したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

第三外典:無限聖杯戦争『冬木』

9名無しさん:2018/11/26(月) 22:42:13




「1933年、アドルフ・ヒトラーはドイツ国首相に……あっ、もう時間ですね」

自分達と大差ないように見えるほどに幼く見える姿と、常に着けている猫耳猫尻尾が印象的な先生。
新任教師の月代明日架は、鳴り響いたチャイムに顔を上げた後、チョークを置いて生徒たちを見渡した。気付けば既に六限目も終わりだ。
こうなれば後はもう、ホームルームを終えて下校するだけだ……今日も長い一日が終わった。ふわぁ、と欠伸をした。何だか今日は、いつもより退屈だったような。

「最近はとても物騒で……通り魔事件なんてのもありますし。皆は日が暮れる前に、できるだけ早く帰ってくださいね?」

通り魔……そう言えばそんな話もあったなぁ、とぼんやり思い出す。
確か、鎌を凶器にした通り魔事件。生徒が犠牲になったことはないが、既に死人も出ていて、この学校も休校を検討しているという噂がある。
まともに生きている人間からすれば、ひたすらに迷惑極まりない話だ。さっさと犯人が捕まれば良いのに……そう思いながら、立ち上がる。
終礼を終えたのならば、入れ替わりに担任の教師が教室にやってくる。その表情は朝見たときよりも、何処か輝いている気がするのは気の所為だろう。

「それじゃあ、ホームルームを終わりまーす。みんな、気をつけて帰るのよぉ」

先に聞いた言葉のリピートのような連絡事項を聞き流したならば、鞄を片手に立ち上がった。
そうしたところで、片手を叩く感覚……名前を呼ばれて振り返ったのならば、間桐凱音……と、その隣にはもう一人少年が立っている。
薄暗い緑色の頭髪の、何処と無く呆れたような色をその瞳に宿した彼……ルーク・カートライトは、肩を竦めてそこに立っていた。

「おい赤霧、屋上の吸血鬼の噂、知ってるか?」

口を切ったのは間桐の方。ルークとその視線が重なったならば、お互いに抱えている感情は同じようで――――やれやれ、と首を振った。


「……“ナンセンス”だ」


ルークのその呟きは、そこから起きる全てを引っ括めて言い表すのに十二分だった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板