」
「そんじゃあ今からはあたしの出番ね、しずくも手伝ってくれる?」
「ええ。」
二人はキッチンへ向かっていく。
「さて、いっちょやりますか!」

4</b><font color=#FF0000>(wh6UNvl6)</font><b>:2005/04/20(水) 22:42:45 ID:Hw7b583Y
【C3/商店街/11:00】
【正義と自由の同盟】
残り88人

【相良宗介】
【状態】健康
【装備】ソーコムピストル、スローイングナイフ、コンバットナイフ
【道具】荷物一式、弾薬
【思考】大佐と合流しなければ。

【千鳥かなめ】
【状態】健康、精神面に少し傷
【装備】鉄パイプのようなもの(バイトでウィザード/団員の特殊装備)
【道具】荷物一式、食料の材料。
【思考】早くテッサと合流しなきゃ。

【小笠原祥子】
【状態】健康
【装備】銀の剣
【道具】荷物一式(毒薬入り。)
【思考】オドーに借りができた。祐巳助けてあげるから。

【しずく】
【状態】機能異常はないがセンサーが上手く働かない。
【装備】エスカリボルグ(撲殺天使ドクロちゃん)
【道具】荷物一式
【思考】BBと早く会いたい。

【オドー】
【状態】健康
【装備】アンチロックドブレード(戯言シリーズ))
【道具】荷物一式(支給品入り)
【思考】協力者を募る。知り合いとの合流。皆を守る。

他人のNG判定作品を改造したもの、結局全部無しになってしまい
これも日の目を浴びることなく。

許してくれるならこれをさらに変えてオリジナルとして投下するつもり。

5名無しさん:2005/04/20(水) 23:18:14 ID:D7qZuQnc
ここに移してくれた人に感謝します。
手間をはぶいてくれてありがとうございます。

6</b><font color=#FF0000>(ImLUsV8k)</font><b>:2005/04/23(土) 02:00:12 ID:AKR/4Nq.
もう一月ほど前のことになる。

竜堂終のデイパックには、
「月と貴女に花束を」の「久遠の月」を入れようと思っていた。

あれは持ち主の命を削って、真の力を発揮させるマジックアイテムだったはず。
ピンチになったら竜化して大暴れして、そして苦しんでくれるだろうと思っていた。
そして、それが誰かに渡ってもリナが竜破斬を全力で撃てたりして面白いかな、と思った。

月花のアイテムを出して良いか?と議論スレで聞いたその2分後
終で話が進行してしまった。

ギギナと被せようとも思っていたが、それも水の泡と消えた。
「西海白竜王」対「竜殺しのドラッケン族」ってすごく熱いとは思わないか?

まあ、その段階で消してしまったから、もうその文は残っていない。
ここに落とせるようなレベルの文でもなかったから、
残しておいたりしないでよかったとも思う。

71/4:2005/04/24(日) 18:34:42 ID:EGTFaGMo
悠二はその異様な物体を恐怖に竦みながらも観察していた。
「ふもーーふぉもふぉもふぉもっふぉも」
どうやら笑っているようだ。それにあの姿には見覚えがあった。
『ボン太くん…だよな?』
そう、ある遊園地のマスコットとして局地的に有名なキャラクターの着ぐるみである。
ボン太くんはずずい、と悠二に迫ってきて肩に手を置いた。
『うひぃぃぃぃぃいいぃいい!』
竦んで声が出ないため心の中で悲鳴をあげる。
銃を取り出そうかとも思ったが、この分厚い着ぐるみに弾丸が通用するかどうかあやしかった。
そうでなくても狙撃銃では至近距離では扱いにくい。
銃器の素人である悠二には成す術はなかった。
まな板の上の鯉状態で悠二が硬直していると、ボン太くんはくるりと悠二に背を向けて
腰の辺りを後ろ手にたたいた。どうやら背を叩きたいが手が届かないようだ。
その意味を悠二はあごに手を当てて考える。
逃げるなら今しかないのだが、どうも相手に敵意はないようだ。
いや、それでもこの圧倒的な威圧感に心臓は握りつぶされそうなのだが。
そしてボン太くんの腕を挙げたり下げたりするしかないジェスチャーでようやく気付く。
『脱がして……欲しいのか?』
一人では絶対に脱ぐことはできず、観客を白けさせない為に脱衣機構は外から見えないように
されているため知らない人にはおいそれと手を出すこともできない。
しかし幸い自分は着ぐるみの脱衣機構は知っている。
以前、父の知り合いの頼みでヒーローショーのアシスタントをしたことがあったのだ。
この手の着ぐるみは構造的にどれも大差はない。
この異様にシュールな光景から逃れられるのならここは脱がすべきだろう。
そう判断し、悠二はボン太くんスーツを脱がしに掛かった。
そして悠二はこの判断を早速後悔することになるのだった。

81/4:2005/04/24(日) 18:35:23 ID:EGTFaGMo
上半身部分を脱がせ、ボン太くんのマスクをはずす。その途端……
「をーーーーほっほっほっほっほほほほほほほほほほほ」
「坂井悠二!貴様はこんなところで何をしている!」
「うわぁっ」
突然響き渡った哄笑と叱咤に驚いて悠二は思わず尻餅をつく。
そして知っている声がしたことに再び驚愕した。
「あ、アラストール!?」
「おや、アラストールの知り合いかえ?」
そういって小早川奈津子は悠二の顔を覗き込んだ。
『ひぃっ』
思わず仰け反ったが奇跡的にも声はでなかった。
もし悲鳴を上げていたらその瞬間殺されていたかもしれない。そんな威圧感を感じてしまう。
「うむ、先ほど話した我とシャナが保護しているものだ」
「ふぅーん、そうかえ。なかなか可愛い顔をしているねぇ」
悠二の背筋に蟲が這い回るような怖気が走る。
「をーーーーーーほっほっほっほっほっほっほっほっほ
 分かったわ!邪魔者を蹴散らし、麗しの大日本帝国に帰還した暁には
 あたくしの美少年牧場の末席に加えてあげてもよくってよっ。よくってよ!
 をーーーーーーーほほほほほほほほほほほほほほほほっほほほほほほほほほほほほほほほ」
逃げる。
悠二の決意は瞬時にして固まった。
震える手足を強引に意志の力で押さえつけ、小早川奈津子に話しかける。
「あ、あの…すみません。お話は、その、とても有り難いんですけど
 まずは着ぐるみを完全に脱ぐか再び着るか致しませんか?
 僭越ながらお手伝いさせて頂きます」
「坂井悠二?」
アラストールは怪訝な声をあげるがこれは悠二の作戦だった。
この短いやり取りで小早川奈津子の性格を把握した悠二はわざとへりくだることで油断を誘ったのだ。
彼女は着ぐるみを上半身だけ肌蹴させた状態で、下半身はいまだに着ぐるみの中だ。
「良い心がけね。あたくしは小早川奈津子。天使のなっちゃんとお父様には呼ばれていたわ。
 奈津子様でもいいけど、特別に女王様と呼ばせてあげても良くってよ!」
もはや何の脈絡もない。

93/3:2005/04/24(日) 18:36:50 ID:EGTFaGMo
「この服はあたくしの戦闘服。空調機能もついていて快適だわ。
 あたくしはこれを着て戦場を駆ける。つけるのを手伝いなさい。
 その後、わたくしの奴隷として仕えるのよ!をーーーほほほほほほほほ」
「あ、ありがとう…ございます……奈津子さま」
いやだ、と叫びそうになるのを懸命に堪え、悠二は奈津子の後ろに回る。
そして再びボン太くんスーツを着ようと彼女が屈んだ瞬間に
首にあるペンダントのチェーンのホックを外し、アラストールを掴んで一目散に逃げ出した!
「な、何のつもりだ?坂井悠二!?」
「あーもう、少し黙ってろよ!あいつが危険なヤツだってことくらい分かるだろ!
 逃げるんだよ!そしてシャナと長門さんを探す!!」
「む、うむ。」
後ろの方では悠二の逃亡に気付いた小早川奈津子が追いかけようとしたが
着ぐるみに足を取られて無様に転んでしまっていた。
「うぬ、卑劣な!」
着ぐるみを完全に脱がせなかったのは時間稼ぎのための悠二の目論見だった。
しかし小早川奈津子は瞬時に体勢を立て直すと一度経験をつんだとはいえ、
驚くべき速さでボン太くんスーツを装着し、悠二を追いかけ始める。
ここに決死の追いかけっこが始まった。

【F-5/森/1日目・6:58】
【残り88人】

【小早川奈津子】
[状態]:絶好調
[装備]:ボン太君量産型(脱衣不可能)
[道具]:デイバッグ一式
[思考]:1.坂井悠二を追う。2.竜堂終と鳥羽茉理への天誅。3.正義のための尊い犠牲をこの手で
【坂井悠二】
[状態]:健康。
[装備]:狙撃銃PSG-1 コキュートス
[道具]:デイバック(食料、水なし)
[思考]:1.この場から離れる 2.長門さんとシャナの捜索

10名無しさん:2005/04/25(月) 18:20:48 ID:SSW2U736
ガユス動かそうと思って書いたけど、途中で書くの飽きたからポイ捨て。
ってかされ竜まだ六巻まで読んでないし。



 屋上に出て、いきなり狙撃された。
 しかし、日頃ギギナの剣を避け続けている俺の反射神経が、危機を察知して体を動かしたため、弾丸はきわどいところで鼻先をかすめていった。
 日頃の研鑽に感謝だ。これからもからかおう。生きて帰れたら、の話だが。
「さて……」
 とりあえず何をするにしても、魔杖剣と咒式弾がないと話にならない。
 異世界の美女と美少女にまで眼鏡の付属物呼ばわりされるのは嫌だし。
 幸いにして、俺の魔杖短剣<贖罪者マグナス>と咒式弾の場所は分かっている。あとは取りに行くだけ。
 屋上に出て安全なルートを探ろうとしたところで、向かいのビルから狙撃されている。
 相手は、ビルに入る前に撃って来たのと同一人物だろう。あれから随分時間も経っているはずだが、まだ屋上で粘っていたらしい。暇な奴め。そんなに暇なら川原のゴミ拾いでもしてろ。赤の他人を狙撃するよりよっぽど喜ばれるぞ、うん。保証する。
 こんな時でも戯言を思い浮かべてしまう咒式士の業を軽く呪いつつ、考える。
 屋上には狙撃者のせいで出れなかったが、途中の階の窓から見るに、特に危険はないように思える。
 とはいえ生体強化系咒式も使ってない人間の視力で、遠く離れた箇所で物陰に隠れている誰かを見つけることなんて不可能だろう。
 危険はある。それもたっぷり。
 それでも行くのかと自分に問えば、
「行くしかないか」
 俺の近接戦闘能力は高くない。

11Make a Pledge to Survive その1:2005/04/28(木) 20:10:00 ID:Hw7b583Y
オドー生存または飯を食う時間があったらこっちだった。
結局はもう片方を投下したわけだが。

「よし、とりあえずメニューはこんなものね。」
紙にメニューを書き意気込む千鳥、その量はかなりのものだ。
「こんなに食べるんですか?」
「え、いや、その…ほら、どうせなら夜の分まで作っちゃお〜かな、みたいな。」
あは、あはははははと乾いた笑い声を漏らす。
本当はよく考えもしないで作ったなどと言えるはずがない。
「ああ、確かにいい考えですね。」
真意を知ってか知らずかしずくが同意する。
「よし、じゃあ早速始めましょうか!」
気合十分、腕を捲り上げながらかなめが言った。

彼女たちに料理を任せている間、宗介とオドーはこのゲームについて考えていた。
「軍曹、君は、君はこのゲームの規模についてどう思うかね。」
「はっ…このようなことを黙認させようとするならば
最低でも一つの国家規模、最悪の場合世界規模の組織が絡んでいる危険性が。」
そう言いながらも宗介は頭の中でこの考えを否定していた。
仮にそんな組織があるとしたらミスリルの情報網に必ず引っかかるはずである。
それに仮に隠しとうせたとしてもそもそもこの島にどうやってあれだけの人数を連れてくるのか、
目の前で死んだガウルンがどうしてこの島に来ていたのか、
彼の常識では計り知れない力が働いている気がする。
『魔法とでもいうのか…ナンセンスだ。』
彼はラムダドライバのことを思い出した、あの装置はまさに魔法のようだが
それでもまだ確実な理論のうえに成り立っているらしい、
その理論を理解できるものは限られているが。
「軍曹、君は、君は本当にそう思っているのかね?」
見抜いているかのようにオドーが言った。
「・・・・・」
宗介は沈黙する。
「軍曹、笑わずに、笑わずに聞いてくれ、
私はこのゲームの規模を世界を遥かに超えていると思っている。」
オドーが切り出した。
「と、申されますと?」
「一つの世界では収まらないのだよ。根拠は君と、君と私の世界の違いだ、
私の世界に君の言う《アームスレイブ》なるものは存在しないのだよ。
そしてこれはおそらくだが、君の世界に私のようなものは存在しないはずだ。」
「…肯定です。」
認めたくはないがといった調子で宗介が答えた。
「つまり、つまり我々はこれから未知の相手と闘わなければならないのだ、
彼女の前でやるのは気が引けるかもしれんが…敵と判断したら躊躇わず殺せ。
でないと我々は生き残ることは出来ん。」
冷たい響きの言葉が告げた。
「了解しました、サー。」
宗介も冷たく答える。
またカシムと呼ばれたあの頃に戻ることになるかもしれないと思いながら。
ちょうどそのときキッチンから千鳥としずくが現れた、手は料理で塞がっている。
「できたわよ〜、ほら、テーブルの上さっさと片付けて。」
「おお、こいつは、こいつは旨そうだ。」
この話は終わりといった感じでオドーはテーブルを片付けながら言う。
「まだキッチンにあるから持ってくるの手伝って。」
「分かった、軍曹、軍曹行くぞ。」
「ハッ!」
オドーの後に宗介がついていく、そんな二人を見て千鳥は
『なんだか、親子みたいね。』
とか思っていた。

12Make a Pledge to Survive その2:2005/04/28(木) 20:10:50 ID:Hw7b583Y
テーブルの上には料理が所狭しと並べられている。
それぞれのグラスにはオドーのみブランデー、他の3人のにはジンジャエールが入っている。
「大佐、よろしいのですか?このような状況でアルコールを摂取するのは…。」
宗介が言った、自分の仲間には酒飲みが多くそれをたしなめるのは彼の役目だった。
(ただテッサは彼が勘違いしているだけなのだが。)
「固いことを、固いことを言うな軍曹。
それにこうして皆と会えたのだ、こういう節目は酒に限る。」
オドーが言った、その言葉に宗介と千鳥はクルツのことを少し思い出した。
『もしクルツがここにいたら、奴も同じようなことを言っただろうな。』
少し悲しそうな目をした宗介を千鳥は見過ごさなかった。
「しずく、もう1つコップ取って。」
「え?はい。」
意図が分からないしずくだがコップを渡す。
そのコップに千鳥はブランデーを注いだ。
「これは誰の、誰のぶんだ?」
オドーが尋ねる。
「…私たちの友達に、酒と女が大好きな人がいたから…。」
千鳥が答える。
オドーとしずくもその意味を悟った。
「そうか…それは、それは済まなかった。」
「大丈夫よ、こういうの好きな人だったから、むしろもっと騒ぎましょう。」
千鳥が微笑みながら言った。
「自分もそう思います大佐、騒ぐほうがやつへの供養になるかと。」
宗介も同意する。
「そうか…では、我々の、我々の出会いと、
帰らぬ友に…必ず、必ず生き延びるという誓いをこめて、乾杯!」
カウンターの上に置かれたコップに向けて、皆がグラスを掲げた。

【C3/商店街/11:15】
【正義と自由の同盟】
残り88人

【相良宗介】
【状態】健康
【装備】ソーコムピストル、スローイングナイフ、コンバットナイフ
【道具】荷物一式、弾薬
【思考】大佐と合流しなければ。

【千鳥かなめ】
【状態】健康、精神面に少し傷
【装備】鉄パイプのようなもの(バイトでウィザード/団員の特殊装備)
【道具】荷物一式、食料の材料。
【思考】早くテッサと合流しなきゃ。


【しずく】
【状態】機能異常はないがセンサーが上手く働かない。
【装備】エスカリボルグ(撲殺天使ドクロちゃん)
【道具】荷物一式
【思考】BBと早く会いたい。

【オドー】
【状態】健康
【装備】アンチロックドブレード(戯言シリーズ))
【道具】荷物一式(支給品入り)
【思考】協力者を募る。知り合いとの合流。皆を守る。

13Make a Pledge to Survive  </b><font color=#FF0000>(wh6UNvl6)</font><b>:2005/04/28(木) 20:11:43 ID:Hw7b583Y
トリップ付け忘れてた。

14森の中、物部景の決意 </b><font color=#FF0000>(mruv2jXQ)</font><b>:2005/04/30(土) 00:22:02 ID:JdwCcAMg
 ラノベロワ最初のかぶり作品。
 まさか第一話とかぶるとは思わなんだ。
 

(……状況は厳しい)

 物部景は沈痛な面持ちでこの馬鹿馬鹿しい現実を受け入れた。
唇の端を強く噛みしめ、拳に力を込める。
 否応なく全身が緊張し、心臓の鼓動が速くなる。
 
 100人以上による殺し合い。

 ラリったジャンキーの戯言だってここまでぶっとんではいないだろう。
 人を殺せば殺人罪だ。
 現代日本でそのような催しを行うなど不可能以外の何物でもない。
 しかし、現在景がいる場所は日本ではなく、同様に殺人者を裁く法もない。
 あるのはただ冷酷な現実だけだ。

 荷物を渡され門をくぐると一瞬の酩酊感。
 酔いから醒めたときには既に森の中だった。
 その場で素早く確認した支給品はホルスターに入ったナイフだった。
 刀子に似た、薄い刃のナイフだ。
 頼りないちっぽけなナイフが、文字通り、景の生命線となる。
 胸の位置でホルスターを固定。
 ナイフを納め、景は移動を開始した。

15森の中、物部景の決意 </b><font color=#FF0000>(mruv2jXQ)</font><b>:2005/04/30(土) 00:22:46 ID:JdwCcAMg
 それから既に1時間が経つ。
 依然として辺りは鬱蒼とした森だ。
 木々が密集していて、例え昼間でも光はほとんど入らないだろう。
 足元には根が縦横無尽に這い回っており、足元に注意を払いながらも、景は何
度もつまずいていた。
 暗い視界と足場の悪さに苦労しながらも、身を低くして移動を続ける。

(他の参加者について。島の全体像。食料と水。行動の拠点。把握しなければな
らないことは多い……)

 歩きながらも思考は休めない。
 考えて考えて考えろ。
 自分に命じる。
 思考することこそが今の物部景の最大の武器だ。
 簡単に死ぬ気はない。自分に誰かを殺せるとも思えない。まずは落ち着ける場所
を探す。情報を整理する。全てはそれからだ。

16森の中、物部景の決意 </b><font color=#FF0000>(mruv2jXQ)</font><b>:2005/04/30(土) 00:24:06 ID:JdwCcAMg
 ふと。
 濃い緑の匂いに、あの王国を思い出す。
 そこから繋がる連想に、思わず足が止まる。

 もしカプセルがあったなら。
 もし《影》を使えたのなら。

 ……状況は、幾分マシになるだろう。
 《影》は幾多の悪魔持ちを葬ってきた最強の剣だ。
 景の手足のごとく動き、景の統制の下敵を討つ。
 例えこちらから他者を傷つける気はなくとも、襲い掛かってくる者はいるかもしれ
ない。身を守る武器として、《影》は、ナイフなどよりもはるかに頼れる存在だ。

「僕は……」
 景は止めていた足を再び動かした。
 無愛想に引き締められていた唇が、自然と笑みをつくる。
 胸の中に生まれたのは、わずかな寂しさを伴った、穏やかな感情だった。
  
 もう、夜の時間は終わったのだ。
 自分と傍若無人な幼馴染が、大勢の力を借りて閉会の幕引きをした。
 彼女は眠りにつき、カプセルは消え、自分もただの少年に戻った。
 
 だから。

「今ある力で、足掻くだけだ」
 もう一度、幼馴染の笑顔を見るために。
 
 静かに。力強く。
 景は東へと歩を進めた。

17森の中、物部景の決意 </b><font color=#FF0000>(mruv2jXQ)</font><b>:2005/04/30(土) 00:24:57 ID:JdwCcAMg
【残り117人】

【F-3/森林地帯/1日目・01:00】

【物部景@Dクラッカーズ】
[状態]:正常
[装備]:刀子に似た薄刃のナイフ
[道具]:なし
[思考]:落ち着ける場所を探す/東へ移動中

18名も無き黒幕さん:2005/05/01(日) 05:00:46 ID:vgwsycBk
没り投下。

 ミズー・ビアンカは眠っている。苦悶の表情を浮かべ、汗をかく。
 新庄はタオルで流れる汗を拭いてやり、一息つく。
 ……ガユスさん、大丈夫かなあ。
 咒式士、龍理使いと自称する彼は、自身の武器を入手しに行き、ここには居ない。
 ひとまず偵察の為に屋上に行くと言っていたから、安全なルートを確認したら戻ってくるはずだ。
 ……戻ってくるよね?
 まさか一人で向かったりはしないだろうと、新庄は思う。
 ガユスは聡い人間だ。ビルの中を移動するぐらいはともかく、単独で島を移動するような真似はしないだろう。
 現状で、自分達の最大の武器は“剣”だ。大概の攻撃を防ぐ事が出来、攻撃にも使える。
 が、実を言えばそれ以外に武器はない。
 隻眼の男が落としていったナイフはある。が、新庄は後衛砲手であるし、ガユスも近接戦は『それなりにこなせる』程度であるという。
 新庄はミズーの汗をぬぐった。
 赤髪の彼女こそが、三人の中で最も秀でた近接戦技能者だ。
 その彼女も、今は気絶している。
 新庄は困ったような表情でミズーの顔を見て、

19名も無き黒幕さん:2005/05/01(日) 05:01:39 ID:vgwsycBk
「死なない……よね?」
 一つ呟き、天井を見た。こちらを照らすのは蛍光灯の光だ。
 その光は弱く、頼りない。
「……はぁ……」
 息を吐いた瞬間、ミズーが動いた。
「っ!」
 跳ね起き、動きの結果で痛みを感じる。
 左肩の傷口を押さえてうつむくミズーに、
「ミズーさん!?」
「平気……」
 押し殺した声でミズーが言う。
 そのまま動きを止めて少しして、ミズーが傷口から手を放した。
 血のにじんだ包帯を見て、新庄は眉を寄せた。
「ごめんね。鎮痛剤とかあれば良かったんだけど、なくて」
「平気よ。大分、楽になってきたから」
 答えて、ミズーが周囲を見回した。視線の先を見て、新庄は言う。
「あ、ミズーさんが気絶してる間に、使えそうなもの集めたんだけど」
 床に毛布を敷いただけのミズーの寝床の周り、幾つもの物品が転がっている。
 缶詰。タオル。食器。斧。救急箱。ロープ。蝋燭。懐中電灯。マッチ。糸。輪ゴム。

20名も無き黒幕さん:2005/05/01(日) 05:02:48 ID:vgwsycBk
 色々とあるが、全てを持っていく事はできない。
 それらを見回す中、ミズーの視線がある箇所で止まった。
「……そこの斧は、どこから持ってきたの?」
「火事の時に使うみたい。武器にはならなくても、何かに使えるかと思って」
 新庄は意外に軽い手斧を持ち上げ、ミズーに手渡した。
 ミズーは右手でそれを受け取り、軽く振ってみる。
 すっぽ抜けた。
「あ」
「きゃっ」
 ミズーの手を離れた斧は縦回転の動きを持ちつつ新庄の横を通過。そのままドアへと向かう。
 と、ドアが開いた。入ってきたのは眼鏡の男。
「あー!」
 新庄の叫びに、ガユスが飛来してくる斧を視認した。
「おおおっ!?」
 全力で背を反らしたガユスの上、胴のあった部位を斧が旋廻して飛び去った。
 続いて響いたのは、刃が壁に突き刺さった鈍音。
 静まり返った室内、動くのはのろのろと体勢を元に戻すガユスだけだ。
 気まずい沈黙の中、ミズーが言った。
「……何処へ行っていたの? ガウス」
「ミズーさん、それ磁力」
「名前ぐらい覚えてくれ……」
 脱力してガユスはへたりこみ、新庄は溜息をついた。

21名も無き黒幕さん:2005/05/01(日) 05:04:31 ID:vgwsycBk
「……人の名前を覚えるのは苦手なのよ」
 気まずそうに、ミズー。ガユスは手を顔に被せ、
「てっきり、状況無視した寒い冗句かと思った」
「言わないわよ」
「ところで俺はガユスの弟のガユセです。いつも兄がお世話になっています」
「え、……そ、そうなの?」
「新庄、名簿を見てみなさい」
「新庄、ボケにボケで返すとは流石だな」
「からかわないでよっ!」
 軽く怒気をこめて叫ぶと、ガユセ(嘘)が両手をあげた。
「すまんすまん。新庄が純情だから、つい」
「それで、ガユス。何処へ行っていたの?」
 ミズーの問いに、ああ、とガユスは答えた。
「俺の魔杖剣と咒式弾……説明はしたよな? それがある場所が分かったんだ」
「えっと、この地図」
 新庄が手渡した地図にミズーはざっと目を通し、
「詳細な地図ね。数字は何?」
「最後の紙に、文字がある。それと対応してるらしい」
「……私の知っているものは、特にないわ」
 ミズーは地図を返し、言う。
「一人で取りに行ってきたの?」
「いいや。まずは屋上から道を確認しようと思って向かったんだが」
 そこでガユスは言葉を切り、なにやらジェスチャーをして、
「狙撃された。いや当たってないから心配しなくてもいい新庄」
「良かった……」
 新庄はほっと胸を撫で下ろす。
「弾の飛んできた方角から推測すると、東南のビルから狙撃してるみたいだ」
「なら、このビルを背にして動けば問題ないわね」
 ミズーの言葉にガユスが頷き、思い出したように口を開いた。
「言い忘れてたがこのビル、俺達の他にもう一人いるぞ」
「え? ……ど、どこに?」
「二階だ。どうも怪我をしてるらしい」
「じゃあ、助けに行かないと――」
「――放って置きましょう」
「……ミズーさん?」
 静かに放たれたミズーの言葉。
「わたしもガユスも怪我をしている。これ以上足手まといが増えても不利になるだけよ」
「ミズーに同意」
「なん、で……」
 何故、と新庄は思う。
 何故、そういう事を言うのか。
 何故、見棄てるのか。
「だ……駄目だよ! もしかしたら、ボクらの知り合いかもしれないし……」
「その可能性はあるけどな……」
 複雑な表情でガユスは呟く。
「――では、こうしましょう」
 顔色を曇らせる新庄に、ミズーが提案する。
「まず、会いましょう。誰の知り合いでもないのなら、包帯と消毒液でも渡して恩を売っておく。相手が信用できて同行したいと言うなら連れていく」
「そ――」
 それなら、と言おうとした時だ。
「――相手が襲ってきた時は?」
「!」
 新庄はガユスを見る。眼鏡の奥に覗く彼の瞳は、冗句を言っているものではなかった。
 新庄の動揺を無視して、ミズーは答えた。
「動けなくなるまで痛めつけるか、殺すか。どちらにせよ、武器を持っていたら奪う」
「二人とも……なんで、そんなこと……」
「新庄」
 新庄の額に指を突きつけ、ミズー。
「わたしを信用しないで」
「…………?」
「わたし達は元々赤の他人よ。互いのことを良く知らない。いつ裏切るかも分からない。だから、信用してはいけない」
「ミズー、さん……」
「今は協力している。でも、裏切るかもしれないのよ? わたしも、ガユスも」
「そうだな。咒式士を手放しで信用すると寿命が縮まる」
 口々に言う、二人。
 うつむき、唇を噛み、新庄は呟いた。
「……でも」
 でも、の言葉を皮切りに、言う。強く。
「ボクは、信じたいよ……!」


【B-3/ビル一階/1日目・09:10】

【ミズー・ビアンカ】
 [状態]:左腕は動かず。
 [装備]:グルカナイフ
 [道具]:デイバッグ(支給品一式、支給品の地図にアイテム名と場所がマーキングされています)
 [思考]:1.二階の人物との接触。2.フリウとの合流
【新庄・運切】
 [状態]:健康
 [装備]:蟲の紋章の剣  救急箱
 [道具]:デイバッグ(支給品一式、支給品の地図にアイテム名と場所がマーキングされています)  部屋で発見した詳細地図
 [思考]:1.二階の人物との接触 2.佐山達との合流 3.殺し合いをやめさせる
【ガユス・レヴィナ・ソレル】
 [状態]:右腿は治療済み。戦闘は無理。疲労。
 [装備]:リボルバー(弾数ゼロ) 知覚眼鏡(クルーク・ブリレ)
 [道具]:デイバッグ(支給品一式、支給品の地図にアイテム名と場所がマーキングされています)
 [思考]:二階の人物との接触。

《メッセージ:三人の信頼度があがりました》

22名も無き黒幕さん:2005/05/11(水) 00:20:13 ID:f.0Fr1Nk
天候を変化させようって案が出てたから、参加者に伝えるためじゃなくて
書き手さんに現在の天候を探しやすくするつもりで書いたもの。
主催者側が出るのは不味いので結局没ネタに。

気象精霊天気予報その1

ミリィ「ミリィ」
ユメミ「ユメミの」
二人『気象精霊的天気予報ー』
ミリィ「って、緊急出動で呼び出しといて何をやらせるのよ、まったく」
ユメミ「まぁまぁ。とりあえず、これからの天気をお知らせするねぇ」
ミリィ「一日目13:00から18:00まで、A-1からG-4の地域で豪雨でしょう」
ユメミ「この予報は100%的中するので皆注意してねぇ」
ミリィ「私達が操作するからね。……何をやってるの? ユメミ」
ユメミ「宴会の準備をするのぉ。新しい亜空間通路通って疲れたからぁ」

パコン!!

ユメミ「いったぁ〜!」
ミリィ「仕事が先! ほら、計算しといてね」
ユメミ「わかったわよぉ。でもぉ、お酒飲みながらでも別にいいよねぇ」
ミリィ「はいはい。参加者にケガさせないように注意してね」
ユメミ「それぐらいわかってるわよぉ」

ミリィ「それでは皆、頑張ってね」
ユメミ「頑張ってねぇ」

【1日目・13:00〜18:00の間、A-1からG-4の範囲が豪雨になります。】

23タイムアウト・ビースト(彼女の喪失):2005/05/15(日) 19:34:06 ID:9HUQQCw6
先を越されたんで投げ捨てとこう。


 D-1、公民館。
 そこの玄関の前に、二人はいた。
「ガユスさんは――」
「まだ来てないようね」
 新庄の言葉にミズーは言い、コンクリートの床に腰を下ろした。
 先の放送では。
「ガユスの名は、呼ばれなかった」
「うん……だから生きてる、よね」
「ええ。だから待ちましょう」
 うん、と新庄は頷いた。剣を下に置き、ミズーの隣に座り込んだ。



 この時、二人は自分達が疲労していた事に、気付いていなかった。
 ゆえに、二人の死角から近付いていた者に、気付いていなかった。
 それが、二人が道を違える原因となる事に、気付いていなかった。



 ――いつだって、その瞬間はこともなくおとずれる。
 その瞬間の始まりは、たった一つの鈍い音でしかない。
 “きゅぼっ”と音を立てた熱線が、新庄の肩をかすめた。
「な――」
 に、という声を発する前に、現れたのは。
「――待っていた――」
 手に銃を持った隻眼の男。建物の影から抜け出るように、その男は現れた。
 新庄は剣を拾おうと、ミズーは立ち上がり迎え撃とうと、それぞれ動く。
「この時を待っていた! ミズー・ビアンカ!」
 だがその動きは絶望的なまでに遅かった。
 男――ウルペンの拳はミズーが立ち上がるよりも早く新庄の頬を捉え、
「っ――!!」
 殴り飛ばした。
 地に殴り倒された新庄を見やることもせず、ウルペンは足元の剣を離れたところに蹴る。
 その時にはミズーの念糸が炭化銃に繋がれていて、

24タイムアウト・ビースト(彼女の喪失):2005/05/15(日) 19:35:45 ID:9HUQQCw6
「ウルペン!」
 名を呼ぶと同時に思念が流し込まれ、それより一瞬早く手放した炭化銃が宙で火球に変じた。
 舌打ちもせず、ウルペンは腰に差したナイフを手に取って構え、後ろに跳び退りながら念糸を紡ぐ。
 紡がれた念糸が自分に繋がれるのにも構わず、ミズーは斧を構えた。
(剣ではない……)
 斧。剣とは違う武器。形状的に見て、投げるに適しているとはいいがたい。だが、
(この距離――)
 知らない距離。必中を予感できず、まともに投げれるかどうかも判らない。だが、
(念糸の技量では)
 負けている。しかも既に念糸を繋がれ、一呼吸で水分を奪い取られる状態。だが、
「新庄は関係ないでしょう!?」
 殴り倒されて気絶したのか……気配が全くわからない少女の名を叫び、ミズーは右腕一本で斧を投擲した。
 横回転で投擲された斧は、当然の様にウルペンを仕留めなかった。
 だが容赦の無い金属の刃は、彼の右腕を斬り落としていった。
「お……!」
 鮮血が砂地を染め、繋がれていた念糸が消える。痛みで集中を失ったのだろう。
 ウルペンの――蒼白の顔がこちらを見据えた。声無く口を開き、搾り出すような叫びが来る。
「――無様な!」
 侮蔑するような、それは叫びだった。
 流れ出る血に構わず、ウルペンが駆け出した。どうしようもない、彼の憤怒が大気を満たす。
「俺の呼びかけに答えろミズー・ビアンカ! 俺の信じた確かたるものを――」
 彼の左手。血を浴びて黒ずんだ刃がある。誰かを殺したか、傷つけた刃が。
 それを、ウルペンは構えた。記憶にある――最後の、イムァシアの廃墟での構え。
「――確かであると、信じるために!」
 彼の言葉の一つ一つを受け止めて、ミズーは念糸を紡いだ。
 銀の糸が、炎の意志を持って伸びる。
 それよりも早く、刃は飛んだ。刺さる。
 鉄が肉を穿つ感覚。
 胸に突き立った刃を見て、ミズーは体温が冷めていくのを感じた。
「本当に無様だ、ミズー・ビアンカ」

25タイムアウト・ビースト(彼女の喪失):2005/05/15(日) 19:36:53 ID:9HUQQCw6
 ウルペンの声が飛んでくる。それは酷く――遠い場所のように感じられた。
 霞む視界が、下がる。膝をついたらしい。放った念糸は当然の様に消え失せている。
「二度目の最後。だが結果が違う、か。俺は泣かずに逝けたが……」
 声は、既に聞こえなかったのかもしれない。鐘の音が聞こえていたから。
 遠く、遥かな彼方でイムァシアの弔鐘が響く。
 胸に突き立つ刃に圧力がかかった。
 ウルペンが、刃の柄を踏んでいる。
「……お前はどうなのだろうな。あの娘の為に、泣くか?」
 あの娘。
 それが誰を指しているのか――フリウ・ハリスコー、マリオ・インディーゴの名前を順に思い浮かべて――ようやく思い出す。
 新庄・運切。
 薄れる意識を無理矢理に集め、彼女の事を思い出した。
 無力な少女だった。あの剣がなければ生き残ることなど到底無理なほどに。
 意思の強い少女だった。純真な少女だった。少年でもある少女だった。
(わたしが殺されたら……新庄は?)
 切れ切れの思考が、それを想像した。
 瞬間――
 獣が起きた。
「――あ」

26タイムアウト・ビースト(彼女の喪失):2005/05/15(日) 19:40:23 ID:9HUQQCw6
 ウルペンを跳ね飛ばし、ミズー・ビアンカは飛び起きた。
 跳ね飛ばされたウルペンが何かを喋る。だが聞こえない。
 胸に突き刺さっていた刃を引き抜き、右手で構える。
「ああああああああああっ!!」
 絶叫の響き渡った刹那、ミズーの手から刃が消えた。
 飛来という過程を無視したかのように、刃は――
「……獣か……」
 ウルペンの胸に刺さっている。
 音も無く、糸が切れた人形のように倒れる、男。
 敵が倒れても獣の時間は終わらない。
 痛み。出血。疲労。
 すべてを無視して獣となったミズーは動く。
 その視線の先には――

「ミズー、さん……?」

 顔に青痣を浮かべた、新庄・運切がいる。



この後、獣の瞬間状態のミズーは新庄に襲い掛かる。
新庄は蟲の紋章の剣の障壁で防ぐが、ミズーは無数の念糸を紡ぎ、障壁を作る“虫”の一匹一匹に繋げて焼却。
新庄に切りかかろうとした瞬間に意識が戻り、終わクロ1上の人狼のような死に様で死亡。
最期の台詞は「――いきなさい」。
あとは新庄とフリウを合流させて、新庄からフリウのミズーの遺髪を渡させるつもりだった。

ふー。すっきり。

27<管理者より削除>:<管理者より削除>
<管理者より削除>

28名も無き黒幕さん:2005/05/23(月) 14:58:52 ID:hNdeEao2
ミズ―に「私たちのルールを決めましょう」と言わせたかった…
ミズーをウルペンかフリウに会わせたかった
ミズーにギーアをあげたかった
ミズーにスィリーと会わせたかった
ミズーをオーフェン(以下略

29ムンク没ネタ ◆eUaeu3dols:2005/05/26(木) 01:19:24 ID:S9PygSVg
11時55分。
ピピピピピピピピピピ……
テッサがセットした携帯電話の素っ気ない目覚まし音が鳴り響くと、
シャナはパチリと目を覚まし、即座にベッドから身を起こした。
「……おはよう」
「あ、シャナさん……」
「あら、おはよう。寝起きが良いのね」
「寝てられるわけないじゃないっ!」
言葉の端に有った軽い言葉にシャナが噛みつく。
「……悪かったわ。茶化せる事ではないわね」
ダナティアは素直に謝罪した。
テッサは別人のように引き締まった顔で。
リナは何も感じない様子で待っていた。
正午の放送を。

シャナは内心で怯えていた。噛みついていなければ不安だった。
そう、寝ていられるわけが無い。
この島がどれだけ危険な場所かは6時間前に既に証明されている。
リナとテッサの死んだ知人、ゼロスやクルツの話など最たる物だ。
物理的器が仮初めの物でしかない、紅世の王の如き強大な魔族も。
ただの人間だが、精密無比な狙撃の腕を持つ戦いのプロフェッショナルも。
等しく死んだ。
この島の何処かで、6時間以上前に殺された。
ならば、坂井悠二が生き残っている保証など何処にも無い。
ダナティアから聞いた、アラストールがコキュートスから生存を確認した話も、
7時まで……既に5時間も前の話なのだ。
(だいじょうぶ。悠二なら、きっと……きっと!)
頑なに信じる。
彼は大丈夫だ。彼なら、大丈夫だ。
何の力も無いくせに、少し優れた目と機転、後は僅かの勇気だけで、
紅世の従の企みを見通し、圧倒的強者相手にも助けが来るまで凌いだ事がある、
坂井悠二ならきっと大丈夫だと信じようとする。

30ムンク没ネタ ◆eUaeu3dols:2005/05/26(木) 01:20:37 ID:S9PygSVg
リナは、そんなシャナを見て、ぽつりと呟いた。
「――人の死なんて、呆気ない物よ」
「!!」
打ち砕かれた。
たったそれだけ、その一言だけで。
「悠二は死んでない! 生きてる! きっと生き延びてる!」
「どうしてそう思うの?」
喪失感と嫉妬から来る苛立ちが、リナに少女を追い打ちさせる。
「悠二は……だって、悠二は……」
凄いから、と。
まだ未熟で、戦いになっても敵を倒せないだろうけど、時々凄いから。
彼よりずっと強い自分が、何度も助けられているから。
「あたしとガウリイは、元の世界じゃ魔王を倒した事も有ったわ」
唐突に、リナが言った。
「魔王は、強さで言えば薔薇十字騎士団の連中なんて相手にならない程に強かった。
魔王の配下でも彼らよりずっと強かった。
この刻印みたいに、発動するだけで死ぬ仕掛けを組み込まれた事も有った。
それでも、幸運も有ってだけれど、あたしもガウリイもそれらに打ち勝った」
「………………」
話している内に、沸々とリナの心の奥底から鬱屈した感情が湧きだしてきた。
なのに……自分が憎んでいるのか、それとも悲しんでいるのかすら判らなかった。
「そんなに激しい戦いを続けてきたのに。
……あたしが見た死は、どれもこれも呆気ない物ばかりだったわ」
「……言うな。話すな」
自らの中に封印されていた魔王を目覚めさせてしまったルーク。
彼が堕ちたのは、彼の仲間で、あたしとガウリイのような関係だった女性が死んだから。
その死は、彼女はそれまで戦ってきた敵に比べればとてもちっぽけで、
傷を負った時にもまだ助かると、助けられると思っていた。
「人は、前兆すら無く唐突に、呆気なく死ぬわ」
「言うなぁ!!」
シャナにも判っていた。そもそも、坂井悠二は“人ですら無い”のだから。
体内に蔵された秘宝“零時迷子”を奪われれば、それだけで細り消え去るトーチだから。

31ムンク没ネタ ◆eUaeu3dols:2005/05/26(木) 01:22:13 ID:S9PygSVg
この後に放送が来て、リナが静かに虚無感に包まれたりする他、
リナの暴走を危惧して釘を刺すダナティア、
リナとシャナで確執少々、それらにテッサを幾らか絡めて、という話だった。
4人娘の心理描写を重視したお話。
移動まで組み込むつもりが無かったし、そもそもまだ書き始め状態だったし、
◆Sf10UnKI5Aさん爽やかにGJですよ〜。

32アマワ黒幕化計画:2005/06/20(月) 22:13:16 ID:TU177Bgk
 ……新庄君。
 胸中の呟きに応えるように、眼前の少女は一つの動作を行った。
 抱擁をねだるように、両腕を開いたのだ。
「――――」
 佐山は目を細め、胸に手指を突き立て、彼女に歩み寄り、
「――不愉快な物真似はやめたまえ」
 腹に蹴りを入れた。
 かは、と息をついて身を崩した“それ”を、佐山は再度蹴りつける。蹴り足に込める力は容赦のないものだ。
 声と瞳に冷徹さを乗せ、佐山は言う。
「私以外の者が新庄君の姿形を真似て良いと思っているのかね? ――肖像権の侵害だよそれは」
「新庄・運切は奪われた」
 “それ”の姿が歪んだ。歪み、たわみ、広がり、縮み、既知であり、そして未知である姿を取る。
 “それ”が言葉を放つ。指向性なく放たれる音は、どこから響いているのか判別不能だ。
「奪われたのなら……私が使っても問題はあるまい?」
 胸の軋みを無理矢理に押さえ込み。
「――君は、何だね?」
 佐山は問いを発した。声音に込める意思は敵意に他ならない。
 “それ”は答えた。
「私は御遣いだ。これは御遣いの言葉だ」
「御遣い? 何の遣いかね?」
 隠せぬ苛立ちを怒気へと変え、佐山は声を放つ。
「証明だ……証明してみせろ」
「何を」
 “それ”は答えた。簡潔に。
「心の実在を」
 “それ”の言葉はもはや、己のうちから響いているようだった――どこから聞こえるのか、“それ”が実在するのかすら分からない。
 違和感を感じつつ、声を出す。
「それに答える代償は何かね?」
「新庄・運切を返そう」
「……彼女は死んだよ。私の知らぬ間に、私の知らぬ所で、私の知らぬ者の手によって」
「君は彼女の死を証明できない。ならば彼女は死んでいない」
「言葉遊びだ。ならば言おう。この場には君と私しかいない。私は君を認識しない。ならば君は存在しない」
「先ほどの不恰好な物真似を、かね? ――不要だよ。それは新庄君ではない」
「確かに君の言うように、新庄君が生きている、という可能性はある。だがね、私は聞いたのだよ。――彼女の死と、彼女の言葉を」
「今ならば判る。“吊られ男”君には感謝をせねばならないね」
「然るべき行動には然るべき代価を」
 一息。
「それが交渉だ」
「去るがいい、私の知らぬ者よ。――私は君を必要しない。君とは契約できない」

33◇E1UswHhuQc:2005/06/20(月) 22:16:13 ID:TU177Bgk
というわけでとりあえず佐山vsアマワとかやってみて投げ。

真っ当な思考回路をしてる自分にはこんなキのつく連中は書けませんでした。まる。

34名も無き黒幕さん:2005/07/16(土) 14:27:13 ID:gze6IUQc
 ハック神父が、「放置されてる食料をいただくだけでも神の教えに反する」
 と考える人になったっぽいので没。 


 気絶から立ち直った後、ハックルボーン神父は、城の厨房に向かった。
 栄養補給は活動の基本だ。おろそかにしては、神の愛を充分に伝えきれない。
 厨房の中からは、幾つかの食材に混じって、パンと葡萄酒が出てきた。
(もう二度と、私が負けるわけにはいかない)
 神に祈りを捧げた瞬間、神父の全身から七色の聖光がほとばしった。
(神よ、感謝します)
 それを受けたパンと葡萄酒は……祝聖されていく、聖別されていく。
 聖なるパンは神の体であり、聖なる葡萄酒は神の血だ。
 神父は大きく口を開け、迅速に聖餐をたいらげた。
(これで準備は万端)
 穏やかな微笑みを浮かべながら、彼は外を目指して歩きだした。

35合わせ鏡の物語〜悠二の章〜完結編:2005/07/22(金) 19:47:05 ID:x0jj.buk
あちゃあ。後一日おいてから試験投下に落とそうと思ってたら先越されてるや。
と、言うわけで没ネタの方に落とします。
内容としては神野は詠子を手伝わないことの確認。
神野が異界議論の結果に異界発生時の効果を変える。
詠子ロワ内に戻るといった話。
悠二を出す必要性0だけどすぐ死んじゃうからいいかなと。


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