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第三外典:無限聖杯戦争『冬木』

46名無しさん:2019/05/06(月) 23:16:11


間桐凱音の一生は、幸運とは懸け離れた位置にあった。

魔術の大家、間桐の家に生まれながら出奔した男。彼の血を引いた凱音は、あろうことか……"いとこ"である娘に恋をした。
怪異に魅入られ、愛される女。ある意味魔性であると言ってもいいだろう――――その少女を助けるために、人生の全てを擲つつもりであった。
幸運なことに、凱音には魔術の才能があった。父の失敗を知った後、より慎重に、自身にそれだけの力があると確信できるまで練り上げ、その上で戦いを仕掛けるつもりだった。
間桐の娘を、その邪悪から救い出すことに、文字通り己の人生の全てを賭した。然しその賢明が、その一生の意味を奪った。


"間桐の娘は、救われた"。


とある神父によって告げられた言葉に、凱音は崩れ落ちた。
彼女には"ヒーロー"がいた。誰のためでもない、彼女のためのヒーローが。それは確かに彼女を闇の中から掬い上げて、そして……間桐凱音には、その資格がなかった。
皆、幸福の道を歩むことになった。彼一人を置き去りにして。それを邪魔する資格など持ち合わせるはずもなく、彼女の幸福のみを願うだけの賢明さもまた持ち合わせていた。

彼は、置き去りにされた間抜けものだ。だからこそ、丁度良かった――――――――聖杯戦争監督役、清宮天蓋は、人形遣い、"九条峰巴"と共謀。
その死骸を絡繰人形として作り変え、徹底的に利用し尽くした。それが、間桐凱音という少年が辿った一生だ。



彼という存在は、全く以て、無意味だった。


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