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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載
345
:
小閑者
:2017/12/24(日) 17:56:35
「いた!あそこ!」
一斉に声の主に集中した視線は、彼女の指差した先を追って空を仰いだ。
そして、魔法で視力を強化しなくては識別出来ないほどの高空をたゆたう恭也の姿を見つけると、安堵で胸を撫で下ろした。
この短時間でどうやってあそこまで移動したのだろうか、という真っ当な疑問が浮かぶが、恭也だからな、と自答して完結する。
現金なもので、安心したら気持ちよさそうに漂っている恭也の姿を見ているとだんだん腹が立ってくる。
文句の1つも口にしようとしたクロノがその不自然さに最初に気が付いた。
恭也は適正の低さと期間の短さから浮遊魔法も飛行魔法も習得を放棄した。空中にいるためには生成した力場の上に立つ事しか出来ない。
では、彼は今、どうやって身体を横たえて空中を漂っているのだろうか?
疑惑を抱いたクロノが注意深く観察していると、距離が遠過ぎて先程までは気付かなかったが、彼は未だにこちらから遠ざかるように飛び続けているようだ。
更に言うなら、徐々に頭が下向きになってきているような…?
「なんだ、恭也の奴、さっきまで走り回ってたくせにちゃんと飛べるんじゃねぇか」
「…違う」
「え?」
「さっきのはやて達の魔法で弾き飛ばされたんだ!
あいつ、気絶してるぞ!」
『えええ!?』
ヴィータの台詞を否定したクロノの言葉に全員の驚きの声が唱和した。
『なんで躱さないのーーー!?』
『いやいやいやいやいや!?』
続いて響いた3人娘の理不尽な絶叫に、一同の突っ込みがまたもや唱和した。
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