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【伝奇】東京ブリーチャーズ・漆【TRPG】
332
:
ザ・フューズ
◆xCCpD0lPkQ
:2019/05/04(土) 02:52:16
ポチの中にある冷徹な獣が、静かに――皆を見捨てる為の算段を立て始めていた。
勿論、それは最後の手段だ。まずは芦屋易子に確認を取らなくてはならない。
反魂の法が行われている間、自分達は己の意思で宝珠の中から出られるのか。
肉体に戻る事は可能なのか――答えが是であれば、事を急ぐ必要はない。
可能であれば橘音を助けたいと思っている事に偽りはない。
だが、もし己の意思では戻れないのであれば、その時は――
>「……お気をつけて、あなた。
ふと、シロの声がポチの思考を断った。
傍らに膝をついた彼女は、続けてこう言う。
>お身体はわたしが必ず守ってみせます、ご安心を」
その言葉を聞いて――ポチは一呼吸ほど間をおいて、笑った。
微笑みというにはあまりに力強い、牙を剥くような笑みだった。
「君がそう言うなら……うん、任せたよ」
それは――ポチの定めた抜け穴だった。
『獣』を継ぐ者として、同胞以外の為に命を懸ける事は出来ない。
だが――狂気に至るほどの、狼の愛は、自然の習性をも上回る。
だからこそポチは言葉にする事が出来た。
『君は何をしてもいい』『君になら、何をされてもいい』と。
「そして……任せておいて。すぐに橘音ちゃんを見つけて帰ってくるよ」
故に――シロが「お気をつけて」と言ったのなら。
ポチはその願いを叶える事が出来る――那須野橘音を救いに行ける。
333
:
ポチ
◆CDuTShoToA
:2019/05/04(土) 02:57:17
そして翌日の夜。
ポチ達は大祈祷堂へと集められた。
>「こちらに横になってください」
「……その前に、シロ。あれを」
ポチがシロに声をかける。
ここへ来る前、彼女に預けていた物を返してもらう為だ。
受け取るのは、刀――星熊童子の愛刀、酔醒籠釣瓶だ。
酔余酒重塔での戦いの後、持ち帰っておいたものだ。
鞘の中の刀身は半ばまでしかない上、
尾弐が一度人間に戻り酒呑童子と同等でなくなった為か、破邪の力も殆ど残っていない。
だが――だとしても、紛う事なき名刀。便利な牙だ。
「アイツの魂、お前の傍にいるんだよな。だったら……見えてるか。暫く借りるぞ」
魂の世界に刀を持ち込めるかは分からない。
だとしても、試してみて損はない。
ポチは必ず、シロの元へ戻らなくてはならない。
今までのようには戦えない。命を懸ける事は決して出来ない。
ならば、出来る備えをしない理由は、ない。
「……すぐに戻るよ」
シロにそう告げると、ポチは用意された布団に体を埋めた。
>「高天原に神留座す 神魯伎神魯美の詔以て――」
目を閉じ、聞こえてくる芦屋易子の声。
それが徐々に、徐々に、遠ざかっていくような感覚。
そしてポチの意識は――
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