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仮投下スレ

1名無しさん:2015/07/15(水) 00:22:03 ID:YFA/rTa20
作品の仮投下はこのスレでお願いします

219それはあなたと雀が言った  ◆DGGi/wycYo:2015/09/01(火) 20:36:13 ID:qIVTDzUI0
また、走っている。目的地はない。誰かに会いたいという気分でもない。
普段なら既に動けなくなるほど走っているのに、体は止まろうとしなかった。

穂乃果たちは追ってくるだろうか、そんなことはどうでも良かった。
ただただ、逃げたかった。
ランサーという一時的な心の支えを失い、目の前で散った命を見て、千夜の精神は既に限界に近かった。

「私が、彼女、を……」

絞り出すように呟く。

毒を仕込んだのは恐らく高坂穂乃果。その上彼女は、私や本部以蔵をも殺そうとしていた。
結果的に、高町ヴィヴィオが死んだ。私がトドメを刺す形になった。
ここにおける『悪』が誰か、なんていうのはどうでもいい。

穂乃果から受け取る前に気づいていれば。
もっと早く「食べちゃいけない」と教えてあげていれば。
彼女が死んだのは、私のせいだ。それは、土方十四郎も同じ。
自分が2人を殺したと言っても、何らおかしくはない。


随分と走り続け、いつの間にか倒れていた。最後の気力を振り絞り、物陰に身を潜める。
当分動けそうにない。何より、しばらく一人になりたかった。


――誰が殺した? クック・ロビン。

――それは……。


【B-2とC-2の境界付近/早朝】

【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(極大)、情緒不安定
[服装]:高校の制服(腹部が血塗れ、泥などで汚れている)
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:ベレッタ92及び予備弾倉@現実 、不明支給品0〜2枚
[思考・行動]
基本方針:心愛たちに会いたい
1:私が、殺した……。
2:しばらく1人で居たい。

[備考]
※現在は黒子の呪いは解けています。

220 ◆DGGi/wycYo:2015/09/01(火) 20:37:07 ID:qIVTDzUI0
仮投下を終了します 指摘などあればお願いします

221 ◆DGGi/wycYo:2015/09/01(火) 20:54:55 ID:qIVTDzUI0
クリスについての描写が無かったので少し時間を空けて追記します

222名無しさん:2015/09/01(火) 22:56:49 ID:2nFyPJaM0
一先ず乙です

223名無しさん:2015/09/02(水) 02:35:57 ID:khYlw5pE0
投下乙です
クリスの描写がない以外は特に気になる点はないかと思います

224名無しさん:2015/09/02(水) 06:51:36 ID:.r5jYbwQ0
クリスねぇ…

225名無しさん:2015/09/02(水) 06:55:28 ID:.r5jYbwQ0
失礼、デバイスの方か

226 ◆RPDebfIIlA:2015/09/02(水) 06:55:35 ID:nFiPKWnI0
仮投下させていただきます

227芸風ノーチェンジ ◆RPDebfIIlA:2015/09/02(水) 06:56:29 ID:nFiPKWnI0
時刻が黎明に入り、普段の日常ならば既に床に入っているような時間帯の頃、志村新八と矢澤にこの両名は映画館の前で一旦休憩を取っていた。
万事屋を出発してからかなりの時間が経ったが、彼らに危険が及ぶようなことは全くと言っていいほどなく、順調に当面の目的地である駅へ向かっていた。
途中で17歳とは思えない筋肉隆々とした範馬刃牙という少年に会ったが、逆に言えば彼くらいしか遭遇した者はいない。
ところが、このまま数時間歩き通して流石に疲労が溜まったのか、新八もにこも膝が痛くなってきた。
まだ歩けるには歩けるが、いざというときに動けなければ困る。
なので、ここに留まって一服することにしたのだ。

「ふぅ…」

にこは映画館の前で地面に尻をつき、一息つく。
長時間立っていることはスクールアイドルをする上で慣れてはいるが、やはり厳しいものがある。

「にこさん、これどうぞ」
「え、これって…」

新八はスポーツドリンクの入ったペットボトルをにこに差し出す。そのラベルには『歩狩汗』と書いてあった。

「新八が出す必要ないじゃない。にこのカードで――」
「さっき刃牙君に2回分使っちゃったじゃないですか。僕の分を使ってくださいよ」

そういえば、にこはヘルゲイザーのカードと引き換えに食料と飲料を2回分失っていた。
それを気遣って新八が自分の青カードでスポーツドリンクを出してくれたのだろう。
そう思うとなんだか申し訳なくなり、小さい声で礼を言ってから、ペットボトルを受け取った。

喉が乾いていないといえば嘘になるので、にこはペットボトルへ口をつけて水分を体内に運ぶ。
ゴクゴクと喉を通る水が身体の渇きを癒していく。
力がみなぎって、いつでも動ける気力が湧き上がってきたような気がした。
半分ほど飲んで、ボトルに蓋をしめる。疲れているといってもヘトヘトまでとはいかないのでこれくらいの水分を補給すれば十分だ。
新八へ目を向けると、にこの持つものとは別のペットボトルを片手に水分補給をしていた。
青カードを2回も使う必要があったのか疑問に感じたが、ペットボトル1本で済ませた場合に起こる不具合をすぐに察して赤面しながら目を伏せた。
新八も新八で、同行者が女の子ということもあってそっちの方面にも気を遣っていた。

「そ、そういえばお腹も空いたわねー」

青カードを2回使ったことをすぐに忘れるために、それとなく切り出してみる。
一応万事屋を出てから何も食べておらず、刃牙へ渡した食料を見て食欲がそそられたのは事実だ。

「あ、それなら僕の赤カードで何か出しますよ。えーと、何出そうかな…まあいいや、何か出ろ!」

すぐさま新八は赤カードを振りかざして食料を出す。
特に何を食べたいとか考えてもいなかったので、とりあえず適当に出して出て来たもので腹ごしらえしようと思っていた。
しかし、その考えが裏目に出てしまう。

「………」
「……何コレ」

赤カードから出てきた食料。新八が何も考えず適当に出したもの。
それは黒く焦げた…とても食料とは思えない、思いたくない暗黒物質《ダークマター》であった。
見ていると食欲が引き立てられるどころか減衰していき、新八とにこの顔はみるみるうちにひきつっていく。
そこら中に漂う異臭が鼻を突き、これを食してはいけないと脳が警鐘を鳴らしている。
そして、2人は心から理解した。これは食料ではない、毒料だと。

「なんでよりにもよって姉上のダークマターが出んだよ!!こんなもん食べるくらいだったらそこらへんの土食うわ!!ふざけんなよあのカリフラワー頭ァァ!!」
「これ新八のお姉さんの料理なの!?アルパカの方がまだマシな料理作れるわよ!!」

こうして、新八は赤カードをもう一度使う羽目になった。
今度はにこの手で食料を出してもらったので、なんとか食料にありつけることができた。


◆ ◆ ◆


万事屋を発ってから現時点まで、新八とにこは刃牙以外と誰も会わずに映画館前まで来た。
今一度言うが、彼らは殺し合いに乗った危険人物とは誰とも遭遇していないのだ。
ここ数時間、2人だけで駅へ向かって移動する中、ずっと無言だったというはずもなく。

「にっこにっこにー♪あなたのハートににこにこにー♪笑顔届ける矢澤にこにこー♪にこにーって覚えてラブにこ♪」
「……どう?」

にこが目の前に座っている新八に向かって持ち前の自己アピールを披露できる程度には緊張感がなくなっていた。
住む世界は違えども、二人とも好きなものがアイドルだということもあり、いつもの調子でおしゃべりする程度には打ち解けていた。
他に話す人物がいないことも大きく、殺し合いの中にいることが嘘であるかのような束の間の平和がそこにはあった。

228芸風ノーチェンジ ◆RPDebfIIlA:2015/09/02(水) 07:00:16 ID:nFiPKWnI0

(ぐっ…なんて破壊力だ…!)

それを見た志村新八は思わず感嘆の声を上げて拍手しようとする自分をどうにかして抑える。
このにこのアピールは新八からすると、非常に高評価であった。
ファンを湧き立たせる力を"破壊力"と形容するならば、その『にっこにっこにー』は寺門通の『お通語』と同じくらいの破壊力を(新八の基準では)有していた。
志村新八は寺門通に一筋ではあるが、アイドル業界に関しても明るい。
仮にμ'sとかいうテラコヤアイドルが江戸にあったとするならば、寺門通とタメを張れるアイドルになっていたであろうことが新八にはわかる。
しかし寺門通親衛隊隊規の十四条には「隊員はお通ちゃん以外のアイドルを決して崇拝することなかれ」というものがある。
絶賛したいのはやまやまだが、果たして寺門通を差し置いて賛辞を送っていいのかどうか考えあぐねていた。

「……まさかアンタ『寒い』なんて思ってんじゃないでしょうね!?」
「…へ?」

しばらく黙っていて何の反応も示さない新八ににこがつっかかる。
かつて後輩に『寒い』とか言われたのがよほどこたえていたのだろうか、凄みのある剣幕で新八に迫る。

「いや、すっごいかわいかったです!最高です!世界のYAZAWAです!!」
「それ別のYAZAWA!!新八、やっぱりアンタも『寒い』って――」
「思ってませんって!!本当に良かったです!!江戸でやったら大ブレイク間違いなしですよ!!」

新八の弁解に嘘偽りがないと判断したのか、にこは気まずそうに「まあ、いいわ」と言って引き下がった。

「そろそろ出発しない?十分休憩とれたし、もう3時過ぎちゃってるわ」

にこは傍らに置いていた板のような物を拾い、それに目を落として現在時刻を確認する。
「それ」に表示されている時刻は3時を過ぎていた。
タブレットPC。にこに支給された黒カードの中の1枚に入っていたものだ。
表示画面に直接触れて操作が可能で、にこの住む年代では既に普及している。
新八は過去に宇宙船だとか頑侍だとかのオーバーテクノロジーに触れてきたが、タブレットPCというからくりの技術には大層驚かされた。
どうやらにこの世界の地球人の技術は江戸よりも進展しているらしい。
にこが言っていた、「江戸は歴史の授業では習ったがもうなくなっている」という言葉はあながち間違ってはいないかもしれない。

「あ、そうだ。出発するのは僕の黒カードの中身を確認してからでもいいですか?」

ふと、新八はにこのタブレットPCを見て自分にも支給された黒カードがあることを思い出す。
取り出してみると、新八の腕輪にある黒カードは全部で3枚あった。
にこの黒カードは刀とタブレットPCで2枚分と、刃牙から譲り受けた魔法の箒。残りの黒カードがあと1枚あるかないかだろう。
どうせなら役に立つものが入っていればいいが、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を配置したりわざわざ志村妙のダークマターを用意してくる主催者のことだ。
この時点で嫌な予感しかしない。
頼むからツッコまざるを得ないようなモンは出ないでくれと切に願いながら、新八は黒カードからアイテムを出した。

「……」
「…花陽――」



それを見て、新八はメガネを曇らせ、にこは目を見開いた。
新八の黒カードから出てきたのは、μ'sの大切なメンバーの一人である小泉花陽――

229芸風ノーチェンジ ◆RPDebfIIlA:2015/09/02(水) 07:01:23 ID:nFiPKWnI0



「のメガネじゃないの」
「なんでメガネ!?」

1枚目の黒カードから出てきたのは、小泉花陽――小泉花陽のメガネであった。
にこはプライベートで何度かコンタクトを外してメガネを装着した花陽を見たことがあるため、その赤い柄を見て瞬時に判別できた。

「いくら僕がメガネくらいしか特徴ないからって支給品までメガネにする必要ねーだろうが!!
そりゃ確かにメガネのおかげで助かったことあるけど!!周りが性転換してるのに僕だけメガネの柄の色が変わっただけで済んだけども!!」
「自覚してたんだ…」
「自覚って…え、ちょっと待ってください、にこさんの僕の第一印象ってまさか――」

にこは申し訳なさそうに新八から目を逸らしたあと、先ほどの『にっこにっこにー』をしていたときと同じポーズをとり、

「な、何のことだか全然わからないにこー♪にこはー、新八君のことメガネスタンドみたいだなんてぜーんぜん思ってないにこ?」

としらばっくれた。

「腹立つ…!さっきは可愛いと思ったけど今は滅茶苦茶腹立つ!!」

頬にビキビキと血管が浮き出る感触を感じつつ、気を取り直して2枚目の黒カードを手に取り、アイテムを召喚する。
無論、新八の心は殆どを嫌な予感に支配されていた。
それでも。それでもまともなアイテムが出てくれるという一抹の希望に縋りながら、出てきたそれを見た。

「またメガネね」
「うん…なんとなくそんな気はしてた」

その黒カードの裏側に記載されているアイテム名の欄を見ると、【岸谷新羅のメガネ】と書いてあった。
――僕って一体何?
そんな思いの元、新八は涙を堪えながら最後の黒カードを手に取る。
もはや期待などしていない。過去に人間かけたメガネとか揶揄されたこともあるが、こうもメガネが関わってくると諦観しか生まれない。
悲愴感と共に黒カードからアイテムを出す。

「メガネね」
「メガネですね…」

黒カードの裏側を見る。【越谷 卓のメガネ】と書いてあった。

「マジでホントふざけんなよあのカリフラワァァァ!!なんで黒カードの中身が3枚ともメガネなんだよ!!
アレか、僕がメガネのおかげで命拾いしたことあるからってメガネをゲームの残機みたいに扱えってのか!?
できるわけねーだろ!!ここは現実で心臓一突きされたら一巻の終わりなんだよ!!スマブラじゃねーんだよ!!」

230芸風ノーチェンジ ◆RPDebfIIlA:2015/09/02(水) 07:02:02 ID:nFiPKWnI0

目を血走らせて怒り狂う新八をよそに、にこもヘルゲイザーの入ったカードを取り出す。
説明によると、これは魔女が使う箒らしく、この殺し合いの場では素養に左右されるものの誰でも魔法が使えるようになっているらしい。
「プチデビル」という存在が必要な魔法は行使できないようだが、悪魔なんてにこは見たこともないし見たくもないので特に気にしないことにした。

「使える魔法は……相手に幻覚を見せたり視覚を奪ったりする魔法――何よ、魔法少女らしくないわね」

にこの理想的な魔法少女らしい魔法といえば、「箒を飛ばす魔法」くらいか。
「箒を飛ばす」のだからきっと箒に跨って空を飛べるのだろう。
一応、攻撃魔法も使えるらしい。
ひとまず、黒カードからヘルゲイザーを出してみる。
実際に見てみると、確かにただの箒だ。柄の部分には六芒星を模した飾りが付いている。

「…ちょっとやってみようかしら」

にこは何かを思いつき、早速それを実行に移す。
虚空に向かってウィンクをしながら、

「魔法少女――」

ヘルゲイザーを片手に人差し指と小指を突き立て、

「にこにーにこちゃん!」

咄嗟に考えた決め台詞と決めポーズをとる。

「にこっ♪」

なんとなく、魔法少女っぽくなれたような気がする。
殺し合いなんて異常な状況にいるけど…こんな夢でしか味わえないような体験をするのは悪くないかもしれない。

「何寒いことやってんですか」
「ハッキリと寒いって言ったわこの人!!世界のYAZAWAって言ってた割には随分と熱い手の平返しじゃない!?」

落ち込んだ様子で、ポーズをとっていたにこの背後から新八が声をかけた。
メガネを黒カードに回収したのだが、依然としてその表情は暗い。
切り札になり得るアイテムなのに3つともメガネを引き当ててハットトリックを達成してしまったのだから当然といえば当然か。

231芸風ノーチェンジ ◆RPDebfIIlA:2015/09/02(水) 07:03:22 ID:nFiPKWnI0

「私がやろうとしてるのは寒いことじゃなくてま・ほ・う!」
「ああ、それって刃牙君がくれた箒ですよね?本当にそれで魔法なんて使えるんですか?」
「やってみないとわからないわ!『箒を飛ばす魔法』っていうのを使ってみようと思うの」
「『箒を飛ばす魔法』…魔女宅みたいに空を飛ぶ魔法なのかな」

どこか哀愁が漂っているメガネに内心で同情しながら、箒に跨って実際に魔法を使おうとする。

(えっと…)

しかし、よくよく考えればどうやって魔法を使えばいいのかわからない。
にこは魔導士でもなければ、特別な素質を持っているわけでもない。
とりあえず、『箒を飛ばす魔法』の最も近くに『箒星』と書いてあったのを思い出し、

「――箒星」

と唱えた。
――すると。

「…にこさん、動いてます!箒が動いてます!」
「ホントだ…すごい…まるで魔法少女みたい…」

僅かにだが、にこの跨る箒が動き始めた。
しかし、それと同時ににこの体に容赦なく疲労感がのしかかった。
魔法とは、魔力を消費して発動するもの。
素質を持たないにこからただでさえ少ない魔力を持っていかれるので、短時間で疲労が蓄積してしまうのだ。

「だ、大丈夫ですか!?」
「まだいけるけど…ちょっときついかも…」

にこが辛そうな表情を浮かべたのを見て、新八が心配して駆け寄る。
今のところ中程度の疲労で済んでいるが、重ねて魔法を行使したとなれば気絶は免れないであろう。
しかし、にこを襲う災難はこれだけではなかった。

「あの…にこさん、なんかこの箒、様子が変ですよ?」
「へ?」

新八がヘルゲイザーの異変に気づく。
先ほどから箒が小刻みに震えていると思えば、穂の部分が光っていた。
力を溜めているようにも見えて、まるで急発進しようとしているロケットのようで――

「にこさん、コレ危ないです!早く降り――」

232芸風ノーチェンジ ◆RPDebfIIlA:2015/09/02(水) 07:05:22 ID:nFiPKWnI0
新八が言い終える前にヘルゲイザーは空へ向かって一直線に飛び出した。
…それに跨るにこと咄嗟にヘルゲイザーの柄を掴んだ新八を乗せて。

「「ウオアアアアアアァァァァァァァ―――――――!!!!!!」」

数瞬と待たぬうちに、地面がみるみる遠くなっていく。
にこも新八も、自分達が空を旅しているのだと直感的にわかった。
にこが発動した魔法は、『箒星』。
確かに「箒を飛ばす魔法」だが、その実は「箒を猛スピードで飛ばして攻撃する魔法」である。
そのため、ヘルゲイザーは跨っているにこのことなど気にも留めず、定められた方向へ一直線に突進したのだ。
箒の向いていた角度が上向きだったので、結果的に空を飛ぶことになってしまったのは皮肉という他ない。

「……にこさん、目を開けてみてください」
「……新八、私空を飛んでいるわ」

2人は夜空の彼方へと消えていった…。
その向かう先はヘルゲイザーのみぞ知る。

【G-6/上空/一日目・黎明】
【志村新八@銀魂】
[状態]:メガネ
[服装]:特になし
[装備]:菊一文字RX-78@銀魂、メガネかけ器@銀魂
[道具]:特になし
[思考・行動]
基本方針:………。
   1:………。
[備考]
※腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(8/10)、黒カード:3枚(小泉花陽のメガネ@ラブライブ!、岸谷新羅のメガネ@デュラララ!!、越谷 卓のメガネ@のんのんびより)は、メガネかけ器に装着されています。

【矢澤にこ@ラブライブ!】
[状態]:魔力消費(中)、疲労(中)
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:ヘルゲイザー@魔法少女リリカルなのはViVid、タブレットPC@現実
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(8/10)
    黒カード:不明支給品0〜1枚、イヤホン
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出
   1:新八と、鉄道を使って音ノ木坂学院に向かう 
   2:μ'sのメンバーと合流したい
[備考]
※参戦時期は少なくとも2期1話以降です
※志村新八と情報交換しました

※歩狩汗@銀魂×2、志村妙のダークマター@銀魂がG-6/映画館前に放置されています。
※ヘルゲイザーに乗ったにこと新八がどこへ向かうかは後続の書き手様にお任せします。
※箒星は魔法に素養のないにこが発動しましたので、そんなに遠くへは行かないかもしれません

【タブレットPC@現実】
2010年頃から本格的な普及が始まった、パーソナル・コンピュータの一種。
板状の外見で、表示画面に直接触れるような操作が可能である。
画面には現在時刻が表示されていますが、機能の詳細は後続の書き手にお任せします。

【小泉花陽のメガネ@ラブライブ!】
小泉花陽が1期にて、主にμ'sに加入する前にかけていたメガネ。
かけるとかよてぃんになれる気がする。

【岸谷新羅のメガネ@デュラララ!!】
岸谷新羅がアニメでかけているメガネ。
かけると一人称がころころと変わる気がする。

【越谷 卓のメガネ@のんのんびより】
越谷 卓がアニメでかけているメガネ。
かけると存在感が薄くなる気がする。

【メガネかけ器@銀魂】
志村新八に本人支給。
新八専用のメガネスタンド。
腕輪はメガネかけ器に装備されている。
ある意味スタンド@ジョジョの奇妙な冒険ともいえるかもしれない。

233芸風ノーチェンジ ◆RPDebfIIlA:2015/09/02(水) 07:06:37 ID:nFiPKWnI0








「おいィィィィィィィィ!!僕の状態表だけなんかおかしいだろうが!!完全にメガネが本体になってんだろうが!!」






【G-6/上空/一日目・黎明】
【志村新八@銀魂】
[状態]:健康
[服装]:いつもの格好
[装備]:菊一文字RX-78@銀魂、メガネ
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(8/10)
    黒カード:3枚(小泉花陽のメガネ@ラブライブ!、岸谷新羅のメガネ@デュラララ!!、越谷 卓のメガネ@のんのんびより)
[思考・行動]
基本方針:ゲームからの脱出
   1:この箒はどこへ向かっているんだ…?
   2:にこさんと、鉄道を使って音ノ木坂学院に向かう
   3:銀さん、神楽ちゃん、桂さん、土方さん、長谷川さん、μ'sのメンバーと合流したい
   4:神威、範馬勇次郎を警戒
[備考]
※矢澤にこと情報交換しました
※範馬刃牙と情報交換しました
※万事屋付近にいる天々座理世、風見雄二とは時間帯が深夜だったこともありニアミスしています


【矢澤にこ@ラブライブ!】
[状態]:魔力消費(中)、疲労(中)
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:ヘルゲイザー@魔法少女リリカルなのはViVid、タブレットPC@現実
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(8/10)
    黒カード:不明支給品0〜1枚、イヤホン
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出
   1:私空を飛んでいるわ
   2:新八と、鉄道を使って音ノ木坂学院に向かう
   3:μ'sのメンバーと合流したい
[備考]
※参戦時期は少なくとも2期1話以降です
※志村新八と情報交換しました
※範馬刃牙と情報交換しました


※歩狩汗@銀魂×2、志村妙のダークマター@銀魂がG-6/映画館前に放置されています。
※ヘルゲイザーに乗ったにこと新八がどこへ向かうかは後続の書き手様にお任せします。
※箒星は魔法に素養のないにこが発動しましたので、そんなに遠くへは行かないかもしれません

【タブレットPC@現実】
2010年頃から本格的な普及が始まった、パーソナル・コンピュータの一種。
板状の外見で、表示画面に直接触れるような操作が可能である。
画面には現在時刻が表示されていますが、機能の詳細は後続の書き手にお任せします。

【小泉花陽のメガネ@ラブライブ!】
小泉花陽が1期にて、主にμ'sに加入する前にかけていたメガネ。
かけるとかよてぃんになれる気がする。

【岸谷新羅のメガネ@デュラララ!!】
岸谷新羅がアニメでかけているメガネ。
かけると一人称がころころと変わる気がする。

【越谷 卓のメガネ@のんのんびより】
越谷 卓がアニメでかけているメガネ。
かけると存在感が薄くなる気がする。

234 ◆RPDebfIIlA:2015/09/02(水) 07:09:05 ID:nFiPKWnI0
以上で仮投下を終了します

かなり急ぎで書いたのと、かなりネタ寄り(特に状態表)な内容になりましたので、
そちらの可否判断をよろしくお願いします
もし寒かったら修正した上で本投下したいと思います

235名無しさん:2015/09/02(水) 07:33:58 ID:ouYgfgso0
仮投下乙です
眼鏡かけ器@銀魂に笑った
個人的には問題ないと思います

236名無しさん:2015/09/02(水) 09:13:04 ID:A/I.37/g0
結局ランサーの顔を見たキャラは殺人を躊躇せず行う人格に改変されるということでいいの?

237 ◆zUZG30lVjY:2015/09/02(水) 09:41:49 ID:.uGvEJ4o0
>>236
その辺は議論スレの方で話す方がいいかと


◆DGGi/wycYoさんの投下があったのでこちらも仮投下します

238Libra ◆zUZG30lVjY:2015/09/02(水) 09:42:56 ID:.uGvEJ4o0
狩猟とは常に己の忍耐との戦いである。
時にはいつ来るとも分からない獲物を待ちぶせ、時には獲物の痕跡を探って広大な大地を彷徨う。
たとえ丸一日の労力が無駄に終わることになったとしても、次の日にも同じことを続けられる忍耐力。
それこそが狩猟に要求される最大の能力だ。
無人の市街地を駆け抜けながら、ランサーはあまりにも基本的な心得を思い返していた。

「(だが……これは狩猟よりもよほど厄介だな)」

思わず歯噛みせずにはいられなかった。
ランサーを狩猟者、セイバーを獲物と喩えるのは容易いが、この表現は的を射たものとは言い難い。
これが"狩猟"であるならば、特定の標的を執拗に追いかける必要はない。
追跡困難と判断した時点でその標的を諦め、別の狩り易い標的を探すべきであり、そのサイクルをいつまでも続けられることこそが狩猟に求められる忍耐である。
唯一無二の標的を追い続ける忍耐力は狩猟に求められるものではないのだ。

――思い出されるのはグラニアとの逃亡の日々。
怒りに燃えるフィン・マックールは、フィオナ騎士団の総勢のみならず盟約を結んだ外地の兵までも動員し二人を狩り立てた。
過剰とも言える兵力数は、しかし決して過ぎたものではない。
野に解き放たれた野兎一羽。
他のどの野兎でもなく、そのたった一羽を探し出し仕留めることがどれほど困難か分からぬ者はいないだろう。
現実的な手段で成し遂げようとするなら人海戦術で探し当てるより他にない。

翻って、現状はどうか。
総勢七十人――死亡者を加味しても六十人前後のうち、標的はセイバーただ一人。
それを追うもディルムッド・オディナただ一人。
もはや藁の山から一本の針を見つけ出すにも等しい難行だ。

「(……やはり手がかりが少なすぎる)」

ランサーが得ている手がかりは、学院から見て東の方角に光を見たというただ一点のみ。
その光が具体的にどこで発せられたのかすら定かではなかった。
故にランサーは、ひたすら東へ進みながら破壊の痕跡を探し続けることしかできないでいた。
それでも『不可能だ』と諦めきれないのは、偏に宝具の破壊力の凄まじさを知っているからに他ならない。
光輝の眩さと魔力の迸りから察するに、開放されたのは対軍、あるいはそれ以上の種別の宝具。
ならば地表や周辺構造物に少なからぬ被害がもたらされているはずである。
その痕跡さえ見つかれば有力な手がかりとなるはずだ。

ランサーは低層の建物を踏み台に跳躍を繰り返し、近隣で最も高い建物の屋上に降り立った。
ここなら広範囲を見渡すには充分な高さがある。おおよそエリア1つ分かそれ以上の範囲を見渡すことができるだろう。
夜間故の視認性の悪さも、サーヴァントの超常的な視力にとってはさほど問題にはならない。
――本来ならば濃霧が立ち上っていようと4km先を見通すことができるのだが、この戦場における弱体化は視覚にも及んでいるようだ。

川の河口、否、島々を分断する海峡の向こうに病院と思しき建築物が見える。
いかにも傷ついた者達が集まりそうな場所だ。
仮にランサーが無差別殺戮を試みるなら、真っ先に目をつけておく施設の一つだろう。
支給品というシステムが存在する以上、弱者を殺め装備を奪うことは戦力の拡充に直結する。
恥も外聞もかなぐり捨てて勝利を目指すのならという前提ではあるが、序盤の戦略としてこれ以上に有効なものはないはずだ。
あまり快くない想像を働かせながら、視線を手前の方に戻していく。
やがて、今まで見落としていたことが不思議なくらいの『違和感の塊』が目に止まった。

「(橋が――ない?)」

地図が正しければ現在位置と病院の間には橋が架けられているはずだ。
しかし、どんなに目を凝らしてもそれらしきものは見当たらない。

「……あそこか!」

ランサーは建物から飛び降り、橋があるべき場所へと一直線に駆け出した。
痕跡の在処さえ見つかれば牛歩に徹する必要はない。
最速のクラスの名に恥じぬ俊足で車道を走り抜け、瞬く間に郊外の岸壁まで辿り着く。
そこに広がっていたのは目を疑わずにはいられない光景だった。
橋梁の崩壊自体は想定の範囲内だが、破壊の痕跡が明らかに異質。
爆破による崩壊でも、橋脚の破壊による崩落でもなく、純然たる熱量で丸ごと焼き払らわれている。
一体どれほどの熱量を束ねればこんな芸当が出来るというのか。

239Libra ◆zUZG30lVjY:2015/09/02(水) 09:44:06 ID:.uGvEJ4o0
「…………」

動かぬ証拠が目の前にある。
しかしながら、ランサーは安易にその場を動こうとはしなかった。
焦りに任せて行動を起こすべきではない。戦士としての経験がそう告げていた。

確かに、この破壊が宝具によってもたらされた公算は高い。
だがそれは『セイバーの宝具によってもたらされた破壊』であることを保証しない。
ランサーは腰に提げた――すぐさま抜き放てるようカードには戻していない――キュプリオトの剣に手をかけた。
征服王イスカンダルの剣。それがここにある以上、名簿に名のないサーヴァントの武具も存在しうると考えるのが道理である。
そう、アーチャーの宝具もまた然り。
バーサーカーに放たれた無数の宝具の中に、真名解放によってこれほどの破壊をもたらす宝具があったとしても何の不思議もないのだ。

しかも問題はそれだけではない。
――仮に、橋を破壊したのがセイバーであると仮定しよう。
次に浮かぶ疑問は『何故』だ。
対軍宝具、あるいはそれを凌駕する対城宝具や対国宝具の真名解放ともなれば、魔力消費は極めて膨大なものとなる。
大量の魔力を何の意味もなく浪費するサーヴァントなどいるはずがない。
セイバーには橋を壊さなければならない理由があったはずなのだ。

「それも……橋を渡る前に」

破壊の痕跡を見る限り、宝具の真名解放がこちら側の岸で行われたことは確定的だ。
これから渡ろうとする橋を破壊したというのなら、それこそ相応の意味があったに違いない。

真っ先に思い浮かぶのは、不可抗力。
橋に陣取った強大な敵を倒すため止むを得ず橋を巻き込んだというパターンだ。
この場合は単純明快。敵の撃破と引き換えに橋は破壊され、セイバーは渡海を諦めた可能性が高い。
無論、舟などの渡海手段を確保した可能性もあるが。

次に可能性が高いのは生存者の封じ込めだ。
海峡を渡る手段が豊富に存在するとは考えにくく、常人が自力で泳ぐには過酷過ぎる。
つまり、3箇所の橋と1箇所の鉄道橋が破壊されてしまえば、この島にいる参加者の大部分は他の島に移動できなくなる。
こちらの仮説が正しければ、セイバーは未だにこの北西の島に残っているはずだ。

そして三番目、最も可能性の低い仮説。
三つの島を結ぶあらゆる交通手段を途絶させ、全ての参加者から移動の自由を剥奪する――

「……くっ」

宝具を用いた痕跡さえ見つければ手がかりになるとばかり思っていたが、いざ見つけてみると結果は真逆。
橋が落とされていたという事実が、ランサーに理不尽な選択を突きつけてきていた。
海を渡ったと判断して渡海を試みるべきか。
未だこの島にいると判断して引き返すべきか。
前者は、単なる移動の一環として渡った場合と、諸島全体を巻き込む計略が発動された場合に分かれる。
後者は、島を移ることを諦めた場合と、この島に狙いを絞った封じ込め戦略を取った場合に分かれる。

全体の被害を考慮するなら『島を渡った』と判断するべきだ。
しかし、この島には見知った者達がいる。高坂穂乃果がいる。宇治松千夜がいる。無力な少女達がいる。
もしもセイバーがこの島に残っていたとしたら、彼女達が凶刃に斃れることも覚悟しなければならない。
無様な槍兵が見当違いの方角を彷徨い歩いているうちに――

今、ランサーの前には天秤がある。
片方の腕には、他の2つの島に送り込まれた顔も知らぬ多数の命。
もう片方の腕には、己の呪いが心惑わせた少女を含む少数の命。
選んだ側が『当たり』ならば両方が危機から逃れられる。
選んだ側が『外れ』ならば選ばれなかった側が危機に陥る。
あまりにも不自由な二択。それでもどちらかを選ばなければならない。
ランサーは苦悶を飲み込み、強く瞼を閉じた。

「……すまない」

240Libra ◆zUZG30lVjY:2015/09/02(水) 09:45:16 ID:.uGvEJ4o0
 


    □  □  □



結論を言おう。
ランサーは『少数』を選んだ。

正しき天秤の守り手たらんとするならば、迷うことなく『多数』を選ぶべきである。
しかし、ランサーはそのように振る舞うことを良しとできなかった。
親しき者も見知らぬ者も強き者も弱き者も『1』と数え、純然たる数量の多寡で生死を切り分けるなど、到底許容することができなかったのだ。
そんなものは人間の考えではない。正しくあり続ける機械装置の在り方だ。
もしも人間がこのような思考回路で動こうとするなら、人間らしい感情を捨て去るか、或いは人間らしい感情を際限なく痛めつけ続けるより他にない。
故にランサーは海峡を前に踵を返した。
騎士として、サーヴァントとしての判断ではなく、心あるヒトとしての、ディルムッド・オディナとしての決断だった。







【A-3/市街地/一日目・早朝】
【ランサー@Fate/Zero】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:キュプリオトの剣@Fate/zero、村麻紗@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0〜2枚
[思考・行動]
基本方針:『ディルムッド・オディナ』としてこの戦いを戦い抜く。
1:まずは北西の島からセイバーを探す。
2:穂乃果、千夜に「愛の黒子」の呪いがかかったことに罪悪感。
3:セイバーは信用できない。そのマスターは……?
[備考]
※参戦時期はアインツベルン城でセイバーと共にキャスターと戦った後。
※「愛の黒子」は異性を魅了する常時発動型の魔術です。魔術的素養がなければ抵抗できません。
※村麻紗の呪いにかかるかどうかは不明です。

241Libra ◆zUZG30lVjY:2015/09/02(水) 09:46:13 ID:.uGvEJ4o0
仮投下終了です
先の話の修正がどうなっても大丈夫なように、比較的ニュートラルな立ち位置からの考察回ということで

242 ◆zUZG30lVjY:2015/09/02(水) 09:52:39 ID:.uGvEJ4o0
指摘される前に一つ

>総勢七十人――死亡者を加味しても六十人前後のうち、標的はセイバーただ一人。
この六十人前後というのは、だいたいこれくらいだろうというランサー視点での当て推量です

243 ◆0safjpqWKw:2015/09/07(月) 10:21:05 ID:6UIwZmhU0
少し不安な点があるのでこちらに投下します

244フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ ◆0safjpqWKw:2015/09/07(月) 10:22:33 ID:6UIwZmhU0

駅に向かって走り続けるランサーは、ふと立ち止まった。
広い三叉路。左に行けば駅に続き、右に行けば最初の目的地だった音ノ木坂学院がある。
右手の道の先、夜であれば見逃してしまいそうな黒い影。
朝日に照らされ始めた今では、それが人の身体――遺体だとはっきり認識できる。

「……あれが、セイバーと戦って敗れたという、トウシロウか」

遺体の傍らに立ったディルムッドは目を伏せる。
侍は全身に傷を負っていた。一つとして、軽傷と呼べるものはない。
どれもが致命の一撃。命を刈り取ることを目的として放たれた、「殺す」ための剣ばかりだ。
特に、腹部への突きと胴部に走る袈裟切りの一撃が深い。真正面から渾身の力で斬り伏せられたことが容易に想像できる。
思わず簡単しそうなほど見事な切り口。しかしディルムッドの表情は暗い。
ディルムッドの見立てでは、この男は腹部か胴部、どちらかの一撃でほぼ間違いなく力尽きたのだろう。
だが下手人――セイバーはそれだけでは飽き足らず、駄目押しの一撃を加えた。
放っておいても絶命する男に、辞世の句を残すことすら許さず、無慈悲なまでの死を叩きつけた――あの、正しき騎士たらんと揺るがぬ誇りを掲げていたはずのセイバーが。

「モトべの言う通り……お前は、騎士道を捨てたのだな。俺などよりも遥かに……苛烈に、徹底的に」

騎士王と交わした剣を思い出す。
胸踊り血が沸き立つ、騎士の誇りを賭けたあの決闘を。
ディルムッドが生前経験したどんな戦いにも勝るとも劣らない、清澄かつ純粋なあの剣劇を。
初戦はディルムッドが優勢だったものの、まだ決着はついていない。
片腕の自由を奪われてもなお衰えぬあの闘志に、ディルムッドは身震いするほどの敬意と歓喜を掻き立てられた。
騎士王の名に恥じぬ、煌めく星々にも勝る気高さ。
相手にとって不足なし、どころではない。かの王を剣で打ち倒すことこそ、騎士たる者が心震わし挑む大いなる試練――!

「……なるほど、これが甘さか。確かにこんなものを抱えていては、今のセイバーには及ばんな……」

それら全てを――セイバーは、打ち捨てている。
自らを縛る鎖を斬り裂き、身を軽くして、ひたすら前へと突き進んでいる。
今一度覚悟を新たにし、ディルムッドは刀を抜く。
キュプリオトの剣ではなく、本部から預かった村麻紗を――眼前に伏す、一人の侍の魂を。

245フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ ◆0safjpqWKw:2015/09/07(月) 10:22:58 ID:6UIwZmhU0

「トウシロウ、東洋の侍よ。埋葬してやりたいところだが、今は時間がない。
 だが、お前の意志は俺が継ぐ。お前が騎士王と打ち合ったこの刀に誓おう。
 騎士王は必ずや俺が討ち果たす。お前が遺した、この刀でな」

ディルムッドは刀を納め、土方十四郎の亡骸を抱えて跳躍した。行き先は、ほど近くにある音ノ木坂学院。
先を急ぐ身ではあれど、ディルムッドは土方の遺体をあのまま野晒しにしておくことはできなかった。
日が昇れば急速に腐敗が始まる。せめて日の当たらぬところで眠らせてやりたい。
場所の検討も付いている。先ほど穂乃果に案内された際、最後に見た場所、アルパカの小屋だ。
ディルムッドの足ならば、寄り道しても一分とかからない。
あのときは本部が立っていたためじっくりとは見聞していないが、本来の主であるアルパカがいないことはわかっている。
決闘の場から一跳びで小屋の前に到着し、中に土方の遺体を横たえようとして――

「……むっ!?」

突如、ディルムッドの足元が光を放った。
警戒し、瞬時に小屋を出ようとしたディルムッドだがその背中が硬いものに突き当たる。
視線を巡らせれても、そこに壁などない。
あったのは光の帯。小屋の中心から放射線状に広がった青い光が、ディルムッドの退出を防いでいる。
そして光は徐々に勢いを増し、やがて目も眩むほどの光になって――!





「……なん、だと……?」

光が収まった時、ディルムッドの見る景色は一変していた。
狭いアルパカ小屋ではない。
木造の建物。その教室の一つ。


「ば、バカな……ここは音ノ木坂学院ではないぞ。どこだ、ここは!?」

土方の遺体を横たえ、ディルムッドは地図を開き、現在地を確認する。
F-4。旭ヶ丘分校。ディルムッドと土方十四郎の遺体は、音ノ木坂学院から遠く離れた南の島に転移していた。

246フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ ◆0safjpqWKw:2015/09/07(月) 10:23:27 ID:6UIwZmhU0

「何故だ、何故……!」

そのとき、ディルムッドの腕輪からすとんと一枚のカードが落ちる。それは黒カードではなく、IDカード。
キャスターに破壊された「ファバロの剣」と同じく、ディルムッドに支給された黒カードの変化した物体。
その効果は、特定施設のアンロック。
殺し合いの会場となる西の島、東の島、南の島は橋と電車によって繋がっているが、地続きではない。
橋と線路が全て破壊された場合、水面を渡る手段を持たない者は島に閉じ込められてしまう。
無論、そこまでの事態はそうそう起こるものではないが、かといって確実に起こらないとも断言できない。
そうなった場合のフェイルセーフ。
それが、三つの島に一つずつ存在する学び舎――音ノ木坂学院、旭ヶ丘分校、本能字学園――を繋ぐ、ワープ装置であった。
本来、このワープ装置は殺し合いが始まってからリミットの半分、つまり36時間で自動的に開放されるものだった。
が、ディルムッドの持っていたIDカードはそのタイマーをパスし、装置を使用可能にするカードキーだったのだ。
ディルムッドは殺し合いが始まってすぐキャスターの気配を察知したため、己のカードで最初に出てきた剣を掴むやいなや行動を開始した。そのため、残るカードを確認できていなかった。
穂乃果と合流した後も、愛の黒子の呪いにかかった穂乃果をケアすることで忙しく、また征服王の剣という獲物も手の中にあったため確認を怠っていた。
そして知らぬままアルパカの小屋というワープ装置のある施設に踏み入ったため、IDカードを認証した装置が自動で起動し、ここに転移させたのだった。

「装置は一度起動すると……バカな! 六時間は再使用不可だと……!」

黒カードに戻したIDカードから効果詳細が浮かび上がり、ディルムッドは絶句する。
一度起動した装置は再使用が可能になるまで六時間かかる。
つまり西の島の装置は停止しているため、ここから東の島に行くことはできるが、すぐに西の島へ舞い戻ることは不可能なのである。

「ここから走って駅まで、どれだけ時間がかかる……!」

本来であれば、ワープ装置は重要な移動手段となっただろう。
だが先を急ぐ槍兵には、これ以上ないほどの不幸となってその背中を刺したのだった。

「どうすればいい、どうすれば……!?」

ディルムッドの――ランサーの問いに答える者は、誰もいない。
日が差し暖かくなり始めた学校で、土方十四郎の亡骸だけが冷たい汗を流すランサーの慟哭を聞いていた。

247フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ ◆0safjpqWKw:2015/09/07(月) 10:24:11 ID:6UIwZmhU0

【F-4/旭ヶ丘分校教室/一日目・早朝】

【ランサー@Fate/Zero】
[状態]:ダメージ(小)、焦り
[装備]:キュプリオトの剣@Fate/zero、村麻紗@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:IDカード
[思考・行動]
基本方針:『ディルムッド・オディナ』としてこの戦いを戦い抜く。
1:可及的速やかにB-2の駅に戻る。
2:穂乃果達から離れたことに対しての後悔。
3:状況が許す限り、セイバーの追討を優先。場合によっては鉄道も活用する。
4:穂乃果、千夜に「愛の黒子」の呪いがかかったことに罪悪感。
[備考]
※参戦時期はアインツベルン城でセイバーと共にキャスターと戦った後。
※「愛の黒子」は異性を魅了する常時発動型の魔術です。魔術的素養がなければ抵抗できません。
※村麻紗の呪いにかかるかどうかは不明です。
※A-4の橋の消滅を確認しました。
※セイバーの行先に関しては、向こう岸へ渡った場合とこちら側に残った場合の両方を考慮しています。


・支給品説明
「IDカード@アニロワ4オリジナル」
音ノ木坂学院、旭ヶ丘分校、本能字学園を結ぶワープ装置の認証キー。
ワープ装置は本来ゲーム開始から36時間経たなければ開放されないが、このIDカードを持つ人物だけはそのセキュリティを回避して装置を使用できる。

・施設説明
「ワープ装置」
音ノ木坂学院、旭ヶ丘分校、本能字学園にそれぞれ設置されたワープ装置。
橋、電車が不通になった時のための安全装置のため、ゲーム開始から36時間経たなければ開放されない。
ただしIDカードを持つ者であればセキュリティを回避できる。
また、一度使用すると送信側(つまり使用者が最初にいる場所)の装置は六時間システムダウンし、受信も送信もできなくなる。
音ノ木坂学院のワープ装置はアルパカの小屋、旭ヶ丘分校のワープ装置はれんげたちの教室。
本能字学園のワープ装置については後続の書き手にお任せします。

248フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ ◆0safjpqWKw:2015/09/07(月) 10:25:33 ID:6UIwZmhU0
投下終了です。
使用できる人物に制限があるとはいえ、この段階で場所を瞬時に移動できる施設がありかどうかご意見をお願いします。

249名無しさん:2015/09/07(月) 13:02:28 ID:ehzT4OPs0
ワープについては意見が分かれると思いますが、自分は大丈夫だと思います

ワープの転送先については、指定は出来ず、どちらかの施設にランダムで飛ばされるという解釈でよいのでしょうか?

250名無しさん:2015/09/07(月) 14:49:37 ID:nm9I7SEo0
仮投下乙です
特に問題ないかと思います

251名無しさん:2015/09/07(月) 16:07:40 ID:nm9I7SEo0
同じく問題は無いかと

252名無しさん:2015/09/07(月) 16:59:21 ID:ctrPHXNE0
土方の死体は音ノ木坂学院と公園の間で、A-2の右端付近
ランサーはA-4の橋からB-2の駅までまっすぐ戻る途中で、現在位置はB-3

これでたまたま死体を見かけるって、位置関係はどうなっているんだろう

253名無しさん:2015/09/07(月) 19:29:41 ID:6gK5PH3M0
市街地のB-3からB-2にかけて移動している時に、たまたま死体との間に遮るような建物がなく、鯖の視力で目に留まった…って可能性もあるが
それにしたって地図の縮尺がかなり縮まってる感じはある
千夜も夜中で見つかりにくかったとはいえ、かなりの距離を走ってB-2まで逃げ切ったような描写だったし

254名無しさん:2015/09/07(月) 19:35:31 ID:8KDNpeds0
ワープ装置の仕様については特に目立った問題は無いと思います

ただ強いて言うなら、前話までに決められていたキャラの進行方向を一話で変える
ワープ装置の唐突な登場という事実は、正直なところ少しだけ引っ掛かりました
とは言え単なる気持ちの問題といえばそれまでなので、何も無いなら自分も強く主張しません

255名無しさん:2015/09/07(月) 20:05:18 ID:ctrPHXNE0
>>253
>広い三叉路。左に行けば駅に続き、右に行けば最初の目的地だった音ノ木坂学院がある。
>右手の道の先、夜であれば見逃してしまいそうな黒い影。
この表現で位置関係が更にカオスってる気がする

256名無しさん:2015/09/07(月) 20:18:50 ID:ctrPHXNE0
ttp://s1.gazo.cc/up/151962.jpg

図示すると、こう
これ作ってて気付いたけど、ひょっとして修正版の状態表じゃなくて、
Wikiに載ってるバージョンの現在位置地図を見て話を考えたのかな

257名無しさん:2015/09/07(月) 20:25:20 ID:WBGBiakM0
その図以外のパターンはいくらでもあるぞ
そんな難癖じみた指摘するぐらいなら素直に「気に入らないから破棄しろ」って言えば?

258名無しさん:2015/09/07(月) 20:28:45 ID:YnBujQqg0
そのいくらでもあるパターンを示さないと議論を引っ掻き回そうとする荒らしにしか見えんぞ

259名無しさん:2015/09/07(月) 20:32:43 ID:WBGBiakM0
>>258
例えば>>256の図で言うと赤のライン上に三叉路があったと考えればなんの問題もない

260名無しさん:2015/09/07(月) 20:33:54 ID:ctrPHXNE0
>>259
それ三叉路じゃなくて丁字路じゃね

261名無しさん:2015/09/07(月) 20:35:46 ID:WBGBiakM0
>>260
「三叉路があったら」って話だけど

262名無しさん:2015/09/07(月) 20:37:58 ID:ctrPHXNE0
いやまぁ丁字路も三叉路の一種といえばそうなんだが、
上の図みたいに死体が移動ルートの近くにあるならともかく、
駅までの距離と大して変わらないのに寄り道するのはそれはそれでおかしくなる
お前、自分が不在の間に何か起こるの不安がってたじゃねーか、と

263名無しさん:2015/09/07(月) 20:39:51 ID:3STuUG2c0
出先で地図見れないから的外れだと申しわけこの議論もないけど、赤ラインがエリア区分なら死体の置いてあるエリア次第なんじゃないの?

264名無しさん:2015/09/07(月) 20:45:04 ID:WBGBiakM0
>>262
1分掛からないって書いてあるし別に何とも思わないけど

というかこの程度で一々修正要求されてたらやってられん

265名無しさん:2015/09/07(月) 20:46:09 ID:QMM6D7fY0
そもそも市街地なんだから常識的に考えたらまっすぐ移動するんじゃなくてある程度道沿いに動いてるんじゃないですかね
どうも自分の考えたルートしかあり得ないと思ってるぽいけど

266名無しさん:2015/09/07(月) 20:47:45 ID:YnBujQqg0
ランサーの思考に関しては、元々支離滅裂なキャラとして描かれているから多少の不自然な行動はアリだと思う

267名無しさん:2015/09/07(月) 20:48:04 ID:XeIYninU0
それはそうと、アルパカ小屋ってなんか臭いそう
もっといい場所がなかったのかというか、駅に連れて行ってやれなかったのかというか

268名無しさん:2015/09/07(月) 20:52:02 ID:6gK5PH3M0
エリア1マスの距離とか言い出したらきりがないけど、
鯖の身体能力とはいえA-2の端っこからA-2の中央ぐらいにある学園まで行って死体置いてくる寄り道に一分とかからないっていうのもちょっと苦しくないか

269名無しさん:2015/09/07(月) 20:58:02 ID:XeIYninU0
>>263
死体があるのはA-2で現在位置はB-3、目的地はB-2

>>265
初登場話でも跳びまくってるし、急いでるなら建物とか踏み越えてまっすぐ移動するんじゃないかな

270名無しさん:2015/09/07(月) 21:23:08 ID:XeIYninU0
仮投下の本題の方に反応するの忘れてた
ワープ装置については>>254の下の段と同じかな
個人的には最初の放送の前に出す類の追加施設じゃないと思った

>「ここから走って駅まで、どれだけ時間がかかる……!」
市街地エリアの半分を1分足らずで踏破できるならだいたい8分です

271名無しさん:2015/09/07(月) 22:03:43 ID:UEsDYb8I0
全速を維持できる訳じゃないし、市街地でもないから変わってくるでしょ
そもそもロワで移動時間をそこまで細かく分析するのはタブーな気が……

272名無しさん:2015/09/07(月) 22:22:28 ID:XeIYninU0
>>271
>全速を維持できる訳じゃないし、市街地でもないから変わってくるでしょ
市街地は建物跳び越えたり回り道する必要があるからなぁ
それに移動スピードが半分でも15分前後だし、線路に着けば線路沿いを障害物ゼロで走れるし……

>そもそもロワで移動時間をそこまで細かく分析するのはタブーな気が……
リレーを挟んでいたり、位置関係や経過時間がハッキリしてなかったりするからだね
今回みたいに、それぞれの位置関係がある程度明確になっていて、同じ話の中でランドマーク間の移動時間が示されてると事情が違ってくる

一分かからないというのをボカしても、短時間で済むならその8倍程度の距離を走る時間で戻ってこれる勘定になるし、
戻ってくるのに凄く時間が掛かる距離とするなら、その8分の1もの距離を寄り道してる場合じゃないってことになる難しい状況だと思った

273名無しさん:2015/09/07(月) 22:30:13 ID:UEsDYb8I0
>>272
だからそこの辺り突っ込んだら厄介だから書き手側が空気読むしかないってこと

274名無しさん:2015/09/07(月) 22:30:35 ID:nm9I7SEo0
>>272
勘違いしていそうなので一応言っておくとすべての書き手があなたの個人的な違和感の修正に付き合わないといけないわけではないので

正直ワープ装置に関しても移動にしても「個人的に気になる」の域を超えていないと思うので本投下でいいかと

275名無しさん:2015/09/07(月) 22:37:34 ID:iqX..4js0
勘違いしているのはそっちでは?
現段階でワープ装置があるかどうかについての意見、つまりは個人の意見を募っているわけですから
それを無視して本投下でいいなんて、何のために仮投下されたのか理解できてないとしか

276名無しさん:2015/09/07(月) 22:39:35 ID:Bfl1xB8.0
本投下されるならだけど、装置の解禁時間はもう少し早くても良いと思った
36時間だと第六回放送までかかる事になるし、そんな時間まで殺し合いが続くけ分からないし
24時間とか12時間でも良いと思う

277名無しさん:2015/09/07(月) 22:40:08 ID:iqX..4js0
それと自分も、ワープ装置は時期尚早かなと思います

278名無しさん:2015/09/07(月) 22:44:27 ID:jJPmxI..0
ワープ装置そのものは良いかと。
左上の橋が壊されたのは痛いので、解禁時間さえもうちょい速くしてくれるならとても助かります

279名無しさん:2015/09/07(月) 22:48:41 ID:nm9I7SEo0
確かに解禁はもう少し早くてもいいかもしれませんね
これに関しても個人的な意見の域を出ないので氏の意思を尊重しますが
全員が納得しなければ本投下できないなんてルールもありませんしその部分さえ終われば投下でいいかと

280名無しさん:2015/09/07(月) 22:54:01 ID:XeIYninU0
>>273
流石に同じ話の中だったらどのロワでも突っ込まれると思うよ

>>274
修正に付き合わないといけないわけではないけど、
このままなら次の話の冒頭で普通に駅にいてもおかしくないよね、って話

>>276
>左上の橋が壊されたのは痛いので
その観点で言うと6時間使えないというのも厳しそう

281名無しさん:2015/09/07(月) 22:58:27 ID:8KDNpeds0
一応自分の意見だけ付け加えておくと、自分は正確には「今回の話でワープ装置が実際に使用される」のが引っ掛かった
これまでの話の流れからしてちょっとご都合が過ぎないか?というのが疑問だったので、だからこそ強くは言わない感じ

282名無しさん:2015/09/07(月) 23:11:23 ID:6gK5PH3M0
そもそも市街地なら、日差しによる腐敗を避けられる建物くらい学校に行かなくてもありそうだしな

283名無しさん:2015/09/07(月) 23:34:17 ID:nm9I7SEo0
>>282
それ言い始めたら何も進まないんじゃ…

284名無しさん:2015/09/07(月) 23:44:22 ID:XeIYninU0
その施設じゃなきゃダメっていう理由ならまだしも、アルパカ小屋で事足りる用件だし…
これが銀魂本編なら土方の幽霊が怒涛の勢いでツッコんでるボケシーンだよ

285名無しさん:2015/09/08(火) 00:00:10 ID:N9iUFcIM0
移動距離にしろアルパカ小屋にしろ決定的な矛盾のない、「個人的には嫌」という程度の問題に過ぎないな
賛同する意見もある以上書き手がこれでいいと判断すれば本投下で問題ない

286名無しさん:2015/09/08(火) 00:05:14 ID:VVcf26eA0
その通り
嫌なら書き手になって自分の好きな展開を書こう

287名無しさん:2015/09/08(火) 00:05:51 ID:SaqPzFWM0
こうやってゴリ推した結果が後になって火を吹いて、この間みたいなトラブルの元になるわけだ

288名無しさん:2015/09/08(火) 00:07:04 ID:PJb8Vl6s0
ありゃどっちかってーと1人の書き手がゴネただけだろ

289名無しさん:2015/09/08(火) 00:12:03 ID:lo7bUBCU0
それだけじゃ遡っての修正議論にまでは至らんよ

290名無しさん:2015/09/08(火) 20:34:14 ID:QZWwOrVU0
意見出尽くしたっぽいし、あとは書き手待ちかな

291フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ ◆0safjpqWKw:2015/09/09(水) 16:12:29 ID:HkdlK3lY0
反応が遅れて申し訳ありません。
装置の是非について、尚早という意見もある一方、あれば助かるという声もありましたのでこのまま本投下したいと思います。
ただ解禁時間が長すぎるという点は「36時間→12時間」に修正します。
様々なご意見をありがとうございました。

292名無しさん:2015/09/09(水) 20:44:57 ID:jipv8DkE0
お疲れ様です。
本投下お待ちしています

293 ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:00:29 ID:eQQbHSfc0
駅組、投下します
色々と議論になったパートでもありますので、一度仮投下させていただきます

294低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:02:14 ID:eQQbHSfc0
それは、本部以蔵という名前の小汚いおじさんに、高坂穂乃果が倒されていた間のこと。
短い棒きれみたいなものを、額に思いっきりぶつけられて。
頭がぐわんぐわんして、ばったりと倒れて。
なんとか起き上がらなきゃ、ランサーさんを助けなきゃと暗闇の中でじたばたして。

そんな時に見えた、悪夢のような、妄想のような。
結局のところは、ただの夢だったのだけれど。
ある意味では、夢じゃなかった。

暗闇に包まれたアルパカ小屋の近くで、本部以蔵がランサーに挑発らしき言葉を投げている。
殺すつもりかもしれない。
そう危惧したのは、初対面の時に感じたぞっとするほどの殺意あるプレッシャーだった。
今またあの男は、同じだけの恐ろしい気迫でランサーに戦いを迫っている。どんな目に遭わされるか、分かったものじゃない。
立ち上がれ、高坂穂乃果。あなたがランサーさんを守らないで、誰が守るんだ。
念を込めて身を起こし、ヘルメットを振りかざす。
ランサーさんは、絶対に殺させない。
声を張り上げてそう叫ぼうとした。

その時、よく知っている声がした。

『だめだよ。穂乃果ちゃん』

ぐい、と。
ひどく冷たくて柔らかい手に、足首を掴まれた。

「ことりちゃん……っ!?」

早く会いたかったはずの幼なじみは、能面のように冷たい顔をしていた。
ずるりずるりと、地面の下からでも現れるように、幾本もの手が――音乃木坂学園の、青い制服の袖から伸びる手が、絡みついてくる。

「なんで!? ランサーさんが危ないんだよ!
どうしてことりちゃんたちが邪魔するの!? 私が止めなきゃ――」
『止めなくていいよ。だって、穂乃果ちゃんがおかしくなったの、あの人のせいなんでしょ?』
『そうやね。あんな男のために命を賭けるなんておかしいわ。穂乃果ちゃんは大事なμ'sのリーダーなんやから』
『9人全員でもう一度ラブライブに出るって決めたじゃない。
なのに、あんたはあの男ばっかり。にこ達のことなんて思い出さなくなってる』
『千夜って子に嫉妬して、醜い顔をしたのも知ってるわよ?
もし、あれが私や希だったとしても、穂乃果はあんな嫌な顔をしたんでしょう?』

こんな時に何を言ってるの。
そう言い返して、地面と足を縫い付けるその四人をはずそうともがいた。
目の前では、ランサーを殺そうとする本部が、神速の攻防を繰り広げている。
早く、あれを止めないといけないのに。皆はどうして、私が好きになった人に死ねなんて言うの。
そう主張しようとして、穂乃香はやっと気が付いた。

295低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:04:02 ID:eQQbHSfc0
ことりたち4人の身体には、下半身がなかった。
皆、小さな白いカードから体が生えていて、悪霊のように穂乃果の身体を絡めとっていた。

「ひっ――」
『あんたが私たちのことを忘れて男とよろしくやってた間に、可愛いにっこにーの体がこんなになっちゃったわよ。あんたのせいよ』
『ランサーさんが心配だから、止められたのに学園まで付いてきたんだよね。
私たちだって学園に向かってるかもしれないのに、私たちのことは心配してくれなかったんだね』
『知っとるよ。あの人が学校に向かおうとした時も、μ'sのことはいいから自分のそばにいて、って思ったんやね。
”穂乃果ちゃんは恋に目覚めたからμ'sの仲間を見捨てる”。そう占いに出てたんやもの』
『穂乃果は一度にたくさんのことを追えるほど器用じゃないって、自分でも分かってるでしょ?
それなのにあなたときたら……私、生徒会長をあなたに任せたのは失敗だったわ』
『楽しそうに学校デートして、歌まで歌っちゃってさ。その間に、私たちがどんな目に遭ったか考えてもみなかったの?』
「違う! 違う違う、違うの!」

『何が違うの』と。
四人が口をそろえて、冷徹な恨みをこめて穂乃果を責める。

ランサーと一緒にいることに夢中で、μ'sのことを忘れたりなんてしない。
そんなことあるわけないと反論しようとしたのに、できなかった。
だって皆が言ったことは、およそ当たっていたのだから。
高坂穂乃果はμ'sのリーダーなのに、ランサーと一緒にいられるだけで浮かれきっていたから。
足元から背中へと這い上がってきたことりが、追い打ちとなる言葉を囁いた。

『前にも穂乃果ちゃんはこういうことがあったよね。
ラブライブに出ることに夢中になって、周りのことを全然見てくれなくて。
自分が満足するためだけに無理な練習をやらせて、結局自分が真っ先に倒れて。
それでラブライブに出られないって皆をがっかりさせて、私には悩みがあったのに、全然相談に乗ってくれなかった。
あの時と同じように、穂乃果ちゃんは皆を傷つける。μ'sのぜんぶを壊そうとしてるよ』

その言葉が、背後からぐさりと、穂乃果の心臓を貫いた。
違わない。
だってカードにされた皆を見せられても、呪いの言葉を聞かされても、目の前でランサーが無数の麻雀牌に穿たれていくのを見ていれば胸を掻き毟られるのだから。
ランサーが、死んでしまう。
穂乃果が守れなかったせいで、死んでしまう。
どうしてだか分からないけど、とてもドキドキして、幸せな気持ちにさせてくれる人が、消えてしまう。
そう、どうしてだか分からないけど、いつからこうなったのかも知らないけれど、この気持ちは本物に間違いないはずで。

『うちにとって、μ'sは奇跡……でも、穂乃果ちゃんにとっては、その程度だったんやね』
『私、本当に穂乃果が羨ましいわ……素直に、思っている気持ちを行動にうつせて……だからこそ、私たちを捨てられるのね』
『そんなことで、あたし達のことを忘れちゃうの? やっぱり、あんたの『好き』っていい加減なものだったのね』
『穂乃果ちゃん、最低だよ。自分が舞い上がってばっかりで、私の話を聞いてくれない、そんなのあの時と同じだよ』
「やめて! こんな……こんなの、いつもの皆じゃない! 皆はそんなのじゃない!
皆は……μ'sはもっと自分のやりたいようにして、自由で! 好きなことができて!
だれかを強制したり見捨てたりなんてしない! こんな……そんな顔した皆なんて知らないよ! こんなの偽物だ!!」

296低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:04:59 ID:eQQbHSfc0

本部以蔵が獣じみた獰猛な叫び声とともにランサーの身体を投げ飛ばし、容赦なく地面へと叩きつける。
ランサーの頭から鮮血が舞ったように見えて、穂乃果は絶叫した。

「いやだ!! 偽物なんていらない! 私とランサーさんに入ってこないでよ!
あのおじさんだって死んじゃえ! ランサーさんを殺す人なんか――」



――本部の日本刀がランサーの首へと振り下ろされ、黒髪に彩られた美貌が宙を高く飛んだ。



それは、結局のところただの夢であって。
目が覚めて数分もたてば、どんなストーリーだったのかさえ曖昧になる程度の悪夢だったし、友人の声だって幻聴だった。
けれど、そんな声を聴かせたのも、そんな声を図星であるように狼狽したのも、彼女の心が生み出したことだった。

そもそも高坂穂乃果に、ただの歌って踊れる女子高生に。
『殺しあいをしろと命じられた』
『抵抗すればカードにされて、二度と出られない』
『どこかで友達が化けものじみた人たちに襲われて殺されるかもしれない』
そんな極限の環境で『恋愛に夢中になって浮かれる』なんて、心の負担にならないはずがない。
自分の心を安定させるため、だれかと助け合っていくために恋愛をするならまだしも、ランサーへの恋心はそんなものではない。
穂乃果には『好きなことに邁進したせいで、周りの皆をないがしろにする』ことに酷いトラウマがあった。
そんな自分になることを恐れていた時から、殺し合いに呼ばれた。
誰よりも出場したかった念願の第二回ラブライブにさえ『あの時と同じことになるかもしれない』という理由だけで出場を断念しようとしたほどに、気にしていた。

だから、異性に魅力を感じたとしても、そこには必ず『でも、それだけに夢中になって、人に迷惑をかけるなんてだめだ』という、躊躇だとか戒めが働く。
本来の、この時の彼女なら、そうなっていた。

しかしその感情は、愛の黒子によって植えつけられた恋情だった。
もちろん、その黒子と魔貌に、人の心を洗脳してしまう効果などありはしない。
恋心を喚起するという意味では感情を操っているのと大差ないけれど、それもあくまで『恋愛感情を抱く』という一点に限ったことだ。
しかし、それでも、その効能にはある種の強制力があった。
『愛の黒子』によって生まれる好意だったからこそ、穂乃果の好意は『負の感情』にはなりえない。

もちろん、相手を恋しく思うあまりに嫉妬の感情が芽生えたり、恋しい相手が離れていくことによって不安や焦りを覚えたりするように、
『恋愛感情を抱いた結果』としての負の感情が生まれることはある。誰にとっても。
しかし、『恋愛感情そのもの』をストレスとして認識することはできなかった。
英霊が生前に残した伝承の再現とはいっても、つまるところは魔力によって発生する魅了の魔術の類に過ぎない。
そこに『ランサーさんに惹かれていくのが怖い』『ランサーさんに夢中になるのは疲れる』といった自制や躊躇が存在していれば、そもそも魅了の効果だって発揮されていない。
心にとって毒となるストレスだろうとも抗えずに酩酊し、心地よく感じられるからこそ魅了される。
それはもはや、冷水の中に浸かっていながら、そこが心地よい温水だと錯覚しているのに等しい。

297低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:06:31 ID:eQQbHSfc0
こうして、高坂穂乃果の感情は反転する。
冷たく感じられるものは温かくなり、温かかったものは冷たくなる。
ランサーを好きになっていくことへの躊躇や不安は、全て押し込められて、ランサーへの好意の下に圧迫される。
ランサーを好きになればなるほど『ほかの皆だって大事だ』と思う自制心も大きくなり、しかし後者のことを穂乃果は認識できない。認識するだけうっとうしいものとしか思えない。
結果として、『それら』を外側から突き付ける存在――彼女とランサーを引き離そうとする全てのものが、穂乃果にはひたすら煩わしくなっていく。
ひどく煩わしいものに、凶暴な感情が生まれていく。

(ランサーさんが、こんな小汚いおじさんに私を任せるわけがないよ)

まず本部の発言は考えるまでもなく嘘と判断。
このような『小汚い中年』にランサーともあろうものが、穂乃果を任せるはずがない。

そしてその場には、『薄情な女』――宇治松千夜もいた。
ランサーのことなど忘れたかのように、土方十四郎とかいう男の死について悔やんでいるようだった。
自分が足手まといになってしまったことを悔やむ、少女の姿。
それはまるで、ランサーが心配だと意気込んで学校まで同行しながら、何もできずに引き離されてしまった自分を見せつけられるかのようで。
それなのに、同じようにランサーの身にも何が起こったのか分からないのに、この少女はランサーについては何も心配していないように見えて。

(私は違う。私のランサーさんに対する思いは本物だもん)

穂乃果は、そう結論づけてしまった。
そして、『ランサーさんが死んだ』という思い込みの下に、その捻じれは殺意へと成長していくことになる。


◆  ◇  ◆  ◇  ◆


この駅にすべりこむ電車があるとしたら、間違いなく一両編成か二両編成だろう。
その駅は、それぐらいに小さかった。
とはいっても、山の中のド田舎の執着駅というよりは、そこに向かうための郊外の乗り換え駅といったおもむきだ。
駅のホームはかろうじて二つあるし、片方のホームには『立ち食い麺処 こんすけ』という看板のついた食事処も一応あった。
蒼井晶を除いた人間は、みんなそのホームの一つへと向かってしまった。
そちらの方角から、銃声が聞こえたからだ。

「ハァ、むさいおっさん達は幼女たちの安否が心配だしぃ、ホノホノは心ここにあらずでガン無視くれちゃったしぃ……と、ゆーわけでぇ、アキラは今のうちに脱ぎ脱ぎターイム」

まず様子を見に行ったのは、ラヴァレイと本部なる壮年男性の二人だった。
晶は足を捻挫していたのだから皆でぞろぞろと様子を見に行くわけにもいかなかったし、何より銃声の正体は、この場に新しく表れた危険人物のものかもしれない。
よって、中学生の晶と女子高生の高坂穂乃果なる少女、護衛としてカイザルの三人は、改札のあたりで待つようにと指示された。
しかし、高坂穂乃果はじっとしていられなかったらしい。
晶が捻挫した脚でゆっくりと階段を上って改札についた頃合いで、やっぱり心配だからと勝手にもホームへと走り去ってしまった。
穂乃果の独断専行に、カイザルだって困惑した。
そこで晶は、さも健気そうな演技をして、私は駅員室でじっとしているから穂乃果を追ってほしいと上手く言いくるめてカイザルを追い払った。

理由は単純。

298低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:07:32 ID:eQQbHSfc0
駅員の事務室なら、救急箱くらいはあるだろう。
誰かがそのことに気付いて『では改めて晶君の手当をしよう』とか言い出す前に、応急処置を完了させておきたかった。
同性の高坂穂乃果もいるとはいえ、捻挫の手当をするのはやはり慣れていそうな大人の仕事になる可能性が高い。

つまり、『3人の誰か』に靴下を脱がされて素足をベタベタと触られることになる。

カイザル→限りなくアウトに近いセーフだけど、やっぱりこんな時じゃなかったらアウト

ラヴァレイ→完全アウト

小汚いオッサン→論外

つまり、今この時間に自分で済ませるしかない。

「アキラ様のおみ足なんて、ウリスにしか触れねぇんだっつーの……良し」

幸いにも、移動中はずっと猫車で運ばれていたこともあるし、悪化する様子は無さそうだった。湿布を一枚貼っておけば足りるっぽいということで、処置はすぐ完了。

(最初の放送までに最低一人は殺しておきたかったんだけど、この人数だと厳しいかなぁ……)

きょろきょろと見回した室内は、事務室というよりは宿直室のようなおもむきだった。
寝泊りできそうな生活用品は色々と揃っているけれど、武器になりそうな道具は見当たらない。
流し台は存在したものの、戸を開けても包丁の類さえ見当たらなかった。
ブラウン管仕様の小型テレビでは、『吸血忍者カーミラ才蔵』とかいうくそダサい映画が流れている。
さっきもったいつけるような提供クレジットとCMが挟まれたから、おそらく『×曜ロードショー』のような形式だろう。

(だとしたら……ここでまとめて4人殺しっていうのは、いくらなんでもしんどいかも)

ここは自分よりもガタイの良いおっさんばかりが揃っているだけに、誰か一番御しやすい人間を上手く唆せれば良いのだけれど――

「一人きりにしてすまなかったね、アキラ君」

ぼんやりと今後のことを考えていると、鎧を着込んだ年長の方の騎士が帰ってきた。
後ろには暗い顔で、高坂穂乃果が付き従っている。

「さっきはごめんね。勝手に動いたりして……」
「いえいえ〜。いない間にアキラも手当バッチリできましたし、全然気にしてませんから〜」

内心ではかなりむかついていたけれど、まずは何が起こったのかの方に興味がある。

「それで、ラヴァさん達だけが戻ってきたってことはぁ……」
「ああ……ヴィヴィオという少女は、すでに殺されていた。胸のあたりに、穿たれたような致命傷があってね。
そして、チヤという少女はどこにも見当たらなかったよ」
「ええ〜っ。それじゃあ、チヤって女の子がヴィヴィオちゃんを殺して逃げたってことになっちゃいますよ〜?」

299低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:09:34 ID:eQQbHSfc0
驚きながらも、がっかりしたような安心したような拍子抜けを味わった。
少女を殺した殺人者が近くにいるのはぞっとしないけれど、どさくさにまぎれてアキラもウリスへの奉仕活動を実行するチャンスだったかもしれないのに。

「いや、まだそうと決まったわけではない。駅に進入した何者かに襲われた可能性もあるのだから。
いずれにせよ、遺体の安置も兼ねて本部殿とカイザル君が現場を検めているところだ。
二人が戻るまで、私が君たちの護衛と侵入者の見張りを努めよう」
「え〜っとぉ……じゃあ、電車に乗るのはしばらく後回しになっちゃうんですかぁ?
これから千夜っていう女の子探し? それとも、本部とかいうおじさんを連れて、皆で電車に乗ることになるのかなぁ?」
「いや、聞けばモトベ殿は殺し合いに乗った『キャスター』なる人物の討伐に向かうらしいし、詳しく話を聞かんことには判断ができないだろう。
それに、この場を離れたという『ランサー』なる戦士が、戻ってくる可能性もある。
東の方角で目撃された光を確認しにいったとのことだが、それが空振りに終わるやもしれないのでな」
「え? じゃあこの事件が解決しても、ランサーって人を待ってなきゃいけないんですかぁ?
その人も危ないことになってるかもしれないんですよぉ?」
「少なくとも、放送を聴けば無事かどうかは判断できるだろう。
もっともモトベ殿の話では、今のランサー君ならばそうそう死にはしないと自信がある様子だったがね」
「えっ……」

虚をつかれたような声を出したのは、晶ではなかった。

「どうしたんだね、ホノカ君」
「い、いいえっ。なんでもないです」

高坂穂乃果は呆けたような顔をして、しばらく口を半開きにしていた。


◆  ◇  ◆  ◇  ◆


ガサリガサリと、草をかきわけるような音がした。
街路樹のこんもりしたツツジの影に見を潜めていた宇治松千夜は、びくりと身をこわばらせた。
まず怖かったのは、駅にいた誰かが追いかけてきたのではないかということ。
次に怖かったのは、もし殺し合いにのった人だったらどうしようということ。

――人を何人も殺しておいて、自分が死ぬのは怖いの?

ヴィヴィオの声でそう問われたような気がして、逃げるべきという考えはたちまちに砕けた。
ツツジの樹の下をにゅっとくぐるように、それは思いのほかすぐに姿を現した。

300低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:10:18 ID:eQQbHSfc0

「クリス、ちゃん……」

地面に小さな足をつけず、浮いている。
ヴィヴィオが連れていた、空を飛ぶうさぎのぬいぐるみだった。
どういうわけか、その手には自身が収納されていた黒いカードを持っている。
その小さな黒い目と縫い付けられたバツ印のような口に、表情が宿ることはない。
その顔は怒っても、眉をつりあげたり鬼のような顔をしたりしない。
しかしその無表情こそ、千夜にとってはヴィヴィオの受けた苦しみを代弁する存在でしかなかった。

「い、いやっ。近づかないでっ……だめなの。今の私に近づくのも、近づかれるのもダメなのっ!」

座り込んだまま、それを正視できずにかぶりを振る。
クリスの方も、顔には出ないけれど確かに怒りの感情はあったらしい。
拒絶の言葉もおかまいなしに、千夜にその小さな体をぶつけて、ぽかぽかと殴りつけるような動きをした。
その小さく柔らかな拳を、まるで鋭い豪雨に打たれるように感じながらも、
ウサギが怖いなんて、まるでシャロちゃんみたいだと余計なことが頭をよぎった。
そうしたら、思い出してしまった。

――ウサギ。

――ラビットハウス
――甘兎庵
――ティッピー、あんこ、野良ウサギたち

ウサギは、彼女たちの日常に欠かせない存在だった。
まるで大仏のある町の鹿みたいに、町のどこに行ってもウサギたちが風景に溶け込んでいる町だった。
友達の喫茶店や千夜の甘味処でも、店員の一人であり家族の一員として、マスコットウサギがいた。

その『日常』を、裏切ってしまったのだと理解した。

「ごめ、なさい……」

ヴィヴィオを無言で責めていたクリスは、その言葉に動きを止めた。
彼(?)からすれば、大切な主にとどめを刺した(ようにしか見えなかった)人間が逃げたから、とっさに後を追った。その程度の理解でしかなかった。

301低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:11:39 ID:eQQbHSfc0

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

目をとじて、カードも地面にすべて取り落として、血を吐くような謝罪の言葉を繰り返している。
デバイスに『頭に血がのぼる』という状態があるのかはわからないが、ともかくクリスは似たような状態からだんだんと冷めていった。
これが人間だったならば、胸ぐらをつかんで殴りつけようとした人間が、殴る前に勝手にぶっ倒れてしまったような心境なのだろうか。

ヴィヴィオを撃った時は、とっさに防御(セイクリッド・ディフェンダー)を発動させられなかった己を責めた。
千夜が走り出した時は、まだヴィヴィオの遺体にしがみつき揺さぶっていた。
しかし、千夜もヴィヴィオの敵なのかと判断していた。だから逃げ出したことに気づくや、その飛行能力で高所からの視界を利用して追いかけた。
しかし、冷静になってみれば、ここまで謝意に沈んでいる少女に本当に殺意があったのかどうか疑わしく見えてくるし、そもそも原因を作ったのは間違いなくヴィヴィオに毒を盛った存在――おそらくは高坂穂乃果なのだろう。
その彼女とヴィヴィオの遺体は、いまだ駅にいる。

むしろ、とクリスの自律思考は判断を切り替える。
彼女こそ、ヴィヴィオが毒を盛られて苦しんでいるところを見ていたただ一人の目撃者であって――ここまで罪の意識を持っているなら、言葉を話せないクリスの代わりに、何が起こったのかを皆に話して、主の無念を晴らしてくれるのでは?

――ピッ

千夜にいつものジェスチャーで『ペコリ』と頭をさげる。
そして彼女の肩をつかみ、駅に向かって歩いてほしいとグイグイ引っ張った。
どうにかしてこの謝意を、そしてヴィヴィオを殺した犯人の正体を、駅にいる人間に伝えてもらわなければならない。

千夜はその変化に、追いつけないでいる。
この先ずっと責められていくのだとばかり思っていたら、その励ましているようにも見えるジェスチャーに、ただ戸惑った。

「私を……どうするつもりなの……?」

ヴィヴィオの遺品は、彼女に『立て』と言わんばかりの動きをする。
千夜が、『逃げるか戻るか』の選択肢を迫られていることを理解するには、もう少し時間がかかりそうだった。

【B-2とC-2の境界付近/早朝】

【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(極大)、情緒不安定
[服装]:高校の制服(腹部が血塗れ、泥などで汚れている)
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:ベレッタ92及び予備弾倉@現実 、不明支給品0〜2枚、
黒カード:セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid
[思考・行動]
基本方針:心愛たちに会いたい……でも
1:駅に戻る? クリスから逃げる?

[備考]
※現在は黒子の呪いは解けています。
※セイクリッド・ハートは所有者であるヴィヴィオが死んだことで、ヴィヴィオの近くから離れられないという制限が解除されました。千夜が現在の所有者だと主催に認識されているかどうかは、次以降の書き手に任せます。

302低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:12:36 ID:eQQbHSfc0

◆  ◇  ◆  ◇  ◆


――もしセイクリッド・ハートが千夜が逃げ出したことに気づいて、追いかけようとしなかったら。

彼(?)にとっては結果的な判断ミスだったのだが。
事件の解明はずいぶんと簡単に済んだだろう。

クリスには言葉をしゃべる機能こそなかったけれど、豊富なジェスチャー表現を駆使できるだけのAIはある。
何より少しだけ待っていれば、その場には本部以蔵とラヴァレイと、高坂穂乃果もやってきた。
もしクリスがそれを見ていれば、必ずや怒りを顕にして穂乃果にぶつかるなり攻撃する仕草をしていたことは想像に難くない。
そうなれば、死んだ少女の遺品から攻撃されいてる彼女を、誰もが不審な目で見たことだろう。
クリスがその場を不在にしたことは、結果として事件の全容を不明瞭にさせた。



「痛ましいものです……幼い少女が、こんな苦しそうな顔で事切れているとは」
「そうだな……」

高町ヴィヴィオの遺体は、もう一つのホームに建てられた屋根つきの場所――蕎麦処の中にひとまず安置された。
もしあのままホームに残されていれば、電車でこの駅に降り立ったすべての人間の前に遺体を晒してしまうことになる。あまりにもよろしくない。
念のために蕎麦屋の入り口にはつっかい棒を立て、不用意に開けて遺体と対面する者が出ないようにした。

「しかしあの傷口――ファバロの持っていた小型のクロスボウにも似ていたが、それ以上に鋭く、小さい。よほど鋭利なもので射撃されたのでしょうか」
「あの傷口はおそらく、9×12mmパラべラム弾によるものだろう。
実は遺体を改めた時に、空薬莢も見つけておいた」
「ミリパラ……?」
「世界で最も広く使用されている弾薬だ。利点は比較的反動が弱いことと、小さいがゆえに多弾倉化が容易となること。
今や、小型機関銃(サブマシンガン)や『女性でも撃てる』ことを売り文句にした小型拳銃の弾丸にはたいがいこの9ミリが採用されてる。
ベレッタ、スプリングフィールドXD、グロック17、ジグ・ザウエル、ブローニング・ハイパワー、イングラム……もちろんあの傷口に限っちゃ、マシンガンで撃たれたってことは無さそうだがね。
ちなみにパラべラムってのはラテン語の『Si Vis Pacem, Para Bellum』(平和を望むならば戦いに備えよ)って諺からだ。
もっとも、グラップラーの世界じゃ『強く鍛えておけば喧嘩をふっかけられることも無くなる』なんて、誰も信じちゃいないがね」
「は、はあ……では、殺害者は、その拳銃を持っているはず、ということですか?
その一撃が致命傷となったのですから」

303低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:14:07 ID:eQQbHSfc0

怒涛のような解説に気おされながらも、カイザルは結論を促そうとした。
しかし、本部は首を横に振った。

「いや、たしかに致命傷は拳銃だが、あの嬢ちゃんを殺した凶器は別にある。
ありゃあ鎬紅葉じゃなくたって分かる。確かに遺体から匂ったんだよ、アーモンド臭がな」
「アーモンド……?」

カイザルが住んでいる世界では、テレビドラマも推理小説も存在しない。
暗殺の手段として毒物が使われることはあっても、一個人が『アーモンド臭が特徴の青酸カリ』の名前と効能を『よく殺人に使われる毒物』として把握しているわけではない。

「青酸カリってのは俗称で、正式な薬品名はシアン化カリウムという。
分かりやすい特徴として、収穫前のアーモンドのような甘酸っぱいにおいがすることから『アーモンド臭』として知られている。
巷じゃあ毒物の代名詞のように扱われているが、本来は治金や鍍金、昆虫標本なんかにも使われる有用な化学薬品だ。
ただし口から摂取した場合、胃酸と反応して青酸ガスを発生させる。これが肺から血液に入り全身を巡るとヘモグロビンなどに含まれる鉄原子と反応して、酸素の運搬やエネルギー(ATP)の産生などの機能を破壊する。
少量……耳かき一杯分より少し多いぐらいの量でも大人一人を死に追いやる、強力な代物だ。ガキならもっと少ない。
今回使われたのは間違いなくこいつだろう……第一、胸を射殺されて即死したなら、あんな苦悶の表情を浮かべる時間も無ぇだろうよ。
ヴィヴィオって嬢ちゃんはまず最初に毒の入ったおにぎりを食わされた。そのあとに射殺されたんだ」

その解説を聞くにつれて、カイザルの顔色が青ざめていく。

「食べ物に毒……ではまさか、彼女たちの中で差し入れを持ってきた者が……」
「いや、それも考えにくい。おにぎりを差し入れたのは穂乃花の嬢ちゃんだったが……嬢ちゃんが毒を盛ったんだとしたら、あまりにもリスクがでかすぎる」

本部は少し前のことを思い出しながら、カイザルにその根拠を語った。
彼女は本部に向かって『差し入れがある』と言いかけていた。
本部たちを三人とも――もしくは三人の誰かを殺害しようと毒を盛ったのだとしたら、
『千夜とヴィヴィオに毒入りのサンドイッチを渡した後で本部を呼びに来る』などという愚かな行為をするはずがない。
三人を仕留めるなら、まず最大戦力である本部へと真っ先にサンドイッチを渡すべきだった。
本部にはスクーターという移動手段がある。これから出発するタイミングでいきなり片手がふさがるサンドイッチ(食料カード一食分の大きさがある)を手渡されても、移動しながら気軽に食べることはできない。
あの場で飲み物も無しにサンドイッチを立ち食いするよりも、どこかで座って皆でいっしょに食べてから出発しようとなっていた可能性は低くなかった。
わざわざ穂乃果に食料のカードを使わせてしまったともなれば、本部もその代わりに何か食べ物を三人に与えていくぐらいのことはしただろう。
そしてもし本部がホームまで向かえば、その時点でヴィヴィオと千夜が毒殺死体となって転がっていたことになる。
誰が毒殺したのかは、あまりにも明白だ。穂乃果が乱心したというなら、他にいくらでもやり方はあっただろう。
サンドイッチを用意したのは穂乃果かもしれないが、だからといって彼女が毒も盛ったと疑ってかかるには状況がおかしい。
それが本部の見解である。

304低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:15:35 ID:eQQbHSfc0

「なるほど……しかしそれでは、チヤという少女はホノカ嬢の差し入れに毒を盛った後で、さらに念を入れて射ち殺すような真似をしたことになります。
いったいどうしてそこまで……」
「こいつは仮説だが……何も強力な毒物だからといって即死するわけじゃねぇ。
ヴィヴィオの嬢ちゃんには格闘技の心得があったようだし、毒で苦しみながらも、暴れるなり体術を使うなりして足掻こうとしたんじゃあねぇか。
そして、相手の方も思わぬ抵抗にびびって銃を持ち出してしまった……」

そんな解説なり考察なりを語って時間を費やしたりしながら、二人はラヴァレイたちの待っている事務室へと足を戻すことにした。

「もっとも、これから嬢ちゃんから黒いカードのチェックと身体検査はさせてもらうがね。、もし青酸カリを持っていたんならコトだ」
「身体検査を……?」
「……おい、いぶかるような眼で見なさんな。もちろんもう一人のお嬢ちゃんにやってもらう」


◆  ◇  ◆  ◇  ◆


本部以蔵の失敗は、あまりにも矛盾が生じないよう徹底的に理詰めで考え過ぎたことだった。
神の視点から見れば、それは単なる穂乃果のうっかりミスに過ぎない。
日頃から推理ドラマなどあまり見ない穂乃果は、青酸カリがそこまで即効性の毒であるというイメージが無かった。
しかも、高坂穂乃果は自他ともに認めるおっちょこちょいな少女である。
いくら冷静に毒殺計画を立てたとしても、おっちょこちょいな人間がおっちょこちょいで無くなるなんてことは有り得ない。
さらに言えば、穂乃果は基本的にあれこれ計画を立てて行動することに弱い。
現在のμ'sメンバーを勧誘していった時だって、基本的に押せ押せで、かつその場に応じての対応だったように、『相手がこう出てきたら自分はこうしよう』とあらかじめ想定して動くのは大の苦手だった。
だから、本部に二人の毒殺死体が露見する可能性をうっかり失念していた。
それだけのことだった。

(どうしたんだろう……私)

だから、色々な偶然が重なったおかげで計画が破綻しなかったことを、穂乃果は未だに自覚していない。
証拠品となる3個目のサンドイッチはホームに向かう途中で落としてしまったことにしたし、問題はない。
皆がホームへと向かった時にはひやりとしたけれど、ヴィヴィオの死体は銃殺されたようにしか見えなかった。
だからほっとすると同時に、やっぱり自分の行動は間違っていなかったんだと自信をつけた。
毒で殺すまでもなく、最初から千夜は危険人物だったのだと、証明されたのだから。
やっぱり、殺さなきゃいけない人だったんだ。そう思おうとした。

それなのに、ヴィヴィオの死体を見てから、ずっと身体が震えている。
寒気のような、痙攣のような何かが、体に染みついて離れようとしない。

(やだ……これじゃ私、今さら殺したことが怖くなったみたいだよ……そんなはず、ないのに)

ゴロリと転がった少女の遺体は、仰向けになっていた。
虚空を見る目は、ぎょろりと穂乃果を向いていた。
ライブの時の観客のキラキラした素敵な目とはぜんぜん真逆の、これ以上ないほどに絶望しきった目だった。

305低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:16:34 ID:eQQbHSfc0

(もう殺した人に怯えるなんて……まだ一人しか殺せてないのに、そんなはずない)

当たり前のことだ。
頭でいくら殺してやると凶暴に念じても、実際に殺人を実行して結果を背負うとなると全く違ってくる。
もし、つい昨日まで人を傷つけたり殺したりするようなことなど考えもしなかったような女子高生が、
愛の黒子を受けた結果とはいえ自分で毒殺した『はじめての死体』を見ても平然としていたりすれば、それは『暴走』を通り越して『人格改造』でしかない。

(そう……これは、怖気付いたわけじゃなくて。
きっと、さっきラヴァレイっておじさんに変なこと言われたからだよ)

しかも、本部の殺害に失敗しただけでなく、新たな来客が三人も訪れたことが穂乃果を不安にさせていた。
このタイミングでまた青酸カリの差し入れをして皆を殺せるかどうかは怪しい。
それだけでなく、三人の中のラヴァレイという男は、もしかしたら何かに気づいているのではないかという感じもする。
事務室に穂乃果と戻る最中に、意味深なことを話しかけられた。

『ヴィヴィオ君は、君の大切な友人だったのかね?』

そんな風に尋ねられた。
なぜ出会ったばかりの、それもかなり年下の少女を『大切な友人』呼ばわりするのか。
その意図がわからず、穂乃果は曖昧に否定すると理由を尋ねた。

『君の様子が、とても悲しんでいるように見えたものだからね。
かつてニコール――大切な方を失った時の私を見ているようだと思ったのだよ』

ぎくりとした。見抜かれたと思ったから。
そう、今の穂乃果は一生でいちばん深く悲しんでいる。
ランサーを、穂乃果が足でまといになったせいで本部に殺されてしまったのだから。
ランサーが心配だと言ってついて行きながら、ランサーとのデート気分で浮かれきっていただけで、何の役にも立てなかった。
真っ先に気絶して、足でまとい以外の何ものでもなく、目覚めたらすべてが終わっていた。

(それに……)

ついさっき、晶とかいう少女に今後の方針を問われた時の言葉。
それを聞いて、胸がざわざわとした。

『少なくとも、放送を聴けば無事かどうかは判断できるだろう。
もっともモトベ殿の話では、今のランサー君ならばそうそう死にはしないと自信がある様子だったがね』

306低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:18:11 ID:eQQbHSfc0

そう、放送を聞けば、ランサーの生死は確定される。
いくら本部がランサーは生きて別行動をしていると言っても、放送で名前が呼ばれたら騙せない。
『おそらく追っていったセイバーに殺されたのだ』とかなんとかごまかすつもりかもしれない。
けれど、本当にそれだけで、全員をごまかし切れると思っているのだろうか……。

(ダメ。考えちゃだめだ……優勝すれば、ランサーさんは生き返る。生き返らせるんだから)

ぶるぶると内心で首を振って、穂乃果は気分の切り替えにつとめようとした。
たしかに、人を殺したことで罪の重さはあったかもしれない。
でもそれは『ランサーを死なせてしまった』という過ちを償うためでもある。
考えなきゃいけないのは、今、怪しまれないことだ。
ラヴァレイの目から見ても、穂乃果は悲しんでいるように見えたらしい。
これは問題だ。穂乃果はまだ放送で『知り合いの誰も呼ばれていない』ことになっている。
それなのに悲しんでいたりしたら怪しいと思われ――



(…………………………知り合い?)



放送で呼ばれるかもしれない知り合いの名前。
それが頭をよぎった時に、思考の渦に『何か』が出現した。
今までモヤがかかっていた部分が、急にくっきりとしてきたように。

知り合いとは誰だ。考えるまでもない。
思い出したのは、ランサーと初めて出会った時の約束だ。
『良かったらライブ見に来てください』と。
なんのライブ?
決まっている。
高坂穂乃果にとっていちばんの自慢であり、好きな人ができたら胸を張って見せられる9人の勇姿。

(そうだ、なんで思いつかなかったの……?)

307低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:18:41 ID:eQQbHSfc0

大好きなライブ。
『僕らのLIVE、君とのLIFE』。

(そうだよ……ランサーさんが生き返るなら、μ'sの皆だって生き返らせれば良かったのに……)

殺し合いに乗ろうと決めた時は、『ランサーの命』と『μ'sの皆』をぼんやりとしか天秤にかけなかった。
でも、そもそも天秤にかける必要などなかったとしたら。
優勝すれば、好きな人は生き返る。その考えを信じているし、この手も汚している。
ならば、この先にμ'sの誰かが死んでしまったとしても、ランサーと同様に蘇生を願うことに躊躇いはない。
ランサーのためにμ'sの絆を捨てることはない。どちらも助ければいい。

(ランサーさんのために、皆を見捨てる必要なんて無かったんだよ……)

そんなに何人も生き返るのか、なんて疑問を挟む余地はない。
最善の結果があるなら、絶対にそれを目指す。
高坂穂乃果は、そういう性格だった。

(そうだ……私は絶対に、絵里ちゃん、にこちゃん、希ちゃん、それにことりちゃんを殺すなんて、できっこなかったんだ……)

ランサーへの好意が消えてしまったわけではない。
いや、今この瞬間にも消えつつあるのかもしれないが、その好意はもはや『本来の高坂穂乃果』を圧迫するところにいない。
何者にも塗りつぶされない思考。それを発見したことによる開放感が、穂乃果の胸をいっぱいに満たそうとしていた。



――ザザッ



その濁ったような音は、テレビのたてる砂嵐だった。



「此度の放映をご覧頂けた幸運なる皆様。私、キャスターのサーヴァント、ジル・ド・レェと申します」

308低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:19:53 ID:eQQbHSfc0


あまりにも聞き覚えのある声――この島でいちばん最初に目撃した『恐怖』が、テレビ画面の向こうに姿を現した。

「……………え!?」

腐乱死体を引き連れ、高坂穂乃果を殺害しようとした男。
ランサーはキャスターと呼んでいた、あのランサーでも逃亡を選択する絶対的な危険人物。

「皆様、各々方の知己朋友の消息を案じ気が気でないことでしょう。
 一体どこにいるのか、今も健在なのか、確かめたくて仕方がないことでしょう」

その放送に動揺したのは、高坂穂乃果だけではなかった。

(ジル・ド・ㇾェだと……!?)

偶然による同性同名にしては、よくある名前ではない。
それはまさに、複数の名前を使い分けてきたラヴァレイ――その正体の、真の名前である。
その名前を騙る、魔術師らしき男。
滅多にないことだが、彼の意識にはその男にばかり目が向くという隙ができた。

「さぁみんな、入っておいで」

ブラウン管のなかで口上を述べていたキャスターは、画面の外に待機していたらしき『何者か』を招く仕草をする。
そして、それぞれに痛々しく血止めの布を巻いた少女が三人、その映像へと映し出された。

「アキラ君。この映像は、遠見の水晶玉のようなものかね?」
「えっと、これはテレビって言って……あ〜、どう説明したらいいんだろ」

それまで『原理のよく分からない娯楽製品』ぐらいにしか思っていなかった『テレビ』とはどういう仕組みなのか、ラヴァレイは晶へと問い詰めていた。
だから、穂乃果の小さなつぶやきを、その時ばかりは聞き逃した。


「ことりちゃん……」


せっかく思い出せたのに、なぜその彼女が『そこ』にいるのか。

その放送は穂乃果にとって、『最悪』が形になったようなものだった。
それは、ずっと一緒にいたいと思っていた親友の姿で。
その親友は、首元に怪我でもしているみたいにきつく布を巻いていて。
その親友は、キャスターの危険性などなにも知らないかのように、淡々とキャスターの招きに従っていて。

高坂穂乃果は、たしかにキャスターの操るゾンビを目撃していた。
しかし、そのゾンビは墓から蘇ってきた亡者――誰が見ても腐乱死体だと分かる容貌だった。
だから、穂乃果の中では『キャスターの操るゾンビ』と『南ことり』は繋がならない。

「不肖ジル・ド・レェ、僭越ながらこの可憐な少女達を保護させて頂いております。
 ご友人の方々は是非とも放送局までお越し下さい。彼女達もきっと喜ぶことでしょう」

『怪我をした南ことりは、極悪人であるキャスターに騙されて連れてこられている』という光景にしか受け取れない。

309低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:20:53 ID:eQQbHSfc0



「…………助けなきゃ」



少しだけタイミングが遅ければ、躊躇したかもしれない。
座り込んでいたままだったかもしれない。
あるいは、千夜やヴィヴィオを平気で殺そうとしたように、『なにも感じない』ように錯覚していたかもしれない。
しかし、今の穂乃果に『一番の親友を見捨てる』という選択肢はない。
死んでも生き返らせればいいとか、今から行ってどうなるという理屈なんて欠片も浮かばなかった。
本部以蔵の敵なのだからつぶし合わせればいいとか、そんな計算すらできなかった。

即断、即決。
すぐに立ち上がる。
すぐに走り出す。

「どうした、ホノカ君!」

その挙動が開始されてから、やっとラヴァレイは背後を振り向き、呼び止めた。
しかし、高坂穂乃果には聞こえていない。
追いかけようにも、テレビについて聞き出すために晶に詰め寄った格好になってしまい、かえって晶が進行方向を邪魔する位置にきてしまった。

そしてラヴァレイにも予想外のことだったが、高坂穂乃果はアイドルのために急な石階段走り込みという過酷なトレーニングを日夜こなしている。
もちろん、それは人間の域を出るものではないし、仮に駅にいる人間で徒競走でもすれば晶を除いて穂乃果が最下位となるだろう。
しかし、ラヴァレイが『ただの少女なら、このぐらいの動きだろう』とたかをくくっているよりは、はるかに早い。
こうして伸ばした手は、あまりにも遠い位置で空振りをした。

「おい!いったい全体何があった!?」
「ラヴァレイ殿!? 今走っていった人影は――」

事務室を出ると、本部とカイザルがホームから駆け戻ってくるところだった。

「理由は分からないが、ホノカ君が急に動転して逃げ出してしまった。
私の責任だ。すぐに追って連れ戻――」
「それより、入口のところにスクーターあったじゃん!
あれに乗った方がすぐ追いつけるってば」

事務室から飛び出してきた晶が、駅階段の下を指差す。
たしかにそこには、本部以蔵が鍵付きで止めていた原動機付自転車があった。

310低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:21:19 ID:eQQbHSfc0

「あれは――たしか馬よりも早い乗り物だったか?」
「そう! アキラなら無免許だけど運転大丈夫だから!
ここはアキラに行かせてください! バイクなら捻挫は関係ないし」

ここぞとばかりに志願し、真っ先に階段を降りる。
何も、殺人の成果をあげられそうになくて焦っていたのは穂乃果だけではなかった。
ここで、見るからに『何か』を知っている穂乃果を取り逃がせば、皆殺し狙いとして致命的に出遅れてしまう。
そんな焦りが、晶を奮い立たせていた。
それに、ここで穂乃果が逃げ出してしまえば、むさいオッサン三人組の中に取り残されることになる。
それは、すごく、嫌だ。
元から蒼井晶には、ボールペンで人を刺して病院送りにするぐらいの火事場の馬鹿力はある。
スクーターぐらい、運転をやってみてできないことはないと思う。

「アキラ嬢! ならばせめて私も一緒に。私は貴女を守ると約束しましたので」
「カイザル君、ここは私が――」
「いえ、自分の方が駅で起こったことについては詳しいですから、ホノカ嬢の話を聞けることがあるかもしれません。
それに、ラヴァレイ殿もモトベ殿の話から状況を把握していただかねばなりませんし」
「……じゃあ、リドさんとアキランデブーで」

正直言えばアキラ一人の方が都合が良かったけれど、ここは『盾』を連れて行った方がいいかもしれない。なので、折れた。

その時、本部が忘れられては困ると言わんばかりに声をあげた。

「おい、やる気を削ぐようで悪いが、そのバイクは俺のもんだ。
それに約束っつうなら、俺だって嬢ちゃんたちのことをディルムッつあんからよろしく守護るようにと――」

アキラは、ただでさえイライラしていた。
そんな時に、この発言だ。

「――何、言ってんだよ」

こいつにだけは言われたくないと思った。
だから、言った。

311低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:22:21 ID:eQQbHSfc0






「アンタに守護らせた結果がこれだから!!」






正論を言ったと思う。
アキラはウリス以外皆殺しにするつもりなので『お前が言うな』だが、それでもアキラの方がたぶん一理ある。


◆   ◆ 


「モトベ殿。ずいぶんときついことを言われましたな」

晶とカイザルが二人乗りで遠ざかっていくのを見届けて、ラヴァレイはもう一人の留守番に声をかけた。
アキラに同行できなかったことは残念だが、ラヴァレイにとってはそれでも好都合だった。
ラヴァレイに背中を向けたままの柔道着に向かって、追求する言葉をかける。

「しかしアキラ君の問いかけは、今の貴殿が直面しなければならないことだ。
もし仮にここにランサー君が戻ってきたとしたら、申し開きのしようもないのだから。
貴方は、『この駅にいたすべての参加者を護れず、殺され、逃げられた』という事実を、どう受け止めていくのか」

好都合のひとつは、この『本部以蔵』なる人物が有用なのかそうでないのかを、見極めることにあった。
なるべく多くの心を壊したいという欲求はあるけれど、その嗜好にかまけて殺し合いでの立ち回りを疎かにするつもりはない。
『キャスターを討伐する』と言っていた本部以蔵。
それをなし得るほどに有用な戦力であるならば利用するだけの価値はあるかもしれないが、
それを任せられない、それこそ『一般人の少女たちに翻弄され、すぐ近くでの殺人を許してしまう』ほどの道化だったのならば、生かしておく必要性は薄い。
幸いにも、カイザルたちがこの場を離れてくれた。
殺したあとで、『モトベ殿とは情報交換を済ませたあと、キャスターの討伐に先行して出発した』とでも言えば、気がつかれることはない。

「いずれお聞かせいただきたい……もちろん、ホノカ君から目を放してしまった私にも言えることだが」

そしてもうひとつは、まさにそのキャスターに関する情報を引き出すことだった。
『キャスターのサーヴァント』を名乗ったジル・ド・ㇾェ。
本部が討伐を頼まれているという、『南方の墓地にいるやもしれぬキャスター』。
放送局と墓地の位置と移動時間を考えても、二つの『キャスター』は同一存在なのだろう。

まずは『キャスター』に関する情報を引き出し、その後で始末するかどうかを決定する。

「いや、結論をせかすつもりもない。まずは先ほど起こったことについて説明いたしましょう。
それにモトベ殿にも話していただきたいことがある。
貴方のいう『キャスター』なる人物かもしれぬ者が、先ほど映像に映ったのですからな……」

【B-2/駅構内/早朝】

312低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:22:59 ID:eQQbHSfc0

【本部以蔵@グラップラー刃牙】
[状態]:確固たる自信???
[服装]:胴着
[装備]:黒カード:王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)@Fate/Zero
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:こまぐるみ(お正月ver)@のんのんびより、麻雀牌セット@咲-Saki- 全国編
[思考・行動]
基本方針:全ての参加者を守護(まも)る
1:――
2:南下してキャスターを討伐する
3:騎士王及び殺戮者達の魔手から参加者を守護(まも)る
4:騎士王、キャスターを警戒
[備考]
※参戦時期は最大トーナメント終了後

【ラヴァレイ@神撃のバハムートGENESIS】
[状態]:健康
[服装]:普段通り
[装備]:軍刀@現実 、猫車(蒼井晶乗車中)
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0〜1枚
[思考・行動]
基本方針:世界の滅ぶ瞬間を望む
1:『キャスター』に関する情報を引き出し、モトベを今のうちに始末するかどうか決定する
2:蒼井晶の『折れる』音を聞きたい。
3:カイザルは当分利用。だが執着はない。
4:本性は極力隠しつつ立ち回るが、殺すべき対象には適切に対処する
[備考]
※参戦時期は11話よりも前です。
※蒼井晶が何かを強く望んでいることを見抜いています。


【B-2/駅付近/早朝】
【カイザル・リドファルド@神撃のバハムートGENESIS】
[状態]:健康、原付に同乗中
[服装]:普段通り
[装備]:カイザルの剣@神撃のバハムートGENESIS
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品1〜2枚(確認済、武器となりそうな物はなし)
[思考・行動]
基本方針:騎士道に則り、繭の存在を挫く
1:アキラ嬢を守りつつ、ホノカ嬢を連れ戻す
2:俺と、ファバロが……。
3:アキラ嬢を守りつつ、アナティ城へと向かう。ラヴァレイ殿も居る以上、体制は万全だ。
4:リタ、聖女ジャンヌと合流する(優先順位はリタ>>>ジャンヌ・ダルク)
5:アザゼルは警戒。ファバロについては保留
[備考]
※参戦時期は6話のアナティ城滞在時から。
※蒼井晶から、浦添伊緒奈は善良で聡明な少女。小湊るう子と紅林遊月は人を陥れる悪辣な少女だと教わりました。
※ラヴァレイから、参戦時期以後の自身の動向についてを聞かされました。

313低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:24:09 ID:eQQbHSfc0
【蒼井晶@selector infected WIXOSS】
[状態]:健康、左足首捻挫(湿布済み)、スクーター運転中
[服装]:中学校の制服
[装備]:原付@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(9/10)
    黒カード:不明支給品1〜3枚(武器があるらしい?)
[思考・行動]
基本方針:ウリスを勝ち残らせるために動く
0:利用できそうな参加者は他の参加者とつぶし合わせ、利用価値が無いものはさっさと始末する。
1:高坂穂乃果を捕まえる。いざとなったらカイザルを盾に。
2:カイザルとラヴァレイを利用しつつ、機会を見て彼らと他の参加者を潰し合わせるなり盾にするなりする。
3:ウリスを探し出し、指示に従う。ウリスの為なら何でもする
4:紅林遊月、小湊るう子は痛い目に遭ってもらう
5:カイザルたちに男(本部)を始末してもらいたい
[備考]
※参戦時期は二期の2話、ウリスに焚き付けられた後からです
※カイザル・リドファルドの知っている範囲で、知り合いの情報、バハムートのことを聞き出しました。




愛の黒子による効果は、ランサーがそばにいないことで一分一秒刻みに失われていく。
今はまだ、『親友を助ける』という意識と並列して存在しているけれど、それもゆくゆくは。


「ことりちゃん、ことりちゃん、ことりちゃん、ことり、ちゃんっ…………」


彼女は、まだ気がついていない。
そもそも最初に殺意を抱いて、高町ヴィヴィオを殺してしまったその理由が、手の中の砂のようにこぼれ落ちつつあることを。

そしてもうすぐ、最初の放送が流れることを。
そして、その放送で、『南ことりと矢澤にこが呼ばれ』て、『ランサーが呼ばれない』可能性を。


【B-2とC-2の境界付近/早朝】

【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]:動揺
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:ヘルメット@現実
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(6/10)、青カード(10/10)
     黒カード:青酸カリ@現実
[思考・行動]
基本方針:優勝してランサーとμ'sの皆を生き返らせる
1:今はただ、ことりの元へ
2:本部を殺害する
3:参加者全員を皆殺しにする(μ'sの皆はこの手で殺したくない)
[備考]
※参戦時期はμ'sが揃って以降のいつか(2期1話以降)。
※ランサーが本部に殺されたという考えに疑念を抱き始めました
※ランサーが離れたことで黒子による好意は時間経過とともに薄れつつあります。また、それに加えて上記の疑念によって殺意が乱れ、『ランサーだけでなくμ'sの皆も生き返らせよう』という発想を得ました。

314低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/13(日) 23:24:45 ID:eQQbHSfc0
投下終了です
ヘルメットが状態表から消えていたので、穂乃果が持っていることにしましたがよろしかったでしょうか

ほかにも指摘等ありましたらお願いします

315名無しさん:2015/09/13(日) 23:47:44 ID:s7RPp1Qg0
投下お疲れさまです
穂乃果の心理描写と移り変わりがよく表現されていて、クリスとヘルメットなども含め上手くフォローされていました
一気に爆発しましたねえ
本投下に問題はないと思います

それと今回の投下作品に限った事ではないですし、修正要求ではないのですが、一応指摘
ことりとマコの魂はカードに封じられていないから、当ロワイアルのシステム次第では二人の名は放送で呼ばれない可能性があるんですね
撮影にミスがあれば小蒔の腕輪でゾンビとばれる可能性はありますが、とすると小蒔のカードは放置中かな?
意見は以上です

316低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/14(月) 01:02:08 ID:5uypBbP60
>>315
ご意見ありがとうございます

ことりの名前がよばれない可能性については失念しておりました
ただ、現状放送で魂喰いによってカード化を逃れた参加者が呼ばれるかどうか分からないこともありますので
最後の一行については修正なしでいこうかと思っています

神代さんの腕輪については、今回のSSだと小型旧式のブラウン管テレビということで、
腕輪がアップにでもならない限り腕輪にカードがあるかどうかまでは判別できないだろう、くらいのつもりです
他のテレビや端末だと神代さんの腕輪がどう見えるか(気づかれるか)については、その書き手さんの判断しだいということでひとつ

317低迷の原因は手前の中から ◆7fqukHNUPM:2015/09/14(月) 02:23:48 ID:5uypBbP60
すみません>>303に痛恨のミス…

>ヴィヴィオって嬢ちゃんはまず最初に毒の入ったおにぎりを食わされた。

申し訳ありませんがおにぎりをサンドイッチに訂正させてください。

318名無しさん:2015/09/14(月) 07:14:19 ID:5litZW.Y0
>>316
解りました
本投下楽しみにしてます


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