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アトラクバイト

1アトラクバイト ◆GmgU93SCyE:2019/05/30(木) 14:38:49 ID:IrTjStQo
エロなし、盛り上がり無しの淡々とした着ぐるみの話です。文章力のなさはご容赦ください。

2アトラクバイト ◆GmgU93SCyE:2019/05/30(木) 14:40:22 ID:cUwdliig
期間限定アトラクのアルバイト募集があった。身長制限があり160-165cm、男女問わず、経験不問(これは着ぐるみに入った経験)


イベントは仮面ライダーカブト,
そして募集がかかったのは、ショッカーの戦闘員的なワームのサナギ体役。
ワームは全身が緑で、グロテスクなフォルムにサナギ体と言うだけあり昆虫のサナギに幼虫を模したものがくっついた着ぐるみ。
顔のようなものがあるが、それを昆虫の脚がムンクの叫びのように覆っている。
右手は昆虫のような感じで細長い鉤爪、左手は4本指がある。体全体がプロテクターで覆われている感じで、ショッカー戦闘員のようなタイツではないので、着ぐるみを着てしまえば男か女かは完全に分からなくなる。
そして動きは緩慢で激しいアクションもないことから経験不問となっていると思った。



私はこのワームのことはよく知っていた。
私には兄がいて昔、仮面ライダーカブトをよく見ていたから。
そのワームを見て私は心を奪われた。グロテスクなフォルムなのだが、なぜか可愛く見えた。実際、1匹だけ小さなワームがいることも見ていて気がついた。
大きくなってからそのことをいろいろ調べ見ると、その小さなワームには女性が入っていたことが分かった。その時からいつか、私もワームになりたいと思うようになっていた。

3名無しの作家さん:2019/06/18(火) 06:48:48 ID:LM9IFu.o
私はすぐに募集に飛びついた。そして、1人では不安なので親友の真希も誘った。
彼女は私と同じで身長が164cm。服の趣味も合うので2人でよくショッピングにも出かける。真希とは高校のバスケ部でも同じで今は同じ短大。彼女なら体力的にも付き合ってもらえると思った。


講義終わりで真希を誘ってみる。
真希は高時給バイトには飛びつくが、今回の着ぐるみバイトは日給制、拘束時間を考慮すると高時給バイトとは言えない。おまけに着ぐるみとなるとどんな反応をするか不安だった。しかし、真希の反応は上々でホッとしたのだが、まだこれからが本題。着ぐるみのバイトであることと、可愛いものが好きな真希がグロテスクなワームに入ることを受けてくれるか。

話を続ける。着ぐるみバイトであることを伝えると楽しそう、いいねの反応。少し安心したが私は苦笑い。そして核心に触れる。仮面ライダーの敵の雑魚役なんだけどと説明したが特に嫌がる様子はない。むしろ、どんな着ぐるみか気になっている様子。写真とかないのと言われてスマホでワームの写真を探し恐る恐る見せた。
私は下を向いたまま。怖くて真希の顔が見れない。
真希がボソリ。可愛いじゃない。私はパッと明るくなり真希に抱きついた。

4名無しの作家さん:2019/07/24(水) 12:45:37 ID:9IVtIU6M
意外と思ったのは私だけだろう。ワームの募集にそれほど人は集まらなかったようで、予定していた10名の募集に対して集まったのはちょうど10人だった。その中には当然、私と真希の姿があった。
意外だったのは10人のうち女性が7人だったこと。

採用された10人は後日スタッフから説明を受けることとなった。

仮面ライダーカブトのショーに出るのが3名と展示スペースを巡るお客様のアテンドを7名で割り振って行うこと。仮面ライダーやワームの完全体はベテランのスーツアクターが演じるので何も心配することないことが告げられた。
ショーに出てアクションをするのは当然のように男性3名、女性7名はお客様のアテンドとなった。

ここからはショー班とアテンド班に分かれて説明を受ける。もちろん、着ぐるみは着ないで。ここで男性陣とはお別れ。


案内されるまま展示スペースへやってくる。
入口脇には大きな鉄製の虫カゴの様なものがある。
虫カゴの高さは180cmで幅は120cm、奥行きは5m。そのカゴにはワームの着ぐるみがかけられてあった。スタッフは着ぐるみを手に取ると虫カゴの入口にワームの着ぐるみを合わせる。虫カゴはワームがすっぽりと収まるサイズ、つまり私たちはワームになるとこの中に並んで入るということことはすぐに理解した。

5名無しの作家さん:2019/07/24(水) 12:46:21 ID:9IVtIU6M
スタッフから突然、そのまま全員虫カゴの中へ入るように指示があった。
虫カゴに入ると入口が閉められ、スタッフは少し離れる。そして出して欲しそうな演技をして下さいと。
虫カゴの隙間は大きく、普通に通り抜けられる大きさだったが、言われるまま鉄格子を持って出して欲しそうな演技を各々がした。
少しするとスタッフが入口を開けて何ごともなく説明が続けられた。
先ほど演技してもらったものは撮影していました。後日ワームに着替えてから先ほどと同じように出して欲しそうな演技をお願いします。この撮影した二つの映像を展示スペースに来たお客様に見せて擬人化したワームが虫カゴの中で元に戻る映像として流すのだとか。

そしてこの虫カゴの説明が始まった。
これはZECTが開発したワーム捕獲器。もうお判りかと思いますが、皆さんにはワームになってこの中に入ってもらいます。
お客様が入ってくると声は出さず、中で蠢くようにゆっくり動いて下さい。お客様は虫カゴの横のこの機器に500円を入れます。そう言って両替機のようなものを軽く叩く。
これに500円を投入すると、青白い光が点滅するので皆さんは虫カゴの中で倒れて下さい。倒れたのを確認したスタッフは入口を開けて先頭のワームに手錠をかけ、引っ張り出しますので従って下さい。
そういうと鎖のついた未来的な手錠を取り出した。
この手錠を嵌められたワームは自由に動けなくなります。ですので皆さんはお客様に連れられて一緒に展示スペースを回って下さい。
ワームが一匹取り出されると虫カゴの入口は閉じられます。そうしたらゆっくりと起き上がり入口の方へ蠢きながら詰めていって下さい。お客様と展示スペースを回ると出口でワームは回収されます。そうしますと虫カゴの後ろ側の入口から入り最後尾に並ぶということを繰り返してもらいます。

あとは参考のため展示スペースを回って行きましょう。そういうとスタッフは進み始め私たちはその後について行った。

6名無しの作家さん:2019/07/24(水) 12:47:05 ID:9IVtIU6M
展示スペースの簡単説明を受けたが、ワームとなってお客様について歩くだけの私たちにとっては特に展示スペースの重要性がないことは誰の目から見ても明白だった。
ただ、私個人としてはワームサナギ体のコーナーがあり、ワームについてや隕石に埋まったワームの展示物、それにワームを演じたスーツアクターの写真が並んでいたので興味をそそられた。


さて、スタッフについて入った部屋は広めの控え室。壁にはワームの着ぐるみがズラリと掛かっている。私は胸が高鳴りドキドキし始めていた。

スタッフは全員にビニール袋に入った黒いものを配る。
とうぞ開けて下さいの声で皆一様に袋を開けて中身を確認する。
中身は二つあり一つは薄手のウエットスーツのようなもので手先、足先まで一体、さらにはフードまでついている。フードはからは目と鼻だけが出るようになっていた。もう一つは黒い布製の全頭マスク。

ウエットスーツのようなものを着てから全頭マスクを被るのだと理解できた。

スタッフからこれから試着してもらいたので、全裸になって着てみて下さいと。
スタッフを含め全員が女性なので、少し恥ずかしさはあったが、みな試着を始めた。
背中のファスナーは隣の人に閉めてもらうなどして着終えると、全頭マスクを被った。
部屋はスタッフ以外全員動く黒いマネキンとなった。全頭マスクは中からは意外と外がよく見えて呼吸も苦しくない。それにこのウエットスーツのようなものも暑さを感じず、涼しさを感じる。

7名無しの作家さん:2019/07/24(水) 12:47:52 ID:9IVtIU6M
スタッフから着てもらって分かると思いますが、着て頂いたインナースーツは体を冷却する効果と汗を吸い取る効果を持つ特殊なスーツで、全頭マスクも見た目には分からないですがインナースーツの表面と同じ素材を使用しており、体温を一定に保ちかつ視界も呼吸も確保できるものになっていると説明があった。
それを聞いて皆一様に納得したように頷いていた。



スタッフはワームの着ぐるみを手に取ると今度は着ぐるみの着方を説明し始める。
一人に着てもらってそれを見てもらいたいのでと言って少し選ぶのに迷っているようだったので、私はすぐに手を挙げて意思表示した。

黒いマネキン達の前に出るとスタッフはワームの着ぐるみを準備する。撮影でないので、もしかしたらショボいワームかもと不安をおぼえたが意外にもテレビで見たものと変わらないクオリティ、おそらくは。
ワームの後頭部の幼虫のようになった部分に割れ目があり、その奥には大きな緑がかったファスナーのようなものが見える。
スタッフは大きなスライダーを手にすると、その大きなファスナーを下から上へと開いた。

後頭部部分は大きく開くと、中には更にファスナーがあった。こちらは至って普通のファスナーそれを開くとようやく着ぐるみを着ることができる。
私はスタッフに促され大きく開いたワームの後頭部から足を踏み入れた。

8名無しの作家さん:2019/07/24(水) 18:04:21 ID:9IVtIU6M
ワームの中へと簡単に体が入っていく。思っていたよりも窮屈な感じはしない、むしろぶかぶか。下半身がワームに飲み込まれた後、腕を通して頭もワームの中へ。
外からは分からなかったが、中からは外が良く見える。ワームの目の部分や他にも顔の周りの黒い部分はメッシュになっていて視界も良好で呼吸も楽だった。
スタッフから声をかけられた後、内側のファスナーがゆっくりと閉められた。

外側のファスナーを閉められたら、私はワームから自分では出ることができないと改めて思った。
さらに外側のファスナーには緑色をしたワーム見合うように加工された南京錠がかけられる。これはアテンドして回った際、着ぐるみを開けられるのを防止するためだ。

ワームとなり変わり果てた自分の両手を見た。どちらにせよ、こんな手ではファスナーは開けられないし、第一にファスナーには手が届かない。あとはされるがままだ。変に納得し一人頷いた。


しかし、いつまで経っても外側のファスナーは閉められない。どうしたのかと思い振り返るとスタッフは私以外の全員にホースのついた機器の説明をしていた。私は着ぐるみを着ていたので、スタッフの声が全く届いていなかった。

9名無しの作家さん:2019/07/24(水) 18:05:09 ID:9IVtIU6M
スタッフが説明していたのは空気を注入する機器で外側のファスナーと内側のファスナーの間に注入口があるようだ。
私もその説明を聞こうとしたが、すぐにスタッフに回れ右で半回転されて、皆に背中を見せる形となった。

機器の音と共にワームに命、いや空気が吹き込まれる。先ずは背中の辺りが膨らみ始め、それは次第に手先や足先に広がっていく。少し体が圧迫された時点で機器の音が止まった。そして背中の方でファスナーが閉められる感覚の後、皆の方へ向き直った。黒いマネキン達の表情は分からないが興奮している様子は伝わってきた。
私は事前に借りたDVDで勉強したワームの動きをやってみた。皆の反応は上々、スタッフも納得したように頷いていたが、すぐに姿見を持ってきて私にワームになった姿を見せてくれた。
それを見て私は止まってしまった。
自分の姿に見惚れて、グロいけど素敵。

この日はこれで終わり、解散となった。

10名無しの作家さん:2019/07/24(水) 18:05:41 ID:9IVtIU6M
「どうだった?」
帰り道、少し興奮気味に話す真希。
隣にいた私がワームになったことが分かっている真希が質問してきた。

「意外と中からは外がよく見えたよ」
「それにそんなに息苦しいってこともなかったよ、ただ空気を注入されると圧迫されるんだけど」
真希は目を輝かせ頷きながら私の話を聞いている。
「着ぐるみって着てるって感じになると思うんだけど、空気を注入されて体にワームが密着すると一体化したみたいな不思議な感覚になったよ」と教えた。

真希は「今から楽しみ!」と言って飛び跳ねた。

11名無しの作家さん:2019/07/24(水) 18:06:35 ID:9IVtIU6M
真希が楽しみにしていたワームになる日がやってきた。
早めに誘いに来た真希とともに会場に入った。他の子たちも同じなのか私達より早く来て着替えを始めていた。

賑やかだった控え室はワームになると途端に静かになっていった。
皆役作りしていることは一目瞭然であった。


ワームが7体も揃うと控え室は狭い、しかしこれだけ揃うと圧巻しかも、中身は全て女性なのだから来場者もそんなことは考えもしないだろう。

これだけ女性がいるが、話すものは誰もいなかった。
緊張と興奮が伝わってくる。

ただ、私の横でワームになり興奮を抑え切れない真希は手を動かして興奮を体現していた。

スタッフが現れ簡単な説明の後、移動し全員大きな虫カゴへと入る。
虫カゴの隙間は普通なら簡単に通り抜けられそうだったが、ワームとなった今では到底通り抜けることはできなくなっていた。


先ずは虫カゴの中で蠢くシーンの撮影。
スタッフの合図で動き、そして止まる。
それを何度か繰り返す。

次に閃光が走り倒れるシーン。
これも何度か撮影した。

そして次はゼクトルーパー部隊シャドウの格好をしたスタッフにZECTの文字が書かれた少し未来的な手錠をかけられる。
設定としてはこの手錠により、ワームを制御し暴れ出すことがないという。
シャドウの隊員がワームを一匹ずつ連れ出していく。
そのまま、展示スペースを一周し再び虫カゴへと戻る。

私は後方に並ぶ形となった。

12名無しの作家さん:2019/07/24(水) 18:07:24 ID:9IVtIU6M
今日はこれで終わりかと思っていたのだが、そうではなかった。
プレオープンで今からお客様が入ってくると告げられ、ワームを演じ声を一切出していなかったワームから声が漏れる。
が、もう客はすぐそこ全員腹をくくったようで虫カゴの中で蠢き始めた。


それほど時間を置くことなく、お客様が入場してきた。
巨大な虫カゴの前に人だかりができ始める。
子どもたちからは泣き声も、大人たちは興味津々といった感じで虫カゴを覗く。
シャドウに扮したスタッフが説明を始め、ワームのアテンドの列に人が並び始めた。


自分の順番を確認し、客の順番から自分の当たる客を確認する。
「げっ!」
思わず声を漏らしてしまった。
太った汗だくの男2人、リュックサックを背負い、いかにもオタクといった風貌。
着ぐるみを着ているので外からは分からないが、着ぐるみの中でうな垂れた。

正直、子どもがいる家族に当たりたいと思っていた。

13名無しの作家さん:2019/07/24(水) 18:08:22 ID:9IVtIU6M
何度かの閃光が走った後、順番が回ってきた。
シャドウに手錠をかけられて虫カゴをゆっくりと出る。
“ん!“
確認した時に当たるはずであったオタク2人は次だった。
ホッと胸を撫で下ろす。
それでも私の担当はやはり男性2人。
顔を見て固まる。

「え!(ハルくん⁉︎)」
ハルくんとは私が最近別れた彼氏の春樹。
ハルくんの横には悪友の聡馬。
そしてハルくんも聡馬も私と同じ大学。

聡馬は頭が良いのだが、良からぬことを思いついては自分では実行せずハルくんにさせていた。

14名無しの作家さん:2019/07/24(水) 18:09:00 ID:9IVtIU6M
ハルくんと聡馬に連れられて展示スペースを回る。
私はこの聡馬が嫌いだった。
自分の手は汚さず、嫌なことをハルくんに押し付けていたから。
ハルくんにも聡馬と縁を切って欲しいとお願いした結果、喧嘩に発展して別れてしまった。

ハルくんが私の手錠へと繋がる鎖を持ち、聡馬が誘導するように先頭を歩く。
初めてのアテンドでどうしていいかもよく分からず、ただただ2人についていく。

途中ハルくんは何度も私を気遣うように振り向いてくれていた。

突然、聡馬に動きが。
非常出口の方へ足速に歩いていく。
ハルくんも鎖を引っ張り聡馬の後を追う。
当然、私もハルくんに引っ張られていく。
非常出口から出るとそこは非常階段。下の階の踊り場へと聡馬は移動、ハルくんもその後に続く。鎖で繋がれている私も。

だが、ワームの着ぐるみで不慣れな上、足元の見えない私はあと少しというところで階段を踏み外し転がり落ちた。

踊り場でうずくまる私の後ろで声がした。
「春樹、早く開けろ!俺が写真を撮る」
男性2人に押さえつけられて動けない私。
しかし、意外と冷静でいられた。何故なら、
外側のファスナーには南京錠がかかっているので開かないから。

15名無しの作家さん:2019/07/24(水) 18:09:39 ID:9IVtIU6M
次の瞬間、私の予想を裏切り外側のファスナーが開いた。
“え!なんで“
焦りながらも思い返すと、南京錠をかけるスタッフが私の番の時、無線連絡が入り対応していた。私はてっきり南京錠をかけてくれたと思っていたが、そうではなかったのだ。

慌てて抵抗しようとしたがもう遅い、内側のファスナーにも手がかかり開かれていく。
それが分かるように新鮮な空気が着ぐるみの中へと流れ込んできた。
私を引っ張り出そうとするハルくんの手が私の体に触れた。
「やめて!ハルくん、お願い!」
今まで堪えていたが精一杯声を出して懇願した。

ハルくんの手が止まる。
「美香⁈」
「うん」
私の消え入りそうな声が聞こえたのか、ハルくんの手は着ぐるみから出ていき、内側のファスナーが閉じられる。

「何してるだよ春樹!」
「中身、女だぞ!顔見たくないのか?」
聡馬に私の声は聞こえたが、ハルくんの名前を呼んだのは聞こえていなかったようだ。

「やりたきゃ、自分でやれ!」
ハルくんは聡馬に対して強い口調で言い放つと外側のファスナーも閉めた。
そして私のワームの体を支えながら、踊り場に聡馬を残し展示スペースへと戻った。

その後、展示スペースではハルくんに鎖を引っ張られることなくアテンドを終えた。

16名無しの作家さん:2019/07/24(水) 18:10:22 ID:9IVtIU6M
別れ間際、「ごめん美香、俺が間違ってた、やり直したい」と言われた。
私はお辞儀をして虫カゴへと戻る。
虫カゴに入る前にスタッフに手錠を外されて。

そんな私をずっと見送ってくれたハルくんに虫カゴの中から手を振った。
ハルくんも手を振り返してくれた。
後ろから出てきた親子にその姿を見られ、少し恥ずかしそうにしてハルくんは足早に去っていった。
その背中が見えなくなるまで私は見送った。


“バチッ“と大きな音とともに虫カゴ内に閃光が走る。
ワームたちは虫カゴの中で倒れる。
私も例外ではない。
私の上に一匹のワームが覆い被さる。
「ねぇ、美香あれ春樹くんじゃなかった?」
「手まで振っちゃって、ヨリ戻った?」

真希の質問にだんまりを決め込むと。
「正体見せちゃった?こんな私だけどもう一度やり直して下さい、みたいに」

「そんなこと言ってない!」

小声になり「向こうから」と言うと。
「良かったね、お幸せに」と。

その時、虫カゴの扉が音を立てて閉まった。
恥ずかしさもあり、「お仕事、お仕事」そう言って覆い被さる真希を払いのけると真希の前に出る。
「私もいい男、捕まえよ」真希の言葉に振り向かず前にいたワームの列に並ぶように蠢き始めた。


fin


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