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番外企画スレ
1463
:
名無しさん
:2022/02/24(木) 22:21:58
>>1456
さて、マスターが不在でもキャスターのやることは変わらず、フルネラ型で街の動向や他の主従の情報などを探り続けていた
ただし単独行動のスキルは所持していないし人形も数多く破損したため情報収集も必要最低限とし、あまり目立たないようにしている
さらには魔女として色々と誤魔化しながら霊体化も駆使してあーだこーだと魔力を節制しなければならない、全く泣けてくるね
というわけでマズルカはマスターが帰ってくるまでしばらく大人しくしているつもりだ、たとえ街で騒動があろうともそう簡単には動かないだろう
とまぁそんなこんなをしているうちに調査に出ていたフルネラ型が戻ってきたのでその報告を聞き、今ある盤面を幾らかでも読み解いてみよう
「マズルカ様、本日の夕方に公開処刑が行われるのと、チノという犯罪者を捜している、と軍の人間が町中で喧伝していました」
「ふーん、それはまた急な話だね。昨日の今日で処刑とか、何か意図があってやってる?もしかして、軍に聖杯戦争の参加者が?それにチノって少女も濃厚そうだね」
「それと、昨晩騒動があった宿屋の周辺を捜索したところ、虎杖の死体を発見しました」
「……マジ!?」
1464
:
名無しさん
:2022/02/24(木) 23:23:55
まりなちゃん、
>>1459
でチノが派手に指名手配されたら妬みゲージが下がって同情までし始めたぞ…と思ったら
>>1460
でまたイライラ向け始めていい塩梅にクソガキやなコイツ…と思いました
1465
:
名無しさん
:2022/02/25(金) 07:52:59
>>1461
「この瞬間、俺は手札から魔法カード《銀河遠征》を発動!デッキから銀河騎士を特殊召喚する!」
ターン制じゃないデュエル方式だからこその、相手バトルフェイズに魔法カードを発動するという荒業。
これによって新たなモンスターが現れるが、ギャラクシーアイズに比べてたかが知れている。
まずは相手の切り札であろうギャラクシーアイズに専念し、他の雑魚は後回しで良い。アンヘルの作った一瞬の隙をカイムは無駄にしない
「デッキから特殊召喚された銀河騎士の効果により、手札から更に銀河騎士を特殊召喚する!」
同じモンスターが二体並んだのを見て、カイムと春花は相手が苦し紛れの戦術に出たと考える。
凄まじい速度でモンスターを並べたことは見事だが、ドラゴンと比較して大して強そうでもないあの二体に自分が負けるなんて思うはずもない。
しかしカイトからデュエルを学んだココアとずっとカイトの勇姿を見てきたオービタルだけは、同レベルのモンスターが複数並んだこの状況に希望を見出す。
そしてカイムの攻撃がギャラクシーアイズに届くその瞬間――
「逆巻く銀河よ、今こそ、怒涛の光となりてその姿を現すがいい!」
アーチャーが弓兵らしく槍を投擲した。しかしその方向は上空で、カイムからしたら苦し紛れにも程がある。
それにギャラクシーアイズは剣が届いた瞬間、姿を消した。相手の宝具は消え去り、カイムは勝利を確信する。この時にはギャラクシーアイズ以外の二体は完全に蚊帳の外であり、彼らが消えたことなど気にもしていない。
まだ戦闘が長引いているわけじゃないが、加虐体質スキルやドラゴンへの憎しみでカイムが冷静さを欠いているのも大きな原因だろう
「降臨せよ、我が魂!超銀河眼の光子龍!!」
そして消え去った三体の代わりに現れるは、三つの首を持つドラゴン。
カイトが弟との絆で生み出した切り札――超銀河眼の光子龍だ
更に超銀河眼の光子龍の効果により、カイムはスキルを1つ無効化される。
相手のスキルをカイトが把握していない場合、その対象はランダムで決定される。
幸い最も重要な契約スキルこそ無効化を免れたが、これにより戦闘続行スキルをこの決闘では無効化されることになった。
銀河遠征(アニメ)
通常魔法
自分フィールド上に「銀河眼の光子竜」が存在する場合、自分のデッキから「銀河騎士」1体を特殊召喚できる。
銀河騎士(アニメ)
効果モンスター
星8/光属性/戦士族/攻2000/守2600
自分フィールド上に「銀河騎士」が存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
このカードは同名カードが自分フィールド上に存在する限り、攻撃宣言できない。
1466
:
名無しさん
:2022/02/25(金) 08:03:48
>>1465
この展開力をカイムがギャラクシーアイズに攻撃を仕掛けた僅かな時間にやってのけていると思うと草
まぁここら辺はいつものデュエルで慣れしているし普通のことだね(感覚麻痺)
1467
:
名無しさん
:2022/02/25(金) 14:03:45
>>1460
まりなちゃんは爆破テロ事件について悩んでいた
チノはしずかちゃんのようにまりなちゃんから見て「調子に乗っている」ことをしていない上に実際接してみると本気で自分の身を心配してくれて、男に媚びを売るような存在には見えない。
それにチノやおっこと過ごした時間はまだ短いが、どこか暖かさのようなものを感じる。
だからこそ若干だが負い目を感じる。自分がNPCの家族と幸せに暮らしていたように、チノもまた店主と喫茶店で働いていたのだ。
その気持ちを少しでも偽るかのようにイラついてみたが、やはり罪悪感は拭えない。
しずかちゃんの時は色々な要因が重なり、虐め以外は特に交流という交流がないからあそこまで過激になれた。更に言うならまりなちゃんがそこまで見抜いていたか定かではないが、しずかちゃん自体がアバズレのような素質の持ち主だったからそれもあるかもしれない。少なくともしずかちゃんの母親がアバズレだというのは間違いない確たる情報だ。
だが匿ってもらうために入り込んだ集団は思いのほかお人好しが多くて暖かい。
サーヴァントを失った自分を本気で気に掛け、守ろうと動いてくれている。
だから彼らに何か協力するためにまりなちゃんは自分から全てを奪った緑の怪物が爆破テロの犯人だとチノ達や憲兵に情報を提供するのもアリだという考えが思い浮かぶ。
それに自分から幸せを奪ったあの緑の怪物はまりなちゃんにとって決して許せる存在ではなく、彼を倒すためなら協力をしたい。
もしも自分が憲兵に情報を提供したら、チノの指名手配も店主の公開処刑も終わる可能性がある。
だがここで爆破テロ事件の犯人が緑の怪物だと言えば、自分がチノや店主を追い込んだとバレてしまう可能性がある。
何故なら自分が最初に憲兵に嘘を吹き込んだのだ。今更その発言を撤回する覚悟は、残念ながらまだ決められていない
だが木場がこちらを見ながらボソッと話した言葉を聞いて、まりなちゃんは一気に怯える。
何か危うさのようなものを感じ取ったまりなちゃんは、素直に爆破テロ事件のことを話そうか悩む。
このまま店主が処刑されるまで黙っていた場合、後から発覚した時が恐ろしすぎる。
それなら今すぐ素直に話して、謝罪するべきだろうか?果たして彼らは許してくれるのだろうか?
色々と悩みはあるが、店主が処刑されて取り返しがつかなくなったらあとがない。
今の自分はサーヴァントすらいない状態であり、このタイミングで味方を失うことはほぼ死を意味している。
幸せなお母さんになることも出来ず、聖杯で願いを叶えることも出来ず……きっと適当なサーヴァントにでも見つかって死に絶える
「それはどういう意味だ?ライダー」
まりなちゃんが悩んでいる中、木場の態度に僅かな違和感を覚えたマコト兄ちゃんが問い掛ける。
処刑の命令を無理矢理にでも……つまり力づくでも撤回させる。これはまだわからないでもない。もちろん他人の命を奪わない前提で。
だが処刑の命令を出す人がいなくなる。この『いなくなる』の意味次第ではマコト兄ちゃんは木場の考えに賛同出来ない。
なにより木場の顔に浮かんでいる影は、彼が戦おうとしている証拠だ。ゾンビ戦でホースオルフェノクとしての姿を見たマコト兄ちゃんにはそれがわかる。
「そのままの意味だよ。もちろん俺だって本当はこんなことがしたいわけじゃない……」
「ライダー……それは本気で言ってるのか?」
「うん。俺なりに色々と考えたけど、罪のない人を助けるにはそうするしかないじゃないか……!」
ド カ ッ !
マコト兄ちゃんの拳が木場に叩き込まれる。
「人間と他の種族の共存が夢だと言ったのはお前だ、ライダー!」
「それは……」
いきなりマコト兄ちゃんに殴り飛ばされ、木場は何も言い返せなくなる。
先程までの木場は明らかに暴走気味だった。
それはチノや喫茶店のマスターを事件の犯人へ仕立てあげた者に対する怒りが大きい。
自分が直接的に何かの被害を受けたわけじゃないが、姑息な手段で仲間を罠に嵌めているやつがいる。
どうしてチノや喫茶店のマスターを付け狙うのか……一つだけ心当たりがあった。
「ありがとう。君に殴られて少し落ち着いたよ」
「気にするな」
「うん、ありがとう。……それと落ち着いて考えたら、ふと思い浮かんだことがある。それを皆に聞いてほしいんだ」
マコト兄ちゃんが「わかった」と返事をすると木場は皆に向かって自分の推測を話し始めた。
「香風さんはマスターだ。他のマスターに狙われてる可能性だってある」
「どういうことですか……?」
理解の追い付かないチノや他のメンバーに木場は自分の推測を説明する。
そこで木場が話した大まかな内容は以下の2つ
・他のマスターがチノがマスターということを知り、追い詰めようとしている
・そのマスターは憲兵達を動かせるほどの地位や権力を持っている可能性がある
聖杯戦争には当然聖杯狙いのマスターが存在し、その中にある程度の地位に居座っている者がいてもおかしな話ではない。
木場の推測を聞いたまりなちゃんは都合良く他のマスターに罪を被せるか、素直にチノ指名手配のキッカケは自分でテロ事件の真の犯人は緑の怪物だということを教えようか悩む
1468
:
名無しさん
:2022/02/26(土) 09:20:14
>>1465
の続き
2組の主従とオービタルは通常とは異なる時空に存在していた。
カイトがデュエルによる戦いを開始した時点で、対戦者(この場合2組の主従、それらの召喚した存在など)意外の邪魔の入らない時空に移動できる、
カイトのお供であるオービタル7の力だ。
カイムと春花を相手にデュエルタクティクスで対等の戦いをするカイトとココア
しかし二人には欠点があった
魔力の枯渇...ココアには魔力の才能は最初からない
だがそれは春花とカイムも同じであると、ココアはともかくカイトは気づいている。この点では条件は同じ。
だが、敵の主従の抱える決定的な弱点を宝具である竜アンヘルは気づき、テレパシーを送る
アンヘル『カイムよ、お主も気づいているかもしれぬが彼奴らと戦ってわかった。
竜使いの方はともかく小娘の方は殺意がない』
カイム(静かにうなずく)
アンヘル『戦いの鍵はこちらのマスターである小娘となるだろう...我らは竜使いの攻撃をギリギリまで引き付ける。
小娘にマスターを弓で射させろ』
それはココアの良心を利用する非情とも言える作戦
だがそれの効果は絶大であり、カイトのカードもまた全て魔力によるもの...魔力の供給元であるココアが消えればデュエルの過程に関係なく残るカイトは敗北する
それに、ココアに殺人への覚悟がなければ、どの道この先生き残れぬ、ならばここで命を落としてもらおうという、この剣陣営なりの慈悲であった
その一方で...
アンヘル『昔を思い出すなカイムよ、殺し合いを楽しんでいるようで何よりだわい』
カイム(口角が上がっている)
カイムとアンヘルは、戦争とは別に異世界のカイトには戦いの中で敬意のようなものも抱いていた
生前の世界にはほとんど出会えなかった気高き『竜騎士』カイト
ここが聖杯戦争の場でさえなければ、この漢とは憎しみや野望も関係なく、マスターという要素も抜きに、
純粋な力比べで勝ちたかったと、カイムとアンヘルは思った
◆◆◆◆◆◆◆
1469
:
名無しさん
:2022/02/26(土) 09:21:24
カイムの口角が上がっていることはカイトの目にも見えていた。
それは決闘を楽しむ者の笑み。
どうやらこのセイバーは根っからの決闘者なのかもしれないとカイトは認識を改めた。強大なドラゴンを前にこんなふうに笑える者など、決闘者と言わずしてなんと言うのか
ならばこの決闘、こちらも全力で迎え撃つのみ。
ミザエルと激戦を繰り広げた時のように、自分の全てをこの決闘に賭ける。
それはきっと相手のセイバーも望んでいることだ。
だが目の前の相手と自分では抱えるものも信念も違う。マスターであるココアを狙うという非情な手段も取り得るだろう。
カイトは超銀河眼の光子龍でカイムを攻撃し、その間にオービタルとココアに話し掛ける。
ちなみにカイム自身を狙った理由はこの程度であの男が死ぬことはないという確信があってこそ。
カイトもまたカイムのことを認め、その実力を信用していた。
「オービタル!これから先、何があっても必ずココアを守れ!!」
「カイト様……!」
覚悟を決めたカイトの呼び掛けに一瞬、オービタルもまた、覚悟を決める。
カイトとオービタルは一蓮托生。ミザエル戦でもそう言ったように、カイトが自分をあてにしてくれるなら命なんて惜しくない。
「この小娘は命に代えてでも、オイラが守るであります!!」
「当たり前だ」
「相変わらず酷い!それでこそカイト様!!」
一通りオービタルに命令を出した後、ココアを見る。
その瞳には熱き闘志と覚悟が込められている。これぞ決闘者の目だ。
「見ておけ、ココア。これが決闘者の世界だ」
自分はきっと、ここで散る。
だからミザエル戦で遊馬に託したように――ココアに自分の意志を託し、その魂に決闘者としての生き様を刻み付ける。
「ココア。これから先、お前にはもっと過酷な試練が訪れるかもしれない」
自分の命はここで燃え尽きるだろうが、聖杯戦争は終わらない。
そして聖杯戦争は常に命懸け。ココアを無事、チノの元へ帰してやれないのは残念だが……自分が消えたからといってココアに挫折させるつもりはない。
「どんな過酷な運命でも諦めるな。俺は残酷な運命に抗い、かっとビングで乗り越えた男を知っている!」
九十九遊馬。
かっとビングという言葉と共にカイトから教わった決闘者のことをココアは思い浮かべる。
「……うん!私、絶対に諦めないよ!!」
だから――
「だからカイトさんも、自分の命を諦めないで!」
それはココアが心から望んだ願い。
令呪を使ってまで呼び掛けられたその願いにカイトは「フッ」と笑った。
――本当にこいつは、遊馬と似ている
◆◆◆◆◆◆◆
1470
:
名無しさん
:2022/02/26(土) 09:21:55
セイバー達から提案を受けてクロスボウを手にした春花は、少しの間だけ逡巡する
ココアを自らの手で殺める、その行為に一瞬だけ手が止まったものの、
すでに自分の手は数多の血で濡れていることを思い返し、聖杯を勝ち取る決意を抱いた以上は一切の迷いを捨てて弓を構えた
カイムとアンヘルが敵の注目を集めるように動き回っているため春花への警戒は弱まっている筈だ。
このチャンスを逃さぬように春花は素早く矢を解き放った
しかし真っ直ぐ飛翔する矢尻は、ココアに直撃する前にオービタル7によって防がれてしまった。
カイト達はお人良しではあっても、春花の覚悟を見くびることなく、十分に警戒をしていたのだ。
続けざまに矢を放つも防がれる、埒が明かないと判断して近寄って直接ナイフで刺そうとしても、
オービタル7はココアを乗せて逃げ回る。
2人の英霊は戦い続け、剣閃が煌めき、モンスターが召喚され、竜の咆哮が激突した。
そして決着がついた。
◆◆◆◆◆◆◆
今まで、歪んでいた時空が元に戻る。それはデュエル終了の合図。
勝者はカイム。最終的にモンスターやトラップを潜り抜けてカイトへと肉薄し、一太刀を浴びせた。
「カイトさん!」
本来ならカイトは消滅していただろう。だが、ココアのカイトに生きて欲しいという願いの令呪が発揮し、カイトを存在させていた。
しかし、その一撃はデュエルでいえばライフを0にするに十分すぎると、カイトか、または決闘者の神か…
世界がそう判定し、デュエルが終了したのだ。
ココアの残りの令呪は無し。元々、今後の戦略を考えて温存するなどと考える性格でも無い。
全力でカイトの生存を願って放たれた令呪により存在しているカイトだが、
まだ僅かながらも余力を残しているカイムに敵う術はない。このまま何もしなくても致命傷によりじき消滅するかもしれない。
デュエルは終わったが、聖杯戦争としての戦いは互いの闘志が続く限り終わらない。
ここから続くのはデュエルと認識されない、どちらかと言えばカイムのフィールドである残酷な泥仕合。
カードを使用することはできるが、この場では、アーチャーであると同時に「決闘者」であるカイトの能力は弱まり、効果は弱まる。
しかしカイトは諦めない。
カイムは未だに目に光を失わないカイトを両断するべく剣を構えた。
◆◆◆◆◆◆◆
1471
:
名無しさん
:2022/02/26(土) 09:22:26
だがその直後、銃声が鳴り響く
ココアを狙った数発の凶弾…予想外の攻撃だったが、ココアを命にかけて守ると誓ったオービタル7が、盾になりココアを守り、破壊された。
「オービタルさん!」
予想外の攻撃だった。もしもココアが決闘前と同じ位置に立っていれば被弾していたかもしれない。
ココアが生きていたのは勿論オービタル7が警戒を怠らなかったことが一番の理由だが、もう一つ理由があった。
決闘中に春花はココアとオービタル7をナイフを持って追いかけまわし、それからココア達は逃げていた。
歪んだ時空内で激しく移動したことにより、空間が元に戻った際に出現した位置や角度が僅かにズレていたのだ。
そのおかげでオービタルは銃撃する乱入者、半グレ集団のリーダー・相馬和樹がこちらを狙っている事に、攻撃の一瞬前に気付くことができたのだった。
◆◆◆◆◆◆◆
レジィと相馬和樹は相対する2人の主従を見た。
元々は同盟を視野にいれた接触を考えていたが、争っているなら片方、または両方落としておく絶好の機会でもある。
いや、片方が敗北して消滅したところで登場し、生き残った片方と交渉、もしくは追い打ちを行うのが得策か。
そう考えながら死角からの不意打ちの準備もしつつ、潜伏の体勢をとっていたのだが…突如空間が歪んだように曲がった。
さして時を置かずに再出現した主従、片方は満身創痍、疲弊しているようだった。
そして、出現した位置は何故か先ほどより若干ズレていた。
それにより、片方の少女の傍にいるロボットが、潜伏中のこちらに気付いたようだった。
相手から補足されたことで即座に潜伏から攻撃に切り替えた相馬は、少女にレジィの能力で再出現させた宝具化した拳銃で攻撃を仕掛けた。
しかし一瞬早くこちらに気付いたロボットが身を挺して盾になり、銃弾は少女に当たることなく防がれてしまった。
動いたのは満身創痍の英霊。
まだそんな力が残っていたのか、とレジィが思わず感心する速度で、英霊は腕に取り付けている装置から何かカードのようなものを引き出した。
そのまま英霊は体が崩れるのも構わずに何事か、呪文のようなものを叫んだ。
閃光がその場に満ちた
◆◆◆◆◆◆◆
1472
:
名無しさん
:2022/02/26(土) 09:23:17
『No.62 銀河眼の光子竜皇(ナンバーズロクジュウニ ギャラクシーアイズ・プライム・フォトン・ドラゴン)』
カイトは最後にその宝具を発動した。いや、正確に言えばデュエルで敗北する前に既に発動していたのだ。
デュエル中に召喚が行われ、破壊されたモンスター。
ここで行われているのが本来のデュエルであったなら敗北した時点で最早意味を失っていただろう。
だが聖杯戦争の場では、デュエル外の場面でも残った効果―――戦場から離れた後の再出現―――が発動できた。
いや、もしかしたらそんな理屈を超越して、カイトのココアを守る意思が、ギリギリの条件での抜け道を実現したのかもしれない。
銀河眼の光子竜皇はカイトの攻撃宣言により、レジィ達のいた方向に全力のブレスを吐き、周囲を吹き飛ばした。
◆◆◆◆◆◆◆
満身創痍に見えたサーヴァントから放たれた予想外の大技での反撃。
そしてまだ余力を残しているセイバー達の存在に、不意打が失敗したレジィ達は一時退却した。
当人相手ではないとはいえ漁夫の利を狙って不意打ちを仕掛けた直後だ。
厚い面の皮で同盟を提案するにしてもタイミングが最悪すぎるとの判断だった。
この場で戦闘直後の疲弊した主従に攻撃を仕掛ける事も考えたが、昼間から放たれた今の派手な攻撃が人目を引きすぎる。じきに人も来るだろう。
自分達が手に入れた最強の『契約書』、これを使用すればどうせ人目を引くことになるのは避けられないのだが、
この切り札は可能ならば聖杯戦争終盤まで温存しておきたい。
いつか聖杯戦争が進み、互いに生き残り相対するようなことがあれば、この切り札で相手をしよう…そうキャスター陣営は考え、
この場は撤退した。
春花とカイムは、魔力の消耗による疲弊により倒れたココアを眺めていた。
もはや令呪を失ったマスター。脅威にはならない…だが、聖杯戦争には再契約というシステムがある。
聖杯の存在を知ったココアが再び新たなサーヴァントと手を組み、聖杯戦争に復帰する可能性も、低いとしても完全に0にはならない。
また、自分達主従の情報が他の陣営に漏れるかもしれない。
カイムは、剣を抜きかけたが
「行こう。セイバー。」
「……」
カイムは少し動きを止めたあと、春花の声に従いその場を離れた。
【天城カイト(ライダー)@遊☆戯☆王ZEXAL 死亡確認】
1473
:
名無しさん
:2022/02/26(土) 10:32:17
>>1472
「カイト様……。オイラの活躍、見てくれたでありますか……?」
極度の損傷でその機能を終える寸前、オービタルは最期の力を振り絞ってカイトにそれだけ聞いた。
「――よくやった、オービタル」
カイトの労いの言葉を聞いて、オービタルは遂に機能を停止する。
ココアの願いとオービタルの犠牲。そしてココアを守り抜くという鋼の意思と決闘者としての闘志。
様々な要因が重なり、カイトは瀕死の状態でも強引に体を動かした
決闘の邪魔をし、なんだかんだずっとカイトの傍らに居たオービタルを破壊した乱入者――セイバーとカイト、二人の決闘者の誇りを踏み躙った彼らに全身全霊の一撃を叩き込んだ
自分の命はここで燃え尽きるが――カイトには託せる者がいる
「ココア……後はお前に託す。運命に屈するな……。チノや仲間と共にお前達の手でこの聖杯戦争を……悲劇の連鎖を止めてやればいい……」
瀕死の状態でココアに後を託し――そしてカイムと春花に目を向ける。
「セイバーとそのマスター……お前達も自分の運命を諦めるな」
それはプライムフォトンの攻撃宣言を行い、自らが消滅する寸前の言葉。カイトは最期まで自分以外の人間のことを気遣っていた。
セイバーは敵のサーヴァントだが、同時に熱い決闘を繰り広げたライバルでもある。
そして彼が根っからの悪人ではないと思ったし、そのマスターもココアと仲良くしているのを知っていたからカイトは最期に彼らに向けて語り掛けたのだ。
春花がココアを見逃したのは、もしかしたらココアに対する複雑な思いだけでなくカイトが散り際に残した言葉も多少は影響しているのかもしれない
1474
:
名無しさん
:2022/02/26(土) 18:48:51
>>1472
カイトが最期に放ったプライムフォトンの一撃
それは敵のサーヴァントやマスターを倒すには至らなかったが、ココアを守るという意味ではこれ以上なく作用していた。
「おい、なんだあれ!」
「ワオ」
ココアを探索しようとしていた巧と雲雀が真っ先に気付き、反応した。
レジィ達が危惧していた通り、この派手な攻撃は人目を引く。
それはココアを探している炭治郎達にも届き、何事かと駆け付けた彼らは結果的にココアを見つけることに成功する。
ちなみに巧のマスターであるピーターも同行中。悩んでいたところにプライムフォトンの一撃による余波による轟音が聞こえ、なんだかんだ行かざるを得なくなった。迷いこそあったが、やはり彼は根っこがヒーローなのだろう。
「大丈夫ですか!?ココアさん!」
炭治郎が疲弊して倒れ伏すココアに必死に呼び掛ける。
まだ息はあるようだが、凄まじい疲労だ。ココアはなかなか目を覚まさず、雲雀を除く三人で話し合って炭治郎がココアを背負い、この場から離れることにした。ちなみに雲雀が話し合いに入っていない理由は単純に彼がそういう性格だからだ。
しかし激戦の末に生き残ったであろうココアを多少認めている節はあり、興味がないわけではない。
炭治郎以上にひ弱そうな小動物だが――小動物が決して弱いばかりの生き物ではないことを雲雀は知っている。
周囲にサーヴァントの気配はない。この小動物がマスターだとするなら、きっと負けたのだろう。
勝負に敗北こそしたが、五体満足で生きている。不思議な結末だ。
サーヴァントを失ったマスターをわざわざ生かすメリットなんてない。それでもこの小動物がこうして生きているのは、サーヴァントが自分の命を燃やし尽くしてでも相手を撤退に追い込んだか。
それとも相手に何か思うところがあり、小動物だけを逃がしたのか。
それこそ沢田綱吉のようにこの小動物が覚悟を見せたか、譲れない誇りのために戦って相手の心境を多少は変化させたのか――色々な可能性が浮上するが、考えても仕方ない。
自分と契約した小動物もこの小動物を保護するだろうし、この目で直接見てやれば良いだけだ
「急にココアさんのことを見てどうしたんですか?アサシンさん」
「別に大したことはないよ。その小動物に少しだけ興味が出ただけさ」
「お前、こんな女の子とも戦うつもりかよ!?」
突っかかってくる巧を無視して雲雀は続ける。
「小動物は時として弱いばかりの生き物ではない。小動物には小動物の生き延び方がある
――だから僕はこの小動物がどうやって生き延びるか興味があるだけさ」
そして疲弊したココアは「チノちゃんは私とカイトさんとオービタルさんが守るからね」「お姉ちゃんビングだよ、私」と寝言を呟いていた
1475
:
名無しさん
:2022/02/26(土) 20:28:24
三日目 正午
太陽が天高く昇り、人々の活気に満ちて、食欲をそそる香りが漂う頃合いに
突如として聖杯戦争の参加者にのみ、現実とは異なる光景を観覧する
映されたイメージには16枚のカードが並んでおり、各々にクラスを冠するサーヴァントの姿が描かれている
その内の数枚が整列したカード群から一枚一枚とこぼれ落ちる
アーチャーのカードが2枚、ランサーのカードが1枚、アサシンのカードが1枚、深淵へと沈みながら燃え尽きるように消滅した
このイメージ映像を見ている者にとっては数十秒程度の体感であったが、現実世界では一瞬の時間しか経過していなかった
この映像は暗示である、消えた4枚は聖杯戦争から脱落したサーヴァントであり、いまだ健在の12枚がまだまだ続く闘争の中に囚われた英霊たちである事を示している
これは何者かの仕業か、あるいは聖杯の采配か、とにかく今も生き残っているマスターに全体的な状況を大まかに知らしめたのだ
1476
:
名無しさん
:2022/02/26(土) 21:30:56
3日目 レムリア島 昼頃
レムリア島に到着したバッター(と、人形兵たち)。
何やら遠くで大きな音が聞こえたり騒ぎが起こっているようだったが、バッターはこれをスルーした。
今のバッターの使命は質の良い木材を手に入れる事だけなのだ。
とりあえず木のある場所、ということで遠目で見て立派な木が生えている山に向かった。
そちらに向かう道の途中に門があり、見張りがいる。
どうやらここはこのあたりの地主の山らしい。
山の中まで入って物を取るには地主の許可がいる、とのこと。
どうやら、周辺より良い物が手に入りそうだという勘は当たっていそうだ。
少しばかり木材を手に入れたい。試しに言ってみるが、ただの薪を拾いたいなら他所に行きな!とにべもない。
「ここのオーナーとは友人だ。通してくれ。」
出まかせを言うバッター。そこにたまたま地主がやってきた。
50か60歳程に見える地主は見張りの報告を受けて何をバカなことを…という顔でバッターを見てしばらく沈黙した後、
「ああ、彼は私の友人だ…通してよろしい。後で久々にお茶でも飲もうじゃないか…。」
と言ってバッターが山に入るのを許可した。
(念話)
マズルカ「キミ、彼と知り合いなのかい?」
バッター「知らん。」
マズルカ「え?…まさか…キミも他人のマナを操る魔術を使うのかい?」
バッター「そんな力はない。遊園地と同じ手が使えないか試しただけだ。何故あの男は虚偽に乗った?」
マズルカ「私が知りたいよ…。」
(念話終了)
奇妙すぎる事だったがバッターは気にせず山に入っていった。
山は奥に行くほど瘴気の気配が強くなり、ムー島の街中では見かけなかった「魔物」も出現した。
バッターは人形兵と連携を探りながらこれらを倒し、使えそうな魔物の素材を剥いだ。
そして山の頂上で巨大な樹木の化け物との戦闘の末これを撃破(戦闘省略)。
十分な量の魔力の籠った最高級木材を手に入れたのだった…。
(念話)
マズルカ「そっちの周辺は異様だね。植生といい、魔物の強さといい…。」
バッター「これがマナ溜まりというやつか?
この魔物達は島の連中を襲わないのか?」
マズルカ「ここからじゃ何も分からないね。縄張り意識が強いのかな?」
バッター「異様な土地だ。
何かが隠れていてもおかしく無いな。
用事は果たした。帰還する。」
(念話終了)
山を下りたバッター。そこに待ち構えるように見張り達が立つ。
「地主さまがご友人方をお待ちです。どうぞこちらへ…。」
「すんなり帰れそうにないな。」
地主の屋敷で客間に通されたバッターに席を薦め、地主が話しかける。
「良い収穫はありましたかな?もしかして貴方…聖杯を欲するマスターでは無いですかな?」
「何者だ。」
ムー島の地主は語る。
かつてムー島とレムリア島に聖杯を巡る争いがあった事。
彼はマスターではなかったが、マスターの1人に協力する見返りに商売敵を排除して、結果的に今の富を手に入れた事。
最近のムー島・レムリア島の騒ぎや奇妙な事件から、聖杯戦争の気配を感じ取った事。
人形兵を引き連れるバッターの雰囲気から、島の住人とは異なる異様な雰囲気を感じ取った事。
協力の見返りに再び富を得たいと考えている事、など。
「どうですかな?」
「……」
(どうする?)
(…地元の領主を味方につけるメリットはある。私も昔…いや、その話は後で…。
…私はキャスターだけど、陣地を構築して迎え撃つタイプじゃない…どちらかと言えば旅団を使って敵に攻め込むタイプなんだ。
あまり目立つ拠点を作っても集団で袋叩きにされそうだし…それにこの男はあんまり信用できなさそうなんだよなあ。)
(同感だ。)
「ささ!お茶をどうぞ!この茶葉は他の空島から取り寄せた一級品でしてなあ!遠慮なさらず!」
「強欲な地主殿。胡乱で悪趣味な語り部達に弄ばれる覚悟はあるか?」
「な、なんですと?」
「これ以上表舞台に上がらないことがお前にとっての救いとなるだろう。
木材の代金だ。受け取れ。」
バッターは代金替わりに、山で倒した魔物の骨や牙などを置き、背を向けた。
「ひひひ…これで私も、マっ、マスターに…」
地主はバッターの背にナイフを突き出した!しかしバッターは身を翻し、バットで地主の頭蓋を粉砕!
…は、せずに寸止めした。
地主は恐れ慄いて失禁した。
「ひ、ひぇええええ!!」
「お前に用事は無いが、山にはまた来るかもしれん。入っても構わないか。」
「おおおおお仰せのとおりにいいいいい!!命だけはああああ!!」
地主はドアから一目散に廊下へと逃げて行った。
バッターは帰ることにした
が、その前に…屋敷の奥に地主の部屋を見つけた。
書棚には空島に関する本や、聖杯戦争について調べようとしたのか、オカルトについて書かれている本等が並んでいる。
バッターはそれらを適当に人形兵に持たせた。
山の入り口を覗いてみると、門が開いていた。
元・見張りの男「もうここを誰が通っても止めるなってさ。
やることが無くなったから、これからは別の仕事をやらされるんだ。
楽でいい仕事だったのになあ。」
【設定追加:過去の聖杯戦争の関係者は島に存在しうる。】
【設定追加:レムリア島には魔力の高い環境の森がある(炭治郎の炭焼きの仕事には関係ない)。
地主の土地だが、現在は行き来が自由になっている。
そこそこの強さの魔物が生息しているが、人里には下りてこない。】
1477
:
名無しさん
:2022/02/27(日) 09:28:57
レムリア島の山にて、高品質の木材や魔物の肉などを手に入れ、地主の館から出てきたバッター。
途中で何か幻(
>>1475
)を見た気がする…。
飛空艇乗り場に向かおうとしたところで、マズルカから念話が入った。
『マスター、飛行艇の出るまでにはまだ時間がある。
船に乗る前にその島の炭焼き小屋に行って欲しい。』
マズルカの示す炭焼き小屋は今いる地点からそこそこの距離にある。
『なぜだ?そこにマスターがいるのか?』
『炭を買ってきて欲しい。』
『…ムー島の商店でも買えたぞ。
…特別な炭か?』
『いや…生産者から直接まとめ買いしたほうが安く済むかなって』
『……』
『人形の修理とか武器の錬成とかってお金かかるんだよねえ…。
馬車小屋も宝具だから魔力でなんとかできるけど節約したいし。
はぁ…今思うとドロニア様はすごくしっかりしてたんだなあ…。
…ううっ、今になって地主のコネが惜しくなってきた…。』
突然、バッターの頭に念話で歌が流れ込んできた
家計は大事の歌
作詞:マズルカ
歌:マズルカ
『家計〜は大事〜
お買い物に〜い〜く〜
おつりでおイモを買〜う〜
バレて〜おこられる〜
違いますドロニアさま〜
おイモはごはんだから〜
これは必要なもの〜
無駄づかいじゃな〜い〜
無駄づかいじゃないんです〜』
『……』
バッターの頭に念話で更に歌が流れ込んでくる
おかねをためるのうた
作詞:マズルカ
歌:マズルカ
『なぜ〜おかねは
『わかった。炭を手に入れる。』
1478
:
名無しさん
:2022/02/27(日) 10:07:17
>>1477
バッターがキャスターからの唐突な注文により、町外れの炭焼き小屋に立ち寄って木炭を大量に購入、今度こそ飛空挺乗り場に向かおうとした
「ちょっとそこのキミ、待ってはくれないか」
が、その途中で横から声を掛けられて立ち止まり振り向く
そこには仮面を付けた軍服の男が立っていた、明らかに怪しい
「一人の地主さんが軍基地に来てこう言ったんだ」
『バットを持った男に脅された!しかも大人数の仲間を引き連れて!私の資産を奪っていったんだ!』
『奴はマスターだ!奴を捕まえて奪われた物を取り返してくれ!!』
「とね。門番たちは取り合わなかったが、たまたま私がその場にいてね」
「彼から詳しいことを聞いて、それでキミを探したわけだ」
あの地主がまさかそんな行動を取るとは予想しなかったが、今はそれより目の前の仮面男に最大限の警戒を向ける
その地主が口にした「マスター」という単語、それは一種の暗号となりごく一部の人間に情報をリークする
つまりは目の前にいる仮面男は聖杯戦争の参加者だ、その証拠に彼の傍らには従者たる長身の男が姿を現したのだ
バッターは迷わずバットを構えて人形兵達にも戦闘態勢を取らせた
だが長髪の男が何やら詠唱を唱え終えると、バッターが足を踏みしめる大地が急に大きく動き始めた
―――それはセフィロスが「魔術」のスキル(本来は「まほう」のアビリティ)で唱えた土属性魔術「クエイク」であった
その一発の攻撃で人形兵との連携は取れなくなり甚大なダメージを与えられてしまった
1479
:
名無しさん
:2022/02/27(日) 17:35:00
>>1478
突然の広範囲魔術によって出鼻を挫かれたバッターだが、咄嗟に動いた人形兵の助けもあり軽傷で済んだ
しかし人形兵の多くは大なり小なりの損壊を受けており、まだ動かせはするものの集団戦を十全に行えるほどではなかった
(マスター、何かあったの!?)
(サーヴァントに襲われた。俺は無事だが、人形兵を少し消耗した)
(なんだって!?これは相当マズい…マスター、令呪で私を呼ぶんだ!!)
(……わかった)
敵は余裕があるのか、何故かこちらに攻撃を仕掛けてこなかった
その間にバッターは令呪を使い、キャスターを傍に呼び寄せた
「おや?令呪はそのようにも使えるのか。すぐ近くにサーヴァントがいると思っていたが、どうやら違ったらしい」
「そこの仮面のマスター、いきなり襲い掛かるとはどういう了見だ!」
「我々が行っているのは聖杯戦争だろ?ならば敵情を知るのも戦場の常だよ」
「もっとも、こちらが声を掛けただけでそちらが臨戦態勢になった、だからこちらも対処しただけだが」
「…マスター、それホント?」
「あれは明らかに敵だ」
「どうやら私は嫌われているみたいだ。本当ならば君達と情報を交換して敵と味方を判別し、できることならば手を組みたいと思っていたが」
「…いいや、残念だけど先約があってね。それに、貴方みたいな胡散臭さプンプンな奴と手を組んでも、どうせろくな事にならないだろうし」
「仕方がない、フォーリナー、今度は手加減なしでいいぞ」
「了解」
その言葉を合図に、マズルカが指揮する人形兵団と一人の剣士が激突した
昨晩の戦いからずっと人形兵を作り直していたので人形兵の数は充分、バッターに預けていた人形兵も『妖路歴程』の魔力で幾らか修復して戦線に復帰している
先程のような魔術を詠唱させないように人形兵達に連携を取らせている、前衛が絶え間なく攻撃を繰り返し光栄が隙を与えぬように狙撃する
しかし相手は一騎当千の英傑なり、今度は詠唱する素振りを見せずに一本の長刀を携えて華麗に人形兵の攻撃を捌いていた
ならばマスターを狙うのはどうか、しかしそれも対策済みなのか仮面の男の周辺に黒い球体が複数浮遊しており、マスターに迫る攻撃や人形兵を迎撃している
フォーリナー、セフィロスにしてみれば一体複数の戦いは慣れている、ウータイとの戦争で数々の武勲を立てた英雄だからこそ敵兵の役割を理解し動き方も読めている
ただし今回は守らなければならないマスターがいる、そのためシャドウフレアを展開して空間認識能力に長けたクルーゼにその操作を譲渡している
人形兵の連携も上手いためそう簡単に突破はできないが、それでも徐々に人形兵を斬り伏せて数を減らしつつ敵の本丸に迫りつつあった
マズルカは自分およびマスターの周辺に「ピアフォートレス」などの護衛戦力を少し配置して残りを敵サーヴァントに集中攻撃を仕掛けていたが、徐々に頭数を減らされていき焦燥感を抱いていた
まだ投入してない人形兵もあるため戦力を増強することは可能だが、どちらにせよ戦闘に特化したサーヴァント相手では何時までも持ちそうにない
このまま戦い続けても厳しいと判断し、バッターが背後にいることを確認して一気にカタを付ける覚悟を決めた
「宝具解放!魔女ノ旅団よ!こいつらをぶっ倒せえ!」
対軍宝具『魔女ノ旅団撃』、人形達に込められた魔力を解放して放つドナム(魔術)の必殺技
広範囲に炎と無数の斬撃を放つ大技であり、いくら優れた英霊だろうとマスターを含めて防ぎきるのは無理なはずだ
徐々に劣勢になりつつある中での逆転の一手により敵がいた一帯に安全地帯はなくなった、はずだったが
「間一髪だったな、マスター」
「ああ、流石に私も肝が冷えた」
「うそ!躱された!!」
キャスターの渾身の一撃から離れた上空にて、漆黒の翼を一枚備えたフォーリナーが自分のマスターを抱えて浮遊していた
フォーリナーは目の前の人形兵達が一斉に魔力上昇を増大させていることを感知し、相手が宝具を使ってくると判断して自身も『片翼の天使』を発現させた
飛行能力と機動性アップにより素早くマスター・クルーゼを回収し、敵勢力の攻撃範囲から逃れたのであった
そしてこの時、キャスターとフォーリナーは相手の真名を看破した
長刀を使う長身の男であり、その特徴的な『片翼の天使』、その真名は星を滅ぼしかねない高次元生命体ジェノバの因子を宿した最強のソルジャー「セフィロス」
手に持った本型の宝具から数多くの人形を使役し『魔女ノ旅団撃』で敵を蹂躙する、厄災振りまくオオガラスを倒すために時間に干渉した大魔女「リマージュ・マズルカ・エルマ」
互いが互いの正体を把握したところで、この戦闘は第二ラウンドへと続いていく
1480
:
名無しさん
:2022/02/27(日) 17:51:42
>>1472
序盤から中盤への転換点となった名戦だと思う
サーヴァント達の決闘からマスターも巻き込んだ決闘になり、水を刺されてもなお意地を見せる
このあと春花が三日目の間中この戦いを引きずるのも好き
1481
:
名無しさん
:2022/02/27(日) 19:58:23
>>1475
胡桃は今しがた体感した白昼夢を明さんにも話して思案する
自分達の知らないところで聖杯戦争が着々と進んでいる、そこにはちょっとした疎外感や焦燥感も生まれていた
同時に、今朝学校に姿を現さなかった虎杖のことも気になった
キャスターの話だと虎杖はマスターであり、自分の知らないところで戦っていて、何か不味いことにでもなったのか
あの映像だけでは詳細まで把握できずに歯噛みする胡桃に対し、明さんは一つ提案をする
今日の夕方に行われるという公開処刑、あれはここ最近の非常時とはいえ明らかに度が過ぎている
もしかしたら聖杯戦争が関わっている可能性が高いと睨み、ならばそれについてどうにかして探ってみないか、という内容であった
他の参加者に動きぐないかを全体的に観察し、またそこに現れるかもしれない虎杖を探して自分の目で真相を確認すればいい、と
一方、医者とゴブリンは宿屋襲撃から撤退後に休息と情報交換を行い、イメージ映像について語らいつつ次の行動を考えていた
ちなみにだが、医者はすでにギャングと縁を切っている
ギャング達を纏めあげられたのはアサシンのスキルによるところがあり、アサシンが脱落したあとは医者による統率は難しかった
なので医者とゴブリンは傀儡にしていたギャングのボスや幹部などを殺し(魂食い)、今は別の場所に潜伏していた
それはさておき、医者達も夕方の処刑を耳にしている、そして明らかに戦争戦争の参加者を誘う罠だと予想していた
なので二人もそれに乗っかるつもりであり、状況を観察しつつ、もし騒ぎが起きるならばゴブリンが更に盛大にするつもりであった
それと、医者はまりなについても一応ゴブリンに話していた
アーチャーを失いただの力のない少々になったが、自分やゴブリンを憎んでおりまだ足掻き続けている可能性があると
万が一に他のサーヴァントとの再契約を果たす可能性もありえるが、彼女にはもう猶予がないと
なにせ医者が仕掛けた期限は約2日、明日の朝日を拝む前には死の運命から逃れられないからだ
1482
:
名無しさん
:2022/02/28(月) 09:01:34
戦闘を優位に進めたクルーゼとフォーリナー・セフィロス、
体勢を立て直している魔女の旅団、その隙をつくこともなくクルーゼはバッター達に語り掛ける。
旅団側も度々攻撃を仕掛けるが、守りに徹するフォーリナーには一部の隙も無く、
逆にお返しとばかりに人形を破壊され、陣形を崩される。
そして睨み合いながら、膠着状態、というより、キャスター・マズルカ側にとって不利な状況に陥った。
自然とクルーゼの『提案』を聞く状況になる。
クルーゼは己のこの聖杯戦争でのロール、レムリア島で軍人を束ねる隊長の身分を明かした。
そしてムー島にいる「軍の役職者」や「巨人のサーヴァントのマスター」が組んでいる事、
(さすがにホメロス司令やシャアだということまでは明かさなかった。)
いずれ残るだろう有力候補であるこの2騎を倒すため、自分の側にも協力者となる主従を求めている事を語った。
そして、時が来てこの2騎を倒すまで同盟を組まないか、ともちかけた。
「ふん!色々胡散臭いけど、『時が来る』までに両島で戦争でも起こすつもり?」
「おや、気付いたか。最も効率的な方法だと考えているよ。」
万能の願望機、それを巡る争いと考えれば2つの島など小さな規模かもしれない。手段も選ばなくなろう。
しかし、実際に戦っている関係者は残り12名、サーヴァントを入れても24名でしかない。
そんな少人数を狩るために軍を巻き込み戦争を起こすなど、正気の沙汰ではない。
「聞くだけ無駄だったね!旅団よ―――」
「その提案。呑もう。」
「なっ―――!?」
戦意を奮い立たせたキャスターだったが、マスターの発言に驚愕する。
「いずれ全てのサーヴァントを倒す。俺は使命を果たさなければならない。」
「それは……でも!」
「ふむ、話のわかるマスターで助かるよ。」
「だが、条件がある。」
「条件、とは?」
「贖罪だ。」
バッターはクルーゼを、表情のよくわからない顔で直視した。
「『隊長』殿。お前はこの世界で果たすべき使命を、放棄するに飽き足らず穢している。
まことの命に目覚めたといっても、その行いは醜悪に過ぎる。」
「…何が望みだね?」
バッターは区分けされた世界、「ゾーン1」「ゾーン2」「ゾーン3」を維持する守護者、ガーディアン達を倒して世界を浄化し、虚無に帰した。
彼らは強敵であった。そしてバッターを彼らを殺した。
後悔など微塵もない。バッターにとっては使命の邪魔になる障害物に過ぎない。
ただ、彼らの与えられた使命への真剣さは、疑いようのないものだった。
クイーンに任じられたガーディアン達は世界を存続させる使命を真剣に受け止めていた。
時に非道な方法も用いていたが、各々の方法で世界を維持するために命を懸けていた。
ゾーン2のガーディアン、ヤフェトは使命を放棄し自らの世界を破壊してしまったが、
それだって深い苦しみと葛藤で絶望した故の行動だった。
決して、使命を軽く考えていたわけではない。
「権力を欲するのも、軍の私物化も、強権の発動も結構。だが―――」
「お前はレムリアの守護者でありながら、ムーの悪意と手を組むという愚行を犯した。」
「使命に対しての贖罪が必要だ。」
「すぐにでもムーにいる『敵』を倒しに行け。
守護者としての使命を果たすなら、『巨人』の相手は請け負おう。」
レムリア島とムー島、この島の発生の経緯などバッターは知っているわけでは無い。
だが互いに軍隊を有するこの島々がこれだけの近い距離にあり、平穏を保っている。
それは偶然の部分も多いのだろうが、互いの軍や統治者の努力のもと、危うい平穏が保たれていたのではないか。
エルセンのような、いくらでもいる労働者ではない、
その島々の軍人の要職者、
この世界の王だか、議会だか、民だか、神だか知らぬが、とにかく島の『守護者』を任された者達。
彼らが元の世界の記憶を取り戻した途端、その役目を利用して島を破滅させようとしている。
部外者でしかないバッターにとっては、それは義憤に駆られる、とまでいかずとも、軽蔑する行いであった。
そんな連中と手を組み事など、バッターにとってはありえない選択肢だ。
そしてバッターが要求するのは、同盟相手への裏切り。
ムー島にいる戦争を起こそうとしているマスター、そいつを叩け、ということだった。
「ふむ、使命…役割に殉じろ、ときたか。
となるとまずはこの島の治安を乱した君達を排除せねばならないわけだが。」
「それもいいだろう。」
クルーゼは肩を竦めた。
「申し訳ないが君達にそこまでの価値を感じないな。この世界の仮初の役割を重視するその考えも私達とは相容れない。
また別の協力者を探すとするよ。」
バッター達も応じた。
「分かった。」「人形兵っ!」
マスターの交渉が終わったと判断したのか、フォーリナーが攻勢に移る。
旅団も応戦するが、先ほどの二の舞になると思われた。
マージナルメイズ達がドナム発動の体勢をとる。クルーゼを庇いつつフォーリナーが攻撃に対処するよう構えをとるが、
何故か、マージナルメイズ達は「バッターへと」ドナムの攻撃を放った。
「 喰 ら え 。 」
1483
:
名無しさん
:2022/02/28(月) 09:02:07
「 喰 ら え 。 」
マズルカホーーーーーーーーーーーーーーーームランッッッッッ!!!!!
バッターはドナムを打ち返した!
燃えるドナムの炎が一点にまとまり流星のように通り過ぎる!
ちなみに反射系ドナムは攻撃を食らったらダメージを数倍にもして跳ね返すドナムだけど
1ターンしか保たないし属性が指定されてるし対象が自カヴンだけだったりで普通に使いづらいぞ!
でも他の魂たちは「これで勝てます」みたいなコメントが多い!みんな使いこなしてて凄いね!
1484
:
名無しさん
:2022/02/28(月) 09:03:03
「マズルカホームラン」…これは虎杖との戦いでの敗北や、山での魔物との戦いを通してバッターが編み出した技である。
マスターである自身が人形達と戦うには自身が前線でバットを振るうより、
人形達を後方から支援する形が望ましいと考えたのだ。
反射のドナムをかけた「マズルカのバット」で人形兵のドナムを、何倍にも増幅して打ち返す。
その威力はすさまじく、直撃した木の幹が大きく抉られて倒れた。
天才的な魔術師であるキャスターの作成した武器で、人形兵の力を束ねて利用した攻撃である。
当たり所が悪ければサーヴァント相手でも部位損失(クリティカル・ゴア)を受けかねない攻撃。
しかし編み出したばかりの攻撃は悟られ、回避した上でブリザガで防御され、軌道を逸らされた。
「大した威力だが、大振りだな。当たらねばどうということもない。」
「次こそ当てる。」
初見の一撃を防がれたのは厳しい。しかしキャスター達の闘志に呼応するように、
人形兵達が追撃を仕掛けた。
1485
:
名無しさん
:2022/02/28(月) 12:58:48
聖杯戦争開始から3日目の朝方にムー島に戻ったホメロスは件の公開処刑の指示を出した後で執政室にて仮眠をとっていた
レムリアからとんぼ帰りした後も部下からの報告とそれに対する指示を逐一出していたのでさすがに疲労が蓄積していたためである
同伴していたシャアにはこれからムー・レムリア両島で戒厳令を敷く正当性を担保するための声明を出してもらう手筈となっている
一通りの工作を終えてようやく休息をとっていたのだが思わぬ邪魔が入ることになった
聖杯戦争の経過を示すイメージ映像が仮眠中にも関わらず入り込んできたのだ
「・・・何者か分からんが一応情報提供感謝する。姿を直接見せんのは少々腹立たしいがな」
不機嫌そうに目を開けながらホメロスは呟く。彼はこれを自身をはじめとするマスターたちをこの場に招いた者による仕業と判断
聖杯戦争を企図した者からの情報ゆえに信憑性は高いと考える。もっとも何が狙いで自分たちを聖杯戦争に招いたのか、如何なる手段で脱落したサーヴァントを把握しているのか未だ不明だがこちらは追々調査する予定である
「既に1/4のサーヴァントが脱落。我々の情報網に引っかかったマスターも増えている。まずまず順調といった所か」
現在ホメロスが把握しているマスターは自身と同盟を組んでいる二人・レムリア軍部を襲撃した半グレ集団のリーダーと思われる男・バーサーカーが交戦したという謎のスーツの男(ピーター)・喫茶店のチノという少女の計6人。また先の宿屋で発生した騒ぎでチノと行動を共にする少女が二人いることが
>>1454
の報告で判明しておりこちらも聖杯戦争参加者の可能性がある
クルーゼ側からの情報も多分に含まれているため鵜呑みにはできないが上々な成果といえよう
当初の想定とは異なる形だがシャア高官の後ろ盾が手に入り、強引な軍の行動への市民の反発も数々の暴徒のテロ行為と異様な事件への恐怖のために下火となっているため今後はさらに動きやすくなる見通しだ。ゆえにマスターの関係者の公開処刑などという暴挙をこのタイミングで決行することにしたのだ
店主を救出しようとするチノら少女達と騒ぎに便乗しようとする者をまとめて燻り出すために
「店主を見捨てられればそれで終わりだが・・・それはできまい。情けなどという下らない感情に縛られる者にはな」
『・・・それを見越しての人質か』
「フッ、その通り。兵から例のマスターの過去の行動について報告を受けたが、兵を殺さず手加減して逃走したサーヴァント共々お人好しの部類である可能性が高い。であれば人質を見捨てて自分達だけ助かろうとはしないだろう。
それにしても貴様といいシャアといい案外甘いことだ。他のマスターは最終的には蹴落とす相手。この島の者も所詮仮初めの関係にすぎんだろうに」
今回の作戦は自身のセイバーのみならず同盟相手のシャアからも強い難色を示された
そのためサーヴァントを失った状態であれば例の少女らをシャアが保護してもよい・事が済めば理由を付けて店主を釈放するという2つの条件付きでなんとか合意を得られたのだ
ホメロスとしては同盟相手の意向を無視して不興を買うのもメリットが少ないので一応この条件は守るつもりである
もっとも便乗した他の主従によって少女らが害されても知ったことではないが
「これは戦争。一対一の決闘ではないということを忘れるな。
万が一この軍部に乗り込んでくる輩がいれば貴様もバーサーカーとともに働いてもらうことになるのだからな」
『・・・・・・』
ここまで軍が派手に動けばそろそろ軍関係者にマスターがいることに感づかれるかもしれない
しかしクルーゼらが秘密裏にこちらの情報を流す可能性やレムリアの軍部を襲撃したキャスターがムーも攻めてくる可能性を考慮したホメロスは自身の情報の秘匿より同盟関係が生きているうちに他の主従を追い詰める攻めの方針を採った方がよいと考えた
仮に軍部を襲撃されてもバーサーカーとセイバーの二人がかりならセイバーの肉体の消耗も抑えられるという目論見である
そんなホメロスの策略を理解はできても納得しがたいハドラーは苦々しそうに念話を飛ばした
『・・・今更俺が何を言っても貴様は方針を変えんだろう。だが、一つだけ忠告しておくぞホメロス。
英雄を、否勇者と呼ばれる者たちを侮るな。彼奴らは守るべき者のためならばどれほど追い込まれても逆境を跳ね返す凄まじい力を発揮するのだ』
ハドラー自身かつて部下のフレイザードが似たような期限付きの人質作戦を展開した際に便乗して勇者ダイ一行を始末しようとした身である
必勝を期した作戦のはずであったがしかし勇者一行の奮戦により結果は魔王軍の総崩れという惨憺たるものに終わった
「・・・余計なお世話だ!作戦を考えるのは主である私だ。従である貴様はただ戦闘のみに集中していればよい。それ以上の役割など求めん!」
ホメロスは忌々しそうに吐き捨てる。自身のダーハルーネでの失態を思い出したのだ
こちらも勇者一行の仲間を人質に取り追い詰めたつもりであったが思わぬ闖入者によって結局作戦は失敗に終わってしまった
二度も同じような作戦で失敗することはホメロスのプライドが許さない
苛立ちながらシャアと打ち合わせを行うために執政室を出たホメロスに同伴しながらハドラーは胸中でごちる
(儘ならんものだな・・・。あるいはこれが俺への罰か)
いくら心を入れ替えようともかつて自分が魔王として地上で暴虐を働いた過去は消えない
かつての自分と重なる所が多い男に召喚され、思うように戦えないのも必然かとハドラーは自嘲する
せめて来たるべき英雄達との闘いだけは悔いのないものになるよう願いながら
1486
:
名無しさん
:2022/02/28(月) 20:15:02
>>1484
再開された戦闘は一進一退の状況であった
セフィロスは『片翼の天使』を展開した状態であり攻撃および機動の激しさが増したため、人形兵の物量でも押さえるのが厳しい
だがバッターが新たに編み出した「マズルカホームラン」を度々交えることでセフィロスや仮面の男の防御・回避を余儀なくさせるため、なんとか持ちこたえている状態であった
それでも人形兵は少しずつ損耗していくため、マズルカは温存していた人形兵も適宜投入しながら考える
(正直、この状況を打開する手立てがあまりない)
(できることならば退却したいところだが、あの男がそう簡単に逃がしてくれるはずがない)
(…でも、もしかしたら)
敵は超一流の戦士であり、軍団を相手にしても物怖じしない英傑だ
だが逆に言えば、そんな大物を顕現させて全力で戦わせるには相応に魔力を消耗するはずだ
しかも今は宝具を常時展開してその度合いはさらに増しているはず、相手のマスターの気分が優れていないのも見てわかる
この推測を元に、戦いに専念しながらもマズルカはバッターに念話で作戦を伝える。マスターやサーヴァントが隙を見せたら、一発でっかいのをぶち込んでやれ、と
そうこうしているうちにセフィロスが詠唱を唱え始めた。人形達が猛攻している最中に。あの翼を出してからはそれぐらいの余裕があるかのように
これはマズルカ達にとっては不味い状況でもあり、同時にチャンスでもあった
先程以上の強力な魔術を使われてはこちらの戦線が瓦解しかねない、だがより膨大な魔力の行使はマスターに大きな負担を与えるはず
それを示すかのように仮面の男があからさまに苦しみだし、胸の部分を手で握り締めながら体勢を崩していく
「今だ、マスター!!」
「喰らえ」
人形兵がドナムを出して、バッターが渾身の力で打ち返す。豪球となったドナムは仮面の男に向かって直進する
この時セフィロスの周りには人形兵が張り付いており、そう簡単に突破する事や魔術による妨害も難しいはずだ
当たれば仮面のマスターは確実に死ぬだろう、それでもこの局面を勝ち残り危険な主従を止めるにはマスター討伐が最善手であった
◆◆◆◆◆◆◆
少し時間は遡る
二度目の戦端が開いてセフィロスが獅子奮迅の攻勢を仕掛ける最中、クルーゼは自らの生命力が奪われる感覚に苛まれていた
(やはり魔力を吸い過ぎてしまったようだ、大丈夫か、マスター)
(あぁ…まだ、大丈夫だ。これぐらいの辛酸など、慣れたものだよ)
(そうか。では一つ、頼みがある)
(なんだ)
(もう一度だけ魔力を使って仕掛ける、苦しいだろうが耐えろ)
(もしや、二つ目の宝具か?)
(いいや、ただの火遊びだ)
(…いいだろう、私に構わずやってみろ)
マスターの了承を得たセフィロスは即座に詠唱を始めた、それも目の前にいる人形達の猛攻をいなしながらだ
それと同時にクルーゼは体内からより強力な苦痛を味わっていた、まるで抑制剤の効力が切れた時の感覚に等しいほど辛いものであった
たまらず胸を強く掴む、立っているのも困難な状態だが奥底から湧き上がる憎悪を糧に気力を振り絞って耐え続ける
歪む世界の中で、敵マスターがバットを振りかぶって魔力の剛速球が飛んでくるのを捉える
意識が不鮮明になりつつ中、ただ迫り来る死に対して動く事ができないクルーゼは何を思ったか……
火柱、それが轟音と共に突如として現われた
クルーゼの目前に、セフィロスの周辺に、戦場の数カ所に
それは詠唱を唱え終えたセフィロスが発動した「ファイガウォール」であり、クルーゼに迫っていた魔球の軌道を逸らし、仮面をかすめて吹き飛ばす結果に終わった
総勢15本の火柱が次々と現われ、あまり持続せずに消え去ったものの戦場をかき乱すには充分であった
1487
:
名無しさん
:2022/02/28(月) 20:17:03
◆◆◆◆◆◆◆
底知れぬフォーリナーの荒業にマズルカは戦慄する
明らかに仮面の男を討ち取れる場面を覆され、さらには包囲していた人形兵も業火によって燃やされてしまった
なにより不味いのは、業火の柱々によってセフィロスの姿が隠れてしまい、魔術が終わった時にはその姿を消していた
「マスター、気をつけ」
マズルカが振り返った時には、すでに遅かった
あの離れていた距離を瞬時にして詰め寄ったセフィロスが、その手にした長刀「正宗」でバッターの正面から貫いていた
バッターも気を抜いていたわけではなく警戒していたはずだが、セフィロスの神速には対応できずに的確に急所を射貫かれていた
だが、心構えができていたバッターは相手が刃を引き抜く前に渾身の力でバットを振りかぶり、目の前の英霊にクリーンヒットさせて吹っ飛ばした
刺さったままの「正宗」はエーテルで構成された武器であるためすぐに消えてしまったが、とにかく致命傷を負ったバッターはその場に倒れてしまった
◆◆◆◆◆◆◆
敵マスターを仕留めたものの思わぬカウンターで吹っ飛ばされたセフィロスは痛みを覚えつつもすぐに立ち上がった
あのバットはマズルカが作成した武器であるため神秘や魔術が付与さており、さらには霊的存在を倒すバッターの器量もあって予想以上のダメージを受けていた
それでも戦闘に支障がない程度のものであったが、畳みかけるように人形兵が攻めてくる
手放した「正宗」を再度構成して握り締めたセフィロスは人形兵を返り討ちにしたが、今度は人形兵の自爆に巻き込まれた
壊れた幻想、ブロークン・ファンタズム
宝具を魔力爆弾として炸裂させる、強力な威力を出す代わりに貴重な宝具を失う本来の用途ではないリスキーな戦術
だが『妖路歴程』と材料があれば生成して召喚できる人形兵ならばデメリットを軽減して「壊れた幻想」を行うこともできるのだ
いわば『妖路歴程 時空爆散』を応用したような使い方だが、これには一つ難点、というか定義の違いから生ずる問題があった
大本となる宝具は『妖路歴程』であって人形兵自体は宝具とは言えない、なので実のところ厳密には「壊れた幻想」に似た自爆技でしかなく、宝具ほどの膨大な魔力を放出するものではない
そのため、セフィロスに大ダメージを負わせて足止めすることはできても、サーヴァントを確実に葬るまでの威力は持ってはいなかった
それでも予想外の攻撃の連続にセフィロスも対応が遅れてしまい、気付いた時にはキャスターとそのマスターの姿を見失ってしまった
自身も継続して戦闘するには支障があり、なにより魔力を搾り取られて動けないマスターがいたのでは不安要素も強いので、ここが引き際としてセフィロスはクルーゼを抱えてその場を離れた
※バッターは致命傷であり余命幾ばくもない、マズルカはマスターを抱えて戦場を離脱したが救命は絶望的であり、現界できるのも残り僅かの瀬戸際
※セフィロスは負傷しクルーゼも魔力消耗で気絶しているため、安全なところでの休養を優先します(霊脈があれば回復は早くなります)
※「ファイガウォール」はKINGDOM HEARTSシリーズで使用した技であり、今回は「Ⅱ」の仕様をアレンジしました
本来はセフィロス周辺に即時展開できるのだが、今回は詠唱時間を設けて火柱を任意の場所に放出した、ということで一つお願いします
1488
:
名無しさん
:2022/02/28(月) 23:49:15
3日目 夕刻
「オイ聞いたか?レストランの爆弾魔が捕まったらしいぜ。」
「爆弾魔じゃなくてテロ組織のリーダーじゃなかったか?」
「ギャングのボスじゃねえのか?」
「誰もロクに知らねえのかよ。ていうか最近は逮捕ばっかりだな。」
「冤罪じゃねえかって噂もあるぜ。ただの喫茶店のマスターが裏でテロリストなんてよお。
ここ2,3日の事件で面子を潰された偉い奴らが焦ってるとか」
「これから関係ない人も捕まったりしないかな…。」
「喫茶店の前に死体が山積みだったらしいぜ!」
「いやそれはどっかの宿屋の話だろ?」
「ペットの兎は近所の家が引き取って世話してるらしい。」
「マジかよ。最近ドンパチ騒がしいしクーデターでも起きてるんじゃねえか?」
「戦争は勘弁してほしいぜ」
「生贄じゃあ!神がお怒りなのじゃあ!」
「うるせえぞ!」
「じゃあ今頃はどっかの刑務所か、ヤバイ奴らと一緒に地下牢に閉じ込められてんのかあ?」
「いや…なんか役人達が働いてる場所の高い建物に閉じ込められてるらしいぜ」
「へえ。大物犯罪者だとVIP待遇なのかねえ?」
「公開処刑ってマジでやるのか?誰か偉い奴が止めねえのかな…。」
指名手配犯となったマスターの話題で街中は持ちきりだった。
他にもいろいろな情報が錯綜し、デマも混じっているが…。
ある行政区の建物、その数階に喫茶店の店主は囚われていた。
なぜか普通の事務の業務は全て停止され、かわりに少数の兵士敷地内にはいる。
手錠や紐などによる拘束がされているわけではない、
牢屋のように鉄格子に囚われているわけでもないが、扉の外には見張りが数人いる。
ただの一般人である男には逃げ出すことなどできず、
また、自分が処刑されるという情報も(当然なんらかの理由をつけて解放するシャアの裏工作も)
本人には知らされていない。
ただ部屋の椅子に座って、色々と考えることしかできない。
店の死体と都合よく現れた憲兵。つい異常な状況に慌てて、
喫茶店の店員であるチノに逃げろと言ったが、あれでよかったのだろうか。
あの時は慌ててしまったが、かえってあの行為が自分やチノへのあらぬ疑いを強めてしまったりしていないだろうか。
一体誰があんなことを…などと考えていた。
男がふと、視界の端に何か動いた気がして、目線を投げた。
といっても自分以外にいるはずもないので気のせいだと思ったのだが。
そこに異様に鋭い目つきの男が直立していた。
叫び声をあげそうになるマスターだったが、その口を男の手が塞ぐ。
「落ち着け。俺は敵じゃない。」
パニックになる店主。男の雰囲気はギャングや荒くれもののような威圧感を持っているが、
彼らのような粗野さより、例えるなら何かの達人のような妙に静かで鋭利な気迫を感じさせた。
「これから質問をする。首を振って正直に答えろ。」
男は前置きし、問いを投げかけた。
「お前はこの聖杯戦争のマスターか?」
店主は困惑しながらも首を横に振った。
「お前は爆弾事件の犯人か?」
店主ははっきりと否定の意志を示し、首を強く横に振った。
「チノという女の居場所を知っているか?」
首を横に振った。反射的に首を振った後、何故ここでチノの名前が出てくるのか疑問が沸いたが、
どちらにしろ居場所は知らなかったので同じ事だった。
「そうか。」
男、ランサー・宮本明はこの処刑の意図について探りを入れるため、
霊体化してこの部屋まで移動し、直接店主に接触したのだ。
注意深く様子を観察したが嘘をついている様子はない、と判断した。
とりあえず分かったのは、店主はどうやら冤罪だということだけ。
マスターの胡桃に報告するため、霊体化して戻ろうとしたランサーだったが、
急激に近づく気配を、サーヴァントの魔力云々というより、野生の直感に近いもので察知した。
ランサーは即座に丸太を具現化し、壁を破壊して地上数階の高さから飛び降りた。
その場所に、シャアの指示で遠くから店主の部屋を見張っていたバーサーカー・エレンが急速に近づいてくる。
わざわざ建物の多いここに店主が囚われていたのは、エレンの立体機動装置を活かし、
近寄ってきたサーヴァントを狩るためだったのだ。
1489
:
名無しさん
:2022/03/01(火) 09:40:26
>>1487
の続き
「マスター、今治療するよ…!」
戦場から急いで離脱し、傷ついたバッターの治療を始めるキャスター
だが、敵サーヴァントの刀傷は深く、救命はあまりにも絶望的だった。
人形兵の回復のドナムは人形兵同士の修復しかできない。
魔女相手なら魔力を流し込み回復を促すこともできるが、当然バッターには無意味。
キャスターも魔女のはしくれ、当然調合した薬ぐらいは持っている。
しかしそれはあくまで、普段の怪我に対して良く効く薬、程度の力しかない。
こんな致命傷をきれいさっぱり消せるような薬など、ありはしない。
つまり結局…普通の人間が行うような治療しかできない状況だ。
「キャスター
俺はお前の足を引っ張ってばかりだ。
すまない。」
「マスター、無理に喋らないで!」
「聞け、キャスター。
今や俺の命はわずかだ。
別のマスターを探しに行け。」
「……!」
死期を受け入れたバッターの発言に、キャスターは何も言えなくなる。
キャスターも、もうバッターの死が避けられない事は、わかっているのだ。
それでもその優しさから、見捨てることができずにいた。
バッターは語る。
肺などは損傷していないのか、意外としっかりと話すバッター
しかしその顔色はどんどん血の気が引いている
痛覚も無くなっているのかもしれない。
「俺にはあの世界を浄化する任務がある。
愛する者を救うためだ。
だが、結局
全てをプレイヤーに委ねるしかできない
人形だ。」
「人形使い…。
この世界で…
きっと、お前の意志が、プレイヤーに代わり俺を動かした…。」
「キャスター、お前はお前の任務を果たせ。
仮面野郎が創る世界よりは、マシだろう…。」
「残りの令呪をもって命じる。
『新たなマスターを見つけろ。キャスター』。」
「……分かった。
……ありがとう。バッター…。」
令呪の命令を受け、キャスターがどこかへと去っていく。
自分の死後も、令呪の効力でしばらくは存在できるだろう。
視界が霞むなか、バッターは思った
(マズルカ…、叶うなら俺も人形となり…傍らで助力したいとさえ、思う
だが、可能だとしても、お前はそれはしないのだろう。)
「ああ…
ここで終わりだ…
無念だ」
【バッター@OFF_by_Mortis_Ghost 死亡確認】
* バッターが山で手に入れた魔力の籠った木材や魔物の素材などは戦闘開始前・戦闘中に手早く回収してました
* マズルカのバットも回収しています。
1490
:
名無しさん
:2022/03/01(火) 18:01:47
>>1475
一斉に同じ光景を見たチノ、おっこ、まりなちゃん。
チノが「不思議な夢を見ました……」が口にして内容を語るとおっこも同じ夢を同じ夢を見たと言い、マスター全員が同じ夢を見てるなら隠す必要もないと安堵したまりなちゃんも同じ夢を見たと皆に教える。
様々なカードが用意されていたが、それぞれの手にした武器や雰囲気でそれが聖杯戦争のサーヴァントを指しているという答えに辿り着くまでにそう時間はかからなかった。
まだ12人――仲間であるマコト兄ちゃんと木場、雲雀を除いても9人は存在することにまりなちゃんは恐怖を覚える。
そして同時にお腹の辺りが何故だか痛み、身体から力が抜けていくような感覚に襲われる。
それは医者により埋め込まれた時限爆弾のタイムリミットが迫っている弊害。
外傷こそないが、内部により埋め込まれた時限爆弾により知らず知らずのうちにまりなちゃんの身体は悲鳴をあげ――遂にはこれまでなかった痛みという症状まで出てきた。
医者に報復するという気持ちすら激痛と恐怖に刈り取られ、自分の命がそう長くないことを悟る。
聖杯で願いを叶えることも出来ず、幸せになることもなく自分はこのまま死ぬ。まりなちゃんは絶望していた。
「まりなさん、大丈夫ですか……?」
チノが心配そうにまりなちゃんに声を掛ける。
指名手配されたり、マスターが処刑されることになった元凶ということも知らずに――純粋に心から心配している。
「急いで病院に行こう、きっとまだ間に合うはずだ!」
「ああ。俺たちがまりなの命を繋ぐ!」
サーヴァントの二人もまりなちゃんを心配して即座に行動しようとしている。おっこも心配しており、誰も彼もが絶体絶命のまりなちゃんを気に掛けている。
一緒にイジメをする取り巻きこそいたが、所詮取り巻きは取り巻き。
心は常に孤独で、仲良い子はいないと思っていた――今この瞬間までは。
「ちょっと……話があるんだけど……」
だからまりなちゃんは勇気を振り絞って、真実を告げた。
自分がチノ指名手配をはじめとする一連の事件の元凶だということ。
自分は家族と幸せに暮らしていたが、テロ事件で緑の悪魔にそれを奪われて自暴自棄のようになっていたこと。
テロ事件の犯人は緑の悪魔であり、その異常な強さからおそらくサーヴァントの可能性が高いこと
全ての情報を出し切り、罪を吐露して――
「それがお前の罪か、まりな」
皆の顔色を窺うまりなちゃんにマコト兄ちゃんが真っ先に言葉を掛けた。
「俺も過去に沢山の過ちを犯した。幸い生きていたが、友を刺してしまったこともある」
クリミナル――それは罪人を意味するクラス名
「だから俺はこの聖杯戦争でも罪人のクラスとして呼ばれた。七つの罪を背負ったサーヴァント――それが俺だ」
罪人のクラスでありながら、聖杯戦争に抗う男。
そんなクラスで呼び出された善良なサーヴァントに木場は違和感を覚えていたが、その理由がようやく判明した
「俺には三人の父さんがいる。だからその想いを繋ぎ、罪を背負いながら生きていくと決めた」
三人の父さんという言葉からまりなちゃんはこのサーヴァントも自分のように何か複雑な家庭の事情があると考える。
それでも聖杯戦争に抗うその姿は、お人好しにも程がある。まりなちゃんには理解出来ない
「それにこんな俺を受け入れてくれる仲間だっている」
仲間。
精神的にはずっと孤独だったまりなちゃんには刺さる言葉だ。
1491
:
名無しさん
:2022/03/01(火) 18:02:23
「……は?」
だからまりなちゃんは不機嫌になり、何か言い返そうとするがマコト兄ちゃんに真っ直ぐな瞳で力強く見つめられて言葉が止まる。
「――まりな、お前も俺たちの仲間だ」
仲間。友人。
周りはイジメを一緒にする取り巻きばかりで、孤独だったまりなちゃんにとってそれはある意味、すごく求めていたものなのかもしれない。
「でも、私が何もしなければチノや喫茶店のマスターの指名手配は……」
「そうですね。まりなさんが居なければ、こんなことは起こらなかったと思います」
チノの言葉にまりなちゃんの表情が曇る。自分は憎まれて当然だということくらい、小学生のまりなちゃんにも理解出来るから。
「でもまりなさんの気持ちもわかります。……私もココアさんと離れて、落ち着かなかったことがあります」
現に今もココアが居ないことで寂しさのようなものを感じている。
チノにとってココアはそれほど大きな存在であり、まりなちゃんにとっての家族も同様だ。
それに見ず知らずの少女ならともかく、まりなちゃんはそう長くない時間だが仲良くなった存在だ。そんな子をチノが心から憎めるはずもない。
もしも隠し通して後々それが発覚したならともかく、まりなちゃんは自ら罪を吐露することを選んだ。だからチノは彼女を許す
「マコトさん、ライダーさん。マスターさんを助けに行きましょう……!」
「うん。俺も色々と考えたけど、二人の意見を聞いて雲母坂さんの罪を受け入れることにしたよ」
罪。
それは木場にも刺さる言葉であり、悪人ならともかく己が罪を吐露して反省しようとする者を責めようとは思わない。
そもそも自分自身が罪を背負い、それでもなお夢を信じて生きる人間(オルフェノク)だ。
なにより当事者のチノが許すなら、自分がそれをとやかく言うつもりはない。
おっこもまりなちゃんを許し、喫茶店のマスターを助けるために作戦会議を開始する。
本来なら早急に病院に行く予定だったが、まりなちゃんが痛みは治ったと痩せ我慢して堪えたのだ
「今までごめんね、チノ」
「まりなさん?あの、どうかしましたか……?」
涙を流しながら謝罪するまりなにチノは困惑。自分のせいで泣かせたのかと思い、若干焦る。
「なんていうか、今まで色々あったけど……最近はちょっと悪くないよ。……みんな、ありがと」
まりなちゃんは遂に幸せを掴み取ったのかもしれない。
今この瞬間は、激痛なんかよりもずっと手に入れられなかったモノを得られた幸福感が勝っていた
まりなちゃんに残された時間はもう短いのかもしれないが――それでも彼女は幸せだった
だから喫茶店のマスター救出にも全力で協力する。
緑の悪魔に殺された家族のために。
自らの罪を背負い、清算するために。
仲良くなった友達を助けるために。
それと一応テロ事件のせいで踏んだり蹴ったりの人生になったであろう自分のサーヴァントのために。
まりなちゃんの中で最終目標は緑の悪魔かそのマスターを刺し違えてでも倒すことに決まった。
あいつを放置したら自分のような悲劇が今後も起きる可能性があるし、家族を殺された私怨もある。
それに真犯人を討伐したらチノの指名手配が解除される可能性だって……。
きっとこのお人好し達は自分が死の覚悟を決めたことを止めようとするから、みんなには内緒だ。
死を身近に感じる今だからこそ、それだけの覚悟を決められたのかもしれない。
吊り橋効果で得られた友情かもしれないが、それでも友情には違いない。
――気付けばまりなちゃんの気持ちから恐怖心は消えていた
1492
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 00:08:39
実はまりなちゃんってジジと作戦会議とかしてなかったからジジの能力全然知らなかったんだよね
ギャングの死体も実際の調達方法は不明だけどレストランからわざわざ運んだと本人は思ってた
(嫌がらせの為に新規に殺してたらさすがにみんなすんなり許さんよな…)
1493
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 00:20:10
>>1488
地上数階から飛び降りるランサー・宮本明をバーサーカー・エレンがすかさず狙う
立体機動装置によるワイヤーアクションを巧みに操り二振りの剣で斬りかかる
対巨人から生み出された一撃離脱の戦法に対し、ランサーは腕を振り刀で切払いした
空中制御もなしに踏ん張ることもできない中で純粋な腕力や体捌きによる適切な行動によりバーサーカーの攻撃は失敗し、すぐに別の建物へと移動する
(無茶苦茶に強い、ミカサやリヴァイ兵士長みたいで非常に厄介だな)
(あの小僧、空中での機動力は凄いがそれ以外は大したことはない…だが、まだ何かあるのか)
互いに相手の評価をしつつ次の行動を考える
ランサーにしてみればここで無理して戦う必要はなくできることなら撤退したいところだが、相手がこの領域から素直に逃がしてくれるとは到底思えない
とにかく脱出を試みて走り出すが、当然バーサーカーが建物の合間を縫って飛来してくる
ならば相手の攻撃を誘ってカウンターを決めるか、そう思い相手の動きを捉えて接近に備えた
だがそこでランサーは気付く、相手が細長い棒を両腕に装着していることを
そしてバーサーカーが斬り合う間合いに入ることなく、その細い棒をランサー目掛けて射出してきた
自分に向かってくる槍を咄嗟に剣で弾くランサーは、直後に雷鳴のような爆発に巻き込まれる
1494
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 08:15:20
>>1474
の後
炭治郎とピーターはココアが目覚めるのを待っていたが、倒れたココアは熱を出していた
加えて雨が降り出したので、炭治郎はパン屋にココアを連れていくことを提案した。
配達は終えていたようだったし、パン屋の近くにココアの家もあるかもしれない。
>>1451
の時、ココアは店主を巻き込まないよう何も言わず離れたところで決闘を行っていたので、
店主も心配しているかもしれない。
そしてココアを守るのは勿論だが、落ち着いた環境にまずは置いてあげようと思ったのだった。
そこに、サーヴァントの気配をライダー・巧が感じた。
それは
>>1489
で新たなマスターを探すキャスター・マズルカだった。
『新たなマスターを見つけろ』という令呪の効果だろうか?
もしかしたら、キャスターの幸運に上乗せがかかっていたのかもしれない。
キャスターは魔力のある人間を必死に探したところ、偶然にもピーターと炭治郎を発見したのだ。
ライダーもこちらに近づくキャスターの魔力に気付いた。
炭治郎はココアを背中から下ろして、物陰に隠してからいつでも抜刀できる構えを取る。
そしてキャスターとの邂逅。ピーターの傍にライダーが実体化する。
キャスターは、それにさほど驚かない炭治郎の様子を見て、炭治郎の傍にはサーヴァントの気配がないことから、
もしかして手を組んでいる2組の主従がいて片方がサーヴァントを失った可能性に賭けて自分を売り込もうとする。
実際は、自分とバッターと同じように、別行動をしていただけだったのだが…。
そのころアサシン・雲雀はやや離れたところでキャスターとフォーリナーの戦闘の気配を察知して興味を抱き
現場に到着していたが、戦闘が終わり互いに散会した後だったので結局無駄足に終わっていた。
炭治郎は必死な様子のキャスターに対してとりあえず話を聞いてあげるべきだと思ったが、
ピーターやライダーはこの場から去るようマズルカに告げる。
決して彼らが無慈悲なわけではない。
しかし聖杯戦争に召喚されたサーヴァントの1騎として、突然現れた他のサーヴァントに警戒するのは当然だ。
しかもこちらには体調の悪いココアや、サーヴァントが傍にいない炭治郎もいる。
2人を守ることを第一に考えていたのだ。
キャスターは炭治郎のサーヴァントはまだ健在であると聞く。
やむをえない、令呪分の魔力を使ってでも、分は非常に悪いがそこのライダーを速攻で倒して、
自分と契約を結ばせてやる…、
そう追いつめられたキャスターは、生き残った数少ない人形兵を数体召喚したが、
戻ってきた雲雀に一蹴されてしまう。
最早ここまで、消滅しかけるキャスターは内心でバッターに詫びる。
そして炭治郎たちに、戦争を起こそうとしている仮面のマスターとセフィロスというサーヴァントは倒してくれまいか、と頼む。
その願いに対して何も返答できない炭治郎とピーター。
そこに、目を覚まして隠れたまま話を聞いていたココアが、キャスターのマスターになると言い出した。
ココアは元マスターの自分がレジィや心変わりした春花に狙われることを危惧して
炭治郎とピーターが動くに動けないのだろうと感じた。
もちろん、ココアとキャスターが契約したとしても、セフィロスというすごく強いらしいサーヴァントと闘えるかなんてわからない。
しかしせめて、キャスターの力で自分の身は自分で守り、
2組の足手まといになりたくないと考えたのだ。
2組が自由に動ければ戦争を止めたり、チノを助けられるかもしれない、と。
キャスターはマスターが、元マスターも含め3人も一緒に行動していたとは思わず面食らった。
それにココアという少女が名乗りを上げたのにも驚いた。
ランサーのマスターの胡桃も同じぐらいの年齢だったが、今まで戦ったマスターは殆ど
覚悟が決まってたり戦闘ができる男達が多かったので戸惑ってしまった。
そして胡桃よりもさらに戦いに無縁だと思える柔らかな印象の少女が、
自分の保身のためではなく他者のために自分の身を自分で守りたいと言い出した
その決意に圧倒されてしまった。
逡巡もあったものの、キャスターはココアと主従関係を結ぶのだった。
ココアの手に、新たに令呪が3画刻まれる。
キャスターは、自分がバッターのレムリア島行きを止めなかった事や、
人里から離れた炭焼き小屋に炭を調達させに行かせた事でバッターが死んでしまった後悔から
決してこの新しいマスターの傍を離れない事を己に誓ったのだった。
1495
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 10:57:51
「なあライダー、これで良かったのかな?」
「俺に聞くのかよ」
ピーターは小声でたっくんに問う
仮にも聖杯戦争の参加者、新しい主従が目の前で生まれるということはそれだけライバルが増えるということ
依然として方針は定まっていない上にセフィロスの情報も聞かされて、ココアのこともあり複雑な顔で聞く
「お前は止めようと思わなかったんだろ。ならそれでいいんじゃないのか」
「ライダーさん、これで良かったんでしょうか?」
「わからない……でも、良くなるようには、したいかな……」
同じ頃、おっこは二人きりになって木場に問う
まりなの告白には驚いたが、彼女を助けることに異論は無い
昨日の凄惨な死体の山はいまでも目に焼きついている
その山にまりなを加えたいなどとは思わなかった
だがまりなの体調が悪化しているのは誰の目から見ても明らかだ
温泉に浸かっている人では絶対に見られないぐらい顔から血の気が引いていて、今にも倒れてしまう
その上で彼女が言ったこと――まりなの自首するという提案をどう受け止めればいいのか迷っていた
「俺の他のマスターが憲兵を動かしてるって考えがあってればだけれど、雲母坂さんが君の宿屋を襲ったと自首すれば、香風さんのマスターは助けられる……かもしれない。もしかしたから緑の怪物を倒すことに協力もしてもらえる……かもしれない。協力してもらえなくても、彼女が囮になれば、犯人の手がかりが見つかる可能性だって……」
「でも、わたし、なんだかイヤな予感がするんです」
「……もし、雲母坂さんを助けられなさそうなら、その時は――」
あんまり主従でコミュニケーションしない割になんか穏当に行きそうなピーター&たっくん
割と主従でコミュニケーションする割になんか不穏な空気がつきまとうおっこ&木場
この差はなんだ
1496
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 11:24:52
>>1493
雷槍の燃焼噴射やワイヤーから爆発物の可能性を考慮したランサー・宮本明は、自分に向かってきた棒槍を切り払いしつつ丸太を編み出し備えたことで爆発の直撃を受けることだけは防いだ
しかしそれでも、爆発の余波に巻き込まれてぶっ飛び体勢を崩す。
バーサーカー・エレンが立体機動装置高速移動してトドメを刺そうとするが、
雷槍の巻き添えにならないよう距離をとっていたバーサーカーは移動の為にワイヤーを出射した
ランサーは投擲力で近くに落ちてた瓦礫を投擲、
ランサーの優れた怪力とコントロールにより瓦礫はアンカーに当たり弾き飛ばした
バーサーカーは転倒こそしなかったものの、当初の狙いから大幅にズレた位置に着地した
「おいお前!」
ランサーは戦闘中にも関わらず距離の空いたバーサーカーに向けて大声で呼びかける
無視して行動に移ろうとしたバーサーカーだが
「俺と同じところから来たのか!?」
「…は?」
意味のわからない質問が気になり、動きを止めた
「その戦い方、明らかに人間相手のものじゃねえ…
お前も吸血鬼と戦う人間なのか!?」
エレンの戦い方に、自分の知らないところで吸血鬼が変化した巨大な化け物、
邪鬼との戦いをしていた人間がいたのではないか?と考えたランサーはそう問いかける。
もしそうなら相手の願いも同じ吸血鬼を消す、ということだろう。
互いのマスター達の願いもある以上、協力できるとは限らないが、そうだとしたら明にとって戦う優先順位が大幅に下がる。
しかしエレンはそれを一蹴する。
偶然、巨大な敵を相手に戦っていたというだけで、その敵は全く違う、と。
「そうかよ。
俺と同じく人間のために戦ってるヤツと会えたのに、残念だぜ…。」
闘うしかないと覚悟を決め直す明に対してエレンは
「お前は勘違いをしてる。
俺は願いを叶え人類を(ほぼ)滅ぼして英霊となった。」
「何だと!?」
「今更願うことなんてない」
「だったら、お前は何のため戦っているんだ!?」
1497
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 16:16:44
>>1496
の続き
「どうしたバーサーカー、レムリアで一組を倒した勇猛さはまだ見せないのか?」
ランサーとバーサーカーの会話に別の声が割って入ってくる
ランサーが声の方向を確認すると、二人の人間と一騎のサーヴァントがそこにいた
そして瞬時に把握する、二組の主従がグルになって罠を張り獲物を待っていた事を
「お前達が来るまでコイツを足止めをしたに過ぎない、それなら全力を出す必要もないだろ」
「ふん、減らず口に聞こえるがまぁいいだろう、ここからは二騎掛かりで」
「いや、俺一人で充分だ。狂戦士、お前は足手まといだから下がってろ」
そう啖呵を切るや否や、セイバーが一人ランサーに向かって跳躍した
並々ならぬ覇気を纏いし人間以上の魔物に迫られて、ランサーはすかさず義手刀で相手の剣を受け止めた
その膂力は凄まじく、ランサーが知る吸血鬼のアマルガム級の馬鹿力に近かった
「セイバー!?馬鹿者が、勝手に動くなッ!バーサーカーと連携して手間取らずに倒すんだ!!」
「こいつは強敵だ、二人掛かりでもそう簡単には倒せない!」
「ならば俺が全力でぶつかるだけ!バーサーカーは他の敵襲に備えさせていろ!」
「キ、キサマーーッッ!!」
憤るホメロスだが、事実セイバーとランサーの戦いはもの激しくバーサーカーが割って入る隙はなかった
そしてバーサーカーも二騎の戦いから離れて、建物の高いところから周辺を警戒し始めた
「まぁ待て、ホメロス。もうすぐ本命がやって来る」
「シャア!貴様もセイバーの片を持つつもりか!」
「いや、事実だ。バーサーカーたつい今し方、接近するサーヴァントの気配を感じった。もうすぐ来る」
自分の思い通りに動かない従者や同伴者達に怒りを覚えながらも、処刑という餌やこの戦闘で他のサーヴァント達がやってこない訳がないことも理解しているホメロスは、この怒りを押さえつけてチノやそのサーヴァント等の登場に備えることにした
なお、実のところバーサーカーが気配を感じる前にシャアはチノ達が来る気配を直感で感じ取っていたのだが、それを説明することなくセイバーの話に乗っかる形でエレンに警戒させてホメロスを諭すことにした
1498
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 16:45:54
誤字あった、微修正
>「いや、事実だ。バーサーカーたつい今し方、接近するサーヴァントの気配を感じった。もうすぐ来る」
「いや、事実だ。バーサーカーがつい今し方、接近するサーヴァントの気配を感じった。もう近くまで来ている」
1499
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 17:23:02
エレンの雷槍は道具作成で用意した硬質化弾頭にホメロスから横流しされた火薬とかで作ったから爆発力が足りないんだよな
牽制にはなるんだが弾頭以外はろくにサーヴァントにダメージ入らないし雷槍を使った逸話も無い
そのせいで戦いが長引いて、結局まりなの提案で一応自首しに行くことになったまりな達が戦闘に出くわすのは必然か
「クワトロさん、どうしてここに?」
「キャスバルさんとバーサーカーさん!? それに、ランサー、さん?」
「ハァ……ハァ……お前はあの時の」
「なるほど、君たちか。私の勘もなかなかに当たるものだた」
邂逅……!
1500
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 17:48:26
>>1499
チノ、木場、明さん、シャアの順で発言しているのかな
シャアと木場が色んな人物と接触しているから顔見知りも多いわけだ
1501
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 17:51:28
マスター救出の作戦会議をしてる時にまりなちゃんは少しトイレに行くと言い、その場から離れるとポケットにガラスを忍ばせる。
これで刺せば相手がどんなマスターでも死ぬ。あのお人好し集団には出来ないこと――マスター狙いだって可能だ
聖杯を勝ち取るつもりが、いつの間にか他のマスターと手を組んで人を助け、巨悪を倒すことになっていた。
だが悪くない。アバズレに復讐心を燃やしていた時よりは、今の方がよっぽど幸せだ
(誰かとあんなふうに話せたの、久々かも……)
イジメのターゲット。自分の取り巻き。おかしくなってしまった母親。
まりなちゃんの周囲はそんなものばかりだった。母親のことは好きだが、それでも父親が問題を起こして以降、楽しく話せることはあまりなかった。
母親がああなってからまりなちゃんを心から心配してくれる人なんて、誰も……。(※まりなちゃんの母親はまりなちゃんのことを大切に思っているが、普段はあんな態度なので)
(仲間か……)
不思議と今はその言葉の響きが悪くない。
1502
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 17:52:41
キャスター・マズルカからムー島への飛空挺の最終便に間に合わないと言われたが、
炭治郎はとにかく一刻も早くチノの元へ戻って助けに行きたいと、ピーター達に回復していないココア達を任せて
まだ船が出ていない可能性に賭けて猛ダッシュした。
しかし残念。船は既に出てしまっていた…。
その時、アサシン・雲雀が雲ハリネズミ(ポルコスピーノ・ヌーヴォラ)のロールを実体化した
死ぬ気の炎の雲属性の作用「増殖」で大量に増えたロールは陸から船へのかけ橋となり、
アサシンはそれを足場にして船に乗り込んだ。
「乗りたいなら勝手についてくれば。」
炭治郎も慌ててロールを足場にして雲に飛び乗った。
アサシンは元々ムー島のギャングを操る黒幕とやらを噛み殺そうと思っていた。
炭治郎の用が済んだならもうこの島にいる意味もないと、ムー島に行くことにしたのだ。
船に乗りこんだ炭治郎たちは乗組員の少年に見つかった
「な、なんだお前ら!?
…あっ!雲雀さんじゃないッスか!?」
その乗組員は
>>1423
でアサシンにギャングの情報を教えた不良の少年であった。ここで働いていたのだ。
「さっき雲を踏んで来ましたよね!?マジパネェっス!」
驚愕する少年は、アサシンに街中の新たな情報をもたらした。この不良少年は随分と情報通らしい。
前からギャングには怪しげな闇医者が関わっているという噂(
>>1346
)や、
ギャングの生き残りの幹部達が今朝に(
>>1481
)大量に殺されてたこと、などを炭治郎達は聞いた。
「お医者さんですか?」
「あぁ、だけど普通の医者っていう感じじゃなくてヤベー感じなんだ。意味なく腹を裂いてみたりしてるって噂だ。」
医者と聞いて珠世のイメージが浮かんだ炭治郎だったが、
不良の話を聞いてそんな医者もいるのか。とドン引きした。
しかし、
(いや、ただの噂で人のことを勝手に悪く想像するのは良くないな。 腹を裂いたりするのもそういう治療なのかもしれない。)
と考え直した。
そうしてしばらくして、船はムー島に到着した。
時刻は夕方。
ちなみに、高高度にある天空都市の日没は位置関係から平地にいる時より遅くなる。
勿論天空都市の「へり」に落ちるのは早いのだが、散乱した光がまだ空を薄明るく照らしている。
天空都市の日没とは、基本的に眼下の大地に太陽が沈んだ時のことを示す。
そのため、炭治郎たちが到着した時にはまだ処刑まで幾ばくかの猶予が残されていた。
1503
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 18:02:47
投下順が逆だが、
>>1502
の前の部分
キャスターの出現やココアの再契約で色々とゴタゴタしたが、その場の雰囲気が一段落して落ち着いたところで炭治郎はチノの事を伝える
チノはムー島の喫茶店で働いていて聖杯戦争のマスターでもあったが、冤罪によって指名手配されている
昨日の夕方時点では宿屋にいたもう一人のマスターで若女将の関織子に匿ってもらい、ココアに知らせた後にチノをレムリア島まで密航させるつもりだ、と
チノの所在が分かって嬉しさが出てきた束の間、チノが危うい状況にいることを知ってすぐにでも駆けつけたい衝動に駆られるココア
だが続けてキャスターが本日の昼頃までの情報を追加する
夜遅くに暴動による宿屋襲撃事件が発生して彼女達の所在は不明、しかも暴徒達が糸が切れたかのように突然死したためそれもチノの仕業と流布されている
さらに今日の夕方には喫茶店の店主が処刑されることも告知されており、もしかしたらチノ達が行動に移すかもしれない、と
さらなる情報にココアと炭治郎は言葉を失い、今すぐにでも助けに行きたいところだがキャスターが待ったをかける
今はすでに夕刻であり臨時運航の飛空挺の最終便には間に合わない、それにココアおよび自分は消耗しており助けに行くにしてもリスクがある、と
1504
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 18:54:47
>>1499
木場の憶測通り、ある程度の地位や権力を持つマスターが存在していた。
自分の眼前に立つエレンを見据え、木場はホースオルフェノクに変身する。
「君はあの時、無理だと言ったけど……俺は人間と他の種族が共存出来る未来を信じたい」
かつて乾巧に託した夢を。理想を。
今度は自分の手で叶えるために――
ダイブ・トゥ・ディープ!
「ライダー。お前のその夢、俺にも手伝わせてくれ」
ギロットミロー! ギロットミロー!
「変身!」
ゲンカイガン! ディープスペクター! ゲットゴー!覚悟!ギ・ザ・ギ・ザ!ゴースト!
ホースオルフェノクとディープスペクターが並び立ち、エレンもそれに応えるように巨人となる。
一方まりなちゃんは憲兵に嘘を吐いたことや爆破テロ事件の真犯人が緑の怪物であること。そして宿屋を襲撃したのは自分のサーヴァントであり、医者に利用されていたことをシャアとホメロスに話す
もしかしたら彼らと協力して緑の怪物を倒せるかもしれない。他のサーヴァントを蹴落とすために一時的な同盟を結ぶ可能性があるはずだ
このホメロスとシャアも厄介な存在であるが、まずは全員で緑の怪物を叩けたらとまりなちゃんは考えた
1505
:
名無しさん
:2022/03/02(水) 20:08:05
>>1504
まりなちゃん、平和現代日本の人間だから聖杯戦争である前にまず警察(的な立場)の大人がこれを聞いたらグリーン・ゴブリン退治に向かってくれると思ってたんだよね…。
1506
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 02:57:26
>>1504
まりながチノと店主に濡れ衣を着せた、爆破テロ事件の真犯人は緑の怪人だ、宿屋襲撃は医者達が画策したものだ
この説明を聞いたシャアはそれが真相に近いとは理解したものの、それでも証拠不十分や虚言の疑いでそう簡単に話が終わるとは思わなかった
事実、ホメロスにとっては真相などどうでも良く、目的通りにマスター達を炙り出すことに成功したことの方に意義を見出だしている
なので彼女達の話をでまかせとして聞き入れない、これは戦争であり敵の情報は鵜呑みにできない、むしろ強力なサーヴァントを使役する危険な人物として排除する構えを取っている
争いを望まない少女達相手でも敵意を剥き出しに晒すホメロスとは別に、シャアは少女達に問いかける。願いを掛けずに戦わないと言うならば、政務官としての権限で君たちを安全な所に匿う、と
聖杯戦争の舞台はムーとレムリアに限定されている、ならば島の外に出る船に乗せて聖杯戦争が終わるまで危険から遠ざけるつもりであり、安全を保証すると
そこへホメロスが重ねて言う、令呪で自らのサーヴァントに自害を命じて無抵抗を示せばチノ達の指名手配や店主の処刑を中断しても良い、そうでなければ聖杯戦争の参加者としての倒す、と
1507
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 07:50:50
>>1497
明さん、霊体化で胡桃のいる場所へ戻ることには失敗したけど念話で状況だけは伝えられたんだよね
元々ちょっとした疎外感や焦燥感もあった胡桃は自分が聖杯戦争の参加者として本格的に参加するため。そして聖杯戦争の参加者達をこの目で見るために現場へ向かうことを決める
それにこれだけ参加者が集まっているなら、他のマスターが更に参戦してくるかもしれない。もしも虎杖がマスターなら、きっとやってくるはずだ
1508
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 10:11:21
医者はグリーンゴブリンに宝具にもなった禁薬の作り方や化学式を教えてもらい、科学的に調合して擬似禁薬を作り出し、自分に注射した
この中世的な天空都市という環境では、オリジナルの禁薬には遥かに及ばない劣化版しか作れないが、それでも喧嘩宿や殺人鬼、処刑課などの超人達に匹敵する身体能力を獲得した
まぁ元の世界の超人達のような格闘術や殺人術までは模倣できないので直接の殴り合いには彼らに一歩劣るが、それでも強者相手に対応できて殺人医術を使える医者へとグレードアップした
ちなみに元の禁薬だと凶悪な二重人格が生まれるはずだが、劣化版だからか、あるいは元から凶悪な犯罪者であるアクダマであるからか、特に性格の変化は見られなかった
1509
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 10:20:40
相馬とレジィはセイバーとアーチャーの決闘から退却したあと、今後の行動について協議する
まずパン屋の少女は英霊を失って不要になり、セイバーの契約者と共闘できるかどうか見極められず、軍人のマスターとは交戦したため敵視されていると思う
今のところ同盟を結べそうな主従はおらず、この調子では自分達は孤立したまま戦うようになってしまう
半グレ集団による数の暴力ならまだ保持しているが、英霊相手ではただの塵芥、つまり使い所が限られてしまう
ならばいっそうのこと、ムー島に移動して新たに使える奴を探してみるか、そう考えていた時に念のためパン屋を見張らせていた半グレが報告にやって来た
曰く、複数人の男達が気絶した彼女をパン屋に運んで休ませたのちに、一人の女がやって来て小競り合いになったあと、パン屋の少女が現われてその場が治まり、二人の少年が急いで飛空挺に向かったらしい
その情報を基に、パン屋の少女は再契約を果たしたこと、その男四人がマスター二人とサーヴァント二騎である、と相馬とレジィは考察する
再度パン屋の少女を襲うにしても徒党を組まれては返り討ちに遭いやすいと考え、相馬とレジィはムー島に向かうことを決断する
そして半グレ集団を引き連れて造船所を襲撃・制圧したあと、飛空挺の契約書を見つけて自分達の足を用意する
1510
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 10:54:34
>>1509
レジィ組、この時点でかなり他主従の情報を持っているな。
(マスターの情報は半グレや相馬の情報量によるので把握度は不明だが)
春花・カイム:直に見てたので外見まで知ってる。決闘中は異空間内なので戦闘スタイルまでは未把握
クルーゼ・セフィロス:直に戦ったのでかなり詳しく把握。
ココア・キャスター:ココアの身元と新たなサーヴァントを得た事を把握。半グレがバレないように遠くから見てただけなのでクラスや残り少なかった人形兵を使う戦闘スタイルまではバレてなさそう
ピーター・巧:こちらの半グレの遠くからの監視なのであまり把握されてないと思う
炭治郎・雲雀:上に同じ。炭治郎はアザが特徴的なので身元バレしてるかも
あとは派手なエレンとか指名手配されてるチノとかは名前だけとか断片的に知ってそう
1511
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 11:26:13
>>1506
「ひ、人を殺すなんて……そんなことは出来ません」
ホメロスの提示した条件をチノは拒否する。おっこも当然拒否。
そしてこの発言からチノが聖杯戦争のマスターとしてあまりにも相応しくないことをシャアとホメロスは実感する。
「それにマコトさんやライダーさんに死んでほしくもありません……」
誰も殺したくないし、サーヴァントに死んでほしくもない。
サーヴァントを失いたくないという思考回路はマスターならば誰もがそうだろうが、チノの場合は明らかにサーヴァント達を「サーヴァント」ではなく「人間」や「仲間」と考えて発言している、とシャアとホメロスは解釈する。
ホメロスはマスターとしては有り得ないチノの発言を嘲笑い、それならば戦闘を放棄しないと彼女達に伝える。
(ばっかじゃない……?)
まりなちゃんはチノの発言に呆れつつも、チノやおっこがそういうタイプのお人好しということは理解していたからブレない二人の姿勢にちょっとだけ安心して。
(なにあいつ、有り得ないんだけど……!)
そしてわからず屋(とまりなちゃんが認識した)のホメロスに対してイライラする。シャアはともかく、こいつが居る限りどうにも出来ない。
無抵抗を示せば指名手配や処刑は中断するだろうが、果たしてマスターを生かして帰すだろうか?
自分なら今後厄介になる可能性があるマスターを放置しない。シャアの方は信用出来るが、ホメロスはどうにも信用出来ない。
お世辞にも性格が良いとは言えないまりなちゃんだからこそ、ホメロスが自分と同類の気がすると勘づいていた。
本当は緑の怪物のマスターに使うつもりだったけど、いざとなればこのガラスでホメロスを――
相手は自分よりも身体能力が遥かに高そうな軍人の男。勝ち目は薄いが、自分が弱いと認識されてそうな今だからこそ殺せる可能性もある。
シャアとホメロスは考える。
聖杯戦争のマスターとしては覚悟が足りない二人のマスターに、既にサーヴァントを失ったマスター。どちらもマスターとして論外だ。
それにサーヴァントを失ったマスターも他の二人と同じく、聖杯戦争の参加者として覚悟が足りない。自首という手段もそうだし、善性の強い二人と手を組むということはそういうことだろう、と。
他人を罪人に仕立て上げるという悪知恵は働くようだが、どういうわけか敵だった少女と手を組むところからその甘さが見て取れる。
まりなちゃんが覚悟を決めたことに気付いている者は、この場に誰一人いない
1512
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 19:08:47
午後の間、医者はゴブリンと共同で疑似禁薬を精製する他に自己の外科整形を施していた
夕刻の処刑には宿屋にいた少女達が行動する可能性が高く、その中には自分の面を知っている雲母坂まりなも同伴している可能性が高い
なので自身の顔や体格、声帯なども弄って別人に成りすまし少女達に接近しやすいように変装する
ちなみに今回はモデルとして元の世界の知り合いである詐欺師(一般人)の姿に成り変わるつもりだ
彼女のことは好いてはいないが、あの人の良さそうな雰囲気に近づければ他の主従とも接近しやすいと考えての選択だった
ともかく元の姿から別人に成り代わった医者はゴブリンと共に公開処刑会場の近くを探索し、とある行政施設にて戦闘の気配を察知したため遠くから双眼鏡を使って様子を伺った
そしてセイバーvsランサーの激闘や巨人に対峙する覆面スーツ達、それと軍人と高官の二人組に相対する少女達の中にまりなの姿を確認する
さて、このあとどのように場を引っ掻き回すか、あるいは自分達の優位に立つかを考えている最中、戦場に向かっていくツインテールの少女を見つけた
◆◆◆◆◆◆◆
胡桃は街道や雑木林の中を駆け抜けつつ明さんや他の主従が戦っている戦場に向かっていたが、途中でジェット噴射の音が聞こえたため立ち止まって後方を確認する
すると一人の少女が慌てた様子でこちらに向かっており、さらにその後方から飛行する乗り物を巧みに操縦する緑の怪人を目撃する
キャスターから聞いていた爆破テロ事件の犯人と思わしきサーヴァントの登場に一瞬身構える胡桃だったが、「た、助けて!」と言って少女が自分の所に駆け寄ってくる
「と、突然あの怪人が襲ってきて!た、助けてください!」
「ちょ、ちょっと待って!あなた、もしかしてマスターなの!?」
「は、はい、そうです!でもサーヴァントを失ってしまって…」
(つまり、今の私達にはあのサーヴァントに対抗する手段がない!どうする、今すぐ令呪で明さんを呼ぶべきか…)
そう逡巡する合間にも緑の怪人が迫ってきたが、何故か数メートル先で停止してこちらを観察し始めた
「おーや?お前は確か、虎杖の女友達だったなぁ」
「!?あんた、なんで虎杖の事を知っているの!?」
「あぁ、だって奴は俺のマスターだったからな。たまにはお前らがイチャついているのも見ていたぜ」
「あんたが、虎杖のサーヴァント…!?それじゃあ、この間の爆破テロ事件は、あんた仕業か?虎杖の指示、でやったなのか?」
「それは確かに俺の演出さ、最高のショーだったろう?まぁ、ついでに言っちまえば虎杖は関係ないけどな」
「っ!!じゃあ、虎杖は今どこにいるの!?」
「あの世だよ」
「えっ」
「奴は俺が殺した」
「…うそ」
全く予想して居なかった事実を受けて、胡桃の頭は一瞬フリーズする
それと同時に、首元に痛みを感じて視線を下に移す
見れば自分にしがみついていたはずの少女が邪悪な笑顔を浮かべつつ伸ばした手で自分の首に注射器を打っていたのだ
嵌められた、と最後に思って胡桃の意識は暗転した
◆◆◆◆◆◆◆
一方その頃、ランサー・宮本明はセイバー相手に善戦していた
セイバーの強さは今まで戦ってきたアマルガムと同等かそれ以上の凶暴さを持っていたが、化け物狩りに長けた英雄・宮本明にしてみればそれに応じた戦い方もよく知っていた
そして同時に、正々堂々の決闘を望み自分との真っ向勝負に拘るセイバーにはある種の敬意を抱いていた
敵は全力でこちらを殺しに来ている、ならば自分も全力でセイバーを打ち倒すつもりで戦闘を続けていた
同じ頃、巨人と仮面ライダー二騎が小競り合いをしている横でホメロス&シャアと少女達の問答が続いていた
とっとと目の前の少女達を葬ろうとするホメロス、それを制止して彼女達と妥協点を模索するシャア、サーヴァントを仲間として裏切ることができないチノ・おっこ、そんなお人好し達に呆れつつ心の内で覚悟を決めているまりな
それぞれの思惑が交錯して中々決着がつかない中、新たな人物の登場で事態は変異する
一人の少女が緊迫するマスター達の近くに現われて助けを求めてきた
その少女は頭や腕から血を流しており、息切れや疲労感から危機的な状況であることが見て取れる
「助けて…緑の怪人が…」と言ったところで少女が倒れてしまい、心配したおっこが彼女の元へと駆け寄った
対応が遅れたチノや周囲の警戒で動けないまりな、突然の乱入者に場を見出されても警戒を解かずに様子を伺うホメロス、そして嫌な予感を感じるシャア
少女が倒れたと同時に空を横切る轟音が聞こえ、そちらも確認するマスターやサーヴァント達
そこにはグライダーに乗った緑の怪人・グリーンゴブリンが意識を失った少女・恵飛須沢胡桃を脇に抱えて姿を現したのだ
戦闘を中止したランサーが「胡桃ッッ!」と叫び、漢同士の決闘を邪魔されたことでセイバーが緑の怪人を敵視する中、ゴブリンは人質を取ったままチノ達に向かってパンプキンボムを投げ込んだ
逃げる準備が整っていないチノやまりなを守るためにホースオルフェノクが素早く駆け戻り、彼女達を爆風に巻き込まないために上から覆い被さり大ダメージを受けてしまう
木場やチノ達を心配するおっこは、直後に頸動脈を切り裂かれてしまう
おっこにメスを入れたのは怪我をした風に装った少女、否、変装した医者の仕業であった
【関織子@若おかみは小学生! 死亡確認】
※木場勇治は大ダメージを受けたためろくに体を動かせない可能性大、そうでなくてもマスター喪失で現界をあまり維持できない状態です
※ゴブリンは胡桃を人質にランサーを脅す予定、その結果ランサーとセイバーに敵視されますがホメロスはむしろランサー脱落に期待感を寄せそうです
※医者はホメロスとシャアに取り入って同盟を申し込む可能性もあります、またまりなに医術的時限装置を暴露して絶望させる可能性もあります
1513
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 19:22:59
>>1494
カイトとオービタルを失ったココアは少なからずショックを受けていた。
ココアは決して聖杯戦争を侮っていたわけではない。だが固い結束で結ばれた友人が散ったという事実はあまりにも重い。
現実を受け止めるまで本来なら相当な時間が掛かるだろうが、これは聖杯戦争。ココアが倒れてる間にも状況は進む。
ココアが目を覚ました時にはキャスターが居て、必死に何かを話していた。
話を聞く限り、キャスターは悪人じゃない。どちらかと言えば善良なサーヴァントだとココアは考えた。
追い詰められたキャスターが人形兵を数体召喚したのを見て、カイトの言葉が蘇る。
――――どんな過酷な運命でも諦めるな。俺は残酷な運命に抗い、かっとビングで乗り越えた男を知っている!
諦めない心。かっとビング。
あのキャスターは自分より圧倒的に強そうなサーヴァントに挑み、返り討ちにあっている。
だがその諦めない心は正しくかっとビングだ。
――――ココア……後はお前に託す。運命に屈するな……。チノや仲間と共にお前達の手でこの聖杯戦争を……悲劇の連鎖を止めてやればいい……
ココアはカイトに大切なことを託された。
運命に屈せず、チノや仲間と共に聖杯戦争を終わらせる。
今にも消滅しそうになりながらも、後を託そうとするキャスターを見て。今ならば再契約で助かりそうな命を見て――ココアは奮起した
「私、キャスターちゃんのマスターになる!」
チノのため。
カイトに託されたことを果たすため。
目の前で散りそうな命を救うため。
炭治郎とピーターの足を引っ張らないため。
ココアは再び、かっとビングする。
「私もキャスターさんのマスターになるから、みんなで聖杯戦争を止めたい。きっとそれがカイトさんの託したことだから!
それに私がマスターになれば、足でまといにならないよね!!」
「ワオ。それが君の生き方かい?小動物」
雲雀はココアの決意を楽しそうに眺める。これがこの小動物なりの生き延び方。そして覚悟。
「うん。私、諦めないってカイトさんと約束したから!」
「いいよ。君がそう願うなら、この聖杯戦争を終わらせてあげる」
意外にもココアに真っ先に賛同したのは雲雀だった。
「はい。絶対に聖杯戦争を止めましょう、ココアさん!」
炭治郎も賛成してココア&マズルカ、炭治郎&雲雀は同盟を組む。
ちなみにこの時、改めて自己紹介したことで雲雀はこの場にいる全員に真名が知れ渡った。マズルカは慎重に念話でココアのみに教えつつ、サーヴァントとして意味不明な行動に出る雲雀に困惑。
「よろしくね、マズルカちゃん!」
結局ココアが真名で呼んだことでマズルカの真名も知れ渡り、自分のマスターの行動にまたもやマズルカは困惑。
ピーターも再契約を止めはしなかったが、同盟に対する返答は保留。聖杯戦争を終わらせるということは、自分の願いを放棄することになるからだ。
誰もピーターの意志に文句は言わず、それでも成り行きとはいえとりあえずはココアを守ることに決めてくれたピーターに炭治郎とココアは感謝する。
「マズルカちゃん、炭治郎くん、雲雀さん。みんなで絶対に聖杯戦争を止めようね!」
ココアの目と心には、カイトという誇り高き決闘者の生き様が刻み付けられている。
だから彼女は諦めない。カイトは消滅こそしたが、ココアの中で根付いたその魂は決して潰えない。
――――キャスター、お前はお前の任務を果たせ。
仮面野郎が創る世界よりは、マシだろう…。
ココアの決意に圧倒されて契約を結んだマズルカだが、バッターの最期の言葉を思い出して考え方を改める。
聖杯戦争を終わらせるということは自分の願いの放棄に繋がるが……心優しい彼女はココアの意志を尊重してそれを任務と決める。
自分の性格が聖杯戦争に向いていないということは、なんとなく気付いていた。
消滅しそうな時に頼んだ、戦争を起こそうとしている仮面のマスターとセフィロスを倒してほしいという願いもまたマズルカの本心だ。
「かっとビングだよ、マズルカちゃん!」
この後マズルカはココアからかっとビングという言葉の意味を聞いた
1514
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 19:24:14
春花はアーチャーを倒したというのに、複雑な心境だった
アーチャーが放った最期の一撃。アレを自分達に向けて撃てば勝てる可能性だってあったのに、何故か彼は乱入者に攻撃した。
そもそもアーチャーはドラゴンでマスターを狙うことすらなく、彼らはサーヴァント同士で競い合っていた。
カイムはココアを殺すための術こそ教えてくれたが、直接的にココアを狙うことはなかった。
カイトが誇り高き決闘者であったように、カイムもまた気高き戦士。
二人のサーヴァントに敬意を抱きつつ、春花には迷いが生じていた
気絶したココアを殺さなかった理由は自分達ではなく、乱入者を狙ったカイトに対して敬意を払ったのもある。それにココアがサーヴァントを失ったというのも大きい
だが再契約というシステムがあるのにココアを逃した最大の理由は、春花の中に迷いが生じたからに他ならない
アーチャーは自分の運命を諦めるなと言っていたが、春花とカイムの運命はとっくに終わっている。
だから春花は運命を変えるために聖杯に頼ることを選んだ。
一方でカイムはカイトと交戦したことにより、カイトのような気高き戦士と殺し合いを楽しむという願望が生まれた。
今更聖杯に願うことはないが、カイトとの殺し合いはカイムにとって楽しかったから。
春花が行く宛てもなく彷徨っていると、半グレを引き連れた相馬の姿を偶然発見。何かを企んでいるようなので隠れながら様子を伺う。
彼は造船所へ行き、制圧すると飛空挺をどこからともなく現した。
ココアに対する煮え切らない気持ちが拭いされない春花は相馬と戦い、飛空挺でムー島へ行くことに決める。
ムー島ならば自分の覚悟が揺らいでしまいそうなココアと会うことはないだろう。
それに今回の相手はココアのような優しい人間じゃない。むしろ戦闘に乱入をして漁夫の利を得ようとした悪辣な輩だ。
今の春花は善良な人間に対して少しでも躊躇してしまいそうな精神状態だったが、相手があの乱入者ならばその心配もない。
他の主従を殺害することで覚悟を改め、聖杯を手に入れる。聖杯戦争を勝ち進むために情や優しさはこの戦闘で捨て切る
カイムも先程の乱入者には思うところがあったのか、剣を構えて攻撃を仕掛ける。
情によって覚悟が揺らいでしまったマスターと他のサーヴァントによって殺し合いの楽しさを思い出したセイバーの戦が始まる
1515
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 19:41:08
>>1513
その後
マズルカ「マスター、あまり人前で真名を呼ばれるのはちょっと…」
ココア 「わかった!じゃあルカちゃんだね!」
マズルカ「…まあそれなら」
炭治郎(いいんだ…)
1516
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 20:41:20
>>1502
チノの窮状を知るや否や炭治郎(と雲雀)が外へ出て行ってしまった
もう夕方であり今から向かっても間に合うとは思えないが、それでも彼のような全力で物事に当たる人物には多少なりとも好感を抱くキャスター・マズルカ
本当なら自分も一緒に行きたいところだが、自身の不調や再契約したばかりのキャスターも本調子ではなく、本来関係のないはずなのにチノの事を心配してくれる炭治郎に託すことにしたココア
炭治郎の行動力には驚かされ、しかもココア達のことを任されて困惑するものの、根が善良なためやはり彼女達を放ってはおけないピーターと巧
4人は炭治郎が去ったあと、チノ関連とは異なる情報についてそれぞれ交換を始めた
ピーター達は主に軍事基地での出来事を語った、ギャング達の暴動を鎮圧していたところに巨人が現われて、ランサー達と共闘したがその主従を殺されてしまい巨人も逃がしてしまった、だから巨人を許せない、と
ココアは春花達について語った、まるで姉妹のように仲が良かったが互いにマスターであることが分かってしまい、次に出会ったら戦うことになってしまったと
春花は明確にココアを殺そうとしたが、ココアはそんな彼女を止めたいと思っている。
この時に相手セイバーや竜についても語り、一緒に戦った天城カイトについても色々な事を教えてくれた仲間であることを伝えた
マズルカはランサー組と同盟を結んでいること、虎杖というマスターと敵対していたが知らないところで殺されていたこと、そのサーヴァントが緑の怪人であり交戦から得られた特徴を伝えた
マズルカの最後の説明について、ピーターは驚愕の顔を浮かべて彼女にもっと詳しく聞こうと詰め寄った
話を聞けば聞くほど、それが最愛のメイおばさんを殺したグリーン・ゴブリンではないかと確信を強めていた
1517
:
名無しさん
:2022/03/03(木) 20:48:10
>>1512
「関さん……!?」
木場やチノを心配して大声をあげていたおっこの声が急に途切れた。
頸動脈を切り裂かれ、首から血を流しながら倒れ伏すおっこ。それがチノとまりなちゃんを守った後に木場の見た光景で、動揺する。
まさか殺された?
血塗れのメスを持つ医者を見て、木場は自分達が騙されていたことを確信。
騙された挙句に大切な仲間を失い――かつて木場の仲間である海堂や長田を襲った悲劇を思い出し、木場は絶叫する。
「うわああああああ!!」
大切な仲間を殺された木場は激情に駆られる。
そして激情に駆られたオルフェノクは激情態という形態に変化する特徴を持つ。木場もまた激情態を持つオルフェノクの一人であり、ホースオルフェノクが激情疾走態に変化。
ロクに動かすことの出来ない肉体を気力だけで動かし、全力で疾走すると医者を突き刺そうとする――が、かすり傷に終わる。
これが万全の状態の木場ならば殺し切れたのだろう。
だがパンプキンボムによるダメージで弱っていたこと。おっこを殺した医者が、彼女と契約していたサーヴァントによる襲撃も想定していたこと。
そしてなにより薬によってパワーアップしていたこと。様々な要因が重なり、激情のままに繰り出された攻撃は大した成果もなく終わる。
木場はそこから更に追撃を加えようとするが、すかさずグリーンゴブリンがパンプキンボムを放ち、それを食らったことで瀕死になってしまう。
この時にはホースオルフェノクとしての姿すら維持出来ず人間・木場勇治としての姿に戻っていた。
「「「ライダー!」」」
「ライダーさん!」
マコト兄ちゃん、明さん、まりなちゃん、チノの声が重なる。
パンプキンボムのダメージとその爆風で吹っ飛ばされた木場は、偶然これまで出会ってきた者達の傍に転がっていた。
心配そうにこちらを見てくる彼らを見て、不思議と憎悪は和らいでいた。
いや。憎しみなんかよりも伝えなければならないことが、彼にはある。
だからもう視界もボヤけている中、木場は最期の言葉を口にする。
「俺に出来なかったことを……想いを、繋いでほしい……」
「ああ。ライダー、お前の想いは俺達が繋ぐ!」
マコト兄ちゃんが木場の手を固く握りしめ、力強い返事をしたことで木場は安心した。
結局彼は最期まで乾巧のようにはなれなかったが――その想いはきっと、繋がれていく
そして明さんの鋭い眼光が医者を突き刺す。
あの連携から緑の怪物とおっこを殺した女が主従だと即座に見抜き、みんなに伝えた
まりなちゃんはおっこと木場を殺した女と緑の怪物を睨み付け、ガラスを握り締める
【木場勇治(ライダー)@仮面ライダー555 死亡確認】
1518
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 00:29:03
明確な認証は受けてないけど話の流れからして大丈夫そうなので仮投下
>>870
を本投下
「テメェ…とっととそこから降りてこい外道ッ!」
「ハッ、口の利き方には気をつけることだな、ランサー。さもないとうっかりこのガキを殺しちまいそうだ」
「クソッ…!」(これじゃあ身動きも取れねぇ…どうすればいい?!)
「キサマ…俺とコイツの戦いに水を差した行為、万死に値するぞ!」
(待て、セイバー…今のうちだ、ランサーを討て)
(なっ、そんな姑息な真似は許さないぞ!!)
(いつまでもランサーを仕留められず無駄に消耗している貴様にそんなことを言えた義理はない!!)
(ふざけるな!さすがにその命令は聞けない、この好敵手は俺自らの手で打ち倒してやる、マスターは黙ってろ!!)
(…このクソセイバーがッ!!こうなったら、令呪を使ってでもランサーを討ち取らせるか…?)
「ねぇ、そこの軍人さん。あなた、いつまでそこのお花畑を潰さないでいるのかしら?」
「それに隣の政務官も。聞き分けのない子供には現実を突きつけてあげなくっちゃ」
「キミみたいな手慣れた殺人鬼には言われたくないな。それに、私は無益な殺生は好まない」
「あら、生温いわね。これは聖杯戦争、願いを賭けて殺し合う儀式。いい子ぶっている方が狂っているわ」
「でも、軍人さんの方には見込みがありそうね。どうかしら、私達と一緒に手を組まない?」
1519
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 01:16:06
おっこを殺した女が手にしているメス。
最小限の攻撃で首を切り裂かれていきなり死亡したおっこ。
悪質な手段で相手を嵌めるやり方。
そしておっこを殺された今となってヒシヒシと感じる、ゲス特有の雰囲気
「……あは。どうして気付かなかったんだろ……」
まりなちゃんはおっこを殺した女に心当たりがある。
姿形や声は違っても、性格や武器は変わっていない。
「まりなさん……?」
女に対して憎悪を向けるまりなちゃんを心配して、チノが声を掛ける。
おっこが死んだ。
ライダーも死んだ。
チノとマコトだけが生きている。
だからまりなちゃんは二人だけでも助けるために――一人にならないために自分に出来ることをする。
「その女が医者!まりなとアーチャーを利用して宿を襲わせた犯人!!」
まりなちゃんの叫びはシャアやホメロスを含め、全員に届いた。
医者だけは許せないから、精一杯の大声で叫んだ。
「あいつさえいなければ、おっことライダーは死ななかったはずなのに……!」
許せない。許せるはずがない。
どうしておっことライダーを殺したの?
どうして大切な人を奪っていくの?
本来ならあの医者を相手にするなら色々と策を練るべきだろうが――考えるより先に体が動いた。感情が肉体を突き動かした。
まりなちゃんは全力で走って、手に持ったガラスで医者に襲い掛かる。
怒りと憎しみで満ちた心によって思い切り握られたガラスはまりなちゃん自身を傷付けて、血が流れるが関係ない。
「おっことライダーを返せよ!!!」
大切なモノを奪った悪魔を殺すために――少女は因縁の相手へ刃を向ける
1520
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 04:02:26
>>1519
「うわああああ!」
医者に尖ったガラスの破片を突き刺そうと走るまりな
「まりなさん!?」チノが危険人物に向かって走るまりなに驚いて声をかけるが止まらない。
医者は愉快気な表情でそれを見ている
「こっちにいらっしゃい」とでも言うかのように両腕を広げて笑みをうかべている
そしてまりなの刃が医者に届くかというとき
医者は片手を手刀の形にして振り上げた。
まるで、親が子を叱るようなビンタか、友達同士がじゃれあいでチョップをするような体勢
しかしその腕には異様な血管がビキビキと浮き上がっており、
腕のシルエットもか細い女の細腕だったものが筋肉が膨れて膨張していた。
医者が自身の体に打ち込んだ擬似禁薬の効果だ
医者は手刀を振った。その増強した力の一撃は、少女の首など一撃で折りかねない!
「さようなら」
医者が手刀を振った!しかしその手は空振りに終わる。
ブンッ!と人間の振った腕が出すとは思えない風切り音が鳴っただけだ。
突如横から乱入してきた少年が、前のめりになりながら、まりなを抱きかかえて横飛びに転がったのだ
その拍子に少年、竈門炭治郎は、まりなの持っていたガラスで頬をわずかに傷付けた。
しかしそんなことなど構わず、炭治郎はおっこ殺した下手人を睨みつける。
グライダーで飛翔しながら、歯噛みするランサーを眼下にいい気分になっていたグリーン・ゴブリン
しかしその背後から、何者から空中に足場を置きジャンプするように飛んできたのを、
夕焼けの散乱光から生まれる影から察知した。
「何ィ!?」
すぐさま、胡桃を盾にするように振り返る。
だが背後からの襲撃者は直前に回転とびの要領でグリーンゴブリンの頭上を通り抜け、
空中で体を捻り、がら空きの背中に一撃を叩き込んだ
「グエッ!」
人質の少女が落下する!
「胡桃ィ!」
ランサー・宮本明が闘っていたセイバー・ハドラーを放って全力ダッシュ。
セイバーはその背にわざわざ追撃を繰り出そうとせず、
そのセイバーの態度にマスターのハドラーはまたもイラつく。
ランサーは胡桃が地面に激突する前にキャッチした。
「君がテロ事件を起こした小動物だね。」
「何だテメェは!!!」
「君はここで噛み殺す。」
グリーン・ゴブリンはお楽しみを邪魔したアサシン・雲雀恭弥を敵と見定め、
グライダーに取り付けた機関砲を斉射した。
2人がムー島に到着した時には既に戦闘が始まっており、おっこ達が殺害された直前のパンプキンボムの爆発音が聞こえてきたところだった。
アサシンは炭治郎の服やら腕やらを引っ張ってサーヴァントの跳躍力ですぐに移動、
途中で医者に特攻するまりなと、胡桃を抱えるグリーン・ゴブリンを目撃し、
炭治郎はまりなの元へ、雲雀はグリーン・ゴブリンの元に建物の間を駆け上がりったりロールを足場にしたりしながら接近していた。
1521
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 16:35:05
(仮投下修正したもの。自分とチノに攻撃の矛先が向き、まりなと逃げるように促すライダー)
>>1518
の続き
◆◆◆◆◆◆◆
突然の乱入者による半ば強制的な戦闘中断、またシャアの戦闘停止が起因となってバーサーカー・エレンの狂化が発動、チノの元にまで後退したクリミナル・深海マコトを無視して胡桃をキャッチしたランサー・宮本明に襲いかかる。
ちなみにバーサーカーはシャアの方針でチノ達は狙わずにサーヴァントを倒すのは合意していたが、胡桃とランサーは勘定外でありなおかつ狂化の度合いが増したため二人をまとめて潰すつもりである。
一方、ランサーは胡桃を抱えているためまともに戦闘はできず、何とか攻撃を躱しながら逃げるために動き出す。
ランサーとの戦いが有耶無耶になってしまったセイバー・ハドラーは、バーサーカーの暴走にも腹を立てていた
更に重ねるように、ホメロスが令呪で「クリミナルとそのマスターを速やかに殺せ」と命じてしまう
マスターの蛮行に激怒するセイバーだが、令呪の強制力には逆らえずにクリミナルに刃を向けた
バーサーカーの暴走やホメロスの行動に「やめろ!」というシャアだが、ホメロスはシャアにも剣を突き付ける
あの女の言う通り生温い、これは戦争だ、敵を倒さねばいつまでも終わらない、お前も聖杯に託す願いがあるなら黙っていろ、と鬼の形相でホメロスは抑止しようとするシャアを牽制した
◆◆◆◆◆◆◆
武人のような風格のあった男が、マスターへの怒りを顕にしながら自分とチノに襲いかかってきた。
ライダー・深海マコトはセイバー・ハドラーの攻撃をディープスラッシャーで受け止め、真意を問う。
「どうした?何があったんだ、セイバー!?」
それに対してセイバーは自身がホメロスの令呪で強制的に動かされていると答えた。
セイバーとしても好敵手であるランサーを自らの手で打ち倒したかった。バーサーカーの暴走も想定外で、彼としても獲物を変えてクリミナルやそのマスターを襲うことは不本意。
ちなみにこの際「速やかに」という命令だったのに即宝具を使わなかったのは、ハドラーが対魔力により多少は令呪に抗っているからである。
それでも対魔力Bのセイバーでは限界があり「速やかに」という部分のみに対する反発に収まっている。
なかなか宝具を使おうとしないセイバーに苛立ったホメロスは重ねて命ずる。宝具を使え、と
令呪を二画使われたことでセイバーの些細な抵抗すらも許されず、超魔爆炎覇を使う。
「目を覚ませ、セイバー!」
ゲンカイダイカイガン!ディープスペクター!ギガオメガドライブ!
ディープスペクターも必殺のライダーキックを繰り出し、激突の末に両者の痛み分けに終わり、吹っ飛んだディープスペクターにチノが駆け寄る。
だがこの状況では逆にチノの身が危ない。戦闘中の自分の傍にいればセイバーの攻撃の流れ弾で傷つきかねない。
念話でチノに、まりなと逃げろ!と伝え、ディープスペクターは木場に託された想いを繋げるため、不屈の闘志で立ち上がり再び戦闘態勢に入る。
対するセイバーも吹っ飛ぶが、ホメロスから罵声を浴びせられながらも立ち上がる。
そしてその一瞬。セイバーが吹っ飛ばされ、ホメロスの注意がセイバーに向けられたその一瞬をシャアは見逃さない。
ランサーと戦っていたバーサーカーを自分とホメロスの間を割って入るように令呪で呼び出し、更にホメロスを狙うように令呪で命ずる。
ホメロスとは元から相性が悪かったし、今ならばランサー、クリミナル、アサシンと手を組む好機である。
少女達の命を奪わずにも済む。この機会を見逃す手はない。
突如ワープしてホメロスを襲おうとするバーサーカーをランサーは、胡桃を抱えながらハァハァと荒い呼吸をしながら眺めていた
1522
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 16:36:33
>>1520
の続き、
>>1521
とほぼ同時(令呪カット、細かい位置情報消し、呼び方ちょっと変えた)
◆◆◆◆◆◆◆
異様に筋肉が膨張した女を炭治郎は一瞬、鬼だと錯覚したが匂いで彼女が人間であることに気付く。
しかし相手が人間だろうが関係ない。鬼にも良い鬼はいるし、人間にも悪鬼はいる。
「関さんとライダーさんは……」
「2人は……死んじゃった……。あいつが……医者がおっことライダーを殺した……!!」
関織子とライダー。
心優しき2人の死に炭治郎は歯噛みする。
目の前の人を皮を被った人間が悪鬼なら、木場は化け物の皮を被った人間だ。
関織子とライダーは死ぬべき人じゃなかったと炭治郎は心から思う。
目の前の、愉悦の笑みで人を殺す人間は、もはや無惨が生み出した鬼と何も変わらない。炭治郎はそう判断した。
「君は危ないから下がってて。この悪鬼は俺が斬る!」
日輪刀を構え、炭治郎は医者と対峙する――が医者は彼の正義感を嘲笑い、まりなを優先して狙う気はないと言う。
何故ならまりなには時限爆弾式に死ぬ手術を施してあるから、と。
「………お前、何を言っているんだ?」
「あはは、簡単に言うと〜彼女は残り数時間で死ぬ、ってこと!」
「ッ!!この子の体を元に戻せ!!」
「アハハ。お願いなら地面に頭こすりつけて土下座したらぁ?」
関織子と木場の死も。
まりなの決意も。
炭治郎の勇気も。
チノの優しさも。
マコト兄ちゃんの想いも。
なにもかも無駄で、そこの少女は直に死ぬと嘲笑う
「……あは」
それでもまりなは、誰よりも自分に残された時間が少ないことを悟っていたから。
だから彼女は余命宣告に怖気付くことなく、僅かに残された命の灯火を燃やす。
手に割れたガラスの刃物を握り締める。
――俺に出来なかったことを……想いを、繋いでほしい……
木場の最期の言葉を思い出す。
想いを繋ぐ。まりなにはその言葉の意味を理解することは難しいけど……友達をこれ以上巻き込まないために炭治郎に並び立つ。
死んでもまりなは一人じゃない。おっこやライダーも一緒だ。
だからみんなを守るために、ちゃんと医者を殺さなきゃ。
◆◆◆◆◆◆◆
殺意を高めて覚悟を決めたまりなの腕を引く手があった。
まりなが振り向くと、そこには泣きそうな顔をしたチノがいた。
「ここから逃げましょう。まりなさん。」
まりなは困惑した
なんで?なんでチノはそんな事を言うの?
ライダーもおっこも殺された。その仇が目の前にいるのに逃げようなんて。
木場さんも言ってたでしょ。想いを繋いでほしいって。今がその時なんだよ。
どうせあたしはこいつに殺されるだろうけど、そのスキにあのサムライみたいなお兄さんが医者を殺してくれるかもしれない。
だから
「まりなちゃん、香風さん。ここは俺に任せて逃げて!」
炭治郎は医者に向かって駆け出しながら、
各々の主従や戦闘地点から離れており、なおかつ医者が標的をまりな達に向けても自分が対応できる方角を指さした。
想いを繋ぐ。
それは憎しみや恨みを次に引き継ぐということではないはずだ。
誰かに理想を託し、未来へと希望を繋げる、そういう意味で、きっと木場はその言葉を残した。
炭治郎は医者と戦闘を始めた。
医者を拘束し、無理やりにでもまりなを治療させる。
無謀にしか思えない方法だが、それしかまりなを救う方法はない。
(ここまで)
1523
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 16:51:10
(
>>1521
は一応、医者とゴブリンに炭治郎と雲雀が立ち向かっているのを確認したうえでそれらからも逃げるよう促してるという感じで脳内補完を願います…。)
1524
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 16:54:06
>>1522
炭治郎はおっこを殺した殺人女を止めようと接近する、ただし人を殺めるつもりはなく逆刃で叩くつもりだ
しかし疑似禁薬によって炭治郎の動きにも対応できるようになった医者は、彼が接近する前に隠し持っていたパンプキンボムを投げ込んだ
咄嗟に爆弾と判断した炭治郎はそれを回避するが、それは爆発しなかった
実は相手を騙すための爆弾もどきであり、炭治郎がそれに気付いた時には接近していた医者が炭治郎を蹴り飛ばし、遠くの建物まで吹っ飛ばされた
だが医者は追撃することなく、大声で叫ぶ
「今すぐ撤退よ、アルターエゴ!」
令呪一画が光輝いて消えたあと、アサシンと戦っていたゴブリンがマスターの元へ転移する
実は令呪を使用する前に医者はゴブリンと念話で話しており、シャアとホメロスのいざこざから戦況が変わりいつまでも居座るのは不味いと判断したのだ
手筈通りに医者を改修したゴブリンはグライダーを全速力で飛ばし始める
突然逃げ始めた緑の怪人達をアサシンは執拗に追いかけようとしたが、ゴブリンが放った手裏剣とボムに阻まれて捕まえることは叶わなかった
1525
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 17:00:48
>>1520
機関砲の弾丸をたかだかトンファーで弾き落とすアサシンという暗殺者のクラスにあるまじき脳筋戦法の化け物を見て、グリーンゴブリンは「お前本当にアサシンか?」という感じの質問をする。
「アサシン?知らないな。僕は並盛中学の風紀委員長だよ」
並盛中学の風紀委員長。何故か勝手に個人情報を教えてくれた雲雀にグリーンゴブリンは名前を問う。
よくわからないやつだが、個人情報をここまであっさり教えるなら真名も教えてくれそうだと考えたのだ。
「雲雀恭弥だよ。そんなことを知ってどうするの?」
グリーンゴブリンは自分から真名を教える特大級の馬鹿を内心嘲笑うが、雲雀が猛攻に出る。
「じゃあ続けようか」
孤高の浮雲はなにものにも囚われない。
それゆえに聖杯戦争の常識にも囚われず、堂々と真名を口にする。
理解不能なイカれた存在にペースを乱されつつも、グリーンゴブリンは応戦して
>>1524
に至る
逃走こそ成功したが最後に放った手裏剣とボムもあっさり対処されて、雲雀恭弥という男の凄まじさを知るが同時に医者とグリーンゴブリンはアサシンの真名や並盛中学の風紀委員長という情報を持ち帰ることに成功した
戦闘結果だけ見れば雲雀は大した負傷もなく、グリーンゴブリンの方は多少のダメージを受けた
しかし情報を得て逃げることが出来ただけでも、グリーンゴブリンにとっては成果として十分だ
1526
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 17:03:29
>>1524
に追加
戦場から見事脱出した医者とゴブリンはグライダーで移動しながら今後の方針について話し合う
今回の乱戦で色々な情報を得ることができたが、一番の問題はセイバー組以外の四組が仲良く結託する可能性を危惧していた
このままでは多勢に無勢、いくら暗躍しようともいずれ追い詰められるかもしれない
ならば、と二人の乗るグライダーは前進を続ける
このままレムリア島に向かって心機一転、新たなヴィランと同盟を組んで対抗せねば
1527
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 18:50:33
>>1521
の続き
ホメロスがセイバーの方に気が向いた僅かな隙に、シャアは令呪を使って巨人を呼び戻す
さらにシャアが自分を狙うよう令呪を重ねてたことにより、ホメロスがどんな行動をとるよりも早く巨人の拳が先に動き出していた
呪文を唱える時間などなく、剣で斬りつけようとも防御しようとも圧倒的質量には無意味に等しい
たった一瞬で自分が窮地に立たされたことも何かを思い浮かべる暇もなく、ホメロスは迫り来る暴虐に対して目を閉じてしまった
…だが、いつまでたっても衝撃は来ない
恐る恐る目を開いてみると、セイバーがバーサーカーの巨拳を押さえていた
「な、なぜだ…なぜ、私を助けた!?」
「全く、なぜだか俺にも分からん。横暴を振るい騙し討ちばかりを指示する小悪党なぞ、俺にとっては大っ嫌いな存在だ」
攻撃を止められたバーサーカーは拳を一度引っ込め、今度は両腕でセイバー諸共ホメロスを葬ろうとする
だがその殴打の連発をセイバーは防ぎ続けている
「だがな、どうであれお前が俺のマスターだ。今回の闘争に喚んでくれたことだけは感謝している、それでいいだろ」
「なっ…!?」
「だが、正直言うと長くは持ちそうにない。だからお前は今のうちに遠くへ逃げろ!」
今のセイバーは「クリミナルとそのマスターを殺せ」という令呪の命令に縛られている、それを対魔力と意地で無理矢理無視してマスターのために盾となっているのだ
その代償として本来の力が出せなくとも、想像していた戦いが望めなくても、戦士として召喚してくれたマスターを全力で守ろうとしているのだ
「…セイバー、もう少しだけ耐えてくれ、私がなんとかする」
「くっ、とっとと逃げればいいものを…だが、任されたからには応えてやるさ!」
バーサーカーは両腕を硬質化させてさらに殺傷能力を高める、それでもセイバーは攻撃を捌き、躱し、防御してホメロスには一歩も触れさせなかった
だが全力の巨人の猛攻を受け続けていれば、全力を出せない超魔生物とて徐々に押されてしまい、その猛威はホメロスにも迫っていく
やがてその均衡が崩れそうな時、ホメロスは呪文を唱え終えて言い放った
「ドルモーラ!」
放たれた闇の魔力はバーサーカーの頭部へと飛翔し大爆発、神秘による上位呪文では対魔力を持たないエレンはもろにダメージを受けてしまい、半ば頭部が欠損した状態で倒れてしまった
「バーサーカー!?」
「ハッ、随分と上等な呪文を使えるじゃないか、マスター」
「ああ、相手が対魔力を持たない狂戦士で助かった」
「さて、それじゃあ」
そしてセイバーはクリミナルの方に向き直して武器を構える
今でも令呪の効果は継続中だが、自身の必殺技『超魔爆炎覇』にライダーキックで対抗したディープスペクターに対して認識を改めて強敵と認めていた
マスターであるチノへの攻撃は自身の対魔力と気合いで押し留めて、クリミナルとの戦闘に集中しようとする
「待て、セイバー」
そこへ、胡桃を抱えたランサーが現われてクリミナルとチノ&まりなの方に合流する
ランサーはチノ達に意識のない胡桃を預けると、武器を構えぬままセイバーと向き合う
「俺との勝負はどうした、セイバー」
「…すまない、今の俺は令呪に縛られている、そいつと戦わなければならない」
「そうか、なら仕方がない、俺はお前を止めるために動くぞ」
「構わない、とても不本意な戦いになるが、それでも俺は全力で戦わせてもらうぞ!」
「…いや、もういい」
「令呪でもって命ずる、『お前の好きなように、存分に闘え、セイバー』」
「「「!!!?」」」
それはホメロスから発せられた不意な命令であり、今にも衝突しそうだった三騎の英霊たちはあまりの出来事に一瞬動きを止めてしまう
さらにセイバーはそれまで味わっていた束縛感から解放され、むしろ力が漲る感覚を覚えていた
「これはどういうことだ、ホメロス!」
「言葉通りだ、セイバー。ランサーと一騎打ちだろうとなんだろうと構わん、ただお前が最強であることを示せ」
「…感謝するぜ、マスター。ならば、この二騎のサーヴァント相手を打ち倒して名誉挽回させてもらうぜ」
「ふん、勝手にしろ」
「いいのか、俺はタイマンでお前と勝負を着けたかったんだが」
「ふん、甘く見くびられたものだな。かつて魔王と呼ばれた俺と戦うなら、二人でかかってこい」
「…わかった、セイバー。その信念に敬意を表して、俺も全力でアンタと戦おう」
「我の真名は“ハドラー”、魔王軍の一員として勇者達と敵対した魔王の端くれだ、その脅威をお前らにもしらしめてやる!」
「“宮本明”だ、今まで戦った吸血鬼共の中にはお前みたいな武人とも相まみえた。今度こそ決着をつけるぞ、ハドラー!」
「俺は“深海マコト”、仮面ライダースペクターだ。マスターを守るため、木場の意志を繋げるために、俺は戦い抜く!」
◆◆◆◆◆◆◆
英霊三騎が激突するその前後、シャアはバーサーカーに三画目の令呪を使いホメロスへの攻撃を中止させ、戦意なく佇むホメロスの傍に近寄った
「どうして、あんなことを」
「…もうすでに趨勢は見えている。乱入者共に場を荒らされ、お前に裏切られて、あの医者という女にも逃げられて、私一人が虚勢を張ったところで事は上手くいかないだろう」
「………」
「だからせめて、セイバーの願いでも叶えてやろうと思った、それだけだ」
「そうか」
「そういうお前こそいいのか、私を殺さずに放置しといて」
「言っただろう、無益な殺生は好まないと」
「ふん、そんな余裕でいられるのも今のうちだけかもしれんぞ」
「と、いうと?」
「我が最強のセイバーならばあの二騎を同時に相手しても倒すはずだ、そのときはお前ともまたやりあうかもしれん」
「ふっ、その時はその時さ」
「…やはり貴様はいけ好かないな」
※ホメロスもシャアも令呪を三画使用しました
1528
:
名無しさん
:2022/03/05(土) 19:41:30
>>1527
木場の想いを一身に受けて、ディープスペクターは果敢に戦う。
チノとまりなちゃんはそれを二人で眺めていた。
自分達に託し、散っていった木場の想い。おっこの無念。
そしてチノとまりなちゃんの希望。
まりなちゃんが見ているマコト兄ちゃんの背には憎悪などなく、代わりに熱い想いが乗せられている
「散っていった友のため。今を生きる少女達のため――俺達は負けん!」
1529
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 08:24:50
>>1526
続き
「どこに行くつもりだい」
「ああ!?しつけえ野郎だな!!」
グライダーで飛行してちょうどムー島の「へり」から飛び立とうとしているグリーン・ゴブリン。
だが雲雀が『雲のブレスレットVer.X』の形態変化状態で屋根を飛び越え、雲ハリネズミを足場にし、ゴブリンに接近していた。
まだ多少距離が開いているが、雲雀は後端からチェーンブレードのついたトンファーを振り回している。
武器に付属の鎖などがこの距離で届く筈がない、筈だが。
「爆弾で吹き飛ばしなさい。」
医者は嫌な予感を感じてゴブリンにそう指示を出す。
ゴブリンも従い、精一杯の爆弾を出して雲雀に向かって放り投げる。
しかし雲雀はそれを、雲属性の炎の力で異様に長く伸びたチェーンブレードを振り回して迎撃する。
既に見た攻撃だ。どこぞのボム使いのようなトリッキーな攻撃ならともかく、この程度の攻撃、雲雀の戦闘センスなら簡単に対処できる。
そのまま雲雀はトンファーを奮い十分に伸びたチェーンブレードをゴブリンに向けて振るおうとしている
「令呪で命じる!逃げ切れアルターエゴ!!」
医者は令呪を発動し、ゴブリンの操るグライダーは異様な加速と方向転換を行い、チェーンブレードを掻い潜った。
ゴブリンと雲雀の距離が更に開く。だが雲雀は追うのをやめない。空中を飛びながら更にチェーンブレードを伸ばして再び攻撃しようとする。
だが雲雀は下に飛空艇がいることに気付く。
グリーン・ゴブリンの攻撃で雲雀に当たらなかったボム。それが下の飛空艇に着弾しそうになっていた。
それは雲雀が乗ってきた飛空艇。甲板には怪訝な顔で上空を見上げる不良少年と数人の乗組員。
「…くっ」
雲雀はやむなく下方向に雲ハリネズミを蹴って跳躍。着弾前に爆弾をチェーンブレードを切断し空中で全部爆破させた。
「うわー!?」「なんだ!?」「敵襲か!?」
甲板上で驚き騒ぐ飛空艇の乗組員たち。雲雀は霊体化していないが船の側面の凹凸を掴むように張り付いているため見られてはいない。
だが、ゴブリン達の方向を見ると巨大な雲が流れており、敵はそちらに潜って隠れたようだった。
自分も雲に潜り虱潰しに探すか、それとも目的地であろうレムリア島まで走って渡るか考えたが、
雲の中に潜った敵がムー島に引き返す可能性や、流石に元々飛行に特化していない自分では到着までに炭治郎の魔力が保たない可能性があると考え、
雲雀は不本意ながらムー島に一旦引き返すことにした。
雲の守護者が雲に阻まれる。なんと皮肉なことか。
令呪の効果はすぐに切れ、通常速度に戻ったグライダーに運ばれながら医者は考える。
医者はアサシンの思わぬ執念深さに令呪を短時間に2画消費してしまったことについて惜しいと思った。
しかしこのアルターエゴには残りの令呪の数など大して意味はないだろう、とも考えている。
当然、最後の令呪を使うような状況は避けたいが、そもそもこいつはマスターが気に入らなければ令呪の画数に関わらず切り捨てるのだ。
それに客観的に見て自分以上にこの外道と合う奴はおそらくいないだろう。
こいつも聖杯を欲している以上、安易に切り捨てに走る真似はしない。そう医者は考えている。
令呪よりも問題なのは負傷だ。
先ほど令呪を使った時に無茶な挙動により医者の体に強烈なGがかかった。元の体だったら間違いなく即死していただろう。
劣化版の禁薬で強化した体ではギリギリ耐えられた。ただしそれでも骨を何本も損傷した。
だがそれも自分で処置すれば治すのは容易い。いや、強化されたこの肉体なら放置していても時間はかかるが治るだろう。
他の主従との戦闘より自分のサーヴァントによる負傷のほうが大きいとは。医者はふぅとため息をついた。
1530
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 08:32:25
チノとまりなちゃんが応援しているのは、マコト兄ちゃんだけではない。
共に戦うランサーのことも二人は応援していた。
特別何か繋がりがあるわけではないが、マコト兄ちゃんの仲間だからこそ共に戦うランサーのことも応援する。
それはセイバーを倒して、勝ってほしいという願い。
少女達の祈りはランサーに届き、彼の宝具である吸血殲鬼が発動される
無限に進化する力。
人間の可能性は、無限大だ
それを証明するかのようにランサーはディープスペクターと共にセイバーを徐々に追い詰めていく
相手が強力な化け物であり、仮面ライダーの助けがあり、少女達の想いがある。
ゆえに今のランサーは最高のコンディションを誇り、人間の身でありながら数々の化け物を屠ってきた宮本明という英雄の集大成とすら言える。
勇者と呼ぶに相応しいその男を最高の好敵手と認めたハドラーは遂に切り札を使う。
超魔爆炎覇。セイバーが誇る最強の必殺技に対して迎え撃つランサーの手段は――丸太、ではなく義手刀。
ザンッ!という音が鳴り響き、ハドラーは真っ二つに――されない。
だが確実に大きな負傷は与えており、同時にランサーもまた致命傷を受ける。
しかしどちらも決定的な致命傷にはならず、その存在を保っている。
だがランサーはこの化け物を倒すには自分の攻撃だけで足りないことを察していた。
だから本命の一撃――そのダメージを少しでも上乗せするために、丸太を投げる。
「魔王のお前に一つ教える!
――人間の可能性は、無限大だ!!」
ゲンカイダイカイガン!ディープスペクター!ギガオメガドライブ!
タケルがよく言っていた台詞を叫び、マコト兄ちゃんはギガオメガドライブを発動。
そしてディープスペクターの一撃をくらい、魔王は打ち倒された。
厳密にはライダーキックと丸太の協力技。
ランサーの投げ飛ばした丸太を、ディープスペクターの強烈な一撃でセイバーに対して杭のように叩き込んだ。
しかし強敵共と全力で戦えたハドラーには一片の悔いもなく、満足そうに消滅。
魔王は人間の可能性に敗れ、平和が訪れる
「ハァハァ……」
訪れるはずだった。
「胡桃……!?」
ランサーは吸血鬼のようになってしまった自分のマスターを見つめ――僅かな逡巡の後、胡桃に鋭い眼光を向け、義手刀を構える
【ハドラー(セイバー)@ダイの大冒険 死亡確認】
1531
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 08:48:33
おっこを殺した殺人鬼をみすみす逃がしてしまい自分の至らなさに歯噛みする炭治郎
だが今はチノ達の無事や見知らぬ少女(胡桃)の安否を確認するために体中の痛みを耐えながら駆け寄った
(この時シャアはホメロスの傍にいるため、チノ達とは距離を取っている)
(またハドラー、宮本明、深海マコトは激闘中、エレンはシャアの近くにいる、雲雀はゴブリン達を追いかけたためだいぶ離れている)
チノに怪我はなくむしろ自分の心配をされてしまい、まりなは医者達に相当な憎しみを抱いていたが炭治郎を傷つけてしまったことに謝ってくれた
二人の無事を確認して、目が覚めない少女にも怪我がないことに安堵した炭治郎は英霊三騎の激闘を見守っていた
そして戦闘が終結する頃
「…ぁぁ、ううん…」
「キミ、大丈夫か!?」
見知らぬ少女がついに目覚めそうになったため、炭治郎は覚醒を促すために声をかけた
やがて意識を取り戻した少女は横になった状態からゆっくりと上半身を起こした
「大丈夫?どこか怪我はない?」
「…あーーー」
胡乱な目をした少女は声を掛けた炭治郎の方に顔を向けて、やがて彼に倒れ込むように身を寄せた
突然の出来事に若干赤面して驚く炭治郎だったが
ガブリッ!
喉元を、少女の強力な顎によって抉られてしまった
◆◆◆◆◆◆◆
時は遡って、医者達が胡桃を騙して無力な状態にしたあと
「ハハッ!上手くいったな、マスター」
「ええ、順調ね。このまま向こうにいって演技を続けるから、手筈通りによろしく」
「了解。だが、その前に」
グリーン・ゴブリンは『狂気を生み出す禁薬』を手に取り、胡桃にそれを投与した
胡桃は先に投与された薬によって意識を失っている状態であり、数十分は目を覚まさないだろう
その間に邪悪な薬液が体内を巡り、彼女の細胞をより凶悪に変異させる
そしてゴブリンは動かないままの胡桃を抱えて戦場を荒らしに行く
もし仮に途中で彼女を手放してしまったとしても、彼女から生まれる凶悪な人格が後々に爆弾となって派手にやらかしてくれると期待しながら
―――医者とゴブリンは知らないことだが、ゾンビに噛まれて感染した胡桃にさらなる変化をもたらしていた
超人的な身体能力を与えると同時に、人を喰らう感染者特有の欲望を禁薬が増長させてしまった
意識を取り戻さないうちは何もできないが、意識を取り戻した時に彼女がどうなるかは医者もグリーン・ゴブリンもわからない
その果てに誕生するのは新たなる超人ヴィランか、ただ人を貪るだけの強力な屍人に成り果てるのか、はたまた、とある世界で「死徒」と呼ばれる化け物みたくなるのか
◆◆◆◆◆◆◆
胡桃は目の前にいた人間を一心不乱に貪る、命を奪う、冒涜を犯す
完全に不意を突かれた炭治郎には為す術がなかった、しかも首に穴を開けられては呼吸すらままならない
激痛で体が痙攣する、激痛で思考が鈍る中、チノやまりなに目で訴えかける
逃げろ、早く
この時炭治郎はチノ達が自身の妹達に見えていたかもしれない
けれども、唐突に始まった凄惨な猟奇を見せつけられたチノおよびまりなは足がすくみ動けなかった
炭治郎の想いは届かず、彼の意識は遠のいてしまった
【竈門炭治郎@鬼滅の刃 死亡確認】
あらかた炭治郎を食い終わり、食人鬼の視線は新たなる新鮮な獲物に切り替える
怯えて動けないウサギ達にその牙を向けるが、素早くやってきたエレンがチノ達を抱えて離脱したことで回避することができた
これはチノ達の異変に気付いたシャアが指示したものであり、進撃の巨人の頭を吹っ飛ばされて巨人化を解除したエレンが立体機動装置で移動、胡桃が炭治郎を食い終わるまでに少しの時間があったため彼女達の救出に間に合ったのだ
目の前のご馳走を奪われた胡桃はそれらを追いかけることはせず、今度はシャアとホメロスに向かって跳躍する
「…あは、あはははは!なんてすがすがしい気分なんだろう、私!」
【恵飛須沢胡桃@がっこうぐらし! 疑似死徒化】
1532
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 09:48:55
>>1531
『雲雀さん……チノちゃんとまりなちゃんを守ってあげてください……』
炭治郎は雲雀に念話をする。
呼吸すら出来なくても、声を発することさえ不可能でも。唯一、自分のサーヴァントである雲雀とは会話することが出来るから。
『それと俺の代わりに、チノちゃんをココアさんの元へ送り届けてくれませんか……?』
炭治郎には果たさなければいけない約束があった。
姉と妹を再会させたい。今にも手放してしまいそうな意識を必死に繋ぎ止めて、炭治郎は雲雀に託そうとする。
『いいよ』
雲雀はいつものように軽く返事をして。
『小動物。――君の最期の願い、叶えてあげる』
雲雀は炭治郎の命が危ういことを感じ取っていた。
念話が途切れ途切れであることもそうだし、なによりこの小動物が無責任に他人に全てを任せるわけがない。
『ありがとう、ございます……。雲雀さんが仲間で……よかったです……』
炭治郎はサーヴァントではなく、仲間という言葉を使う。
それは雲雀を従者ではなく、共に戦う仲間だと思っているから。
そして雲雀に想いを託せた炭治郎は、息を引き取る。
「竈門炭治郎。君は本当に、あの小動物と似てるね」
死ぬ間際まで自分よりも他人を優先する、心優しい少年。彼の姿は大空を想起させる。
竈門炭治郎は死亡した。
しかし彼の想いはそれを託された仲間がいる限り永遠であり、不滅。
大空に内包された日輪は孤高の浮き雲を動かし――その存在は雲雀恭弥の心に刻み付けられた
1533
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 10:45:19
ハドラーが消滅した後の、シャア達のいる場所に疑似死徒化した胡桃が飛び込んできた。
まるで吸血鬼のように様子のおかしくなっている胡桃に義手刀を構えたランサー・宮本明。
直後、胡桃は信じられない速度で跳躍して生身のままハドラーとシャアに飛び掛かった。
シャアはニュータイプの直感で異常を察知し、武人のホメロスはなんなく避ける。
ホメロスが剣を振るうが、胡桃は異常な身体能力で飛びずさり距離を取る。
「どうしちまったんだ胡桃!!」
ランサーの脳裏に、胡桃から聞いていた「かれら」の事が脳裏をよぎる。まさか、この聖杯戦争で病状に変化が?
「うるさいな。」
今まで聞いた事のない圧力のある視線と声をランサーにかける胡桃。
てっきり理性を失って暴れているのかと思った明は驚き絶句する。
いや、間違いなく正気ではない。ランサーに向けられた胡桃の瞳は白目も虹彩も血走り異様な光を放っている。
「胡桃!!さっきの奴らに何かされたのか!?」
「うるさいって。
令呪をもって命じる。『これからは私に逆らうなランサー』。もう喋るな。黙れ。」
にべもなく明の発言を封じる胡桃。曖昧な令呪ゆえに拘束力は低いが対魔力の無いランサーには一先ずこれで十分。
胡桃は「かれら」の本能による強烈な飢餓感を抱いていた。
しかもグリーン・ゴブリンの禁薬で強化された体はエネルギーを多く消費し、飢餓感はより一層増していた。
あの少年を食いちらしただけでは足りない
先ほどみた少女達は実にうまそうだったが、この周辺に残るのはそれだけでリスクが多い。
「かれら」のように理性を失っていない胡桃は冷静に考えて、自分の食欲を満たすためにこの場を離脱する。
聖杯戦争?願いの為に戦う?そんな理想は飢えに支配されている今の胡桃にとってクソ喰らえであった。
むしろ、まだ利用価値のあるランサーに対しても、こいつがいるせいで他の主従に狙われるなら自害を命じていいとさえ考えていた。
「ついてこいランサー。」
ランサーに命令する。そして胡桃は超人的な速度でその場から走り抜ける。
先ほどの逆らうなという令呪の効果が未だ継続中なのに加え、そうでなくても異常な様子の胡桃から目を離すわけにはいかない。
ランサーは追う。消耗しているとはいえ油断するとサーヴァントである自分を引き離しかねない速度で走る胡桃に戦慄しながら。
餌を求める胡桃が向かった先。
偶然か、「かれら」の生前の行動を模倣する性質が今の胡桃にも現れているのか。
胡桃の向かった先は市街地ではなく、自分が通っていた学校だった。
1534
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 11:06:25
ホメロスとシャアは戦闘終了後に、激しい戦闘音におそるおそるやってきた兵士に向かって指示を出した。
ホメロス「おい。店主はまだ拘束したままだな?」
兵士「は、はい。何か異常事態が起きていたようでしたので、処刑どころでなく指示を待っておりました…。」
ホメロス「…爆弾テロの真犯人が判明した。
店主は無実であり、誤解による拘束であった。
処刑は中止すると通達しろ。」
兵士「ははっ!」
若い兵士は恐ろしい公開処刑が中止になったことで安堵したようだ。
シャア「…すぐに解放しては混乱した民衆に何かされかねない。
明日、誤解であったことを市内に広く通達した後、夕方に解放したまえ。」
兵士「承知いたしました!」
1535
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 12:16:30
>>1530
自身の切り札でトドメを刺せず、逆にランサーとクリミナルの連携攻撃をもろに受けてしまったハドラー
強靱な超魔生物とはいえ超ダメージを受けてしまえば、その膝を地に着けさせるのも当然であった
さらには自らの闘志、自らの霊基すらも燃やして全力で戦っていたのだ、もはやボロボロの身体を維持することもままならない
それでも、かつては魔王として、今では人間の強さを認めている一人の漢は、負けたにもかかわらず笑っていた
「実に見事だった、宮本明、深海マコト」
「その人間を守ろうとする想い、アバンやダイにも引けを取らないお前達はこの世界の勇者に違いない!」
「いつまでも戦いたくなるような、心躍る最高の勝負だった、ありがとう、英雄達!」
そういってハドラーの身体が崩れ始め、光の粒子が次々と天へ昇り始めた
(ああ、ただ一つ…フォーリナー、お前とも決着を付けたかったな)
消滅する間際にこの世界での心残りを思い起こしながらも、全力を出し切った武人は潔く英霊の座へと還っていった
1536
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 12:33:59
突如として狂ったランサーのマスター、彼女に従い悔しそうな表情でついて行ったランサー、それを追跡したバーサーカー。
そしてランサーのマスターによって殺された炭治郎。医者によって殺されたおっこと木場。
戦闘こそ終わったが、急に色々なことが起こりすぎて。色々な人を失い過ぎて、チノとまりなちゃんは涙を流す。
マコト兄ちゃんとランサーが敵と戦っていた時は、彼らの勝利を信じて素直に応援が出来た。
恐怖心よりも希望が上回り、見事二人はセイバーを打ち破った。
だがその後にいきなりランサーのマスターが狂って、炭治郎が殺されて。二人の少女には感情の整理が追い付かない
「君たち、なにやってんの?」
雲雀が到着したのは、全てが終わった後だった。
一通りの事情をマコト兄ちゃんから聞かされた雲雀は、炭治郎だったであろう肉片を見る。
あまりにも凄惨でグロテスクな血溜まりだったが、雲雀はそこから視線を背けない。
竈門炭治郎は怪物に食われながらも、必死に想いを託した。雲雀恭弥はその想いを受け、炭治郎から守るように言われた小動物二匹を見る。
彼女達もまた正真正銘の小動物――というわけでもないようだ。
チノは自分のサーヴァントの戦いを見守り、弱者の身でありながら自分に出来ることを精一杯やろうとした。
まりなちゃんはガラスを握り締めたことで未だに溢れ出ている血を見れば、彼女なりに何か覚悟を決めて実行しようとしたことが見て取れる。
まあ弱いばかりの生き物ならばとっくにこの聖杯戦争で死んでいるだろうから、当然ではあるのだが。
二人の少女を眺めた後、雲雀はマコト兄ちゃんに声を掛けた。
「それと君には竈門炭治郎から遺言がある」
「どういうことだ?お前は他の場所に居たはずだ、アサシン」
「念話というやつさ」
念話。それは聖杯戦争に巻き込まれた者ならば誰もが知っている常識だ。
声が出せないほど傷付いても、念話ならば伝えられる。それに雲雀とはそこまで関わってきたわけじゃないが、彼がそんな下らない嘘をつくような者じゃないということもマコト兄ちゃんは知っていた。
「それはどんな遺言だ?教えてくれ、アサシン」
「そこの小動物二匹を守ってほしいと言っていたよ。それとココアという小動物の元へそこの青髪の小動物を送り届けてほしいってさ」
「……わかった。炭治郎、ライダー。お前達の想いは、俺が繋ぐ」
ライダーに続き、炭治郎の想いもマコト兄ちゃんは背負う。
なぜ雲雀がマコト兄ちゃんにも炭治郎の想いを教えたのか?
それは炭治郎がこの男にも想いを託したかっただろうと雲雀が感じたからだ。
炭治郎にとって彼は仲間であり、きっと本当は想いを託したかったに違いない。竈門炭治郎とはそういう少年だ。
ここまで雲雀がお節介を焼いたのは、心から竈門炭治郎を認めたこと。そして最期に遺した言葉くらいその仲間にも伝えてやろうと思ったからだ。
「小動物二匹の保護は僕も手伝ってあげる。それが竈門炭治郎の意志だからね」
木場や炭治郎の想いは受け継がれる。
ひとまずチノも落ち着き、まりなちゃんの方を見ると――まりなちゃんが血を吐いていた。
力なくその場に崩れ落ちるまりなちゃんを、チノは心配する。
「まりなさん、大丈夫ですか……?」
「……あは。もうまりなの時間も残されてないみたい……」
タイムリミット。
時限爆弾が、遂に爆破間近になった。
意識が遠のいて苦しいけど――それでもまりなちゃんには伝えたいことがあった。
「チノ。まりなの想いも繋いでくれるよね……?」
「まりなさん……生きてください……」
「それは無理……。だからチノ、まりなの想いだけでも……」
「……はい。わかりました」
まりなちゃんには時間が残されていない。
そんなことはチノにも理解出来るし、死んでほしくはないが彼女が最期に残そうとしている想いを聞くことにする。
「チノ……生きて……。それがまりなの想いだから……チノとマコトだけでも……」
おっことライダーが死んだ。
宿で仲良くなった友達はもう二人しかいない。自分を助けてくれた炭治郎も死んだ。
色々と失ったが、それでもチノとマコト兄ちゃんだけは生きている。
だから二人には生きてほしいという想いをまりなちゃんは託した
(おっことライダーはもう天国にいるのかな……?)
薄れゆく意識の中、まりなちゃんは死んだ二人のことを考えて。
(やっぱ名前くらい聞いてやれば良かった)
友達なのに木場のことだけ名前を聞いてなかったことを思い出して、最後にそんなことを考えて。
「ねえ。まりなはもう、一人じゃないよね……?」
自分を心配そうに見詰めてくるチノを眺めながら。
「はい。まりなさんには、私たちがいます」
「……ありがと、チノ」
それだけ言い残すと、まりなちゃんは安らかに眠った。
まりなちゃんを看取ったチノの瞳からは大粒の涙が溢れ出していた
【雲母坂まりな@タコピーの原罪 死亡確認】
1537
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 15:36:29
>>1533
ランサーは胡桃が「かれら」になり、改心出来そうな余地もなければ殺すしかないと思っていた。
仲間を屠った経験はこれまでにも何度かある。胡桃の様子からして元に戻るなんて可能性も皆無に等しく、和解も不可能。
だから明さんは彼女を斬るしか選択肢が残されていなかった。そして彼にはそれを選択するほどの覚悟があった
だがそんな意志や覚悟さえも踏み躙るように、胡桃の令呪によって強制的に逆らえなくなる。
当然、攻撃も出来なくなり「ついてこい」という指示にも逆らえない。
普段の宮本明ならば、間違いなく胡桃と戦えていただろう。
しかし今の彼は胡桃のサーヴァント。どれだけ強固な覚悟があろうと、令呪に抗うことは出来ない
どうにかして胡桃を止めたいが、自分の手ではどうしようも出来ない。
(ちくしょう……!)
悔しさに歯噛みするランサー。
しかし彼の目に機動力の優れたバーサーカー――エレンが追跡しているのが見えた
バーサーカーを振り切るために胡桃は丸太を投げ付けて牽制するように命令。ランサーは逆らうことが出来ず、バーサーカーへ丸太を投げるが――同時に覚悟が込められた鋭い視線で語り掛ける
普通の者が見たら、その視線はさぞ恐ろしいものだと思うだろう。
だが調査兵団の兵士であったエレンにはその視線に込められた意味が理解出来た
『俺のマスターを倒してくれ!』
ランサーのそんな言葉が今にも聞こえてきそうだ。
人類最後の希望が人類を絶滅させかけた悪魔に願いを託す。
普通ならば有り得ないことだが、ランサーはバーサーカーが二人の少女を助ける姿を見ていた。
それがマスターからの指示であろうが、令呪によるものでない限りバーサーカーの意志も関係してくる。
バーサーカーは案外、根っからの悪というわけじゃないのでは?とランサーは考えたのだ
もちろんどんな理由があったにせよ、彼の蛮行を許す気はない。人類に害を成すならば叩っ斬るが、今この場で頼れる者は機動力に優れたこのバーサーカーしかいない
1538
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 16:28:57
魔力消耗によって意識を失ったクルーゼは、そのあとセフィロスによって軍事基地に運ばれ、私室で横たわっていた
やがて目を覚ましてセフィロスからあの後の状況を聞き、加えて配下の者にレムリア島にて事件がなかったか聞いたが特に何もなかったと知らされた
(※この時点では相馬達の造船所襲撃は発生していないor隠密が上手くいって気付かれていない)
しばらくは休養を兼ねて軍事基地で大人しくしていたが、夕刻が終わり夜が始まったころに電報がクルーゼの元へと届けられた
それはムー島に潜ませた密偵の一人から発せられたものであり、内容は「ムー島の公開処刑の前に大規模な襲撃事件あり、巨人や緑の怪人が出現、その他にも複数の人影を確認、その中にはホメロス司令とシャア政務官の姿あり、戦闘によるものか爆発や衝撃音が多数あり」と書いてあった
そこには詳細な戦闘状況や現場にいた人物を把握する情報は入っていなかったが、遠くから隠れて観察していたならば仕方がないことだとも理解していた
「なるほど、ホメロス達の餌にかかった参加者たちで盛大に争っていたらしいな」
さらに緊急入電ありと部下が伝令を持ってきた、そちらもムー島の軍部にいる情報源からのものであり、内容は「処刑中止」と書いてあった
「さて、これはどういった意味を持つと思う、フォーリナー?」
「ホメロスの目論見が上手くいったか、その逆か、この情報だけではそこまでしか推測できないな」
「そんなところだろうな。願わくば、向こうの戦争でかなりの混乱や脱落があれば我々としては助かるのだが」
1539
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 18:10:59
>>1514
春花とカイムは半グレ集団を率いる相馬とレジィにとって相性最悪の敵だ
この戦闘で相手を殺し、聖杯を勝ち進むと決めた春花はすぐに令呪を使用して目の前のキャスターとそのマスターを殺すように命令する。
戦闘開始直後にカイムは宝具を解放、アンヘルを呼び出す
アンヘルにより放たれたアンヘルの火炎ブレスが半グレ集団を焼き尽くし、半グレ集団が瞬く間に壊滅。
間髪入れずにカイム自身による斬撃がレジィに迫る
アーチャーとの戦闘でセイバーは消耗しているが、令呪によるブーストで力を増している
相馬とレジィが彼らに対抗するには令呪を消費するか最強の契約書を使う他ないだろう
1540
:
名無しさん
:2022/03/06(日) 21:13:28
>>1535
「さようなら、誇り高き魔王……」
最期まで潔く、そして誇り高き武人のようだった漢へマコト兄ちゃんは別れを告げる。
敵として拳をぶつけ合うことになったが――彼らの間に怨みや憎しみは一切ない。
だからマコト兄ちゃんの心には彼の名やその生き様が刻み込まれる。
セイバーではなく、ハドラーとして。
もしも出会った場所がこんな殺し合いの場じゃなければ……もしかしたらアランのように友になれていたかもしれない
1541
:
名無しさん
:2022/03/07(月) 00:57:31
>>1516
の続き 3日目 夕暮れ時
ここは、ココアが働いているパン屋のバックヤード。
ムー島で激しい戦闘が繰り広げられているのと比べれば、こちらは落ち着いた時間が流れていた。
ピーターがマズルカから話を聞き終わった時には、空は暗くなり、星がちらちらと瞬いていた。
炭治郎が戻ってこないということは、ギリギリで間に合って船に乗れたのだろう。
ピーターは思う。間違いない。グリーン・ゴブリンがこの世界にいる。
しかも、自分と同じ生身ではなく、サーヴァントという存在になって。
グリーン・ゴブリンは虎杖というマスターが死んで消滅したのだろうか?それとも…
怒りや不安、混乱を抱えるピーターに巧が落ち着かせるように声をかける。
まだグリーン・ゴブリンがこの世界にいるかは分からない。
別のマスターを見つけて暗躍し続けているなら俺が倒してやる。と。
ココアも、恐ろしいサーヴァントの存在を記憶に刻み込んだ。
セフィロス、巨人、グリーン・ゴブリン、カイム…様々なサーヴァントたちとマスター。
そんな強者といつか会うかもしれないし、会う前に誰かに殺されてしまうかもしれない。
話を聞いているだけでも聖杯戦争という場の苛烈さを感じるのだった。
それはともかく、もう夜といってもいい時間だ。
幸い、ココアの熱も急激な魔力の消費による一過性のものだったようで、もう引いていた。
高い才能を持つ魔女のマズルカも、ピーターと話した後はそれなりに魔力が回復しているようで、ココアの目の前で人形兵たちの修理を行っている。
とりあえず人目を避けながらピーターの家のあたりで馬車小屋を展開し、そこで今晩を過ごす、という方向に落ち着いた。
パン屋の店員という素性が割れた以上、ココアの家よりはピーターの家(の付近)の方がまだ安全だ、という判断だった。
(一応ピーターもパン屋を監視していた半グレに遠くから目撃されてはいるがそれをピーターは知らない。
また大した特徴もないので遠くから監視していた半グレには結構若い男、ぐらいしか伝わっていない)
ココアは、その前にパン屋の店長と一言話したい、と言い出した。
昼間に配達の時に、春花と戦う時に別れてそれっきりだし、喫茶店の店主のように危険な目に遭わないように島から遠ざけたい、と。
1542
:
名無しさん
:2022/03/07(月) 11:49:40
>>1537
ランサーは丸太を何本も投げて牽制し、バーサーカーは自身やワイヤーに当てられないように回避運動をとる
その隙に距離を離した胡桃は「私を邪魔する意思を持つ奴がいたら攻撃して妨害しろ、もしくは倒せ」と念話でランサーに命令を出す
令呪の呪縛によりランサーはその命令にも対応せざる得えず、他者に狂った胡桃の打倒を願いながらもその相手を足止めしなければならない矛盾に苛まれていた
一方、エレンはシャアと念話を通じて状況を説明する
暴走した少女を追いかけるもランサーの妨害により追跡が難しいこと、それと無口になったランサーが視線で自分のマスターを止めて欲しいと訴えかけていることを
その内容をシャアはチノ、クリミナル、アサシンに伝え、少女が向かっている方向には学校があることも分かった
一方、先に学校に到着した胡桃はすぐに人の気配を探し始めた
しかし今は薄暗い夜、日中のような学生達が溢れかえる環境ではなく、戒厳令が継続中でもあるため校内は閑散としていた
ある意味アテが外れた形であり、胡桃がそこまで考えていなかったのかはよく分からない
ただ、それでも少しだけ人間はいる
この時巡回に来ていた憲兵が胡桃に声を掛けて近寄ってきたため、何も知らないソレを胡桃は食い殺した
さらに夜間宿直の用務員が悲鳴を上げて逃げたため素早く捕まえて捕食、校舎で今後の授業について会議していた教職員達も逃げ場をなくして食い尽くした
ああ、なんたる甘美かな
この満たされる感触、充足感から生まれる感情から胡桃の頬は赤らんでいた
空腹感は弱まり、体の活力が漲っていき、魔力が体内を巡っていく感覚すら覚えるようだ
この血肉がさらなる狩りへと繋がり、さらにはランサーの動力源になるとはなんたる皮肉か
新たに誕生した“鬼”はまだまだ獲物が食い足りない様子で、さらに見知った校内をくまなく探索し始める
【少し状況を整理整頓】
・胡桃は疑似死徒となり飢餓状態、先程ランサーが大量に魔力を消費したのも影響していると思われる
・ランサーは令呪で強制服従させられている、今はバーサーカーの足止めをしている
・シャアはホメロスと共に騒動の後始末に奔走する可能性大、バーサーカーの情報をチノ達と共有する
・バーサーカーは胡桃達を追跡していたがランサーに足止めを食らう、まだ巨人化はできると思うが連戦連発による巨人制御の問題やマスターへの負担、その他の要素があってか現在使用していない(今は市街地にいるかな?)
・チノはそれなりに魔力を消耗している、鯖の戦闘行為およびギガオメガドライブの連発の影響が大きい
・クリミナルは遅れて胡桃を追跡することもできるが、チノの負担やシャア達を含めた護衛を考えると離れづらい気もする
・アサシンはマスター不在、Aクラスの単独行動があるため独自に追跡は可能。学校に行けば能力がプラスされる。ただし膨大な魔力の消耗は霊基消滅を早める
・公開処刑を喧伝して大規模戦闘が発生してかなりの注目を集めたため、これ以上他の参加者が集まる可能性は低いとシャア達は考えている。ただし他の主従を全部把握している訳ではないため、自分達の知らない主従が登場する可能性をまだ捨てきれない
・医者&アルターエゴはムー島を離脱してレムリア島に向かうのをアサシンが見ているので、彼らが再度襲撃に来ることは殆ど考えていない
1543
:
名無しさん
:2022/03/07(月) 14:22:01
>>1542
胡桃をどうするか各々が悩む中、雲雀が真っ先に動いた
「この小動物達のことは君に任せるよ」
「ああ。チノ達のことは俺が守る」
雲雀はチノ達のことをマコト兄ちゃんに任せると、一人学校へ向かおうとする
竈門炭治郎は沢田綱吉のようなタイプの小動物だ。無数の人々が苦しむ姿を見れば、必ず助けようとするだろう。
「アサシンさん……」
「なんだい?」
アサシンの後ろ姿にチノが声を掛ける。
学校。日常の象徴とも言えるその場所が危機に陥っている。
今こうしている間にもランサーのマスターによる被害が増えているはずだ。
これ以上まりなちゃんやおっこや炭治郎のような悲劇が起きないように、チノは勇気を振り絞って声を出した。
「アサシンさん。皆さんのことを助けてあげてください……」
「いいよ。学校の風紀を乱す者は僕が咬み殺す」
なにものにもとらわれることなく、独自の立場からファミリーを守護する孤高の浮雲。
それがボンゴレ雲の守護者の使命であり、雲雀はその体現者とも言える存在。
そして相手は学校を荒らしている。
場所は並盛中学ではないようだが、風紀を乱す者に鉄槌を下すのが風紀委員長だ
「ありがとうございます、アサシンさん。がんばってください……!」
学校へ向かう雲雀の背中へチノは応援する。
今の自分に出来ることは、それくらいしかないから。
「がんばれ、アサシン!」
チノの精一杯の応援とマコト兄ちゃんの力強い声に見送られ、雲雀は学校へ向かう
1544
:
名無しさん
:2022/03/07(月) 20:07:17
>>1542
校内で大量の人間を食い殺してご満悦な胡桃は次の獲物を発見する。
それはたまたま忘れ物を取りに戻っていた少女。この世界の胡桃とは友人であった。
悲鳴や破壊音が校内に響き困惑していた少女は、退学したと教師から聞かされた胡桃が廊下を歩いてきて驚いた。
胡桃の顔はとても笑顔で、鼻歌なんかも歌って、くるくる踊るように回っている。
元々元気で親しみやすい子だったが、こんなに無邪気で浮かれている様子は見た事がないかもしれない。
そのギャップにさっきまで聞こえていた悲鳴や破壊音のことも忘れてしまった。
さらに次の瞬間には、暗さから気付くのが遅れた胡桃の血まみれの姿に更に驚き叫んだ。
まさか胡桃が短時間のうちに大量殺戮を引き起こした元凶などと知らない少女は、一体どうしたの?と心配して声をかける。
その少女に、胡桃は目を輝かせながら、血まみれの手を伸ばして捕えようとする。
少女は胡桃の目を、笑顔を、血まみれの口元を見て、恐怖のあまり動けなくなった。
…しかし胡桃が少女を捕まえる直前、凄まじい速度で迫った何かが胡桃に思い切りぶつかり、隣の教室に吹っ飛ばした。
目の前から胡桃がいなくなり、女子生徒は、さっきの胡桃の狂った笑顔を思い出し、一目散に逃げ出した…。
強烈な一撃を受けて苦しみ悶える胡桃を見下ろすのはアサシン・雲雀恭弥。
1545
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 00:58:22
雲雀に吹っ飛ばされた胡桃。
咄嗟に攻撃をガードした右腕は折れ曲がっていた。
サーヴァントの攻撃を生身で防御した代償としては安いものだろう。禁薬の身体能力の強化の凄まじさが窺える。
胡桃は刹那の時間で考える。
この場でアサシンと追跡している巨人のサーヴァントを消す方法はないか?
仮に残りの令呪2画をこいつらを殺すことだけに使えば勝ち目は僅かだがあるかもしれない。
だがその後、令呪を失った自分をランサーは殺そうとするだろう。最初の令呪の内容は曖昧で、効果が薄い。
そろそろ解けかかっているかもしれない。
どうする。
ああ、それにしても、とにかく目の前のこのアサシンに腹が立つ。食事を邪魔され腕も壊された。
薬のせいか「かれら」になりつつあるせいか興奮のせいか痛みは感じないがこの腕では…。
そして胡桃に芽生えた邪悪な人格は決断した
胡桃は損傷した右腕を自分で引き千切った
断面から鮮血が噴き出る。唐突な自傷行為にアサシンが軽く眉を顰める
「令呪で命じる。『死ぬ気で敵を倒せ』
令呪で命じる。『右腕を私に寄越せ』」
アサシンの前で胡桃の右腕があった部分に「ランサーの右腕が生えた」
明らかに異形だが、胡桃はもはや自分の体がどうなっているかなど気にしない。
ただ、目の前の敵を倒すと決断した。
胡桃は右腕のガワを外し、絶大な破壊力を持つ義手刀を曝け出すと、アサシンに斬りかかった。
1546
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 01:04:17
胡桃が殺戮や死闘をしている時
もう1人の胡桃は夢を見ている
学園生活部の皆との夢
壊れてしまった世界でも、皆と一緒にいる日々が楽しい
苦労もあるけれど…平穏なこの日々が続きますように
ずっとみんなと一緒にいられますように
夢の中の胡桃はそう願った
1547
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 08:35:59
>>1545
気狂い少女の表情が一瞬にして変化した。
目の前の小動物からその肉体に相応しくない男のような右腕が生え、義手刀を振りかざしてきた。
雲雀はそれを難なく避けてトンファーを叩き込むが――先程よりもダメージが浅い。
いやダメージは確実に与えているはずだが、悶え苦しみながらも足に力を入れることでその場に踏み留まり、カウンターとして刀を振り回す
もう片方のトンファーでそれを受け止めるが、右腕のみはランサー同等の筋力と化した胡桃の一撃は凄まじく、その衝撃で逆に雲雀が吹っ飛ばされる
相手がただのマスターだと見誤り、軽い動作で受け止めようとした雲雀の判断ミスだ
「君のその覚悟は認めよう。――なかなか噛みごたえがありそうだね」
仕込みトンファーを構え、雲雀は目の前の敵の覚悟を認める。
どうしてこんな決断をしたのか。どうして小動物が急変したのかは知らない。
だがそれほどの覚悟があるなら、マスターであれど相応の強さがあるはずだ
死ぬ気の強さは、覚悟の強さだ
1548
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 12:03:52
>>1547
雲雀は覚悟を決めた敵を認め直して立ち上がる、だがその間に胡桃は自分で引き裂いた右腕を咥えて教室を抜けて走り出した
それを追いかける雲雀、英霊の走力は超人的な走破をする胡桃をも上回り、途中で追いついてトンファーを振るう
対する胡桃も義手刀で打ち合うが、学校という環境で筋力パラメータが上昇し全力で噛み殺すつもりの雲雀の攻撃は、まだ宮本明の右腕と馴染みが浅い胡桃の太刀筋では受けきることはできず、再び別の部屋に吹っ飛ばされた
瓦礫の中で少しだけ動きが鈍くなった胡桃に追撃を仕掛けるべく雲雀は急接近したが、その直前に胡桃が不適な笑いを浮かべる
そして雲雀が攻撃する直前、彼の顔に胡桃の 引 き 裂 か れ た 右 腕 が飛び付いてきた!
原因は不明だが、胡桃は自分の部位を操る能力を得ていた。禁薬と「かれら」の作用が合わさって新たに目覚めたマーベル的な超能力の一種か、あるいは疑似「死徒」のくくりによって発現した特異な魔術の表れか、色々と考えられるが定かではない
だが分離した右腕が不意に雲雀の頭を掴み視界を奪ったことで攻撃のタイミングをずらされ、トンファーは胡桃を掠めて空振りしてしまった
そしてその隙を胡桃は逃さず、雲雀に明さんの豪腕で雲雀の胴体を袈裟斬りにする
モロに斬られてたたらを踏みながら後退する雲雀、さらにそこへ別の「なにか」が彼に組み付いて来た
それも一つではない、複数の「それら」が雲雀に襲い掛かり彼の身動きを奪い彼を食おうとする!
その正体は、先ほど胡桃が捕食した教職員達の成れの果て、胡桃から感染して変貌した「かれら」であった
実は胡桃は直接戦闘では分が悪いと感じて相手を罠にはめるために、わざと会議室に誘い込むように誘導していたのだ
1549
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 12:06:16
>>1542
エレンがシャアに現状を念話で連絡した後、今度はシャアから「アサシンが学校に向かった」と伝達してきた
令呪の強制力を対魔力で抗いながらもこちらを足止めするランサー、その相手をしながらアサシンもこちらに来るものだとエレンは予想していたが、いくら待てどその気配は現われなかった
(直接頭を狙いにいったようだな、俺に面倒事を押し付けやがって)
頭の中で少し愚痴りながらも、一刻を争う今の状況では仕方がないと理解する
そうこうして戦闘は続き、ランサーがもう何本目か分からない丸太を投げて、エレンが回避して、そこへランサーが接近戦を仕掛けてくる
ランサーは本気を出していないのは何度も打ち合っていれば自明であり、ランサーほどの筋力を持たないエレンでも剣で相手の義手刀を防げるような状態であった
なので今回も防いでから回避しようとするが、そこで事態が一変する
ランサーが攻撃する瞬間、相手の気配が変わり攻撃の鋭さが増してエレンに襲い掛かろうとしていた
ランサーの魔力の高まり、強制的な殺気の発露から令呪を使われた、とエレンは一瞬で判断する
だが、エレンが危機感を覚えるよりも前に、ランサーの右腕が突如として消え去り攻撃が空振りに終わった
明らかに防ぎきれない攻撃が迫っていた状況から一転、これが三画目の令呪の仕業とは見抜けず困惑するエレン、本来ならば後退するはずだった思考が一瞬だけどこかにいってしまった
またランサーも驚いた表情を浮かべていたが、すかさず左手に丸太を抱えてそれをぶん回してくる
遅れて回避運動をとるエレン、相手が無理な体勢で攻撃してきたこともあって本来より打撃力は弱まっているがその一瞬の遅れによって丸太が当たってしまい吹っ飛ばされてしまう
攻撃を受けてしまったがなんとか動ける状態のエレンは、続けざまにこちらを殺しにかかるランサーの攻撃を躱して相手との距離を取る
(マスター、状況が変わった、巨人になってランサーを葬る)
1550
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 18:59:28
>>1548
常人ならば発狂してしまいそうな絶体絶命の危機だが、雲雀は冷静に対処した。
何故ならばこんな状況、雲雀にとっては難なく突破可能だからだ。
「ロール、形態変化(カンピオ・フォルマ)」
雲雀は宝具を解放し、学ランを身に纏う。
燃費こそ非常に良いが、それでも魔力は消耗する。
そしてトンファーに仕込まれたチェーンブレードが「かれら」を一斉に引き裂いた。雲属性の特性である増殖により伸びたチェーンブレードはこの場に居ない「かれら」すらも咬み殺す
500体もの敵を単独で撃破した雲雀にとって戦闘経験すらない「かれら」の大群を始末することなど造作もない
近くに居た胡桃にもチェーンブレードは直撃し、その耐久性から命は助かったが深手を負ってしまう
「嘘だろ……」
人喰い鬼となった胡桃は、自分の相手が更なる化け物――鬼神であったことに戦慄する
どんな小細工を弄しても、雲雀恭弥という男は真っ向から噛み砕く
「人形遊びは終わりだよ。あとは君を咬み殺すだけさ……」
「うわぁぁああああああ!!!」
胡桃は義手刀を構え、無謀にも走り出して――
もう一人の胡桃は、未だに夢を見ている。
聖杯戦争のことも忘れて、学園生活部の皆と平穏に暮らして。
胡桃がいつものように「かれら」を退治したら、なんとそれが最後の一人だった。
唐突なハッピーエンドに胡桃は驚くが、ようやく「かれら」の居ない平和な世界を掴み取り心の底から皆と笑った。
そしていつものように皆と眠る。今日はいつも以上にぐっすり眠れた
現実では無謀にも突っ込んできた胡桃を雲雀がチェーンブレードで切り裂き、遂に胡桃の命は尽きる。
だが胡桃が意識を手放すその直前、校歌なようなものが胡桃の耳に届いた。
「緑たなびく並盛の〜♪」
ヒバードが並盛中学の校歌を歌い始めたのだ。
校歌斉唱。学校ではよくある行事だ。呑気な校歌を聞いて、もう一人の胡桃の意識が覚醒する。
胡桃は自分が何をしたのか思い出して、自分を止めてくれたアサシンに「ありがとう……」と礼を言う。
そして胡桃は最期の余力でランサーに「ごめんな、明さん……」と詫びた。
学園生活部の皆の姿が見えた気がして「おかえり」という言葉に対して「ただいま」と笑顔で返事をして、胡桃は眠る
【恵飛須沢胡桃@がっこうぐらし! 死亡確認】
※雲雀が宝具の使用によって魔力を消耗しました。これにより単独行動の有用時間が削られました
1551
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 20:57:41
ランサー・宮本明とバーサーカー・エレンが戦っている場所は廃工場である
喫茶店の店主が勾留されていた施設から学校までの途中にある人気がない場所であり、ここでなら彼らも思う存分に戦うことができた
特にバーサーカーは立体機動装置による三次元移動が活かせるため、全力を出さないランサー相手にも戦い易かった
だが令呪により強制的に戦意を高めたランサーが殺しに来たため、バーサーカーも敵を倒すべく巨人化を選択する
二騎以外は誰も居ない静寂に雷鳴が轟く、接近したランサーはバーサーカーを中心に発生した衝撃に吹き飛ばされ、進撃の巨人が顕現する
こうして始まった第二ラウンドだが、実を言うとバーサーカーにとって状況が良くなる訳ではなかった
状況を整理しよう、まずバーサーカーは狂化が発動していない状態だと筋力・耐久・敏捷はDランクに留まりランサーのパラメータには及ばない
建物を破壊しながら広範囲に攻撃することはできても、素早く動くランサーに瓦礫などの障害物を利用されて上手く捉えることができないのだ
たとえ攻撃を当てても見掛倒しのパワーでは相手の全力を突破することは難しく、また敵に攻撃を当てられようものならば打たれ弱い
一方、巨大で出鱈目な攻撃を仕掛ける化け物達と戦い殺してきたランサーはこういった戦いにも慣れており、地形も利用した戦術で巨人を翻弄する
特に宝具の『丸太』や『吸血殲鬼』が「巨人」という化け物にも有効なため、上手く攻撃を当てれば大きなダメージを期待できる
しかし現状では片腕を失ったためせっかくの馬鹿力を発揮することができなくなっており、かろうじて巨人の攻撃を丸太で打ち合うことで対抗できるが、とにかく弱体化している状態である
また片腕のため生前ほどのアクションが取りづらく、さらに丸太を左手で抱えれば自由に動かせるのは両足のみとなりできる行動も制限されている
とまぁ各騎の性能を見てみるとエレン側が不利なようにも見えるが、まだそれだけでは戦いは決まらない
バーサーカーの狂化が発動していない、つまり理性が残っている状態であり戦い方を工夫することができる
鉄槌の巨人の力で大きな鉄槌を作り出し周囲を破壊する、廃工場の高い場所へと移動して巨人の頭部を狙っていたランサーはその脅威を回避するが足場を失う
さらにランサーが地面に降り立ったところで硬質化の棘を生み出す、続けざまの攻撃によりランサーは回避したものの多少のダメージを受けてしまう
鉄槌の能力でバーサーカーは猛攻を続ける、マスターに負担を掛けてはしまうがここでランサーを倒さなければ自分の身が危ない
しばらくバーサーカーの攻勢が続き、ランサーはじわじわとダメージを受けていく
その最中にランサーはマスターとの魔力供給のパスが切れたことを感じ、誰かが狂人に成り果てた胡桃を止めてくれたことを察する
胡桃については色々と想うところがあるランサーだが、これ以上の悲劇がなくなった事に対して安心感を抱いていた
だが令呪の束縛からは逃れられなかった、未だ『死ぬ気で敵を倒せ』を履行しなければならず、さらに最後の宝具『命ノゼンマイ』が強制発動してバーサーカーとの戦闘を続行する
自身のマスターが死亡した時にスキルを含めたステータスが1ランク上昇、Cランク相当の単独行動のスキルを獲得する、宮本明の生き様が再現された能力によりランサーはバーサーカーへの反逆を試みる
(ただし「要石」を失った状態なので宝具の連発は難しくなり、ランサーは丸太一本で巨人と相対することに)
マスターの胡桃を失い孤高の戦士となったランサーは宝具のブーストもあり巨人と真っ向勝負を仕掛ける
巨人の鉄槌と丸太で打ち合い、硬質化した槍の茨を丸太で破壊し、折った槍片を片手で掴んで巨人に向かって全力投射する
敵のさらなる強化に押し返され始めた事にバーサーカーは驚愕し、槍片の数々を巨体に受けて倒れてしまう
この好機を逃さず、ランサーは巨人の上に飛び乗り頭部を丸太で何度も殴打した
やがて巨人が動かなくなり蒸気を発した頃合いにランサーは勝利を確信し、『死ぬ気で敵を倒せ』の束縛からも解放された
背中に強力な衝撃を感じてバランスを崩し、ランサーは巨人の骸に倒れ込む
なにかと振り返ると、自分の背後から伸びる細長い棒槍と、人間状態のバーサーカーが近くに立っていた
そしてバーサーカーは容赦なくアンカーを引っ張り、雷槍を爆発させた
実は、バーサーカー・エレンは進撃の巨人のうなじには存在していなかった
巨人化した際にエレン本体は硬質化能力で作り出した結晶体を瓦礫の中に隠し、進撃の巨人を戦闘端末として操りランサーと戦っていたのだ
これは先代の鉄槌の巨人が駆使していた戦術であり、進撃の巨人がランサーに打倒される辺りでエレンは硬質化を解除してランサーの背後に移動したのだ
進撃の巨人の骸がエレン本体の気配をかき消し、全力を出し切って令呪の呪縛から解き放たれたランサーが緊張から弛緩したこともあって気付かれることなくトドメを刺すことに成功したのだった
【宮本明@彼岸島 死亡確認】
1552
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 21:46:46
戦闘こそ雲雀の圧勝のような形で終わったが、ランサーの腕を使用して胡桃から受けた一撃は響いている。思った以上に傷が深い
一見すると圧勝したかのような結末だが、多大なダメージを受けたせいか若干ふらつく。
「やあ、小動物」
「アサシンさん……!」
チノ達が待っていた場所まで戻ると、チノの表情が少しだけ明るくなった。
「おかえりなさい、アサシンさん」
チノはずっとアサシンの心配をしていた。
雲雀を信じて送り出したマコト兄ちゃんとは違い、こういう場に慣れていないことが大きいだろう。
「アサシン。ランサーのマスターは……」
「倒したよ」
クリミナルにそれだけ返事をすると、アサシンはその場に寝転び始める
「ふわあ……」と呑気にあくびをするアサシンにチノが問い掛ける。
「アサシンさん、その怪我は……」
「かすり傷さ」
負けず嫌いの雲雀は自分が多大なダメージを受けたこと、元からそれほど多くもない魔力を消耗したことを誰にも教えない。
「小動物。君の名前はなんだい?」
雲雀は竈門炭治郎が命を賭して守ろうとした小動物の名前を聞いた。
「チノです。香風智乃です」
「ふうん。変な名前だね」
「アサシンさんの名前は……」
「雲雀恭弥」
自分の名をチノに告げると雲雀は目を瞑った。
「僕の眠りを妨げたら、咬み殺すよ」
「それは怖いです。マコトさん、雲雀さんが起きないように見守りましょう」
「雲雀。お前は本当に身勝手なやつだな」
かつて青空を掴み取った戦士は、戦いとは無縁の少女と共に孤高の浮き雲の眠る姿を見守る。
雲雀恭弥。この激闘で色々と失ったが、新たな仲間が出来た気がする
今までよくわからないやつだったし、未だによくわからないが炭治郎が居ない今でも彼のことを信用しても良さそうだ
1553
:
名無しさん
:2022/03/10(木) 09:06:56
>>1534
ホメロスはこの後、チノの指名手配を取り下げてクルーゼと結んだ休戦協定を解除することに決めた
グレイグとお揃いの誓いのペンダントを眺め、自分の行いを改めて見つめ直す
色々と複雑な思いこそあるが、セイバーの背中を見て何か大切なものを思い出した彼は一人の騎士として聖杯戦争よりも島の統治を優先するように方針を変える
ホメロスにはもうサーヴァントもいないし、セイバーの勇姿を見て憑き物が落ちたような感覚すらした
1554
:
名無しさん
:2022/03/10(木) 09:38:42
>>1541
その時ちょうど、パン屋の店主が帰ってきたことを、霊体化して周囲を見張っていた巧がピーターに念話で伝えた。
人形兵を妖路歴程にしまって霊体化するマズルカと、そそくさと裏口から表に出るピーター。
そしてパン屋店主とココアは再会する。
ココアは、配達中にいなくなってごめんなさい、散らかった店の片づけをする予定だったのに、と謝った。
パン屋店主はココアの無事を喜んだ。
配達中、姿が見えなくなったと思ったら、どこかで轟音が響いてきた。
周囲を探し回っても見つからなくて、心配した。と。
ココアは店主の寛大さと優しさに感極まった。
そしてココアは考えた。この店主が自分の巻き添えにならないようにするには…。
「明日から世界一周の旅に行ってください!!」
ダメだこりゃ、と霊体化した巧とマズルカは思った。
(ルカちゃん!魔法でなんとかできない!?)
(ううん、ちょっと無理…。)
困惑するパン屋だったが、ココアの熱心というより必死なアピールに何かを感じたようだ。
ココアに対して
心配してくれてありがとう。すぐにここから離れる。自分の事は心配しなくていい。
と、応じ、明日にでも島の外に行くと言った。
1555
:
名無しさん
:2022/03/10(木) 10:22:57
ピーターはある程度落ち着いて他の主従や自分の状況を顧みる余裕ができたことで、
各々が事情を抱えている事を今更ながら実感した。
元々若さゆえに無茶に走ることも多いが、今度巨人のバーサーカー(エレン)と遭遇してもいきなり激高したりすることはなさそうだ。
1556
:
名無しさん
:2022/03/11(金) 07:52:36
>>1541
「グリーンゴブリンか。俺の知り合いにも、似たような奴がいたな……」
グリーン・ゴブリンの話を聞いた巧はその狡猾な性格に草加を思い出して苦い顔をした。
ノーマンという人格は凶悪じゃないようだが、元人間のオルフェノク達と戦ってきた巧は彼を殺し、罪を背負う決意をする
迷ってるうちに人が死ぬなら、罪を背負ってでも戦うことを選ぶ男が乾巧だ
グリーンゴブリンとノーマンの関係性にココアやマズルカは驚いたが、真剣に話すピーターの表情を見て嘘偽りない情報だと認識する
1557
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 09:09:43
>>1412
のモブ住人の語る異変はやはり聖杯戦争の影響だったか…。
当時も権力者の中にマスターは一定数紛れ込んでいたようだ
1558
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 12:06:40
雲雀の眠る姿を眺めながらチノはまりなちゃんの最期の言葉を思い返していた
『チノ。まりなの想いも繋いでくれるよね……?』
想いを繋ぐ。
それは木場も言っていたことだけど、今まで普通の日常を謳歌していたチノにはまだ深く理解出来ていない。
だけれど彼女達が心から望む大切なことだということは、チノにもわかった。
『チノ……生きて……。それがまりなの想いだから……チノとマコトだけでも……』
死にかけの状態でまりなちゃんから託された「生きて」という想い。願い。
まりなちゃんは最初こそチノを敵視していたが、本人と接しているうちに友達になっていた。
まりなちゃんを友達と認識していたのはチノも同じで、ライダーやおっこやまりなちゃんの死は悲しい。もちろん炭治郎の死も悲しい。
それでもチノは前を見て進まなければならない。
言葉こそ聞こえなかったが、死に際の炭治郎が自分やまりなちゃんに何かを訴え掛けていた。
足がすくんで動けなかったけど、きっと炭治郎は自分達に「逃げろ」と言ったのだとチノは受け取った。
『俺に出来なかったことを……想いを、繋いでほしい……』
そしてライダーも。
木場もまた、チノやまりなちゃんを庇って死んだ。
もしもあの時に自分達を庇って大ダメージを負っていなければ医者を倒せて、ライダーも生きていたかもしれない。
チノは木場の死に心を傷めたが、彼が最期に憎悪から解き放たれて安らかに眠る姿を見て少しだけ救われた気がする。
木場勇治は心からまりなちゃんやチノを守りたいと思ったから庇い、そして信用出来るクリミナルに想いを託した。
ライダーに庇われ、炭治郎に守られ、まりなちゃんに生きてほしいと願われた。
だからチノは生きなければならない。
どれだけ辛いことがあっても前を向いて進まなければならない。
「マコトさん。想いを繋ぐのって大変ですね……」
「そうだな……」
マコト兄ちゃんはチノを見る。
自分だけならともかく、こんな少女にも想いを背負わせるなんて、あまりにも過酷なことだろう。
しかし散っていった仲間達はもう帰って来ない。そして彼らが命を賭してでも守り、願われたチノは彼らの分まで生きなければならない。
「散っていった友の想いを繋ぐことは大変だ。でもみんなのために俺達が出来ることは、もうそれくらいしかない」
自分が想いを背負った三人の父さんも、既にこの世にいない。
そのうち一人は覚悟を決め、自らが殺めた。彼は決して褒められた人間ではなかったが、それでもマコト兄ちゃんの父さんだ。
想いを背負い、罪を背負い、マコト兄ちゃんは生きている
「はい。だから私も、がんばって想いを繋ぎます……!」
マコト兄ちゃんの言葉を聞いてチノは奮起する。
ライダーや炭治郎やまりなちゃんは死んだ。
それでも彼らが託した「生きてほしい」という想いはまだチノの中で生きている
「ああ。一緒にがんばろう、チノ!」
マコト兄ちゃんが手を差し伸べる。
チノは少しだけ困惑した後、握手をしようとしていることに気付いた。
「改めてよろしくお願いします、マコトさん」
チノとマコト兄ちゃんは固く握手を交わした
1559
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 14:31:52
バーサーカー・エレンが戻ってきて、シャアはクリミナル・深海マコトと話した。
シャアはチノを外の島への船に乗せ聖杯戦争から離脱することを求める。
ちなみに元のfate世界とは違い、この世界ではサーヴァント、もしくはマスターが島の外へ出ると
霊核を維持できなくなり数時間から1日程度で消滅するらしい。
それは聖杯戦争のルールとしてこの世界の聖杯からサーヴァント達に与えられた知識であり、
聖杯が嘘をついているわけでもない限り疑う余地はないと思えた。
マコトは葛藤した。
チノやまだ見ぬココアを元の世界に帰せないことになる。
しかし彼女たちに他の願いを持つであろう貪欲な主従を倒すことはできるのだろうか。
それならばこの世界で命だけでも守ることが、既に散っていった仲間に報いることなのではないだろうか?
たしかにゴブリンのような民間人を狙う悪辣な主従はいる…
それらを倒すために自分が傷つくのは構わない。
しかしそれでチノ達の命を危険に晒すことが本当に正しい選択なのだろうか?
このシャアという男、手段は選ばないようだが今までの行動からするに根っからの悪人というわけではないようだ。
彼のような聖杯戦争参加者の行動に委ねてしまっていいのではないか?
マコトはチノと目を合わせ、自分はサーヴァントという存在であり、たとえもう一度死んでも座に帰る、
いわば幽霊のような存在であることを告げた。
そしてココアと合流出来たら自分の事は気にしなくていい、命を守るためならシャアの提案に乗り
この島から出ても、いや、場合によっては令呪で捨て駒にしても構わない、と告げた。
チノはそんなことしません!と言いたかったが、マコトの真剣な瞳に何も言えなかった。
1560
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 14:46:23
これはこの聖杯戦争が始まる前のこと。
「此度の聖杯戦争の準備が整ったようだな」
島の最深部にある広間。
そこにはこの地に封印された大魔王バーン、そして魔王と対峙するムスカがいた。
前回の聖杯戦争にて聖杯を破壊され、願いを叶えられなったムスカは諦めず国王となり、草加と共にこの地の仕組みについて入念に調べた。
そうしてたどり着いたのがこの場所であった。
そうしてバーンから事の顛末を聞き、自分たちの願いを叶えるべく彼と取引し、今までその準備を行なっていた。
後はしばらくこの地を離れ、戦争が始まれば潜伏させている自分の手の者に情報を送らせ、頃合いを見て再び島に戻ればいい。
それまでにこちらは準備をじっくりと行い、戦力を整えることが出来る。
あの屈辱から再び聖杯を手にする計画が大詰めを迎えようとしていた。
「貴方とはあくまで聖杯戦争が始まるまでの関係だ。それ以降は敵同士、どちらにしろ自分以外の主従を滅ぼすつもりの者とは手を組めるはずもない。
あくまで我々が取引したのは早期に聖杯戦争を始めるためにすぎない」
「そうだな、開始の周期を早めるためにうぬらと取引をした。この封印がある限り、余自らは動くことは出来んからな」
「逆にこちらはその封印がある限り、そちらに手は出せない。それは今の貴方を討つことが叶わないということでもある」
全陣営の思惑を統一できるかという懸念もあったが、前もって徒党を組みバーンだけを倒すという方法が不可能だったのはこのためであった。
聖杯の顕現はある程度のサーヴァントが脱落するまで始まらない。
そして顕現が始まるのに必要な魔力が貯まり始めるのはバーンの封印が解けてからのこと。
つまり聖杯で願いを叶えるにはこの大魔王を討つことを前提に動く必要がある。
だがそれはムスカにとって悪いことばかりではなかった。
他の主従を消耗させる存在としてバーンはうってつけの存在。
そしてその情報アドバンテージを自分たちだけが所持してることは小さくない。
今回の聖杯戦争で呼ばれる主従がどのような者たちか思案する。
そうしてムスカは広間を後にしたのだった。
1561
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 15:35:16
>>1559
おっこ、ライダー、まりなちゃん、炭治郎に加えて更にマコト兄ちゃんまで失う。
それはチノの望まない結末だが、迷いのない真剣な瞳を向けられて勇気を出せなかった。
『逃げろ、早く』
声を発せない状態で、それでも必死に目で訴えかけてきた炭治郎を思い出す。
あの時は恐怖で足がすくんで逃げられなかった。幸い生き残ることは出来たが、あのままだと自分やまりなちゃんまで死んでいた。
全てが終わったあとに後悔しても遅い。
『チノ……生きて……。それがまりなの想いだから……チノとマコトだけでも……』
まりなちゃんの言葉を思い返す。
彼女はチノだけではなく、マコト兄ちゃんにも生きてほしいと言っていた。
「まりなさんは、マコトさんにも生きてほしいと言ってました」
生きてほしい。
それはサーヴァントにとって非常に難しい願望だ。
それくらいチノにだってわかる。マコト兄ちゃんに説明されたことは理解出来ている。
それでも――
「マコトさんも生きてください。自分だけで背負わないでください」
深海マコトはきっとすごく重い荷物を背負っている。
それはどれも大切モノで、だから背負うなとは言わない。
「私もみなさんの想いを背負いますから……」
香風智乃は深海マコトの自己犠牲を許さない。
それは雲母坂まりなの意志でもあり、願いでもある。
「それにマコトさんだけ死んでしまったら、まりなさんに怒られます」
だからチノは自分なりにがんばって、託された想いを繋ぐ。
「きっとココアさんも、そんなこと望みません」
香風智乃の知る保登心愛は。
お姉ちゃんはそんな人じゃないから。
「……わかった」
珍しく譲る気もなさそうなチノの姿勢にマコト兄ちゃんは観念する。
出会ったばかりの頃に比べて、今のチノは随分と強くなかったように感じた
友との出会いや別れ。そして彼らの想いが彼女を強くしたのだろう。
「チノ。約束通り、俺がお前を元の世界へ帰す。それまでは俺がお前を守る」
「はい。お互いがんばりましょう、マコトさん」
迷いは晴れ、二人の心に青い空が差し込む。
それはダントンを倒した時に見た、あの綺麗な青空のようだった
1562
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 15:35:55
大きく数を減らしていた半グレは、一騎当千のセイバーの前に秒殺されていく
根本的な火力の差は態勢が整わなかった半グレが散発的に発射してくる銃や爆弾ごと紅蓮の炎で焼き尽くしていく
このままでは相馬どころかレジィごと殺されない
「使うしかないか……キャスター! 時間を稼げ!」
相馬は叫ぶとガチャガチャとアタッシュケースを開け、モタモタとベルトを巻いた
『Standing by……』
「使けにくいな……変身!」
『――complete』
この空島には似合わない電子音声と共に相馬の体に走った黄色いライン、そこから全身を包む閃光が放たれる
数瞬後、そこには黒いボディスーツのようなものに黄色いラインが入った鎧に身を包んだ相馬がいた
一方その頃、ムー島の王宮ではこれもオーパーツな無線がベルを鳴らしていた
「私だ、ムスカ大佐だ」
「久々だね、大佐」
「そろそろ来る頃だと思っていたよ。レムリア島で軍事施設からも略奪があったと聞いた。やはり、あちらの政府が抑えていたようだ。喜びたまえ、君のベルトの所在がわかったのだから。」
会話していたのは八年前の聖杯戦争の主従であるムスカとライダー・草加
王族軍人から謀略によりムー島の国王の地位を手に入れたムスカこそ今回の聖杯戦争を強行した『主催者』である
彼は過去の経験から聖杯戦争の期間中、最初の一週間程度を外遊することで身の安全を確保していたのだ
そして聖杯戦争の激化によって自然に帰国の理由をつけ、NPCのように振る舞っていたのである
一方、逸話によって宝具を実体化したまま紛失したライダー・草加
八年間どこにあるか不明だったせいで今回の聖杯戦争にも今まで関われないでいたが、レジィ達が盗み出し相馬が宝具を発動してくれたおかげで、彼はベルトの位置を特定できた
ライダーの宝具は誰であろうと公平に力を授ける
たとえマスターであっても、サーヴァントに並び立つ程の力を振るえるのだ――その命と引き換えに
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