したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

第三外典:無限聖杯戦争『冬木』

6名無しさん:2018/11/26(月) 22:41:22

気持ちよく晴れた朝の通学路。急ぎ足のクラスメート。くだらないお喋りで笑い合う声。
何時も通りの登校風景かと思いきや、生徒たちが呼び止められているらしい。校門を取り巻くように人垣ができている。
何かあったのだろうか。ひょいとその向こう側を覗き込んで見るならば、白い制服を身に纏った背の高い少女が、その中心に立っていた。

「やぁ、火々里ちゃん、おはよう! 今日も気持ちのいい朝だね!!」

中性的な顔立ちを笑みの形に向けながら、こちらへと爽やかに笑いかけて、こちらへと近付いてくる。

「今日も元気いいですね、一之瀬先輩」

見知った顔に、少しだけ皮肉交じりにそう返した。
月海原学園風紀委員会、一之瀬。月海原学園二年生。生徒たちの風紀を守る側の立場でありながら、色々と緩すぎる部分がある先輩だ。


『それはムーンセル・オートマトンが産み出した上級AIの内の一体。聖杯戦争参加者達を取り締まるために設定されたNPC』
『ムーンセルが記録する数多の平行世界の中から再現された、かつて生きていた何者かを基にして作成されている』


……ノイズが奔ったかのように、一瞬だけ眼の前が真っ暗になったような。意識が飛んでいたような。
視界はすぐに取り戻された。目の前には、自身のよく知る先輩の姿が見えている。……やたらと距離が近いのは、彼女に限ってはいつも通り。

「今日は、何かあったんですか?」

「何って、服装検査だよ。服装の乱れは心の乱れ。風紀委員として、きっちりと取り締まっていかないとね。
 別に、合法的に女の子をジロジロ見ても何とも思われないから役得だ、とか思ってないよ。あ、火々里ちゃんは合格ね」

相変わらずの発言に、思わずため息を付いてしまう。これでよく風紀委員としての仕事が務まるものだと逆に感心する。
悪い人間ではないし、仕事自体は真っ当にこなしている……のだろうか。兎も角、了承を得たならばわざわざ朝のホームルームに遅れるようなこともない。

「……今の、如月先生に言いつけますよ?」

「えっ……それだけは勘弁! あ、ちょっと、ほんとに勘弁してよ!?」

そろそろ彼女には、いい加減にしてほしい。万感の思いを込めて、チクリと弱点を刺しながら、校門を超えて教室へと向かう。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板