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SS投下所
103
:
ピカレスク
:2024/02/20(火) 20:20:21 ID:eitrr3cU
戯言だと、冷たく吐き捨てれば良い。
見当違いも甚だしいと、呆れを直接ぶつければ良い。
「お前も私も置いて行かれる側だ。何人自分の前で死んだかなんて、分からなくなってもおかしくはない」
それでも、何も言い返さないのは。
目の前の幼女が、ただ上辺だけの説教をしているのではないから。
契約を交わした魔女と同じ、永き時を生きた者だけが知る重みが言葉に宿っているが故か。
「けど、私はいつだって部下との別れは悲しんで来たぞ。私の征服について来てくれた者達がいなくなったら、隠さずにわんわん泣いた」
ガラクーチカを受け取った事に後悔はない。
幼き身でありながら女王として民を統べ、いずれ訪れる自分の運命を受け入れる準備は出来ていた。
不老の呪いが降り掛かり辛くないと言えば嘘になるが、征服者としての己を間違っているとは思わない。
組織を結社し、全世界の征服を果たすべく活動を始め気が遠くなるような年月が経った。
世は良い方向にも悪い方向にも流れ、現代は確実に後者。
東京リベリオンで笑うのはいつだって一握りの勝者と、そのお零れに与る連中。
そんな時代で再びズヴィズダーのメンバーを集めるまでに、多くの同胞が自分の元から旅立って行った。
部下の死は今に始まったものじゃあない。
自分一人が幼女のまま、老いて力尽きた者を看取るのだって珍しくもない。
出会いと別れを幾度も繰り返し、その度に悲しみの涙を流した。
呪いが解かれない限り味わい続ける喪失に、時折膝を抱えずっと俯いていたくなった時もある。
だけど、死を嘆く心を失いたいと思った事はただ一度もない。
悲しみを感じなくなったら、それは機械と変わらないから。
涙を流すのを忘れてしまえば、そんなのは自分じゃないから。
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