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SS投下・仮投下スレ Part.3

1944名無しさん:2025/02/19(水) 17:59:57
京都市内にあるアパートの一室。そこで一人の少女が窓から月明かりが照らす星空を見上げていた。一見、美しい夜空に見惚れているように見えるがそうではない。少女は夜空と腕時計を交互に見ながら23時58分30秒、23時59分41秒とぶつぶつ呟いている。

「…0時00分ジャスト。私の"眼"に狂いはないようね」
「天体観測お疲れ様、と言っておこうかしら。それで何か分かった?」
「そうね、ここが確かに日本の京都府であることが分かったわ。最も私がいた時代よりずっと昔だしおまけに妖怪の実在が当たり前なんて愉快な世界だけど」

星空を見上げていた少女こと宇佐見蓮子は自身が召喚したというサーヴァント、ソリテールにそう告げる。
蓮子は星の光で今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる能力を持っている。その能力でもって本当にここが京都なのか確かめたのだ。
悲しいかな相方の境界を視る能力と比べたらなんてことない異能だが、それでも長年付き合ってきた自分の能力。その正確さには自信があった。

「流石に慌てたわよ。朝起きたら街の様子が様変わりしてるし、あなたが隣にいて聖杯戦争とやらについての話をされるし」
「あの時のマスターは中々見ていて愉快だったわ。まあ私も聖杯戦争やニホンという国についての知識は全て聖杯から与えられたものなんだけど」
「流石に今は受け入れたけど最初は夢かと思ったわ。…メリーもこんな気持ちだったのかしら」

ソリテールに告げられた霊都京都で行われる聖杯戦争という儀式。
最初は懐疑的であったが、大学の図書室で調べてみたこの世界での"現代史"や、ニュースで当たり前のように報道されている妖怪や魔物絡みの事件等で否応なしに自分が異邦の京都に迷い込んでしまったことを自覚させられた。

「今日は休日だし、朝になったらちょっと京都と他県の境界線について調べてみようと思うからよろしく頼むわ」
「聖杯戦争から逃げるつもり?」
「まさか。どんな風に私達を閉じ込めてるか確かめるだけよ。そもそもここは私のいた世界じゃないんだからこの京都から出られたとしても何の解決にもならないし。
……まあ殺し合いなんてゴメンなのは本音だけど、聖杯戦争やこの世界は本当に興味深いわ。次から次へと調べたい、試したいことが浮かんでくるの」
「ふふ、それを聞いて安心したわ。もしかしたら私はマスターの"知識欲"が縁になって喚ばれたのかもね」

にこりと笑うソリテールにどうにも落ち着かない気分になる蓮子。ソリテールの容姿は頭部の二本角を除けば愛らしい少女といって差し支えないもの。しかしその笑顔はどうにも能面に貼り付けたような気味悪さを覚えてしまう…。

「とにかく私は今から寝るから。おやすみなさいソリテール…アサシンって呼んだ方がいいんだっけ」
「私の場合はどちらでも問題ないけど、まあ他の主従に遭遇した際に違和感を持たれないようにアサシンで通した方がいいと思うわ。おやすみ、マスター」


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