したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【お気軽】書き逃げスレ【SS】

1名無しさん:2004/11/03(水) 14:07
ここはなんでも書けるスレです。初心者、エロエロ、ムード系、落ち無し、
瞬間的モエ、特殊系、スレ内SS感想等なんでもщ(゚Д゚щ)カモーン!!
どんなカプでもお気軽にドゾー!!
投稿ルール、スレ説明は>>2、その他意見・質問はまずロビスレへ。

※もちろん個人での派生スレ設立は、さらに大推奨※

309腐的酒場2(3/5):2007/08/09(木) 19:11:59
 そうしている間に六太は、衣装一式らしいかさばる布の固まりを女怪から受
け取り、それを榻に投げ置くと、ふたたび風漢の襟首をつかんだ。
「麒麟は王の半身、王と麒麟は一心同体だよなあ? 俺の苦しみはおまえの苦
しみだよなあ?」そう言ってあざけるような冷笑を浮かべる。「おまえも女装
しろ」
「おい……」
「安心しろ、簪も山ほど持ってきた。この際だ、俺が結ってやる。勅命を解か
ないっていうんなら、せめて苦しみは分かち合わねーとな。言っとくが、おま
えが脱走したせいで今日で二日ほど寝てないからな、容赦はしねぇぞ」
 そう言うなり六太は、風漢の髪を結っていた紐を素早くほどき、ついでその
まま相手を榻に押し倒すと、帯を解いて服をはぎにかかった。
「たたたた、台輔っ!」焦った楽俊が口を挟んだ。「こ、こ、ここにおいらた
ちもいます! おふたりだけじゃねぇです!」
「そうです!」
 鳴賢もたまらず楽俊に加勢する。何しろ髪をほどき、胸元をはだけた美丈夫
の王と、それに迫る美少女の図という、ある意味妖しすぎる光景が眼前に展開
されているのだ。
「妻もいない、彼女もいない寂しい男ふたりとしては、目の前でいちゃつかれ
ると、とっても目の毒ですっ」
 なぜか楽俊とは少し視点がずれている鳴賢であった。
「どこがいちゃついてんだよ、どこがっ」
 振り返った六太が、すかさず突っ込んだ。しかしある意味、確かにいちゃつ
いているように見える。というか美少女が美丈夫を榻に押し倒しているように
見える。
 その反応を見て、風漢が「ふむ」とおもしろそうに顎をさすった。
「そうだ、六太。せっかくだから鳴賢たちに酌をしてやれ」
「なっ……!」
「勅命であるぞ」
 奥の手を使われて抵抗を封じられ絶句した六太に、風漢はにやりとした。怒
りで真っ赤になった六太は、
「〜〜〜〜っ」と声を出せずに肩を震わせて立ちつくした。風漢はその細い両
肩に後ろから手を置いて、楽俊と鳴賢のほうに正面を向かせて言った。

310腐的酒場2(4/5):2007/08/09(木) 19:14:01
「わが国の麒麟はさすがに美人であろう。こんな美少女に酌をしてもらえる機
会はそうはないぞ。今日は鳴賢の卒業祝いだ。宰輔ともども盛大に祝ってやろ
う」
「鳴賢!」と六太は救いを求めるように叫んだ。「友達だろ〜っ?」
 友達。確かに友達だ。彼が宰輔であることを知らない頃、よく一緒につるん
で遊んだものだ。しかし。
 何しろ今目の前にいるのは、どう見ても絶世の美少女。確かにこれほどの美
人に酌をしてもらえる機会などもう二度とないかもしれない。
 彼女いない歴数年に及ぶ鳴賢の心は、妖しい誘惑に揺れ動いた。
「いや、その……」へたりこんでいた床から椅子に座り直した鳴賢は、照れ隠
しに頭をかいた。「確かにこんな美人に酌をしてもらえれば嬉しいけど……」
「鳴賢!?」
「ほら、六太。勅命を果たさぬか」
 にんまりとした風漢に促された六太は、憤りをこらえながら、仕方なく酌を
して回った。
 むろん鳴賢も「六太に悪いな」と思わなかったわけではない。だがそれより
も、すまなさそうに控えていながらちゃっかり楽俊も酒杯を差し出したのを見
て、「おまえもまだ彼女いないしなぁ」と同病相憐れむほうに行った次第であ
る。
 ふたりに酒をつぎ終えたところで、六太は「もうやってらんねぇ!」と叫ん
だ。邪魔な裳裾を膝まで大胆にめくるなり、椅子に胡座をかいてどっかと座り
こみ、自分も酒杯をあおる。
「この裏切り者! 楽俊も鳴賢も覚えてろよ!」
「はは……」
 慈悲深いはずの麒麟に睨まれて冷や汗を流しながら、乾いた笑いを漏らすふ
たり。その六太に、風漢は飄々として「こっちも頼むぞ」と自分の酒杯を差し
出した。
 六太は相変わらず怒りで真っ赤になったまま立ち上がると、主の酒杯に酒を
そそいだ。風漢はその顔を見上げて、「何をふてくされている、もっとこっち
に来んか」と肩に腕を伸ばすなり自分のほうに引っ張った。不意をつかれてよ
ろけた六太は、風漢の胸元に倒れ込むように抱き寄せられて慌てた。

311腐的酒場2(5/5):2007/08/09(木) 19:16:03
「怒った顔も美しいな、ん?」
 至近距離で顔をのぞき込まれた六太は、今度は狼狽と羞恥で真っ赤になった。
見守る鳴賢たちも同じように真っ赤になって固まった。
「風漢!――じゃなくて主上!」鳴賢が叫んだ。「だから目の毒なんですって
ば。いちゃつくのは王宮に帰ってからにしてくださいっ」
 風漢はにやりと笑った。
「なるほど、そう言われればそうだな。ではそろそろ俺は引き上げるとするか」
酒杯を飲みほして立ち上がる。「おまえたちはまだ呑んでいていいぞ。支払い
はもう済ませてあるから、ゆっくりしていろ」
 そう言いながら風漢は、傍らの六太を片腕に抱えた。「はーなーせーっ!」
とジタバタする六太。しかし何しろ体格も力もまるで違う上、普段よりずっと
動きにくい装束をまとっているとあって抵抗のしようがない。
 風漢が六太をしっかりと押さえ込んだまま、どこへともなく「悧角」と呼び
かけると、さきほど六太が乗ってきた騎獣が床から姿を現した。同時に女怪の
沃飛も姿を現し、六太が榻に置いたままの衣装一式を抱えてふたたび六太の影
の中に消える。
「ではまたな」
 風漢は六太を抱えたまま悧角の背にまたがると、開いた窓からそのまま飛び
去っていった。「ばかやろーっ!」という六太の雄叫びだけを残して。
 ふたりが去った窓をしばらく呆然と見つめたあと、やがて鳴賢は言った。
「なあ、文張」
「なんだ?」
「おまえ、王宮で苦労していないか?」
「いんや、別に」
「そうか……」
「とりあえず、人間、何でも慣れたほうがいいと思うぞ」
「おまえ、悟ったな……」
「まあ、とりあえず呑め」
「ああ」
 鳴賢はうなずくと椅子に座り直して酒杯を取った。玄英宮に官吏として出仕
したあとの苦労を想像し、今夜は思いっきり呑もうと思った。

-終-

312名無しさん:2007/08/10(金) 01:19:09
六太の美少女?っぷりににやにやし、人前でいちゃつき光線
出しまくりな小松にもにやにやしました。乙。
それと鳴賢よ、

>「妻もいない、彼女もいない寂しい男ふたりとしては、目の前でいちゃつかれ
>ると、とっても目の毒ですっ」

ツッコむところはそこなのかw

313体の相性(尚六):2007/08/10(金) 19:25:21
熱暑にうだった勢いでくだらないショートショートを投下。
ありがちな話という感じですが、
枯れ木も山のにぎわいということで。

しかしこの酷暑はどうにかなりませんか……。

-----

 六太が、自分たちの関係にいずれ破局も訪れうると覚悟をしていることはわ
かっていた。――つまり尚隆が六太に飽きることを、だ。
「それはありえんと言っておるだろう」
 尚隆が何度言っても、六太は疑いの目を向けるのをやめない。
「なんでそう言い切れるんだよ?」
「だからなあ……」頭をかきながら、この際、白状してしまおうと開き直る。
「感情以前の問題だ。つまりだな、何というか、体の相性がだな」
「?」
「女とやるより、おまえとやるほうがいいのだ」
「はあ?」
「もしかしたらおまえは他の男に抱かれても感じるのかもしれんが、俺のほう
はもともと衆道の趣味はないから、どうせ抱くなら女のほうがいい。しかし正
直に言って、これまでおまえほど快感を感じた女はおらんのだ。だから仮にお
まえに惚れておらなんだとしても、おまえを抱けぬというのは困る」
 六太は絶句して口をパクパクさせた。
「だが抱けばどうしたって情がわく。……わかったか」
「それって……」
「……」
「俺の体が目当てってことかっ!」
 真っ赤な顔で怒鳴る六太。尚隆は頭痛がして額を抑えた。
「だから、そういう話ではないというに……」

314307:2007/08/11(土) 10:45:03
>>312
楽しんでいただけたようで嬉しいです。
何せエロがないと、ここに投下していいんだろうか、
なんて躊躇しちゃうもんで励みになります。

実は鳴賢スキーだったりもする自分です(≧∇≦)

315後朝(前書き):2007/08/13(月) 19:04:08
夏祭りの前にエロ風味の尚六を投下します。初Hの翌日のつもり。

そういう関係になる前から尚隆と六太は同じ牀榻を使っていたという設定ですが、
これは六太の体調が悪いというか (失道じゃないです、念のため)、
そんな理由から回復を願って王の側に置いただけのことであって、
別にやらしいことはまったく起こらず。

でもいろいろあって、ついに小松さんがやっちゃいました……という感じ。


最初のイメージではあくまでキス止まりで、
初々しいろくたんの様子がほほえましいロマンス風だったのに、
書いているうちにちょっと尚隆が暴走してしまいました。

316後朝(1/4):2007/08/13(月) 19:06:11
 ――台輔のご様子がおかしい。
 朝議の場で諸官がすぐに気づいたほど、六太の様子は前日までと異なってい
た。
 まだ体調が万全ではないため、以前のように玉座のすぐ側に立つのではなく、
そこに椅子を置いて座っているのだが、その椅子の上で少しでも王から離れよ
うとするかのように、不自然に反対側に寄って体を固くしている。おまけに眼
前にかしこまる官はもちろんのこと、朝議の間に入ってから王のほうを見よう
ともしない。いや、そもそも正寝からここまでやってくる間も、いつものよう
に王と連れだってはいたものの会話はなく、なぜかほんのりと顔を赤らめてう
つむいていたのだが……。
 朝議のあと、ふと冢宰の白沢が「台輔、いかがなさいました?」と尋ねると、
六太ははじかれたように顔を上げた。
「んっ? べ、別に?」
「何やらお顔が赤いようですが……」
「そ、そう? あ、なんかちょっと暑いかなー、なんて。はは」
 六太は焦ったような笑みを浮かべてどもりながら答えた。白沢が心配してい
たのは彼の体調のことだったが、態度に不審があっても特に具合が悪いように
は見えなかったので、訝しく思いながらもそれ以上追求しなかった。何よりず
っと宰輔につきっきりだった王が、別に心配するふうでもなく、口の端ににや
にやとした笑いを浮かべていたからだ。
 ――どうやら王には原因がおわかりらしい。それも別段、深刻な問題ではな
いと見える……。
 そのまま内殿で政務に就く王に、六太は宰輔として官とともに付き従った。
だが妙におとなしい。王にも官にも声をかけることなく、特に用事がないかぎ
りは堂室の壁際の榻に座ったままなので、白沢もそちらをちらちらと気にせず
にはいられない。以前のようにだらしなく榻に寝そべるとか胡座をかいている
ならともかく、きちんと両膝を揃えてそこに手を置き、体を固くして顔を伏せ
ているのだから、気にしないほうが無理というものだ。
 やはりここは念のために、黄医に診せたほうが良いのではないだろうか。そ
う白沢が考え始めたとき。
 書卓で書類に目を落としながら、記載内容に関する官の説明を聞いていた尚
隆が顔を上げ、隅にいる六太のほうをまっすぐに見た。
「六太、おまえ今朝からおかしいが、どうかしたのか?」
「えっ?」いきなり声をかけられて仰天した六太が榻から飛び上がり、声が裏
返った。「べ、別に、何でも、ないけど?」
 尚隆が溜息をついた。が、その仕草がどうもわざとらしい。いよいよ白沢が
首をひねり始めたとき、
「おまえたち、少し出ていろ。俺は六太と話がある」
 官にそう言って尚隆が人払いを命じた。

317後朝(2/4):2007/08/13(月) 20:32:14
 執務室でふたりきりになると、尚隆は椅子を引いて六太に向き直った。六太
のほうは榻の上でうつむいたまま、耳まで赤くなっている。
 昨日の今日とはいえ、あまりの初々しさに尚隆は苦笑した。――そんな振る
舞いをされると、却って煽られるのがわからんのか……。
 時々やんちゃが過ぎるとはいえ、普段の六太は実年齢にふさわしく取り澄ま
した表情をしている。年端もいかない少年という外見に似合わず、度胸もある
し多少のことではうろたえたりしないのだ。
 それが今は、珍しく自分の感情を取り繕うこともできずにあからさまな狼狽
を見せている。尚隆の顔を直視することもできずに何かというと赤面する。
 そんなに動揺していたら官にはもろばれだろうに、と尚隆はおかしくなった。
 もっとも身の回りの世話をする女官たちには既に、ふたりの関係はばれてい
るはずだ。なぜなら褥の様子を見れば、昨夜何があったのかは一目瞭然。これ
まで牀榻をともにしていたのは、あくまで王の側にいるほうが麒麟である六太
の体に良いのではという陽子の意見を取り入れたがゆえだったし、女官たちも
それを承知していたわけだが、もはやそれだけではない。肉体を交えた以上、
彼らは立派な愛人同士だ。六太としては、思いがけない展開だったろうが。
「ちょっとこっちに来い」
 尚隆は六太を手招いた。六太はびくっとして、赤らめた顔をおずおずと上げ
た。その様子をこの上もなくいとしく思いながらも、いじめてやりたいという
矛盾した衝動に駆られる。いったいどんな反応を見せるのだろう……。
 躊躇している六太をさらに顎で促すと、六太は仕方なく立ち上がり、主の側
に歩み寄った。
「ここに座れ」
 と、自分の膝を示す尚隆。途端に狼狽の度合いを深めた六太だったが、主の
命に逆らえるはずもない。体を固くしたまま、膝の上に浅く横向きに腰掛ける。
顔を伏せた六太のかすかな震えが膝から伝わる。
 尚隆はうつむいている六太の肩に手をかけると、有無を言わさず胸元に抱き
寄せた。
「しょ――!」
 動転して胸を押しのけようとする六太を強引に押さえ込み、その唇に接吻す
る。深く貪るように口づけられたあとやっとのことで離してもらえた六太は、
尚隆の腕の中でぐったりとしてあえぎながら、それでも相手を押しのけようと
力なく無駄な抵抗を見せた。

318後朝(3/4):2007/08/13(月) 22:04:06
「だ――め……。見られ、ちゃう……」
「人払いをしてあろうが。それに見られても別に構わんだろう」
「だ、だって」
「五百年もの治世を敷いた王と麒麟だぞ。大抵のことは俺たちの自由になろう
が。それにこんな光景を見たら、官のほうで慌てて目をそらしてくれよう」
 そう言いながらも尚隆は愛撫の手を止めなかった。六太の官服の胸元をはだ
け、細い首筋に顔を埋める。相変わらず六太は逃れようとしていたが、どうし
ても力が入らないらしい、結局は主になされるがままになっている。尚隆はそ
のまま、なめらかな首筋から乳首にかけて丹念になめ、ついで耳の穴に舌の先
を差し込んで、ぞろりとなめた。
「あ……!」
 六太は思わず官能的な声を漏らしてのけぞり、尚隆の服を握りしめた。尚隆
はしつこく耳の穴をなめたり息を吹きかけたりしながら、「感じるか?」とさ
さやき、愛撫を深めていく。その手管に、もはや六太には抵抗する気力もない。
 尚隆は腰が抜けたようになった六太の小柄な体を抱き上げると立ち上がり、
先ほどまで六太が座っていた榻に仰向けで寝かせた。既に乱れている彼の官服
の前を裾まではだけ、下着ごと袴を太股の半ばまで手早く引き下ろす。そうし
て何をされているのか自覚する隙を与えず、その華奢な腰をむき出しにするな
り、とっくに固くなっていたものを口に含んだ。
 六太は反射的に体を引こうとしたものの、腰をしっかり押さえられていて身
動きがとれない。尚隆は性の快楽に慣れていない相手の動揺にはまったく頓着
せず、容赦のない愛撫を加えた。
「――!」
 強い刺激にさらされた六太は、最後の抵抗だとでもいうかのように目をきつ
く瞑り、あえぎ声が漏れないように口元に握り拳を当ててこらえた。その必死
の抵抗をうち砕こうと、尚隆はさらに執拗に攻め続ける。もっとも六太自身は
気づいていないようだが、その腰は既に愛撫に合わせてわずかに振られ始めて
いた。
 こういうとき男は便利だな、と尚隆は頭の片隅でほくそえんだ。女の場合は
こう簡単にはいかない。生娘なら――尚隆は処女を抱いたことはなかったが―
―なおさらだ。だが男なら、どれほどの堅物であっても、初めての経験でも、
ここを刺激すれば簡単に快感におぼれる。それが恋人の手によるものならなお
のこと。

319後朝(4/4):2007/08/13(月) 22:06:11
 何とか声を漏らさないよう懸命にこらえ続ける六太だったが、そのくぐもっ
たうめき、鼻に抜ける悩ましい吐息が、逆に相手をいっそう刺激することをわ
かっていないようだった。
 別に時間をかけるつもりもなかったので、尚隆はそのまま容赦なく吸ったり
なめ上げたりして、幼い体を絶頂に導いた。
「あうっ!」
 ついに六太は全身を震わせてのけぞり、こらえきれずに快感のうめきを上げ
た。尚隆は放たれたものをすべて口で受けて貪欲に飲み込んだ。綺麗に後始末
をしてやり、六太の官服を整えてぐったりとした体を抱き起こす。
「また今夜、な」目を瞑ったまま榻に背をもたれて荒い呼吸を繰り返す六太の
肩に腕を回し、低い声で官能的にささやく。「もっと可愛がってやるぞ」
 そう言いながらも片手は未練たっぷりに、六太の股間を服の上からゆっくり
と撫でまわした。六太はぼんやりとした態で尚隆の腕を押しのけようとしたが、
すっかり力の抜けた体で果たせるはずもなく、結果的に単に手を添えたにすぎ
なかった。萎えたばかりのものが刺激でまた固くなる。それを知っていっそう
激しく複雑に指先を動かしながら、尚隆はわざと卑猥にささやいた。
「また勃ってきたな。あれでは足りなかったか? ん?」
「あっ……ん」
 もはや理性の半ばまで飛んでしまったのだろう六太は、焦点の定まらぬ目で
尚隆の腕にしがみつくと、あえぎながら腰を主の手にこすりつけた。
「夜までお預けだ。楽しみに待っておれ」
 そう言ってぎりぎりまで煽って興奮させておきながら、尚隆は軽く口づけた
だけで意地悪に愛撫の手を止めた。そうして放心したような六太を榻にきちん
と座らせると、尚隆はそこから離れて官を呼びに行った。

 執務室に戻ってきた諸官はあたりに漂っている妙な雰囲気に戸惑ったが、御
前であるだけにさすがに口にはしなかった。ただ六太が顔を赤くして榻に座っ
たままなのは変わらなかったので、いったい王と何を話したのだろうと不思議
に思う。しかも先ほどよりずっと顔も赤く、髪も乱れている上に何やら呼吸も
早いようだが……。
 白沢を始めピンときた官もいないではなかったが、何しろ今は政務が優先。
何よりも王があからさまに知らぬふりをしているので追求することもできず、
執務が続けられたのだった。

320名無しさん:2007/08/18(土) 23:10:04
攻められるろくたん可愛すぎ・・・・(*´∀`*)
続編キボンというか初夜編キボン

321名無しさん:2007/08/18(土) 23:20:17
>焦点の定まらぬ目で尚隆の腕にしがみつくと、あえぎながら腰を主の手にこすりつけた。

うおぉぉぉお・・・積極的なろくたん激萌・・・・

322(尚隆+利広)×六太(前書き):2007/08/20(月) 07:35:44
315-319です。
>>320
ありがとうございます。実は初夜編はあまり色っぽくないので遠慮。
続編のほうはちょっと長めなので (その割に内容は大したことない)、
できれば他の方の作品投稿を挟んでから上げたいと思います。

さて連日の暑さに脳をやられ、つい出来心で
くだらない3Pを書いてしまったのでこちらを先にうpします。
もっともさほどエロくはないので、箸休め程度にでもとらえていただければと。
というかエロって書けない……。
また微妙に景陽、尚陽が入っております。

六太と妙に体の相性が良い尚隆は、
王と麒麟だからか? これも天帝の目論見か? それとも偶然?と疑い。
たとえば利広とでも六太は感じるのか?と思って利広に試させちゃいます (おい)。
六太のほうはさすがに抵抗するものの、尚隆とだけ感じるわけでもないなら、
尚隆との相性は王と麒麟ゆえではないとわかるから、と言われて押し切られます。
哀れ、ろくたん……。

陽子サイドの話は省略。

323(尚隆+利広)×六太(1/3):2007/08/20(月) 07:37:45
 六太は主以外の愛撫に反応しまいと懸命にこらえた。しかし早くも快感に冒
されてしまった腰は彼の意志とは反対に、すんなり利広を受け入れたまま、さ
らなる快感を求めてみずから激しく動いていた。
「ああっ、あっ、あっ――」
 力の入らない両腕では上体を支えきれず、六太は地面に突っ伏した。そのま
ま尻だけをつきだした格好で、後ろからの利広の激しい突き上げがもたらす快
楽に耐える。
「これ、は……いいね」利広は目を細めてあえいだ。六太の細い腰を両側から
強くつかみ、顎をのけぞらせて荒々しく腰を動かす。「私も、こんなにいい体
は初めてかもしれない。締まりがよくて、吸いつくようで……。それにあえぐ
声もいい。うう、早々にいきそうだ……」
「おい、中に出すなよ」
 風漢が釘を差すと、恍惚としていた利広は露骨に嫌そうな顔を向けて「なん
で」と言い返した。
「どうせ最初で最後なんだから、中に出させてくれてもいいと思うけど」
「阿呆、六太は俺のものだ。中に出せるのは俺だけだ」
「挿れるのはいいわけ?」
「今回は特別だ。二度と挿れさせてはやらん」
「ちぇっ、けちだなぁ」
 利広はそう言いながら諦めたように自分のものを引き抜くと、地面に向けて
精を放った。
「はあ……。でもすごく良かった……。風漢はいつもこんなにいい思いをして
いるわけか」
「まあな」
 そう言うと風漢は、うつぶせになったままぐったりとしている六太の腰を自
分のほうに引き寄せた。

324(尚隆+利広)×六太(2/3):2007/08/20(月) 19:10:26
「どうだ、六太。利広にやられるのは俺より良かったか?」
 いまだあえいでいた六太は声を出せず、代わりに必死に首を振った。利広は
笑った。
「どうだか。挿れたばかりでも腰を振ってすごく感じていたよね。単に風漢に
遠慮しているだけじゃないの」
「抜かせ」風漢は六太の尻を持ち上げると、さっきまで利広が犯していた場所
に自分のものをあてがった。「今度は俺だ、六太。利広なんかよりずっといい
思いをさせてやるぞ」
「言ってくれるね、風漢。百年の長がある私に向かって」
「ふん、六太が惚れているのは俺だぞ。恋人にやられるほうがずっと感じるに
決まっておろうが」
 当初の目的はどこへやら、風漢はそう言うと、遠慮なく一気に根元まで挿入
して突き上げた。
「あうっ!」
 六太はうめいて顎をのけぞらせた。既に全身の力が抜けていた彼の四肢は自
分を支えきれず、地面の上で、風漢の容赦ない腰の動きに引きずられるだけだ
った。
「あ……っ! はあ、ん、あん……っ!」
 六太の頭の中はもう真っ白で、何が何やらわからない。利広から解放されて、
やっと恋人の愛撫を身に受けているという安堵もあるだろう。素直に絶頂への
道を駆け上がっていく。
 やがて六太が快楽の絶叫をあげてくずおれた。ついで腰の動きを早めた風漢
も、すぐに満足のうめきを上げて果てた。そのまましばらく六太の腰をかかえ
て呼吸を整えていた風漢は、ゆっくりと自分のものを引き抜くと、六太の体を
地面に横たえた。

325(尚隆+利広)×六太(3/3):2007/08/20(月) 19:12:28
「あーあ。一回だけなのに、これ見よがしにたくさん出しちゃって」
 六太の秘所からこぼれて太腿から地面に伝う大量の白濁液を見やり、利広が
呆れたように言った。風漢はにやりと笑って「ちょっとたまっていたからな」
と答えた。
「何にしても、私とでも六太は感じたわけだし、私もすごく良かった。王と麒
麟だから相性が良いってわけじゃなさそうだね」
「そのようだな。陽子も俺のほうが景麒よりずっといいと言っていたし」
 利広は目を丸くした。
「風漢、景王にも手を出したわけ?」
「なに、俺はあいつの疑念を煽っただけだ。陽子が一番感じるのが景麒なら、
天帝の掌の上で踊らされているだけかもしれん、とな。だが他の男のほうが感
じるのなら、陽子は自分の自由意志で景麒と恋愛をしていることになる。しか
し陽子は他の男なぞ知らんし、まさか比較するためだけに臣下と寝るわけにも
いくまい。だから協力してやったまでだ」
「屁理屈だね……」
「何とでも言え」
 そういうと風漢は放心している六太を抱えおこし、体を綺麗に拭いて後始末
をしてやってから服を着せてやった。
 そのさまを見守っていた利広は肩をすくめた。そしていい思いをしたのは事
実なので、まあいいか、と考えた。


---
ちなみに(尚隆+悧角)×六太というアレな続編もあったりします。
なぜだか無性にろくたんをいじめたくなってしまいまして(´Д`;)
そこでは尚隆がかなり鬼畜というか壊れていたりしますが、
暑さに脳がやられるとこうなるのね……という感じです。

326名無しさん:2007/08/21(火) 00:47:33
うpされてるーーー!!

ろくたんを苛めるなんて尚隆なんてうらやま、いや、酷い奴
姐さん、尚+悧×六もうpキボンヌ、お願い!!

327名無しさん:2007/08/21(火) 16:32:48
姐さん乙!
六太が他の人に犯されるのってシリアスじゃ重いけど
このくらいの軽さでだったらめたくそに萌えるーーーーー!
自分も同じく尚+悧×六もうpキボンヌ!

328322-325:2007/08/21(火) 19:36:45
>>326
えっ、要するに獣○ってことですけど、需要あるってことですか?(;・∀・)
構わないようであればそのうち、様子を見てうpしますけど……いいのかな。

>>327
いや、そのぅ。続編は倍以上も長さがあって、
おまけに尚隆が壊れてるんで、今回のほどには軽くないかも、です。
尚隆に命令された悧角にろくたんが陵辱されちゃう展開なんで。
もっとも自分の文はエロっぽくないというか淡々としていると思うので、
その意味では、他の書き手さんのより印象はずっと軽いんでしょうけど。

329名無しさん:2007/08/22(水) 00:02:48
|゚Д゚)コソーリ <それでも読んでみたいかも・・・・

330322-325:2007/08/22(水) 19:22:01
>>329
了解です。じゃ、近いうちに続編をうpさせてもらいますね。
この手のシチュが苦手な人はスルーよろ。

331(尚隆+悧角)×六太(前書き):2007/08/24(金) 19:46:28
>>323-325の続編です。
前作と尚隆の性格が少し変わりました。というか壊れちゃいました。
おまけになぜか利広に代えて悧角を加えての3Pです。

こんなアブノーマルなシチュの発想ってないと思っていたのに自分にビックリ。
悪いのは今夏の酷暑か、ろくたんの可愛さか。
なぜだか急に、ろくたんを無性にいじめたくなってしまったんですよねえ……。

悧角とは無理矢理だし、何より尚隆が鬼畜だったりするので、
苦手な方はご注意ください。このままだと失道まっしぐらって感じ。
でも尚隆はともかく、意外と悧角は気に入っていたりするのはナイショヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ

332(尚隆+悧角)×六太(1):2007/08/24(金) 19:52:31
 まだ昼間だったが、尚隆は高級な妓楼の広い一室に六太を連れ込んだ。今回
は別に妓女を侍らすつもりはなかったものの、何しろ六太は感じやすく、尚隆
と交わるときはどうしても大きな声を出すから、普通の宿だとさすがに他の客
への迷惑を考えなくてはならない。
「あのさ、まだ昼間なんだけど……」
 尚隆が臥牀に六太を押し倒すと、六太は困惑の表情を浮かべた。尚隆は鼻で
笑った。
「さっき、利広相手にあんなに感じていたくせに。もう興奮は治まったのか?」
 六太の顔が見る見るうちに赤く染まった。
「あ、あれは! おまえが!」
「口では俺以外は嫌だと言いながら、ここは随分と感じていたではないか」
 六太の体を強く押さえつけたまま、尚隆はその股間に腕を伸ばし、袴の中に
手を潜り込ませて激しく愛撫する。
「は、離せ……!」
 六太は頭を振り、何とか尚隆の体の下から逃れようともがいた。その拍子に
頭巾が取れ、長い金髪が臥牀の上に乱れて広がる。
 尚隆は服を破く勢いで六太を脱がせ、難なくうつぶせにすると上体すべてを
使って六太を押さえこんだ。六太の裸体の下に腕を差し入れて股間に手を伸ば
し、むきだしになった性器を容赦なくしごく。
「あああっ」
 慣れた尚隆に素早く的確な場所を責められ、六太は思わず臥牀の敷布をつか
んであえいだ。その一瞬、抵抗が消える。それでも六太はすぐに、懸命に体勢
を立て直そうとした。しかし尚隆は股間に潜り込ませた手を離さず、ほどなく
六太は達して力なく臥牀に横たわった。
 今のうちとばかりに尚隆は自分も服を脱いでさっさと全裸になると、力の抜
けた六太の腰を両手でつかんで引き寄せた。尻をぐいっと左右に開いて秘所を
確かめる。さっき利広にも犯された場所だ。嫌だと言いながらも、六太が自分
と交わるときと同じように利広相手にも感じていたことを思いだし、どす黒い
嫉妬に身を焦がす。
「利広相手に感じおって……!」

333(尚隆+悧角)×六太(2):2007/08/24(金) 19:59:13
 憎々しげに言うなり、それ以上の前戯を省いて、自分のものを六太に突き立
てる。あれから多少の時間が経っていたとはいえ、ふたりに犯されて快楽を味
わっていた六太の体はすぐに敏感な反応を取り戻した。
「ああん!」
 六太は敷布に顔を埋めたまま、腰をくねらせて悶えた。
「いやらしい体だな。挿れられてすぐ感じるのか」
 尚隆は冷たく言い放つと、激しく腰を振り始めた。慣れた快感が六太の下半
身を冒していく。六太は可愛らしく「ああん、ああん」と鳴きながら、さらな
る快感を求めて、主の動きに合わせて腰を揺らした。
 何しろ無体なことをされたとはいえ、しょせん彼らは恋人同士だ。相手が尚
隆であるかぎり、六太のほうは抵抗する気持ちなど簡単に失せてしまう。
 しかし尚隆のほうは、これまでなかった、あるいは意識していなかった歪ん
だ黒い感情を胸に宿していた。六太が反応すればするほど、わだかまりが大き
くなっていく。
(こいつは相手が俺でなくとも、同じように気持ちいいのだ……)
 いつもなら六太の反応を見ながら、あまり無理をさせないよう気遣うという
のに、今はまったくそんな気になれなかった。とことんまで六太を責めあげ、
抱くというよりむしろ犯すという表現がふさわしいほど乱暴な行為を続ける。
 六太は何度も絶頂に達した。そのたびごとに六太の体から力が抜けていき、
ついには四肢で体を支えきれなくなって、尻だけを尚隆に突きだした形で彼の
激情に翻弄される。
 尚隆のほうは幾度か射精はしたが、一物は抜かないままだった。いつもと違
った黒い感情に彩られているせいだろうか、精を放ってもすぐにまたそそり立
ってしまうのだ。
 長時間後ろから犯されつづけてあえぎ悶える六太を見おろし、よくわからな
い感情に捕らわれる。利広に犯されて六太が激しく感じていた光景がまざまざ
と蘇り、嫉妬に身を焦がしながらも、なぜか情欲を刺激されてますます気持ち
が高ぶった。
「……悧角。出てこい」
『ここに』

334(尚隆+悧角)×六太(3):2007/08/24(金) 20:01:47
 尚隆の命に応じ、悧角がすっと半身を床から現わした。尚隆は背後から六太
を執拗に責め立てながら悧角に命じた。六太を犯せ、と。
『主上、そ、それは』
 さすがに仰天した悧角が口ごもる。尚隆は口の端を歪めて笑った。その間に
も腰の動きは止めない。
「遠慮することはないぞ。別に六太に害があるわけでもなし、どうせ犯されれ
ばこいつは感じるのだ。いわば主に快楽をもたらせてやるだけの話だからな」
 そう言い置いて、やっと六太から自分のものを抜く。六太の体の向きを逆に
して自分のほうを向かせ、うつぶせのままの上半身を膝に乗せた。ついで大き
く股を開かせる格好にした六太の両脚をたたんで彼の体の横につけ、逃げられ
ないよう両方の膝裏に腕を入れてしっかり抱え込む。六太はちょうど、体を丸
めて悧角に対し尻を突き出す体勢になった。
「や――めろ……!」
 何をされるのかようやく気づいた六太が、力が入らないなりに必死に声を押
しだした。しかし尚隆はまったく頓着せず、悧角に向けて六太の細い腰を高く
掲げた。尻を両側から強く押し広げ、先ほどまで尚隆を受け入れていたために
主の精で濡れそぼっている箇所を白日の下にさらす。
「ほら、ここだ。早くしろ。六太が待っているぞ」
『はあ……』
 悧角は困惑した態を示しながらも床から全身を現わすと、臥牀の上、六太の
腰の両側に前脚をかけた。そして後ろ脚の間から思いのほか立派なものが現わ
れたのを見て、さすがに尚隆は驚いた。
 もっとも悧角の体格からすればむしろ小さいと言えるのだが、体格比ではな
く、単純に大きさを比較するなら、尚隆のものよりはるかに大きい。しかし以
前どこかで聞いたところによれば、妖魔には牡しかいないという。それが本当
だとすれば、この立派な一物も無用の長物というわけだ。
(ものがついているなら、その手の欲求はありそうなものだが、妖魔はどうし
ているのやら)
 尚隆の内心の興味をよそに、悧角はそそり立ったものを主の秘所にあてがっ
た。命令された結果とはいえ勃ったということは、そういう方面の欲求はいち
おうあるらしい。

335(尚隆+悧角)×六太(4):2007/08/24(金) 20:05:36
「やめ……!」
 先端が潜り込む感触に六太は必死でもがいたが、尚隆にがっしりと押さえら
れたままなのでまったく果たせない。
『台輔、失礼を』
 悧角は律儀にそう言うと、尚隆に促されるままに挿入した。
「あああああああっ!」
 六太は絶叫した。これほど巨大なものを入れられては、普通の人間なら裂け
ていたところだろう。しかし幸か不幸か六太は神仙だったし、秘所は何度も尚
隆の精を受けてぬるぬると滑っていたので、思いのほかすんなりと悧角のもの
を受け入れた。
 尚隆は興味深く悧角の反応を見ていたが、並の男と同じように、すぐに腰を
揺らしはじめたのでおかしくなった。経験があるのかどうかはわからないが、
快感は感じているらしい。
「あうっ、あうっ」
 六太はのけぞり、悧角の突きに合わせて激しくあえいだ。そのたびに、重心
の定まらない体が尚隆の膝の上で荒々しく揺れる。
「使令とはいえ、相手が妖魔でも感じるのか。この淫売め」
 尚隆はあざけるように言ったが、既に六太にその声は届いていないようだっ
た。もはやいましめから逃れようともせず、ただ激しい快感にあえいでいる。
尚隆は腕をゆるめ、六太を自由にした。しかし悦楽にとらえられている六太は
まったく抵抗せず、ずるずると尚隆の膝の上からずりおちて、背後から悧角に
犯された格好のまま臥牀の下の床に倒れ伏した。
(もしや俺とやるよりいいのか……? ふむ、おもしろくないな)
 何せ一物の大きさでは明らかに悧角に負けている。これから先、自分が不在
の折、六太が自慰で欲求を紛らわすならまだしも、悧角を相手に暗い愉悦に耽
るかもしれないと思うとおもしろくない。
 そう思いながらも、巨大な獣に小柄な美少年が無理矢理犯されて悶える淫靡
なさまは、尚隆のいっそうの情欲をあおるのに十分だった。

336(尚隆+悧角)×六太(5):2007/08/24(金) 20:08:32
 麒麟経由で天地の気脈から力を得ているというだけあって、悧角の体力は無
尽蔵に近いらしい。これが尚隆でも限界だろうと思う時間が過ぎても悧角の下
半身の動きは止まらず、さすがに尚隆が呆れ始めた時分になって、やっと動き
を止めて一物を抜いた。それで終わりかと思いきや、悧角は前脚を器用に使う
と六太の体をひっくり返して仰向けにし、既に果てて萎えていた股間に鼻面を
当ててぺろぺろと舐めはじめた。
(まったく……。何だかんだ言っておきながら、自分でもその気になったわけ
か。使令とはいえ、妖魔とはいえ、確かに男だな)
 尚隆は肩をすくめて悧角の行動を見守った。もっとも日頃から悧角は尚隆と
六太の行為を見ていたはずだから、見よう見まねでやっているのかもしれない。
 悧角の口は大きく、獣にふさわしく舌も広く長いから、六太の後ろから前に
かけて余裕で舐めあげてしまう。その刺激に六太はすぐ反応し、股間のものが
固くそそり立つ。悧角のざらざらとした舌に舐めあげられるたび、「あうっ、
はぅ、あっ、ああっ」と激しくあえぎながら、びくん、びくん、と体をくねら
せる。
 悧角はさらに腹から胸へと舌を進め、全身を丹念にたっぷりと舐めあげてか
ら、ふたたび股間に鼻面を埋めた。口を開けて飲み込むように六太のものをく
わえ込み、舌を添えたまま何度も上下させる。
「ああああああっ!」
 顎をのけぞらせて白い喉を震わせてあえいでいた六太が叫ぶなり、その体か
らくたくたっと力が抜けた。悧角は六太から体を離すと、『これにて』と言っ
て尚隆に向けて頭を下げ、現われたときと同じように床の下に消えた。
 尚隆は臥牀から床に降り立ち、六太に歩み寄った。六太は失神していた。自
分との行為でこれまで気を失ったことはないくせに――と黒い思いが染みのよ
うにどんどん心中に広がる。
 尚隆は六太の体を抱えると臥牀に戻った。意識のない体をうつぶせに寝かせ、
ふたたび腰を持ち上げてみずからのものをあてがう。そこからは悧角の精だろ
う、先ほどまでよりずっと多い白濁液が幾筋もの跡をつけて流れ出していた。
「使令に犯されて感じおって」
 尚隆は冷たく言い放つと、何の抵抗もない六太の腰を引き寄せて自分のもの
を挿入した。悧角の大きな一物を入れた後だからか、先ほどより締めつけが弱
くなっているのを感じる。

337(尚隆+悧角)×六太(6):2007/08/24(金) 20:12:35
「なるほど、もしおまえが悧角と淫靡な遊興に耽ったときは、俺にはすぐわか
るというわけだ……」
 にやり、と笑う。そうしておいてふたたび腰を使いはじめる。
 もっともさんざん出したあとだから、逆さに振ってももう出るものは何もな
い。空打ちというやつだ。しかし先ほどの、六太が悧角に犯される様子に激し
く情欲を刺激されていたせいで、六太を何度責めても、まだまだ飽きることは
なかった。
 六太は時折、ぼんやりと意識を回復した。しかし状態の如何に関わらず尚隆
がひっきりなしに責め立てたので、一度快楽の極限まで達して敏感になりすぎ
た体はもはやどんな刺激にも抗しきれず、またすぐに意識を失うのだった。
 やがて六太とつながったまま胡座をかいた尚隆は、六太の上体を反らして胸
で支えると、彼の太腿を抱えてその股を開き、ふたたび「悧角」と呼んだ。
『ここに』
「六太のものをなめろ」
『は……』
 声音は困惑を示しながらも悧角は、今度は躊躇なく命に従い、臥牀に上がる
と六太の股間に鼻面を埋めた。わずかに意識を取り戻していた六太は「ああっ
――」とあえいで腰をくねらせた。
 もっとも後ろは尚隆に根元まで挿入されたままなので、しっかり彼の腰に縫
い止められたままだ。六太はみずからの腰の動きがもたらした快感に激しくあ
えぎ、身をよじり、やがて前のめりになると、力なく悧角の背に覆いかぶさっ
た。そうして悧角の体に何とか両腕でしがみついている六太に、さらに尚隆が
覆いかぶさるようにして激しい出し入れを繰り返す。前と後ろの両方からひっ
きりなしに責められた六太は、気が遠くなるような法悦の中でまたすぐに失神
した。
 夜になって房間に酒と食べ物を用意させた尚隆は、気が触れたかのようにぼ
んやりとしている六太を片腕に抱え、臥牀の上で盃を口に当てて酒を呑ませ、
食べ物をちぎって食べさせてやった。放心している六太がうまく呑み込めなか
った酒が口の端からだらだらとこぼれ、臥牀の敷布に染みを作る。そうして少
しだけ休ませてから、ふたたび責め立てた。

338(尚隆+悧角)×六太(7/E):2007/08/24(金) 20:16:55
 意識のあるとき、六太は尚隆の動きに合わせて、自然に腰を振っていた。そ
れはもはや快感に対する条件反射だった。利広に対しても、口ではあれだけ抵
抗していたくせに、いざ挿入されたらすぐ快楽にとらえられて腰を振り始めた
ことを思い出す。悧角に至っては悦楽のあまり失神までした。
「この淫売め……」
 黒い嫉妬に捕らえられた尚隆は低くうなるように言い捨てた。自分が彼らに
六太を犯させたことは棚に上げて。
 そうして身勝手な歪んだ嫉妬に捕らえられつつも、自分以外の者に蹂躙され
る六太を見てこの上もなく興奮したことを思い出す。――あれはなかなか良か
った……。
(この白い華奢な体が、見知らぬ暴漢に力ずくで犯されるさまも良いかもしれ
んな。何人もの男たちに羽交い締めにされ、股を大きく広げさせられて前をし
ごかれ、後ろには一物をぶちこまれる。六太のことだから最初は抵抗しても、
すぐに快楽にあえいで、自分から相手の下肢に脚を絡めて腰を振り始めること
だろう。何度も頭を振って狂ったように金髪を振り乱し、相手の体にすがって
快感を求めるに違いない……)
 もっとも主がそんな扱いをされて、使令たちが黙っているとも思えない。使
令が主を性の奴隷として差し出すとしたら、王の命令があってのこと。麒麟の
生命や健康に別状がないなら、使令は王に従うのだから。
 それにそもそもいかに六太とはいえ、そこまで無体なことをされたら転変し
て逃げるかもしれない。もっとも今回は精神的に切羽詰まっていたせいで、そ
こまで思いつけなかったようだが。
(なるほど。結局のところ俺が命令すればいいわけだ。荒くれどもの巣窟に六
太を放り込んで――いや)
 舌なめずりをして、いっそう黒い空想に耽る。
(というより、男たちに無理矢理犯される六太を目の前で見るほうがそそられ
るな。それを肴に酒を呑むのも一興。そうしてとことんまで大勢に責められて
息も絶え絶えになったところを、最後に俺が犯してやろう……)
 尚隆は腰を使いながら、また意識を失った六太を冷たい目で見おろした。
「誰とでも感じるおまえが悪い……」
 いったん彼の胸に巣食いはじめた歪んだ妄想は、留まるところを知らなかっ
た。
                                 -終-

339続・後朝(前書き):2007/08/25(土) 18:04:07
酷暑に脳をやられたとはいえ、妙なものをさらしてしまったので、
ろくたんへの罪滅ぼしとして>>316-319の続きも上げておきます。

……ろくたん、好きなんです。ホント。
前のは単にいじめたくなっちゃっただけなんです……ごめん。つД`)

主な舞台が牀榻とあってそっち方面ではあるものの、
こっちは健全(?)な恋愛の延長で、単に恋人同士のいちゃいちゃのつもりです。
ただ六太の思考がかなり乙女なので、別の意味で要注意ではあるかも。

340続・後朝(1):2007/08/25(土) 18:06:29
 ほてる体を引きずるようにして、六太はいったん正寝に戻った。これから昼
餉のあと、靖州候としての政務を行なうために広徳殿に向かわなくてはならな
い。ようやく尚隆と別行動になったことにほっとしたものの、体は彼を求めて
うずいたままだったので、理性と感情の間での苦しい葛藤は続いたままだった。
以前とは違って仁重殿ではなく正寝の長楽殿で起居しなければならない現在、
どこにいても尚隆の存在感から逃れられないことが苦しさに拍車をかけている。
 その様子が傍目には具合が悪そうに見えたのだろう、付き従う官のひとりが
心配そうに「台輔、お具合でも?」と声をかけてきたが、六太は無理に笑って
「別に何でもない」と答えた。こういうとき、何気ないふりをするのは得意な
はずだったが、そもそも顔が赤くなったままだということはわかっていたので、
それで相手を納得させられたかどうかはわからなかった。
 女官たちに給仕してもらい、心身を鎮めるためにゆっくり食事を摂っている
と、ようやくのことで人心地がついた。これが慣れた男なら、さっさと手水に
でも行って自分で慰めて発散させたところだろう。しかしあいにくこの方面ば
かりはうぶな六太にそんな発想はできなかったし、時間の経過という助けを得
て、理性で強引に押さえ込む以外にすべを知らなかった。
 そうして何とか平静に戻った六太だったが、今夜のことを考えるとどうした
ら良いのかわからず、狼狽と興奮のあまりふたたび動悸が激しくなった。いっ
たんはせっかく鎮まったものを、だめだ、と自分を叱咤する。それでもつい想
像せずにはいられない。肌に刻まれた彼の愛撫が鮮やかに蘇る。
 昨夜の尚隆は優しかった。というより、無茶はしないとの言葉通り、かなり
手加減していたのだろう。あれはあくまで既成事実を作るための、彼にしては
抑えた行為だったのだ。
 愛撫の濃密さで言えば、今日の午前に執務室でされたことのほうが、時間は
短いながらもはるかに優っていたように思う。今夜、あれと同じことが起こる、
いや、尚隆の意味深な態度から察するに、もっと激しい行為をされるのではな
いか。六太はますます動揺した。
 深く激しい口づけ、体をなめまわされるときのぞくぞくする感触、敏感なと
ころを口で愛撫されるときの荒々しい快感。耳元でささやく尚隆の低い声、自
分の抵抗を簡単に押さえ込む強い四肢、鍛えられた広く逞しい胸。いよいよと
なったら、きっとあらがえない。尚隆の思うがままに翻弄されて、また悦楽へ
の道を駆け上ってしまう。
 体はほてり、顔はますます赤くなり、がんがんと耳鳴りさえ聞こえてくるよ
うだ。

341続・後朝(2):2007/08/25(土) 18:08:36
 優しくしてくれるだろうか、昨夜と同じように、何度も好きだとささやいて
抱きしめてくれるだろうか。
 動揺しながらも、いつしか期待が心に忍び込む。それと同時に、抑えようも
ない不安にさいなまれる。
 そもそも尚隆とこんな関係になるとはまったく想像していなかった。これま
では片思いだと思っていたし肉体関係もなかったから、それを秘めることで何
とかなっていた。しかしこのままでは自分は尚隆から離れられなくなる。そし
てこの想いがもし麒麟ゆえであるとしたら、自分が心変わりすることはないだ
ろう。だが尚隆は違う。いつか尚隆が離れていくことになったとき、その衝撃
にきっと自分は耐えられない……。
 そう考えると、六太は底なし沼に足をすくわれたような絶望した気分になる
のだった。
 ひどい、と尚隆を恋いながらも恨む。自分をこんなふうにするなんて。秘め
たままの想いでさえあれば、幾夜枕を涙で濡らそうと、人前ではずっと自分を
抑えていられたのに。
 でももう引き返せない。抜け出せない。恋という名の深い深い底なし沼に身
も心も捕らわれてしまった……。

 六太がわざわざ大司寇府までやってきて「仕事はないか」と問うたので、秋
官長大司寇の朱衡は驚くとともに困惑してしまった。こんなことは過去五百年
の間に一度もない。それに神出鬼没の宰輔ではあったが、これまではむしろ面
倒事を背負い込むのはごめんとばかりに府邸を避けていると言って良かった。
もともと宰輔がみずから大司寇府に赴く道理はないし、自分から、それも仕事
を求めてやってくるなど、自慢ではないが雁国の宰輔に限っては絶対にありえ
ない。
 むろんこのたびの事件をきっかけに仕事熱心になってくれたのなら良いこと
ではあるが、朱衡にはどうにも信じられなかった。今朝の朝議での様子と言い、
何かある。
「台輔、こちらへ」
 とりあえず椅子を勧めて座らせてから、六太の硬い表情を覗きこむ。
「いかがなさいました? 靖州府での政務はお済みで?」
「うん、官や令尹が頑張ってくれてるから、あんまりたまってないし、それに
まだ休んでいろって言われて」

342続・後朝(3):2007/08/25(土) 18:10:52
「それはそうでしょう。無理をしてお体に障ってはいけません。仕事の量は黄
医の判断をあおぎながらおいおい増やしていくとして、今日はそろそろ正寝に
お戻りになっては?」
 途端に六太がぎくりとして椅子の肘掛けを強くつかんだので、朱衡は、おや、
と思った。
「い、いや、でも俺、おまえたちにも長いこと迷惑かけたし、そのっ」
「お体が完全に良くなったら、いくらでも仕事を差し上げますよ」
 朱衡が笑いながら揶揄するように言ったが、それでも六太は必死の様子で食
い下がった。
「ええと、あ、ほら、明後日の朝議は秋官の担当だろ? 実際の奏上の前に今
のうちに草案を見ておいたほうが何かと――」
「こんなところにいたのか、六太。捜したぞ」
 執務室の扉の開く音が聞こえるなり不意に王の声が堂室に響き、六太は反射
的に椅子から立ち上がった。その白い顔が見る見るうちに朱に染まる。
「どういう風の吹き回しだ、おまえが内朝にやってくるとは」
 そういって扉の前の衝立の影から尚隆が姿を見せ、つかつかとふたりに歩み
寄った。いったんは立ち上がった六太は後ずさり、その拍子に背後の椅子に当
たって体勢を崩し、へなへなとまた椅子に座りこんだ。
「何をしている。もうおまえの政務は終わったのだろう」
「あ、いや、そのっ」六太はあたふたと腕を泳がせた。「ほら俺、長いこと眠
っていたし、その間にたまっている仕事があるみたいだから――な、朱衡?」
 六太はすがるように朱衡を見た。尚隆が眉根を寄せ、こちらは問うように朱
衡を見る。
 どうやら六太が正寝に戻りたくないらしいことを悟った朱衡は迷った。理由
があるなら、六太の望み通りに口裏を合わせてもいいと思ったからだ。
 しかし尚隆は彼の返答を待たず、呆れたように六太に言った。
「急ぎの仕事は冢宰や靖州の令尹がうまく計らったはずだろう。それにおまえ
はまだ無理は禁物だ。夕餉も食っておらんくせに。さっさと正寝に帰るぞ」
 そう言って六太の腕を取り、そのまま連れていこうとする。六太は赤い顔の
まま助けを求めるように「朱衡!」と叫んだが、事情のわからない朱衡は立ち
つくすしかない。しかも六太が本気で嫌がっているならともかく、どうしてか
狼狽と羞恥から抵抗しているだけに過ぎないのは見て取れたので、仕方なく尚
隆の好きにさせた。

343続・後朝(4):2007/08/25(土) 18:13:31
 腕を引っ張られて立ち上がり、強引に肩を抱かれて連れて行かれそうになっ
た六太は、それでも一縷の望みを託すようにもう一度朱衡を振り返った。その
顔と仕草に、今までにない艶めいた趣が彩っている。
 その瞬間、まさかと思いながらも、朱衡はぴんと来た。いや、朝議の際も考
えないではなかったが、何しろ五百年もの間、この主従の間に色めいた話はな
かったのだ。あのときは何かの間違いだろうと思い、その可能性を頭から振り
払ったのだが……。
 そのとき、あくまであらがおうとする六太を面倒に思ったのか、尚隆がいき
なりその小柄な体を抱きあげた。
「わあっ!」
 思わず叫んだ六太を意に介さず、尚隆はそのまま堂室からさっさと歩き去る。
 後に残された朱衡は、言葉を失って立ちつくした。目をしばたたき、どうし
たものかと考えるが、何しろ王のすることだ。それに六太が本気で嫌がってい
ないのなら、自分ごときの出る幕はない。
「まったく、あの方々は……」
 溜息をつきながら、六太の様子がおかしかったのは今朝になってからなので、
事が起きたのは昨夜だと見当をつけた。そうしてこの事態がいったいどう転ぶ
のだろうと、少々不安を覚えた。
 一方、六太のほうは、尚隆に抱えられたままで正寝に続く道をたどっていた。
「お、おろせよ。おろせってばっ」
 何度も言うが、尚隆は一向に聞き入れない。すれちがう官たちの、表面的に
は畏まっている興味本位の視線を痛いほど感じ、六太は小声で必死に頼み込ん
だ。
「ほ、ほら、みんな訝しそうに見てるじゃんか! 変に思われるぞ、なっ?」
「何を言う」尚隆は澄まして答えた。「まだおまえがうまく歩けなかった時分
も、俺がこうして抱えて、何度も政務に連れていってやったのだろうが。今さ
らだ。それより騒ぐと余計不審に思われるぞ」
 六太は反論できず、ぐっと言葉を飲み込んだ。こんなことなら、おとなしく
腕を取られてついていけば良かったと後悔する。たかだか内朝から戻るだけの
ことなのに、このときほど正寝への道のりを長く感じたことはなかった。

344続・後朝(5):2007/08/25(土) 18:16:05
 夕餉と湯浴みをすませたあと、女官たちが退出してついに臥室で尚隆とふた
りきりになると、六太はもうどうしていいのかわからなかった。酒肴を運ばせ
てちびちびとやっていた尚隆はふと、榻の端でうつむいて座っている六太に向
けて酒杯を傾けて言った。
「おまえもやるか?」
 六太はうつむいたまま首を振った。
「そうか。ま、俺は少しくらい酒が入ったほうがもちが良いのでな」
 その言葉の淫靡な響きに、六太はますますうろたえた。尚隆はその反応を楽
しむかのように目を細めて六太を眺めた。そうしてから、おもむろに軽く音を
立てて酒杯を置いて立ち上がる。その音に六太はびくっとなった。
 榻の前に立った尚隆は、六太の腕を取って「来い」と言った。その強い力に
六太があらがえるはずもなく、あっという間に牀榻の奥に連れ込まれるなり、
主の腕に抱え込まれていた。
 尚隆は抵抗する隙を与えず、さっさと六太の被衫の帯を解き、前をはだけて
肩までむき出しにした。袖に腕が取られたままなので、六太は却って身動きが
取れない。
「今朝は途中だったからな」
 そう言いながら尚隆は、六太の股間に手を潜り込ませると遠慮なくまさぐっ
た。既に固く勃っていたそこを大胆になでまわす。六太は息を飲んだ。
「あのあとはどうした? 自分で慰めたか?」
「自分、で……?」あえぎそうになるのを抑えながら六太は問うた。
「もしやと思ったが、やはり知らんのか? 自慰と言ってな、大抵の男はする
ものだぞ。自分でここを慰めるわけだ」
「あっ……!」
 竿の部分をさするように軽く握られ、先端の敏感な部分を指の腹でそっとな
でられた六太は、びくん、とのけぞった。だが尚隆はそのまま手を離してしま
った。
「尚隆……」
 六太は潤んだ目で、ねだるように彼の腕をつかんだ。しかし尚隆は「自分で
やってみろ」と言った。
「だ、だって」
「恥ずかしいか? 大抵の男がやっていることだと言ったろう。あの朱衡だっ
てやっているはずだぞ」
「えっ……」

345続・後朝(6):2007/08/25(土) 18:22:56
 これには六太も心底驚いた。朱衡が自慰をしている姿などまったく想像でき
ない。本気で驚いている様子に尚隆は苦笑した。
「まあ、むろん見たことはないから推測にすぎんが、自慰を知らん男なぞ、滅
多におらんはずだからな。それにあれはどう見ても枯れてはおらんから、適当
にやっているだろう。これくらい、男にとっては排泄行為の一種にすぎん」
 尚隆は被衫を完全に脱がせると、六太の手を取って無理にその股間に触らせ
た。そのまま強引に六太の手を動かして、股間のものを大胆にしごかせる。
「あっ――ああっ……!」
 既に敏感になっていた六太のそこに、容易に快感が蘇る。尚隆に触られずと
も自分の手でも感じるという事実が、うぶな六太には意外だった。
 六太はあえぎながら、押し寄せてくる快感に首を振り身をよじった。何しろ
今日は一日中、尚隆の愛撫で引き起こされた体のうずきに耐えていたのだ。や
っとのことでその苦しみから解放されると思うと、ついに尚隆の手を離れて、
自分の両手だけで激しくしごきだした。そうしていざ触れてみれば自分のもの
であるだけに、どこをどう触れば気持ちが良いのかすぐわかるのだった。
「はあっ、あっ、ん、あんっ」
 美しい金髪を乱して自慰に熱中する、あまりにも淫らな幼い麒麟の姿に、尚
隆はごくりと唾を飲んだ。自分も全裸になって六太を後ろから抱きしめながら、
「気持ちいいだろう?」とささやいて耳たぶをかむ。そのぞくぞくするほど卑
猥な低音の響きに、六太はあっけなく達した。
「うっ!」
 動きを止めてうめくなり、六太のものが彼自身の手の中でびくんびくんと震
え、放たれた精が掌と太腿を汚した。熱い吐息を漏らした六太は、手をだらり
と離して尚隆に力なくよりかかった。
 尚隆は六太の太腿に手を伸ばすと飛び散った精液に指をこすりつけて目の前
で見せ、「たくさん出たな、ん?」とささやいた。そうして指先についた精液
をぺろりとなめとると、ついでその指を含めた二本を六太の口に強引に押し込
んでくわえさせ「しゃぶれ」と言った。
「これでおまえも一人前に自慰を覚えたな。俺がいなくて寂しいときは、自分
で慰めるんだぞ?」
 そう言ってもう一方の手で六太の濡れた股間を再度愛撫する。そうして精液
にまみれた手を伸ばしてさらに奥に進め、尚隆を受け入れることのできる場所
をさぐる。感触を確かめるように指先を挿入すると、ぐるりと円を描いて少し
広げるように動かしただけで抜き、ふたたび前に戻って性器をなでまわす。

346続・後朝(7):2007/08/25(土) 18:26:03
「ん、んんっ」
 指をくわえさせられているせいで、あえぐこともできずに六太はうめいた。
尚隆はふたたび手を奥に進め、今度は指を二本挿入して、押し広げるように動
かしながら第二関節まで入れた。
「おまえの中は熱くて締まりが良いな。昨夜も良かったが、今夜もまた楽しめ
そうだ」
 尚隆が腕を前から後ろに回しているので、指で奥を探られるたびに性器が彼
の腕にこすれる。声を上げたいのに上げられず、六太は焦れた。
「気持ちいいか? ん?」指を六太の口から抜いて問う尚隆。
「あ……。はぁ、あ……」六太は背を預けたまま体を小刻みに震わせてあえい
だ。
「気持ちいいと言ってみろ。ほら」
「き、気持ち、いい……あ……」
 尚隆は後ろに入れていた指を動かしながら、柔らかい肉壁の中をさらに奥に
進めた。根元まで入れるとそのまま指先を内側に折り曲げ、指の腹で付近の肉
壁を探るようにこする。途端に六太の体が跳ねるようにびくん!となり、背を
弓なりにそらした。
「ああっ!」
 前をいじられたときとはまったく異なり、腰全体にうねるような快感が走る。
六太は目を見開き口を大きく開けてあえいだ。唐突に訪れた予想外の悦楽に、
髪を乱して激しく頭を振る。
「ここか?」
 尚隆はすかさず、六太が反応した箇所を攻める。
「だ、だめっ、だめっ――ああああっ、あっ、ああ――っ!」
 とめどなく嬌声がほとばしる。その反応の思いがけない激しさに尚隆は目を
細めた。
 この幼い体が愛撫に慣れるまで、しばらく無理をさせられないと思っていた
が、昨日の今日でここまで感じるものなら遠慮はいらないか、と考える。もと
もと敏感な体質なのか、あるいは王に触れられているせいなのか。
「ちょっと指を抜くぞ」
 そう言い置くと、六太の腰が跳ねないようもう一方の腕で強く押さえ込んで
から、指をそろりと引き抜く。六太はほっとして「ああ……」と大きく吐息を
ついて頭を垂れた。

347続・後朝(8):2007/08/25(土) 18:31:07
 しかし指を抜かれても、その下半身に快感は強く残ったままだった。六太に
は、なぜこんなことをされて、前をいじられるより気持ち良く感じるのかわか
らない。それに昨夜は同じことをされても、むしろ気分の悪さが先に立ったと
いうのに。
 尚隆はぐったりとしている六太を仰向けに寝かせると、股を大きく開かせ、
太腿の間に自分の腰を進めた。そうしておいて六太の両足を自分の肩にかけて
細い腰を軽く持ち上げ、自分のそそりたったものの先端を目当ての場所にあて
がう。反応を確かめるようにちらりと六太の顔を見やってから、そのままゆっ
くり挿入する。
「あっ……!」
 仰向けになったまま、六太はのけぞった。快楽に耐えるように指は強く敷布
をつかんでいる。様子を見ながら半分ほど入れた尚隆は、特に問題はなさそう
だと判断して一気に根元まで挿入した。
「はっ……!」
 六太はあえいで息を飲んだ。すぐにゆっくりと腰を動かし始めた尚隆は、
「どうだ? 感じるか?」と問うた。
 うねるような快感の波に襲われて顔をそむけた六太は、ぶるぶると震える手
で敷布を持ち上げてつかんだまま、荒い呼吸を繰り返すだけで答えなかった。
尚隆はすぐに動きを早め、激しく突き上げた。こすれる感触のあまりの具合の
良さ、絶妙な締めつけに、さすがの彼もともすれば気が遠くなりそうで、意識
して自分を強く抑えなければ六太の華奢な体を乱暴に扱ってしまいそうだった。
「あああっ!」
「感じるんだな。俺に犯されて、すごく気持ちいいのだろう?」
 みずからも激しくあえぎながら、卑猥な言葉を投げつける。
「うっ……。この締まり具合はたまらんな……。引き抜くとき、おまえのここ
は肉壁が吸い付いてくるようだぞ。そんなに俺を離したくないか? ん?」
 既に行為に没頭している六太には何も答えられなかった。目を瞑って顎をの
けぞらせ、体をくねらせて、「ああん、あんっ」とあえぎながら腰を激しく振
るだけ。
 これほどまでに凄まじい快感を六太は知らない。その快楽の中で彼は、頼る
ものもなく荒れ狂う嵐に飲み込まれる一艘の小舟に過ぎなかった。逆巻く怒濤
に翻弄されては叩かれ、烈風に煽られては横倒しになり、ついには板一枚に至
るまで粉砕されて嵐に飲み込まれる。

348続・後朝(9):2007/08/25(土) 18:33:16
「そうだ、うまいぞ、六太……。もっと腰を振れ。もっと気持ち良くなるぞ――」
 自分の体の下で激しく乱れる六太の痴態に、尚隆の行為もますます過激にな
っていく。こうなったらとことん追いつめてやろうと意地悪く考える。――こ
の悦楽の前に、理性など吹き飛ばしてしまうがいい。
 これまで無数の女を抱いてきたというのに、彼はこれほど相性の良い体に巡
り会ったことはない。年端もいかない未熟な体、それも同性である男だという
のに、どれも悦楽に達するための制約にはなりえないとは。まさに尚隆のため
にあつらえられたかのような体だった。
 あるいはこれも天帝とやらが仕組んだことか、と皮肉な考えがちらりとかす
める。王に対する褒美だとでも言うのか。それともこの快楽を手放したくない
なら、いっそうの治世に励めと。
 まあいい、と荒々しく腰を使いながら、彼はさらに六太を追い込んでいった。
天帝の思惑など知ったことか。今、こうして互いを想う気持ちに嘘偽りはない
のだから。
 容赦のない突き上げにさらされて、下半身全体を快楽に冒された六太の反応
は激しかった。その有様に尚隆自身も煽られ、もう余計なことは何も考えない。
 ほどなく六太は絶頂に達し、尚隆の体の下で「あああああああ――!」と絶
叫した。びくんびくん、と波打つように体を震わせると、力なく褥に横たわる。
同時に尚隆も果てる。六太から自分のものを引き抜き、どろりとした白濁液が
中から伝うのを見て、尚隆はこの上もない満足を覚えた。
 ――六太は俺のものだ。爪先から頭の先まで、髪一本に至るまで。
 尚隆はその目に強い所有欲をみなぎらせて、だらりと四肢を投げ出して放心
している六太を見おろした。そのまま細い体を抱きしめ、絹糸のような髪に幾
度も強く唇を押しつけて感触を楽しみながらささやいた。
「ずいぶん感じていたな。そんなに良かったか?」
「あ……。尚隆……」
 六太は力の抜けた腕を恋人の首に回してしがみついた。いまだあえいでいる
その口元を、尚隆は優しくついばむ。やがて接吻は次第に深くなっていき、互
いに脚をからめあって激しく抱き合った。

349続・後朝(10/E):2007/08/25(土) 18:36:52
「尚隆……。俺を、好き……?」接吻の合間に息を乱しながら、六太は問いか
けた。
「ああ、好きだ。だからおまえがほしい。おまえを離したくない。俺の腕の中
でおまえが乱れるとぞくぞくする。下で誰と遊ぼうと、この褥で抱いたのはお
まえだけなんだぞ。わかっておるか?」
「うん……。尚隆、俺、嬉しい……」
 そう素直に言っていっそうしがみつく六太を、尚隆もさらに強く抱きしめ、
「可愛いやつめ」とささやいた。
 人は時に苦難を分かち合うことで心を近くするが、それは快楽であっても同
じこと。いずれも激しい感情を伴うからだ。恋人同士が快楽を分かち合うこと
はすなわち絆を深めることと同義だった。
 行為の前に六太の心にあった迷いは既に失せていた。こうして尚隆に抱きし
められていると、なぜか不思議なほど幸せで、他のことなどもうどうでもいい
とさえ思えた。もし将来、尚隆が離れていったら自分は壊れるだけだ。それで
いい。
 幾度も激しく愛し合ったあと、やがて疲れ切って恋人の優しい腕の中で眠り
に落ちた六太は、生まれて初めて心から幸せだと思った。       -終-

350名無しさん:2007/08/25(土) 21:41:03
尚隆の鬼畜小説をあげたあと、ちゃんとフォローもしてくれるなんて姐さん大好きだ(*´∀`*)
相変わらずエロくて幸せ
乙女なろくたん萌え、嫉妬のあまり鬼畜入っちゃう尚隆も萌え

351名無しさん:2007/08/26(日) 09:04:57
>>350
どうもです。やっぱりろくたんをいじめたままというのは心苦しくて……。
>>332-338は真夏の夜の夢ということでよろしく。すべては地球温暖化のせい(ぇ)。
自分の中の尚六は、本当は熱烈ラブラブなんですぅ……。

というわけで書いたぶんの大半を上げたのでROMに戻りますね♥

352名無しさん:2007/08/27(月) 21:02:25
姐さん寂しいよ
ROMに戻っても、ネタ思いついたら時々あげてくださいつД`)

353351:2007/08/28(火) 19:32:44
ありがとうございます。
くだらないのも含めてネタ自体はまだまだあるので、
あまりにも過疎っているようなら、こっそり投下に寄らせてもらうことにします♥

354名無しさん:2007/08/28(火) 21:09:46
先週から仲間入りした新参ものです。
細かな心理描写と想像の3年先を行くエロ描写、クオリティの高さに脱毛です!

>>353
首を長くしてお待ちしてまっす!

355秘密の儀式(驍宗×泰麒):前書き:2007/09/05(水) 21:42:03
なぜか驍宗×泰麒の初H話ができちゃったので置いて行きます。
尚六者の自分は別に戴主従に興味ないのにどうしたことやら。
酷暑の間に既に頭のネジが数本飛んでいたのかも。

おまけにすべてHのための設定なので、恋愛ではなく単なるエロ話です。
その割には行為になだれこむまでの説明がくどくてエロっぽくなかったり。
それでもどうせならもう少しきちんと説明をしたかったんですが……力つきました。

大した内容ではありませんが、この程度でも良ければ
戴主従派の方に差し上げますので、煮るなり焼くなり、あとはお好きにどうぞ♪

356秘密の儀式(驍宗×泰麒)1:2007/09/05(水) 21:44:05
 まだ夜が更けたというには早い時分だったが、幼い泰麒にとってはそろそろ
寝る刻限だったため、長楽殿から女官が使いにやってきたことに驚いた。
「台輔、主上がお召しでございます」
 人払いをして泰麒に用向きを伝えたその年配の女性は、普段からいかめしく
近寄りがたい雰囲気だったので、正直なところ泰麒は苦手だった。しかし驍宗
の信任がもっとも厚い古株の女官であるのは確かだったから、特に疑問もなく、
何か驍宗が知らせたいこと――残念ながら、相談したいこと、ではない――で
もあるのだろうと見当をつけた。
「もう今日は遅いですよね。何か急ぎのご用なのかしら?」
「台輔に内密にお知らせしたことがおありとのことです。とても重要なことで
すので、すぐに長楽殿においでになるように、と」
「そんなに大変なことなの? 驍宗さまに何か良くないことでも?」
 泰麒は青ざめて小さな拳を握りしめた。しかし女官は首を振り、泰麒の懸念
を否定した。
「いえ、秘密の儀式のことですので、どうぞご案じなさいませぬよう」
「秘密の……儀式?」
「わたくしにはこれ以上のことは。あとはどうぞ長楽殿においでになって、主
上に直接お尋ねなさいまし」
「あ……。はい、そうします」
 泰麒は慌てて、着崩していた衣服を整えた。人払いのために身の回りの世話
をする女官たちを下がらせてしまったあとだし、内密にとのことだったので、
目の前の使いの女官ひとりに手伝ってもらって何とか身支度を整える。
 件の女官に先導してもらって仁重殿の主殿を出ると、穏やかな夜風が心地よ
かった。こんな時刻に出歩くことは滅多になかったから、暗い中、園林の背の
高い木々に埋もれるようにしているたくさんの屋根が、ほのかに月光を反射し
ているさまが物珍しい。蓬莱で馴染んだ街灯のようなものはひとつもなく、人
気のない石畳をたどる足元を照らすのは、月明かりと女官の持つ灯籠のやわら
かい光のみ。
 無言で女官のあとに続きながら泰麒は、秘密の儀式とはいったい何だろうと
考えた。宰輔が王とともに執り行う儀式は、即位式の前後ですべて済んだはず
だけれど、秘密というからには公に執り行われるものよりもずっと大切なもの
に違いない。果たして自分にうまくできるだろうか。小さな胸に不安がよぎっ
た。

357秘密の儀式(驍宗×泰麒)2:2007/09/05(水) 21:46:40
 長楽殿に着くと、優しげなひとりの女官がひっそりと出迎えてくれた。しか
しそこで「湯浴みの用意がととのっております。どうぞこちらへ」と告げられ
たので、泰麒はびっくりした。
 戴には毎日入浴する習慣はない。顔や手足は毎朝毎晩清めるとしても、湯に
つかるのは数日に一度程度なのだ。蓬莱では毎日風呂を使い、蓬山でも日常的
に水浴びをしていた泰麒からすれば馴染みにくいことだったが、おそらく戴の
気候が乾いて寒いせいなのだろう。確かに汗をかいて洗い流したいと思うこと
も少なかったし、そのため体が汚れて気持ちが悪いと思うこともなかった。
 泰麒は昨夜入浴したばかりだったし、あまり頻繁に湯を使っても却って湯冷
めをすると女官たちが気をもんでしまうくらいだ。だから長楽殿を訪れるなり
湯を使うように言われて驚いても無理はなかった。そもそも自分の住まいであ
る仁重殿以外で湯浴みをするなど、普通では考えられない。しかも自分は大事
な要件で王に呼ばれてきたはずなのに、こんなところでぐずぐずしていていい
のだろうか。
 泰麒の疑問を感じ取ったのだろう、出迎えの側の女官が「儀式の前にお体を
清めねばなりませんので」と教えてくれた。
「そんなに大事な儀式なんですか……」
 泰麒は緊張で声を震わせた。白圭宮に来てから今までうんざりするくらい儀
式に臨んだが、直前に湯浴みをした覚えはない。教えてくれた女官が安心させ
るようにほほえんだ。
「ご案じなさいますな。すべて主上が良いように取りはからってくださいます」
「は、はい」
 そうは言われても、王の私室である長楽殿の湯殿を使うとあっては、緊張し
ないほうがおかしい。ふたりの女官に手伝ってもらって体の隅々まで清めても
らい、ゆったりとした被衫を着せられると、泰麒は気疲れしてぐったりと榻に
座りこんだ。後ろから髪を拭いてくれている女官に問う。
「あのう……。ぼく、被衫を着せてもらったけどこれでいいのかしら? それ
ともこれからまた別の服に着替えるの?」
「このまま主上の臥室にお連れいたします。あとは主上が」
「はい……」
 泰麒はよくわからないなりにうなずいた。驍宗の臥室に入ったことなどない。
それに儀式を臥室で行うとでもいうのだろうか。もっとも秘密で執り行うとい
うのなら、王の臥室ほどうってつけの場所もないのかもしれないが……。

358秘密の儀式(驍宗×泰麒)3:2007/09/05(水) 21:49:17
 ふたりの女官に連れられて、泰麒は緊張した面持ちで驍宗の臥室に赴いた。
人払いをしてあるのだろう、ここまで他の女官にも侍官にも会うことなく、長
楽殿の最奥へたどりつく。年配のほうの女官が、中にいるはずの王の許可を得
ることなく黙って扉を開くと、房間に入るよう泰麒を促した。泰麒が中に足を
踏み入れると、彼女たち自身は廊屋に留まったまま扉を閉めてしまった。泰麒
は気後れしながらも、ほとんど灯りが消されていたためにほの暗い中をおずお
ずと奥に進んでいった。泰麒と同じように楽な被衫姿で髪をほどいた驍宗が榻
に座っているのに気づいてほっとする。
「驍宗さま……」
「うむ。夜遅くにすまないな、蒿里」
「いえ、そんなことはありません」
 普段は恐ろしいと感じるほど覇気に溢れた王だったが、今はむしろ柔らかい
印象のほうが勝っていたので泰麒は安心した。儀式について不安なのは変わら
なかったけれど。
「あのう。秘密の儀式って何をするんですか? ここでやるんですか? それ
とも別のところで?」
「あー……。それは、だな」
 驍宗にしては珍しく口ごもった。彼は手招いて泰麒を自分の隣に座らせると、
大きな手を泰麒の肩に回して自分に抱き寄せた。そんなことをされたのは初め
てなので、なぜか泰麒は恥ずかしくなって顔を赤らめた。
「麒麟は民意の具現と言われているのは知っているだろう」
「はい」
「民の思いが麒麟の言動に表れるということだな。それは民から麒麟へという
一方通行ではなく、逆に麒麟がいい思いをしても、それが民の側に反映される
とも言われている。だから王は、麒麟がいい思いをするように気を配らなけれ
ばならないのだ」
「そうなんですか……」
 泰麒は感心してうなずいた。そう言われてみればわかるような気もする。
「それで各国の王は、麒麟にいい思いをしてもらうべく秘密の儀式を執り行う
のだ。ただし、これはそれぞれの王宮の秘儀なので、詳細は当の王と宰輔以外
は知らぬことになっている。礼儀上、それに触れることも尋ねることもしない。
秘儀だからな」
「はい」

359秘密の儀式(驍宗×泰麒)4:2007/09/05(水) 21:51:49
「そこで、だ。おまえも白圭宮に慣れたろうし、そろそろ戴でも秘密の儀式を
執り行って、民に良いことが起こるように祈念せねばと思ってな」
「はい、わかりました。ぼくは何をすればいいんですか?」
「あー……」驍宗はなぜか顔を赤くして、頭をかいた。「そのう、もしかした
らおまえは嫌がるかもしれないが……」
「そんなことはありません。民のためになるんですから、ぼく、一生懸命やり
ます」
「そ、そうか」
 驍宗はどもりながら、懸命に言葉をつなげた。普段の王らしからぬ様子に泰
麒は不思議に思ったが、それほど大事な儀式なら無理もないとも思った。
「実はおまえは何もしなくていいのだ。この儀式は王が麒麟に奉仕するものな
のだからな。おまえは何も気にせず、じっとしていればいいのだ」
「そうなんですか?」
 泰麒はびっくりしたけれども、内心でほっとした。儀式と名のつくものはす
べからく緊張したし、そもそも手順を間違えるのは嫌だったからだ。しかもそ
れが民のための大事な儀式とあっては。
「あー、その、何だ、この儀式は私とおまえが臥牀で行なうのだが、こうして
体をくっつけあったり、なでたりするので、その、あまり驚かないでほしいの
だが」
「はい、大丈夫です」
「そ、そうか。では、その、始めると、するか」
 そう言うなり立ち上がった驍宗に抱えられたので泰麒はびっくりしした。し
かしあまり驚かないでほしいと言われたばかりだったので我慢して、落ちない
ように驍宗にしがみついた。その拍子に主の顔を見上げると、先ほどよりずっ
と顔を赤くしていたので意外に思ったが、これほど大事な儀式の前ではさすが
の驍宗も緊張するのだと納得した。
 牀榻の奥の臥牀に横たえられた泰麒は、驍宗が震える手で泰麒の被衫の紐を
ほどくのを驚いて見守った。
「驍宗さま、あのう……」
「こ、蒿里、この儀式はな、王も宰輔も裸で行なうものなのだ」
「えっ……」
「案ずるな。灯りが暗いゆえ、そうはっきりとは見えぬ。すべて民のためだ」
「は、はい」

360秘密の儀式(驍宗×泰麒)5:2007/09/05(水) 21:54:20
 泰麒は驍宗と同じように顔を赤くして答えた。そうこうしているうちにすっ
かり脱がされてしまい、一糸まとわぬ姿で驍宗に組み敷かれている格好となっ
た。ついで驍宗は自分も被衫を脱ぎ、鍛え上げられた逞しい体を泰麒の前にあ
らわにした。むろん泰麒は王の全裸など見たことはない。泰麒はさすがに恥ず
かしさのあまり顔を背けた。体がほてり、心臓がどきどきする。
 王の手が泰麒の胸から腰にかけて、幾度もゆっくりとなでていった。泰麒は
くすぐったさと、なぜか背筋に走ったわけのわからない感覚に身を震わせた。
「だ、大丈夫だ。麒麟が気持ちよくなるための儀式なのだからな」
 そう告げる驍宗の呼吸がやけに荒い。彼は泰麒をつぶさぬよう四肢で体重を
支えながら、その胸と腰を泰麒のなめらかな肌に強く押しつけ、そのまま前後
に激しくこすりはじめた。肌と肌がこすれる熱い感覚、驍宗の唇が顔や耳をせ
わしなく這う感触に、泰麒は我知らず甘い吐息を漏らし、主の首に腕を回して
しがみついた。
「驍宗さま……」
「う、うむ」
 驍宗はいっそう呼吸を荒くすると、泰麒の頭をかかえ、その愛らしい唇に自
分の口を押しつけた。泰麒は驍宗の舌が潜り込んでくる感触に驚いたが抵抗は
しなかった。これは大事な儀式なのだ。
 それでも懐かしい蓬莱の記憶で、これは接吻というものではなかったか、と
いう思いがよぎったが、驍宗に幾度も舌を吸われ、口腔内を隅々までなめられ
るうちにどうでも良くなってしまった。耳の穴を、首筋をなめられ、乳首を舌
と指先でひっきりなしにいじられ、体がどんどん熱くなっていく。下半身に集
まった熱が今にも爆発しそうだった。
「ああ――驍宗さまぁ……!」
 背を弓なりにしならせた泰麒は、股を大きく開いて驍宗の逞しい腰に脚をか
らませ、熱くて熱くてどうしようもなくなった中心を主の腰にこすりつけた。
「ぼ、ぼく――何だか変です。とっても熱くて――気持ちいい――」
「それでいいのだ、蒿里。私はおまえを気持ちよくしたいのだから」
 驍宗は腰にからみついている泰麒の脚をふりほどくと、可愛らしく勃ってい
たそこを大きな掌でまさぐり、荒々しくこすり始めた。泰麒は「ああ!」と快
楽の声を上げてのけぞった。みずからも主の手に股間を押しつけて激しく腰を
振る。
「驍宗さま、驍宗さま――っ!」

361秘密の儀式(驍宗×泰麒)6:2007/09/05(水) 21:57:29
 やがて泰麒は大きく体を震わせると不意に腰の動きを止めた。驍宗に愛撫さ
れていた股間がいっそう激しく脈動して何かを吐き出すのを感じ、それと同時
に、これまで味わったことのない快感に襲われて身を震わせた。快感が走り抜
けたあとは途端に力が抜けてしまい、臥牀に横たわった。驍宗は嬉しそうにさ
さやいた。
「うむ。おまえくらいの年だとまだ出ないかと思ったが、なかなか立派なもの
だ」
 泰麒はその言葉の意味を理解できなかったものの、お漏らしをしてしまった
のはわかったので恥ずかしくなった。主がやけに嬉しそうなのが救いだったが。
「驍宗さま、あの、ぼく……。すみません、漏らしちゃった、みたい……」
「いや、違うぞ、蒿里。これは小水を漏らしたわけではない。何よりすごく気
持ち良かったろう?」
「はい……」
「これはな、おまえが大人になったという証なのだ」
「じゃあ、ぼく、変なことしてないんですね?」ほっとして尋ねる。
「していないとも。おまえは立派に儀式を行なったのだ」
 泰麒は褒められて嬉しくなったが、それではこれで儀式は終わりなのだと思
うと残念だった。驍宗に抱きしめられるのは快感だったし、何よりも今まで経
験したことのないほどいい気持ちになれた。しかもそれは民のためになるのだ。
「あのう。これでもう終わりなんですか?」
「いや、まだ半分ほどだ」
「そうですか」
 晴れやかな思いが声音に混じる。ではもっと気持ちいいことをしてもらえる
のだ、と思うと泰麒の胸はまた高鳴った。
 驍宗は泰麒をうつぶせにすると、可愛らしい尻を左右から押し開いた。顔を
近づけ蕾をぞろりとなめあげる。
「あっ……!」
 背筋から脳天にかけて電撃のような快感が走り、泰麒は小さく叫んだ。驍宗
に後ろを丹念になめられるたびに、火花が散るような衝撃と快感に冒されて全
身を震わせた。先ほどと違って前をいじられていないというのに、股間がまた
勝手に熱を持っていく。
 泰麒は思わず、すがるものがほしくて枕を抱え込んだ。驍宗がなめるだけで
なく舌の先をねっとりと挿入してきたときは、まるで雷に打たれたかのようで、
常世の果てまで駆けてしまうのではと思われるほどのすさまじい快感に激しく
あえぎ、ささやかな精をあっけなく放出した。

362秘密の儀式(驍宗×泰麒)7:2007/09/05(水) 21:59:35
 驍宗は枕を抱きしめたままあえいでいる泰麒の腰を両手でつかむと、唾液で
濡れそぼった蕾に自分の逞しい一物を押しつけた。固くなった先端を少しだけ
挿入し、円を描くようにぐるりと腰を回して入口を刺激する。
「ああ……あ……」
 あまりの気持ちよさに泰麒はあえぎっぱなしだった。しかし驍宗が本格的に
挿入してくると大して快感を感じなかったため、泰麒は戸惑った。自分は気持
ちよくならなくてはいけないというのに。おまけに激しく出し入れを繰り返し
始めた驍宗の声は、先ほどまでとは異なり妙に獣じみていて、「あうっ、おう
っ!」という咆吼のような声を上げ始めたので、泰麒の困惑はますます深まっ
た。
 しかし驍宗が咆吼の合間に「ううっ、これは……すごくいいっ……!」と感
極まって叫んだので、彼が非常な快感を感じていることはわかった。
 最初に驍宗は麒麟を気持ちよくさせると言ったけれども、王も気持ちよくな
ったほうがいいのではないだろうか。何と言っても半身同士なのだし。それな
らば先ほどは泰麒が、今は驍宗が気持ちよくなっているのだから、儀式として
はこれでいいのかもしれない。
 そう結論づけてしまうと、自分の上で驍宗が我を忘れて快楽に悶えているさ
まも何だかとてもいいと思えてきた。麒麟である泰麒の体を味わうことで王が
気持ちよくなっているのだから、それは民のおかげで王が幸せになることを意
味しないだろうか。
 ほどなく腰の動きを早めた驍宗は、最後に泰麒の奥まで激しく突き上げたの
ち、不意に律動を止めて「ううっ」とうめいた。泰麒は先ほどの自分の経験が
あったので、驍宗も同じように大人の証を吐き出して気持ちよくなったのだと
理解した。
 だらりと脱力して泰麒に覆い被さったままあえいでいた驍宗は、やがて体を
起こすと、泰麒から一物を引き抜いた。
「驍宗さまも気持ちよかったですか?」
「う、うむ」
 泰麒に無邪気に尋ねられた驍宗はうろたえた様子で赤い顔を背けたが、汗や
大人の証の液体で汚れた泰麒の体を丁寧に拭いてくれた。
「蒿里、そのう。おまえ、最後はあまり気持ちよくはなかったようだな……」
「ええ。でも驍宗さまが気持ちよかったんならぼくは嬉しいです。ぼく、麒麟
だけじゃなくて王も気持ちよくなったほうがいいと思うんです」
「そ、そうか。そうだな」

363秘密の儀式(驍宗×泰麒)8/E:2007/09/05(水) 22:02:12
 驍宗はどもって答えると、「延麒も最初は感じなかったと延王もおっしゃっ
ていたしな……」とひとりごちた。
「延台輔? 延台輔がどうかなさったんですか?」
「あ、いや。その」驍宗は咳払いをした。「何しろ私は王になって間がないか
ら、ひそかに延王にご教示いただいたのだ。雁も男王と麒ゆえ、秘儀も戴と似
ているだろうと思ってな」
「ああ、そうだったんですか」
「もちろん秘儀ゆえ、普通は他国の王にも他言しないものなのだぞ。それゆえ
おまえも、たとえ景台輔が相手であっても、決してこのことには触れぬように」
「はい、わかっています」
 泰麒はにっこりとして答えた。驍宗は泰麒を抱きしめると一緒に臥牀に横た
わり、鋼色の髪をいとおしそうになでた。
「最後のあれもな、回数を重ねればおまえも気持ちよくなるのだ。前をこする
よりはるかにいいそうだぞ」
「えっ……」
 泰麒は顔を赤らめた。驍宗に愛撫されて大人の証を吐き出してしまったとき
は、あれほど気持ちいい思いをしたことはないと思ったのに、あれよりもずっ
といいなんて。いったいどんな感じなのだろうと想像すると、また心臓がどき
どきしてきた。
「この儀式は頻繁に行なう必要があるゆえ、おまえもすぐ慣れて気持ちよくな
るぞ」
 驍宗は低くささやきながら泰麒の頬をなで、胸元に抱き寄せた。そうしてい
る間にだんだん眠くなってきた泰麒は、やがてとろりとまどろみ、主の腕の中
で安らかな眠りに落ちていった。
----------------------------------------------------------------------


もちろん秘密の儀式なんて嘘っぱち。
泰麒を自分のものにしたかった驍宗が、近習の女官を使って仕組んだだけです。

いちおう明け方には泰麒はこっそり仁重殿に戻ることになります。
それから何度か驍宗と床をともにするものの正寝は遠い。で、漣から戻ったら
住まいが驍宗と近くなったので、もっと頻繁に召し出されるという展開の予定でした。
お粗末さま。

364名無しさん:2007/09/05(水) 23:49:34
なんて萌え設定、姐さんGJ!!!!
延編もお願い

365名無しさん:2007/09/06(木) 12:16:31
戴のエチー初めて読みますた。悪いオトナな驍宗様に萌えー

366355-363:2007/09/06(木) 19:32:48
>>364
えっ、雁ですか?Σ(゚Д゚;) いや、その……。
泰麒と違って、自分には六太がこんな口実で言いくるめられるとは思えないので、
雁編はもっと想像力豊かな他の方にお任せします(汗)

>>365
ちなみに驍宗は何だか不器用でヘタそうなイメージだったり。
泰麒のためにあらかじめ尚隆に教えを請うていたものの、
やっぱり講義だけじゃ足りないよね、ってとこ。

……なんて書いていたら、閨での技巧に関する講釈を
偉そうに驍宗にたれる尚隆を見たくなってしまいました。
コメディ半分ほのぼの半分なら、軽い感じでおもしろそう。
おちゃらけている尚隆と、対照的に真面目にメモを取る驍宗とか。
(さすがに500年の蓄積にはかなわないし、驍宗も泰麒のために一生懸命になるかなと)
しかも次第にのろけとも猥談ともつかない話に発展していくとかだと、いいなぁ。
でも自分には無理なので、誰か書いてー。

367金波宮の夜1:2007/09/22(土) 15:40:59
王宮ってどこの国も構造は似通っているから、
初めての場所でもだいたいの道はわかるし、散歩にはうってつけね。
蠱蛻衫をまとっていれば官の目も誤魔化せるし、
それに玻璃宮はなかなか良かったわ。ああいうのは範にはないもの。
ちょっと豪華すぎるのが難だけれど、そうね、もうちょっと装飾を抑えれば……。

あら、あそこの後ろ姿は尚隆ね?
夜も更けたというのに、また掌客殿をうろうろして。六太だったらさっき、
疲れたとか何とか言ってその辺の榻にのびて寝ちゃったわよ。

いえいえ、そういえばあの人、廉麟が目当てじゃなかったかしら?
そりゃあ、このあたりは官の目も届きにくいだろうし、
やりたい放題かも知れないけど、廉麟は難攻不落だと思うわよ。
何たってほほえましいくらい廉王に首ったけですもの。若いっていいことね。ふふ。

まあ、あの人、六太を抱きかかえて出てきたわ。
六太ったらすっかり寝込んじゃって。
山猿にしては、けっこういいところがあるじゃないの。
それなりに自分の麒麟の面倒は見ているってわけね。

――え? 尚隆ったら何をきょろきょろして人目を気にしているの?
挙動不審だわ。思わずこっちも隠れちゃったじゃない。

あらら、その房間には確かに臥牀が運び込まれていたけれど、
陽子があなたたちに割り当てた房間じゃないでしょ。あくまで臨時の休憩所なんだから。
面倒なのはわかるけど、ちゃんと自分の臥牀に戻ってお眠りなさいな。

368金波宮の夜2:2007/09/22(土) 15:43:03
――まあ、扉が開かない。
房間の鍵をしっかり閉めて、何をそんなに警戒しているのかしら。
他国の王や麒麟に危害を加えるものが金波宮にいるとでも?
確かに、何事も気をつけるに越したことはないかもしれないけれど……。

あら? 何か房間の中から妙な声が……。

あら。
あらら。
あらー……。

いいわ、聞かなかったことにしておいてあげる。

それにしたってあまりにも不用心すぎない?
ここに陽子が来たら、あの子、真面目そうだし、きっと卒倒しちゃうわよ。

六太もここは玄英宮じゃないんだから、
もうちょっと声を抑えたほうがいいと思うわ。
それとも寝ぼけてそんなことも忘れちゃったのかしら? ありうるわね。

そういえば尚隆と六太のことって、もしかしたら陽子は何も知らないのかしら?
今度さりげなく聞いてみようっと。



おしまい

369名無しさん:2007/09/24(月) 17:43:59
第三者視点ってかなり萌えますね。尚六ハァハァ
おませさん氾麟もイイ!
後日談を激しくきぼん

370(尚六)玄武に乗って(1):2007/09/27(木) 21:53:18
「ここ蓬山から雁の玄英宮までは一昼夜。どうぞおくつろぎあそばして、延台
輔ともども、ごゆるりとお過ごしくださいませ」
 碧霞玄君玉葉はそう言うと、扇を口元に当ててほがらかに笑った。天勅を受
けたのち、玄武とかいう大亀に乗って俺たちは雁に向かうのだという。
 空飛ぶ亀か。こちらの世界での理にいまだ慣れぬ俺だが、そういうものかと
思うしかない。
 不意に玄君は俺に流し目をくれると顔を近づけ、扇の陰でひそやかにささや
いた。
「必要なものはすべて室内に揃っております。またしきたりにならって、媚薬
を仕込んだ香をたきしめてございますので、心ゆくまでお楽しみくださいませ」
「……媚薬?」
 さすがの俺も真意をはかりかねて問い返した。小僧とふたりきりで過ごす一
昼夜に、なぜ媚薬が必要なのだ。すると玄君は意味深な笑みを浮かべて答えた。
「もちろん王と宰輔の仲を円滑に取り持つためでございます。延台輔はまだ十
三と幼く、いくら麒麟の常で聡いとはいえ、王の欲求に進んでお応えになるほ
ど成熟してはおられません。しかしこれはお国のこれからを占う重要な事柄で
ございますので、古来より媚薬を用いるのが慣例となっております」
「ちょっと待ってくれ。それはつまり……俺とあの小僧が同衾するということ
か?」
「もちろん」目を白黒させている俺をからかうように、玄君は妖しく微笑んで
答えた。「王と麒麟は半身同士。それゆえもともと心身ともに相性が良いとは
言われておりますが、体を重ねることで、さらに互いを理解しやすくなるので
す。何しろこれからおふたりで国を支えていかれるわけですから、最初が肝心。
むろん無理にとは申しませんが、心の垣根を取り払うためにも昔から推奨され
ていることでございます」
 俺は眉根を寄せた。もともと蓬莱で武士だった俺は、稚児を愛でることに別
段抵抗はない。しかし……。
「六太は承知しておるのか?」
「さ、それは延王の手管次第」玄君はまた意味深に微笑した。「あれで延台輔
はうぶなかたでいらっしゃいますから、どうぞ優しくお願いいたしますね」

371(尚六)玄武に乗って(2):2007/09/27(木) 23:42:53
「しかし……」
「蓬山仕込みの媚薬の効果は絶大でございますから、その点の不首尾はござい
ません。どの国の王も、どんなに麒麟が幼くとも、上々の成果を上げられるも
のでございます。特に麒麟はもともと天地の気脈から力を得るものですし、い
かに激しくなさっても体力が損なわれる心配はございません。また神籍に入っ
ておられる以上、閨での行為程度で怪我をなさる心配もご無用ですのでご安堵
くださいませ」
「まあ……それがしきたりであるというのなら、六太と相談の上で考慮してみ
るが」
 俺は今ひとつ納得できないまま六太と合流し、天勅を受けるためにその先の
大扉の向こうへと進んだ。

「なるほど……。何もかも揃っていると言っていたのは、あながち言い過ぎで
もないな」
 玄武の上にしつらえられた建物に入った俺は、その房間をぐるりと見回した。
大して広くはないものの贅を尽くした装飾が施されている。ほのかに香る良い
香りに気づき、これが玄君の言っていた媚薬仕込みの香だろうかと考える。
 傍らの六太は、特におもしろくなさそうに立っているだけだ。そうして、腹
が減ったのだろう、隣の房間に用意されていた軽食の皿をつかむなり、行儀悪
く榻に寝転んで食べ始めた。
「明日には雁につくらしいから」
 そういった六太は、ここでなすべきことを知っているのだろうか? まあ、
玄君の言ったことが真実であるのなら、そのうち香に影響されてくるのだろう
が……。
 ――ううむ、何やら先に俺のほうが妙な気持ちになってきたぞ。この建物に
入ったばかりだが……この媚薬とやらは即効性なのか? こうして見るかぎり、
六太のほうに変わりはないようだが。
 俺は何気なさを装って榻の六太の横に腰掛け、様子を窺った。

372(尚六)玄武に乗って(3):2007/09/28(金) 22:03:44
 ――ふむ。先ほどから、空いたほうの手をやたらと開いたり握ったりしてお
るな。顔を見ると、少しばかり汗ばんでいるようだが……。しかし蓬莱での黒
髪やあの顔立ちも悪くなかったが、金の髪に縁取られたこちらの顔もなかなか
良い。言動が生意気な割に、顔つきも体つきも繊細だ。こいつは褥でどんな声
を上げるのか……。
 ふと、俺と目が合った六太は、何かにおびえたようにわずかに身を引いた。
それでもこのふてぶてしい小僧は、あからさまな動揺は見せない。俺はちょっ
とからかってやるかと思い、六太の太腿に手を置いてそっとなでた。
「な――何すんだよ?」
 六太は持っていた茶菓子を床に取り落として身を引いた。頬がほんのりと上
気している。これはなかなか……。
「いや……なに、碧霞玄君から聞いたのだが、ここで俺たちは同衾することに
なっているそうだな」
「え?」
「つまり、肌を合わせるということだ」
 六太はぽかんとしている。いくらませていても、そっち方面の形容はよくわ
からなかったらしい。こんな子供にどこまで説明すべきか迷うところだが、ま
あ、どうやら体のほうはとっくに媚薬に反応しているようだし、いざとなれば
押し倒してしまえば良いのだろう。
「わからんか? 俺とおまえが交わるということだ。裸になって、褥で、な」
 ようやく意味がわかったらしく、六太の顔がみるみるうちに首まで真っ赤に
なった。
「な、な、何で? そんなの、聞いてない――」
「古来からのしきたりだそうだぞ。何しろこれからふたりで国を治めていくの
だからな、最初に心の垣根を取り払うために有効な方法らしい」
「そ、そんな」
 六太は顔を赤くして動揺していたが、俺はその様子にますます魅入られて唾
を飲み込んだ。普段は生意気な小僧が、こうして少し怯えているところが何と
もそそる。金色の髪が肩から腰にかけて滝のように流れているが、これが裸体
を覆うさまは、どれほど見事だろうと想像した。

373(尚六)玄武に乗って(4):2007/09/28(金) 23:48:41
 気がつくと俺は、六太の細い手首をつかんでいた。確かに蓬山仕込みの媚薬
とやらの効果は絶大だ。うろたえて逃れようとする六太の反応が妙になまめか
しく見え、俺の欲情をますます煽った。
 六太の小柄な体を胸元に引き寄せるなり、そのまま榻に押し倒す。細い首筋
に顔を埋めると、六太は「あ」とはかなくも艶っぽい声を上げた。体が熱い。
もどかしく思いながら、豪華に装っている六太の服の帯を解くと、衣を引き裂
く勢いで前をはだけた。華奢な腰を抱きしめたまま、首元から胸元にかけて激
しくなめまわす。媚薬の効果か、六太は抵抗できず、「ああ……」と悩ましく
あえぎながら俺になされるがままだ。
 俺は六太を抱きあげると、奥の房間に連れ込み、そこにあった大きな臥牀に
押し倒した。そうして服をさっさと脱がせてしまい、自分も全裸になると、六
太の上に覆い被さった。
 既に六太のほうもすっかり媚薬に冒されてしまったようで、きつく抱きしめ
て深く接吻する俺の背に、こいつも腕を回して熱烈に応えてくる。俺は六太の
体を隅々までなめまわすと、可愛らしい一物をしごいて、まずこいつを先にい
かせてやった。六太が見事な金髪を振り乱し、激しくあえいで俺の手に股間を
こすりつけてくるさまはとても淫らで、俺はますます興奮した。
 六太に自慰の経験があるのかどうかはわからないが、まだ女は知らないだろ
うし、何より男にいかされる経験など初めてに違いない。つまりこいつは純潔
で、俺が初めての相手というわけだ……。
 俺は、射精して脱力した六太の股間をまさぐった。飛び散った精液を秘所に
塗りつけたが、これで挿入できるだろうか。わずかに残った理性の片隅でそう
考えた俺の目に、臥牀の横に備えつけられていた香油の瓶が映った。なるほど、
確かに必要なものはすべて室内に揃っているな。
 俺はその玻璃の瓶を取ると蓋を開けて香油を掌に受け、六太の股間と俺自身
の一物にたっぷりと塗りつけた。ついでに少し指先を六太の中に挿入してかき
まわしてみる。六太は「ああっ」とあえいでのけぞった。まあ、怪我はしない
と玄君も言っていたことだし、滑り具合さえ良ければ大丈夫だろう……。
 俺は六太の股を大きく開くと、細い腰を少し持ち上げた。これは……なかな
かいい眺めだ。まさしく絶景だな。

374(尚六)玄武に乗って(5/E):2007/09/29(土) 00:32:21
 俺を待ち受けている秘所に一物をあてがう。力を入れると、先端がずぶりと
中にめりこんだ。おお、想像していたよりはるかに具合がいいぞ。王と麒麟は
心身ともに相性が良いと玄君は言っていたが――その通りなのかもしれん。
 俺はあえぎながら、感触を楽しむために少しずつ挿入した。とてもきついが、
これがまた実にいい案配なのだ。六太のほうも体をくねらせながらあえいでお
り、まるで早く根元まで入れろとせがんでいるようだ。
 半分ほど挿入した俺は、後は一気に奥まで貫いた。
「あうっ!」
 六太が激しくのけぞった。俺は六太の体の両脇に手を突くと、すぐに荒々し
く出し入れを始めた。中は狭いが、たっぷりと塗った香油のおかげで至極なめ
らかだ。最奥まで突き上げるたびに六太の体が上方にずり上がっていく。
「ああん、あん、ああん!」
 ひっきりなしにあえぐ六太の悩ましい声を楽しみながら、俺は六太を犯しつ
づけた。まったくもっていい声だ。こんな小僧に、これほど色っぽい声が出せ
るとはな。突き上げるたびにびちゃびちゃと淫靡に響く結合部の音が、さらに
趣を加えている。
 おまけに媚薬の効果なのか相性の良さのせいなのかはわからんが、これだけ
激しく反応しているところを見ると、初めてだというのに六太はとことん感じ
ているらしい。これはいいぞ。もっともっと乱れさせてやろう。
 この楽しみが一昼夜で終わってしまうことだけが残念だ。

 玄英宮に到着すると、官吏たちが揃って出迎えた。国土があれほど荒廃して
いるというのに、こやつらの過度に贅沢な身なりを見る限りはそうは思えんな。
王を迎えるために礼を尽くしているのかもしれんが、限度というものがあろう
に。心底から腐り果てている感じだ。
 何はともあれ、俺は王の私室だという正寝に落ち着いた。正寝には多くの建
物があるが、ここは長楽殿というらしい。六太のほうは宰輔の住居である仁重
殿とやらに行ったそうだ。
 あとで宮城の作りを確認したところ、長楽殿と仁重殿はなかなか遠いのだ。
同じ宮城内にあるというのに。俺は玄武の例の建物から、香油と、媚薬を仕込
んだ香を土産に持ってきていたのだが、いったいこれを使える機会があるかど
うか。
 むろん、機会がなければ作れば良いのだ……。

375370-374:2007/09/29(土) 00:34:30
「秘密の儀式」の雁バージョンが自分には無理だったので、
代わりにもっと汎用的なネタで書いてみました。
ありがちな内容のように思いますけど (実際に似た話がどこかにあったらすみません)、
玄武はどの主従でも使える便利ネタですね。
お気に召したら、お好きな主従で脳内妄想してください。

376名無しさん:2007/09/30(日) 18:11:07
>375
乙!媚薬ネタはいいなぁ…萌え(´∀`*)

377名無しさん:2007/09/30(日) 21:54:11
なんてもの書くんだ!!
うっかり萌えちゃったじゃないかーー!

378(月渓→仲韃)徒花(1/5):2007/10/05(金) 15:19:41
月渓視点のプラトニック。・・・愛は行間から読み取ってくださいorz


朝廷という泥の中に咲く、一輪の花のような方だった。

公平無私、清廉潔白といえば夏官の健仲韃と当時の官の間では名高く、官席を
賜って間もない月渓ですらその上司の名と人柄を聞き及んでいた。そして対面する
機会を得た後は、多くの同僚と同じように彼を尊崇した。
ここ二代、芳は王に恵まれていない。賢君を戴くことなく腐敗した朝において
眩しいまでの輝きを持つ存在だった仲韃は、自然と心ある官吏を惹きつけ、月渓も
その例外ではなかった。
だからあの夜、身体を引きずるようにして、使われていない房室から出てきたのが
仲韃であったと見分けられたのは偶然ではない。敬愛する上司を
見間違えるはずがないし、少ないとはいえ篝火が焚かれていた。
しかし普段は人の出入りのないこの奥まった場所に、ここを警備する者か、
あるいは月渓のようにその取り纏めをする者以外が訪れるとは可笑しなことだ。
「仲韃さま?」
月渓は我知らず仲韃に駆け寄った。王宮内とはいえ空位の荒れきった王朝では
何が起こるかわからない。ましてや仲韃は、その潔白さ故に後ろ暗い官吏から
疎まれることも少なくないはずだ。
下官も伴わずに何故と訝しんだそのとき、篝火がちょうど真下に来た仲韃の姿を
照らし出した。
「・・・ッ!?」
月渓は息を呑み、灯りの下の仲韃を凝視した。俄かには己の目を信ずることが出来ない。
―――穢されていた
常には緩められることのないのない合わせは大きく肌蹴られ、開いた胸元からは無数の痣が覗く。
きっちりと結い上げていたはずの髪も解け、彼の表情を覆い隠している。
そして彼の太腿を伝う白濁は・・・
「そ、んな・・・」

379(月渓→仲韃)徒花(2/5):2007/10/05(金) 15:23:38
何が起きたか、問うまでもない。腐敗した朝では珍しくは無い事だった。
それでも陰惨な事実に月渓は無言で目を逸らすと、仲韃に旗袍を差し出した。
しかし仲韃は受け取らない。焦れた月渓がなるべく直視しないように向き直ると、
仲韃の身体がゆっくりと傾いだところだった。
慌てて腕を伸ばし、磨かれた床に激突する前にその身体を受け止める。
夏官とはいえ文官であるにも拘らず、鍛えられた身体の重みに腕が軋んだ。
「大丈夫、ですか」
異常に熱い身体に仲韃が発熱していることを悟り眉を寄せると、落ちてきた
前髪に隠された彼の顔を覗き込んだ。
―――穢されてなお、職務に就く時と変わらぬ澄み切ったしかし苛烈な瞳がそこにはあった
一瞬の後、力尽きたように仲韃の目蓋は下がったが、その瞳の強さに圧倒された月渓は、
息を詰めたまま仲韃の身体を支えて立ち尽くしていた。
射抜くような衝撃から我に返ったとき、この方に囚われたのだとそう悟った。
※※※※

380(月渓→仲韃)徒花(3/5):2007/10/05(金) 15:28:02
それから程なく、仲韃は峯麟の選定を受けた。もはやこの王宮に彼を穢した官は
いない。主だった悪吏は放逐され、誰もが芳は清く美しい国になるだろうと信じていた。
(信じていたかったのに・・・)
月渓は唇を噛み締める。立朝三十年の式典のため訪れた鷹隼宮の露台からは、
雲海越しに寒々しい蒲蘇の街が広がっていた。
仲韃が王となって今年で三十年、国庫が潤うことも民が豊かになることも無く、
街角からは挽歌と王への怨言しか聞こえない。最近では峯麟が不調だという話も聞く。
終焉が目に浮かぶようだった。王朝の終焉、即ち―――
(・・・王の死)
仲韃は死など恐れてはいなかった。あくまで己の信ずる正義に殉じる覚悟であると、
再三諫言をしていた月渓は知っている。
(死を恐れているのは私だけなのですか・・・?貴方の信念を曲げてでも王として
在ってほしいと願うのは)
苛烈な瞳で罪を見据え、清く在り続ける仲韃を見ていたかった。寄り添うことは
叶わぬだろうと戒めていたが、共に支えられればとそう思っていた。その為ならば
どんなことも厭わないと。
しかし民は過激な法に虐げられ、諫言は聞き入れられず、道を違っていることは明白
だった。間違いなく数年のうちに峯麟は失道の病に掛かるだろう。
(ならばせめて・・・)
寵臣でありながら主を止めることのできなかった官として、一度は仲韃の道を信じた者として、
最期まで共に在るのも良いかもしれない。それが私情に基づく不純な感傷であることを自覚
しながら、それでも半ば本気で月渓はそう考えた。しかし・・・
「恵州候、主上がお呼びです」
下官の言葉に驚きつつも、すぐに内殿へ向かう。公的な行事は今日で終わりなので、
何故呼ばれたのかまるで見当もつかなかった。

381(月渓→仲韃)徒花(4/5):2007/10/05(金) 15:56:14
堂室に駆けつけると、そこには彼の側近が集結しており、皆一様に困惑気で
あった。月渓は堂室の片隅でやはり困惑している天官長の側に歩を進める。
「小庸、これはどういうことだ?」
「判りません・・・恵侯もご存じないのですね。どうやら主上が主だった大官に
召集を掛けたようなのですが、何の為やら小官には皆目見当も」
つきません、というより早く下官が王の到着を報せ、集まった官たちは
口を噤むとその場に跪拝する。月渓と小庸もそれに習った。
布擦れの音が止まり、面を上げよという言葉に従って伏せていた顔を
上げると、目の前には変わらぬ主の姿があった。
―――登極したときと変わらぬ、曇りなき眼の仲韃が
嗚呼、と居た堪れなさに再び面を伏せそうになったのは月渓だけではあるまい。
仲韃が王らしくあればあるほど、彼と国土の実態の差が浮き彫りになる。
この場にいる官の誰もが仲韃の人柄を知っていた。同時に彼の行った政策に
よって殺されてきた民の嘆きも。
国土を席巻する怨言、半身である麒麟の不調、それですらこの人を変えることは
出来なかったのだと思い知らされるようだった。

382(月渓→仲韃)徒花(5/5):2007/10/05(金) 15:58:42
苦い思いを抱える諸官を余所に、仲韃は突然の召集を詫びると三十年の節目を
迎える歓びを語り、それを支えてきた諸官を労った。
「お前たちが正しい行いをし、罪ある者達を正してきたからこそ、
今の私の治世があると思う」
渦巻く憎悪と諦念、もう夢を見ることすら叶わぬと知った官たちは、
悲痛な表情を隠しながら王の言葉を受け取った。
(破滅の道を行くしかないのか・・・)
月渓も沈痛な面持ちをしながらそれでも、彼が天帝に生を奪われる
その日まで無意味と判っている諫言を繰り返しながら側にあろうと
そう心中で繰り返す。
だが仲韃はそんな月渓の甘えさえも許さなかった。

「明日になればまたそれぞれの職分に戻り、この芳国の為に尽くしてくれるだろう。
決して情に流されず、罪を憎み、多くの民を救ってほしい。それが私の願いだ」

心が、震えた。畏敬でも感銘でもなく、深い悲しみと絶望から。
(憎い・・・)
甘さを断ち切り、共に逝くという逃げ道を塞いだ仲韃を心の底から憎んだ。
罪を憎み、国に尽くせと、そう言った己の主君を。
(情に惑わされず、民を救えと言ってくれるか。他ならぬ貴方が)
それが仲韃の願いだというのならば、月渓がすべきことは一つしかない。

―――貴方を殺す他、術が無いのだ

※※※※
永和六年、恵州候月渓は首都州を除く八州師を率いて芳王を討つ。
彼がその没前に残した言葉は、後の歴史家によって度々取り上げられる。
「誰より清き国を愛したあの方に恥じぬ官である為には、敬慕するあの方を
討たねばならなかったのだ」
王を敬愛しながら謀反を起こした、数少ない弑逆の盟主として。
                               終

383名無しさん:2007/10/06(土) 02:25:09
オオオー乙!
月渓切ない…
エロはエロで好物だけど、こういうのも大好きだー!
最後で少しだけ銀英伝思い出した

384夕暉陵辱「堕ちた月」(1):2007/10/07(日) 18:00:29
801スレ前スレ990の設定を使った夕暉輪姦陵辱ものです。原作キャラは夕暉のみ。
-----


 その夜遅く、夕暉が書卓に向かって勉強をしていると、房間の扉を叩く音が
した。夕暉が扉を開けると、そこには友人の思文が、大勢の男たちとともに立
っていた。思文はいつものようににこにこした顔をしている。
「思文、何――」
 言いかけた途端。脇をすりぬけて房間に入りこんだ男が、後ろに立つなり夕
暉を羽交い締めにした。驚いて振り向こうとしたそのとき、ふりほどこうとし
た夕暉の腕を他の男たちが強い力でつかんで押さえつけるなり、大声を出そう
と開いた口の中に丸めた布を突っ込んだ。そのまま彼らは夕暉とともに房間に
なだれ込み、奥の臥牀に夕暉を投げ出した。ふたりがかりで夕暉にのしかかっ
て抵抗を封じている間に、残りの男たちが夕暉の両手首、両足首を臥牀の四隅
につなぐ。そうしてすっかり処置してからようやく、大の字になっている夕暉
の体からのいたが、喉も四肢も封じられた夕暉に既になすすべはなかった。
 ――なんで、こんな。
 あおむけの状態で臥牀にしばりつけられた夕暉は茫然とした表情で、にやに
やと笑っている男たちを見上げていた。その間から覗いていた思文の顔に目を
やったが、思文は妙に高揚した気分を窺わせる顔で、他の男たちと同じように
笑みを浮かべていた。
 一番手前にいた男が懐から出した折り畳み式の小刀の刃を見せたので、夕暉
は観念した。
 ――拷問か。
 二年前の和州の乱に彼が関わり、それどころか乱の中枢にいて軍師の真似事
をしていたことは周知の事実だ。あの乱のあと、多くの腐敗した官僚が処罰さ
れたが、この男たちは、思文を含めてその縁者なのかもしれない。それがこの
状況に対する一番妥当な見解だろう。
 つまりは、復讐。

385夕暉陵辱「堕ちた月」(2):2007/10/07(日) 18:02:32
 二年以上も経ってから、こんな行動に出る理由がわからなかったが、彼らの
側の何らかの事情が関係しているのだろう。そして彼らがこうして顔をさらし
ている以上、何か不測の事態が起こらない限り、おそらく自分は殺されるのに
違いない。
 だが一方的になぶり殺されるのはごめんだった。何か抵抗の手だてがないも
のか――。
 そう焦って頭を前後左右に動かし、どこかに隙がないかを必死に探している
と、小刀を掲げた男が夕暉に手をかけた。反射的に目をつむってしまったもの
の苦痛は訪れず、代わりに衣を切り裂く音が房間に響いた。
 目を開いて見ると、男は夕暉の襟元を一気に切り裂いたところだった。腰帯
は扱いにくいと見えてこれは手でほどいたものの、中に着ていた小衫までも小
刀でめちゃくちゃに切り裂いた。そうして下肢に手をかけ袴をも切り裂き、み
るみるうちに衣服の残骸できあがった。他の男たちも手を出して夕暉の体から
衣服の残骸を取り除いたので、まだ少年の甘さの残るみずみずしい肢体が、隅
々まであらわになった。
 男たちの呼吸が夕暉の全裸の肢体を前に荒くなり、傍目からも胸が激しく上
下しているのがわかったので、夕暉は愕然とした。彼らが自分の体を前に、情
欲にかられていることがわかったからだ。
「最初は俺だ。いいだろうな?」
 衣服を切り裂いた男が、小刀を懐にしまうと仲間をちらりと見て言った。
「ああ。さっさとやれ。次は俺だからな」
「その次は俺だ」
 夕暉はつながれている四肢を必死にほどこうともがいたが、丈夫な結び目が
いっそう手首足首に食い込んだだけだった。そんな彼の様子には無頓着に、最
初の男が夕暉の股間に手をかけた。夕暉は、びくん、として腰を引こうとした
が、男は構わず夕暉の男根をつかんだ。
「まあ、そう怯えるな。秀才だか何だか知らんが、どうせまだ女は知らんのだ
ろう? 可愛い顔をしているだけに、男は知っているかもしれんが」
 あちこちからもれた野卑な笑いが、低く房間に満ちた。
「拓峰の乱で軍師を務めたそうだな。あれだけの人間を集めたってことは、体
を使って荒民たちをたらしこんだのか? かなりいい思いをさせてやったんだ
ろう? 今度は俺たちにもいい思いをさせてくれ」

386夕暉陵辱「堕ちた月」(3):2007/10/07(日) 18:05:13
 そうして大きな掌をいやらしく動かして、夕暉の男根をもてあそぶ。竿をつ
かんで親指でさするように何度もこすりあげ、夕暉がうめくと、竿を握ったま
ま、親指の腹を先端の敏感な部分に当てて小刻みに動かした。
 口の中にある布のかたまりのせいで声を上げられない夕暉は目をつむり、頭
を激しく振って腰をくねらせた。抵抗したいのに、官能的な響きのうめきが鼻
から抜けて漏れた。
「こいつ、もう腰を振ってやがるぜ」
 別の男が、荒い呼吸とともに嘲りの声を上げた。夕暉が泣きそうな思いで目
を開いてその男を見ると、彼は下穿きまで下ろして大きな一物をあらわにし、
夕暉の顔を覗きこみながら自分で自分のものをしごいているところだった。
 夕暉の男根を蹂躙している男が指の動きを早くする。激しい刺激に耐えきれ
なくなった夕暉は、ついに我慢しきれずに射精してしまった。
 男はねっとりとした白濁液にまみれた掌を夕暉の目の前にかざすと、にやに
やしながら「お楽しみはこれからだ。俺たち全員でいい思いをさせてやるぜ」
と言った。そうして下穿きごと袴を脱いで下半身をあらわにすると、臥牀に上
がって夕暉の股の間に座りこんだ。夕暉のむきだしの太腿を抱えて、腰をぐい
っと進める。あてがわれた固いものの感触に、夕暉は必死に腰を引いて逃れよ
うとした。
「無駄だ」
 男はそう言うなり夕暉の太腿を抱え直し、たくましくそそり立った男根を、
夕暉の小さな蕾の中に無理やりねじこんだ。
「――――!」
 一気に根元まで挿入され、夕暉は痛みに体をのけぞらせた。こらえきれずに
涙がこぼれる。そんな様子には頓着せずに、男はすぐに激しく出し入れしはじ
めた。
「こ、こりゃあ、いい。へへ。こ、これなら、確かに、体で、荒民も、集めら
れる、な。ううっ」
 腰を激しく打ちつけながらあえぐ男を、仲間たちがせき立てる。
「おい、俺にも早くやらせろ」
「ちょ、ちょっと待て、もう少し……。こ、こりゃ、すげえ」

387夕暉陵辱「堕ちた月」(4):2007/10/07(日) 18:07:15
 そう答えながらも男は一向に腰の動きを止めずに何度も夕暉を突き上げた。
そうしてさらに仲間たちにせっつかれた男は、卑猥にうめくなり、深々と挿入
したまま腰を止めて激しく震えた。自分の中に射精されたのだと知り、茫然と
なった夕暉の目から涙があふれた。
 一物を引き抜いた男が臥牀から降り、別の男と交代した。次の男もすぐに挿
入してきたが、最初の男が一物を抜いた際にこぼれた精液でぬるぬるとしてい
たせいか、夕暉は最初ほど苦痛を感じずに済んだ。
「おう、こりゃ、確かにいいや。このきつさが何とも……。生娘よりいいかも
な。へへ」
 二番目の男が、腰を動かしながら嬉々として言った。
 三番目の男に犯されたときには、夕暉は抵抗を諦めていた。男たちが遠慮な
く中に出した精液のせいで秘所は内も外も濡れそぼり、容赦なく挿入されつづ
けたために既に入口はゆるんでいた。そうして諦めて体の力を抜いてしまうと、
思いのほかすんなりと男たちを受け入れられることがわかり、少しでも苦痛か
ら逃れるため、夕暉はただただおとなしくなされるがままになっていた。
 犯されながらぼんやりと男たちの頭数を数える。五人。それと思文。
 諦めながらも、まさか思文まではと思ったが、六人目として思文が臥牀に上
がってきたので夕暉は彼を凝視した。思文は不自然ににこやかな顔で言った。
「君がいけないんだよ、夕暉。そんなに綺麗な顔で、しかも少学一の秀才だな
んて。おまけに主上に目をかけていただいて、官吏になって王宮に上がるのは
決まっているようなものだ。そうして僕の手の届かないところに行ってしまう
くらいなら、その前に僕が汚してやる。大勢の男に輪姦されて、今さら主上の
元に上がれるわけはないよな」
 思文はそう言って、他の男たちと同じように男根を夕暉の秘所にあてがった。
夕暉は思わず目をつむった。ずるっと挿入される感触。思文は根元まで一物を
挿入すると、あざけるような顔で夕暉を見おろしながら、それでも満足げに腰
を激しく前後に動かした。
「うぅ、すごくいい! 夕暉、君は体も素晴らしいんだね。もっともっと可愛
がってあげるよ――」
 六人が一通り夕暉を犯すと、二巡目が始まった。

388夕暉陵辱「堕ちた月」(5/E):2007/10/07(日) 18:09:17

 どのくらい時間が経ったのかもわからなかった。代わる代わる犯されつづけ
たため、いろいろな感覚はとっくに麻痺していた。
 大量の精液にまみれ、絶え間なく蹂躙されつづけた夕暉は、いつのまにか自
分から腰を動かすようになっていた。大きな一物を根元までぶちこまれて荒々
しく抜き差しされるたび、脳天に突き抜けるような激しい快感が走る。最奥ま
で突き上げられるたびに顎をのけぞらせては快楽にあえぐ。鼻から抜けるうめ
きは既に淫らな香りに満ち、表情は恍惚としていた。
 悦楽のあまり夕暉が理性をなくし、自分から激しく腰を振るようになったと
き、両手足のいましめが解かれ、口に押し込まれていた布のかたまりも取り除
かれた。そうして男たちは深々と突き上げられるたびに夕暉の口からもれる、
すすり泣くようなあえぎ声や、絶頂に達するたびに上げられる快楽の叫びを楽
しみさえした。
 夕暉のほうは、逃げ出す気力も助けを呼ぶ気力も、もう残ってはいなかった。
ただ輪姦されて、これまで味わったことのない快感にひたすら溺れるだけ。
 いましめの代わりに男たちに押さえつけられ、場所を臥牀から床に移動して、
体を起こされたりうつぶせにされたりして、いろいろな体位で犯される。後背
位のとき、夕暉はみずから結合部を高くかかげた。対面座位のときは相手の男
にすがって腰を上下に動かした。
「あぁ、あ、あ、ん、あぁっ」
 中で激しく動く男根に、顎をのけぞらせて頭を振る。
 もう自分は狂ってしまったのだ。そう、頭の隅で考える。こんなふうに喜ん
で腰を振り、ひっきりなしに快感の声を上げるなんて。
 蟻地獄のような性の快楽から、夕暉はもう逃れることはできなかった。
 四つんばいにさせられて何巡目かの男の男根を深々と受け入れた夕暉は、激
しい突き上げによる絶頂感に気が遠くなる思いをしながら、腰を揺らして悦び
の声を上げつづけた。

<終>

389名無しさん:2007/10/07(日) 21:39:28
>>378-382
ふと妄想。
原作でこのあと月渓が峯王になるかどうかはわからないものの、
陽子にとっての浩瀚みたいな、新王の重鎮になればと思った。
そして仲韃を諫められなかった責任を取る形で
芳を立て直してから宮中を辞して市井に紛れる。
しばらく経って月渓が老い、先行きが短くなったときに過去を想起し、
彼にとっての真の王だった前王を静かに偲ぶ……。

390名無しさん:2007/10/08(月) 21:50:09
>>383
初投下だったから感想貰えて本当に嬉しい。
ラストはよくあるフレーズで一度は使ってみたいと思ってたやつ
だったんだが、銀英伝が元ネタだったのか・・・

>>389
うお切ねー!月渓は自分的に仙籍を返上する姿が容易に浮かぶ
数少ない人物だ。里家の閭胥とかやりながら余生を過ごす月渓。
日に一度は凌雲山を見上げ、かの王を偲ぶ・・・とか。
>>384-388
GJ!自分はエロ書くの苦手だから、こういうの書けるのはホントに尊敬する。
ばっちり萌えを補給させてもらったよ。
この後夕暉はこいつ等の玩具になるのか、怒り狂った兄貴が乗り込んで
くるのかと想像・・・

391389:2007/10/08(月) 22:16:07
>>390
うん、自分はなんか月渓が王になる感じはしないんだよね。
で、その路線で妄想してみたら……。

月渓が息を引き取るときは、きっと仲韃が迎えに来てくれると思ってる。

392384-388:2007/10/09(火) 19:30:13
>>390
脳内では既に性奴隷と化していますが何かw
すぐ近くに人がいる物陰に引き込まれてヤられて
「声を出してもいいんだぜ」とか言われてなぶられてますが何かw
誰にも心配をかけたくないがために、ひとりですべてかかえこみ
少学を卒業できる日まで夕暉の悪夢は続く……。

でも何というか、エロって難しいですよねえ。
コメディとかエロなしシリアス程度なら何とか書けないでもないものの、
エロの場合、自分が書くといやらしさに欠ける上、
そもそも文章に余韻がないのが困りもの。

誰か続きを書いてくれる人がいればな……。

393尚六濡れ場(1/4):2007/10/27(土) 14:05:30
少し前に練習で書いた尚六濡れ場シーンです。エロって難しい……。
-----


 強く口をふさがれて、入りこんできた分厚い舌に中をなめまわされ、舌を強
く吸われる。六太も自分から舌をからめて応えるものの、ひっきりなしに角度
を変えてはその口をむさぼる尚隆の激しい動きの前に、すぐに息も絶え絶えに
なってしまう。
 荒々しい接吻からやっと解放されたとき、六太は空気を求めて激しくあえぎ、
飲み込めなかった唾液が口の端からこぼれて顎を伝った。そんなふうに感じて
いる彼を見るのが尚隆は好きで、激しい接吻の合間にも休めなかった愛撫の手
をさらに強めながら、顎を伝う唾液を舌ですくいとるようにしてなめるのだっ
た。
「尚隆――」
 今度は六太のほうから求めて、尚隆の頭を抱き寄せて激しく口に吸いつく。
口の外と中をなめあったり吸いあったりしているだけなのに、どうしてこんな
に感じるんだろうと思う。ただ唇と唇が触れるだけでも、こんなにも快い。
 熱を帯びた尚隆の大きな手が、六太の華奢な体をまさぐる。胸や脇腹や尻や、
いろいろなところを強弱をつけてなでまわされると、六太はいっそう感じて興
奮し、体をほんのりと染めた。
 尚隆に体で教えられるまでは知らなかった感覚。尚隆に開花させられた性が
もたらすさまざまな悦楽。
 六太は自然と脚を開いて尚隆の腰にからめた。激しく抱き合いながら、敏感
な部分を尚隆の腹にこすりつけてさらなる刺激を楽しむ。固くそそりたった尚
隆のものが尻に当たった。たくましいそれが自分の中に入ってきたときの感覚
がまざまざと想像できて、六太の頭の芯が熱くなった。
「ね、早く……」

394尚六濡れ場(2/4):2007/10/27(土) 14:07:51
 誘惑するように腰を揺らし、鼻に抜ける甘い声であえぎながら哀願する。
「――俺が、ほしいか……?」
 六太の唇をなめながら、尚隆はささやいた。声はあくまで低くひそやかなの
に、呼吸は荒く、顔はまぎれもない情欲に染まっている。
 六太は尚隆の肩や首にすがるように腕を回し、たくましい体をなでるように
掌で幾度もさすった。そうしてゆるやかに股間をこすりつけながら、「尚隆が、
ほしい」と熱くささやいた。
 尚隆は体を起こすと、六太の股の間で中腰になった。そうして六太の太腿を
下から回した両腕でかかえることで、細い腰を持ち上げて軽く浮かせた。物欲
しげにひくつく蕾が、尚隆の前にあらわになる。
 尚隆はそこに自分のものをあてがったが、挿入はしなかった。入口をかすめ
て下方に動かしながら尻の間にこすり入れる。
「あぁん!」
 六太は頭を激しく振って体をくねらせた。熱く固いものが幾度も入口をかす
めるだけなのがもどかしく、自分で腰の角度を変えて、尻の間を激しく動く尚
隆のものに直接そこをこすりつけた。
「あぁ、ぁん、挿れて、挿れてぇ……!」
 身もだえする六太には構わず、尚隆はあえぎながら、猛ったものを先端から
根元まで、幾度も荒々しく入口にこすりつけた。刺激で六太のそこもますます
熱くなっていき、尚隆の先端からもれる先走りでじわりと濡れていく。
 激しくもだえる六太をしばらくもてあそんでいた尚隆は、やがて腰の動きを
止めると、軽くうめいて射精した。彼の前に無防備に開かれていた六太の股間
を盛大に汚す。尚隆は抱えていた太腿を離すと、どろりとした白濁液で濡れた
入口を指でまさぐった。節のある太い指の感触に六太は激しくあえいだ。何も
かもを見られていることに羞恥を覚えながらも、逆にそのことに興奮する。
 尚隆は六太の中をじっくりと楽しみながら、そこをやわらかくほぐしていっ
た。指を増やし、広げてはかき回すようにぐるりと動かし、奥へ奥へと侵入し
ては入口に戻る。その繰り返し。
 こんなことをされると気持ちがいいことを六太に教えたのも尚隆だ。そうし
て……。

395尚六濡れ場(3/4):2007/10/27(土) 14:11:47
「あ、ん、そこ、そこ……!」
 一番敏感な部分を探り当てられ、六太は嬌声を上げた。にやりとした尚隆が
そこをさらに刺激すると、激しい快楽に酔った六太の体が、褥の上で幾度も波
打つように躍った。尚隆は挿入していないほうの手で六太の片方の太腿をかか
えると、必要以上に動かれないよう、その体を押さえつけた。
「あぁ、あっ、あああああぁ――っ!」
 尚隆の複雑な指の動きがもたらす悦楽に、六太は髪を振り乱して溺れた。快
感の波が稲妻となって脳天を荒々しく貫く。尚隆自身のもので貫かれるよりは
弱いものの、たとえようもない快感がうねりのように絶え間なく腰全体に押し
寄せた。
 顎をのけぞらせて幾度も享楽の叫びを上げた六太は、肝心のところで尚隆の
指がそっと抜かれたのを感じた。いまだ最高潮に達していなかった六太は尚隆
をうらめしそうに見た。しかし尚隆はその目をおもしろそうに捉えながら、ふ
たたび猛々しくいきりたった自分のものを六太にあてがおうとしているところ
だった。やっと求めるものを得られる期待に、六太の胸は高鳴った。
 尚隆は六太の痴態を見ながら、自分のものをしごくことがある。それを見せ
つけるようにして焦らしてから六太に挿入するのだが、今、じゅうぶんすぎる
ほど興奮して硬度を得、傍目にもわかるほど大きく脈動しているそれは、わざ
わざしごくまでもなかった。
 入口にめりこむ固い先端を感じて、六太はあえいだ。熱くて太くて固くて…
…。それが焦らすようにゆっくりと侵入してくる。肉壁がいっぱいに押し広げ
られ、圧倒的な存在感を持って徐々に六太の中を支配していく。
「あ――あぁ……」
 六太は目をつむり、求めつづけたものの感触に甘い吐息を漏らした。
 ほどなく根元まで深々とおさめられたそれはとても熱くて、脈打つ様子まで
も六太はまざまざと感じることができた。
 覆い被さって顔を覗きこんできた尚隆の体に、六太は腕を回した。
「尚隆の、すごく熱い……。いっぱい、ぴくぴくって動いてる」
「ふふ、おまえの中も、すごく熱いぞ。どうだ、気持ちいいか?」

396尚六濡れ場(4/4):2007/10/27(土) 14:14:50
「ん、すごくいい。ね、動いて」
 自分も腰を揺らしながら甘える声で六太がせがむと、尚隆はゆるやかに体を
前後に動かしはじめた。半分ほど抜いては、また奥まで挿入する。遠浅の砂浜
に寄せる波のごとく穏やかな動き。かなり物足りないものの、これが前哨戦に
過ぎないことを知っているから、六太はこの感覚を楽しむために神経を集中し
た。
 尚隆が最初に放った精液が潤滑油代わりになっているおかげで、こすれる感
触はなめらかだ。尚隆がゆっくりと中を動くたび、先端からもれる先走りが六
太の中を濡らしていき、さらに動きを助ける。
 まぎれもなく尚隆に犯されているという事実が、性交自体がもたらす快感と
ともに六太を歓喜で満たしていった。
 尚隆の動きが少しずつ早まっていく。それとともに、汗ばんで熱をもったふ
たつの体が境界をなくして溶けあっていく。先ほど指で刺激された場所が、今
度は尚隆のたくましいもので絶え間なく刺激され、ゆっくりと、しかし確実に
六太を高みへと導いた。
「尚隆――尚隆――」
 汗ですべる肌に必死ですがりながら、六太はうわごとのように尚隆の名を呼
びつづけた。もう何もわからない。尚隆の動きが次第に荒々しくなり、腰を打
ちつけるように突き上げられるたび、自分の体が激しくずりあがっていくこと
さえ。わかるのはただ、彼に犯されてひとつになっているという幸せな事実だ
け。
 ひっきりなしに出し入れされる尚隆のものが、六太をどんどん追い込んでい
く。快楽がさらなる快楽を生み、頂点へと至る道筋をつける。
「あっ、あぁっ、あ、ん……っ!」
 尚隆にすがりながら絶え間なくあえぎつづけた六太は、やがて快感の果てに
至福の絶頂に達した。頭の中が真っ白になり、その瞬間、ここがどこで何をし
ているのか、自分が何者なのかさえ忘れた。そうして誰よりも恋しい主の腕の
中で、すべてをさらう快楽の大波に溺れていった。

397名無しさん:2007/10/30(火) 01:03:33
濡れ場ーーーーーーーーーーーーっ!!!
エロ杉です、姐さん、もっとやって(´∀`*)

398尚隆×六太(1):2007/11/18(日) 21:32:41
ベッドシーンがあるため、いちおうエロの範疇に入るんでしょうが、
描写自体はあっさりです。
基調はシリアスでちょっと感傷的だけど、大して深刻じゃないし、結局は甘々。
時期的にいつ頃かは決めていないので、適当に想像していただければと。
----------


 尚隆の臥室でふたりで酒盛りをするのは、そう頻繁にあることではないが、
かと言ってめずらしいことでもなかった。ただその夜は尚隆が上機嫌で、傍目
にも酔っているのがわかるほど飲んでいたのを不思議に思ったことを六太は覚
えている。
 尚隆は酒を飲んでも酔っぱらうことはほとんどない。武将気質ゆえ、おそら
く常に周囲の様子に気を配っているからだろう。多少良い気分になるのがせい
ぜいで、酔っているように見えても実際は平静であることが多い。
 だからその夜のように、酔いで顔を赤くして上機嫌で笑っている彼を見るの
は、六太にとっても初めての経験だったかもしれない。肩に力強い腕を回され
て抱き寄せられたときはさすがに驚いたが、素性を隠して市井に紛れるとき、
尚隆が荒くれ男たちと乱暴に、それでいて楽しそうにどつきあいながら肩を組
んだりするさまを見ることがあったから、単に今も同じような気分なのだろう
と想像した。
 何より尚隆の笑顔を見られるだけでなく、こうして彼のぬくもりを肌で感じ
られるのはすごく嬉しかったから、六太も何となく楽しくなり、自分でも思っ
たより酒を過ごしてしまった。
 六太は酒好きではないが、酒に弱いわけでもない。外見こそ十三歳のまま止
まっているものの、長い時間をかけて飲酒の経験を積むにつれ、酒量自体はし
っかり向上してしまったからだ。
 そうして、あとから何を話していたのかも思いだせないほど酔っぱらってし
まった六太は、いつのまにか尚隆の胸に抱き寄せられて接吻され、座っていた
榻にわけがわからないうちに押し倒される段になっても、心中では激しくうろ
たえながら、結局何も抵抗することができなかった。

399尚隆×六太(2):2007/11/18(日) 21:35:22

 明け方近くになって、ふと目が覚めた六太は、自分が尚隆の腕の中で眠って
いたことに気づいて狼狽した。ここは王の牀榻の中、おまけにふたりとも素っ
裸だ。既に酔いが醒めていた六太は、動揺しつつも、尚隆の目が覚めないうち
に何とかこの場を去らなければと考えた。昨夜は自分も酔っていたが、それは
尚隆も同じはず。これは酔った勢いでの戯れに過ぎない。すっかり酔いの醒め
た尚隆が冷静な目を自分に向ける前に立ち去りたかった。うまく行けば、尚隆
は覚えていないかもしれないのだから。
 尚隆の重たい両腕で抱きしめられていたとあって、そこからそっと抜け出す
のには苦労した。普段なら尚隆の眠りは浅いため、六太が身じろぎしただけで
気づかれたはずだが、今はぐっすりと眠り込んでいるようで、まったく目の覚
める気配はなかった。
 やっとのことで牀榻を出ると、床の上に尚隆と六太の装束が乱雑に散らばっ
ていた。そういえば尚隆に、愛撫がてら、榻の上ですっかり脱がされてしまっ
たんだ、と思い出す。いくら酔っていても、あんなことをされた記憶は脳裏に
しっかりと刻み込まれていて、忘れようにも忘れられない。六太にとっては何
もかもが初めての経験だったからだ。
 彼は動揺と羞恥で震えながら自分の下着と官服を拾いあげ、急いで身につけ
た。そうしてこっそり窓を開けると、使令を呼び出して背に乗り、まだ夜明け
前の暗い中を仁重殿に戻っていった。

 沃飛に内側から鍵を開けさせて窓から自分の臥室に入りこむと、六太はやっ
と少し緊張をほどいた。女官たちが起こしにくる刻限にはまだ時間がある。ち
ょっと考えて、何気なさを装うために被衫に着替えて臥牀にもぐりこんだ。
 だがぬくもりのないひやりとした褥は、彼の頭をさらにはっきりとさせた。
すっかり眠気の覚めてしまった頭で、どうしよう、と必死で考える。
 昨夜のことは酔っぱらった尚隆の戯れに過ぎないことは確かだ。彼が女好き
であることは、あらためて言うまでもなくよく知っているし、少年であれ、こ
れまで男を抱いたことは一度もないはずだ。かと言っていくら酒のせいとはい
え、六太を女と間違えたとも考えにくい。それよりはまだ、麒麟というめずら
しい生きものを抱いてみたらどんな感じがするのかと興味をそそられたという
ほうがありえそうな気がした。

400尚隆×六太(3):2007/11/18(日) 21:40:11
 あと一刻もすれば、朝議で彼と顔を合わせなければならない。尚隆のことだ
から、いくら酔っていても昨夜のことを都合よく忘れていてくれるとは期待で
きないが、それならそれで、こちらが何事もなかったような顔をしなければと
考える。
 ――そう、自分が深刻な素振りを見せてはだめだ。そうすれば尚隆も、一時
の戯れに過ぎないのだからすぐに忘れてくれるだろう。もしかしたら口直しに、
今日にでも関弓に降りて妓楼に行ってくれるかもしれない。
 そこまで考えて、六太は鋭い胸の痛みを覚えた。
 きっと尚隆は、六太が接吻すら初めてだったとは知らないだろう。外見は外
見として、これだけ長いこと生きていれば、情交の経験があると考えたほうが
自然だ。相手が男であれ女であれ。
 だが実際には六太は純潔だった。十三歳という微妙な肉体年齢は、少なくと
も彼の場合は性的な欲求をもたらさなかった。常世には性教育もないし、そも
そも子供が里木に生る世界だ。子を持つために夫婦が交わる必要すらない。だ
から六太は、尚隆が好きだったけれども、その意味での欲求をいだいたことは
一度もなかったし、たまにふざけて頭をくしゃくしゃにされる程度のふれあい
で満足していた――満足しようとしていた、今までは。
 なのに。
 六太は自分の腕で両肩をいだいた。尚隆にきつく抱きしめられたときの感覚
が蘇る。榻の上で――臥牀の上で。
 あれは夢だ、と彼は必死に自分に言い聞かせた。きっと尚隆は覚えていない。
覚えていたとしても軽い気持ちで戯れただけだろう。六太と違い、大勢の女を
遊びで抱いてきた男なのだ、一回一回の情交がさほど重きを置くとは思えない。
何かあるとしても、せいぜい「いやあ、昨夜はすまなかった。酔っていたもの
でな」と軽く笑って言ってくる程度だろう。
 だから自分も調子を合わせて「ったく、欲求不満かよ」とでもからかうよう
に返そう。少し呆れた感じで。どうでもいいように。

401尚隆×六太(4):2007/11/18(日) 21:44:20

 しばらくして朝議の場で顔を合わせた尚隆は、特に変わったところはないよ
うに見えた。六太は内心で「やっぱり」と思いつつ、自分も平静を装えている
ことにほっとした。まだ狼狽は残っていたから、相手の目をまっすぐに見るこ
とはできなかったが、少し時間を置けば、また以前のように振る舞えるように
なるだろう。
 そうして日が落ちて臥室にさがった六太は、ほんの少しだけ、尚隆から呼び
出しがあるのではないかと心の底で期待した。昨夜のように「酒でも飲まんか
?」と。その反面、本当に戯れだったのなら、そんなことがあるはずはないと
もわかっていた。
 しばらく暗い臥牀の上で膝を抱いてまんじりともせずに過ごしていた六太は、
やがて褥にもぐりこむと何とか眠ろうとした。しかしなぜだか涙が出てきて、
結局朝方までほとんど眠れなかった。

 結局、良くも悪くも尚隆の言動は変わらなかった。傍目からは六太との間に
何かあったとは決してわからないだろう。それほど変化がなかった。
 やはり彼にとって、戯れの情交など記憶の片隅にも残らないのだ。そう六太
は鬱々と考えた。それに女と違って、男など抱いてもおもしろくはなかったの
だろう。興味本位で麒麟を抱いてはみたものの、期待はずれでつまらなかった
のだ。
 仕方がないことだとはわかっていた。何より六太自身、あれが情交というも
のなら楽しんだとは言えない。
 確かにぎゅっと抱きしめられたことは嬉しかったものの、口の中を隅々まで
なめられたり舌を吸われたりするのは変な気分だったし、思ってもいないとこ
ろに後ろから尚隆のものを挿入されたときは、衝撃のせいもあっただろうが、
正直なところ気持ちが悪くなりかけた。挿入されたまま尚隆の膝に座らされ、
前に回された手で股間を容赦なくしごかれたときは激しく動揺した。あとから
思えば、あれが快感というものなのだとわかったが、そのときは初めての感覚
に動揺するばかりで、おまけに小水とは違う奇妙な色の物を尚隆の掌に放出し
たときは、何が起こったのかわからずに恐慌に陥りかけた。尚隆がなだめるよ
うに「大丈夫だ」とささやいて、もう一方の腕でしっかり抱いていてくれたか
らそれ以上混乱せずに済んだだけだ。

402尚隆×六太(5):2007/11/18(日) 21:46:21
 その後、尚隆は六太を褥にあおむけに押し倒してのしかかり、六太の股を強
引に大きく開かせるなり、また挿入してきた。激しくあえぎながら六太の名を
幾度も呼んでいたが、六太のほうは何が何だかわからずに、尚隆の荒々しくも
律動的な腰の動きにただ耐えていただけ。
 ああいうとき、尚隆がよく通っている妓楼の女がどのように反応するのかは
知らなかったが、きっと六太よりはるかに男を楽しませる反応を見せるだろう
ことは想像に難くなかった。第一、女なら肌は柔らかいだろうし、豊かな胸や
尻、引き締まった腰など、見たり触れたりするだけで大人の男は楽しいだろう。
六太のように、単に細いだけのおもしろみのない体とはわけが違う。
 尚隆があんなにあえいでいた以上、六太を抱いて少しは気持ちが良かったの
かもしれないとしても、普通に女と交わるときとは比べものにならなかったに
違いない……。

 そんなふうに鬱々と過ごしていた六太は、数日後の夜、尚隆に夕餉に誘われ
て動揺した。夕餉に誘われること自体は、これまためずらしくもなかったが、
今回は何しろ先日のことがある。いったい尚隆が何を考えているのかわからな
かった。
 ――いや。彼にとって大した問題ではなかったから、以前のように気軽に六
太を夕餉に誘えるのだろう……。
 ここで断れば、何かと勘ぐられないともかぎらない。そう思った六太は、極
力平静を装って正寝に赴いた。
 王の夕餉となれば普通は豪勢なものだが、華美を好まない尚隆の場合はささ
やかなものだった。その割には、その夜は普段よりずっと豪華な食卓に見えて、
六太は訝しんだ。それでいて王と麒麟の料理が分けられておらず、尚隆の前に
ある料理もすべて六太と同じものが並んでいた。おまけに見た目が色とりどり
で美しいのはもちろん、少しずつさまざまな料理を盛りつけて、決して小食で
はないが大食漢とも言えない六太がいろいろな味を楽しめるよう工夫が凝らさ
れていた。
「どうした、おまえの好きなものばかり揃えたのだぞ。遠慮しとらんで食わん
か」
「う、うん」

403尚隆×六太(6):2007/11/18(日) 23:17:56
 六太は戸惑いながらも箸を取り、料理を口に運んだ。宮城の一流の料理人が
作ったものだ、まずいはずがない。六太の顔が少しほころぶのを見たためだろ
うか、やがて尚隆も嬉しそうに同じ料理を食べ始めた。そうして普段よりずっ
と無口な六太の気を引くように、今日、内殿で起きた話を、おもしろおかしく
語り出す。いわく、どの官がこう言った、あの官がああ言った……。
 どれほど気分が沈んでいようと、うまい料理を腹いっぱい食べればそれなり
に気は晴れるものだ。それに尚隆がやたら気を引き立てようと話をするので、
六太はやっと、数日来の気鬱から抜け出せたような気がした。
 これでいいんだ、と思う。こうして今までと同じように、笑って喋って尚隆
と過ごせるなら。
 そんなふうに結論づけた六太が、やがて夕餉を終えてその場を辞そうとする
と、尚隆が酒瓶を掲げて「付きあえ」と声をかけた。六太は内心でどきりとし
たが、何とか笑って「この飲んべえ」と返すと、なみなみと注がれた酒杯を持
って尚隆の向かいの榻にくつろいだ。
 ただ、あのときのように酔っぱってしまわないように気をつける。適宜酒肴
をつまみながら、ちびちびと飲んでいる程度なら大丈夫だろうが。
 夜もかなり更けた頃、ふと官の噂話をしていた尚隆が立ち上がるなり、話を
続けながら、六太の座っていた隣に腰掛けてきた。六太は焦ったが、ここで逃
げては逆に変に思われると我慢して、動揺を隠すように酒杯をあおった。
 だが空になった杯を卓に置いたところへ尚隆が手を重ねてきたので、びっく
りして反射的に手を引っ込めようとした。しかし尚隆が素早く彼の手をつかん
でしまったので、引っ込めるに引っ込められず、とりつくろうことも忘れて、
動揺の面持ちをあらわにしてしまった。「この酔っぱらいめ」とふざけたよう
に言ったものの、取り繕いきれずに声が震えてしまった。手の震えも、尚隆に
伝わってしまっているはずだ。六太は混乱して顔をそむけてしまった。
「酔っぱらい、とな」尚隆の声音に、かすかな苦笑が混じる。「確かに酔って
はいるが、酔っぱらってはおらぬぞ」
 そうして六太がどうしていいのかわからずに体を固くしていると、やがて尚
隆はひそやかな声で「今夜は泊まっていけ」と言った。六太は激しくうろたえ
た。どうしよう、と混乱するとともに、あの夜の羞恥が蘇ってきて耳まで赤く
なる。尚隆はそんな六太を強引に胸元に抱き寄せると言った。

404尚隆×六太(7):2007/11/18(日) 23:20:29
「おまえも知ってのとおり、俺は商売女や浮かれ女ばかり相手にしてきた。何
しろ遊びのつもりだからな、素人女や生娘に手を出したことはない」
 彼が何を言おうとしているのか六太にはわからなかったが、あの夜のことを
尚隆が覚えていることだけはわかった。
「だからそういううぶな相手を抱くからには、俺はそれなりの覚悟をしている
つもりだぞ。まあ、相手がおまえだけに、今さらどうにも照れくさくて、酒の
力は借りたがな」
 そう言って六太の顔を覗きこむ。だが六太のほうは取り乱したあまり、彼の
言葉の意味を考える余裕などどこにもなかった。
「おまえ、初めてだったのだろう?」
 必死に顔をそむけていた六太は、何もかもを見通されていたことを知って絶
望した気分になった。これ以上、尚隆は自分の何を知っているのだろうと思い、
泣きたい気持ちになる。
 六太が動揺のあまり、ますます体を震わせているのがわかったのだろう、尚
隆はその体をそっと抱きしめると、なだめるように背をゆっくりとさすった。
「この間はいきなりだったからな、優しくしようと思っていたが、つい激しく
しすぎてしまったようだ。おまえの衝撃が大きすぎたかと思ってしばらく様子
を見ていたのだが――」
 そう言いながら、そっと相手の唇をついばむ。六太の体がびくっと震えた。
「――そろそろ俺のほうの我慢が限界でな。おまえがいやでなければ、そろそ
ろまたおまえを抱きたいのだが」
 そう言って、また唇を寄せる。今度は先ほどよりも強く。六太は狼狽のあま
り、却って抵抗できなかった。
「で、でも、俺、男で――」
 何とかそんな言葉を押しだしたが、尚隆は意に介さなかった。今度は耳元か
ら首筋にかけて唇を這わせながらささやく。
「確かに男だな。それで……?」
 優しくも淫靡な低音の響きに耳をなでられて、六太は思わずぎゅっと目をつ
むった。尚隆の胸を押しのけたかったが、幾度も首筋に唇を這わせられて力が
抜けてしまい、すがるように尚隆の衣をつかむのが精一杯だった。
「まあ、おまえのほうはあまり良くなかったようだから、拒まれても仕方がな
いが……。だがこういうことは慣れが大きいものだぞ。俺も男とやるのは初め
てだから勝手がわからんが、聞くところによると、幾度もやっていれば良くな
るものらしい。それまで少し我慢してくれんか」

405尚隆×六太(8/E):2007/11/18(日) 23:23:05
「……尚隆は……?」
「ん?」
「尚隆は、少しは良かった……?」
 六太は羞恥でいっそう赤くなりながらも、消え入るような声で思い切って尋
ねた。尚隆はかすかに苦笑しながら、「少しどころか、かなり良かったぞ」と
答えた。
「なんだ、そんなことを心配していたのか? ん?」
 どこか嬉しそうな尚隆の声に六太は何も答えられず、相手の首元に顔を埋め
た。それを了解と受け取ったのだろう、尚隆は六太の体を強く抱きしめると顔
を上げさせ、荒々しく唇を奪った。

 褥で裸の六太を組み敷き、激しく腰を動かして一物を出し入れする。女とは
多少勝手が違うものの、もたらされる快感は勝るとも劣らない。ただ最初に六
太の股間をしごいて先にいかせてやったのだが、自分に犯されることで六太も
快感を味わってくれればと、尚隆はそれだけが残念だった。しかし妓楼で聞き
かじった話を信じるならば、もう少し回数を重ねれば六太も感じるようになっ
てくれることだろう。
 六太は隠しおおせていたつもりでいたようだが、時折、自分に熱い視線を向
けてくることは知っていた。あれほど一途な目で見られて、心が騒がないほう
がどうかしているというものだ。
 だが同時に、六太が純潔で、うぶであることもわかっていた。これまでそん
な相手の想いを受けとめるだけの覚悟はできていなかった。
 しかし尚隆の王朝はとうに安定し、既に長く繁栄している。そろそろ自分に
褒美を与えてもいい頃だろう……。
 六太の髪はしなやかで、花の香りがした。褥に乱れて広がる見事な金の髪が、
それだけで相手の情欲を煽るなどとは、六太自身は思いもしないだろう。まろ
やかな頬と同じく唇は柔らかく、夜目にも鮮やかな白い肌はなめらかだった。
尚隆の首にしがみついて愛撫に身を委ねるさまはとても官能的で、反応自体は
まだまだぎこちないながらも、小さな唇から漏れる吐息は甘かった。
 腕の中の六太の初々しい反応を愛でながら、尚隆はいっそう激しく腰を動か
して快楽にのめり込んでいった。

(終)

406名無しさん:2007/11/19(月) 23:00:10
ろくたんと小松の初夜ーーーーーーーーーーーーー!!!!ヽ(*´Д`)ノ
清純なろくたんに何ということを!まったくうらやry

407六→尚?「春信」1/10:2007/11/21(水) 10:36:50
初投下。ケータイからの為、小分けで読み辛くてスイマセン。エロ無いしorz


 六太は王宮内の通路を、内宮にある尚隆の私室へと向かっていた。
 月の明るい春宵。辺りには、桃李花の微かな香りが漂っている。

「なあ尚隆、朱衡がさあー……」
 辿り着いた主の部屋は、しかし闇に包まれていた。六太が室内を見渡すと、
窓際に置かれた椅子の辺りが仄かに明るい。近付くと、休息用の椅子に座った
まま眠る彼の主の姿があった。
 常の尚隆にしては珍しく、宵衣肝食の一日を送った所為で疲れたのか、どう
やら熟睡している様である。

408「春信」2/10:2007/11/21(水) 10:39:25
 眠っている間に灯火の油が切れたらしく、薄闇の降りた室内に、蒼く冴えた
月明かりだけが、軽い寝息を立てて眠る尚隆の姿を照らしている。
「ったく……餓鬼じゃあるまいし、こんなとこで寝るなよなぁ」
 平素の自分の行為はかなり高い棚に上げ、主を起こそうと近付いた足が、ふ
と立ち止まる。
 ――そう言えば、こんなに近くで尚隆の顔を見るのは初めてかも知れない。
 先年、元州の乱の折には、彼の背に負われたりもしたが、六太自身はその時
意識が朦朧としていた為、当時の事は殆ど憶えていないも同然だった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板