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鏡の世界の迷子の旅路 無断転載

170小閑者:2017/09/17(日) 15:20:17
「照れてる照れてる」
「やーさしいなぁクロスケは」
「勝手な事言うな!
 …提督も同じ結論ですか」

 クロノが見る限り、リンディが驚かないのは“納得”というより“予想通り”というニュアンスだった。
 勿論、意外だとは思わない。自分が気付く事にリンディが気付いていない事はそれほど多くない。

「私が気になったのは、元の世界の縁故が一切無くなったと言っているのに、命懸けで守りたい人がいるこの世界に留まる意思を見せない事ね。
 余裕が無いせいで思いついてないって可能性もあるし、否定はしていたけど元の世界に戻りたいと思わせる誰かがいるのかもしれないから決定的ではないけれど。
 それに、昼間恭也さんに状況説明をしていた時、過去の闇の書事件の顛末を聞いて酷く驚いていたでしょ?
 暴走による被害が広範囲に渡る事を知って八神さんを心配したのかもしれないし、事件の問題点が襲撃とリンカーコアの蒐集だけだと思っていたからかもしれない。でも、私には書の主の身を心配しているように感じられたわ。訓練場に押し掛けたのもその後だしね。
 あと、恭也さんが恩を受けたと言っている相手が何時も複数の人を指している事もね。もっとも、八神さんの家は両親が他界していて女の子1人だけだから、世話をしてくれる誰かが居ても不思議は無いんだけど」
「そう、か。言われてみれば確かに不自然ですね。
 ですが、気付いていたのに何故彼の参加を認めるような事を言ったんです?確認が取れてからでも遅くは無かったでしょう」
「不自然と言ってもそれほど強いものではないし、管理局が彼に負い目がある事は事実ですもの。
 それに彼が本当に闇の書と関わりがあるならこちらが疑っている事を気付かれない方が良いわ。
 ヴォルケンリッターは間違いなく強敵ですもの。なのはさん達が実力をつけたとは言っても、拮抗出来るようになっただけ。天秤がどちらに傾くか分からない程度の力関係ですもの。
 数で押せるとは言っても危険は少しでも減らしたいのが本音だわ」

 魔導師の実力は高性能なデバイスを装備すれば自動的に上がる訳ではない。道具とは担い手の実力を引き出す事はあっても、底上げはしてくれない。
 金に飽かして手に入れたデバイスに振り回される高官の子息の姿は陸士訓練校の入校直後の風物詩として親しまれている程だ。
 なのはとフェイトがカートリッジシステムにより出力の上がったデバイスに振り回される事無く、完全に魔法を制御下において見せた事でも分かる通り、システム搭載前のデバイスには2人の能力を引き出しきれていなかった事を示している。
 だが、能力の上がった彼女達でさえ、客観的に見て“拮抗”だ。リンディの懸念は当然のものだろう。
 総合力で勝るとは言ってもそれは犠牲を前提にしたものだ。単一戦力として見た場合、アースラクルーの大多数は守護騎士に瞬殺されかねない程実力に開きがあるのが現実だった。

「ロッテ達に頼む積もりですか?」
「もう了解は得られたわ」
「ま、当たりを引いたら漏れなくAAAランククラスの魔導師4人に囲まれて歓迎されるとなれば、流石に通常の武装局員では手に余るだろうしね」
「私達だって馬鹿正直に正面から訪ねていけばあっさり潰されるのは目に見えてる。
 いや、潰されればまだマシか。逆に隠れていることにも気付かずに素通りさせられるのが一番まずいわね」
「だが、ハズレの可能性の方が高いんだ。存在しないのを上手く隠れているからだと思い込めば永遠に探し続ける事になる。
 君達の力を遊ばせておけるほど現状に余裕は無いんだ。見切りをつけるタイミングを間違えないでくれよ」
「分かってるさ」

 リーゼロッテはクロノに返事を返しながら、目配せをしてきたリーゼアリアに頷いて返す。


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