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SS投下スレ

1管理人:2022/06/22(水) 22:22:27
SSを投下するためのスレです。
内容に不安のある話の仮投下や、修正後の作品を投下するためにお使いください。

2 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:46:21
お待たせしました。修正したssを投稿します。

タイトルについても最後に追記します。

3 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:48:18
鬼殺隊…それは平安時代から存在し続けた鬼舞辻無惨が生み出した鬼を滅する為に戦い続けた隊の事である。

彼らは独自の呼吸や剣術を駆使して不死身とも言える鬼を倒し続けて、人を守り続けた。

何故彼等は闘い続けるのか?

それは隊士それぞれ違う

ある者は家族の命を奪った鬼に対する復讐の為
ある者は借金の肩代わりの恩返しの為
ある者は一族の使命の為
ある者は孤児が育った場所が蝶屋敷だった為…

そのどれもが様々な事情を抱えながら剣を、武器を振るい続けた

だが彼等に共通している想い、それは人を守りたいという想いだ。

実を言うと鬼殺隊と鬼達は紙一重の生涯を生きてきた者ばかりだ。実際鬼殺隊から鬼になってしまった者もいるし、逆に鬼でありながら鬼殺隊の味方になった者もいる。

たった一つの違い、それは他人を餌として見ているか、護るべき者として見ているのかにすぎない。

だからこそ彼等は必ず争い続ける運命にある。思想が根底から違うのだから

だが…もし人を必ず護る為に戦う鬼殺隊の剣士が








人を殺してしまった場合、殺した者は何を思うだろうか?






夢を見た

そこに居た剣士は今の己の姿をしている。

その剣士は列車のそこにあった骨のような物に向かって剣戟を振るった

その剣戟の振り方はまるで円を描くように斬っていた。

そして惚れ惚れする程美しく、炎が描かれていたように見えた。






(…ハッ!…まだ身体が痛む…か…何だ今の夢は?)
現在ギニューはE-4エリアの家でトビウオから降りて民家で身体を休めている。と同時に仮眠もしていた。連戦の疲れをとる為のほんの10分の仮眠だが、体力の回復は早くなった気がする。

さっき戦ったばかりのエリアの付近で休んでいて大丈夫なのか?という疑問が湧くだろう、先ほどまで戦場から離れる事を、宇宙船へ向かう事を考えていたばかりであるはずなのに
それには幾つかの理由がある。

まずは一刻も早く動かないで身体を休ませる事で疲れを取るためである。勿論トビウオに乗っていても身体は回復するのだがその場合操作に神経を使う。回復に集中した方がより回復しやすいと判断し、疲れを早くとる事を優先した結果である(万が一敵が近づいてきても匂いで気付くつもりである)。
それに何故か分からないが…回復に集中していればいるほど傷が塞がっている気がしてくるのだ。

止血の呼吸、全集中の呼吸の1つである。…妙に暑苦しい声が聞こえた気がしたがギニューは気のせいだと結論づけた。
人である以上完全に治る訳では無いがある程度止血は完了した。そして更に回復の呼吸も無意識のうちに、寝ている時にも発動し…その結果
疲れも完璧に回復した訳では無いが、戦う事は出来るくらい回復していた。これも今まで炭治郎が重ねた研鑽、努力の賜物、鬼殺隊の歴史その物である。

(…やはり見事なものだな、竈門炭治郎、貴様の肉体、地球人にしてはかなり役に立つと認めてもいいだろう。フリーザ様の復活の為にな)

だがそんな物はギニューにとってはただの野望の為の道具でしかない、何処までも鬼

4 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:49:29
…話をタワーから離れない理由に戻そう。もう一つの理由、それはタワーに多くの人がいる事が察する事が出来たからだ。
檀黎斗、ジューダス、いろは達から離れれながら…ギニューは炭治郎持ち前の嗅覚を使用し、3人の匂いを記憶しておいといたのだ、トビウオに乗っていながらも、距離がどんなに離れようと匂いを嗅ぎ続けた。
3人がどう動くのか、それによっては回復した後に宇宙船に行く前に奇襲をし、殺し切れなかった雪辱を晴らすつもりだからだ。…嗅覚がさっきより優れている気がしているが気にもとめなかった。
その結果タワーの方へ向かい…多くの人と合流した事、と同時に戦いが起きた事も分かった。
人は身体を動かすと汗をかく、常識である。その大量の汗の匂いと戦いによる血の匂いが、戦いが起きた事をギニューに知らせていたのだ。
ギニューはこの戦いの結果によっては負けた奴を殺そうと考えていたのだ。勿論それは身体が回復した場合の話で、回復が間に合っていないと判断した場合は当初の目的通りフリーザ様の宇宙船に向かうつもりだった。

そしてその結果…ひとつの強者の匂いが急速に離れている事がわかった。
(一人だけのようだな…そしてこの離れ方は吹き飛ばされているようだ、つまり負けたと考えるべきだろう、この結果死んでいる場合なら手を煩わさずにすんだという事だが、生きている可能性もあると考えられる、回復する前に早く殺しておいた方がいいな…宇宙船は…様子を見てくるまでは後回しだな)
とりあえず未だに多くの人数の中にいて殺しにくいだろうあの3人は後回しにして…吹き飛ばされた奴の匂いを追う事にした。





(残るカードは…後四枚か)

E-4 エリア…葛飾署の近く、風都タワーの激戦を終えて休憩中のJUDOは色を取り戻せていないカードを眺めている

(宿儺との戦いの前に力を得ておきたいところだな…)

ここで宿儺は…時間配分について考え始めていた

というのも戦いの度に力を取り戻しているのは確かだ、イオンとの戦闘でクウガの力を、キタキタおやじとの戦いでアギトを、そして風都タワーの戦いで龍騎、ファイズ、ブレイドの力を手に入れていった。
だがこの連戦は多大な体力の消費を伴ったものだ。この肉体は普通の肉体ではない為に体力は回復しやすいが…だからといって自然治癒では限界がある
しかし病院に行く迄ではない、プライドもある。となると動かない事が1番の回復方法だ。治癒する為の薬があればいいのだが…それが手に入っていない以上仕方がないのだ。
だが回復している間に力を取り戻す機会が減ってしまう事も考えると後30分程の休憩で…

(…来るか)
だが迫る気配は、殺気はそれを許さない、そして振り向いた先にいたのは、赤いコートを着て、刀を携えた青年だった。

5 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:50:11
吹き飛ばされた匂いの元の青年を見つけた時、ギニューはどうするか、本当に襲うのか、やはり宇宙船に向かうべきかを改めて考えた。
歩きながらも呼吸を続けて、回復した今の自分なら全力で走れる。
ギニューは青年を見つけた時、本当に襲うべきかを考えた時、ふと気が付いたのだ。そろそろ放送まで時間がないのではないか、と
もしC-1エリアが禁止エリアになった場合、宇宙船に行けなくなるのではないか、と
そうなる前に早く向かうべきではないか、とも


…だがギニューの選択は戦いだった
決めた理由は2つ…1つ目は…より強くなりたいという理由だ。
元々炭治郎の身体のプロフィールを見て、呼吸と透き通る世界が出来るようになる事が目標であった。
そのうち呼吸の技術だけは手に入った。
…一部だけだが
身体のプロフィールは大雑把にしか書かれない時があるのが特徴だ
炭治郎の特徴には呼吸、透き通る世界を使って戦える事、ヒノカミ神楽という舞が出来る事が書かれていた。
そう、詳しく書かれてはいなかったのだ。ヒノカミ神楽が戦いにも生かせる事、そして炭治郎の本領を発揮する戦い方である事も

ギニューが見た夢における炭治郎の戦い方はさっきの戦いでギニューが使った剣術と違う事は察することが出来た。フリーザの下で戦い続けていただけあって勘が働いたのだ。そして本当に1番強くなれる戦い方である事も察した。
となるとこちらも早く己の手にしたいものだと思った。そう思いながらも先程の二者択一を考えていた瞬間である。
炭治郎のヒノカミ神楽による戦いの姿を幻視するようになったのは
コマ切れのように、漫画のようにだが、様々な技を使った瞬間が浮かんできたのだ。そしてその度に思った。使いたい、その技を、と
それと同時に…響いてきた

戦え、戦え、戦え!!という声が

ギニューは戦闘技術を買われてフリーザの父、コルド大王にスカウトされた身、そもそも強い身体と肉体を入れ替えてきた身、強くなる事には貪欲である。
故に…ギニューは手負いだが戦って相手を殺せる相手の方を追いかけることに決めたのだ。そう考えた以上、生身の状態のJUDOを不意打ちしようとも考えなかった。
そしてもう一つの理由はその追っていた相手の状況が予想以上にこちらにとって好都合だと言う事が分かったからだ
近くまで行って改めて匂いを嗅いで、相手の感情を読み取ってみた。その時…妙な焦りを感じ取ったのだ。そしてこうして目の前に出た瞬間に分かった
(フッ…見かけは変わっていないが…分かるぞ…より焦ったな?今)
JUDOは人間ではない、故に人間の持つ感情とは無縁…のはずだった。
だが肉体の門矢士は人間、時には悲しみ、時には笑える男である。感情の振れ幅はしっかりとある。故に休憩がまだ十分取れていない状況で敵が現れた時に…ほんの少しだけ焦ってしまったのだ(勿論表面では全く分からないが)
更に肉体の疲労も呼吸の量からまだ察する事が出来た。そして
(…む?この男の身体、妙に透けて見えたぞ?)
今、ほんの一瞬だが、見えた、JUDOの身体が、多くの傷がある事が分かったのだ。
(まさかこれが透き通る世界というものなのか?)
特に強く意識した訳では無いが、これが透き通る世界である事を薄々感じ取る事が出来た。
…おかしいのでは無いだろうか?
透き通る世界に入る為には厳しい鍛錬が必要である。そしてこれは身体だけではなく、精神としても鍛錬をしていなければそもそも自分の肉体を、相手の肉体を視る観察眼など得る事など出来ないのだ。ギニューも勿論戦闘を仕事にしている以上鍛錬はしていない訳がないが、炭治郎としての鍛錬は全くの0である。何故一瞬でも入れた?そもそもさっきまでは見る事すら出来なかったというのに

だが今はそれについては後回しである、ギニューにとってはどうでもいい事であるのだから、そして相手の状況が悪いと分かった以上、戦わない選択肢はない。

6 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:50:49
「貴様が何者かは知らん、だが中々の強い奴である事は分かった、オレが近づく前に接近を気が付いたからな…それでこそ今のオレに必要な相手だ、我が願いの礎になるがいい!!」

ギニューは所持品の刀以外を近くの民家に置いた後に刀を向けた、それは闘いを誘っている事が分かった。
匂いでギニューは分かっていた。この男は徴発を受けて逃げるような男ではないと

(…仕方があるまい)
休憩は十分ではない、だがそれでも大首領としての誇りは逃げを選択する事はない。更に
(それに…中々の強者である事は分かる、我の乾きをよりなくせるかもしれん)
どんなに疲れようとも戦いそのものが好きである事は変わりない
所持品のベルト以外を葛飾署に置いて…ベルトを装着し…カードを装填する。

「変身」
『KAMEN RIDE DACADE!』

緑色の複眼、マゼンタの装甲、仮面ライダーディケイドがその場に現れた

「ほう、中々カッコいい変身だな…そしてオレの目に狂いはなかった、貴様との戦いはオレをもっと強くしそうだ…始めようか!!」
「ふん、如何なる状況だろうと我が負ける事などありえない、我を楽しませろ」
ライドブッカーをソードモードにして構えるディケイド、それにギニューは嬉々として剣を振る。激闘が、始まる



『彼等』は被害者である。
殺し合いに巻き込まれたからだけではない、気まぐれによって自分そのものの存在が狂わされるのだから
ある者は仲間を捕食してしまい、ある者は細胞に狂わされ化け物になるのを恐れ続け、ある者は怪物としての全てに狂わされ、ある者はにっくき宿敵そのものの振る舞いをしてしまう事になったり、ある者は人として喋れず、貞操を狙われつづけている者もいる
いや、『彼等』だけではない、運が悪い為に望まぬ行為をする自分を見なければならなかったり、他人から見た場合、望まぬ行為をしている自分しかみてもらえなかったり『彼ら』も被害者である。
ただの殺し合いではない為に起きてはいけない事が起きてしまっている
だが『彼ら』もただ使われ続けるだけではない
『彼ら』もそれぞれ抗い続ける。ある者は参加者に直接交渉をした、ある者は己の意地を示した者がいた、ある者は支配され続けながらも支配者を危惧し、真意を聞き出そうとする者もいる。
そして今いる『彼ら』は

7 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:51:47
幾度もぶつかり合う剣、状況はギニューに有利に働いていた。
まず疲労で疲れているディケイドの剣は剣の達人、そして戦闘に慣れていて、痣による身体能力の向上が起きているギニューには当たらない
ギニューは生身だがそれは剣が当たった場合のデメリットになる。逆に言うと当たらなければどうという事はないのだ
逆にギニューの剣はじわじわとディケイドの装甲を削っていき、火花が散っていく。
 
この状況を打開するべく、ディケイドはカードを装填する
『ATTACK RIDE SLASH!』
残像のように増える剣劇、それに対しギニューは
――水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦
全方位防御で守り跳ね返った勢いで空へ飛び
――水の呼吸 弐ノ型 水車
回転、そして降りながら剣を振り下ろす
ディケイドはそれに対して受けながら少しづつ下がって回避
だが間伐入れず着地した瞬間攻撃に移る…怒涛の波のように
――水の呼吸 玖ノ型 水流飛沫・乱
激しい攻めはディケイドの防御の隙間を的確に、更に透き通る世界で相手の傷を見ながら効率よくダメージを与えていく
そして苦痛で防御が緩んだ瞬間を…ギニューは見逃さない
――水の呼吸 壱ノ型 水面斬り
「ぐっ」
派手に吹き飛んでいくディケイドの身体、タワーにぶつかって何とか止まった…
「どうした?それが貴様の実力なのか?俺は貴様を買い被りすぎていたようだな」
嘲笑いに対してディケイドはガンモードに変更してからの銃撃で返す、ギニューはそれを避けながら迫る。
『ATTACK RIDE BLAST!」
残像と共に増える銃撃、ギニューは何も使わず避けるのは不可能と判断した。
――水の呼吸 参ノ型 流流舞まい
次々と避け続けながらディケイドに迫るギニュー、だが
『FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DECADE!』
(そうくるかっ!!)
そうなる事は既に予測済み、避ける軌道をディメンションヴィジョンで見通し、避ける軌道を読み、直撃するように必殺技を放った
並ぶ複数のカードを通過しながらギニューを軽く消し飛ばせる光線が迫りくる
残念ながら避ける事はもう出来ない、それくらい近くまで光線は迫っている
となると迎え撃つしかないが、先の戦いで使ったアクションビームは使えない、強くなる為に剣による戦いに集中したかったギニューは剣以外の武器はバックにしまっていたのだ、そしてそれは遠くに置いてある
残る方法はただ1つ、カエルに入れ替わる前から使っていた光線、ミルキーキャノンによる相殺だ
(出来るのか?この身体で…)
ギニューは以前の身体ではないこの身体で光線を使う事は孫悟空と入れ替わった時の事を考えると不安があった。その為に今まで使わなかったのだ
だが出来なければ…間もなく自分は死ぬ、良くて敗北だろう
(一か八かやるしかあるまい!!)
片手を剣から離して全身で気を溜め込んでそれを片手に集中させる…だが
(無理だ…!!)
気の溜まり具合で分かる。この気の量ではあの光線を押し戻す事は出来ない、やはり気のコントロールが上手くいってくれない、前の身体の10%しか気がたまらない
呼吸の為にも力を使っている事が原因だろうか
何れにしてもこのままでは結局死ぬ事は変わらない
(…ならば!!受け止めてその隙に躱す!!)
再び一か八かの賭け、結果は…
(受け止めは…出来たがっ…!!)
受け止めは成功、だがどうかわせばいいのかは…浮かんでこない
(早く、早く避けなければ…死ぬ…死ぬのか…?こんな所で…?フリーザ様の復活も叶わずに…?)
走馬灯を見かけた…その時だった

『雷の呼吸って1番足に意識を集中させるんだよな』

(この言葉は…!?)

今見た走馬灯に何故か意味があるような気がしたギニューは…無意識に善逸がどのような戦い方をしていたのかを思い出していた、そして雷の呼吸は超スピードの移動が出来ることを知った

勿論だからって雷の呼吸が出来る訳では無い、だがほんの少しだけ再現できないかと足に力を込めた

そして超スピードで回避、何とか窮地は脱した。実を言うもこの殺し合いで会っている善逸には感謝するべきだろう、するわけが無いが

8 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:52:19
避けたのを見たディケイドは思う、この男の動きはあの青い騎士にも負けていない、久しぶりに全力を出せそうだ、と
ディケイドに残っている主な攻撃手段はイリュージョンによる分身による同時攻撃、そしてライダーキックがある。

前者は自分のプライドに触る。一人に対して大人数にで攻撃しなければ勝てないのかとは思われたくもない。だからタワーでの1対3の時でもイリュージョンは使わなかった。

後者はまだ使用には早い、となると他に手段がない…

わけがない

ディケイドの攻撃手段はあまりにも豊富、まだ5人のライダーしか解放されていないが、それでも多い

さて、ここでまずディケイドはどの姿を選ぶだろうか?

まず刀には銃が一番だ、遠距離から一方的に攻撃し続ければやがてギニューは限界を迎えるだろう

だがその手段を…ディケイドは取らなかった。遠距離攻撃にはもう相手に警戒されている以上常に接近されるだろうと考えた為だ

となると刀には刀で迎え撃つべきか








…本当にそうだろうか?

考えて欲しい、もし今のJUDOに一番効率のいい戦い方を考えるとしたらファイズアクセルで有無を言わず距離をとって遠距離で攻めるべきだろう

勿論万全のJUDOならばプライドを優先して取らないだろう、だがJUDOはまだ傷を治し切っていない状況だ、自分が傷ついている状況で近接戦はよろしくないはずなのだ

…もし門矢士がギニューと戦っていた場合こう言うだろう

『刀にはこっちも刀だ』



ディケイドはまず赤い戦士のカードをバックルに入れる、更に

『KAMENRIDE KUUGA!』

『FORMRIDE KUUGA TITAN!』

紫のカードを入れた。キタキタおやじの時も変身した姿だ

「一つの姿から更に別の姿だと?」

今までベルデ、ライドプレイヤーなどライダー、またはライダーに似た存在に会ってきたが変身した姿から更に変身する姿を見るのは初めてだった。

「まぁいい、やる事は変わらん、オレの刀で斬るだけだ!!」

ギニューはゆっくりと進んでくるクウガに向かって剣を振るう、だが

ガキィン!!

という音と共に弾かれてしまう

「何だと!?」

あの時の戦いと同じ防御力を見せつける、そしてぶつかっている刀を掴む

そして驚いて隙だらけのギニューにタイタンソードを振るう

ギニューは慌てて回避、そしてそれと同時に…何と上に引っ張り上げた

今度はクウガが驚く番だった、重力は常に下に働くもの、プロトタイプでもない戦闘力が強いワームが何か特殊能力を使わずに浮く事などありえないからだ。その驚きと共に掴む力が緩み、剣を引っ張り取り返されてしまった。

確かに一見何か特殊能力を使ったようには見えない、だがそれは見た目だけの話である。ギニューがここで使ったのは舞空術、自分がいる世界では当たり前のように使われている力である。かつて悟空の身体でも舞空術は使う事ができたのと同じように炭治郎の身体でも可能であった(そもそも舞空術自体が基本的に簡単であるのも理由の一つである)

ギニューは浮かび上がった勢いで攻撃をしようとする

だがここでほんの少し迷いが生じた

というのも今のクウガの鎧はとても頑丈である事が分かっている。もし刀身で攻撃をすると刀が砕ける可能性が、そこまでいかなくてもキレ味が落ちる可能性がある。今後の戦いを長期的に考えると切れ味が落ちるのはよろしくない。

そこで考えたのは一度呼吸による攻撃をやめる事である。そして何をしたのか、それは

何と持ち手を一瞬で変えて頑丈である柄頭による打撃であった、不意を突かれたクウガに当たってしまった。

勿論この鎧には少しもダメージが通らないのは百も承知、ギニューの狙いは衝撃を脳に伝わらせる事にある

どんな人間でも脳は振動を受ける事で動きが鈍る。狙い通りにクウガはほんの一瞬だけ動きを止める。この隙に透き通る世界で甲冑の隙間で最もダメージが通る場所めがけて

――水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き

一点集中の一撃…!!

「くっ…!!」

予想以上の痛みに吹き飛びながら苦悶の声をもらすクウガ、だが…この事も屈辱として怒りに変える

「我にこれほどの痛みを与えるとは…許さん」

「フン、許されないのは貴様の弱さではないか?」

煽り返され怒りはさらに増していく、この姿ではダメだと判断し、次のプロトタイプへと姿を変える。

9 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:52:53
「変身」

『KAMENRIDE BLADE!』

銀色の装甲を纏ながらも蒼い印象を与える仮面ライダー、ブレイドの姿に変わる

「…一つ質問良いか?」
「何だ?」
「貴様は先程から様々な姿に変わっている、俺は以前貴様と同じような戦士と戦った事がある、恐らく貴様も先程戦ったはずだ」
「…あの緑の戦士の事か?」
「そうだ、今貴様が変身している戦士と同じようにベルトが力の源のように見えた、その変身している姿は一体なんなのだ?」
下らぬ質問だ、JUDOはそう思ったがほんの気まぐれで答えてやることにした。
我が知るプロトタイプ…とは別世界の仮面ライダーという物だ、と

だが実際に答えた言葉は










「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ………、!?」
全く違う言葉だった
(何だ?今の言葉は…?)
「仮面ライダー…というのか、面白い、その力、オレの物にさせてもらうぞ!!」
フリーザ様復活の為に更なる強さを求めるギニューは今闘っているディケイドのベルトを奪いたいと考えていた。
再び向かってくるギニューにブレイドは醒剣ブレイラウザーを構える
剣士と剣士の戦いが今始まる。



ぶつかりあう剣と剣、最初にディケイドの状態で剣を振るった際はディケイドが押されていたが、今の戦いでは互角の剣戟を展開していた
理由はブレイドに変身している事である。ブレイドは刀による戦いをメインにしている。その為に刀の扱いがディケイドの時より上手く行えてるのだ。

剣戟による衝突は互いに強く体がぶつかった拍子に一旦離れる、そして技を出す構えに入る
さて、ブレイドのアタックライドカードはどのようになっているだろうか?
まず、本当のブレイドに変身した人物、剣崎一真が使ったアタックライドはビート、タックル、スラッシュ、サンダー、キックである
一方で門矢士が使ったアタックライドはマッハ、メタルである

そして思い出してほしい、タワーの戦いにてディケイドが使用したカード、門矢士は使ったことがあっただろうか?
つまりこれが答えである。

『ATTACK RIDE SLASH!』

『ATTACK RIDE THUNDER!』
 
ライトニングスラッシュの再現である。

更にこれに加え

『ATTACK RIDE MACH!』

超スピードも兼ね合わせる

スピードも乗せた今の斬撃ならば生身のギニューなど一刀両断だろう

だがギニューが何もしない訳がない、超スピードを匂いで察知しながら透き通る世界で攻撃を見通しながら呼吸に集中する

まず一度斬りかかってくる、ギニューはギリギリで刃ではなく刀身で受け止めながらわざと弾かれて飛ぶ

飛ばされながら直ぐ追撃の攻撃も来るが再び刀身でガードし再び飛ぶ

ギニューは強烈な攻撃を受け止めるのではなく、受け流し切る道を選んだのだ

三度飛ばされながら受け止めてそしてそのマッハのスピードが終わった瞬間

――水の呼吸 捌ノ型 滝壷

隙があったブレイドへ渾身の一撃、即座にカードを装填し対応する

『ATTACK RIDE METAL!』

メタル、ギニューにその言葉が聞こえた瞬間、この技を後悔した

つまり硬質化による防御の技だと直感したからだ

だがこの型もまた攻撃力は高い、どうなるのかは分からなかった。

結果は…ダメージは与えられなかったが衝撃でブレイドを吹き飛ばすことは出来た

10 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:54:12
ブレイドは体勢を整えて次なるカードを装填した。

『ATTACK RIDE TACKLE!』

体当たりによる勢いを乗せた攻撃、一見マッハと被るが、衝突の威力に重点を合わせた攻撃だ、これに加えて

『ATTACK RIDE  BEAT!』

拳による攻撃も合わせる、その拳は体当たりの威力も合わせた破壊力がある一撃である事は読み取れた
ブレイドは圧倒的な攻撃を相手からの剣の攻撃はブレイラウザーに守りながら喰らわせるつもりだ

だがそれくらいでダメージを与える事が可能だと思われているとは、ギニューを舐めていると考えるべきだろう

ギニューは刀で絶対に防御出来ないであろう場所を透き通る世界で見ながらそこにめがけて剣を振るう

――水の呼吸 肆ノ型 打ち潮

「ぐっ…!!」

再び一撃を喰らい火花を散らすブレイド、攻撃も中断してしまった。

…御覧の通り状況見れば分かるが今の所やはりディケイドが一方的にダメージを受けている。

JUDOが傷を負っているとはいえ、火の呼吸が使えなくともやはり今のギニューの身体の強さはかなり高い事の証明だと言えるだろう

「貴様…何故これ程強いのだ…生身の人間が…鎧を纏った我と張り合える…!!」

ディケイドになってからここまで苦戦した戦いは今までになかった。

ここまで相手に対応されて逆に攻撃をくらう事など想定外である

「不運を呪うんだな、貴様が外れの身体に選ばれてしまった事をな!!」

ギニューは大技を繰り出してトドメを刺すことを決めた

――水の呼吸 拾ノ型 生生流転

回転しながら高まっていく一撃、水の呼吸最強の技、水の龍を纏っているようにJUDOには見えた。

大技にはこちらも大技、こちらも金色のスペードが描かれたカードを装填する

『FINAL ATTACK RIDE B B B BLADE!』

ライトニングソニック、数多のアンデッドの封印のきっかけになった一撃だ

「ウオラァァァァァ!!」

「ハァァァァッ!!」

二つの強力な一撃が今、激突した。


「…中々やるな」

「…貴様こそ」

互角の威力だったようで、互いにダメージを受けながら離れただけだった
戦いはまだ続く、再び剣を向け襲ってくるギニュー、ブレイラウザーを構えながらブレイドはこの戦いで目覚めた新たなカードを取り出す。

11 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:57:37
攻撃をブレイラウザーで受け止めながらそのカードをバックルに装填
『KAMENRIDE』
その瞬間、身体が紫炎に包まれる
「!?」
慌てて熱がりながら離れたギニュー、そして紫炎から現れたのは
『HIBIKI!』
紫色の鬼だった

「鬼…か、この身体は鬼狩りの剣士らしい、その時点で貴様の運命は決まったようなものだな」
「我をそのような雑魚と同等に考えるな」
『ATTACK RIDE ONGEKIBOU REKKA』
響鬼は音撃棒烈火を携えながら…ある事を考えていた
(奴の強さ、薄々気づいていたが呼吸によるものだろうな)
戦いの姿を見るうちにギニューが頻繁に呼吸をしていたのを見ていた為に、ギニューの強さの根源に気づき始めていた。
(となると…早々に封じさせてもらおう)
封じる為の策を開始した




戦いが始まった瞬間である
鬼火、烈火弾をそこら辺にまき散らせ始めたのは
「貴様!?正気か!?」
「正気だが?」
ギニューは避け続ける、避け続けるが周囲が轟々と燃える炎に包まれ始める
(この男、何を考えて…!?グッ!?)
その瞬間である、肉体が、動きが鈍り始めたのが
「気が付いたか?」
JUDOは嘲りの笑いと共に答え合わせを始める。
「この極限の熱気、そして二酸化炭素の増加に対して、貴様の呼吸は…行使する事は出来るのか?」
燃える、身体の内部が燃えるように熱くなっていく

苦しい、圧迫感がギニューを蝕む、一瞬だが眩暈もしてしまっている

辺りにまき散らされた炎による火災は例え炎のダメージを受けずとも常に大きく呼吸をし続けて戦うギニューの身体を蝕む
慌てて全集中の呼吸をやめるが身体に沁みついている癖はそう簡単に抜ける物ではない、その上動きも遅くなる
「ぐああああ!?」
苦しむギニューに響鬼は容赦しない、慌てて響鬼に向き合うギニューだが容赦のない攻撃がギニューを襲う
『ATTACK RIDE ONIBI!』
口から吐き出した紫炎、慌てて避けるがその避けた隙を
ドカッ
「ぐはっ!!」
拳が襲う

そしてここから先も容赦しない
バキッ
蹴りが
メキョッ
裏拳が
ボキャッ
チョップが襲った
「がああああ!!」

響鬼の特徴の一つは圧倒的なスペックの高さにある、一つ一つの攻撃が他のライダーの基本形態より強いのだ。
それによって大ダメージを受けたギニュー、そして
『FINAL ATTACK RIDE』
止めの一撃
『HI HI HI HIBIKI!!』
バックルから飛び出したのは太鼓であった。
その太鼓はギニューの身体を容赦なく捉える。
烈火を構えながら近づく響鬼、阻害する者は誰もいない
そして奏でられる音撃打 火炎連打による太鼓の音、一つ一つ音を打ち込まれるたびにギニューの身体が震え、ダメージを追っていく
本来は大地の穢れから成るモノを浄化する為の音だが、ギニューという邪悪を祓い清めるには打って付けと言えた。が、その音を奏でている者もまた邪悪である事が非常な現実を思わせる。
そしてある程度奏でられ…締めに相応しい大音によって吹き飛ばされていった。

響鬼はディケイドへと姿を戻しながら倒れているギニューに近づく
ギニューは刀を握り、白目をむきながら気絶している
「不運を呪え、貴様が外れの身体に選ばれてしまった事を」
嘲りと共に先程の言葉を返し、ライドブッカーを剣にして…首に一閃









したはずだった。

12 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 22:59:06
(…何だ?この景色は)
透き通るような青空が見えた
(どうなっている?オレは奴に…JUDOの攻撃を受けて…)
それからの記憶がない、気がついたらここにいた。そしてそれだけじゃない、周りは炎に包まれていないし、匂いが全然しない、そして右手には刀じゃない、斧を持っていた
それから姿は変わらないが様々な記憶が流れてくる。だが一番記憶に出てくる男は赤みがかった赫灼の瞳と月代を剃らず、後ろで大きく纏めている長髪、そして自分の今の身体と同じ痣がある。
そして日輪の耳飾りをしている男だった。
そしてその男は…先程の仮眠でみていた刀の振り方をしていた。
ギニューは直感で感じ取った。この男の動きをしようと思えば使える…真の強さを発揮できる、JUDOを倒せる、と
ならば目が覚めなければいけない、覚めなければ…!!死ぬ…!!
その瞬間であった。
急激に目が覚めていく気がした。そして何故か感じた頭の痛みと共に、ついでに今までの炭治郎の戦いがどのような物だったのかも理解させられながら…目覚めていった…






そしてその時に気が付いた…妙な違和感に
(そう言えば、何も声が聞こえなかったな、どうでもいいが)
ギニューにとっては至極どうでもいいのだ、彼等の想いが、どんな物であろうと、そんな奴に彼等の声なんぞ響くわけがなかった


ガキィン!!
「!?」
JUDOは驚きざるおえなかった、白目向いた状態から一瞬で目を覚ましたことに、即座に
だがまぁ良いと思考を切り替える、どうであろうとコイツはこの状況ではよわ―
立ち上がった瞬間、JUDOは分かった。
この男、今までと全く違う、と
どういう事か、全く分からないうちに、始まる

ヒノカミ神楽が

ギニューは思う、恐らくあの動きを、流れを全部再現すれば強いのだろう、そしてそれで倒せなかったらこの火に囲まれ、ダメージを受けている現状を考えると…こちらの敗北になる、とまぁ、火に囲まれているのは攻撃しながら脱出すればいいのだが

13 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:00:20
――ヒノカミ神楽 円舞

…単純な前斬りのはずだ、ディケイドはそう考える、考えるだけに頭がおかしくなりそうな感覚を覚える
何故ならこの一撃だけでも分かる。先程とは桁違いの威力を秘めている事を
「ぐああ!!」

ここまでの苦痛をJUDOは上げた事があっただろうか?記憶に全くない
だがそう考えている暇を与えるつもりはない

――ヒノカミ神楽 碧羅の天

慌てて守るが…それだけで守り切れるはずがなく、刀身はバキバキになり、弾き飛ばされてしまう
それもその勢いのまま炎に囲った周囲から飛び、橋を三分の一渡ってしまった
「があっ!!」
痛みに苦しみながらディケイドは向かってくる前に即座にカードを装填する。
『FORMRIDE KUUGA TITAN!』
防御力の高い形態へと直接変身する。だが
…残酷な事を言おう、クウガにとっての事であるが
今、ギニューの身体は燃える火の中にいた為に熱によって熱くなっていた。
そしてギニューは響鬼の時に強く痛みを負わせて更に殺そうとしたクウガに対する怒りで今までより強く刀を握っていた。そして火の囲いからは脱出した為に全集中の呼吸も復活した。
その結果、偶然であるが
彼の刀は赫刀へと成っていた
その事を知らずクウガはタイタンソードを振るう、だが

――ヒノカミ神楽 烈日紅鏡

まず左への一撃でタイタンソードをぶち壊し、そして右へのもう一撃でクウガの頑強なはずの装甲を砕く
「ガアアア!?」
信じられない、次から次へとありえないことが起こる
普通のディケイドならばこれ程の強さなら喜々として戦おうとするだろう

だが今のディケイドはギニューの突然の強さの向上についていけずにいて焦っていたのだ。

攻めはまだまだ続く

――ヒノカミ神楽 灼骨炎陽

強烈な前方向への回転斬りである

…クウガは受ける直前に後ろ向きに直接地面を蹴り、後ろに飛ぶようにしていた。

そして灼骨炎陽を受けてクウガは強烈なダメージを受けながらディケイドへと強制的に姿を戻される。

…何故そこまで後ろへ飛んだかって?そうでもしなければ
距離をとれず、カードを装填できる暇がないからである

14 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:01:51
『KAMENRIDE RYUKI!』

龍騎へと姿を変える、そして即座に

『ATTACK RIDE ADVENT!』

無双龍ドラグレッダーを召喚する

時間稼ぎは出来るだろうと見込んで召喚した。だが

甘すぎる、その認識は、ヒノカミ神楽の前にその認識は

――ヒノカミ神楽 陽華突

頭を狙う突き技、ドラグレッダーは頭をぶっ刺され、ひび割れながら、苦悶の声を上げながら爆散した 

…瞬殺されるのは予想外でありながらも龍騎はカードを次々と装填する

『ATTACK RIDE SWORD VENT!』


『ATTACK RIDE GURD VENT!』

フルアーマーで迎え撃つつも

――ヒノカミ神楽 日暈の龍 頭舞い

りだったが気がついたら全ての武装を破壊され、龍騎自身の身体から火花が飛び散っていて龍騎の身体はディケイドへと戻っていた。

理解不能だ

ディケイドはもう奴に対する手段をどうすればいいのか分からなくなりそうになっていた。

――ヒノカミ神楽 斜陽転身

「ぐあああ!!」

しかし無慈悲にも攻撃は続く

だが、だからとて屈するディケイドではない、この攻撃を利用し横へ飛ぶ

更に橋を渡らされ、半分渡り切ってしまっていた。

『FORM RIDE FAIZ ACCEL!』

再び距離をとっての変身だ

10秒の高速移動の間に…ファイズはギニューの首輪を攻撃することを決めていた

ディケイドはこれを敵を殺す為には至極当然の事と考えて現実逃避をする

そう、実力ではギニューに勝てないという現実から

奴も向かってくるが問題はない、ファイズアクセルを押す方が早い

奴は剣先をファイズアクセルめがけて向けている、だがその剣先は僅かながら届かなかった

そう思ってスイッチを押すが…

反応しない

何度押しても反応しない

――ヒノカミ神楽 飛輪陽炎

否、しっかり届いてファイズアクセルを破壊していたようだ。数秒経って気が付いた

そしてその数秒の隙を、出来ている隙を逃しはしない

――ヒノカミ神楽 輝輝恩光

ファイズアクセルの薄くなっている装甲への全体攻撃だ

「ぐあああああああああああああああああああ!!」

今までにない苦悶の叫びをあげながらディケイドへと姿を戻される

15 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:02:40
…今までにない反応速度で、限界を超えるスピードでカードを装填する

身体が告げている、死ぬ、本当に死んでしまうと、それに応えるように早く

『FORM RIDE AGITO FLAME !』

何とかフレイムソードを…獲物を手に入れる、これで防御を

――ヒノカミ神楽 火車

防御していた前方向からの攻撃は来なかった、後ろへ回られて今度は後ろからの攻撃を喰らう、アギトは頭への強烈な一撃で意識が朦朧としかける、声すらも出せない

ディケイドへと姿をもう四度目だが戻される。戻されながら即座にカードを装填

『ATTACK RIDE INVISIBLE』

ディケイドは…ついに逃げの道を選んでしまっていた

誇りもプライドも何もかも捨てての逃亡である。

だがギニューはそれを逃さない、持ち前の嗅覚を生かし、匂いを辿る

――ヒノカミ神楽 幻日虹

幻日虹の身体裁きを生かしての高速移動で距離をとって橋の三分の二まで渡っていたディケイドを遠回りして

頭突きを喰らわせ、透明状態を解除させた

「ぐああっ…!!」

ただの頭突きでさえも苦悶の声を上げてしまう程限界を迎えてしまっていた。

ディケイドは…咆哮する、ブームボイスの弾丸を発しながら、ここまで追い詰められた事に対する怒りを発散しながら

ディケイドは一か八か最期の切り札をする為に、カードを装填した

そしてギニューも…ブームボイスの弾丸を避けながらヒノカミ神楽の総仕上げを構える。

『FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DECADE!』

――ヒノカミ神楽 炎舞

今、それぞれの誇りを賭けた最後の技が

ライダーキックが、剣術が

激突した

16 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:03:15
「馬鹿な…!!馬鹿な…!!この我が…!!」
負けたのは…JUDOだ
遂にディケイドの変身自体が解除され、血を吐きながら地面を転がっている。遂に完全に橋を渡り切ってしまった。
「ありえない…ありえない…!!」
身体を動かす力すら湧いてこない
初めてである、絶望という感情をJUDOが知ったのは
ふと目の前を見る、ゆっくり迫りくるは先程と同じく刃を構えた青年
その歩む音は死神の足音にJUDOは聞こえてしまっていた。
「ありえない…か、残念だったな、現実だ、今の状況も、そして貴様の命がここで終わるという事もなぁ!!」
遂に刀の間合いに入った…
「遺言はあるか?ここまでオレを強くしてくれた礼だ、聞いてやろう、まぁ貴様に遺言を聞かせる仲間などいないだろうがな」
単なる気まぐれである、というより常に尊大だったコイツから弱音を聞いてやりたいという愉悦を含めた気まぐれであるが
それに対してJUDOは…無言を貫く
大首領としてのプライドがある、誇りがある、負けたとはいえプロトタイプでもない人間どもに泣き言を言うつもりはない
「だんまりか…ならばそのまま死ねぃ!!」
勢いよく刀が…首にまっすぐ貫かんと向かっていった











JUDOは肉体が無意識のうちに反応し、目を瞑ってしまっていた
恐怖を感じたような反応を見せてしまった事も屈辱に…思うはずだった。
バチバチバチッって火花が弾ける音が聞こえてこなかったら
目を開けて見ると…刀は首ではない、ディケイドライバーを貫いていた
ボフゥンという音と共にディケイドライバーが爆発した。
ふと顔を上にあげた、そこにいたのは驚愕の顔をしたギニューだった。
当たり前である、ギニューは更なる戦力上昇の為にディケイドライバーを奪うつもりであったのだから
だからこそそのベルトを自分で壊したという事が信じられないでいる
「く、くぅ…!!」
悔やんでも悔やみきれないが再び刀を振るう、が
聞こえてくる、聞こえてきてしまう、最初にJUDOを斬ろうとした時と同じ声が
『強い物は弱い者を助け守る そして弱い者は強くなり また自分より弱い者を助け守る これが自然の摂理だ』
こんな考えギニューには論外なはずである、残虐非道であるフリーザの部下として、弱者を踏みにじる事を当たり前とするギニューとして、だがJUDOを殺そうと刀を振ろうとする度にこの考えが頭を侵食してくる
「ぐ、ぐあああっ…!!」
頭がおかしくなる感覚に振り回され耐えきれず…その場を走り逃げてしまった
「ぐああああああああああああ!!」
…なぜこんな事になってしまったのか?
…19世紀のドイツの哲学者・フリードリヒ・ニーチェの格言にこんな言葉がある。

深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ

全ては、あの時に始まっていた

17 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:04:20
F-3とE-3の境目にて
「ボディーチェーーーーンジ!!」



『ここは、何処だ?俺は…無惨と戦っていて、右目を斬られて…それから…』
始まりはギニューのボディーチェンジの時、
ギニューは鳥束との身体の入れ替えを実行し、その狙いは成功した
この時ギニューは思ったに違いない
竈門炭治郎の身体を自分の物にした、と
だが事実は違う
ギニューが気付かないことは仕方がなかったかもしれない
この殺し合い、肉体の人物も意識は封じられていながらも存在している事を
そしてギニューが行ったのは魂の干渉とも言える行為、それが互いの身体で起きた結果
竈門炭治郎とケロロ軍曹の魂に接触し、意識は目覚めてしまったのだ
だからってこの時点では何かできる訳ではない、そう簡単に縛りが取れる訳がない、そしてそのまま鳥束とケロロは貨物船に殺されてしまった

だが炭治郎はこの時点で意識が目覚め…ギニューの考えを読み取り始めていたのである。そしてギニューの思考から自分が殺し合いに巻き込まれた事、元々はあの緑のカエルの身体の人が自分の中にいた事、そして…思考を見る限り最低最悪の悪の帝王であるフリーザを生き返らせる為に殺し合いに乗っている事を
『なんて奴だ…!!このままでは俺の身体が、俺の戦いで得た全てが、鬼殺隊の想いが!!人を殺す為に使われてしまう!!』
焦る、炭治郎はこの状況に、どうすればいいのかと、ギニューは自分の持ち前の嗅覚を生かして戦っているようだった。
『早く俺を殺してください!!それが無理なら逃げてください!!早く!!早く!!』
必死に叫んでも何も目の前の少女には聞こえてくれない
(イカレてるのかこの女は…!)
『お前が言うなギニュー!!平気な顔で人を殺せるようなお前がっ!!』
ギニューの行動全てに怒りが湧いてくる、人の命を平気で踏みにじる鬼に対する感情と同じものを向けていた。


とりあえず今はギニューが逃亡を選んだ為に誰も殺さなかった
しかしこの状況がいつまで続くかは分からない、早く身体を取り戻したい
(新たな体は手に入ったが、このガキの体で優勝は難しいだろうな……)
(まぁいい。炭治郎よりも強い体を見つけたら、再びボディーチェンジすれば良いのだからな
(そうやって今までも次々と身体を入れ替えて…殺しをしてきたのか…許せない!!)
そう怒りながら何度も身体を奪おうと意識を集中させるが何も出来ない、変わらない、現実は非情である
(どうすれば…どうすればいいんだ!?)

18 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:05:30
派出所に入った時も自分の本来の時代とは全く別の物が多くあったがそれに驚嘆している場合ではなかった、ただただ必死に身体を取り返そうとしていたのである。
(全集中…!!駄目だ!!全く自由が利かない!!)
何をやろうとも身体は自由にならなかった
「顔も名前も知らないが、オレに存在を察知されたのが運の尽きだ!フリーザ様復活の礎となるがいい!」
(駄目だ…嗅覚を抑えられない…早く誰か…俺を殺してください!!お願いします!!お願いします!!)
必死に祈る事しかできなかった。

茶色の髪をした女性と金色の髪の男を不意打ちで襲った時、炭治郎はギニューをどこまでも相いれない男であると改めて理解した。
早く身体を奪還する為、そして良い人であると匂いで分かった二人を守る為に全身でめちゃくちゃに暴れようとする
その結果…少しだけ自由になった。
だがそれが皮肉にも…ギニューが急速に身体がなじむきっかけになった

(な、なんだこれは!急に力が湧き上がってきたぞぉぉぉぉぉ!!)

水の呼吸・壱ノ型 水面斬り

『何で…?何でそうなるんだ…!?何でお前がそれを使えるようになるんだ!?実際に教えてもらったのは俺のはずなのに!!』
使われてしまった、鱗滝と共に必死の訓練の果てに身につけた水の呼吸が、そして…深手を負わせてしまった。恐らく俺がギニューの記憶を読んでいるように俺の記憶も読まれている。だがこの男は俺の想いなんぞ少しも読み取りもしないだろう、本当に最低最悪だコイツは
罪悪感で吐きそうになる、苦しくなる、辛くなってくる、でも折れちゃいけない、俺は長男なんだ、でもそれだけじゃ今回は折れそうだから鬼殺隊の一員である誇りも乗せて奮い立たせる。
と同時に自由に少しだけなった感覚もあると気づく
だがそれでもギニューの攻撃を阻害できそうにない

幸いにも、二人は容赦ない攻撃をしてくれている。これなら俺を殺してくれるかもしれないと思う
だがこの男の戦闘センスは二人を殺さんと牙を向いている
そして激しい爆発の果てに…
「散々手こずらせてくれたが……最後に勝利を手にするのはオレのようだな!」
「感情としては貴様らは、存分にいたぶってから殺してやりたいところだが……。
 それでまた逆転のチャンスを与えてしまってはかなわんからな。
 一撃で心臓を貫いてやる!」
『やめろ!!やめろっギニュゥゥゥゥゥゥ!!』

無意味だと分かっていても止める為に本気で干渉しようとしたがその時
悪い人の…正確に言うと嘘を言っている匂いがする人が来てくれたおかげで殺さずに済んだ
だがギニューが奪った支給品にある賢者の石による回復、そしてギニューがその後に下した決断に…絶望した
あんなに傷ついてボロボロに…させてしまった少女達だ、回復手段があってくれるならと願うがもしなかったとしたら…すぐ俺が殺してしまう
あの嘘をついている緑の鎧の人が俺を殺してくれればと願うが…

19 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:07:07
そして彼等がいる民家に乗り込んでしまったギニュー、ベルデと激しい激闘を繰り広げる。炭治郎は相手が隙をついてくれる事を信じてわざと隙を作ろうと必死に干渉した。

その結果自由をまた少し取り戻せた。結局隙は作れなかったが

ギニューが次々の水の呼吸の攻撃をしてしまっている現実と引き換えに

(喜べ炭治郎。フリーザ様復活の為に、貴様の力はオレが存分に使ってやる)

『ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁぁぁぁ!!俺が身につけた力は鬼を、無惨を倒すための力だ、妹を、禰豆子を元に戻す為の力だぁぁ!!お前のような他人を踏みにじり、かけがいない命を殺すような奴が使っていい力じゃないんだぁぁぁぁぁぁ!!』

激情と共に自由を取り返そうとするが何もかもが無意味だった。

そもそも参加者がメインであるはずの殺し合い、身体の提供者が簡単に出てきたら殺し合いの前提自体が壊れてしまう。故に炭治郎も干渉する事は出来なくて当然である。

そしてギニューは、俺の身体は、近づいてしまう、あの何も罪がない茶色の女の子を殺すために

やめろ!!やめてくれ!!本当にやめてくれ!!善逸に!!伊之助に!!煉獄さんに!!鬼殺隊の皆に…そして禰豆子に!!どんな想いをさせる気だぁぁぁぁぁぁ!!

叫ぶ、懸命に叫ぶ、禰豆子は鬼だ、人を食いたくてたまらないはずの鬼なんだ、でも、誰一人人を殺さないようにして必死に頑張ってるんだ

それなのに兄である俺が人を殺したら、もう禰豆子と一緒にいる資格はない、兄を名乗る資格はない、いや、そもそも鬼殺隊にいる資格も、何もかも崩れてしまう、俺の何もかもが
何度も叫ぶ、喉が壊れそうになっても叫び続ける、だが止まらない、絶対に

遂に…刀を振って…

「「や…め…ろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」」

…この時同じ叫びをしていたのだ、リトと炭治郎は

同じ想いを持っていた、目の前の人に死んで欲しくないという想いを

そしてその想いは成し遂げられた

結城リトという少年の死を引き換えに

20 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:08:20
俺達の家族が…禰豆子以外全員殺された前日に思った事がある

幸せが壊れる時はいつも血の匂いがする

今、俺は目の前の何も罪がない人は大量の血を流して倒れている…
誰がやったんだ?
俺は鬼殺隊の一員だ、人を食う鬼を倒してこれ以上悲劇を起こさないようにしなければいけない

こういう時は血の匂いを辿るのが1番だ、なぜなら人を食べた鬼の口にはまだ血が残っている事が推測出来たからだ、その推測の理由は血が凝固していない、まだ液状だ、つまり時間が経っていない事を示している。

そして匂いを嗅いでみる。…あぁこの血の匂いと同じを発しているのは


俺の日輪刀だ
ビキッ

炭治郎は思考を停止してしまっていた。現実を信じられなくて

その目の前の金髪の男の子は死にそうになりながらも魔法を使って、俺から茶色の女の子を守っていた。
遅れて緑の鎧の人が復活する、でももう遅い、彼は、俺が斬ってしまった

茶色の女の子は目が覚めて必死に何かをしている。治そうとしているのかもしれない

その途中に俺と同じ声で最悪な事をアイツは、ギニューは言った

「あの小僧の事か?フン!弱い奴から死んでいくのは当たり前だろう!」

この言葉はしっかりと耳に焼きついたが今は彼の無事を祈る事しか考えられなかった

何か他の人がやってきたが今は彼の事しか考えられなかった

だが匂いは伝えてきた。どうしようも無い彼の終わりを

そして善逸程耳が良くなくても…聞こえてきてしまう

「ご……め…ん…………」

「結城さん…!なんで…なんでぇ……!!」

彼の最期の言葉、そしてそばにいる彼女の涙声が

ピキピキピキっ
心が、心がひび割れていく
『あ…あぁ…』

彼の最期の言葉、ごめん、は誰に向かって言っていたのだろうか
目の前の彼女だろうか?それとも彼の元の世界の仲間に向かってだろうか?
彼の言葉の匂いには後悔しか感じられなかった、自分の大切な仲間にたいする申し訳なさを強く感じてしまった。

何で彼が謝るのだろうか?彼は何も悪い事をしていないのに
彼はこの殺し合いに巻き込まれなかったら、巻き込まれても死ななければ誰かに謝る必要なんてなかった
何で彼は謝らなくちゃいけなかったんだろう?

ピキピキパキピキっ


『ああぁ…あああぁ…!!』
彼女は泣いていた、彼を守れなかったから
自分のせいで彼が死んだから
違う、君のせいなんかじゃない
君は仕方がなかったじゃないか、あれ程の深手を負っていたんだから、休む為に休憩をとる必要があったんだから
君は絶対に悪くない
…じゃあ誰が悪い?

ピキパキピキピキバキャッ

決まっている
彼女と彼と彼の元の世界の仲間の幸せを壊したのは

たった1人

俺だ

俺は人殺しになってしまった

パリーン

『あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁっっっっ!!』

炭治郎には様々な人達との思い出があった

大切な家族との暖かい思い出や

鬼殺隊との厳しい訓練、だが想いを分かちあってお世話になったり、生き様を知ったり、互いに高めあった思い出等が

この思い出を胸に炭治郎は今まで戦ってきた。

だがその思い出は黒く塗りつぶされてしまった。ほんの数分で

自分の欲望だけの為に全てを踏み躙る悪によって

それからはもうずっと涙を流し、叫び続け…いや、発狂していたと考えてもいいだろう。外の様子は少しも頭に入ってこなかった。

21 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:09:10
次に外の様子に目を向けた時にはもうギニューはトビウオに乗っていたのである。
『…何で俺死ななかったんだろう』
早く殺して欲しい、早く死にたい、罪人となってしまった俺はさっさとこの世から消えるべきだ
そう思って自分の日輪刀で腹を切りたいという考えを持った時
何故か…何故か分からないが身体が動いてくれる予感がしたのだ、今まで全く自由が効かなかったというのに
…そして炭治郎は察した、彼を殺した時のとてつもない激情、更にギニューが連続で水の呼吸を使った事によって魂の縛りが緩んだのだと
今だったら彼を殺すのを止めれたはずだ、遅すぎるけれど
…だが、感覚でわかる、まだこのままでは身体を奪い返せない、奪えたとしてもほんの一瞬だ
まだギニューはギニューの状態だ、完全に俺にしなければ俺は俺を取り戻せない
…と思ったが薄々分かってきた。魂の縛りがゆるんだ影響によるものだが
予想以上に壁は高いと感じた、残酷ながら、完全に身体を奪い返す事は…短時間じゃ無理だ、一週間ぐらいかかるだろうと分かった。しっかり対策を、制限をされていたのだ、精神の反逆を抑える為に、この殺し合いの期間では奪い返す事は、取り戻す事は無理である事を…悟ってしまった。
現実は本当に非常だ、神様はここまで俺に罰を与えたかったのかな?と思わずにいられなかった。

でも
それでも炭治郎には、どうしても退けない時がある。何度もそんな時はあったが、今もその時だと分かっていた。
例え奪え返せなくともこれ以上死者を増やさない為に抗わなければならない
その為にどうすればいいのか、考えて…ふと思い出した
『記憶の遺伝』
俺の身体は先祖である炭吉さんと耳飾りの剣士の出会いの記憶を時々思い出す事があった
…もしかすると俺の記憶もギニューに伝える事が可能なのでは?
奴は願いの為にもっと強くなる事を望んでいる、なら引っかかるはずだ


こんな今の俺でも…抗える、精一杯、ならば精一杯くらいついてやる!!
そう考えた以上…どんなに悲しくても、悲しんでなんかいられない、悲しいけど…立ち直っていくしかない

こうして炭治郎は様々な記憶を見せて、強くなるきっかけを作った。時には気絶したギニューを強引に目覚めさせたり、透き通る世界に入るキッカケを作る為に視界を乗っ取ったりもした

運が良かったのは悪党かつかなり強いJUDOが近くによってきた事である。彼との戦いは技をギニューに得させる良いきっかけになった。
彼と戦う為に宇宙船へ行くという目的を吹き飛ばすくらい戦闘の記憶を見せたり、魘夢の時と同じように戦え!!と声を張り上げたのは大変だった。


そしてヒノカミ神楽をギニューは完成させた。この瞬間、竈門炭治郎として身体が成った事を確信した。今ならいける!!


こうして大きく干渉する事に成功した炭治郎は相手の行動に大きく干渉する事に成功したのであった。

22 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:12:53
すみません。


そしてヒノカミ神楽をギニューは完成させた。→そしてギニューは少しずつ間が空いているとはいえ型の順番は正しかったために…不完全ではあるがヒノカミ神楽を完成させた。


こうしてギニューを自分の身体に馴染ませた炭治郎は相手の行動に大きく干渉する事に成功したのであった。

23 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:14:52
ごめんなさい、更に修正も間違えました

そしてヒノカミ神楽をギニューは完成させた。→そしてギニューは少しずつ間が空いているとはいえ型の順番は正しかったために…不完全ではあるがヒノカミ神楽を完成させた。


こうして大きく干渉する事に成功した炭治郎は相手の行動に大きく干渉する事に成功したのであった。→こうしてギニューを自分の身体に馴染ませた炭治郎は相手の行動に大きく干渉する事に成功したのであった。

です。間違えました。

24 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:19:41
…そして去っていくギニューを追う気力はなかった、何とか物陰に隠れる事は出来たが、体力も限界だったJUDOはそこで気絶した。
こうして大首領JUDOは世界の破壊者、大ショッカー首領の仮面ライダーであるディケイドへの変身をする資格を失った。

残った物はライドブッカー、それもガンモードへ変更出来る物のみ
大首領を名乗る者としてはあまりにも寂しすぎる武装の数だった

【E-4とE-3の境目の川の近く/昼】

【大首領JUDO@仮面ライダーSPIRITS】
[身体]:門矢士@仮面ライダーディケイド
[状態]:負傷(極大)、疲労(極大)、全身に大ダメージ
[装備]:ライドブッカ―+アタックライド@仮面ライダーディケイド(刀部分は大きく折れて欠けてしまっています)
[道具]:
[思考・状況]基本方針:優勝を目指す。
0:…
1:馬鹿な…!!我が…ここまで…!!
[備考]
※参戦時期は、第1部終了時点。
※現在クウガ〜響鬼のカードが使用可能です。が、そもそも変身できない為に今の所意味がありません。
※基本支給品×2(リオン)、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナルを葛飾署に置いてあります。

25 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:24:29
「はぁ…!!はぁ…!!」
現在、ギニューはE-4とE-3の境目の川の近くにいた…頭痛が今やっと収まったのだ
(な、何故こんな事に…!?何故だ…?)
慌てて考えてみる…こんな事今まで戦った時に起きた事はなかった
急に戦いを妨げるように声が聞こえてくるようになるとは…そういえば戦えの前にも戦え、という声が聞こえたような…

まさか…!!
(まさか今までオレが見た物、そして聞いた声は、オレに強く干渉する事を可能にする為に…!!)
ギニューは自分が調子に乗りすぎていた事を悔いた。思えばあそこまで急激に強くなった事自体出来すぎだと考えるべきだったのだ

だがもう遅い、既に声が響いてくる、相手を殺して優勝する、と思っている瞬間に再び頭痛がしてくるのだ

…おかしいと思わなかっただろうか?

幾ら炭治郎の身体に完全にギニューが馴染んだからってここまで身体が精神に干渉出来る事なんてありえないと思った人もいたはずだ、そんな例今までひとつもないのだから、類似する例としてはホイミスライムの精神にソリュシャン・イプシロンの技能を多く使った結果、ソリュシャンの歪んだ考えがホイミンに影響を及ぼし志村新八を殺した例だろう。だがそれと比べても干渉の強さは桁違いである。そしてもう一つそもそも様々な情報を伝える為に炭治郎は過去の戦いの記憶等を思い出してきたがそれら全てがしっかりギニューに伝わっているのはどういう事なのだろうか?伝える事が出来るとしても短時間で伝えきるなんて難しいはずである。

だがギニューの場合はその例になりうる素質があったのだ


セロハンテープはご存知だろうか?
離れている物同士をくっつけ合うことが出来る工作において使用され易い物の事である
セロハンテープは1度目はくっつきやすいがそれをはがして使い回すと効果が薄くなってしまうものである。
つまり、固定されている物を再び剥がすことが推奨されていない物でもあるのだ

ここまで言えば分かるだろう
ギニューは本来ケロロ軍曹と運営によってガッチリ固定されているはずだった
だがボディーチェンジで強引に固定を外し炭治郎とくっついた結果
彼の精神はこの殺し合いにおいて不安定な物になっていたのである。その為に炭治郎の記憶もしっかりと受け止めてしまっていた
そして干渉の強さはソリュシャンと違い、炭治郎の精神は目覚めているという違いがあるのだ。千雪、真乃と同じように

この結果、長期的な干渉を可能にしてしまっていたのである。

ギニューは何とかとりあえず休む!!休む!!と念じて、休憩をする事で殺意を頭から抜いた結果…頭痛と声は引いた

だが再び誰か、特に人に殺意を向いた瞬間に脳に声は響いてくるだろう。
ただし、この声は今の所は人を殺そうとした時にしか響いてこない
炭治郎は人を護る剣士だからだ。今の所まだ干渉はギニューの行動を強く制限出来るようにはなっていない。その為、人に殺意を抱く時以外響かないだろう
だがこの殺し合いには都合が悪い事がある、肉体と精神が一致していない事である。
この為、人外に相対しても炭治郎は匂いで人の心を察知して護ろうとして干渉するだろう
現在生き残っている参加者の中で本気で剣を振るえるのは無惨、貨物船、デビハムくん、ホイミン、メタモンだけだろう…ほとんどがマーダーなのは偶然だろうか

26 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:25:16
「くそぉぉぉぉぉぉぉ!!」
怒る、怒り続ける、間違っていた、この肉体に身体を入れ替えた事は、とギニューは悟っていた。
こうなるとギニューとしては目標を達成できないこの身体は邪魔だ、早々にボディーチェンジをするべきだろう、それには制限はかからないだろう、声が響いていない事がその証明だ。
だがボディーチェンジにも注意が必要だ。ボディーチェンジの技を使用中はギニューの魂の固定は外れている。この間に炭治郎の干渉が強くなってしまう可能性がある。
だがその前に…結局誰も殺せなかったJUDOとの戦いの休憩をしなければならない、その為に最初の目的にあった宇宙船に向かう事を…決めたかった。

決めきれないのには理由がある。さっきの戦いの際に所持品をE-4の民家に置いてきてしまっている。トビウオや賢者の石など使えるものがある。それを放置したまま宇宙船に向かっていいのか、迷いが生じる。呼吸をする為に離れながらヒノカミ神楽で攻撃をし続けた事が裏目に出てしまった。もし所持品を回収しに行ってもその場所はディケイド響鬼の火炎弾の影響で火事が起こってしまっている。取りに行こうとするとただでさえ無駄な体力を消費しているのにまた体力を消費してしまう。そして取りに行っている間にC-1 が禁止エリアになる可能性もある。
放っておいて他の奴から奪う事も出来ない、今の自分はほとんどの参加者を殺せないのだから


「があああああぁぁぁっっっっ!!」
どんな選択肢を歩もうとも苦難の道しかない。この現実を受け入れられるのは時間がかかりそうだ。








良かった…何とかあの人を護れた…危険人物だったけど奴が剣を振った事に干渉してベルトを壊せたからあの人が誰かを殺す事はできにくくなくなったはずだ
…今は何とか人を殺させないようにする事しかできない。でもそれだけでも大分俺としては良い結果だ、俺の剣が、鬼を滅する為の剣がこれ以上人の血で汚れないで済む
でもそれだけじゃ終わらせない!!例えお前から身体を奪い返せなくとも、お前の全てを邪魔してやるぞ…ギニュー!!

【E-4とE-3の境目の川の近く/昼】
【ギニュー@ドラゴンボール】
[身体]:竈門炭治郎@鬼滅の刃
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、上半身に火傷、右腕に切り傷、全身に音によるダメージ、姉畑への怒りと屈辱(暴走しない程度にはキープ)
[装備]:竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃、エドワードのコート@鋼の錬金術師
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:優勝し、フリーザを復活させる。
1:こんな体からは早くボディーチェンジしなければオレの願いは叶えられない!!
2:道具を早く取り戻しに行かなければ…!!だが宇宙船も…!!くそぉぉぉぉぉぉぉ!!
3:もしベジータの体があったら優先して奪う。一応孫悟空の体を奪う事も視野に入れている。
4: 変態天使(姉畑)は次に会ったら必ず殺す。但し奴の殺害のみに拘る気は無い。
5:炎を操る女(杉元)、エネルギー波を放つ女(いろは)、二刀流の女(ジューダス)にも警戒しておく。ロクでもない女しかいないのかここには。
6:これ以上お前(ギニュー)の願いの為に人は殺させない!!
[備考]
※参戦時期はナメック星編終了後。
※ボディーチェンジにより炭治郎の体に入れ替わりました。
※全集中・水の呼吸、ヒノカミ神楽をほとんど意識して使えるようになりました。
※隙の糸、透き通る世界が見れるようになりました。
※現在、ギニューは炭治郎の干渉により人を殺すことが出来ません。これは精神が人の場合も同じであり、精神と肉体が人間ではない無惨、貨物船、デビハムくん、ホイミン、メタモン以外と戦う時は炭治郎の声が頭に響くと同時に頭痛がしてしまい、碌に戦えません
他にも、肉体が人外で、精神が人の場合でも、精神が人外に浸食されている時は頭痛が止む可能性があります。
この今の状態でも普通に戦える相手がいる事をギニューは気が付いてません。
※ボディーチェンジは普通に使用が可能です。ただし失敗すると炭治郎の干渉が強くなり、上記の干渉の内容が変化する可能性があります。ですが、完全に身体を奪え返す事は『絶対に出来ません』
※基本支給品×3、賢者の石@ドラゴンクエストシリーズ、警棒@現実、ランダム支給品0〜1(鳥束の分)、アクションストーン@クレヨンしんちゃん、トビウオ@ONE PIECEを葛飾署の近くの民家に置いてあります。


E-4 葛飾署の周辺が火事で燃え始めています。

27 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:35:29
そして更にギニューに悪いお知らせだ…だが良いお知らせでもあるかもしれない
宇宙船の内部に…何と先客がたった今現れた

運命とは皮肉だろうか、悟空の瞬間移動を使ったわけでもないのに
孫悟空の身体は、傷ついた身体をかつての戦いの時のようにメディカルマシーンで癒したいと思っているのかのように宇宙船内部へワープしていた。

「…お?」

そして空中から軽く落ちた衝撃で…野原しんのすけは目覚めていた。

彼はメディカルマシーンに気づいて、すぐに身体を癒せるのか?メディカルマシーンによる治癒はどれ程の時間がかかるのか?そして癒してすぐに宇宙船を離れる事が出来るのか?

それともギニューはしんのすけが一連の活動を行う前にとても疲労している身体で辿り着くことが出来るのか?そして孫悟空の身体を手に入れる事が出来るのか?そもそも宇宙船に真っ先に行くという選択肢を、道具を取りに行く選択肢を捨てて選ぶことが出来るのか?

【C-1 宇宙船内部/昼】

【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[身体]:孫悟空@ドラゴンボール
[状態]:体力消耗(特大)、ダメージ(中)、腕に斬傷、胸部に斬傷(大・止血済み)、貧血気味、右手に腫れ、左腕に噛み痕(止血済み)、決意、深い悲しみ
[装備]:ぴょんぴょんワープくん@ToLOVEるダークネス(6時間使用不可)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:悪者をやっつける。
1:ここどこだゾ?オラはミチルちゃんと一緒に戦ってたはずじゃ…何でこんな所に?
2:おじさん(産屋敷)とちゃんとおはなししたい。
3:逃げずに戦う。
4:困っている人がいたらおたすけしたい。
[備考]
※殺し合いについてある程度理解しました。
※身体に慣れていないため力は普通の一般人ぐらいしか出せません、慣れれば技が出せるかもです(もし出せるとしたら威力は物を破壊できるぐらい、そして消耗が激しいです)
※自分が孫悟空の身体に慣れてきていることにまだ気づいていません。コンクリートを破壊できる程度には慣れました。痛みの反動も徐々に緩和しているようです。
※名簿を確認しました。
※気の解放により瞬間的に戦闘力を上昇させました。ですが消耗が激しいようです。
※悟空の記憶を見た影響で、かめはめ波を使用しました。

【ぴょんぴょんワープくん@ToLOVEるダークネス】
ララの発明品である生体単位での短距離ワープを可能とする機械。
初期は行き先を指定できず、衣服はワープさせられない等の欠点があった。
後に改良された際に上記の欠点は無くなったが、据え置きタイプの為片道ワープしか出来ない。
支給されたのは初期の腕輪型。
本ロワでは主催者に手を加えられ衣服のワープも可能であるが、使用すれば装着者のみをランダムに禁止エリア以外の場所にワープさせる。
一度使用すれば6時間使用不可となる。

28 ◆P1sRRS5sNs:2022/07/08(金) 23:41:32
まず、3〜6までのタイトルは『迫る超決戦!ギニューVSJUDO!!』

7〜12のタイトルは『バトルワールド』

13〜15のタイトルは『ヒノカミ神楽』

16〜27のタイトルは『不殺の刃』

でお願いいたします

29 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:18:47
修正版の投下になります。
無惨の変身するところまではほぼ展開は変わらないので、
主な確認は其方からお願いします

30 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:19:24
「ふこっ。」

 溜息の一つも吐きたくなるものだ、と無惨は先程も思った。
 今しがた本当にそれで溜息を吐いたが、他者からそれは認識されない形容しがたい声になる。
 あれからキャメロット達はB-5、B-6、C-6と移動したものの、誰とも出会うことは叶わなかった。
 近くの参加者は大体C-5か、そこから離れるように移動していたのもあったので仕方ないのだが。

(契約とやらも殆ど徒労に終わり、なんとも無駄な時間を過ごしたものだ。私の時間を無駄にするな。)

 キャメロットと遠坂による、
 サーヴァントとマスターの契約についての経緯の結果。
 契約そのものはできた。しんのすけは過去に魔法を使った経験もあるため、
 少なくとも魔術師としての素質云々だけで言えば、ある側になるだろうか。
 魔術回路は少なからず存在してはいるようではある一方、あくまで存在してるだけ。
 先代から魔術刻印を受け継いだわけでもなく、そもしんのすけの家は一般家庭だ。
 ……確かに世界を救うようなことがあったりとか巨悪の組織を倒したとか、
 明らかに一般家庭を超えた要素は多量にあるが、一先ず一般家庭としておく。
 遠坂の本来の身体とは比べるべくもなく天と地ほどの差の魔力が存在する。
 契約はできたものの、結局根本的なステータスの低下はほぼ解決はしない。
 聖杯戦争の正式なシステムによる契約でもなく、聖杯にそうさせないようにしているのか、
 聖杯から令呪を授かるようなこともなかったので魔力供給は相変わらず乏しいものだ。
 魔力消費についてはセイバーのスキル『竜の炉心』もあるため、
 何度も先の相手(ダグバ)レベルと接敵しなければ吸いつくすこともないのが救いか。
 正直ダメ元で行ったことではあったので、さして落ち込むこともなかった。

 長々と語ったがつまり、殆ど状況は進展していない。
 遠坂とキャメロットは契約して移動した。しかし何も起こらなかった。
 この一文で終わってしまう程度に、彼女達は何の成果も得られてない。

(施設の一つとも見つかればよかったのに一つも出会わないし、何なのよもう。)

 森の中に建物一つあるかと思えば見つけられることもなく。
 殺し合いが始まり一体何時間経ったのだろうか。確認するのも億劫だ。
 時間を費やしても結果を得られないまま、無作為に時間だけが過ぎていく。
 これ以上の無駄な浪費は避ける手段を考えたいところであり、

「二人ともストップ!」

 遠坂の静止により二人は歩みを止める。
 止められたが二人も意味はなんとなく察していた。
 大雑把とは言え複数のエリアを探せど施設もなければ参加者もなし。
 これ以上の探索が無駄だと打ち切るのは当然の考えだ。

「一旦、C-5に向かうという概念そのものを捨てるけどいい?
 今の状態を続けたって、状況が改善される見込みはないと思ってるの。」

 戦力が増えてない今、突入するのは最初の時とほぼほぼ変わることはない。
 寧ろ既に行ったか、行かないという選択肢を終えてしまってるのは目に見えてる。
 固執するのは、キャメロットのように倒さなければならない敵がいるという人物のみだ。
 元よりバリーは無駄な時間だと思っていたので、事実上キャメロットの意見だけを聞く場になるも、
 彼女とて無意味に時間が過ぎていく現状を考えれば、受け入れることは十分にできた。

「分かりました。ではどちらへ?」

「喫茶店ルブランが近いと思うし、そのあたりを見に行くわよ。」

 ルートを確定させ、一先ず南へと向かう。
 キャメロットは西の方角を少しだけ一瞥するも、
 ルートを変えての行動をとることをせず素直に従う。
 バリーの件もある。考えなしに動くことはしない……と言うよりはできないが正しいか。





 D-6は煉獄と絵美里との戦いを筆頭に何度も戦いがあった。
 ルブランの攻撃の流れ弾もあって、相応に荒れているのが現状だ。
 喫茶店も拠点としての機能はあまり役に立ちそうにもない状態にあり、
 地図上に名前が載ればどうなるか、それを視覚的に教えてくれてるかのようでもあった。

(一人や二人どころじゃないわね、この様子。)

31 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:20:20
 ガラスの破片がかなりバラバラで、単なる破壊以外も混ざっている。
 人が踏み荒らしたものであることから、此処は結構な人が関わっていた様子。
 人数が多いのなら今更物色する意味も薄く、探索することを選ぶことはしなかった。
 今更疑うつもりもないことではあるが、地図上の場所とは一致している。
 となれば遠くない場所に食酒亭もあるので、一先ず次の場所へと目指す。

「!」

 微かに聞こえた音に全員が反応する。
 空に輝く緑の風と雷雲。通常の現象では起こり得ぬ現象。
 言うまでもなく、全員は其方へ向かうことを優先として走り出す。
 ある意味因果となる敵、ダグバまではそう遠くない距離ではあったが、
 近くの路地からキャメロットが捉えた人の姿に歩みを止めざるを得なかった。
 死に物狂いで逃げている、とでも言わんばかりの表情をした状態でだ。
 この状況で逃げている。となればどういう人物かは最早推理するまでもない。

「キャメロット?」

「凜さん、別の参加者がいたのですが。」

「……ええ、そっちでいいわ。」

 この先にも敵がいないという保証はない。
 逃げている様子から乗ってない可能性は十分にある。
 貴重な対話が望める参加者であり、一人であるなら放っておけない。
 遠坂の了承も得たので、直ぐに其方へと方角を変えて走り出す。





 ゲンガーは最後の気力で、死に物狂いで動いていた。
 流石に十数時間も人間の身体になるともなれば相応に動かせる。
 人並みの走る行為をすること自体はそう難しくはなくなっていた。
 とは言え、あくまで肉体的な話だ。精神は最早ボロボロである。
 あの場にいれば、そのままあの悪魔の少女によって死ねただろう。
 でもできない。木曾も、ロビン達も、ハルトマンもなんのために死んだ。
 彼自身にとっては死なせてしまったとも言うべき無数の死者たちではあるが、
 彼女達にとっては誰かを、或いは自分を死なせないために死力を尽くしてくれた。
 ハルトマンだって空へ飛んだのは、単純に有利な場面に持ち込んだだけではない。
 自分が死ぬかもしれないと思ったが末の行動であったことは、短い時間で察せた。
 本来ならばしんのすけとミチル、それとエルドルを待ちたかったものの、
 この状況で待てる余裕など、今の状況を考えればどこにもなかった。
 だから生きないといけない。災厄を齎す死神であろうとも。

(ケケッ……アブソルかよ。)

 ただ、それも限界を迎えつつあるが。
 随分前。元の世界……否、厳密にはゲンガーの頃の記憶だ。
 あの救助隊が逃亡生活の末に広場に戻ってきた際に、同行していたあのポケモン。
 アブソル。出会えば災害や災厄が訪れるとされる、災いポケモンと呼ばれる存在。
 あの救助隊のアブソルは、道中助けに入った仲間であり寧ろ彼らの助けをしてたそうだ。
 当たり前だ。アブソルは災害を察知して知らせる能力があるだけで災害は呼ばない。
 ただ災害を知らせようとした結果アブソルがいたことで、誤解されたことでそう呼ばれた。
 だが、今の自分は誤解される方のアブソルだ。出会った仲間に対して悉く死を齎していく。
 自分はあのアブソルのようになれない。どうあがいたって他者に糾弾されて然るべき死神。
 偶然か、或いは救いを求めたからか。風都タワーの方角へと向かうように彼は走っていた。
 正直なところ誰かに会いたいとは思わない。会えばその相手は死んでいく。
 敵は死なず、善良な味方だけが。自分は大して傷を負うことがないままに。
 向こうでもそうなってるのでは。神楽や康一もそうなっているのでは。
 追い詰めに追い詰められた精神は既に彼一個人の限界を優に超えている。
 動いているのは最初に言ったとおり、最後の気力で動いてるようなものだ。

「大丈夫ですか!?」

 でも出会ってしまう。新たな参加者と言う名の犠牲者に。
 背後から声をかけられた。声色、足音の数、言葉の内容。
 全てが『味方』に足りうる存在であることを証明してくる。

「それ以上寄るんじゃねえ!」

 だから、逆のことを選ぼうとした。
 八命切・轟天を振るって四人に近づかせない。
 刃物を握る姿は今の身体だからか、微妙に様になってしまう。

「お、敵か?」

「待ってくださいバリーさん。彼に戦意はありません。」

 臨戦態勢に入ろうとしたバリーをすぐに静止する。
 襲い掛かってくるのではなく、単なる迎撃に近い振るい方。
 相手を必要以上に近づかせないが、傷つける覇気が全くない。
 疲れ切った表情も相まって、錯乱しかけてるだけだとすぐに察せる。

「私はキャメロット。この戦いに対しては否定的な者になります。」

「ケケッ……見りゃわかるさ。だったら猶更ほっといてくれ。」

32 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:21:17
「個人で戦える力がある、と言うことでしょうか。」

 言われると納得はできる。
 手に軽い負傷以外まともな外傷はない。
 やりすごしたり戦う術があることは十分に伺えた。
 自分一人でも生きられる、などと勘違いをしたが早々に否定される。

「関わった奴が死ぬって意味だ。逆だ逆。」

「自棄になってるタイプね。こういうのには覚えがあるわ。」

 少しばかり溜息が出る遠坂。
 この手の状態は面倒な相手になりやすい。
 プライドが高いのでわかりやすい慎二ならともかく、
 初対面の相手では他愛ない一言で余計に傷つけるものだ。
 お人好しでも相手するのは少々難儀な相手である。

「その身体、ひょっとしてしんのすけって奴のか?」

「そうだけど……知ってるってことはアンタ、精神の方の居場所知ってるの!?」

 ミチルたちがラーの鏡を使っていた都合、
 しんのすけの本来の姿を見ていたのですぐに気付けた。
 肉体と精神、両方に面識がある唯一の参加者であるならば、
 此処でその情報を逃すわけにはいかず、遠坂は食いつく。

「ケケッ……やめときな。こっちは俺の前でもう四人も死んでるんだ。
 ついでにしんのすけは今はいねえし、俺に関わるとろくなことにならねえさ。」

 どうしたものかとしかめっ面になる。
 逃したくないがメンタルケアとかしなければならない。
 焦りから余計な一言を言いそうだしと言い淀んでしまう。
 決裂したと感じたゲンガーはそのまま離れるように歩き出す。

「関わった人が命を落とした、と言うのであれば私も同じです。」

 どうしたものかと悩んでいると、
 意外にもこの話に進んで出たのはキャメロットだった。
 彼女も元々は建築物の城。即ち、数多くの人の死を見届けてきたことになる。
 関わった人間に等しく滅びを与えるのであれば、それは似たようなものであると。
 モードレッドもアーサー王も、カムランの戦いでの傷によって命を散らした。
 国を統べる器を持つ王は、一人として残ることはないままに聖騎士の物語は幕を閉じる。
 (厳密に言えばアーサー王は物語によっては生きながらえるが、どの道ブリテンは滅びるので割愛)
 世間的、厳密に言えばキャメロットの世界におけるアーサー王伝説とは、物語である以上はフィクション。
 遠坂の世界におけるアーサー王伝説とは違って現実にて死んだ人間は存在しない、架空の物語。
 しかし彼女は今でも昨日のように思い出せる。数々の円卓の騎士が散っていったことを。
 無念の騎士も多かっただろう。他者の為の行動が全て裏目に出る呪いを受けたベイリンのように。
 城である以上、彼女ができたことはただ見届けるだけであり同じとは言えないものの、
 少なからず彼の思う気持ちを汲み取れるという点においては、一番近しい立場だ。

「何百、何千、何万……いえ、それ以上の人の命と私は関わりました。
 数を競いたいのではありません。ただひとえに、貴方の気持ちはよく伝わります。
 自棄になる気持ちも理解できます。ですが、それ故に此処で別れることを善しとしません。」

「一体、何しでかしたんだよ。」

「見届けただけです。名のある騎士が散ろうとも、
 我が王が自分の息子を槍で貫かれようとも、ただずっと。
 もっとも、全てを目の前で見続けてきたわけではありませんけどね。」

「ケケッ……そう言われちまったら、断れねえじゃねえか。」

 万単位ですら足りないという、戦争でもなければそうは出てこない数字。
 何があったかを察せられないが、それだけの死を前にしても彼女は戦うことを選んだ。
 彼女のようになるつもりはないし、彼女のような不屈の心はなろうと思ってなれるものでもないだろう。
 ただ、此処で拒絶することも後ろ髪を引かれるので、会話の為少し西の方角へ進んでから建物の中に入る。
 (食酒亭では近くにダグバがいる可能性もあったので、最初から選択肢から除外されている)

33 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:22:22
 D-5に近い場所に、都会の風景には余り似合わない中世時代の一軒家が目につき足を運ぶ。
 内装も全体的に遠坂の基準となる2004年の時代から見たとしてもかなり古い時代のものだ。
 遠坂にとってはこの景観を無視した建物も地図に載る類の奴なのだろうことを察しており、
 地図を確認してみれば、事実先ほどまでなかったはずが新たな名前が浮かび上がっている。
 此処が『エレン・イェーガーの家』と呼ばれる施設であることは間違いないようだ。
 こんなにあっさり見つかっては、今までの時間は何だったのかとすら嘆きたくもなる。
 イェーガーの名前を持った参加者はいないが、ゲンガーが出会った康一の身体が関係者に当たる。
 遠坂の『施設の関係者にしかわからない何か』がこの家にもあるかもしれない可能性はあるも、
 今は一先ず他の情報を得て、それを整理するのを優先とすることとして三人は席につきながら、
 遠坂は身体の都合顔が机を越えられないので、椅子だけ持って近くの牧入れの箱に産屋敷(無惨)を置いて、
 其方に対応しつつの形での会談になる。

「な〜〜〜み〜〜〜。」

「意思疎通するのも大変ね……お腹が空いてる? あってたら右手を挙げて。」

 意志疎通の取り方に難儀する遠坂を余所に、キャメロット達は情報交換を続ける。
 四人にとって、ほぼほぼ得られなかった情報をこれでもかと言う程に得られていた。
 一方で芳しくない状況でもあることは、ゲンガーの語り方からすぐに察せられる。

「まさか、此方に移動していたとは……」

 白い射手、彼等は仮面ライダーと呼ぶらしいその存在。
 既に村を抜けていて、先程の戦いの光景は彼(彼女?)が関わっていたものだと。
 キャメロットにとって二人目の敵であり、邪悪を体現したかのような不気味な人物。
 自分の行く先々で事を起こしていく。自分の選択によって誰かの命が奪われる。
 やはりあの時行くべきだったのかと、少しやるせない気分になってしまう。
 所詮そんなのはたらればであるので口にするつもりはないし、
 ダグバは新たな仮面ライダーの力を使うこともできている。
 もしその状態で挑んでくれば、キャメロットとて無事では済まず、
 全滅すらあり得ていたことは想像するに難くなかった。
 今はその情報が知れただけでも幸運であるのだと。

「なんかすごくゲテモノ感が凄いけど、まさかこれを食べる……」

「み〜〜〜。」

「なわけないか。此処においとくわよ。」

「と言うか本当にトナカイの獣人なんだな。
 オドシシからヒメグマみてーなそれになってビビったぞ。」

「最初はキメラの類かと俺も思っちまったな。」

 ロビンが言ってたチョッパーは無事であることは分かった。
 せめてそれができただけでもただ逃げるしかなかった自分にできている、
 数少ない贖罪なのだと心の中で静かに思う。
 少なくとも友好的な相手だし、戦うこともなさそうだ。

「にしても、私達がどれだけ遅れてるか分かるわね。」

 溜息を吐きながら無惨のデイバックを漁りつつメモをしていく遠坂。
 ゲンガーが関わった人や、また聞きで得た人の情報は四人の二倍以上。
 全くと言っていい程得られなかった分の反動すら感じさせられる。
 シロが亡くなっていることについては少し残念ではあるものの、
 殺し合いに懐疑的な人物が多く集ってた相手に繋がれただけでも大きい。

「んで、しんのすけって奴は地下に降りたのか?」

「ああ。なんでも鬼がいたらしくてな。」

「鬼、ですか?」

 城娘は兜と戦うことが基本ではあるものの、
 時として九尾を筆頭とした妖怪と戦うこともあるらしい。
 無論鬼も存在している。出自の都合でまた聞きになるが。

「この小さい玉? え、違う?」

「鬼と言っても、悪くなかった奴みてえだけどな。
 シロを鬼にしたことを悔やんでいたとかなんとか。
 名前は……あれ? 名乗ってたか? 確かミチルもしんのすけも……」

 聞いたか聞いてないか、少し思い出すのに時間がかかる。
 遠坂程頭の回転がいいわけではない以上多くの情報があっては、
 必要な情報をすぐに取り出せず時間を食う。

「となると、困りましたね。」

 相手は暴走してるだけに過ぎない。
 しかも地下と言う相手の方が圧倒的に有利な場所だ。
 かといって待てば夜にはホームフィールドが出来上がる。
 彼もまた助ける民。できることなら殺すことは避けたい。
 どう動くべきか悩んでいると、その答えはすぐに出された。










 派手な音と共に。

「───」。

34 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:24:27
 音はすぐそこだった。
 キャメロットが振り向けば元凶はそこにある。
 アルトリアの身長を上回り、チョッパーの脚力強化に分類されるような、
 猛獣が如き姿をした生物と、木製の玄関扉に叩きつけられ、荷物を散らばす遠坂の姿が。
 突然の状況にバリーとゲンガーには理解が追いつかなかった。
 何処から現れたのか、この猛獣は。





 その言葉を聞いた瞬間、私は行動を即座に選んだ。
 シロと言う犬が鬼にされ、鬼にしたことを悔いた男が自決を選ぶだと?
 あの異常者共ならば自分から首を切り落として自決を図るところをしなかった。
 故に直ぐに察した。それは紛れもなく私の身体であり、中にいる精神が何者かも。
 予想はしていた。やはり貴様が私の身体を持っているというのか、産屋敷耀哉。
 完璧に近い生物を誰の許しを得て使っている? ボンドルドは奴にも嫌がらせを、
 と言う意味合いで私の身体にしたのだろうが、私の方にはさらに屈辱でしかない。
 あの男が私の身体だと? 吐き気がする。とにかく奴は神経を逆なでしたいようだ。
 しかも勝手に鬼を増やすなど、産屋敷も同じように私の癇に障ることばかりをしてくれる。
 鬼なんぞ増やしたくもないというのに。

 しかし、同時に奴はどういうわけか鬼を増やしていると言うではないか。
 アルフォンスが衝動を考慮したところを見るに、奴も身体の衝動に汚染されてるらしい。
 当たり前だ。いくつ心臓や脳があると思っている。私以外にその身体が扱えるはずがないだろう。
 なのですぐに自決を図るとは思えぬ一方、万が一正気に戻り自決を図られたら手遅れになりかねん。
 悪魔の実を小娘に置かせたのは万が一に備えてだ。アルフォンスと小娘共が出会ったときは無理だったが、
 こうして私を人間と同じ扱いをするというふざけた行為のお陰ですぐに食えるように準備ができた。
 ついでに言えば奴が何処で私の名前を、或いは自分の名前を言ったかなど判断がつかぬ。
 いつ奴の名前がでるか分からぬ今こそ、動く時だ。身動きが満足に取れぬ私が疑われてしまえば、
 支給品であるネコネコの実を没収されて私はただ死ぬだけになる。それだけは回避しなければならない。
 遠坂を真っ先に選んだのは位置が近かったとも言えるが、キャメロットは少しばかりとは言え警戒していた。
 アルフォンスと別れてから、私を見る目が少しおかしかった。奴が吹き込むようなことを言った覚えはないので、
 恐らくは個人で判断してるのだろう。とは言え私の姿から軽い疑念程度の物だろうか。
 どちらにせよ奴の周りにいる連中よりも、優先的に遠坂を狙うこととした。
 産屋敷程ではないにせよ私を憐れんだ瞳で見るこの小娘も許し難い存在だ。
 そのような目で見るな、私は貴様に憐れんだ視線を向けられるような存在ではない。

 この時点における無惨の考えは杞憂なことだ。
 彼が関わった参加者で産屋敷が名乗ったのはシロだけであり、
 当のシロも誰にもその名前を口にしてないので何も問題はなかった。
 ゲンガーは何も知らない。単なる杞憂の問題でしかない。とは言え、
 今まさに産屋敷はこの街の地下において正気を取り戻してミチルと邂逅している。
 そのことから、総合的に見ればこの判断は妥当とも言えるものだろうか。
 少なくとも現時点においては、だが。

 ネコネコの実を食べたことで、
 ついに無惨は運よくだがまともに動く動物の身体を手にした。
 本来ならば変身に慣れないと動物の身体は維持できないが、
 本来数々の姿を持つ無惨であることと、元よりミーティが変態した存在だからか。
 或いはゾオン系における『己の解釈で姿を変えれる』と言う部分が起きて、
 無惨が『逃げたい』と言う考えに合わせた結果この姿をイメージしたからか。
 差だけではないが運よく豹(レオパルド)の姿に近しいフォルムになれた。
 ただ、ミーティの身体は足がまともに機能してなかったのかどうかは不明として、
 後ろ足の辺りはミーティの足に近しい、いびつさのある足の面影があるのは否めないが。
 パワーもネコネコの実はゾオン系は自らの身体能力を鍛えれば強化されるところにあり、
 元々この力を使っていたロブ・ルッチは武術『六式』を素で持っており、
 此処に悪魔の実の力を使って更なる強化をするという本体の訓練の賜物でもある。
 一方で無惨はミーティと言う満足に動くこともできない成れ果ての姿から、
 ようやく動けた身体。いくらゾオン系が食うだけで身体能力に恩恵があると言えども、
 本来使用したルッチとは比べることすらできない程に貧弱な状態であり、
 豹が武器とするものではない頭突きとは言え、扉を破ることも満足にできない。

35 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:25:45
 無惨の今後を考えれば悪手でしかないだろう。
 この先ずっと追われ続ける可能性だってある。
 でもどうにもならない。勝手に自分の身体を使われ、
 あまつさえ産屋敷が持っているなど絶対に許したくないがゆえに。

 ゲンガーとバリーはこの状況に対応することはできなかった。
 場所が近すぎたのと、産屋敷(無惨)がどういう奴かを考えてすらいなかったから。
 動けたのはアルフォンスから少しだけ警戒しておくようにと言われたキャメロットただ一人。
 経緯はともかく、あれが彼(彼女?)であることは場所と状況から見ても明白なことだ。
 飛び出た支給品が落ちる前に席を立ちながら、はぐれメタルの剣を抜いて無惨へと斬りかかる。
 敏捷に優れたサーヴァントの身体ではあったものの、動物との戦いは不慣れだ。
 夢の世界に来るのは基本的に人である以上、小柄な相手との戦いは不得手だと。
 姿勢を更に低くしたことで壁に切れ込みを作るだけに終わり、その一瞬のスキを突いて、
 遠坂が置いた無惨の支給品の水色の玉へと手(この場合は足だろうか)を伸ばす。

「! キャメロット! それを破壊───」

 ゲンガーだけがその玉の意味を理解した。
 どれかは分からない。でもあれは絶対にろくなことにならない。
 だから叫ぶも、最後まで言葉を紡ぐことはできなかった。

 遠坂も、バリーも、ゲンガーも、キャメロットも。
 無惨以外が全員揃ってその場から消えてしまったから。
 救助隊活動をしていた都合、彼も見たことのある玉の類。
 無惨が使ったのは『ワープだま』だ。敵と認識した相手を全員ランダムにワープさせる。
 飛ぶ先は同じエリアと言う制約は科せられているので遠からず此処に戻ってくるだろう。
 しかしその場からは一応全員消えた。無惨にとってこれが逃亡のための準備の唯一のチャンス。
 ネコネコの実を食べるという綱渡りを超えた後は、ワープだまで時間が稼げるかどうかという綱渡りと、
 安全を第一とする彼にとっては何度も不安要素ばかりを押し付けられる状況に加え、
 人の姿になれない都合口や慣れない四足で出した道具をなんとかしなければならない。
 畜生のような行動をする必要もあり、より一層ボンドルドに怒りが沸いてくる。

(獣人にはなれぬが、そこは致し方あるまい。)

 逃げられる身体であるだけまだましな方だ。
 早急に残った支給品も利用して、逃げの準備を図るだけである。

(む。)

 遠坂が頭突きで飛ばされた際に散らばった支給品。
 ダグバとの戦いですぐに使えるように忍ばせてた結果、
 衝撃でポケットから落としてしまったそれが転がっている。
 遠坂の最後にして彼女が唯一使えた武器。大事に握りしめてたせいか、
 汗で説明書が石に引っ付いていた状態でそこにあり、それを手にする。
 人間の時のように掴むことは叶わないが、なんとか紙を広げる。

(ほう。)

 逃げにせよ殺すにせよ使えそうな支給品であるようだ。
 とは言え咄嗟に使えるようにするには、少々工夫が必要だったが。





(やばいやばいやばい!!)

 八命切を手に、霊体のゲンガーはビル街を走る。
 やはりと言うべきか、走る速度は此方の方が早い。
 状況が一番飲み込めてるゲンガーは今非常に焦っていた。
 これがワープだまによって引き起こされたことは理解できる。
 だからこそまずい。これは完全にランダムでワープするからだ。
 一人の自分や遠坂が狙われたら瞬殺されてしまうことが目に見えている。
 幸い、自分はルブランに飛んだことが幸いし勝手が分かる場所であり、
 直ぐに上の階へ移動してから幽体離脱でそのまま走っていた。
 (とは言え万が一のために月に触れるは本体の方に置いてきたが)
 相手の行動から、恐らく各個撃破の皆殺しか逃走のどちらかが目的になるはず。
 本体のまま表を走るのと、身を隠して本体と遭遇する危険を天秤にかければ、
 どちらかと言えばこっちの方が戦える二人は負担が軽減されるし合理的だ。
 何より、遠坂は負傷している状態。真っ先に優先するべきだ。

「おーい! 皆何処にいるー!」

 唯一大声を出しても狙われて死ぬというデメリットがない。
 その為一切の遠慮なしに周囲にその声をほぼ人がいない街に響かせる。

(いた! 遠坂だ!)

 車道の中心で遠坂が倒れている。
 頭を強打してたからか、気絶していて意識がない。
 幸い命に別状はなさそうなのが数少ない救いか。

「お、おい大丈夫───」

「▂▂▅▆▆▆▇▇▇▇▇▇▇▇ッ!!」

36 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:27:59
「ウオオオオオッ!?」

 様子を確認していると、獣のようなうなり声と共に、
 無惨が背後の路地から姿を現して突進を仕掛けてくる。
 ヘルガーが如き獰猛さで迫る相手に思わず刀でガードを優先してしまう。
 無論レンタロウの力なんぞ高が知れている。今の無惨でもどうとでもなる。
 しかも霊体であるため気にしなくてもいい。とは言え遠坂のガードには繋げられたか。
 体当たりで狙われた柄を強打されて武器を手放してしまう。

(実体がない?)

 血鬼術のような類か。
 理解はしたが所詮はその程度の認識だ。
 今やゲンガーも遠坂も大して興味などない。
 と言うのも、

「おら見つけたぜぇ!」

 彼は今バリーに追われていたから。
 武器も何もない今、バリーの行為の意味を問われるが、
 勝手に人の殺しの相手を減らすような行為はされたくない、
 そんな身勝手な理由で彼を逃がさないようにしておくためだ。
 武器を回収しながらゲンガーも追うが、所詮人間レベルでしかない。
 追いつくなど土台無理な話だ。

 そのままアスファルトの大地となる車道を駆け抜ける。
 豹は本来自動車に近しい速度を叩きだすことができるが、
 無惨の後ろ脚の不完全さとその形態の不慣れが原因だろう、
 まるで街にの速度制限に合わせるかのように、安全運転を心がけてる速度だ。
 バリーも追走するが、仮にも戦闘の負傷も癒えず長時間遠坂たちを乗せていた。
 そのツケが回ってきたことで、走れても距離を縮められるものではない。

「ハァッ!」

 無惨の通った脇道からキャメロットが飛び出しての斬撃。
 豹特有の跳躍のお陰で、辛うじて避けることには成功する。

(口になにか咥えている?)

 一瞬だけ見えたが、相手は牙で何かを咥えていた。
 武器にもなりそうな牙の強みを捨ててでも、大事なものであるらしい。
 奪取、ないし破壊しておくべきものだと理解しつつ追走する。
 逃げるのが鬼と言うのは、なんともおかしな話だが二人の鬼ごっこが始まる。
 速度が落ちてると言えども常人の走るよりもずっと早い豹ではあるものの、
 僅かながらサーヴァントゆえにキャメロットの方が上回っている。

(やはり身体が慣れぬか。ボンドルドめ……忌々しい。)

 もう少し慣れれば振り切ることも、もしかしたらできただろう。
 少なくとも現状の単なる逃げでは追いつかれるのは時間の問題だ。

(今使うしかない、か。)

 支給品の一つは優秀だが回数制限があるのと、条件も厳しく成立するか怪しい。
 必ず当てられる場面を狙いたかったが、またも綱渡りを狙わなければならないのか。
 三度目の綱渡りにいい加減うんざりしかけながら口に咥えていた赤い石を空へ投げ飛ばす。
 一応、相手がそういうことをするだろうという想定ではあるので少なからず勝算はある。

 赤い石に一瞬アルフォンスから言われた賢者の石を警戒したが違う。
 輝きを放つとともに、コンクリートの大地を揺らす衝撃が周囲を走る。
 元凶は何か分かっていた。アルトリアたちの視線の先、無惨との間にあるから。
 コンクリートの大地に立つのは───まさかの、巨大な灰茶色の土偶だった。
 地面を砕き、その外見通りの質量を物語っているものの土偶というシュールさ。
 この状況で相手が使ってきた以上、打開してくるものだと、
 キャメロットは警戒を緩めることはなく距離を取る。
 勿論その考えは事実であるが、その行動は予想の斜め上を往く。

「ええ!?」

 胸元が開閉し、エネルギーが収束した後に巨大なビームを放つのだから。
 余りにも脈絡がなさすぎる手段での攻撃に、思わず変な声が出てしまう。
 こんな見た目をしているものの、これでも『ドグー』は生物兵器の一種だ。
 かの世界において、星の民が覇空戦争で使っていた星晶獣の一体なのだから。

(後方には誰が───ッ!)

 無惨に集中してばかりで確認してなかったが、
 背後を見やれば遠くにゲンガーたちの姿があった。
 ゲンガーの反応速度では遠坂を投げようとしたところで攻撃を受ける。
 バリーの方は自分が避けるので手一杯である為、二人を助けられない。
 故に、キャメロットは救出の為に向かおうと動かざるを得なかった。
 竜の炉心による魔力放出によりビームが到達する前に、
 なんとか遠坂を掴んで近くの植え込みへとその身体を投げ飛ばす。
 乱雑ではあるが、今の現状でできうる最大限の死なせないための行動だ。
 (ゲンガーは途中で霊体であることには気づいたので放置)

「キャメロット───」

37 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:29:08
 しかしその代償として回避は完全に間に合わない。
 ゲンガーの叫びもビームの轟音でかき消される。
 射線にいたが直撃しようともゲンガーには何も問題はない。
 サイドステップで左側へと飛ぶように回避するも、
 右腕は光線を掠めて焼けるような痛みが走る。
 ダメージは少なくないものの、消滅していないだけましと言うべきか。

「ッ、これぐらいは……!」

 その程度で済んだのは遠坂と契約したことが、僅かながら理由かもしれない。
 契約しても殆どステータスが向上こそしなかったが、たった一つだけ上昇したものがあった。
 厳密に言えばそれは上昇したというよりは、僅かに戻ったというべきだろうか。
 それは『幸運』の値。魔力不足の場合、マスターの生き方に幸運が左右される傾向がある。
 衛宮切嗣がアルトリアと契約すると魔力不足から、生き方の相性からDと大幅に下がってしまう。
 同じく魔力不足であるはずの衛宮士郎との場合ならば、生き方の影響から幸運はBと元よりは低いが大分ましだ。
 遠坂、と言うよりしんのすけの生き方はアウトローな切嗣よりも士郎の方に寄っているので、
 殆ど伸びなかったステータスにおいても、辛うじて幸運だけは上昇してくれていた。
 とは言え今の光景が幸運によるものかどうかなど、誰も判断できないのだが。
 ビームはコンクリートの大地を砕き、近くのビルに風穴を開けていた。
 常人なら確実に死ぬ一撃を、この程度でとどめることはできている。

 しかし休む暇などどこにもない。
 動きを止めたドグーの股下から無惨は動いていた。
 右腕しか被弾しなかったのでは追走はしてくるだろうと、
 仕方がないので戦うことを選んでアルトリアへと襲い掛かる。
 この極限状態のお陰か、走ること自体に僅かばかり慣れて動きが洗練されていた。
 迎え撃とうと、キャメロットは今握っている剣を構え───られない。

「え?」

 今更になって彼女は気づいた。
 何故こんなことになっているのか。
 痛みは確かにあったが、時期に消えた。
 だからと言うべきか、それを見た瞬間は余り認識できなかった。
 彼女の右腕が石化していたことを。右腕も、はぐれメタルの剣も石のように、
 さながらメドゥーサに睨まれたかのように石化してしまっていた。
 こればかりは理解が追いつかない。何がどうなっているのか。

(まさか……!)

 今になって気付く。
 答えは今しがた姿を消し始めたドグーにあると。
 ドグーの光線『ギガ・ジョーモン・カノン』は対象を一時的に石化させる力がある。
 主にこれは水属性に対して発揮されるものだであり、水属性の素質があれば効果を受けやすい。
 アルトリアは湖の乙女の加護があり、完全とまではいかないが水属性の素質が存在している。
 湖の乙女の加護があるからこそ彼女はリオンから逃れることができたが、今回ばかりはその逆。
 湖の乙女の加護があるからこそ、ドグーの効果を掠めたとしても強く受けてしまう。

(ゲンガーさんの武器───も石化していますよね……!)

 右腕はない。武器は動かせない。実質全くの無手。
 今の状態で殴れば腕が砕ける可能性だってありうる。
 それは後ろに転がってる石化した八命切でも同じこと。
 騎士の力が反映され刀や剣を扱えるキャメロットでは、
 素手での戦いなどサーヴァントの力に物を言わせるしかない。
 すぐそこまで無惨が迫っており、左腕で殴ることを選ぶ。

「▇▇▇▇▇▇▇▇▂▂▅▆▆▆▇▇▇▇!!」

 が、だめ。
 何の生物か形容しがたいうなり声と共に容易く回避。
 無惨が強いというよりは、キャメロットの徒手空拳が弱すぎるというべきか。
 悲しいが全裸かつ素手で十数人も殴り飛ばしたランスロットの強さは内包されてない。
 (なおその場面はギネヴィアとの不倫現場であるので、あっても余り誇れないが)
 寧ろその腕をミーティの時よりは鋭くなった牙で噛み付く。

「グッアアアアアッ!!」

 歯並びは元の身体の影響か余りよくはないので、
 同時に顎の力が弱まっても百キロ近い力がかかる。
 歪なことが寧ろ逆に変な状態で食いこんでおり、
 聞くに堪えないような悲鳴が左腕と彼女の口から奏でられる。

「畜生、こうなりゃ自棄だ!!」

38 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:30:39
 本来なら武器を以って戦うべきではあるが、
 ないのでは仕方がないとばかりにバリーが変身する。
 柔力強化(カンフーポイント)は変身慣れしてないため、
 チョッパーの身体において二年前から問題なく使えた形態、
 重量強化(ヘヴィーポイント)へと変わりガタイが大きく変わる。
 上半身のボリュームとは裏腹に下半身はスリムで強烈な外見だ。
 代用で神楽の傘を使いたかったが、キャメロットが近くにいて振るうも撃つも難しい。
 元々チョッパーは素手での格闘戦ができるのなら、キャメロットよりもましだ。
 剛腕を以っての右ストレートを叩き込まんとするが、まだ咥えていた彼女を盾にする。

「ゲッ!」

 殺しが好きだとしても、
 流石にこの状況でキャメロットを殴ったら後がまずい。
 思わず止めてしまい、その隙に彼女は投げ飛ばされる。

 アスファルトの地面に叩きつけられ、同時に石化した腕と剣も砕かれる。
 頭から行ったため気を失うには十分すぎるほどの衝撃で意識が落ちていく。
 片腕の欠損、武器の破壊、片腕は殆どちぎれかけた状態では誰が見ても再起不能だ。

「キャメ子の嬢ちゃん!?」

 あ、もしかして俺一人でやるの?
 とでも言わんばかりの状況に頭を抱える。
 八命切はまだ石化していて使い物にならない。
 なので仕方ないが、神楽の傘を構えることにする。
 構えてから、バリーはふと思う。何をやってるんだと。
 逃げるという選択肢が何故か彼の思考には存在しなかった。
 というか、さっきもキャメロットをなぜそこまで気遣ってたのか。

(まさか、俺の身体がチョッパーだからなのか!?)

 他の参加者が何人も行きついてる肉体の影響。
 トニートニー・チョッパーは医者だ。命を尊さを誰よりも理解し、
 敵であったとしても治療することがある彼が怪我人を許せないのか。
 人の獲物を横取りされるのも癪だ、と言うことにして戦うことを考えるが、

「って、えええええッ!?」

 何と此処で無惨突然の逃げ。しかも全速力で。
 思わず眼球が飛び出しそうになる。
 別に完全に不利でも何でもなかったはずだ。
 ゲンガーは戦力外、遠坂とキャメロットは気絶。
 どう考えたって十分勝てる見込みがある戦況のはず。
 一体なぜなのか、さっぱりわからないままどんどん離れる。
 ついでに道中に転がっていたドグーの召喚石も回収していく。

(何処までも忌々しい身体だ……!!)

 無惨が何故逃げを選んだか。
 いや、寧ろ本来無惨が真っ先に選ぶべき行為だ。
 彼は本来強い癖に何故いつも逃げを選んでいるのか。
 自分にとってリスクのある行動を僅かにでもあれば避けるがゆえに。
 バリーは殺人鬼だ。戦う以上に殺しを優先するならキャメロットを戦闘不能にすれば、
 逃げる自分を狙うよりも其方を優先するというのを見越しての行動を選んでいた。
 肉食獣を模した悪魔の実を口にした人物は変身中に限るが狂暴性が増す特性の結果、
 そのせいで右腕を破壊して逃げるだけだったのが、余計な行動をすることになった。
 完璧に近い生物が異常者共でもなんでもない奴に固執するなどありえないと、
 本来の姿でいる無惨がこの光景を見たり思い返せばきっと思うことだろう。

 ではなぜ急に理性を取り戻したのかというと、血が原因だ。
 キャメロットの、アルトリアの肉体を抉ったことで得た血の味。
 人を喰らうのが鬼である以上、当然人間の血肉が主食になるのが当然。
 しかし成れ果ての身体は食事が不要であり、そもそも鬼の身体ではない。
 狂暴性は増したとしても味覚が決して変化しているわけではなく、
 本来なら主食であるはずの血液に対して身体が不快感を呼ぶ。
 まるで数時間前のアルフォンスのように吐き気すら感じている。
 お陰で理性が戻った、と言うよりは冷めたが正しいだろうか。

 それはそれとして。
 悪魔の実を食べたと言えども元は成れ果てのミーティ。
 それがベースにしては少し強すぎるのではないかと思うが、
 それは無惨が予め先に飲み込んでおいたものが原因だ。
 いのちのたま。体力を犠牲に攻撃を強化できるどうぐの一つ。
 持てる場所もなければ口にはドグーがあったことで、
 飲み込む以外で持つことができなかった都合飲み込んだが、
 お陰でキャメロットに大打撃を与えることはできた。
 あの集団は最早使い物にならないだろう確信もある。
 最悪、バリーが全て処理してくれるだろう。

39 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:31:23
(さて、私のやるべきことは今は一つだけだ。)

 無惨は非常に短期ではあるものの、ある程度の冷静な判断力も存在する。
 脳が五つあった時と比べてしまうと、比べることすら失礼なほどの知能の低下だが、
 そういう思考回路は十分に残されてるし、優先順位も忘れてはいない。
 どれだけ殺し合いが加速しようとも元の肉体は残さなければならない。
 なので優勝どうこう以前に、まずは産屋敷を探すことを今後は優先とする。

 それともう一人。
 主催の人物に近しい関係を持つ柊ナナの存在だ。
 エボルトからゲンガーの経由でそのことは知らされた。
 彼女の肉体は主催の一人と血縁関係であり、精神も肉体の関係者にある。
 主催にそのまま直結するようなことがないのはミーティの件でわかりきったことだ。
 一方で、木曾が残したメモには『優勝をする必要がないのではないか』という説があった。
 完全に信じ切るつもりはないが、現状ただ脱出するだけでは意味がない無惨にとって、
 その可能性を考慮するには十分すぎるので彼女も捜索しておきたい。

 永遠を欲する鬼の祖は解き放たれた。
 激しい怒りと憎悪と共に。

【D-6/街道/昼】

【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[身体]:ミーティ@メイドインアビス
[状態]:豹化、成れ果て、強い怒り(特に今は産屋敷、ボンドルド。他もどっこいどっこい)、激しい屈辱感
[装備]:召喚石『ドグー』@グランブルーファンタジー(現在使用不可能)、いのちのたま@ポケットモンスターシリーズ
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:元の体に戻る。主催は絶対に許さない。
1:産屋敷を探す。誰の許しを得て私の身体を使っている?
2:体を早急に慣らさなければならない。
3:遠坂やアルフォンスを利用したかったが、今となっては難しいか?
4:誰も彼も役に立たない。戻った際は上弦の解体も考えておくか。
5:奴ら(キャメロット達)、揃って問題を抱えているのは何故だ?
6:柊ナナを探しておく。奴が主催に近いのであるならば利用する。
7:血に不快感とは、どこまでも不愉快にさせてくるな。
[備考]
※参戦時期は産屋敷邸襲撃より前です。
※ミーティの体はナナチの隠れ家に居た頃のものです。
※精神が成れ果てのミーティの体に入っても、自我は喪失しません。
※名簿と支給品を確認しました。
※アルフォンス、遠坂達には自身の名を『産屋敷耀哉』だと偽っています。
※アルフォンスの肉体(千翼)を鬼かそれに近い人喰いの化け物だと考えています。
※ダグバの放送を聞き取りました。(遠坂経由で)
※鋼の錬金術師、Fate、城プロ、救助隊のある程度の世界観を把握しました
※ネコネコの実を食べたことで豹にもなれるようになりました。
 体格は爪、後ろ足が成れ果ての面影がある豹のような姿です。
 速度や顎の力などは全体的に弱体化してますが、いのちのたまである程度補強されてます。
 また慣れてない為変身しなおした場合、今ほどの姿になれないかもしれません。
 ネコネコの実はモデル『レオパルド』です。
※ドグーのインターバルは後続の書き手にお任せしますが、短時間で連打はできません。
※いのちのたまで攻撃に常に補正がかかり、攻撃の度に反動を受けます。
 成れ果ての不死性で軽減や無力化できるかは現時点では不明です。
※召喚石『ドグー』は口に挟んでます。
 いのちのたまは飲み込んでいるため吐かない限り外せません。










 何にせよ、無惨の逃げは十分に正解とも言えるだろう。
 だって逃げなければ『アイツ』が動き出していたから。
 アレに牙を突き立てようものなら、歯が全て砕けていただろうから。

(ま、潮時ってとこだな。)

 キャメロットが使い物にならない今、
 此処で綺麗な人間を演じるのももう必要ないだろう。
 さっきと違って状況が切迫しているわけでもないことだ。
 思う存分殺すことに興じようではないかとことを進めに入る。

「おいゲンガー! 確か回復できる道具あっただろ!
 キャメ子の嬢ちゃんこんなだが、まだ何とかなるかもしれねえし急ぐんだよ!」

 ただ先に幽体離脱してる都合攻撃できないゲンガーをなんとかしたい。
 状況の全てに放心していた相手に発破をかけるような言葉をかける。

40 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:31:55
「あ、ああ!!」

 バリーに叱責されたことですぐに幽体離脱を解除。
 今度こそ死なせないためにも、という前向きな考えで。
 彼が殺されに来てくれと言う願いを持ってる等、露ほども知らずに。
 時期に本体がこっちに来てくれるだろうと笑みを浮かべる。

(あ〜〜〜やっとだ。やっとお楽しみができる。)

 ダグバ(厳密にはハルトマンだが)によるあの攻撃の規模。
 あれを見ていれば此処には殺し合いに懐疑的な奴はほぼいない。
 いるなら離れているか、ダグバへと向かっているのだから。
 いるとしてもみちるとしんのすけは地下。悪評を撒く人間はいない。
 思う存分、待ち続けた分だけ殺してしまおう。
 ゲンガーが置いていった八命切を手にする。

「よし、じゃあ元気に───え。」

 武器を手にいざ殺そうか。
 なんて思いながら振り向いたバリーは絶句した。
 何故、キャメロットが立ち上がっているのか。
 しかも、砕けた右腕も、ほぼ再起不可能な左腕もどんどん元に戻る(袖はともかく)。
 バリーは知っている。この治り方を知っている。この、赤い稲妻が走る治り方は。

「なあアンタ。この状況について教えちゃくれねえか?
 なんか親父もいねえし、身体も違うしでわけがわからねえんだよ。」

 凛とした女性の騎士らしい声と立ち居振る舞い。
 例えるならキャメロットとアルトリアの雰囲気はそういうものだ。
 でも、そんな彼女からはあり得ないような男口調で言葉を紡がれた。

「キャ、キャメ子の嬢ちゃん?」

「ん? ああ。この身体の持ち主の名前か?
 そういや都合上、話も聞いてねえし仕方ねえか。」

 左手で後頭部を掻きながら、笑みを浮かべる。
 歯を浮かべながら笑う彼女は、最早騎士らしさはない。
 寧ろ、何処か賊のような風にすら思えて来てしまう。










「俺はグリード。キャメコって奴じゃねえよ。」










 人の顔が埋め尽くす空間にキャメロットが浮かぶ。
 本来の城娘である、銀と水色を基調とした装備に加え、
 ボリュームのあるプラチナブロンドのロングヘア―を靡かせる。
 意識はない。精神的なショックの意味合いも軽く含まれるだろう。
 剣を握るは最早不可能となり、城娘としての矜持も守れずに敗北した。
 受け入れることはしているが、精神的ダメージは図り知れない。

『あ? なんでこんなとこに嬢ちゃんがいんだ?』

 顔の中に、一つだけ。
 確固たる意志を持ってるかのような顔が彼女を見やる。
 他の人の精神とは何か違う存在に、彼は疑念を抱く。

『なんつーか、雰囲気もおかしくねえか?
 人間でもホムンクルスでもねえ、なんなんだこの身体?
 お陰で、なんかさっきまで目が覚めてなかった気がするんだよな。』

 誰に言うでもない。
 彼女に語り掛けるわけでもない。
 ただ淡々と自分の今の状況を整理するように呟く。

『まあいいか。女だしちょいと悪いとは思うが、この身体貰うぜ!
 つっても、意識ねえから一方的になっちまうのは悪いとは思うがな。
 一方的に搾取するのは等価交換に反するんでな。後で忖度はしてやるよ!』

 心底楽しそうな笑いが空間内に響く。
 答えるものは誰もいない。持ち主であるキャメロット自身すらも。





 彼女の意識は闇の中だ。
 強い意志を持って保ってた中、
 彼女が意識を失えば必然的にこうなる。
 短くない時間をかけた末に強欲───グリードが顕現した。

「俺はグリード。キャメコって奴じゃねえよ。」

41 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:32:37
 端麗な少女の声から紡がれる男らしい喋り方。
 中々に強烈な光景だが当人らにはそんなことを考える暇がない。

「ゲェー!! ホムンクルス!!」

 無惨が逃げた時同様目玉が外れそうな強烈な顔と共に絶叫を上げる。
 グリードとの面識はないがラストに殺されかけたことを考えれば、
 少なからず拒否感は出てくると言う物で軽く後ずさりしていく。

「なんだ、俺達の事を知ってるのか。
 ってかおめーもおめーでなんなんだ? キメラか何かにでもなっちまってんのか。」

「いや、その話はもう似たようなのやってんだよ。」

 逃げたいところだが相手の身体はアルトリアのもの。
 出鱈目なスペックをしてるのは理解しており逃げる選択肢はない。
 素直に彼との対話に応じて今の状況を、一から説明することを選ぶ。

「へぇー、殺し合い、願い、入れ替わり……親父はとことん関係なさそうってわけか。」

 これだけの力があれば人柱など最早必要ない。
 フラスコの中の小人すらも関与してない可能性のある状況。
 あらゆるものが欲しいのがグリードではあるが、研究所の侵入者排除の都合自由はなかった。
 前のグリードは自由にやってたそうだし、たまには自由を満喫するのも悪くないなと。
 特にこの身体は健康で強い。リンも悪いものではないがこの身体はそれ以上の逸材だ。
 自分の国の為に身命を捧げようとしている王族と、偶然にも面白いところも共通していた。
 女であることはちょっと不満ではあるが、まあそもそも状況的に仕方ないことだと割り切る。

「さーて、これからどうするか。」

 金が欲しい、女も欲しい、地位も、名誉も、そしてボンドルドの力すらも欲しい。
 だったら殺し合いの優勝か? そういう道もあるだろうし選択肢にはある。
 少女の顔つきに全く似合わない笑みを浮かべながら今後の事を考えていく。

(ただその前に……)

 グリードは強欲だが、案外義理堅い男だ。
 リンの身体に入る前のグリードと言う違いはあるものの、
 魂は繋がっている。故に記憶はなくともある程度は似通っている。
 だからギブアンドテイク、等価交換をしないのはどうも性に合わない。
 なので、今すぐ優勝だなんだの行動の前に三人をどうするか。

 永遠に欲するホムンクルスは解き放たれた。
 意識を落とした聖騎士の城娘に成り代わって。

42 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:33:24
【D-6/街道/昼】

【グリード(キャメロット城)@鋼の錬金術師(御城プロジェクト:Re)】
[身体]:アルトリア・ペンドラゴン@Fateシリーズ
[状態]:グリードによる精神の乗っ取り、マスターによるステータス低下、ダメージ(大・再生中)、精神疲労(大・キャメロットの精神)、複雑な心境(キャメロットの精神)、ワクワク(グリードの精神)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2(確認済み、剣以外)、逆刃刀@るろうに剣心、グリードのメモ+バリーの注意書きメモ
[思考・状況]基本方針:この世の全てが欲しい! ボンドルドの願いも!
1 :欲しいものを全て手に入れる。けどどういう手順で行くかねぇ。
2 :キャメコにはどう交渉したもんか。
3 :親父がいねえなら自由を満喫するぜ!

4 :放送の元である村へ行き、白い弓兵(ダグバ)を斬るはずでしたが……
5 :ゲンガーさんと凛さんを守る。
6 :アーサー王はなぜそうまでして聖杯を……
7 :バリーさんと彼の言う鎧の剣士、それと産屋敷に警戒。
8 :……大丈夫なのでしょうか、賢者の石。
9 :リオン・マグナス……その名は忘れません。
10:……

[備考]
※参戦時期はアイギスコラボ(異界門と英傑の戦士)終了後です。
 このため城プロにおける主人公となる殿たちとの面識はありません。
※服装はドレス(鎧なし、FGOで言う第一。本家で言うセイバールート終盤)です
※湖の乙女の加護は問題なく機能します。
 約束された勝利の剣は当然できません。
※『風王結界』『風王鉄槌』ができるようになりました。
 スキル『竜の炉心』も自由意志で使えるようになってます。
 『輝ける路』についてはまだ完全には扱えません。
 (これらはキャメロットの精神の状態でのみ)
※賢者の石@鋼の錬金術師を取り込んだため、相当数の魂食いに近しい魔力供給を受けています。
※名簿をまだ見ていません。
※Fate/stay nightの世界観および聖杯戦争について知りました。
※Fate、鋼の錬金術師、ポケダンのある程度の世界観を把握しました。
※グリードのメモ+バリーの注意書きメモにはグリードの簡潔な人物像、
 『バリーはちょっと問題がある人だから気をつけて。多分キャメロットさんが無事なら乗らないと思う。
  後産屋敷さんはまともに喋れてないのもあるから、殆ど人物像が分からないのも少し気をつけておいて。』
 の一文が添えられてます。
※グリードに身体を乗っ取られました。
 彼女が気絶してる中一方的に肉体を使っている為、
 意識が戻ればある程度忖度しつつも等価交換を要求します。
※現在キャメロットの意志は眠ってます。
 スキル、宝具がキャメロット同様に機能するかは別です。
 湖の乙女の加護は問題なく発動します。
※グリードの記憶は少なくとも二代目(所謂グリリン)であり、
 少なくとも記憶を取り戻す前のグリードです。
※グリードが表に出たためホムンクルス由来の最強の盾が使えます。
 最強の盾がどう制限されてるかは後続の書き手にお任せします。
※キャメロット城の名前をキャメコと勘違いしてます。
※一度石化された後腕が砕けたので右腕の袖が二の腕までになってます。
※ゲンガーと情報交換してます。

【ゲンガー@ポケットモンスター赤の救助隊/青の救助隊】
[身体]:鶴見川レンタロウ@無能なナナ
[状態]:人の身体による不慣れ(改善)、疲労(中)、精神疲労(極大)、自分への強い苛立ち、手にダメージ、焦り
[装備]:月に触れる(ファーカレス)@メイドインアビス
[道具]:基本支給品×3、シグザウアーP226(弾切れ)@現実、ピーチグミ@テイルズオブディスティニー、タケコプター@ドラえもん、サイコロ六つ@現実、肉体側の名簿リスト@オリジナル、ランダム支給品×0〜1(吉良の分)
[思考・状況]基本方針:イジワルズ特別サービス、主催者に意地悪…いや、邪魔してやる。
1:急いでキャメロット治しに戻るんだよ! ※意味はない
2:しんのすけとミチルが戻って来るのを待ちたかったけど余裕はない。
3:イジワルズ改めジャマモノズとして活動する。
4:ピカチュウとメタモンには用心しておく。(いい奴だといいが)
5:木曾のメモのこと、覚えておかないとな。
6:こいつらを見るとアイツ等を思い出すな…(主人公とそのパートナー達の事です)
7:何でオレが付けた団名嫌がるやつ多いんだ?
8:カイジのやつ、何でメタモンの事を聞いて来た?
9:産屋敷(無惨)の野郎、飛んでもねえ本性隠してやがった。

43 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:34:23
[備考]
※参戦時時期はサーナイト救出後です。一応DX版でも可。(殆ど差異はないけど)
※久しぶりの人の身体なので他の人以上に身体が慣れていません(改善)。
 代わりに幽体離脱の状態はかなり慣れた動きができます(戦闘能力に直結するかは別)。
 幽体離脱で離れられる射程は大きくても1エリア以内までです。
※木曾から『ボンドルドが優勝を目的にしてない説』を紙媒体で伝えられてます。
 (この都合盗聴の可能性も察してます)
※近江彼方の枕@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は破壊されました。

【遠坂凛@Fate/stay night】
[身体]:野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん
[状態]:頭部と全身強打、気絶、精神的ショック(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:他の参加者の様子を伺いながら行動する。
1:……
2:サーヴァントシステムに干渉しているかもしれないし第三魔法って、頭が痛いわ。
3:私の身体に関しては、放送ではっきり言われてもうなんか吹っ切れた。
4:身体の持ち主(野原しんのすけ)を探したい。あと一歩まで来てるのよ。
5:アイツ(ダグバ)倒せてないってどんだけ丈夫なの。
6:アルフォンスは心配だけど、一先ず彼にサポートを任せる。
7:施設とかキョウヤ関係者とか、やること増えてきたわね……
8:ゲンガーとバリーとも行動。少なくとも私よりは頼れるのは羨ましいわ。
9:ある程度戦力をそろえて、安全と判断できるなら向かうC-5へ向かいたかったけど……想定外の展開か。

[備考]
※参戦時期は少なくとも士郎と同盟を組んだ後。セイバーの真名をまだ知らない時期です。
※野原しんのすけのことについてだいたい理解しました。
※ガンド撃ちや鉱石魔術は使えませんが八極拳は使えるかもしれません。
※御城プロジェクト:Reの世界観について知りました。
※地図の後出しに関して『主催もすべて把握できてないから後出ししてる』と考えてます。
※城プロ、鋼の錬金術師、ポケダンのある程度の世界観を把握しました
※ゲンガーと情報交換してます。










(なあ、これもうだめじゃねえか?)

 ダメと言うのは殺し合いを愉しむことだ。
 だというのに出会う参加者はその殆どが自分よりも格上。
 格下もいるにはいるが、明らかに上が別次元の連中ばかりだ。
 殺せると思ったら本当にホムンクルス入りの賢者の石ときた。
 頼むからおれに殺させろと叫びたくなってしまう。

(とりあえず生き残って、後から考えた方がいいのか?)

 もういっそ生き延びて脱出を選んで、
 その後で殺しを愉しんだ方がいいのではないか。
 上手くいかない結果に、ため息も出てきそうだ。

(殺しができねえとか、鎧の時以上に抜け殻じゃねえか。)

 殺しを欲する男は解放されない。
 二度目の生において事実上のとどめをさした、
 ホムンクルスの同族と行動を共にしながら。

44 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:34:56
【バリー・ザ・チョッパー@鋼の錬金術師】
[身体]:トニートニー・チョッパー@ONE PIECE
[状態]:疲労(大)、全身に切り傷、頭脳強化(ブレーンポイント)、微妙に精神折れかけてる
[装備]:八命切・轟天@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品、神楽の番傘(残弾100%)@銀魂、ランダム支給品×0〜1
[思考・状況]
基本方針:存分に殺しを楽しむ、はずなのになぁ〜〜〜うまくいかねぇ。
1:存分に殺しを楽しみたいが、何か段々詰んできてねえか? 俺。
2:あの鎧野郎(メタモン)をどうにかしたいので今は集団に紛れ込んでおく。
3:武器を確保するまでは暫くなりを潜めた方がよさげか。
4:いい女だが、姐さんほどじゃねえんだよな。後もう少し信用されておきたい。
5:使い慣れた得物が欲しい。
6:アルフォンス、相変わらず甘い奴だな。
7:キャメ子の嬢ちゃん、乗っ取られてるー!?
8:産屋敷(無惨)まじかよ……
9:最悪生きること優先したほうがいいんじゃねえのか? これ。

[備考]
※参戦時期は、自分の肉体に血印を破壊された後。
※城プロ、Fate/stay nightの世界観および聖杯戦争について知りました。

遠坂の考察
①:一部参加者しか目指しそうにない場所=一部参加者のみに伝える何かを用意している
  主催の中の誰かが此方(対主催)にとって有利になるように託した、と言う可能性を考慮。
②:施設の後出しで地図に表記は、主催者もすべての施設の場所を把握してないかもしれない。
  或いは主催の誰かが置いた何かの施設が彼らにとって都合の悪い何かなのではないか。
③:小野寺キョウヤを名乗ったことから、小野寺キョウヤを知る参加者に何か大切なものがある可能性。
④:①に備えて自分に関係してそうな施設(聖堂教会等)などの記載
これらと今まで得た情報や遠坂の考えをメモにして纏めてます。
より具体的な内容は後続の書き手にお任せします

※D-6はぐれメタルの剣@ドラゴンクエストⅣは砕けました
 石化が戻ってますがまともな運用は望めません
※D-6周辺にアルトリアの腕が落ちてます。
※ドグーのギガ・ジョーモン・カノンが放たれました。
 近くのエリアにいた参加者は見えるかもしれません。

【ワープだま@ポケモン不思議のダンジョン 赤の救助隊/青の救助隊】
鬼舞辻無惨に支給。ゲーム上ではたまに分類される水晶玉の類。
使うと使用者が自身が認識してる敵と認識した参加者全員をワープさせる。
ワープ先は同じエリア内ではあるが転移先は完全にランダム。消耗品。

【召喚石『ドグー』@グランブルーファンタジー】
遠坂凛に支給。覇空戦争時代、星の民が用いた星晶獣『ドグー』が込められた召喚石。
本来ならばグラン(またはジータ)とルリアがいなければ召喚できないが、此処では誰でも使用可能。
無機質なその顔は、ある時は怒りを湛える恐ろしい表情に、
またある時は慈愛に満ちた表情にと、見る者の心の在り方によって見え方が異なるという。
召喚すると胸元から発射されるビーム『ギガ・ジョーモン・カノン』で一回だけ攻撃する。
使用者に土属性の攻撃の強化と荒土の刻印を付与するが、後半の使い道が多分このロワにはない。
また被弾した相手に短時間の間だけ相手を石化させる効果もある(本ロワでは被弾した部分のみ)。
前者は土属性、後者は水属性に関する力を持つ人物にしか原作では通用しないが、
本ロワにおいてこれらがそれらの属性に該当しなくても発生するかどうかは現時点では不明。
召喚後は再度召喚までのインターバルが必要。壁にもなるが短時間しか召喚できないので気休め程度。

【いのちのたま@ポケットモンスターシリーズ】
鬼舞辻無惨に支給。DP以降に登場した所持してるだけで効果が発揮する。
攻撃技の威力が1.3倍になるが、攻撃技を使うごとに最大HPの1/10のダメージを受ける。
本体が攻撃する類以外のもの(召喚石等)は威力は強化されないがダメージも同時に受けない。

【エレンの家@進撃の巨人】
シガンシナ区にて少年時代のエレン・イェーガーが住んでいた家。
進撃世界における建築技術の為大分古いものではある。
少なくとも二階建て以上で地下室が存在しており、
地下室には原作では重要なものがあったが、
この舞台における地下室に何があるかは不明。
現在無惨が出た都合玄関が少し破壊されてる。

45 ◆EPyDv9DKJs:2022/07/16(土) 01:35:31
以上で修正版投下終了です
此方の修正で駄目なようでしたら、
短期間での修正労力と長期間のキャラ拘束に繋がり、
企画の大きな障害になる為破棄(予約もなし)と言う形でお願いします

46 ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 21:58:35
一旦仮投下します。

47ディケイドリベンジャー-cry baby- ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 22:05:23
放送が始まる数分前、橋の近くの物陰にてJUDOは目を覚ました。
JUDOは気絶する前の戦闘や風都タワーでの戦いのことを思い返していた。

「我は何をやっていた」

風都タワーでの戦いで人間の肉体を使っているとはいえ、全員を仕留めることが出来なかったが、これからは人間は餌ではなく敵と認識し、参加者を殺す決意をした。

しかし、問題は赤い痣の男との戦いがディケイドライバーを破壊され、屈辱や侮辱を味わうことになってしまった。
冷静に考えてみれば人間の肉体が脆いのが分かっているのになぜ赤い痣の男と会った瞬間に撤退を選ばなかったことを悔やんだ。
JUDOは撤退を選ぶのは癪であるが、ここまで戦える状態でないのなら闘争心を自制して撤退を選択してファイズアクセルで逃走に使うことは容易だったのに意固地なプライドのせいで、それをせずにこのような結果を生んでしまった。
このようなことで我慢ができなければ優勝など夢の夢だ。

悔やんでいても仕方ない、今は葛飾署に置いてきた荷物を回収しに向かわなければならない。
それに赤い痣の男には荷物を持っていなかった、もしかしたら葛飾署付近にそのままにしているかもしれない、それも回収する。
道具がないと戦いが出来ず、渇きも満たせない。
これもなぜ荷物を置き去りにするようなことをしてしまったのか、赤い痣の男との戦いでは反省すべき点が多い。

破壊されたディケイドライバーの残骸の回収もしなければいけない。
ディケイドの力がまだ三つも取り戻せないまま、破壊されてしまったが、JUDOの目は死んでいなかった。
置いていった赤い痣の男の荷物にディケイドライバーを直す道具があるのかもしれない。
本来、壊れた物の回収はしないが、ディケイドライバーは諦めるなというのがあるからだ。
そうでなくても他の仮面ライダーの変身道具があるのかもしれない。
元の肉体とは違って、今は道具がないと戦いの愉しみができない。

JUDOは起き上がり、荷物や道具を回収するために火災が起きている街に向かう。
本当なら街に行くたくないのが本音だ、自分の蒔いた種とはいえ、鬼火や烈火弾を撒き散らし、葛飾署周辺が燃えてしまっている。
幸い葛飾署には被害は受けなかったが、いつ葛飾署も燃え移るのも時間の問題だ。
急いで自分と赤い痣の男の荷物を取りに行かないといけない。





街には自分のしたこととはいえ、いくつかの建物が激しく燃えていた。
葛飾署も含めて、まだ燃えていない建物もあるがそれも時間の問題だろう。
荷物を取ったら即急に離れる、ここは休憩すら出来ない、この街に留まる気はない。
少し進んでいたらJUDOにとって見慣れた物を見つけた。

(あったな)

その途中で赤い痣の男に破壊されたディケイドライバーの残骸を拾った後に定時放送が始まった。

(この場所にはないか)

放送の内容に興味があったのはモノモノマシーンの存在だが、JUDOは条件満たしているが、この中心部にはないことが明確となり、他の仮面ライダーの変身道具を入手出来なくなった。
死者については仮面ライダーWの片割れ以外は目を引くことはなかった。
体制を立て直したら再戦するつもりだったが、あの後、何があったのかは知らないが死んだらしい。
再度遭遇したら自らの手で殺すつもりだったが片割れが死者として呼ばれた以上は興味がなくなった。

そんなことを考えていたら葛飾署にたどり着いた。
本来なら赤い痣の男が来なければ放送後も風都タワーでの戦いの疲労を取るはずの施設で離れる予定だったが、午後一時頃には雨が降り、火事も収まり、葛飾署も燃え移らなくなるので安心している。

48ディケイドリベンジャー-cry baby- ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 22:08:35
戦いに夢中で放置してしまった自身の荷物を取り、次に赤い痣の男が放置した荷物を回収しに行く。
本当なら葛飾署で待機して雨で火事が納まるまで待つのだが、火事で道具が燃えて取り返しがつかない、そうでなくても悠長しすぎたら他の参加者に取られかねない。
恐らく、葛飾署の近くに置いてあるのだろう。

行動に移したものの地面にも火が点いている中、火を避けながらくまなく探したが、どれも民家が燃えていて近づくことができないでいた。
仕方なく諦めて立ち去ろうとした時だった。
まだ燃えていない民家を見つけ、移動をする。
来てみたら赤い痣の男の荷物が燃えていない民家の近くに放置していたのだ。

(奇跡と捉えるべきか)

偶然ではあるがこの民家に火が燃えていないことは幸運であろう。
一歩間違えれば赤い痣の男の荷物共々、燃え尽きていただろう。

(この場にはもう用はない)

今のこの様で他の参加者と会わなかったのはこれまた運が良かったかもしれない。
赤い痣の男の荷物を回収したJUDOは速やかに葛飾署へと戻って行った。





葛飾署の中に入ったJUDOは休息をとる前に使える道具がないか探索した。
結局、どこを探しても武器らしいものがなく、半明きになっている所があったが誰かが既に武器を取ったのだと推測できる。
収穫があるとすれば更衣室のロッカーでレインコートを見つけたことだけ。
次の放送までしばらくの間、雨が降り続けるから傘やレインコートがないと風邪を引いたり、熱があったら戦いに支障が出る。
移動の時はこれを着ていこう

探索を終えたJUDOは署長室に入り、腰を下ろした。
早速、赤い痣の男が放置した荷物の確認をすることにした。
最初にデイバックから発見したのはJUDOが驚愕せざるを得ない物だった。

「これは大当たりなのか?」

取り出したのは時計の模様をした赤色と青色の風呂敷だった。
ハズレの支給品かと思ったが、説明書によると風呂敷を被せると赤が表なら物や人が古くなり、逆に青が表なら新しくすることができるらしい。
これが本当ならディケイドライバーを修復できるかもしれない。
ディケイドライバーを直す道具が見つかるまで他のライダーの道具を使わざるを得ないと思っていたが、こんなにも早く見つかるとは。

「試してみるか」

騙されたと思ってディケイドライバーの残骸に赤色を表に被せ、包み込むと秒針音が響いていた。
一分もしない内にチクタクする音が鳴りやんで、風呂敷を広げてみるとディケイドライバーが破壊される前の状態に修復されていた。
タイムふろしきの効果が本物だと確信したJUDOは刀部分が折れていたライドブッカーを風呂敷にディケイドライバーと同様のことをして、刀部分が折れる前の状態に戻った。

「これで我の戦いの楽しみを取り戻すことはできた」

ディケイドライバーを破壊されたときは絶望感が襲ったが、プライドの高さとディケイドライバーを切り捨てず修復できる可能性を賭け、諦めなかったことが奇跡に繋がる事ができた。
しかし、タイムふろしきの使用は3回に制限されており、残りの1回はまたディケイドライバーを破壊されたときに取っておこう。
勿論、二度も同じ轍を踏まないよう、今まで以上に警戒はするが、万が一のためだ。

49ディケイドリベンジャー-cry baby- ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 22:11:08
ディケイドライバーも元に戻り戦う力を取り戻せたのはよかったが、問題は未だに疲労が回復しきっておらず、戦う体力が少なすぎることだ。
よって、しばらくの間は休憩しながら他に使える道具がないか調べる。

今後はディケイドの力を一辺倒にせず、いざというときに他の道具を使う。
参加者の道具も回収することも決めた、敵に戦力を与えないために。
最初に出会ったリオン・マグナスの道具の回収をせず放置したのは勿体なかったと今更ながら思う。
デイバックから色々と取り出すと警棒は使えるか怪しいがトビウオという乗り物はJUDOの現在地を考えると移動手段として使えるが雨が降ることやいつまでも飛んでいたら目立って不意打ちが待っているから余り使用は控えるべきだ、アクションストーンは使う度に体力を消耗するらしいのでトビウオと同様、控えるべきだろう。
最後の一つは賢者の石で説明書を見たら体力を回復したいJUDOが望んでいた物で何度目になる奇跡が起きていた。
すぐさま賢者の石を使用し、身体の傷が治り、疲労もかなり取れた。
賢者の石は放送毎に一回しか回復できないらしい、次の放送後になるまでは回復は不可能だ。

「ここまで何度も奇跡が起こるとは偶然か?」

二回目の放送が始まってから誰とも会わず、痣の男の荷物を取ったおかげで修復できる物と回復できる物をあっさりと手に入れた。
これまでの運を、奇跡を立て続けに起こっていた。
少々、都合が良すぎるかもしれないが、出来すぎていると。
そんなことはもう考えないでおこう。

支給品の確認と試しが終え、今後の行き先を選択する。
風都タワーにもう一度行くが、自分が来る頃には仕留められなかった連中は既にいないだろうが、誰かが入れ違いでくるかもしれない。
参加者がいてもいなくても西か東のどちらかに行くことは変わらない。

今すぐにでも戦いを愉しみたいが、もう少し、休憩しながら雨で火があちこちに消えるのを待つのと特に赤い痣の男との戦いでの頭を冷やさなければならない。
JUDOは疲れているにも関わらず、撤退を選択せずに戦いたい本能やプライドの高さが相まってこのような顔末になってしまった。
二度とこんなことにならないよう疲れているときは、癪ではあるが撤退を必ず選び、きちんと自制することを決めた。
これくらいできないとすべての参加者を始末するのは夢の夢になる、両面宿儺も放送で呼ばれなかった所をみると小学生の体でも上手く立ち回っているだろう。
今のJUDOの身体は異形ではない、人間だ。
人間の身体とはいえ、JUDOはどん底まで落ちて、井の中の蛙で世界は広いことを知った。

「痣の男に人間共、餌ではなく、敵として殺す。貴様らに負けない。これが我のリベンジだ。」

改めて、人間を敵と認識し、もう油断も隙も作らない。
特に屈辱と侮辱をした痣の男だけは絶対に自分の手で殺す、奴との戦いに負けて、屈辱を受けただけでなく、ディケイドライバーを壊し、逃走した行為は侮辱以外にない。
奴と再び遭遇次第、仮に命乞いしたとしても二度と許さない、完膚泣きまで勝利する。
そうこうしている内に雨はとっくに降っていた。

JUDOはデイバックからコンビニ弁当を出して食事にする。
そういえば何も食べていなかった、とJUDOはゲームが始まって初めての食事を取る。



【E‐4 葛飾署/日中】

【大首領JUDO@仮面ライダーSPIRITS】
[身体]門矢士@仮面ライダーディケイド
[状態]負傷(小)、疲労(小)
[装備]ディケイドライバー+ライドブッカー+アタックライド@仮面ライダーディケイド
[道具]基本支給品×5、賢者の石@ドラゴンクエストシリーズ、警棒@現実、アクションストーン@クレヨンしんちゃん、トビウオ@ONE PIECE、タイムふろしき(残り使用回数:1回)@ドラえもん、精神と身体の組み合わせ名簿×2@オリジナル、レインコート@現実
[思考・状況]
基本方針:優勝を目指す。
1:闘争を楽しむが、今はまだ休息を取りながら火が収まるのを待つ。
2:その後、風都タワー行き、誰かがいれば闘争を楽しむ。
3:2がいてもいなくても西か東どちらかに向かう。
4:改めて人間どもは『敵』として殺す。
5:屈辱と侮辱をした痣の男(ギニュー)は絶対に絶対に絶対に絶対に殺す。
6:宿儺とは次に出会ったら、力が戻った・戻ってないどちらにせよ殺しあう。
7:疲れが出た場合は癪だが、自制し、撤退を選択する。
8:優勝後は我もこの催しを開いてみるか。
[備考]
*参戦時期は、第1部終了時点。
*現在クウガ〜響鬼のカードが使用可能です。



【タイムふろしき@ドラえもん】
元は鳥束零太に支給
時計のトレードマークのふろしきで、赤色を表に被せると古い人・物の時間を巻き戻すことができるが、青色を表に被せると新しい物の時間を進行することができる。
本ロワでは制限により、使用回数は3回までとする。

50ディケイドリベンジャー-cry baby- ◆2fTKbH9/12:2022/10/02(日) 22:16:04
仮投下を終了します。
不安があるので意見をお願いします。

51名無しさん:2022/10/05(水) 00:54:10
お久しぶりですPlsです。
今回、私が執筆した『不殺の刃』について炭治郎の記述が少し足りなかった、かつ文章に矛盾があるのではと思い、予約される前に描写を追加しに参りました

それではどうぞ

貴方の剣を…ヒノカミ神楽として受け継いでおきながらこの過ちは許されない

の後から追加します


俺はもう鬼殺隊を名乗る資格はもうありません。貴方は追放されてしまったけれども、十分資格があるというのに
貴方の記憶はギニューがヒノカミ神楽を知る為に大きな力になりました
ですが、この記憶は、見たくはなかったというのが正直な想いです。
先祖から受け継いだ想いを裏切ってしまった事に自責の想いに押しつぶされそうになってしまうから
そして、生きるのをあきらめないで欲しいって想いが…伝わってきてしまったから

…そう、実を言うとこの記憶は炭治郎の想定していた物ではなかったのだ
当然である。この記憶は本来元々いた世界で炭治郎だけで知る事になるはずだった記憶だったからだ
ならばなぜこの記憶はあのタイミングで現れたのか?
…もしかすると、炭吉は、炭治郎の先祖達は願ったのかもしれない、どんなに罪の意識に苦しんでいたとしても
この戦いで死なないで欲しい、と
果たして見せられた記憶が日輪の耳飾りをしている男…縁壱が自らの罪で苦しんでいた時に竈門家の出会いで再び希望を取り戻せた時の物であったのは偶然だろうか?

…炭治郎は死にたがっていた、それは事実だ。
だが炭治郎は託された想いを無視する事など彼にはできない
そう、本来はあの時、響鬼の音撃によって気絶した時にそのまま剣で殺されていれば死んでいたはずなのである。
…だがその先祖からの想いを受けて、彼は目を覚ます事を、現実と戦う事を決めたのである

それに、炭治郎はもう一つやりたい事があった
それは、仲間への今の自分の状況を知ってもらう事である
もしこのまま自分がギニュー事死んだとする
そうなった時に…俺の身体がどのように会場で動いていたのかもし自分の仲間である善逸や悲鳴嶼さんやしのぶさんが知ったらどう思うだろうか
刀の様子や生き残った人…タワーにいた3人から自分が殺人者である事は把握されると思う
それでも良い、紛れもない事実だから
問題は俺の身体がなぜ人を殺したのか考察される時間を使わせてしまう事だ。
俺の肉体をそこまで気にかけてもらっては欲しくない、そのような時間があったら少しでも人を護る為に剣を振ってほしい

だから、少しでも接触して今の状況を知ってもらって…その後に
出来るのならば、今の俺を断罪してもらいたいな…善逸は嫌がるかもしれないけど、
悲鳴嶼さんやしのぶさんならやってくれる
そしてそれが鬼滅隊の誇りを守る事にもつながるはずだ

後、あの茶色い女の子も俺を断罪する資格がある人だ
俺を殺して仇を早く討ってほしい、あの結城さんという人の仇を

だが問題はこの男がこれからどう動くかだ
相手を殺せないと分かった以上、コイツはボディーチェンジをする事でまた別の人の身体に乗り移って殺しを再開する気だ
そうなる事で俺の身体は人を殺さないようになるかもしれないけどそうなると今度は他の人の身体が…!!
他の人には俺のように罪を背負う苦しみは味わって欲しくない…!!絶対に止めたい、けど…感覚で分かる、今の俺ではそれに干渉する事は無理だ…!!
だから、それについては相手が避けてくれる事を信じるしかない…
でももしいい人に乗り移られたら記憶を伝えてサポートしたいな
もし殺しに乗ってる人だった場合は…また干渉して封じ込めるしかないな
…今ボディーチェンジされたの時の事考えてどうするんだ!!今大事なのはコイツを封じ込めるように努力する事だろ!!しっかりしろ炭治郎!!

次に考えたのは…先程倒したあの男である。
正直本当に強すぎたと彼は思った
万全の状態だったら響鬼にならずとも俺の事を殺せたと思う
…一応変身アイテムを壊しておいたとは言え、あのまま放置して逃げて良かったのか、もう少し粉々にしておくべきだったのか…
もし万が一修復された上、万全で襲われたら次は…!!仲間に会うまでは死ぬわけにはいかない以上ギニューに干渉して逃げさせるしかないかもしれないと考えた


ここで突然だが今のギニューの状態について補足させてもらおう
もし今のギニューが誰かに襲われた場合、頭痛がないままで戦える、〇か、Xか?
答えは〇だ
いくら何でも敵を迎え撃つことまで干渉するつもりはないし、そこまで緩んでいるわけではない、勿論、その中で相手に殺意を向けたら別だが、自己防衛の為にぶちのめして気絶するまでは普通に可能である。

52 ◆P1sRRS5sNs:2022/10/05(水) 00:55:24
続きです。



改めて炭治郎の思考に話を戻そう

もう一人考えなくちゃいけない奴もいる、鬼舞辻無惨だ

奴は今どんな身体を使っている…?場合によっては最大の脅威にもなるし、罪のない人の身体を使っていたのならば最悪だ…殺す事なんて出来ない…!!
その時炭治郎は思いついた事がある。
それは、あえてギニューにボディーチェンジをさせて、自分の身体を無惨に明け渡したうえで即座に斬る
…駄目だな、そうなると今度はギニューが野放しだ、でも無惨の方が脅威度は高いか…?
とりあえず無惨の状態は早めに知っておきたいな


…ここまで炭治郎は考えていて
ふと思ったことがある
今のこの俺の状況を…ボンボルトとクウスケという奴等はどう思ってるんだ?と
殺し合いという邪悪な催しを開いている奴等の事なんて考えたくもないけど…ここまで俺がギニューに干渉しているのを黙って指をくわえて見ているのか?
…そして、もしそれに対して対処してくるとしたら
















奴等はどうやってこの身体に干渉してくるんだ?

…今それを考えるのはやめよう!!とりあえずギニューを止める為に全力を尽くすんだ!!
例え身体を取り戻す事は無理だとしても…

いや

さっきから断罪してもらう事しか考えてなかったけど

もし自分の仲間に会えて

皆の応援があったら…もしかしたら…




そんな奇跡、起こりえるのだろうか?
そしてその奇跡は許される物だろうか?
もし許されない場合炭治郎はどう思うだろうか?

…彼はどこまでも善人であった(もちろん人間だから全く悪い所が無いわけではないが)
そんな彼は悪人に身体を支配された結果
阿鼻地獄に等しい苦しみを受ける事になった。
この苦しみは炭治郎を死にたいと思わせるには充分であった
だが先祖の想いを受けて、最善を尽くすまで生きる事を決めたのだ。罪悪感の炎に焼かれ続きながら

果たして彼の想いが報われる時は来るのだろうか?




また、状況表にも追記します。

6:これ以上お前(ギニュー)の願いの為に人は殺させない!!
7:何とか仲間(善逸、しのぶ、悲鳴嶼)に出会って…罪を裁いてもらう
8:主催の奴等は今の俺をどう対処してくるのか…!!
9:身体を取り戻す事は難しくても絶対にあきらめない!!
10:あの茶髪の人がベルトを直して回復してやってきたら…逃げた方が良いかもしれないな
11:茶色の女の子さん…結城さん…本当に申し訳ございません。
12:無惨を警戒、どんな状態か早く知る必要がある!!
13:禰豆子…本当にごめんな…もう俺はお前の兄を名乗れない…鬼殺隊の皆さんにも…俺は泥を塗ってしまった…
[備考]
※参戦時期はナメック星編終了後。
※ボディーチェンジにより炭治郎の体に入れ替わりました。
※全集中・水の呼吸、ヒノカミ神楽をほとんど意識して使えるようになりました。
※隙の糸、透き通る世界が見れるようになりました。
※竈門炭治郎の精神がボディーチェンジを受けた時に目覚めていました。
※現在、ギニューは炭治郎の干渉により人を殺すことが出来ません。これは精神が人の場合も同じであり、精神と肉体が人間ではない無惨、貨物船、デビハムくん、ホイミン、メタモン以外と戦う時は炭治郎の声が頭に響くと同時に頭痛がしてしまい、碌に戦えません
他にも、肉体が人外で、精神が人の場合でも、精神が人外に浸食されている時は頭痛が止む可能性があります。
この今の状態でも普通に戦える相手がいる事をギニューは気が付いてません。
※ボディーチェンジは普通に使用が可能です。ただし失敗すると炭治郎の干渉が強くなり、上記の干渉の内容が変化する可能性があります。ですが、完全に身体を奪え返す事は出来ないようです
※現在相手が襲い掛かってきた場合、迎撃をする事は可能です。ただ、殺意を向けた場合は頭が痛くなります。


以上の文を追加して、よろしいでしょうか?

53 ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:53:10
仮投下します

54消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:54:44
「仗助君の身体に入ってるのは犬飼ミチル…名前からして女の子かな?」

広瀬康一は、名簿を見ながら呟く。
今彼が見ているのは、精神と肉体の組み合わせが記された特別な名簿。
両面宿儺…いや、関織子から提供されたものだ。
ちなみに宿儺に奪われたウォッチについては、織子さん経由なら少しは聞きやすいと思ってそれとなく尋ねたところ、なんと宿儺が襲撃者―その特徴からおそらくメタモンーに、渡してしまったらしい。
抗議したかったものの、それで宿儺の機嫌を損ねて織子に危険が及んではたまらないので、押し黙った。

(ゲンガー君が言ってた、『精神と肉体はなにかしら共通点がある』ってのをふまえると…仗助君のスタンド能力みたいに、回復能力を持ってるとかかな?)

康一の脳裏にはRPGによくいるローブに身を包んだ僧侶の姿が浮かんだ。

(あるいは…見た目がヤンキーっぽい人だったりして)

ヤンキーっぽい見た目の女性を想像して康一の脳裏に浮かんだのは、どういうわけか由花子だった。
いや、付き合う前のあれこれを考えるとね?
恋人への失礼な想像を頭を振ってすぐに振り払う。

(承太郎さんの肉体は燃堂力…知らないなあ。メタモンの肉体は神代剣)

燃堂力…名前的に念動力を使えたりするエスパー少年だったりするのだろうか。
スタンドもある意味エスパーみたいなもんだしなあ。
そしてメタモン。
ゲンガーの話によれば、この個体のポケモンは、『へんしん』を唯一の特徴とするらしい。
ゲンガーがそうであるように、ポケモンの頃の能力は使えなくなっているのだろうが…自分たちが出会ったメタモンは死人に化けてみせた。
あれは、この神代剣の能力だったのだろうか。

(そして何より気になるのは…DIOの肉体。ジョナサン・ジョースター)

康一はDIOについてそこまで詳しく知っているわけではない。
ただ、その存在は承太郎やジョセフ…ジョースター一族にとって深い因縁のある相手だということくらいは聞いている。
そのDIOに、ジョースター家の…承太郎さんたちの一族の身体が奪われている。
漠然とした不安を感じずにはいられない。

「ありがとう、織子ちゃん、これ返すね」

組み合わせ名簿を見終えた康一は、名簿を返そうとする。

「待って、一応グレーテさんにも見せてきたらどうかしら。言葉は通じなくても、知り合いの名前があったら何かしら反応があるかもしれないし」
「それもそうか、じゃあ…」

康一は立ち上がってグレーテのもとへ向かおうとして…

放送を告げるチャイムが鳴ったのは、その直後だった。

55消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:55:22
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「そ、そんな…カイジさん、ロビンさん、エーリカさん…!」

放送を聞いた康一は、その場でガクリと膝を折った。
この殺し合いが始まってすぐに出会い、別れた5人の仲間。
その内の3人が、放送で呼ばれた。
つい数時間前まで一緒にいた仲間の半分以上が、死んだ。
特に、カイジの死は康一に強くのしかかる。
メタモンの襲撃後、別行動を取ると言って別れたカイジ。
あの時、無理やりにでも止めていれば、少なくともカイジは死ぬことはなかったのではないか。
そんな後悔に、とらわれる。

「康一さん…」

そばにいた織子は、どう声をかけたらよいものかと逡巡する。
しかし、すぐに心を決めた彼女は、自分の心のうちに潜む住人へと呼びかけた。

(…宿儺さん)
(それがこの男の笑顔に繋がるというのなら、好きにしろ)
(ありがとう)

宿儺の了承をもらった織子は、康一に声をかけた。

「…康一さん、行きましょう」
「織子ちゃん…?」
「まだ、仲間がいるんですよね。だったら、手遅れになる前に動かないと!」

織子の言葉にハッとする。
そうだ、確かにカイジも、ロビンも、エーリカも死んだ。
だけど、病院へ行くために別行動を取った神楽や、ロビンやエーリカと一緒にいたゲンガーはまだ生きている。
特にゲンガーは、ロビンやエーリカを死に至らしめた事件の渦中にまだいる可能性もある。
急いで、合流しないと。

「織子ちゃん、僕、名簿を見せるついでにグレーテさんに出発すること伝えてくるよ!」

気を取り直して立ち上がった康一は、そういって部屋を出た。

「あっ…私も一緒に行ったほうがいいかしら」

グレーテはひとまず落ち着いたとはいえ、まだその精神は不安定なはずだ。
自分には心を許してくれていると思うが、康一に対してもそうかは分からない。
そう考えた織子は、康一の後を追おうとして、


「え?」


突然、視界が暗転した。

「え?なにこれ?」

辺りは真っ暗闇で、何もない。
何も見えない、聞こえない。

「宿儺さん!?」

両面宿儺に呼びかけるも、反応がない。
突然の事態に織子が困惑していると、

「申し訳ありませんが、関織子。あなたはここまでです」

そんな言葉と共に、彼女の意識は急速に薄れていき、やがて完全に消えた。

「さようなら、織子。そして、『また会いましょう』」

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「おい、小娘!?おい、返事をしろ!」

両面宿儺は、自分の中に眠っているはずの少女に呼びかける。
先刻、周囲が暗転してボンドルドが姿を現し「申し訳ありませんがここまでです」と言ったかと思うと、こちらの意図とは関係なく強制的に肉体の主導権が宿儺に移った。
そして、裏に引っ込んだはずの関織子の意識が…完全に消失していた。
呼びかけるも、応答はない。

「ボンドルド…あの男…!この俺を虚仮に…!やってくれたなあ…!」

56消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:56:53
【C-5 村(春の屋)/日中】

【両面宿儺 @呪術廻戦】
[身体]:関織子@若おかみは小学生(映画版)
[状態]:満腹、ボンドルドへの怒り
[装備]:カブトゼクターとライダーベルト@仮面ライダーカブト 特級呪具『天逆鉾』@呪術廻戦
[道具]:基本支給品x3(メタモンx2)、魔法の箒@東方project 魔法の箒@東方project 桃白白@ドラゴンボール(身体:リンク@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド)の死体、ケロボール@ケロロ軍曹 精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、撮ったものが消えるカメラ(残り使用回数:1回)@なんか小さくてかわいいやつ 魔神の斧@ドラゴンクエストシリーズ
[思考・状況]基本方針:主催は鏖殺。その他は状況による
1:厄介なことになった…どうする…?
2:JUDOと次出会ったら力が戻った・戻ってないどちらにせよ殺し合う
3:脹相……あの下奴か。どうでもいい
4:縛りにより虫けら(グレーテ)はとりあえず生かす。下奴(康一)はどうでもいい
5:コイツ(天逆鉾)の未確認の効果を試してみたい。(首輪など)
6:はー、めんど
[備考]
※渋谷事変終了直後から参戦です。
※能力が大幅に制限されているのと、疲労が激しくなります。
※参加者の笑顔に繋がる行動をとると、能力の制限が解除していきます。
※関織子の精神を下手に封じ込めると呪力が使えなくなるかもしれないと推察しています。
※関織子の精神が消失しました。呪力がどうなったのかは次の投下にお任せします。
※デイパックに桃白白@ドラゴンボール(身体:リンク@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド)の死体が詰められています。
※組み合わせ名簿から脹相がいるのを知りましたが、特に関心はありません。
※天逆鉾の効果で仮面ライダーへの変身ツールに故障を与えられることを確認できました。
※参加者の肉体に呪霊やそれに類する存在がいる可能性を考えています。またその場合、首輪に肉体の力を弱める術式が編まれていると推測しています。

57消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:58:09
【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険】
[身体]:エレン・イェーガー@進撃の巨人
[状態]:吉良吉影の死に対する複雑な感情、背中に複数の打撲痕及びそれによる痛み、両面宿儺に対する戦慄
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、タケコプター@ドラえもん、精神と肉体の組み合わせ名簿@チェンジロワ
[思考・状況]基本方針:こんな殺し合い認めない
1:グレーテを呼んでくる
2:両面宿儺を強く警戒。でも下手に逆らって織子ちゃんに危害を加えられたら…
3:神楽さん……無事を祈っています。
4:まさか吉良吉影が死ぬなんて…しかも女の子の身体で…
5:仮面ライダーの力が無くなった分も、スタンドの力で戦う
6:いざとなったら巨人化する必要があるかもしれない。
7:メタモンにまた会ったら絶対に倒さなくては!
8:メタモンが僕らの味方に化けて近づいてくる可能性も考えておかなきゃ
9:皆とどうか無事に合流出来ますように…そして承太郎さん、早く貴方とも合流したいです!
10:DIOも警戒しなくちゃいけない…ジョースター家の人間の肉体を使ってるなんて
11:この身体凄く動きやすいです…!背も高いし!
12:仗助君の身体を使ってる犬飼ミチルちゃん…良い人だと良いんだけど…
13:吉良吉影を殺せるほどの力を持つ者に警戒
[備考]
※時系列は第4部完結後です。故にスタンドエコーズはAct1、2、3、全て自由に切り替え出来ます。
※巨人化は現在制御は出来ません。参加者に進撃の巨人に関する人物も身体もない以上制御する方法は分かりません。ただしもし精神力が高まったら…?その代わり制御したら3分しか変化していられません。そう首輪に仕込まれている。
※戦力の都合で超硬質ブレード@進撃の巨人は開司に譲りました
※仮面ライダーブレイズへの変身資格は神楽に譲りました。
※放送の内容は後半部分をほとんど聞き逃しています。具体的には組み合わせ名簿の入手条件についての話から先を聞き逃しています。
※元の身体の精神である関織子が活動をできることを知りました。
※アナザーウィッチカブトは宿儺に無理やり奪われました。

【グレーテ・ザムザ@変身】
[身体]:スカラベキング@ドラゴンクエストシリーズ
[状態]:睡眠中、満腹、スカラベキングの精神復活
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本方針:生きて帰れたら、兄に謝罪したい
1:……ZZZ
2:オリコ……ワカオカミ……この小さなjapanischMadchenが私を助けてくれた…
3:オリコの血…とても美味しくて……何だか良い気分だったわ…
4:私はグレーテ・ザムザ。心まで怪物になったわけではないわ
5:グレゴール兄さん……私、兄さんに謝らなくてはいけない…
5:キュイイイイイイ!!!(ニンゲン!!!)
[備考]
※しっぽ爆弾は体力を減少させます。切り離した腹部は数時間ほどで再度生えてきます。
※デイパックの破れた傷が広がっています。このまま移動し続ければ他にも中身を落とすかもしれません。
※血の味を覚えました。
※吉良吉影を殺したのは軍服姿の大男(犬飼ミチル)だと思い込んでいます。
※放送の内容は後半部分をほとんど聞き逃しています。
※広瀬康一を絵美理と同種の危険な存在と認識しています。
※織子により、ひとまず落ち着きました。(体が毒虫でもグレーテであると自信を持ちました)
※スカラベキングの精神が復活しました。
※脳内にスカラベキングの声が時折響きます。ただし、グレーテはまだ、それがこの身体の持ち主の声とは思っていません。
※織子の血を吸った際、宿儺の持つ呪力が身体に混ざりこんだ可能性があります。

58消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 09:58:49
「両面宿儺に宿る精神…関織子の封印ですか?」

時間を少し遡って、場面はこの殺し合いの主催者たちが集う場所。
放送が終わった後、斉木空助はボンドルドにそのような提案をした。

「ああ、他はともかく、彼女については早急に対処した方がいいと思うよ。『ボス』にも進言して、許可をもらってる」
「確かに彼女は、宿儺によって自分の意思で身体を動かせるようになっている…厄介ではあると思いますが…」
「別にそれだけなら俺も放置しておいていいと思うよ。でもさ…彼女、それ以上に厄介かもしれないんだよね」
「ほう?どういうことでしょうか?」

空助の言葉に、ボンドルドは興味を示す。
空助は、話を続ける。

「これまでに起こった精神の復活…想定外なことはあったけど、原因自体ははっきりしてるものがほとんどだ。宿儺やエボルトは固有の能力で、ギニューもボディチェンジの綻びといった感じでね。だけど、いくら調べても原因が見つけ出せない存在がいる。…ン・ダグバ・ゼバの肉体の櫻木真乃、グレーテ・ザムザの肉体のスカラベキングだ」

ダグバにもグレーテにも、肉体の精神を復活させるような能力などない。
肉体側の真乃やスカラベキングにも。
それなら何が原因なのかと空助は考え…視点を内ではなく、外に向けた。
原因が内側ではなく外側にあるのではないかと。
そうして目をつけたのが…関織子だった。

「ダグバは、織子ちゃんの精神が復活した後の両面宿儺と接触した後、唐突に肉体の精神を復活させた。グレーテさんも同様だ」
「つまり、織子の精神の復活が、感染するように周囲の参加者に精神の復活を促していると?」
「推測とはいえ、状況的にはそう考えざるをえない」
「…ふむ、あなたの考えはよく分かりましたが、しかしそれならば、彼女を宿儺ごとこちらに転送して調査するべきではないですか?」

ボンドルドとしても、もし本当に関織子がそんな特殊な体質を持っているというのなら、手元において調べたいところだった。
故に、封印するよりは調査をするべきではないかと意見を出す。

「おいおい、まだこの殺し合いは中盤に入ったばかりだ。そんな状況で、殺し合いを円滑に進めてくれそうな強力な駒を舞台から追い出すのは、あまりいい手とはいえないんじゃないかな」
「…分かりました、彼女については今から出向き、手を打ちましょう。その代わり、こちらも一つ頼みごとをしてよろしいでしょうか」
「なんだい?」
「あなたの知り合い…鳥束零太の肉体を、使わせてほしいのです」

59消失と再誕の若おかみ ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 10:00:14
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

「ほ、本当なんですか、ウリ坊や美陽ちゃんと会えなくなるって!」

紫の髪に、白いバンダナの男は、涙目で言った。
その姿はこの殺し合いにも精神側で参加し死亡した鳥束零太のものである。
しかしそこに潜む精神は、これまでの例にもれず別人のものだ。

「はい、『関織子』さん…あなたの霊界通信力は非常に不安定で、このままではあなたが小学校を卒業する前にその力は失われ、お友達のユーレイとは永遠に会えなくなってしまうでしょう」

鳥束零太…いや、その中に入っている関織子に声をかけるのは、穏やかな語り口で話す仮面の男。
ボンドルドである。

「そんな…なんとかならないんですか!?」
「今あなたが入っている肉体の男性は、霊能力者…あなたの霊界通信力とよく似た力を、あなたより安定した状態で使うことができています。私の研究が実れば、あるいはなんとかすることができるかもしれません」
「ウリ坊や美陽ちゃんと…お別れしなくていい?」
「はい、あなたが私の研究に協力してくれれば。お願いできませんか?」

穏やかに研究への協力を求めてくるボンドルドに、織子は俯く。
そして、顔をあげると言った。

「…約束してください、私や私が今入っている男の人を、ちゃんと無事に帰すって」
「…ええ、それはもちろん」
「それなら…協力します」

織子はそういうと、「よろしくお願いします」とぺこりと頭を下げる。

「ありがとうございます」

ボンドルドは、変わらない穏やかな口調で、礼を言った。

(『完全な霊能力の肉体』と『不完全な霊能力の精神』…異なる世界の、似て非なる力が混じりあった時、どんな可能性が生まれるのか…見せてもらいましょうか)

仮面の下の瞳に、怪しい輝きを隠しながら。


【追加主催陣営】

【関織子@若おかみは小学生(原作版)】
[身体]:鳥束零太@斉木楠雄のΨ難
[備考]
※殺し合いについて説明を受けていません。
※参戦時期は少なくともウリ坊や美陽に会えなくなることを聞かされる前です

60 ◆OmtW54r7Tc:2022/10/30(日) 10:02:29
投下終了です
宿儺側のおっこ精神消失だったり、主催側に動きがあったりと色々あるのでこちらに投下させていただきました
問題がないようなら本スレに投下します

61(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:24:05
タイトル以外はまとまったので仮投下させて頂きます。本投下時は改題予定です。
先日の本スレと議論スレの書き込みにつき、13日(日)まで御意見を募集した後で仮投下するように読めてしまってますね。このことを踏まえ、本投下は14日以降の予定です。

62(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:25:04
下水道の床は、ごくごく緩やかな下り勾配となっていた。南西側が上で、北東側が下になる形の勾配だ。
少なくとも、E-6でミチルたちが魔王に襲われた辺りから、D-6の境界辺りまでは。

「…………………は?」

衝動に突き動かされた耀哉は、地上までの距離がより長くなる深い場所へと無意識に突き進み、ミチルと共に、T字路の|と―が交わる箇所に行き当たる。
左右には果ての見えない下水路が続く。後方は今まで北上してきた下水路があり、前方は壁だが、地上に出るための整備用のハシゴだけがある。
耀哉が正気を取り戻した場所は、そのような構造をしていた。



「…え?」

身体が震える。寒気ではない、あまりのおぞましさと己の不甲斐なさに。

「ここは……どこだ…?君は…?
 私は……何をした……?何を、したんだ……?」

見知らぬ場所、見知らぬ人。分かっている。分かるしかない。認めたくないが、人として絶対に許せざることをやったとしか思えない。

(この身体が御しれなくなり、シロのように誰かを襲った……!)

悪臭に満ち満ちた、ここはおそらく廃水用の水路。足元には支給されていた乗り物。
目の前には、片目が潰れた上に傷だらけの青年、変わった髪型の、知らない青年。刀を持っている。呆然とした様子で、こちらを見ている。

「何を、って……!! ――覚えていないんですか……? ッ!」

何か勘付いたらしい青年は、まるで女性のように腰を抜かして数歩下がり、背後の壁、ハシゴの真横にもたれ込んだ。持っていた刀が床に転がる。
続ける言葉は、極めて限りない正解。

「もしかして、……ときどき記憶と正気を無くして、襲い掛かってくるような、……そんな能力者なのですか、あなたはっ……!?」

目の前のこの彼は鬼ではない。今の耀哉にはそれが感じ取れる。
髪型は奇妙だが、善良で勘が強いだけのヒトだろう。この反応から考えて、おそらく耀哉が襲ってボロボロにしたと思われる。

「……。ああ。鬼を増やす衝動が抑えられない、……らしい。……本当にすまない、私の心が弱かったからだ……!!」

耀哉はその場で勢いよく土下座した。横倒しのマシンディケイダーにも、路面の汚水に一切構わず、身体を伏せ続けたまま尋ねる。

「どうか教えてほしい。ここはどこで、私は、……この身体で、どれほどのことをやってしまったんだい……!?」

63(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:25:54



「ええっと、……頭を上げて下さい。えっと……」

へたり込んだ青年は明らかに口ごもっていた。気を使われているのか、疲れているのか、酷く切り出し方に迷っている風で。
長い思考の末に出た言葉は、「ここは地下の下水道で」という台詞。
座した耀哉が、それだけ聞いた段階で。

――『初めまして、殺し合いに参加している皆さん』

放送が始まった。



地下の下水道では、島の中央のモニターを見ようがなかった。画像を映し出す機器類も全くない訳で、青年と耀哉は座ったまま音声だけを聴いた。
姿の見えない主催の自己紹介を経て、想定外の事態のこと、死亡者の発表。
……途中、目の前の青年は「エルドルしゃん……」と呟いた。明らかに知り合いが襲われて死んだらしい口調だ。
各々の参加者の反応に構わず、ボーナスについて、モノモノマシーンについて、と、放送が進んでいく。
その次の内容は、耀哉にとってはあまりにも重大すぎた。

――『後は、天気の話をしておこう』
  『空をよく見れば分かるだろうが、雲が多く出始めている』

「!?」

――『今から一時間もすれば、雲はこの島全体を覆うことになる』
  『やがては、雨が降ることになるだろう。それもかなりの大雨だ』
  『雨に濡れて風邪を引かないよう、傘なりレインコートなりを探してみたら良いだろう』
  『だがもしかしたら、この雨で火事の勢いも弱まり…やがて鎮火することがありえるかも、しれないな』



「何だと……」

雲が出始めている。雨が降り出す。いずれにせよ極めて重大な情報だった。
いずれ陽光が射さなくなる、あるいはもう射さなくなっている、ということ。自殺を志向する耀哉にとって、最悪の事態でしかない。

――『最後に、私個人の夢を話す』

前を見る、傷だらけの奇妙な髪形の青年が座っている、その真横にハシゴ、ここは地下で、ハシゴを上れば、ひょっとしたら、そうすれば、外は、きっと、空模様次第で、もしかしたら。

――『私の夢は、人とポケモンが本当の意味で共に寄り添った暮らしをする世界だ』

衝動を抑えられない己、この彼と自分は距離を取るべきで、ここは殺し合いの場、手ぶらでは目の前の彼は残せまい、己の物を全て全て託し、この鞄を、いや、鞄以外の全ての物を……!!

「そうだ……!!」

とっさの機転。
支給品を出す時の仕組みが人知を超える物であったなら、支給品を仕舞うときでも同様のはずではないのか、というひらめき。

――『ポケモンというのはとても高貴な生き物だ…』

厳密には2回目の発想ではあった。正確に言えば、この下水道へ逃げ込むときも同じ行動を取っていたのだから。
もっともその頃の記憶は今の耀哉には無く、主観としては初めて気が付いた着想。
それは果たして想像通りだったようで、人を載せて走行できる大きな支給品は、バックパックの中にどうしてか綺麗に収まったのだ。

「この荷物、君に譲ろう。今入れた物のほかに、飲み物と特殊な地図が入っていた、はずだ……!!」

脚を投げ出している青年の膝の上に、バックパックを落とす。

「えっ!?」

――『そんなポケモンと人類の未来を、私はより良いものに変えていきたい』

驚く声が出た俯き顔をまともに見ず、よく分からない内容に突き進む放送を無視して、耀哉は強くハシゴを掴んだ。

64(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:26:45


元々ミチルと耀哉が立っていた下水道の天井、その一部をくり抜いて、ギュッと狭くなった丸いだけの空間が伸びている。
蓋と下水道本体を繋げるだけの、整備用のハシゴが壁にあるだけの細長い空間こそを、人(man)が作業に行き来する縦の穴(hole)、すなわちマンホール(=man+hole)と呼ぶ。



――『それを実現するために、私はこの殺し合いの運営に参加することを決めた』

耀哉の個別支給品は3つだった。
1つ目はマシンディケイダー。2つ目は、とても甘いらしい上に飲めば体力を大量回復するかもしれない、おまけに飲みかけにできない飲み物。3つ目が、2回目の放送後から使い物になるという参加者の身体の配置図、……それが全てだったと思う。
飲み物は、今までどう使ってきたか自分でも分からない。記憶の限り極度に疲労する機会もなく、使う時は1本全部飲み干すしかないという仕様からして、試飲さえしなかった。正気を失っていた頃はどうだろう。人ならざるこの身体で必要だとは思えないけれども。
配置図の方は、おそらくはそのままのはずだ。同梱の説明書通りの代物なら、今まで白紙のはずだろうから。……いや、ひょっとしたら、今までに誰かから支給品を奪ったりしている恐れは、無いとは言い切れないか。

(だが、確かめる時間があるはずもない、時間を浪費して空が曇ってしまったら……)

正直なところ、さっき荷物を渡した青年にとって、本当に役立つ物品なのかどうかも全く不明瞭。
しかし少なくとも耀哉には必要のない物のはずだ。
外が死ねる環境ならば、当たり前だが、余計な物は持たなくともいい。
仮に死ねない環境であったとしても、やはり不要のはずだ。余計な移動手段は周囲に害だし、回復の道具も不要、余計な位置情報を目にした時の反応も、今は考えるだけで恐ろしい。……それを手掛かりに他人を探し回るだろうから。

――『だからこそ、君たちには引き続き頑張ってもらいたい』
  『健闘を祈っている』

ちょうど放送が終わった頃合いに、マンホールを登り切った。
片腕でハシゴを持ったまま、もう片腕で力を込めて頭上の蓋を持ち上げる。おそらく正規の手順とは違う形で、不自然にミシミシと蓋がズレていき、……あっけなく腕先が炙れた。

(……よかった)

この蓋の一枚上が屋外であること。とりあえずこの瞬間は陽光があること。どちらにも安堵を感じた。
今まさにこの瞬間において、死ねる程度の日差しはあると信じたい。即死できない弱さであったとしても。
片腕が少しずつ灼ける苦痛は当然に無視して、蓋を横方向にずらすように力の向きを変えた。ただ顔は下を向く。最期の一瞬まで喋れるように。

「ひどく迷惑をかけて心苦しいが、……遺言を聞いてはもらえないかい。……言い訳がましいが、私が制御しきれなかった、この身体の、本来の主のことを話したい」

傷だらけの青年は、不甲斐ないこちらを見上げてくれている。そのまま、上から言葉を続けた。

「鬼舞辻無惨、という名の、許し難い鬼だ。……奴もまた、殺し合いに巻き込まれている。精神の方は、誰の身体に居るのか分からない。……どんな身体であれ、ここでもまたロクなことはしていないだろう。……千年前から大正の今に至るまで、大勢を鬼に変えて……、凶行を重ねた……、そんな性質の、やつだか、ラ……」

喋るほどに擦れゆく声でここまで話せた頃、ゆるやかに壊れゆく四肢がハシゴを保持し切れなくなった。
落下する。目を見開く青年の顔が、白くかすれるように溶けていく――。



ちいさな落下物がひとつだけ地面ではねて、ちょうどミチルの太ももに飛び込むように転がり込んできた。

(あの人の首輪、ですか……)

壁にもたれ掛かって座ったままのミチルは、譲られたデイパックを左手で抱えたまま、指先だけで首輪を摘み上げて、また真上を見上げる。
蓋がズレきって丸く見える穴の、遥か上。雲が、空を全て覆いつつあった。
ミチルには鬼の消え方について知識がある訳では決してないけれど、もうこんな風に曇ってしまったなら、もう十分に日光を浴びることはできないような気がする。……変な言い方だが、滑り込みで何とか自死を選び取った瞬間だったように思えて。

(シロちゃん、エルドルしゃん……)

決して好き好んで彼等を鬼にする人格ではなかったのだ。あの人物は。
思えば、本来話すべき事を、ミチルからは何一つまともに話せなかった気がする。しんのすけが、謝りたがっていた事も、自分が、精神と身体の組み合わせ名簿を持っていることも。
お互いに名乗りもしなかったが、身体の方が「きぶつじむざん」だ、と、最期に言っていた。ならば精神の方の名前は、組み合わせ名簿から分かるだろう。
整備用のハシゴを見上げても、あの人の姿はもう見当たらない。

【産屋敷耀哉@鬼滅の刃(身体:鬼舞辻無惨@鬼滅の刃) 死亡】

65(仮)蓋の名前がマンホールだって最近まで誤解してた ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:27:28
【D-6とE-6の境界 下水道(蓋が外れたマンホールの真下)/日中】

【犬飼ミチル@無能なナナ】
[身体]:東方仗助@ジョジョの奇妙な冒険
[状態]:ダメージ(大)、疲労(極大)、右目失明、左背面爆傷、右肩に裂傷、深い悲しみ(極大)、無力感(極大)
[装備]:
[道具]:ミチルのデイパック(基本支給品×3、ラーの鏡@ドラゴンクエストシリーズ、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、ランダム支給品0〜1)、耀哉のデイパック(基本支給品、マシンディケイダー@仮面ライダーディケイド、ミックスオレ(残り?本)@ポケットモンスターシリーズ、2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル)、耀哉の首輪
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしたくない。
1:……
2:どうしてキョウヤさんが…
[備考]
※参戦時期は少なくともレンタロウに呼び出されるより前
※自身のヒーリング能力を失いましたが、クレイジーダイヤモンドは発動できます。ただし傷の治療は普段よりも完治に時間が掛かり、本体に負担が発生するようです。
※名簿を確認しました。
※第2回放送は音声のみ聴きましたが、最終盤(ハワードが個人の夢を話す辺り)の把握がいまいちです。

※【ミックスオレ(残り?本)@ポケットモンスターシリーズ】は、1本開封して消費し始めると飲みかけにはできない仕様です。残数・回復効果の有無は、後続の書き手に任せます。(鬼化した耀哉が全て飲み切っていた可能性もゼロではないものとします)
※【2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル】は、現時点で第1回放送時点の参加者配置図(身体)となっています。第3回放送開始終了時には一旦表示が消失し、改めて、第2回放送時点の参加者配置図(身体)が表示されます。
※【物干し竿@Fate/stay night】が手元から離れました。現時点でミチルがすぐに拾い上げられる場所に転がっているものの、本人が落としたことに気付いていません。

※下水道の壁のハシゴを登ると、地上に出られます。少なくともこのマンホール穴の真上には、日差しや降雨を遮る物は存在しません。


【2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル】
当該放送時点での全生存者の配置図(身体)が表示されている地図。参加者の写真のみが掲載されており、氏名の記述は無い。(マップの書式は、当企画wiki資料コーナーの現在位置ページの図面に準拠)
第2回放送終了以前は、当アイテムの説明書および白紙が支給されている状態となっていた。
第2回放送終了時に、白紙上に初めて第1回放送時点の参加者配置図(身体)が表示される。次回の放送終了時には従前の配置図が消失し、改めて新しい配置図が表示される仕組み。


【ミックスオレ@ポケットモンスターシリーズ】
ポケモンの体力を回復するとても甘いジュース。おおよその場合、350円で購入可能で、HPのみを70〜80回復する。毒・麻痺・やけど等の状態異常に対しては効果がない。
当ロワにおいては、飲みかけにはできない制限付き。かつ、参加者が飲んだ場合の効果は不明瞭。
つまり、使用する場合、丸ごと1本飲み干すしかない。飲んだ結果、単に美味しいだけの飲料ということが分かるだけかもしれないし、実際に体力を回復するのかも分からない。

66 ◆HAiYMV5uZE:2022/11/08(火) 22:31:42
>>62->>65までで仮投下完了です。御意見頂けますと幸いに存じます。

67 ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:40:56
仮投下します。

68Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:43:53
赤いコートを羽織っている少年、ギニューは川を沿って移動していた。
JUDOとの戦いの後、フリーザの宇宙船に向かうか、放置してしまった荷物を取りに街の中心部に戻るか深刻に悩んでいた。
選んだのは前者で予定通りフリーザの宇宙船に向かうことだ。
後者は戻ったとしても茶髪の男の戦力がなくなったのはいいが問題はその後に妙に聞こえてくる声のせいで止めを刺せず放置してしまったことで今頃、再起している可能性を考え、ギニューの今の状態では諦めざるを得なかった。
それ以外にも一回目の放送以降、街の中心部にいる参加者を狙い続けた結果、余りにも留まりすぎた。
余程のことがない限り、道草している暇はない。

「どうして、どうしてこうなった」

ギニューは苛立っていた。
JUDOの戦いの中で聞こえてくる声のせいで他の参加者を殺すことができないことに。
その挙句、優勝するとか考えると頭痛が出てしまう、これのせいで冷静さを奪われ荷物を放置してしまうミスを犯した。
トビウオや賢者の石という便利な支給品があったのに失う羽目になった。
一体どこで間違えてしまったのか。
言うまでなく妙な声が聞こえた時点で違和感に気付いて、戦闘を中断すべきだった。
そこに気付かなかった時点で泥沼にはまった。

「一刻も早くチェンジしなければ」

干渉されたことでこの身体も使い物にならない。
他の参加者と会うまでそれまでは辛抱するしかない。
重要なのは言葉を喋ることと聞こえてくる声に干渉しないことだ。

またしても背水の陣になったと思っていたら、チャイムが鳴り響いた。

上空に巨大な映像が浮かんだ瞬間、ギニューは頭が真っ白になった。
そこに映っているのは自分が仕えている主の身体なのだから。

「なぜ、フリーザ様の身体が」

見間違えるはずがない、白い肌に紫の光沢をする短い円錐型の黒い二本の角が特徴の容姿。
紛れもなくフリーザ本人の身体だ。
死んだと思っていた主人が生き返っていたのだ、主催者の願いを叶える力はあるのだと再確認できた。
そこはいいが、また新たな問題が発生したと頭を抱えるしかない。

(フリーザ様に何があった?)

当初はナメック星で超サイヤ人に殺されたフリーザを生き返らせるために迷いなくゲームに乗った。
しかし、たった今、状況が変わってしまった。
フリーザの身体が主催者の一人によって奪われていた。
フリーザの精神は無事なのかどうか気になって仕方ない。

(今は放送に集中しよう)

今も動揺は抑えられないが、今は放送を聞くことを優先し、冷静さを取り戻した。
死亡者発表、禁止エリア、組み合わせ名簿、モノモノマシーンなど一回目の放送と同じく重要な情報量が多かった。
荷物を放置してしまったが故、組み合わせ名簿に孫悟空やベジータの身体が誰なのか、そもそもあるかないかの確認が取れなくなった。
モノモノマシーンだってそうだ一応、設置された二ヶ所の施設の名前の把握はできたけど肝心な地図がないと分からない。
妙な声のせいでおじゃんになった。

全ての伝達事項を語った後、フリーザの身体を利用しているハワードという男の映像が消えた。
フリーザの身体を勝手に使っているハワードには怒りがあるが殺気を出してしまったらまた頭痛がするので我慢した。

69Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:45:57
フリーザの精神がハワード達に何されているのか分からないのにギニューはこのゲームが始まってから自分の不甲斐無さに恥じていた。
ギニューは振り返っていた。
ケロロの身体だった頃は他よりスペックの差があったとはいえ、変体天使(姉畑)になすすべなく屈辱を受けた。
それでもフリーザのために諦めなかったことで炭治郎の身体を入れ替えることに成功した。
この身体でやっと参加者を一人殺害に成功し、これからだと思っていたのに干渉されたせいで誰も殺せず余計なことを考えたら頭痛がする始末でボディチェンジ以外は八方塞がりだ。
でも、今はフリーザの宇宙船に行かねばならない。

「そろそろ出発するか」

重い腰を上げ、急いで目的地に辿り着かないといけない。
その時だった、
視界が黒く暗転し出したのは。


「これは何だ?」


ギニューは突然のことで困惑していた。





放送が始まった時刻にて。
ボディチェンジの綻びにより、復活した炭治郎の精神は放送を聞いていた。
鬼殺隊の人達が呼ばれなかったことに安心したが、無惨が健在で油断できないことや改めて結城という男の子の罪悪感がある。

(本当にごめんなさい、結城さん)

放送を聞いてまた胸を締め付けられた。
一刻も早く鬼殺隊の人達や茶髪の女の子に断罪してもらうことを強く心に決めた。
自分の身体でこれ以上罪を重ねないために。

(とりあえず今はギニューの行動を妨害するしかない)

ギニューはフリーザのことで動揺していたけど炭治郎には関係ない。
ハワードの伝達でものものましーんという明らかに殺し合いを加速させるものが導入された。
ギニューはその条件を満たしている。
ものものましーんを使わせないよう干渉するしかないと考えた。

その後、ギニューはあれこれ考え込んでいたが、炭治郎は邪魔をしまくって殺し合いに反対する参加者を守る形にする。
逆に乗っている参加者に会ったら無力化する。
そのために記憶の遺伝を通してギニューに透き通る世界を習得させ、意図していなかったが、ヒノカミ神楽も不完全ながら完成させた。
自分がギニューを封じ込め続けるしかない、誰かが討ってくれるまで。

ギニューが動き出そうとした瞬間だった。


(何だこれは?まさか)


視界が暗黒に染まったのは。
炭治郎は困惑した、唐突すぎる事態に。
何もかも周りが真っ黒になったと同時に嫌な予感がした。

70Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:47:15
「申し訳ありませんが、竈門炭治郎。あなたはここまでです。そして、修正しましょう。」

黒い仮面被った男ボンドルドが現れ、そう言った。
意識が急激に薄れていく中、炭治郎はギニューに干渉したことが間違いで、主催が対策を立てないはずがない。
透き通る世界と不完全だが、ヒノカミ神楽を習得させたのが裏目に出てしまった。
これらが今後、悪行に使われるとなると自分を責めていた。
ギニューに干渉すれば何とかなると思っていたけど、やはり甘かった。
せめて誰かが討ってくれるのを願おう。

(みんな、ごめんなさい。ごめ・・・・)

炭治郎は謝罪をしながら彼の意識は完全に消失した。





「何なんだ、今のは?」

急に視界が暗転したと思ったらボンドルドが現れ、一言だけ告げて一瞬で消えた。
しかも言ったのは自分ではない。
今の身体の竈戸炭治郎に向けられたことだ、答えは一つしかない。

「俺の知らない内に炭治郎の精神が目覚めたというのか。」

放送で最初の伝達で身体側の精神が復活したとか言われていた。
そうなら全部納得できる。
いつから目覚めたのかギニューには思い当たる節はない。
炭治郎の精神が干渉したせいで荷物を放置する原因になったと思うとやるせない。

「ギニューですね。」

聞き覚えのある声が聞こえた。
後ろを振り向くとボンドルドが立っていた。
日輪刀を構えて警戒するが、定時放送と同じホログラムだと察した。
炭治郎の精神が消失したことで厄介な枷は外されていたことに安心した。

「もう知っていると思いますが、初めましてギニュー。私はボンドルド。以後お見知りおきを。」
「貴様、俺に何の用だ」
「警戒なさないでください。私はあなたを始末するために来たわけではないのです。」

ギニューが警戒するもの無理はない。
何しろ仕えている主人の身体を勝手に使用しているのだから。

「ギニュー、私はハワードから伝言があります。」
「伝言だと?」

主催側からギニューに伝えたいことはフリーザのことだろうか。
ハワードからの伝言ならフリーザの精神の安否を知ることができる機会だ。

「単刀直入にお伝えします。『ギニュー、我々と契約したい、主催側のジョーカーとなって役割を果たしつつ、優勝を目指してくれればいい』とのことです。」
「なん、だと・・・・」

ハワードからの伝言はギニューの斜め上を行く驚愕せざるを得ない内容だ。
なぜ自分にスカウトを持ちかけたのか訳が分からないが、心当たりが1つあるある可能性を。

71Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:48:59
「その前に一つ聞きたい」
「はい。何でしょう」
「フリーザ様も言っていたことなのか?」

炭治郎の身体の精神あったのならフリーザの精神だってある可能性が高いじゃないか。
フリーザの意思なら勿論、喜びたかったが、現在、これといった根拠はない。

「さあ、どうでしょう。あなたが役目を果たして生き残れば自ずと真実は見えてきます。」
「あくまであやふやか。」
「ギニューどうしますか?契約して我々の仲間になりますか?」

正直、胡散臭いとしか言えない。
フリーザの身体を勝手に使っているハワード達に怒りがあるが、今でも堪えている。
だが、主催側に移ればフリーザの精神の安否がいずれ分かる日が来る。
ここで断ってしまったらフリーザの完全復活が永遠になくなるかもしれない、どっちにしろ賢い選択をするしかない。

「いいだろう。契約を結ぼう。」
「契約成立ですね。では、優勝を目指して頑張ってください。」
「質問がいくつかあるがいいか?」
「それは構いません。」

契約したのはいいが、ボンドルドに聞きたいことがたくさんある。
まず真っ先に聞くべき疑問がある。

「炭治郎の精神はいつ復活していた?」
「あなたがボディチェンジでケロロ軍曹の身体から竈門炭治郎の身体に入れ替わり、精神復活の綻びが起きてしまってからです。」
「そんな前から」

ギニューは驚愕していた、ボディチェンジした瞬間から既に狂いだしていたことに。
そうなるとケロロの精神も復活していたということになるが既に死亡しており、どうでもいいと直ぐに興味をなくした。
いろは達との戦いまでは干渉して来なかったことが奇跡だ。

「本来なら精神の復活はごく一部の参加者のみのはずでしたが、我々もギニューのボディチェンジのような想定外が発生してしまったのです。」
「俺は今後もボディチェンジを使っていくが、また精神が復活するのでは不安要素だな。」

炭治郎より、強い身体を見つけたと判断できたら入れ替える。
その方針は今も変わらない。
だが、ボディチェンジをしてもまた同じ悪循環に陥るのではと不安でしかない。

「ボディチェンジは修正をさせていただきました。二度と精神が復活できないよう一回発動したら二時間の間発動しない制限をかけました。」
「そうか、なるほどな」

ボディチェンジに制限をかけたのは癪だが、また精神が復活して厄介になるよりはまだいいほうだ。
一度使うと二時間使えないデメリットはあるが炭治郎より強い身体なのか今以上に見極めて判断しよう。

「次に俺がハンターに選んだ理由は?」

ギニューはなぜボンドルド達にスカウトされたのか意味が分からなかった。
実は優勝したら主催を出し抜いて、フリーザの身体を奪還し、完全に復活させるのを考えているのに。
彼らはその事を分かっているかは不明だ。

「理由はハワードから聞かされていないです。私の推測ではフリーザの身体なのかもしれません」
「同情なのか」
「本来なら竈門炭治郎の精神を封印せずに放置するはずだったのです。ところがハワードがある人物に説得して許可を貰うことができました」
「ある人物だと?」

72Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:50:20
「ギニューが我々側のジョーカーにさせるのを条件に決定しました。」

ギニューは初めて知る、やはりまだ姿を現していない主催メンバーがいる。
ボンドルドの口振りからすると主導者だろう。
しかしだ、ハワードが救済されなかったら自分はこのまま詰んだ状況で一歩間違えたら終わっていたかもしれないことを。
同時にハワードの気紛れだと推測する。
どの道、契約を結べばフリーザを完全復活できるチャンスを待つしかない。

「それよりある人物とは誰だ?」
「お答えできません。我々側の質問は禁止事項です。」
「またあやふやか」

主導者辺りの人物を知りたかったけど、ボンドルドは一切、口を開くつもりはないと判断した。
どうにも自分に主催者の情報を共有させる気はないようだ。

「では、お喋りはこれまでにしましょう。今の所、この辺りに誰もいませんが、念には念を入れましょう。」
「俺もフリーザ様の宇宙船に早く向かいたのでな」
「ギニューさんには横にあるデイバッグと首輪をサービスします。」

ギニューは横を見るといつの間にかデイバッグと首輪が置いてあった。
横にあるデイバッグと首輪を拾い上げた。

「このデイバッグはある参加者が荷物と一緒に海に沈んだ時に、首輪も禁止エリアに指定されたD-8にある死体から首輪を取り出し、それぞれ回収した物です。」

首輪はともかく海に沈んだと聞いて一体どうやって荷物を回収出来たのだと引っ掛かっていた。
何はともあれ放置してしまった荷物をボンドルドにリサイクルみたいな形で用意してくれたことは悔しいが感謝だ。

「私はこれで失礼します。今から他の仲間に用がありますので。それではご健闘を祈ります。」

そう言うとボンドルドは消えるようにフェードアウトした。
この場にはギニューしかいなかった。

ボンドルドの言う他の仲間とは関織子で霊能力の実験の件で用があるとのことだが、主催の情報を一切得ていないギニューは知る由もない。


(考えをまとめないとな)

主催側の契約により、ジョーカーになったギニューはこれからの方針や情報を整理する。

すべての参加者を始末して優勝する方針はジョーカーになる以前から変わらない。
そもそも主催側と契約したのはボンドルド達には秘密だが、本心は連中を出し抜いてハワードからフリーザの身体を奪還し、フリーザを完全に復活させることだ。
契約の話を持ちかけた時、運が回ってきたと考えたのだ。
主人の身体を勝手に悪用する時点で返すつもりないと理解しているつもりだ。
他の乗っている奴らが仮に優勝しても真っ正面から歯向かうのは馬鹿のすることだ。
ならば主催側の仲間になる振りをして、隙を伺い、チャンスを待った方が効率的だ。
この殺し合いの最中に炭治郎より強力な身体があればボディチェンジして主催を出し抜く準備をする。

(最も奴らは穴がある。が、油断はしない)

ハワードとボンドルドは身体側の精神の復活は想定外と告白した。後者は一部を除いてと言っていたが。
つまり、主催側は管理が杜撰していることを露呈したようなものだ。
実際、今更ボディチェンジに制限をかけたことがその証拠。
穴がある候補は今の所はそれだけだ、生き残り続けば候補は増えるかもしれない。
勿論、ギニュー自身も慢心をせずに本心を悟られずに上手く立ち回ることだ。

73Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:51:25
次はモノモノマシーンの件だが施設名は記憶したが、当初は地図もなく、場所の把握は出来ないはずだった。
ボンドルドが荷物をおまけで貰ったために場所の特定はできた。

「フリーザ様の宇宙船の近くにあるのか」

地下通路のほうは入り口がわざわざ南東まで行くのは論外。
もう片方の入り口らしき場所は地図にすら載っておらず当然、断念する。
なら、フリーザの宇宙船の近くにある網走監獄に行くほうが手っ取り早い。
フリーザの宇宙船を調べ終わった後にそこに行ってモノモノマシーンを利用しよう。
ギニューは一人殺害していることとおまけで貰った首輪で最低でも二回はできる。

フリーザの宇宙船のルートだが問題が発生した。
Dー2が禁止エリアに指定されてかなり遠回りをする羽目になった。
トビウオがあれば今頃、禁止エリアに指定される前には素通りできたが炭治郎の精神のせいで放置してしまい、面倒なことになった。

ボンドルドが渡された荷物だがリサイクルされたような物なので支給品は一つしかない。
でも、トビウオの代わりとなる物があった。

「トビウオ程性能は少し劣るがないよりはマシだ」

ギニューが出したのはバギブソンというバイクで推定最高時速は400kmを叩き出すほどの高性能だ。
性能の高いバイクなら三回目の放送が始まるまでには宇宙船に辿り着くだろう。

「組み合わせ名簿はおまけで追加してくれないか」

首輪をデイバッグに仕舞い、組み合わせ名簿を探したが代わりのデイバッグにはないみたいだ。
当初から渡されたデイバッグでないと意味がない。
これで孫悟空やベジータの身体があるかどうか知る機会を失った。
誰かから組み合わせ名簿を奪うしか手はない。

(もう軽率な行動や誤った判断は二度としない)

ギニューは反省すべき点がある。
いろは達の戦いの後に直ぐに街の中心部から離れなかったことだ。
あの連中に執着しすぎたせいで炭治郎の精神が邪魔をするようになってしまい、無様な失態を晒した。
いろは達にこだわらなくても宇宙船に行っている間に他と潰し合えば問題なかったのに。
ここはバトルロワイアルその事を再度理解しないと最終的にハワード達に制裁を下して、フリーザの身体の奪還は叶わなくなってしまう。
もし、フリーザの精神が自分の失態を見たら憤慨して、最悪処刑は免れないかもしれない。
そうだとしても最後まで忠誠を貫いて完全復活を成し遂げる。

「これだけ、礼を言う炭治郎。貴様が無駄な行動をしたお陰で透き通る世界は習得して、ヒノカミ神楽という技の存在を知ることができた」

炭治郎の精神が邪魔をし続けたのは腹が立つが嬉しい誤算もある。
透き通る世界を意図しない方向で使えるようになり、ヒノカミ神楽もこんな形でこの技の存在を知った。ついでに超スピードも。
後はヒノカミ神楽を完全に使いこなせるようにする。
記憶で見た限り、別の痣の男はあれが完成された技を披露していた、つまり、今のギニューのヒノカミ神楽はまだ不完全だ。
次に遭遇する参加者と戦闘になる際、可能ならヒノカミ神楽を完成させる楔になってもらおう。

(ハワード達よ。俺は掌の上を承知の上で従おう。忘れるな、優勝したらフリーザ様の身体を勝手に悪用したのを後悔させてやる)

自分をどこかで見ているだろうボンドルド達にギニューは心の中で言い聞かせた。
今はジョーカーとしてゲームを続けよう。

「今度こそ出発しよう」

74Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:53:47

バギブソンがあるとはいえ宇宙船まで長く感じそうなのは変わらない。
宇宙船に辿り着くまでの間は参加者の戦闘は余程のことがない限り、控えよう。
今まで寄り道をした分、遅れを取り戻さないと。
ギニューはバギブソンに乗り、走って行った。





ギニューの現在地はD-2とD-3の境目の川の橋である。
高性能でスピードが速いのはいいが、一度転倒しかけたのだ。
バギブソンを走らせた後に雨が降ってきたようで、雨は地面が滑りやすく乗り物も例外ではないのにバギブソンのスピードが速すぎる故に曲がり角に右折する際、危なく転びかけた。
こんなんで怪我をしたら洒落にならない、ギニューは直ぐに反省して気を引き締めていた。

今度は慎重に川の橋から右折してD-3の反対側の位置に行くことができた。
バギブソンの扱いも段々と慣れてきた。

次に北上に進行するはずがこの場所に奇妙な建物を発見した。

(地図に載っていない建物か)

D-3に建物がないことは確認している。
だが、発見したとなれば武器が置いてあるのを考えると調べないわけにもいかない。
バギブソンを新たに発見したに建物に進路を変えた。
ギニューは仕方ないとはいえ、また寄り道することに溜息を吐いた。

目の前にある大きな屋敷=みかづき荘に着いたギニューはバギブソンをデイバッグに仕舞った。
みかづき荘に入る前に隣には奇妙な公衆電話が設置していた。
看板に何が書いてあるのか見ると運要素のギミックであった。


公衆電話:
『会場内の出入り口をそれぞれ一か所に設置されており、電話をかけると出口のほうへと転移できます。ただし、最初に使った人が転移すると十分の間だけ可能であるが、それを過ぎると出入り口の公衆電話は会場内のいずれかにそれぞれ転移され、五時間の間は利用できなくなります。再稼働後は再び利用できます。』


ギニューは知る術もないが、この公衆電話はプリキュアの敵対勢力の一つノワール一味がアジト側のモノクロな異世界と現実世界を行き来する転移装置。
今回は主催者の手によりただのワープになっている。

(賭けだけど、利用しない手はない)

ギニューはこのギミックを使用したいと思っている。
他の参加者なら疑問を抱くだろうが、ジョーカーとしての役割が与えられている自分なら言えるが嘘は言うとは考えにくい。
モノモノマシーンもそうだが、このゲームを加速させるために多少のギミックは用意している。
我々はこの殺し合いを円滑に盛り上がりを見せるため。
公衆電話を使わざるを得ないのは散々道草をしまくっているのが原因。
今だって大きな屋敷にあるかもしれない武器を参加者に取られないよう探索せざるを得ない。
出口が宇宙船のC-1なら楽だが、下手すると遠い場所に転移してしまう諸刃の剣でもある。
一分一秒宇宙船に着くには思い切って使おう。

(公衆電話は一旦置いておこう。この屋敷を調べるのが先だ)

75Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:55:03

念のため警戒しつつ、中に入り、まずは一階を探索する。
目に入ったのはテーブルに椅子とソファー。
向かいにカウンターバーにいくつかの椅子がある。
探索してみたがここには武器らしい物はなかった。
だが、冷蔵庫にはプリンアラモードが保存していた。
無論、ここで食事をするわけにはいかずラップをしてデイバッグに仕舞った。
宇宙船を調べ終わったらそこで休憩して食べるのも悪くない。

続いて二階の探索を始める。
階段を昇るといくつか部屋があり、その一つの扉を開けた。
見渡すと机にベッドなどが置かれてある普通の空間だ。
この部屋は数時間前に二度も交戦した環いろはの部屋だ、当然、ギニュー本人は知らぬことだが。
隅々まで調べたが、この部屋にはないようだ。

「結局、収穫はなしか」

二階の他の部屋も調べたが目ぼしい物はなかった。
武器がないのは残念でもあり、ないのは朗報でもあり、複雑だ、それ以上に時間を無駄にした。
甘いものだけはゲット出来たのでそれだけはよしとする。
この屋敷は見る限り宿泊施設のような空間だとギニュー本人の感想だった。

ギニューは屋敷の玄関から出た後、屋敷の隣にある公衆電話の前に立っていた。
公衆電話を使う決意は揺らぎがない。
トビウオがない状況では途中で会った参加者と交戦する事態は避けられない。
宇宙船に到着するまではリスクを減らしておきたい。
特にあそこには回復ポットがある。使用されていないのか確認もするが自分が使うかは状況による。

「さて、吉と出るか凶と出るか」

ギニューは迷いなく公衆電話に入り、受話器を取り、耳に近づけた。
出口が宇宙船の近くにあるのを願いながら。

「もしもし、ギニューだ。」

そう言うと急に扉が閉まり、ギニューは消えていった。
残っているのはブランブランとなった受話器と閉まった筈の扉はギニューが転移した瞬間に開いた事だった。





転移を果たしたギニューは出口の公衆電話から出た瞬間、この一帯は正方形のような大きな壁がある。
見渡すと多くの舎房があることで思い当たる施設は一つ網走監獄にワープ出来たのを知る。

「思ったより短縮できたな」

出口として利用できた公衆電話も入り口と一緒に転移されるのを惜しいと思いつつ宇宙船までの距離まで短縮した。
あの屋敷に立ち寄ったのは無駄ではなかった。
ここなら参加者と会うことはないだろう。
そう思った瞬間、網走監獄に転移して、ある物がここにあるのを意味していた。

「そうだ。モノモノマシーンがあったのだ」

76Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:56:32
この場所にはモノモノマシーンがある。つまり、新しい武器を増やすチャンスだ。
同時にギニューは致命的な問題があるのを気づく。

「また寄り道をしないといけないのか俺は」

網走監獄内にどこにあるか不明なモノモノマシーンを死にもの狂いで時間を掛けて見つけなければならない。
また宇宙船に到着する時間が長くなった。
だからといって網走監獄から行ったり来たりするのは面倒臭い。
予定を変更してモノモノマシーンで武器の調達後に今度こそ本当に道草せずに宇宙船に行こう。
ここに留まり続けたらモノモノマシーン目当てで他の参加者と鉢合わせになりかねない。
急いで見つけてこの場から去ろう。

「監獄内を探すか」

ギニューはボーナス装置を見つけるためだけに捜索を開始する。


【B-1 網走監獄/日中】

【ギニュー@ドラゴンボール】
[身体]:竈門炭治郎@鬼滅の刃
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、上半身に火傷、右腕に切り傷、全身に音によるダメージ、姉畑への怒りと屈辱(暴走しない程度にはキープ)
[装備]:竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃、エドワードのコート@鋼の錬金術師
[道具]:基本支給品、バギブソン@仮面ライダークウガ、プリンアラモード@現実、刃衛の首輪
[思考・状況]
基本方針:ジョーカーの役割を果たしつつ、優勝し、主催を出し抜き制裁を下して、フリーザを完全に復活させる。
0:何で寄り道ばかりしている俺は
1:網走監獄のどこかにあるモノモノマシーンを見つけ出す。
2:その後、フリーザの宇宙船に向かう。
3:もしベジータの体があったら優先して奪う。一応孫悟空の体を奪うことも視野に入れている。
4:ヒノカミ神楽を完全に使いこなせるようにする。
5:変態天使(姉畑)は次に会ったら必ず殺す。但し奴の殺害のみに拘る気は無い。
6:炎を操る女(杉元)、エネルギー波を放つ女(いろは)、二刀流の女(ジューダス)にも警戒しておく。ロクでもない女しかいないのかここには。
[備考]
※参戦時期はナメック星編終了後。
※ボディチェンジにより炭治郎の体に入れ替わりました。
※全集中・水の呼吸、ヒノカミ神楽をほとんど意識して使えるようになりました。
※隙の糸、透き通る世界が見れるようになりました。
※竈門炭治郎の精神が消失しました。
※主催側のジョーカーとしての参戦になりました。但し、主催側の情報は何も受け取っていません。
※ボディチェンジは普通に使用が可能ですが、主催によって一度使用すると二時間発動できない制限をかけました。


【バギブソン@仮面ライダークウガ】
元は木曾に支給
グロンギ族のゴ集団に所属するゴ・バダー・バの愛用のバイク。
通常のオートバイだが、バダーの棘状の装備品を差し込み口に差し込んで専用バイクになった物。
トライチェイサー2000を圧倒する高性能でもある


[公衆電話@キラキラ☆プリキュアアラモードについて]
元々はノワール一味のアジト側の異世界と現実世界を繋ぐ転移装置。
本ロワでは主催者の手によりワープするのみになっている。
本ロワ会場内においては出口と入り口それぞれ1か所に設置されており、電話をかけると出口のほうへと転移できます。
但し、制限により、最初に使った人が転移すると十分の間だけ可能であるが、それを過ぎると出入り口の公衆電話は会場内のいずれかにそれぞれ転移され、五時間の間は利用できなくなります。
再稼働後は再び利用できます。
公衆電話の出入り口は次にそれぞれどこに転移されたかは後続の書き手に任せます。


【みかづき荘@魔法少女まどか☆マギカ外伝 マギアレコード】
D-3の北の方角に設置された施設
環いろは達が下宿している屋敷。
元は七海やちよの祖母が宿泊施設として使っていた。

77Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 19:58:23
仮投下を完了しました。

78Dance In The Game ◆2fTKbH9/12:2022/11/18(金) 21:26:51
修正します。
みかづき荘の位置は正しくはE-3です。

79 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:29:55
修正箇所を投下します

本スレ140を以下のように修正します

組み合わせ名簿を仕舞い、今度は輝哉に譲渡されたデイパックを開け中身に手を付ける。
彼の言った通りなら支給品はどれも有用なものばかり。
内の一つである生存者の肉体の配置図を手に取った。
記されているのは一回目の定時放送が終わった直後、今より6時間も前の情報な為現在地の確認には余り役に立たない。
それでも知りたかった情報を一つ手に入れられた。

「ナナしゃんは…あっ!病院の近くにいるんですね」

島の西側に位置する街、そこから北東の聖都大学附属病院近くにナナの体である斉木楠雄の名が載っている。
更に周りには四名の肉体の名もあり、そこからナナが集団で行動しているのが分かった。
向こうも殺し合いを止める仲間を作り、彼らと行動を共にしているのなら一安心だ。
距離がかなりある上に今も病院付近にいるかは不明なので、早急な合流は難しい。
それでも知るだけの価値はあった。



組み合わせ名簿を仕舞い、今度は耀哉に譲渡されたデイパックを開け中身に手を付ける。
彼の言った通りなら支給品はどれも有用なものばかり。
内の一つである生存者の肉体の配置図を手に取った。
記されているのは一回目の定時放送が終わった直後、今より6時間も前の情報な為現在地の確認には余り役に立たない。
それでも何か役に立つ情報が無いかと確認するが、思わぬ障害が立ち塞がった。

「写真だけ、ですね……」

配置図には肉体側の写真のみが表示されており、名前は載っていない。
これではナナの精神が入っている斉木楠雄が誰なのかも分からず、当然ナナが何処にいたのかも不明。
せめて自分の横に斉木楠雄を知る人物がいたらと思うも、そう都合の良い展開は無い。
東側の市街地に仗助の写真はあるので、二つ放送前の現在地を示すというのは本当だろう。
託してくれた耀哉に申し訳ないとは思うも、肩透かしを食らい微妙な顔になった。

80 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:32:04
本スレ182を以下のように修正します

メタモンには最早自分が何を言っているのかも分からない。
ただ己の存在を確かめるかのように思い付いた言葉を片っ端から吐き出し、姿を変えていく。
銀色の怪物、緑の帽子を被った青年、特徴的なリーゼントヘアーの少年。
そして最後に、正気を失った笑みを浮かべる神代剣へと。



メタモンには最早自分が何を言っているのかも分からない。
ただ己の存在を確かめるかのように思い付いた言葉を片っ端から吐き出し、姿を変えていく。
銀色の怪物、金髪の青年、特徴的なリーゼントヘアーの少年。
そして最後に、正気を失った笑みを浮かべる神代剣へと。

81 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:34:40
本スレ226を以下のように修正します

逃走中の無惨の頭からは既にミチルへの怒りはどうでもいいものと失せ、代わりに彼女が口にしていた名が浮かんでいる。
ナナしゃん。何かの用紙を見ながら確かにそう言っていた。
間違いなく柊ナナの事だろう。
しかもあの時ミチルはナナが病院の近くにいると分かったようだった。
これらの情報から推測するに、あの用紙には参加者の位置情報が記されていた可能性が高い。
会場に設置された病院と言えば、ここから西にある聖都大学附属病院のみ。
ならば急ぎそちらへ向かい、周辺にいると思われるナナを確保。
主催者と関係のあるだろう肉体を持つナナを利用し、自分の肉体を取り戻す為の足掛かりとして使う。



逃走中の無惨の頭からは既にミチルへの怒りはどうでもいいものと失せ、別の参加者の名が浮かんでいる。
柊ナナ。
精神・肉体共に主催者の一人である斉木空助と関りを持つ少女。
ゲンガーからの又聞きで知った情報だが、今の所最も主催者に近いのは彼女だ。
ナナが会場のどこにいるのか知る術はなく、肉体である斉木楠雄の容姿も無惨は知らない。
僅かな手掛かりも無しで当てずっぽうに探すしかないが、街に留まって無駄な戦闘を続けるよりは遥かに建設的だと自分に言い聞かせる。
手遅れになる前に早急に確保せねばなるまい。
主催者と関係のあるだろうナナを利用し、自分の肉体を取り戻す為の足掛かりとして使う。

82 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:39:06
本スレ228からの無惨死亡の流れを以下の文章に変更します

『FINAL VENT』

が、むざむざ敵の抵抗を許すようなプレイをする気は、ベルデには無かった

バイオグリーザが伸ばした舌がベルデの足首に巻き付き、振り子のにも似た動きで無惨へと急接近。
足をガッチリと固定し、空中へと移動したタイミングでバイオグリーザが舌を離す。
急な勢いで掴まれ宙に投げ飛ばされた衝撃で、召喚石が口から零れ落ちた。
呆然と見つめる無惨に構わず、ベルデは技の総仕上げに入る。

「!!!?!」

無惨の頭部を真下に固定した体勢で、垂直に落下。
結果どうなるかは考えるまでも無い。
藻掻き暴れようにも、最早無惨には拘束を脱するだけの力は残されていなかった。
ただ自ら冷たい地面に近付いて行くのを、見開いた両目で凝視するだけ。

(ふざけるな貴様あああああああああ!!!)

己の血肉で地面に赤い花を咲かせた。
熟れた果実を潰したようにアスファルトへ染みが生まれ、すぐに雨でこそぎ落ちていく。
動物系の能力者だとて、頭部を粉砕されれば待ち受けるのは死以外に有り得ない。
しかし此度は、その有り得ない事が起きた。

「なに?」

驚きの声を発したのは、無惨を地に叩きつけたベルデ本人から。
参加者を一匹仕留めた筈が、予想外の光景が広がっているではないか。
潰れた豹の頭部が元の形を取り戻そうと蠢いている。

無惨の肉体であるミーティは歪な外見に反し、生命力は異様なまでに高い。
全身を磨り潰され、あらゆる毒を注入されて尚も苦しむだけで終わり、死に至る事は無かった。
但しこの不死と言っても過言ではない生命力は、ミーティにとっての祝福ではない。
アビスが彼女に齎したのは、死ぬ事を許されない呪いなのだから。

死なない生物。
興味が皆無という訳ではないが、今は死んでもらわねば困る。
さてどうするかとベルデは思案し、十秒と掛らず殺害方法を思い付いた。
斬り刻んだり、延々と潰すよりもずっと楽なやり方があるではないか。
自身に付き従うモンスターへ振り返ると、簡潔に告げた。

「食え」

83 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:40:42



主を待たせては悪いとの判断、若しくはその命令をずっと心待ちにしていたからか。
理由がどちらにせよ、バイオグリーザの動きには迷いがない。
舌を伸ばし絡め取った無惨を引き寄せ、菓子の包み紙を持つ感覚で持ち上げる。
片目の再生が済んだ無惨が初めに見たのは、大きく開かれた化物の口。

鬼となった者は人間の寿命から解放され、長き時を生きられる。
しかしどんな生物も必ず終わりを迎えるように、鬼も永遠の時は生きられない。

ある鬼は、何度生まれ変わっても断ち切れない兄妹の絆を信じ共に逝った。
ある鬼は、自らが芸術と信じてやまない歪さを捨てられないまま完全敗北を喫した。
ある鬼は、嘘にまみれた己の半生を思い返し焼き尽くされた。
ある鬼は、守りたかった者と守れなかった己を自覚し、自らの拳で終わらせた。
ある鬼は、生まれて初めての感情に頬を染め、愛を囁きながら地獄に落ちた。
ある鬼は、何もかもを捨てた果ての虚無に絶望し、されど届かぬ日輪への執着だけは捨てられず消え去った。

そして無惨は、全ての鬼の始祖である男は――

「▂▂▅▆▆▆▇▇▇▇▇▇▇▇ッ!!!!!」

神罰をも恐れぬ鬼に下ったのは、神の才能を欲しいがままにする男からの、慈悲も宿らぬ終焉。
噛み千切られ、、爪の一本まで残さず飲み込まれ、腹の中で溶かされる。
千年という途方もない時の中で己が人間に行ったのと同じ、「餌」という末路。

ペッと吐き出された異物。
首輪が転がる乾いた音が、誰よりも生を渇望した男の終わりを告げた。

84 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:42:45
修正内容に伴い、黎斗の状態表の備考欄に以下の一文を追加します

※バイオグリーザがミーティの肉体と、体内にあったいのちのたまをを捕食しました。何らかの影響があるかどうかは後続の書き手に任せます。

85 ◆ytUSxp038U:2022/11/27(日) 19:43:48
以上でご指摘があった部分の修正を終了します
何かあれば連絡をお願いします

86エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:14:31
世界は無数に枝分かれしている。

いつもとは違う道を通った。
家を出る時刻を少し遅らせた。
ふと目にした小石を蹴った。

些細な切っ掛けが一つが起これば、その度に新たな可能性の物語が生まれる。

であるなら、これもまた一つの可能性。

87エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:15:23
CASE1【エドワード・エルリック(ラース@鋼の錬金術師 2003年版)、尾形百之助(霧雨魔理沙@東方project)】

「首輪を外すアテならある」

そう告げた少年の言葉に、尾形は一先ず耳を傾ける事にした。
但し銃は向けたままだ。
怪しげな術を使える肉体だろうと、信用を置くつもりは無い。
引き金を引き、弾を吐き出すコレの方がよっぽど命を預けられる。

「殺し合いを仕組んだ奴をぶん殴って、それで終いだ。誰かが死ぬ必要はねぇ」

幅広の帽子に隠れた尾形の目元が僅かに動いたのを気付かず、エドワードは断言する。
誰かを殺す事無く、誰の手も汚させずに殺し合いを終わらせると。
命の尊さを誰よりも知っている、錬金術師の信念。
たとえ本来の体で無くとも、師の犯した罪が器であろうと彼のやる事は変わらない。

決意を固める錬金術師を、狙撃手は空洞の瞳で見つめていた。

88エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:17:03
CASE2【甘露寺蜜璃(マーニャ@ドラゴンクエストⅣ)、エンリコ・プッチ(DIO@ジョジョの奇妙な冒険)】

「という訳で、この体は私の大切な…友の肉体なんだ。故に…」
「分かりました!いつもの体じゃないけど、私頑張っちゃいますから!」
「宜しく頼むよ、蜜璃」

褐色の肌をした煽情的な格好の女が意気込む。
しなやかながら女性的な豊満さも兼ね備えた踊り子の肉体。
他人の体を酷使するには抵抗があり、普段のように戦えるかも不安。
されど彼女は鬼殺隊の恋柱。
どんな状況だろうと命を守るために剣を振るう。

元気いっぱいな女を尻目に、金髪の男は考える。
この肉体で自分が何をすべきか、友の肉体となった事の意味を。

(DIO、これもまた君が私を導こうとしているのか?)

89エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:18:03
CASE3【土方十四郎(ロロノア・ゾロ@ONE PIECE)、フランキー(キーボ@ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期)】

「アウ!オメェ本当にゾロじゃねェってのか?」
「だから何度もそう言ってんだろうが!万屋の下で働いてる女ならともかく、お前みたいなロボット知らねぇっつってんだろ!」

一体何度言えば分かるのか。
未だ疑わし気な目を向けて来るロボットに土方は頭が痛くなりそうだった。
気が付いたらマリモみたいな髪の男の体にされた挙句、殺しあえと命令された。
犬猿の仲である万屋の天パならまだしも、何故自分が巻き込まれるのか。
全く災難である。

「ンン!スーパー調子が出ねェ!ポーズもイマイチ決まらねェぞ!?」

珍妙なポーズを取り出すロボットの姿に益々頭を抱えたくなる。
何にしても無性にタバコが吸いたい。

90エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:19:22
CASE4【野原みさえ(プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは)、間桐慎二(風間トオル@クレヨンしんちゃん)】

どうしてこうなるんだと、慎二は苛立ちが抑えられない。
いきなり拉致され殺し合いを命じられたのは勿論だが、何より気に入らないのはこの体だ。
何故よりにもよって子供、それも幼稚園児の体なのか。
魔術の才以外は持ち合わせていた元の体をこれ程に恋しく思うのは初めてだろう。
こんな体で殺し合いをさせる気が本当にあるのか問い詰めたい。
それにもう一つ、慎二を苛つかせているのは、

「こら!一人で勝手に歩かないの!」

怒った声が背へ届き、億劫に振り向く。
美人ではあるが魔女のような格好の、されど精神の影響か家庭的な雰囲気を感じさせる女がいた。
何でも慎二の体の少年は、この女の知っている人物とのこと。
それで会った時からこうして目を離せないと付き纏われている。

「あのさぁ、いい加減しつこいよおばさん。余計なお節介焼かなくても、こんな体じゃ馬鹿な真似なんて…」

出来やしないと、言葉は続かず慎二の頭部に両指が添えられる。
自らの失言を悟った時にはもう遅い。

「だ・れ・が、おばさんじゃああああああ!!」
「いたっ!?ちょ、やめ!?ぎにゃあああああ!!?!」

91エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:20:39
CASE5【黒死牟(継国縁壱@鬼滅の刃)、大崎甘奈(大崎甜歌@アイドルマスター シャイニーカラーズ)】

「いつまで……続ける気だ……」

言葉に籠められたのは、心底理解出来ない呆れ。
奇怪な道具を使ったとはいえ、鬼殺隊でもない小娘にしては十分健闘した方だろう。
だがその程度で殺される程度の力しか持たないなら、己は上弦の壱になどなっていない。
見下ろす先には傷だらけになり、怯えを瞳に宿しながらもこちらを睨む小娘の姿。

「お前の抵抗など……児戯にすらならん……」
「それでも、諦めないよ」

そう言って再度腰に巻き付けた道具を操作する娘を前に、黒死牟の視線が鋭さを増す。
気に入らない、本当に気に入らない。
同じ顔の家族の為に死ぬわけにはいかないと戦う小娘が。
追い求めた日輪の肉体を手に入れたと言うのに、あの焼き付くような強さの半分も引き出せない自分自身が。

「変身…!」

憎悪に沸き立つ侍に少女は立ち向かう。
ちっぽけな勇気と、アーマードライダーの力を武器にして。

92エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:21:59
CASE6【近藤勲(海パン刑事@こちら葛飾区亀有公園前派出所)、窪谷須亜蓮(向井拓海@アイドルマスター シンデレラガールズ)、校長(エリオ・モンディアル@魔法少女リリカルなのはstrikers)】

どうすればいいのか分からない。
10年以上生きて来て、不良だからかそれなりに面倒ごとも経験して来た。
PK学園に転校してからも、トラブルに見舞われる事は珍しくない。
だけどこんな状況は初めてだ。
窪谷須は死んだ魚のような目で悩みの種の男達を見る。

「むっひょ〜〜〜〜!!そのようなボインをサラシで隠しただけとはけしからんですぞ〜!こ、これはもう辛抱堪りません!」
「おい少年!同じ男として気持ちは分からんでもないが、そういうのはもっと大人になってから…ちょ待って!脱ぐな脱ぐな!な、何か着るもの…海パンしかねぇ!ッてか何でこの体服着てないの!?何でネクタイだけはしてんの!?」

涎を垂らし鼻息を荒くしながら全裸で今にも飛び掛かろうとする少年。
少年を何とか止めようとするガタイの良い海パン男。
現代日本では通報確実の変態が二名。
一体どうすれば良いのか暫し考えた後、現実逃避気味に答えを弾き出した。

(とりあえず二人ともぶん殴れば良いか)

93エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:23:31
CASE7【竈門炭治郎(レグ@メイドインアビス)、七海やちよ(フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはstrikers)、キルバス(七草はづき@アイドルマスター シャイニーカラーズ)】

「炭治郎、くん……」

血を吐き倒れる少年の姿を映すやちよの瞳に宿るのは絶望。
殺し合いに抗う決意、魔法少女として人々を守る使命、どんな状況だろうと諦めない意思。
そんなものがこの場で何の役に立つ。
圧倒的な暴力の前には、自分を動かすものなど何一つとして無意味だと思い知らされた。

ハルバードを支えに傷だらけで立ち上がろうとするやちよは、ただ後悔していた。
やはり自分の願いが皆を殺す。
同行を申し出た少年の押しに負け、あくまで協力者であって仲間じゃないと言い訳した結果がこれだ。
少年も、自分に与えられた体も死んでしまう。
自分の願いのせいで。

「アァ…ウォーミングアップにもならねェな。まだ仮面ライダーどもの方がマシだ」

人間達の絶望を、地球外生命体はつまらなそうに切って捨てる。
成程、褐色肌の少年も金髪の女も戦う力はあった。
少年はやたらとしぶとく、女の方は素早い。
しかし足りない、それだけではまるで足りない。
同族や実の弟からも恐れられたブラッド族の王には届かないのだ。

(エボルトの奴も適当な事言いやがって…)

人間だから負けた、自身に滅びを与えた弟の言葉は鮮明に思い出せる。
おちょくられたのかと仮面の下で顔を顰める彼の意識を呼び戻したのは、顔を上げた少年の声。

「お前、は…そんな力を持っているのに…どうして…!殺し合う道を、選んだんだ…!?」
「勘違いするなよ。俺が殺すのはお前らだけじゃなく、このゲームを仕組んだ連中もだ。そうやって全部殺して、最終的には俺諸共全部吹き飛ばして後には何も残らない。そういう光景を想像するだけで胸が躍るだろ?」
「ふざ…けるな……!!」

血反吐を零しながらも少年は叫び、立ち上がる。
残された手は少ない、だがここで負ける訳にはいかない。
掌を向ける彼に迷いは無かった。

「お前は、ここで倒す…!やちよさんも、誰もお前には殺させない…!」

94エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:24:18



これは一つの可能性。
とある世界で、誰かが始めた物語。

CHANGE BATTLE ROYALE -ALTERNATIVE-

95 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:37:15
先にこちらへ仮投下します

96 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:38:37
うん?急にどうした?
人を殺して罪悪感は無いのかって?
いきなりな質問だなおい。
そういう突っ込んだ話はもっと親交を深めてからのが普通じゃねぇのか?
ああ分かった分かった、答えてやるからそんな怒るなよ。

お前らは鼻をかんで使い終わったティッシュに愛着を持つか?
用が済んだらゴミ箱に捨てるだろ?
そういうこった。

まだ聞きたいことがあるのか?
俺も暇じゃ無いんだがねぇ…
ああ、はいはい。
答えてやるからそう怒鳴るなって。
ったく、そんな掴んだらシャツが皺になっちまうだろ。

皆を騙して何も感じないのか?
おいおい俺だってそこまで冷血漢じゃあねぇぞ?
嘘ついたのは本当でも、たまに感動してウルッとしたり?騙して悪いなぁなんて思ったりもしたよ。

どうせそれも嘘だろだぁ?
ははっ、お前さんも酷ぇこと言うねぇ。

まぁ、その通りなんだけどな。


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