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仮投下スレ
300
:
低迷の原因は手前の中から
◆7fqukHNUPM
:2015/09/13(日) 23:10:18 ID:eQQbHSfc0
「クリス、ちゃん……」
地面に小さな足をつけず、浮いている。
ヴィヴィオが連れていた、空を飛ぶうさぎのぬいぐるみだった。
どういうわけか、その手には自身が収納されていた黒いカードを持っている。
その小さな黒い目と縫い付けられたバツ印のような口に、表情が宿ることはない。
その顔は怒っても、眉をつりあげたり鬼のような顔をしたりしない。
しかしその無表情こそ、千夜にとってはヴィヴィオの受けた苦しみを代弁する存在でしかなかった。
「い、いやっ。近づかないでっ……だめなの。今の私に近づくのも、近づかれるのもダメなのっ!」
座り込んだまま、それを正視できずにかぶりを振る。
クリスの方も、顔には出ないけれど確かに怒りの感情はあったらしい。
拒絶の言葉もおかまいなしに、千夜にその小さな体をぶつけて、ぽかぽかと殴りつけるような動きをした。
その小さく柔らかな拳を、まるで鋭い豪雨に打たれるように感じながらも、
ウサギが怖いなんて、まるでシャロちゃんみたいだと余計なことが頭をよぎった。
そうしたら、思い出してしまった。
――ウサギ。
――ラビットハウス
――甘兎庵
――ティッピー、あんこ、野良ウサギたち
ウサギは、彼女たちの日常に欠かせない存在だった。
まるで大仏のある町の鹿みたいに、町のどこに行ってもウサギたちが風景に溶け込んでいる町だった。
友達の喫茶店や千夜の甘味処でも、店員の一人であり家族の一員として、マスコットウサギがいた。
その『日常』を、裏切ってしまったのだと理解した。
「ごめ、なさい……」
ヴィヴィオを無言で責めていたクリスは、その言葉に動きを止めた。
彼(?)からすれば、大切な主にとどめを刺した(ようにしか見えなかった)人間が逃げたから、とっさに後を追った。その程度の理解でしかなかった。
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