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第三外典:無限聖杯戦争『冬木』

25名無しさん:2019/02/04(月) 22:51:23




終礼の鐘が鳴り響いて、下校時刻を迎える。
どうやらいつの間にか居眠りをしていたらしい。幕が降りた舞台のように、教室は閑散としていた。その中で一人、赤霧火々里という少女は帰り支度を進めていた。
ノートをまとめ、プリントを整理し、教科書を鞄の中に詰め込んでいく。あまりにも何時も通りの、何気ない光景であった。

茜色に染まる教室。不意に扉が開いた――――そちらへと視線を送れば、見慣れた先輩の姿がそこにある。

「もうそろそろ下校時刻だよ、火々里ちゃん」

「あっ……すみません、先輩。お疲れ様です」

風紀委員の最後の見回りだろう、教室もそろそろ締める頃合いか。ひらひらと片手を緩やかに振りながら此方へと近付いてくる彼女へと合わせて立ち上がる。
一之瀬侑李は、彼女の机へとゆっくりと腰を下ろして火々里へと微笑んだ。その表情が、何処か寂しげに見えたのは……この夕焼けのせいだろうか。

「またサボりですか、一之瀬先輩」

目を細めながら、火々里が咎めるようにそういった。
バツが悪そうに侑李は笑うと、ふと窓の外へと視線を送った。それに釣られて、火々里もそちらへと目を向ける。
夕焼けに染まるグラウンド。静まり返って、今はただ静かに眠るように。
きっと明日も、同じ風景がそこにあるだろう。何度も何度も、この当たり前を繰り返す。それはなんて平凡で、平穏で、平坦で、どこまでも幸福な――――


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