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第三外典:無限聖杯戦争『冬木』

21名無しさん:2019/01/21(月) 22:14:06

「私はアリス。そう、私は――――ただのアリス。貴女のお友達」


その声に聞き覚えは無かったけれど、ふらりふらりと、吸い寄せられるように、桃色の少女は歩き出していた。きっとこの声は、お迎えなのだと思った。
この夕焼けから、自分を連れ出してくれる……楽しい世界が、きっとそこに在るのだと。焦燥にも似た興奮を、小さな体に抱えながら。
銀や、青や、黄や、紫。色んな色に、きっとそれは連れてってくれるのだろうという確信があった。そこにいるのは――――――――



「さぁ、一緒に遊びましょう」


その手を、暗闇へと伸ばした。そしてその手を握り返すのは、自分の手と大差ない、幼い少女のそれだった。
思えば、自分より大きな掌に包まれたことは何度もあったけれど、自分と同じ小さな手を握ったことは無かった。
自分の手はいつも――――血に、塗れていて。誰かの手を握り返すことなんて出来なかった。けれどその少女の手は、自分と同じくらいに、血に塗れていたから。


「――――――――うん、遊ぼう」


暗闇の中に少女は消えて、後に残された血の色も、全て全て夕焼けに塗り潰されて消えていく。
暗闇はどこかに続いてる。きっとその先には――――苛烈な生存競争が、待っているのだろう。


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