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第三外典:無限聖杯戦争『冬木』

32名無しさん:2019/03/12(火) 23:05:32


「くく、く、くくく……アーサー・ペンドラゴン」

それは憎悪とも歓喜ともつかない。様々に感情を混ぜ合わせ、ようやく漏れ出た音、であるかのようにすら聞こえるものだった。
歪んでいる、と言っても差し支えないのかもしれない。ただ。こちらもまた、明確に……強固な意思があって、そうしていると理解は出来た。


「私の主は、今は最早、貴方ではない……。主従の関係など、最早過去のもの。
 今この場に在るのは、貴方の騎士ではなく。今、この先に横たわるのは――――ただ、苛烈極まりない生存競争。命を対価に、願いを賭ける。

 皆、そのためにここに在る。私も、我が主も。これは、そう――――"戦争"だ」

そう告げて。その姿がノイズと掻き消えていく。どうやら、自分の視界が霞み切って、何も見えなくなったというわけではないらしい。
とは言えそれも時間の問題で、ごとりとその意識は完全に手放されようとしていた――――何者かが自身の体を抱き上げる感覚は、あったのだけれども。
恐らくは、先程の騎士のそれだろう。冷たい金属の感触の中、然し手遅れになっていく身体をどうすることも出来ない……今は最早。


「いいや。君は未だ、ここで死ぬべきではない」


声が聞こえる凛と澄み渡る声。威厳と風格に満ちたもの。
今は、それだけを背に――――誰かが看取ってくれる。それだけでも幸運だったのかもしれない。ああ、でも、どうせならば……贅沢な願いかもしれないけれど。
■■に……誰だろう。誰の名を口走ろうとしたのか。その名が自分にとってどんな意味を成すのか。わからないまま。闇の中へと、沈み込んでいく。


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