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第三外典:無限聖杯戦争『冬木』

30名無しさん:2019/03/12(火) 23:03:05

――――――――ならば、諦めるか?



誰かの声が聞こえてくる。聞いたことのない声だ。男とも、女ともとれない……一つだけ言えるのは、その声が。
嘲笑と、失望に塗れていることであった。明らかにこちらを見下して、馬鹿にして、落胆している。そんな様相のそれだった。
諦めるか……諦めたくない。自分が何者で、自分が何なのか、それすらも分からないけれど、ただ。ただ、赤霧火々里という人間は、未だ。


何も、成し遂げていないじゃないか。


瞬間、その声とともに現れた気配が消え去って。眼の前が光り輝いているように見える。
この世界がどういう風に構成されていて、どういうルールで動いているかなんて、分かったことじゃない。今目の前に在る現実すらも、定かではない。
だけど、もしも、もしも抗える手段があるのならば、抗えるだけの――――ただ、生きたい、というだけの、ちっぽけな願いをすら汲み取ってくれる誰かがいるならば。





「ああ。聞き届けたぞ」




光が瞬いた。それは嘲笑のそれではなく、ただ凛と響く肯定の音だった。
閉ざされようとしている世界が、ゆっくりと開いていくのを感じた。それにただ身を任せるままに、その瞳を開けたのであれば。


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