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精霊を性的に愛でるスレ Part.6

100名無しの魔法使いさん:2017/01/23(月) 07:58:37 ID:WvCG6yfk
ぞば子でエロいの書いてみたいけどシチュが思い浮かばねぇ…
アリエッタ以上に難易度高い

101名無しの魔法使いさん:2017/01/23(月) 18:21:35 ID:XWNQrgIg
>>100
お医者さんごっこ

102名無しの魔法使いさん:2017/01/24(火) 00:06:07 ID:ZBkDwV1Y
>>101
後門にぶっとい注射ブスーされる未来しか見えない…

103名無しの魔法使いさん:2017/01/26(木) 02:07:13 ID:7ufYwpL6
魔力が具現化するんだからおちんこ生やしてもいいし自分にジャストフィットするちんこの男優生み出してもいい

105名無しの魔法使いさん:2017/01/31(火) 00:54:03 ID:fITcgLOs
スモモちゃん!うおおお!全力で犯る!!!

106名無しの魔法使いさん:2017/02/06(月) 11:31:58 ID:3TgQTEbA
>>102
しかも注射ブスーする側がぞばだしな
ブスーされるうえで適任なのがリエンかシャティくらいしかいないという
いやコンちゃんにお仕置きしてもいいけどさ

ダムザさんにアッーって言わせたいならそれでもいいけどギャグにしかならん

107名無しの魔法使いさん:2017/02/17(金) 18:41:02 ID:zrx7m8QI
そういや昔パッツァさんのSSあったよな
過去スレ探してみるか

108名無しの魔法使いさん:2017/03/04(土) 05:25:20 ID:e9GbSRa.
pixivでこちらに自分が投下したSSをまとめてたものを投稿しました
エリスのSSとヒサメのSSです

109名無しの魔法使いさん:2017/03/29(水) 06:42:55 ID:CWS.GVRM
人が少なすぎて辛いんじゃあ…

110名無しの魔法使いさん:2017/04/02(日) 07:09:42 ID:0ZWjXzg.
イーニア先生が通り魔レイパーに返り討ちにされてエッチな催眠術かけられる感じのSSが欲しいです!

111名無しの魔法使いさん:2017/04/02(日) 09:57:07 ID:atFbvZYQ
「先日の謝罪だと?」
「はいイーニア先生、海より深く反省しております
誠意をお見せしますので服を脱いでその机の上で足を開いてもらえますか?
『着衣のままでは誠意を見せられませんので』」
「……。ああ、そうだったな。『誠意を見せてもらうには服を脱がなきゃならんのだったな』」
ぬぎぬぎ

「では失礼して、ペロペロペロペロ」
「くっ、うっ、いきなりお前…」
「これが私の全身全霊の誠意です
おや、おつゆが染み出てきてますね」
「し、知らん…」
「ではイーニア先生がご自分でゴシゴシしてもらえますか」
「そんなことできるものか…」
「いえ『魔道士なら皆さんできること』ですよね」
「……。そうだったな『魔道士なら当然』だったな…」

112名無しの魔法使いさん:2017/04/02(日) 09:57:40 ID:atFbvZYQ
こんな感じですかね

113名無しの魔法使いさん:2017/04/02(日) 13:44:09 ID:0ZWjXzg.
>>111
机の上に素っ裸で開脚したイーニア先生の公開オナニーショー!最高です・・・!
催眠にかかったままお股ごしごしするのだんだん気持ちよくなってきて「ふっ、ふっ・・・んんっ///」て甘い声を漏らしちゃう先生をですね(欲張り

114名無しの魔法使いさん:2017/04/04(火) 07:34:03 ID:Ey/MX/dU
くちゅ、くちゅくちゅ…
「この度は本当に申し訳ありませんでした」
「…本当に反省しているのか…?…くっ…んっ…」
「魔が差してしまっただけなのです。あ、もっと激しくお願いします」

くっちゅ、くっちゅ、くっちゅ…
「聞けば…前にもそういうことをしていた、そうじゃないか?…あぅっ、ふっ…んんっ…!」
「色々上手く行かなくてどうかしていたのです。いいですね、そのままスパートかけちゃってください」
「そんなことで、他人の…こ、とを…あっ、ああっ、あー…!」
「いっちゃいましたか?じゃあ広げて見せてください」
「はぁ、はぁ、ま、待て、それは」
「私にちゃんと謝るチャンスをいただけないでしょうか…そう、指でぐぃーっと広げて」
「こ、こうか…あぅっ、あ、あ、あ…」
「ひくひくしちゃってますねー良い眺めですよ。しっかり反省できそうです」

115名無しの魔法使いさん:2017/04/04(火) 07:34:36 ID:Ey/MX/dU
「土下座して謝りたいのですがイーニア先生にお手本を見せていただけないでしょうか」
「…はぁ、はぁ、はぁ、仕方がないやつだな、こうやるんだ」

「おおー…大事な所からお尻の穴まで丸見えですね」
「お前、何で後ろから、そんな覗き込んで」
「しっかりお手本から学ぶ為なのです」
「…そうか、ならしょうがないか」
「では、失礼して」
つぷつぷっ…

「ひ、ぐっ?お前、何を入れて…!?」
「これがいまの私のできる精一杯の謝罪なのです」
「……そうか、謝罪か」
「申し訳ございません!」
ぱつん
「…うっ」
「ほんとーに申し訳ございません!」
ぱつん
「…あうっ」
「ここからしっかり謝罪しますからねー」

116名無しの魔法使いさん:2017/04/05(水) 00:51:23 ID:jdSQTCV6
続くかと思ったら終わりにゃ?
続いてほしいにゃ!お尻の穴を躾けられるイーニア最高にゃ!
このままじゃ風邪を引いてしまうにゃ!

117ミュールちゃんSS1:2017/04/07(金) 02:08:45 ID:S3OE5cR.
>>64
遅くなって本当にすみませんorz

【とっても】ミュールちゃんSS【ヤムヤム】

『…………』
 二人の間には沈黙が降りていた。
 座り込んだミュールと。
 そのミュールにマウントポジションを取られたキワムと。
 スザクロッドの地下、ガーディアンの居住区に在るキワムの部屋のベッドの上で。
 キワムとミュールは互いの顔を見合わせて対峙していた。
「……………………あの、ミュール、さん……?」
 長い長い沈黙の後、恐る恐る切り出したキワムに、
「……キワム、ミュール、好き?」
 いつもの舌足らずな声で、首を傾げながら簡潔にミュールが問う。
「へ? ……えーっと、……どちらかといえば『好き』、かな……?」
 唐突な問いに、キワムは戸惑いながら答えた。
 普通に『好き』ではあるが、男女のそれというよりは家族的な『好き』という感じである。
 状況が理解できないため、探るように言葉を選んで慎重に答えるキワムに、ミュールは一つ頷き、
「ミュール、キワム、好き」
「そ、そっか。ありがとう」
 飾らない、ある意味素っ気ないようにも聞こえるミュールの言葉だが、それが真摯な気持ちであると理解しているキワムは、少し照れながらそう言った。
 そんなキワムなどお構いなしに、訥々とミュールは続ける。
「――さっき、ももたろう、読むのこと。ミコトの部屋、行くのでして」
「う、うん? あー、カリュプスの分身体対策にアサギが呼んだ神様だっけ? ももたろう読んでもらいに行ったのか」
 キワムの様な〈ガーディアン〉に明確な宗教は無くとも、〈神〉という概念は知っている。
 文明が発達したこの時代でも、人々の心に信仰は根強く残っている。未だに、日曜に教会がミサを行うし、ロッドの中で新規に建築を行う時には地鎮祭が執り行われたりしている。
 結局、最後にすがるのは〈神〉ということだろうか。カリュプスという、『人間たちの手に余る強大な存在』が在る以上、信仰というものが失われることは無いのかもしれない。
 話が見えないキワムに、もどかしそうに宙に浮いた手を振りながら、ミュールは精一杯の言葉で、必死に説明しようと――
「そしたらミコト、スオウとセイと裸で」
「何やってんだあの神様たち!?」
 間髪入れずにキワムが叫ぶ。
 そんなキワムに構うこと無く、ミュールは無邪気に小首を傾げ、
「ミュールも混ぜる……混ざるのこと? そしたらスオウが、『好きな人とやる』のこと、言いまして!」
「ホント何やってんだあの神様たち!!」
 漸くキワムにも事態が理解できた。
 どうやら『好きな人とヤる行為』と説明を受けたミュールは、勢い込んでキワムの元を訪れたらしい。
 ミュールがキワムのことを好意的に見てくれている証左でもあるので、その気持ちは嬉しいが――
「あのな、ミュール……そういう事はミュールがもう少し大人になってからだな……」
 しどろもどろなキワムに、ミュールはにこにこしながらずいっと顔を寄せ――
「いやあのミュール……――っ!」
 おもむろに、キワムの開いた口の中に、舌が差し込まれた。
 甘い口づけとは真逆の、貪る様な舌遣いで、キワムの口腔内の唾液を掬い取る。
「ん、ふっ」
 荒い呼吸を繰り返すミュールの手が、キワムの股間に伸びる。
「……っ!! ちょ、こら、ミュール!」
 キワムは反射的にミュールの体を押し退け、口を離すが、
「キワム。大人しくする」
 有無を言わせずミュールが全体重をかけてキワムの動きを封じる。
「ミュール、やめっ……んぐっ!」
 再び唇を重ねられ、舌が潜り込んでくる。
 そうこうしているうちに、ズボンのファスナーが下ろされ、ひんやりしたミュールの手がまさぐる様に蠢き、キワムのモノを取り出した。
「ん、ぐっ……げほっ!」
 今度は多量の唾液が流し込まれ、思わずむせるキワムに、ミュールは漸く唇を離した。

118ミュールちゃんSS2:2017/04/07(金) 02:10:50 ID:S3OE5cR.
「ちょ、ミュール……お前、こんなやり方、何処で……」
 噎せた所為で若干涙目で問うキワムに、ミュールはにこにこと無垢な笑みを浮かべ、答える。
「ミコトがこうやるのこと。まねっこ!」
「あの神様たちそういうプレイすんの!?」
 思わずそうツッコむキワムに、ミュールはよく解っていない顔で首を傾げ、
「ぷれい……? んー……ミコトもセイもスオウも教えてくれませんで。だから、ミュール、ミコトの部屋にれべりおー、置いてくるのでして」
「……えーと、もしかしてミュールは、レベリオーを通して物を見られるってことか……?」
 キワムの言葉に、ミュールは大きく頷いた。
「ちなみに今はミコトがおっぱいで挟んで口で」
「本当何やってんだあの神様たち!!(3度目)」
 ミュールに皆まで言わせず心から絶叫するキワムをよそに、ミュールはいそいそとキワムの股間の前に屈み込んだ。
「ミュール、いつも、キワム、お世話になる。だから、今日は、ミュールがキワム、気持ちよく、するのでした」
 言いながらミュールは、半勃ちのキワムのモノを胸で挟み込もうとし――
「…………」
「………………」
 ミュールとキワムの間に、何とも言えない沈黙が降りた。
「…………」
「………………」
 まかり間違ってもふくよかとは言い難い体型のミュールは、自身の薄い胸板に手を宛てたまま、切なそうにキワムを見上げ、
「ああああ、ミュール、泣くな! 俺はその気持ちだけで十分だから! な!」
 キワムはキワムで、慌てて両手をばたつかせながら全力でミュールを慰めた。
「うぅ……ミュールではおっぱい挟めませんので。代わりにお口で頑張りますのこと!」
「いや其処は頑張らな――」
 頑張らなくていい、と言おうとしたキワムのモノの鈴口を、ミュールの舌が突く。
 たっぷりの唾液をのせた舌が這い、指が優しく撫で擦る。
「キワム、『ウラスジ』、気持ちいい?」
「う、裏筋!?」
「スオウとセイがミコトにそう言ってまして」
「う、いや、気持ちいいか良くないかで聞かれれば気持ちいいけど――って、そうじゃねえ俺! しっかりしろ俺!」
 などと口では言いながらも、下半身はきっちり反応してしまう。
 半勃ちだったモノが、雄々しく反り返って天を指している。
「んー……」
 ミュールはキワムのモノを見つめたまま、何かを考え込む様に首を傾げてから、
「…………おしり?」
 と呟いた。
「いや違うお尻じゃないいやそういうプレイもあるけどそうじゃなくてこっちの穴」
 思わず口早にそう言ってミュールの股間に手をやってから、
「ってそうじゃない何やってんだ俺」
 慌ててキワムは手を引っ込めた。
「んー……おしりとは違うのでありまして?」
 納得した様なしない様な声で呟いてから一つ頷き、ミュールは中腰で立ち上がって自らの股間に手を宛て、秘花をくぱぁっと圧し広げてキワムの腰に屈み込もうとする。
「――って、そんな『くぱぁ』なんて何処で覚えたんだ!」
「ミコトが」
「本当もう何しに来たんだあの神様たち!!」
 思わず叫んでから、キワムのモノの上に腰を下ろそうとするミュールを何とか押し止める。
「待て待てミュール。こういうのはミュールがもっと大人になってからだな」
「ミュール、大人、違いまして?」
「えーと……体格は大人だけど……こども、かな?」
「こども、小さい。アサギ、小さい」
「いやアサギはああ見えて1000年以上生きてるし……」
「ミュールのおかあさんも、長生き」
「でもミュールは生まれてからまだ日が浅いんだろう?」
「?」
 言われている意味がよく解っていないのか、ミュールは首を傾げてから、
「…………」
「いや待て待て待て」
 おもむろに挿入を再開しようとするミュールを、キワムが慌てて止める。

119ミュールちゃんSS3:2017/04/07(金) 02:13:28 ID:S3OE5cR.
「その、急に挿れたら良くないんじゃないか? よく知らないけど」
「じゃあ、どうしたら挿れてよくなりまして?」
「えっと……」
 キワムは戸惑った様に逡巡していたが、充血した下半身の欲求には勝てず、ミュールを優しくベッドに横たえた。
「ちょっと、じっとしてろよ」
 そう言うキワムも『初めて』ではあるのだが、一応知識はある。
 主にアトヤ・ハクザンことハクザンアニキから貰った雑誌から得た偏った知識が。
(ええっと……とにかく、舌と手で解せばいいんだよな?)
 内心で誰にともなく呟きながら、キワムはミュールの脚の間に屈み込んだ。
 脚の付け根をまじまじと覗き込む。
 毛などほとんど無い、自慰さえしたことの無いであろう其処は、薄桃色の秘肉でぴっちり閉じられていた。
 実を言えば、キワムは女性の秘処を見たことが無かった。
 悲しいかな、ハクザンアニキから貰った本は、此処が『トウキョウ』と呼ばれていた頃の名残か、肝心な処にモザイクがかかっていたのだ。
 舌を宛てがうと、ミュールはくすぐったそうに身を捩った。
「キワム、ぺろぺろする?」
「うん」
 頷いて、キワムは尖らせた舌を膣に潜り込ませた。
「ひゃ、う、ミュール、なんか、くすぐったいのす?」
「そんな疑問形で聞かれても……」
 『気持ちいい』ではなく『くすぐったい』という反応に戸惑いながらも舐め続けると、
「ミュール、なんか、おかしい、おかしいのす……」
 自分自身の体に戸惑いながら、ミュールはそう言った。
「なんか――うぅ。ムズムズするのす……」
 指で膣口を解しながら、舌も差し込む。
「キワム、お鼻、当たるとこ……掻き掻きして……」
「此処か……?」
 ミュールに言われ、舌を差し込む時に触れた辺りに指を宛ててみる。
 何かこりこりした感触。其処に触れると、ミュールは歓喜に体を震わせた。
(あ、これ……これが『クリトリス』ってやつか……?)
 指先を動かすと皮が剥け、一回り小さい肉芽が顔を出した。
「あはっ、キワム、其処ダメ、ミュール、ダメ」
 充血した其処に、キワムは吸い付いた。
「…………っ!!」
 声も無く、ミュールの体が大きく痙攣する。
 尚も執拗にクリトリスに舌を這わすと、
「ミュール、なんか来る、なんか来るのすっ!!」
 目を見開いたミュールは、シーツに爪を立て、歯を食い縛りながら身をよじって絶頂に達する。

120ミュールちゃんSS4:2017/04/07(金) 02:14:46 ID:S3OE5cR.
「キワム……」
 ガクガクと身を震わせながら、ねだる様にミュールがキワムを見る。
(これだけ解せば、大丈夫かなぁ……?)
 キワムは心許なげに、グショグショに濡れた其処を見る。
(ミュールも相当濡れてるし、多分大丈夫……だよな?)
 不安は尽きないが、キワムも既に充血した下半身から訴えられる欲求が限界だった。
 怒張を膣に宛てがうと、ミュールが小さく頷く。
「……ちょっと、痛いかもしれないぞ?」
「ミュール、だいじょぶ。……キワム、来て……」
 両手を広げてみせるミュールを抱き締め、キワムは挿入した。
 ――熱い。
 ぬるりとした粘液が、キワムのモノの尖端を包み込む。
 もっと――そう、『母性的な包み方』をイメージしていたキワムだったが、
(なんか……食い千切られそう……)
 正直にそう思ってしまった。
 まだ尖端しか挿れていないが、『ミュールがまだ未通なため狭い』というのも勿論あるが、単に『肉欲的』と表現するのが近いかもしれない。
 襞の一本一本が絡みついてくるような感触。
「奥まで――挿れるぞ」
 言葉は無い。ミュールは黙ってキワムの瞳を見つめたまま、頷いた。
 ミュールの瞳に、不安は見えない。それはキワムに全幅の信頼を寄せているということだろう。
 一瞬躊躇してから、キワムは一息に奥まで貫いた。
 ぷつん、と何かが破れる感触。
「いっ――――!!」
 声も無く、ミュールは目を大きく見開いて背筋を伸ばす。
 ミュールの様子に、キワムは反射的に腰を引こうとするが、
「キワム……ミュール、だいじょぶ、ですので。続けて、ほしいのす……」
 健気にそう言われ、キワムは引き抜きかけたモノを奥まで突き入れた。
「ひゃ、あぅ……!」
 腰を引き、打ち付ける。その行為を繰り返すたび、ミュールの声に甘い吐息が混じってくる。
「き、キワム、擦れるの、いい! 其処、いい!!」
「此処、か……?」
 恥骨の辺り――所謂『Gスポット』に見当をつけ、キワムが重点的に其処を責め立てる。
「キワム、ミュール、イク……イクのす!」
 言うが早いか、ミュールの膣がまるで精液を搾り取るかの様にキツく締まる。
「くっ……!」
 キワムも負けじと、ミュールの子宮を圧し潰さんばかりに深く打ち込み、
「中に……出すぞっ!!」
「キワム……あ、ああ――――っ!!」
 ミュールとキワムはキツく抱き合いながら、共に達していた。

 ――その後。
 連続で求められたキワムが枯渇死寸前まで追い込まれるわ、(不運にも)キワムの部屋を訪れたトキオとスミオがミュールの餌食となったり、たまたまキワムの部屋に来たヤチヨがそれを見て「こうなったら女子力で勝負!」とか言い出して調理室を吹き飛ばしたりするのだが――
 それはまた、別の話。

121ミコト様SS1:2017/04/07(金) 02:16:44 ID:S3OE5cR.
恒例の。
ミコト様成分が不足しすぎて俺はもうダメだ。

【お約束】ミコト様がいちゃこらされるSS【様式美】

「ミコトー」
 春の陽射しに水も温み始めたある日。
 ウタヨミ神社の境内の片隅に在る桃の木の前で、僅かに綻んだ蕾を覗き込むミコトに、猫神様――もとい、“黒猫の魔法使い”の元から戻ったスオウとセイが声を掛けた。
「あ、スウちゃん、セイちゃん。お帰りなさい!」
 嬉しそうに、幼い子供の様な笑みを浮かべて、ミコトは二人に駆け寄る。
 ――が、対するセイとスオウは口許に手を宛て、思案げにミコトを見ている。
「……? どうかした?」
 首を傾げるミコトに、少し悩んでからスオウは言葉を選ぶ様に口を開いた。
「……なあ、ミコト。お前、使い終わった筆ってどうしてる?」
「筆?」
 藪から棒の問い掛けに、ミコトはふと宙を見上げ、
「……一応神器だから、『使い終わる』ってことは無いけど……」
「じゃあ、聞き方を変えようか。ミコト、前に筆を無くした事は無いか?」
 セイに聞かれて、ミコトは気まずそうに照れ笑いを浮かべ、
「えっと……それなら、ある」
 その返事にセイとスオウが顔を見合わせて頷き合い、ミコトは慌てて両手を振った。
「以前、里のお祭りに行った時に落としちゃって……トミちゃんやマトイちゃんも一緒に探してくれたんだけど、見つからなくて……あ、でも、人には使えないから大丈夫のはずだよ。多分……」
「あー……いや、怒ってるわけじゃないんだ」
「ミコトの無くしたその筆な、別の神様に拾われてるっぽいぞ」
「へっ?」
 セイに続けてスオウがそう言い、ミコトはきょとんとして二人を見た。
 そんなミコトに、スオウとセイは苦笑しながら黒猫の魔法使いの元で会った神様の事を説明する。
「……えっと、じゃあその〈ヨミビトシラズ〉さんは『物語に書いた事が現実になる』ってこと?」
「そそ。お前の『和歌に詠んだ事が現実になる』って神力と似てる感じだな」
「で、その〈ヨミビトシラズ〉さんが、私の筆を使ってるの?」
「……の、ようだな」
「『ウタヨミの神筆捌き』って言ってたから多分そうじゃね? ってだけで、確証は無いけどな」
「因みにその神力で村を救ったとかで、〈サキモリの里〉で物凄く信仰されてるそうだ」
「……そっか。筆、ちゃんと使われてるんだ……」
 ミコトは感嘆の吐息を零し、目をキラキラと輝かせた。
「もし本当に私の筆なら……良かった。無くしたと思って、筆に悪いことしちゃったなあって思ってたから。……筆を使って信仰を集められたのはちょっと悔しいけど、人の役に立てたのなら私も嬉しいなっ。私も、まだまだ頑張らないと」
 にこっとあどけない笑みを浮かべるミコトに、スオウとセイもにこやかに頷き――
「――でもそれはそれとして」
「神器を落とす様なおっちょこちょいな神様には」
「きちんとお仕置きしとかないとな」
「え゛っ」
 セイとスオウは口々にそう言うと、おもむろにミコトの体を抱えて社に上がる。
 宛がわれた自室の布団の上に、突然の出来事に目を白黒させるミコトを横たえると、
「よ……いしょっと」
「スオウ、あまりきつく結ぶなよ。痕がつく」
「わーってるって」
 手早く刀の柄糸を解いてミコトの両手を縛る。
「えっ――ちょ、スウちゃん、セイちゃん!?」
 我に返ったミコトが慌てて四肢をばたつかせるが――時既に遅し。
 ニヤリと笑んだスオウが、二人にあっさり組み敷かれ、抵抗を封じられて恥辱に頬を染めるミコトの懐に手を伸ばす。
「――ふゃんっ」
 襟から潜り込んだスオウの手が、何かを探すように胸元をまさぐると、ミコトの口から甘い吐息が零れる。
「こ、こら、スウちゃん!」
 ミコトの抗議をさらりと無視し、スオウは目的の物を取り出した。

122ミコト様SS2:2017/04/07(金) 02:18:27 ID:S3OE5cR.
 スオウの手に在るのは――
「私の……筆?」
 殊更見せつける様に、スオウとセイが互いに一本ずつ筆を持つ。
「さーて、お仕置きだ。――まずはおっぱいから責めるか?」
「腋……とかどうだろう?」
「おっ。いいなそれ。普通に性感責めてるだけじゃいつもと変わらないしな」
「なにせ『お仕置き』だからな」
「気持ち良かったら意味が無いしな」
 言うが早いか二人はミコトの着物をはだけさせると、手にした筆をミコトの肌に宛がった。
「こしょこしょ」
「こちょこちょこちょ」
「――ひゃんっ! や、あ、くすぐったいって!」
 両手を縛られたまま身をよじって悶えようとするミコトだったが、二人に押さえ込まれていては思うように体を動かせない。
 セイもスオウもさほど力を入れているようには見えないのに、ミコトの体はビクとも動かないのは、さすがに元戦神といったところか。
「きゃはっ、ちょ、こら、スウちゃんもセイちゃんも、ダメだってば! もぅ……いい加減にしないと、本気で怒っちゃうよっ」
「――『お仕置き』なのに」
「反省の色がまったく見えないな」
「んーじゃあ怒られるのは嫌だし、怒る気力が無くなるまで責め続けるか」
「それが良さそうだな」
「あはっ、やめ、もう、くすぐっちゃ、だめ、ふひゃんっ、こちょこちょだめ、こちょこちょダメぇ……」
 執拗に腋をくすぐられ、笑い過ぎて疲れたのか、ミコトの語彙が極端に幼くなる。
 程無くして、ミコトが屈服する。
「解った、解りました、怒らないから――ひゃあっ、くすぐるのやめて……こちょこちょやめてぇ……」
「反省は?」
 セイに問われ、ミコトは髪を振り乱しながら頷いた。
「した、もう、落とさない様気を付けるから……」
「よーし、いい子だ」
 スオウがそう言い、二人の手が離れる。筆の責めから解放されたミコトが大きく安堵の息を零す――と。
「ひゃあんっ」
 不意にミコトの唇から、甘い官能の吐息が零れた。
「なん、で……あっ……ちゃんと反省、した、のに――んんっ!!」
「ん。今度はちゃんと反省したご褒美な」
 言いながら、スオウの手にした筆がミコトの柔らかな双丘の、ピンと尖った乳首に触れる。
「ひっ……こんなの、ご褒美じゃ、な――」
「んー? もうこんなにおっぱい尖らせてる癖に、足りないのか? ――セイ」
「ああ」
 頷いて、セイはミコトの足元に移動する。
 器用にミコトの帯を解き、露になった膣口に指先を宛てがう。
「少し、濡れているな……」
「ち、違っ……ぁんっ!」
 慌てて否定しようとしたミコトだったが、スオウの手にした筆に乳首を突かれ、悲鳴を上げる。
 触れるか触れないかの位置に在る筆が擦れる度、ちくちくしたむず痒さが全身を駆け巡る。かと思えば筆先を乳首に押し付けて掻く。
 ――と、胸への責めに気を取られていたミコトが、びくりと身を震わせた。
「っ! セイちゃ、ダメ……!」
 セイの指先が、ミコトの陰核に触れる。
 くりくりと指を動かすと、可愛らしい肉芽が露になる。
 剥き出しになった其処へ、筆が宛てがわれる。
「ひぎっ……!」
 目を見開いたミコトは、歯を食い縛って快楽に耐える。
「軽くイッたようだな」
 セイの言葉に、ミコトは弱々しく首を横に振った。
「……イッてなんか……ない……もん……」
 ぷくっと頬を膨らませ、唇を尖らせるミコトに、スオウとセイが苦笑する。
「ミコトはまだ足りないってよ」
「そうか。じゃあこの露はきっと小水の方なんだな」
 セイは筆で、ミコトの秘花から溢れる蜜を掬い取った。

123ミコト様SS3:2017/04/07(金) 02:20:32 ID:S3OE5cR.
「違うもん……違うもん……」
 濡れた筆を見せつけられたミコトは、恥ずかしそうに頬を染めながら、ひたすら「違う」と繰り返す。
「違――あひっ!」
 セイの手にした筆が、ミコトの菊門に触れた。
 つぷ……と少しだけ、筆先が潜り込む。
(もうっ……絶対に、イッてなんかやらないんだから! 我慢、我慢……)
 固く決意するミコトのへそを、スオウの筆がくすぐってくる。
(我慢……ガ……マン……)
 今度は筆の柄が、菊門に押し込まれる。
 耳の裏や脇腹を筆が撫でる。
(……あ……れ……? そういえば……私、なんで、我慢……してるんだっけ……?)
 ぼんやりと。霞がかかった頭で、そんなことを考える。
 セイの筆が、今度は膣口に触れた瞬間――
「う、あ、あぁぁ――――っ!!」
 我慢していた反動か、ミコトは盛大に潮を吹きながら、かつてない程の絶頂に達した。
 大きく仰け反ったミコトの体が、びくびくと痙攣する。
 やがて痙攣が治まり、ミコトが力無く腰を落とす。
 スオウとセイは筆で責める手を止め、ミコトの顔の横に移動する。
 だらしなく弛緩しきった四肢を投げ出し、幼い子供がぐずる様に泣きじゃくり、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになったミコトの頬に指を宛て、止めどなく溢れてくる涙を指先で拭ってやりながら、
「――ミコトは、どうしてほしい?」
 スオウに問われ、ミコトはぼんやりと問い返す。
「どう、って……?」
「ミコトが止めて欲しいなら、『ご褒美』はもう止めるけど」
 ――ミコトの答えなど、とっくに決まっていた。
「もっと……して……」
「続けてほしいのか?」
 セイに問われ、ミコトは少し考えてから、首を横に振った。
「筆……筆じゃ、嫌……」
「手がいいのか?」
 ふるふる、と即座にミコトは否定した。
「手、じゃなくて……」
「じゃあ、どうしてほしいかちゃんとおねだりして」
「う゛……」
 ミコトはほんの少し躊躇ったが、欲求には敵わなかったのか、
「いつもみたいに、して……」
 小さな声で、だがはっきりと告げた。
「『いつもみたい』って?」
 意地悪く問い掛けるスオウに、ミコトは観念し、涙で濡れた頬を恥辱に染めながら、叫んだ。
「セイちゃんとスウちゃんのおち○ぽで、私の口と、お尻と、おま○こを、掻き回して! お腹の中、いっぱいにして!」
「よく出来ました」
 言ってスオウは、ミコトの手を縛る紐を解き、優しく抱き起こした。
 腕が自由になったミコトは、セイとスオウをきつく抱きしめる。
「さてミコト。まずは何処と何処に挿れてほしい?」
「お口と……おま○こがいい……」
 スオウはミコトの背後に回り、ミコトに獣の姿勢を取らせる。
 前屈みになったミコトの眼前に、セイのモノが突き出される。
 うっとりと口に含み、手で揉みしだくミコトの背後から、ずぶりと勢いよくスオウが男根を根本まで挿入する。
「――うぁっ、ヤバイなこれ……。悪い、ミコト。オレあんま長く保たないかも」
 スオウの言葉に、返事は無い。――セイのモノに喉の奥まで貫かれたミコトは、返事の代わりに小さく頷いた。
「そんなにいいのか?」
「ああ。――たまには、こういう責めも悪くないな」
 スオウがそう言うと、
「ははっ。ミコトは『嫌だ』って首を振ってるぞ」
 抗議のつもりか、ミコトが首を横に振る。
 ミコトの腰を抱え、激しい注挿を繰り返すスオウが、呆れた声を上げる。
「『ナカ』をこんなにひくつかせておきながら、そりゃ説得力が無さすぎる――だろっ!」
 ずん、と一際深く奥付きに打ち込まれ、子宮口を突かれたミコトの体が電流を受けたかの様に大きく痙攣する。
「――さて、こっちも仕上げだ、ミコト。……全部飲めるか?」
 セイに問われ、ミコトは涙の浮かぶ瞳でセイを見上げ、こくんと頷いた。
「よし、じゃあ――ミコト、射精すぞ!」
「受け取れ、ミコト!」
 二人の精が体内の奥深くで放たれるのを感じながら――
 ミコトの意識は、白く染まっていった。

124ミコト様SS4:2017/04/07(金) 02:21:42 ID:S3OE5cR.
*****
 ――深夜。
 硯の置かれた文机の前に、ミコトは正座していた。
 深呼吸を一つし、竹筒から硯の海へと水を垂らし、無心に墨を磨る。
 そうして出来上がった墨汁を前に、
「ふっふっふ……」
 何やら不気味な含み笑いを浮かべて、筆を墨に浸す。
 ――が、何故か目の前には半紙が無い。
 ミコトは墨汁をたっぷり含んだ筆を手に、隣の部屋――セイとスオウの寝ている部屋の襖を開け、細心の注意を払いながら、なるべく音を立てない様に二人の枕元に移動する。
(まずは何て書こう? ……スウちゃんの額には『肉』って書いちゃおうかな。よし、それならセイちゃんは『米』にしよう。そうしよう)
 自分の考えに悦に入りながら、ミコトはまずスオウの額に筆を伸ばし――
 次の瞬間、がっしとその腕が掴まれた。
「えぇ!?」
「……お前さあ、元戦神のオレらがお前の気配に気付かないと本気で思ってんのか?」
 本っ気で呆れた様な声が響き、続けてミコトの左腕ががっしと掴まれる。
「――深夜に男の寝所に忍び込むとは、『何をされても文句は言いません』って事だよな」
「ちょっ、違っ、ごめ、ごめんなさ――――にゃああああああ!!」

 ――その日は、朝を過ぎてもミコトの嬌声が止む事は無かったという――

125おまけ八百万1:2017/04/07(金) 02:26:04 ID:S3OE5cR.
【春】八百万な神様たちの日常SS【爛漫】

 満開の桜を縁側で眺めながらお茶を啜るミコトを、ひょい、と後ろからスオウが抱き竦める。
「もー、スウちゃん。お茶零れちゃうでしょ」
「おー、悪い悪い」
 呆れ声で嗜めるミコトの手から湯呑みを取り上げて傍らに置き、
「――って、ちょ、こら、スウちゃん!」
 するりと襟元から侵入するスオウの手を、ミコトが慌てて押し止める。
 と、其処へ、桜羊羮を切っていたセイが、お盆を手に戻って来、
「……なかなか楽しそうなことをしているな」
 早速盆を傍らに置き、ミコトの帯に手をかけた。
「セイちゃんまで! ――もう、今日はお花見するんじゃ無かったの!?」
「いや、『花見』には違いないぞ」
「そうそう。見る『花』が桜じゃ無いってだけで」
「私には見えないじゃん!?」
「……それもそうだな」
「じゃあ、姿見の前に連れてってやろうか」
「いい案だな」
「それは嫌ああああ〜……」
 引き摺られるミコトが本気で嫌そうに手足をばたつかせて抵抗する。
「というか二人とも、まだ昼間なのに何ヤる気になってんの!?」
「昼間なのに参拝客居ないしなー……」
「うぐっ」
 痛い処を突かれたミコトが思わず押し黙る。
「――てことで、此処は大人しく俺たちに食べられるのが吉」
「何その理屈!?」
「花見酒の肴にミコトを美味しく食べちゃおうってことで」
「食べられちゃうのー!?」
 ミコトの悲鳴が響き渡った次の瞬間――
「……ミコトさん、食べられちゃうんですか……?」
 場違いなほど静かな問い掛けに、三人は驚いてそちらを見た。
 何やら驚きに目を見開き、ぶるぶると震えているのは――
「カ、カフクちゃん!?」
 誰あろう、貧乏神のカフクだった。
「ミ、ミコトさんが食べられてしまう……でも私には、元戦神のお二人を止める力は……あああ、ミコトさん、ごめんなさい……! 無力な私を許してくださいぃぃ……!」
 よよよと泣き崩れるカフクに、ミコトはセイとスオウに拳を叩き込んで二人の拘束から逃れ、乱れた着物を直しながら慌てて駆け寄った。
「カ、カフクちゃん、びっくりさせてごめんね。あのね、二人の言ってるのは冗談だから……」
「じょ、冗談だったんですか……? やだ、すみません。私ったらとんだ勘違いを……」
 恥ずかしそうにカフクが頬を染める。
「……いや、本気だったぞ」
「……な。」
 ミコトの背後で互いに頷き合うスオウとセイの言葉は無視。
「ほ、ほらカフクちゃん。座り込んじゃったから着物に土が……良ければ上がっていって。お茶、出すから」
「えっと……すみません。じゃあ、お邪魔させていただきますね」
 はにかんで、カフクはミコトに促されるまま社に上がる。
 桜羊羮と桜饅頭を出され、桜の花びらの浮いた桜茶を一口啜ってから、カフクは改めてミコトに向き直った。
「実は今日、ミコトさんの元を訪れたのは、ミコトさんに聞いてみたいことがありまして……」
「何なに? 私で解ることなら何でも聞いてっ」
 誰かに頼られて、嬉しくない神様は居ない。
 嬉しそうに問い返すミコトに、カフクは懐から一枚の紙を取り、差し出した。
 ミコトの左右から、セイとスオウも興味深そうに覗き込む。
 一見すると瓦版の様だが、実際には瓦版ではなくチラシの様だ。
 派手な色使い――というより『けはけばしい』紙には、こう書かれていた。
「なになに……? 『あるばいと募集!』『未経験者歓迎!』『高給取りのお仕事です』……?」
「『一日三時間から』『夜勤できる方大歓迎!』……。オイこれって」
 嫌な予感をひしひしと感じるセイとスオウに、カフクはほんのりと頬を染めながら、ミコトに話す。
「実はご相談というのは、このあるばいとが貧乏神の私でも出来るかということなんですけど……いつまでもコノハさんの稼ぎに頼ってばかりは良くないと思いまして……それに、コノハさんのお誕生日がもうすぐでして、何か贈り物をしたいと……」
 一息に捲し立てるカフクを、ミコトより先にスオウが押し止める。

126おまけ八百万2:2017/04/07(金) 02:27:18 ID:S3OE5cR.
「ちょっと待てカフク。……このチラシ、何処で手に入れたんだ?」
 何でそんなことを聞くのだろう? と訝しげに思っているのか、首を傾げながらカフクが答える。
「え? えーとですね、コノハさんが以前お友だちになった、エトワールさんとメリエルさんと仰る紋章師の方から、コノハさんに渡しておいて欲しいと預かりまして」
「エトワールと、メリエル……?」
 何処かで聞いたことがあるような、と宙を見上げるミコトの隣で、
『……』
 スオウとセイが無言で立ち上がった。
 そしてそのまま社から境内へと降りる。
「私も行こうか?」
「いや、いい。ミコトはカフクの相手しててくれ」
「すぐ戻る」
「行ってらっしゃーい。気を付けてねー」
 言って駆け出す二人の背に、ミコトののんびりとした声が掛かる。
「あの……?」
 話が見えずに目をぱちくりさせるカフクに、
「いーからいーから。セイちゃんとスウちゃんに任せておけば大丈夫だよ。……あ、お茶のお代わり淹れるね」
 新しくお茶を淹れながら、ミコトはにこにことそう言ったのだった。

 ――一刻ほど経ってから。
「だーかーらー、『悪徳女郎屋をとっちめてほしい』って依頼が入ったから……!」
「やかましい。こっちはお前らが女郎屋に引っ掛かったんじゃないかと血相変えて駆けつけたんだぞ」
「別に、心配してほしいなんて頼んでないし、そんなのに引っ掛かるほど僕たちも莫迦じゃない」
「お前はよー、本当によー……」
 ぎゃいぎゃいと騒がしい声に、焚き火を前にしていたミコトとカフクが顔を上げた。
「――カフクさん」
 スオウに襟首を掴まれたエトワールと、セイに襟首を掴まれたメリエルの背後から、コノハが顔を出し、カフクに駆け寄った。
「コノハさん……!!」
 感極まった様に抱き合うカフクとコノハ。
「……心配、かけて……ごめんね……カフクさん……」
「心配……?」
「あ……ううん。何でもない……」
 コノハはほんのり微笑んで、首を横に振った。
 その様子を見ながら、エトワールとメリエルが唇を尖らせる。
「……ま、まあ確かに、きちんと説明してなかった僕たちも悪かったけど……」
「せ、折角ミオからいい仕事貰ったから、コノハを誘っただけで、悪気は無かったんだからねっ」
 ぶーたれるエトワールとメリエルに、「ハイハイ」とスオウとセイが頷き、襟首を掴んだ手を離す。
 そんなセイとスオウに、ミコトが「はいっ」と、焚き火から何かを取り出して差し出した。
「はい。熱いから気を付けてね」
 エトワールとメリエルにも、同じ様に木串に突き刺した黒焦げの物体――どうやら書き損じた半紙にくるんであった様だ――を差し出す。
「どうしたんだ、これ」
「さっきねー、トミちゃ……ジョゼフィーヌちゃんが来てね。境内に桜の花びらが散って、石畳の上が滑るから、掃除を手伝ってほしいって言われて。それで、お礼にってお芋くれたんだ。舶来のお芋なんだって! 煮ても揚げても美味しいけど、こうやって焼くのが一番美味しいんだって。沢山貰ったから、いっぱい食べてね!」
 カフクも、コノハに一つ差し出してやりながら、自分も焚き火の中から一つ、芋を取り出す。
 エトワールとメリエルは、恐る恐る紙を剥ぎ、パリパリの皮を剥いて、現れた薄黄色の芋にかぶりつく。
「……あ。これ、スィートポテトの味だ」
「バターつけたら、そのままスィートポテトになりそうね」
「すぃーとぽてと……?」
 あぐあぐと芋を頬張りながら問うスオウに、メリエルとエトワールが顔を見合わせて笑う。
「舶来のお菓子よ」
「僕たちの国では、割と普通に作られてたよ。材料の甘薯が、飢饉対策にこの国に持ち込まれて普及したとは聞いていたけど、まだあまりポピュラーじゃないのかな……」
「その菓子の作り方をト――ジョゼフィーヌに教えてやったら、喜んで普及させてくれそうだな」
「うーん、でも和ノ国でバターって見掛けないから……」
「そもそも和ノ国って、乳牛自体珍しいわよね。肉牛とか、農耕用の牛は見るけど」
「確かに、言われてみれば肉を食べるより魚を食べることの方が多いな」
「和ノ国は、四方を海に囲まれてるもんね」
 エトワールとメリエルの話に、スオウとセイ、ミコトが加わり楽しそうに談笑する横で、カフクは二つ目の芋を焚き火から取り出し、半分こして片方をコノハに差し出した。
「……美味しいね、カフクさん……」
「はい、美味しいですね、コノハさん」
 にこにこと芋を口にし、頷き合うコノハとカフクに、ざあっと風が吹いて桜の花びらが降りそそぐ。
「……綺麗だね、カフクさん……」
「はい。綺麗ですね……」
「……来年も……一緒に見ようね、カフクさん……」
「はい。来年も、その次の年も――ずっと、一緒に見ましょうね」
 『ずっと』なんて、保証があるわけでは無いけれど。
 コノハとカフクは互いの肩に寄りかかりながら、幸せそうに重ねた手を握り締めたのだった。

127名無しの魔法使いさん:2017/04/07(金) 02:40:15 ID:S3OE5cR.
筆でこちょこちょですか。
解ります、めっちゃ解ります。
解るけど口では思わず「生放送でソレ言って大丈夫なのかwww」とツッコミを入れていた。
そんな四周年。

>>64
受けておきながら遅くなって本当に申し訳ないですm(_ _)m
ちょっとでも面白いと思って頂けたら幸いです。

英雄凱旋でも復刻でもミコト様がハブられたのは、アーモンドピークのパッケージに抜擢されたからor近いうちにきっとイベントが来るからであって決してry
エタクロも復刻無かったけど、ユッカちゃんが公式サイトの4周年イラストに居て羨ましかったです。まる。

ところで、勢いだけで一晩で書き上げたミルドレッドちゃんSSなるものがあるのですが。
相当な鬱展開+微グロに仕上がってしまったでござる。
普段なら『保管庫に置いておくので気が向いたら読んでください』ってするところだけど。
さすがにこれは躊躇してしまった。
保管庫に置かせてもらっても大丈夫だろうか?

128名無しの魔法使いさん:2017/04/07(金) 06:55:16 ID:7jBxhkBM
大丈夫だ、問題ない
むしろそういうの大好きっす

そういえば八百万イベ最近来てませんなぁ…新しいミコトちゃんほしい…

129アリエッタと初めてのエッチ1:2017/04/07(金) 12:31:44 ID:zqUymvlk
 その日もアリエッタ・トワは、いつものように当て所なく街道をふらついていた。特に目的はなく、ただ面白いものを探すための散歩のようなものだった。分かれ道に当たると、
「先月は右の道に行った気がする。左へ行こう」
「正面の景色には見覚えがある。右へ行こう」
 といった具合に、今まで行ったことのない場所へ行くのも彼女の楽しみの一つであった。ただし、いくら怪獣や大天才と呼ばれる魔道士アリエッタとはいえ、十五歳の少女である。ずっと歩き続けていれば、空腹になるのは必然と言えた。しかも今歩いているのは人通りも少ない森の中の道。このまま進んで次の町へ着くのと、先程通り抜けた町へ戻るのとでは、どちらが早いかさえ分からない。
「お腹すいたなあ」
 魔道空間に貯蔵してあった食べ物は全て胃袋に収まったか、傷んでいて処分してしまっていた。周りを見渡すが、果実をつけている木は見当たらない。
「どんぐりの木をリンゴの木に変える魔法。いいかもしれない。メモしておこう」
 アリエッタは魔道空間から真新しいメモ帳とペンを取り出し、思いついたことを書き留める。彼女が発案した数多くの魔法は、このようにして『実生活で必要だったこと』に起因しているものが多い。
「とはいえ、どうしようか」
 木を見上げて悩んでいると、茂みの向こうから女性の声が聞こえてきた。甲高い声で息も荒く、何かに苦しんでいるような雰囲気である。
「んー人助けしようって気分じゃないんだよなー。でも食べ物を分けてもらえるかもしれないし、助けておこう」
 その気まぐれの救助をしようと、アリエッタは声のする草むらに首を突っ込んだ。
「お姉さん大丈夫ー?」
 女性の声がピタリと止まった。そこにいたのは一組の男女。しかも下半身だけ裸である。女性は木の幹に体を預けて尻を突き出し、男の腰と密着させて――いわゆる立ちバック――いた。
「あれ? 困ってない? なんでも良いや、何か食べ物持ってたらちょうだい」
「……そこの鞄にチョコが入ってるから、それ食べたらどっか行って」
「お姉さんありがと!」
 鞄をあさり、見つけたチョコレート菓子を頬張るアリエッタ。
「ところでお姉さん達何してるの?」
 退散するどころか、座り込んで物珍しそうにする始末だった。
「これは、その、スポーツよ、スポーツ。大人のスポーツだから、お嬢ちゃんにはまだ――」
「面白そう! 私にもやらせて!」
 話を最後まで聞かない。それがアリエッタがアリエッタたる所以でもある。
「おっ、ノリが良いな。じゃあやるか」
「ちょっと、こんな何も知らない子供とやるの?」
「脅かすだけだよ、ちっとばかしな」
 男は女性の中に埋まっていた男根を引き抜き、屹立する姿を少女に見せる。
「何それかっこいい」
 それが、アリエッタの感想だった。
「それでそれで? これをどうするの?」
 年齢らしからぬ反応にどうして良いか男は迷い、女に視線を送る。
「ま、いんじゃない?」
「じゃあこのお姉さんみたいにパンツ脱いで尻を向けな」
「こう?」
 少女は何の躊躇いもなく下着を脱いでスカートをまくり上げ、白い臀部と毛が生えかけの陰部を露出する。男の手がアリエッタの腰に伸び、女の愛液で濡れた亀頭が、未だ男を知らないその穴へと侵入する。狭い粘膜の中をぬるぬると進み、あっという間に最奥部まで到達した。
「おっ、なんかズンってきた!」
「痛くないか?」
「全然」
「お嬢ちゃん処女膜ないってことは誰かとやったことあるな?」
「ないよ?」
 処女膜とは、脆い粘膜のヒダにすぎない。激しい運動などで破れることがあり、アリエッタの場合、小柄な体に似合わない大威力の魔法を連発したことがそれに相当し、処女にして処女膜が失われていたのだ。
「まあいいや。せっかくだ、セックスの気持ちよさを覚えて家に帰るんだな」
「セックス? これセックスって言うんだ?」
 良いところを途中で邪魔された恨みをぶつけるかのように、男はアリエッタの子宮を激しく蹂躙する。細い体が壊れてしまうのではという勢いで腰を乱暴に振る。
「あばばばばばば……!」
 生まれて初めて知る快楽に身を委ね、アリエッタはあっという間に絶頂に達してしまった。粘膜が痙攣し、肉棒から精液がほとばしる。
「これ、凄く良い! 後でメモしておこ……」
 男がペニスを引き抜くと、アリエッタはその場にへたり込んだ。股間から白濁した雫を垂らしながら性行為の余韻に浸っていた。少女はそのまま、男女が行為の続きを始めるのを朧気な頭で眺めていた。

130アリエッタと初めてのエッチ2:2017/04/07(金) 12:32:32 ID:zqUymvlk
「世の中にこんなに良いものがあるなんて知らなかった。エリスにも教えてあげよう」
 アリエッタは翌日、意気揚々と魔道士協会を訪れた。
(でも、こんなに気持ち良いものなのになんで誰もしないんだろう?)
 その疑問もエリスに聞くつもりだった。現在協会の理事長を務めるエリス・マギア=シャルムは、多忙につきアポを取らないとなかなか面会が出来ない人物ではあるが、アリエッタだけは例外中の例外ですぐに通された。
 理事長室には秘書官が三人ほどおり、いずれも書類整理の仕事をしていた。
「どうしたの? 今ちょっと忙しいから、用事があるなら出来るだけ簡単に済ませて欲しいのだけど」
「最近面白い遊びを教えてもらって、みんなでこれを楽しめる魔法を作ろうと思う」
「遊び? 発明するなら人の役に立つものにしなさいって何度も言ってるでしょう。それで、聞くだけ聞くけど何の遊び?」
「うん。セックスっていうんだけど――」
 エリスは身を乗り出してアリエッタの口を塞ぐ。三人の秘書は思わずアリエッタを振り返る。
「どしたのエリス。顔が怖いよ」
「悪いけどあなた達、少しの間席を外してくれるかしら。この娘にお説教しなくちゃいけないから」
 秘書達は書類を近くの浮遊机に置くとそそくさとその場を後にする。魔法による施錠がされたのを確認し、理事長は、
「アーーリエッターー!!」
「なんで怒られるのーー!?」

131名無しの魔法使いさん:2017/04/09(日) 01:12:58 ID:URM7wI32
>>128
お言葉に甘えて保管庫に投下させてもらうことにする。
アスモさんが「負けたわけじゃないからな!覚えてろよ!?」って言い残して一時戦線離脱してしまったので、その間の暇潰しにでもしていただければ(※鬱注意)

>>130
面白かったw
アリエッタってなんか性に奔放ってか、あけすけっぽい感じするよね。

132名無しの魔法使いさん:2017/04/09(日) 19:09:35 ID:GKnFd5dA
>>127
リクエストしたもの書いてくれてありがとう
知識は少ないのに好奇心はあるミュールが最高でした

133名無しの魔法使いさん:2017/04/10(月) 19:35:10 ID:7kEMg0gY
>>127
SSがいっぱい来てる!ウレシイ・・・ウレシイ・・・
ミュールやミルドレッドと、好きキャラのSSでさらに嬉しい!
ミーちゃんとレスリーの救いのなさが良かったです・・・
乙でした!

134アリエッタと初めてのエッチ3:2017/04/13(木) 14:54:18 ID:tu0MWBLQ
「ねえ、聞き間違いじゃないわよね? セックスって言った?」
「うん、これがセックスだって教わった」
 匣の怪物に腰を抜かしたまま、アリエッタは答える。
「教わったって、まさかやったんじゃないでしょうね」
「何を?」
「その、本番を、よ」
「本番って?」
 ああもう、とエリスは悪態をつく。いくら気心の知れた二人きりの状況であるとはいえ、その言葉を躊躇いなく口に出せるほどあけすけな彼女ではない。せめてもの抵抗として、机を回り込んでアリエッタに耳打ちする。
「男の人のお、おちんちんを、あそこに入れたのか、って意味よ」
「そうそう聞いて聞いて。私ね、股の間に穴が空いてるの!」
「女はみんなそうよ!」
「え? じゃあエリスにもイーニアにもオデットにもソフィにもリルムにもレナにもミリエッタ姉さんにも?」
「知ってる名前片っ端から挙げるのやめなさい」
 エリスのも見せてと言ってこないことを切に願う。
「で、この穴にね、男の人の腰のあたりから生えてたかっこいい棒みたいな奴を突っ込んで――」
「アリエッタッ!」
「だからなんで怒るの! 凄く気持ち良い遊びだからみんなもやろうって言いたいだけなのに! 穴からドロっとした暖かいものが流れてきてそれも良かったんだーって教えてあげたかったのにあばばばばば」

135アリエッタと初めてのエッチ4:2017/04/13(木) 14:55:40 ID:tu0MWBLQ
 何が原因で犯されたのか、アリエッタから事情を聞いたエリスは、封印魔術の応用で少女の後ろ手を拘束し、口も塞いだ。そのままアリエッタを、屋上の小屋へと導いた。
「先生、いらっしゃいますか?」
「エリスか。いるぞ。入れ」
「失礼します」
 理事を引退したイーニア・ストラマーが、現在エターナル・ロアと雑談するのに使う部屋。半分倉庫のようなもので、骨董品にも似た魔道具が陳列されていた。この中にあってさえ、魔杖は異彩を放っていた――実際、光っているのだが。
「今日はアリエッタも一緒か。珍しい、いやどうした」
 イーニアがカップを取り落としそうになる。間違いなく、アリエッタの様子を見てよほどのことだと判断したのだろう。
「どうしたもこうしたもないです」
「まあ落ち着いて話を聞こう。座れ」
 イーニアが杖を振ると、椅子が二脚ひとりでに動いた。アリエッタを座らせ、その隣にエリスも着席する。
「それで、一体何をやらかしたんだ?」
 ――しまった。あれを自分の口から話さなければならないのか。
「その、ですね。アリエッタの性教育についてお話をしたくて」
「ぶ!?」
「小娘今何と言った!」
 イーニアは口に含んだ茶を吹き出し、エターナル・ロアも光の色を歪めて動揺を示す。
「この娘の話をかいつまんで説明すると――」
 野外でセックスを楽しむ男女のところに首を突っ込んだら、不興を買った男に強姦されて中出しまでされた。でもアリエッタはそれが気持ちよかったからみんなももっと大っぴらにやれば良いのにと思っている。男が怒ったという点だけが事実と異なるが、概ね合っていた。
「あー……」
「困った娘だ」
 うなだれる元理事と、呆れる杖。
「アリエッタは特別すぎる才能を持ち合わせているから魔道学園では特例を申請して専用の教育カリキュラムで教えていたんだが、うーむ、魔道と直接関係はないしアリエッタが興味を示さなかったから性教育の講義は施さなかったことが仇になったみたいだな」
「性教育というより、貞操観念の問題だと思います」
「うむ。今までアリエッタの問題を処理してきたが、こういうのは今までになかったな」
「ええ、本当に。アリエッタ個人の問題で済むだけ今までの安閑より楽だと思っている自分が悲しいです」
「いや、そうでもないだろう。その貞操観念を崩す魔法を作ろうと言い出しているのだからな」
「そうでしたね」
 イーニアとエリス、アリエッタとゆかりの深い二人が嘆息をこぼしながら話しているのを、アリエッタは自分とは無関係なことのように聞いていた。
「ねえアリエッタ。生理は来てる?」
 少女は何を聞かれたのか分からないという顔をして首を傾げた。
「先生、アリエッタって子供っぽいと思ってましたけどここまで発育が遅いのはむしろ心配なんですが」
「単にそれが何なのか分かっていないだけだと思うがな。教えなかった私にも少なからず責任はある。胸だってあるんだ。さすがに来ていないということはないだろう」
 話が進まないのでエリスは口元の封印を解く。

136アリエッタと初めてのエッチ5:2017/04/13(木) 14:57:16 ID:tu0MWBLQ
「いい? 聞かれたこと以外は喋っちゃだめよ。分かった?」
「分かった」
「一ヶ月に一回くらい、パンツに血がついてることってない?」
「あるけど何処も怪我してないし不思議だなーくらいに思ってた」
「男の人に恋をしたことは?」
「鯉は食べるものであってするものじゃないよ? エリスどうしたの?」
「裸を見られたら恥ずかしいって思うでしょう?」
「別にそうは思わないかな。だって猫だって服着てないし」
「赤ちゃんがどこから来るか知ってる?」
「コウノトリが赤ちゃんの国から運んでくる!」
「常識のない小娘だとは思っていたがもはやここまでとは。我も杖として人格を持って長いがこんな人間は初めてだ」
 三者とも、一体どこから教えれば良いのか迷う、そんなところだった。
「そう言えば、ロア。お前、他の生命を乗っ取ると元が何であろうが成人男性の姿になるそうじゃないか」
「待てイーニア。何を企んでいる。いや、何をさせようとしているかは分かる。だが我はそんなことのために協力はせんぞ! 大体な、我は自分の意志がなければ体を奪うことは出来んのだぞ」
「ふふふ、私が何のためにお前をここに運び入れたと思っている。魔道で強制的にお前を人間の形にすることなど、もはや訳ないぞ」
「待て! いつの間にそんな魔法を発明したのだ!」
「私は天才だからな」
「いや説明になっていないぞ!」
「アリエッタの教育のためだ、協力してもらうぞ、エターナル・ロア!」
「くっ、人間ごときが我を操れると思うなよ!」
 杖を抱えるイーニアを見て、エリスが一言、
「それで、誰を乗っ取らせるつもりなんですか、先生?」
「む? それは――」
 イーニアの視線の先には、エリス。
「待って下さい先生! それは、魔杖エターナル・ロアは、私の家を没落させた元凶なんですよ! 触るのも嫌なのにましてや体を明け渡すだなんて!」
「仕方ない、言い出した私が犠牲になろう」
「おい今犠牲と言ったか」
「それでも似たようなことじゃないですか! それにその、私が性教育しなくちゃいけないじゃないですか」
「性教育のことを言い出したのはエリス、お前じゃないか」
「いや、それはそうですけど」
「おい人間ども、もう少し頭を使え。男なら我に頼らずともそこらじゅうにいるではないか。ちょっと裏路地に出て暇そうで女日照りしてそうな男を引っ掛けて教材にするくらい訳ないだろう」
「それは人道的にまずいな」
「我の憑依能力を強制的に使おうとさせるのは人道的に良いのか。あ、我人間じゃないから人道的とか関係なかった」
 先程から堂々巡りをしているが、良い策が一つも浮かんでこない。とは言え、エターナル・ロアを人の姿にするという案は良さそうだとエリスも感じていた。少なくとも、教科書や講義で教えるよりも実物を見せて教える方がアリエッタには効果的であるからだ。
「先生、エターナル・ロアが乗っ取れるのは人間だけなんですか?」
「いや、魔物でも良いらしい」
「訓練用の魔物が地下に飼育してありましたよね」
「そうか、それを貸して貰えば良いのか」
「待て待て待て本当にやる気なのか!」

137名無しの魔法使いさん:2017/04/14(金) 07:36:02 ID:YxsixS4Y
俺も教材にしてくれませんかね…

138名無しの魔法使いさん:2017/04/14(金) 23:05:28 ID:tESitQq.
誤字発見したわスマヌ
薄くない本にする時はちゃんと直しとく

139名無しの魔法使いさん:2017/04/19(水) 12:47:30 ID:EGUuHLEM
リルムちゃんにエロい気持ちになる催眠と部屋にだれもいないと誤認させる催眠をかけて
一人えっちにふけるところをじっくり鑑賞したいです
いっちゃったところで催眠を解いてそのままむりやりイタダキマス

140名無しの魔法使いさん:2017/04/19(水) 17:31:17 ID:ui8uT8e.
リルムちゃんぼくのために準備整えてくれたんだね、よく濡れてるね
指を入れるだけでじゅぷじゅぷだよ
おやおや暴れちゃ駄目だよ
そこの杖を使って拘束しちゃうね
膝の裏に杖を通して手を縛って
ほら足をM字で固定しちゃったよ
全部丸見えだね、いい眺めだね
クリを指で転がすのが好きみたいだね
しっかり見てたからよくわかるよ
やだやだ言うけど気持ちいいのかな、背中そってビクンビクンしちゃってるね
指を中に入れるとイヤイヤしながら中は怖いって?
なるほどだからクリ派なんだね
大丈夫だよ、これから中が気持ちいいってしっかり教えてあげるから(ボロンッ)

「ちっさ」

えっ

「杖の人のはもっと大きいよ」

えっえっ、なに言ってるの
普段なにしてるのリルムちゃん
あっ、拘束に使った杖の先端が物凄い光を放ち初めてひょっとしてグレートザッパー的なやつですかあああああギャー

141名無しの魔法使いさん:2017/04/19(水) 20:07:57 ID:dh9mTwiM
ロリレイパー生きとったんかワレェ!
珍しく逆襲されとる

142名無しの魔法使いさん:2017/04/20(木) 01:00:14 ID:PAc.45KA
ロリレイパー(情勢的に危険な呼び名)が元気に狩られててよかった

143アリエッタと初めてのエッチ6:2017/04/27(木) 19:17:37 ID:BGZMtXvU
 かくして、エリスは鳥籠に収まるサイズのウサギ型の魔物を連れてきた。魔物の中でも、かなり大人しい種類である。イーニアは鍵を開けて、ウサギに杖を持たせる、もとい、杖にウサギを乗せると言った方が正しい。
「おい本当に良いのか? 何も知らないウブな娘の前でウサギが大の男に変身するところを見せるのは教育的に大丈夫なのか?」
 そもそも感覚が狂っているアリエッタに対し教育も何もないわ、と言いたげにエリスは視線を少女へと送る。
「男らしくないぞ、ロア。何をそんなに嫌がる」
「杖に性別などな――こういう時だけ人間扱いしようとするな馬鹿者!」
「安心しろ。お前は何もしなくても良いからな」
「我、無事に杖に戻れるのか?」
「心配しなくても戻してやるとも。人間のままそこらをうろつかれたらこちらとしても迷惑だ」
「杖を徘徊老人みたいに言うな!」
 イーニアの術式が発動し、魔杖エターナル・ロアは、本人の意志とは無関係に魔物の肉体と精神を乗っ取り、杖を持った男性の姿を取った。
「ふむ、意外と色男な上、ガタイは悪くない」
「なんだ、魔杖だからヒョロヒョロだとでも思ったか」
 そういえばイーニアはロアが実際に人間になった時の姿をまだ見たことがなかったのか、とエリスは一人で納得する。
「それで、我に何をして欲しいのだ」
「変身する前はあんなに嫌がってたのにやけに素直になったな?」
「こうなったら抵抗したところで意味もなかろう。無理矢理に乗っ取らせた以上、我の意志では解除も出来んぞ」
「分かってきたじゃないか。さて、まずはどうしてやろうか。アリエッタ、こっちに来い。ロアはズボンを下ろせ」
「お前、少しくらい恥ずかしがる素振りとか抵抗感とかないのか」
「一体私が何年生きていると思っている? まあ、杖のお前に比べればまだまだだがな」
「先生、おっしゃっている意味が分かりません」
「異性の体に興奮したり嫌悪感を覚えたりするくらいの生娘ではもうない、ということだ。さあロア、脱げ。というかお前、杖だから生殖器はついてないってオチじゃないだろうな」
「我の再現度を甘く見るなよ! きちんと玉もついておるわ!」
「ふーん?」
 イーニアは不敵に笑い、服を脱ぐのを渋るエターナル・ロアのズボンに上から手を突っ込んだ。
「先生ったらはしたない……!」
「待て待て待てどこを触っているのだイーニア! やめろそこをそんなに強く握るんじゃないそこは急所だってことくらいお前にも分かるだろうだからさっさと手を話すんだ人の話を聞け締め付けるんじゃないいくらお前が子供みたいな握力しかないとは言ってもそこは痛いんだぞだからやめろおおおおっ!」
「元が杖とはいえ人間化していれば急所も人間の男と同じというわけか。なるほど、お前が誰かを乗っ取った時もここを攻撃すれば良いのだな」
「冷静に杖の弱点を探るな!」
 肉体を支配している時に局部を攻撃されると途端に解除されてしまうことは、ロアしか知らない秘密である。

144アリエッタと初めてのエッチ7:2017/04/27(木) 19:19:12 ID:BGZMtXvU
「なになにー? ここ握ると面白いことが起きるの?」
 アリエッタが興味深そうにエターナル・ロアの股間に手を伸ばす。
「あ、玉ってこれ?」
「離せ小娘!」
 ここはさすがにイーニアが止めに入った。加減を知らないアリエッタなら、気絶するほどの痛みを与えかねないからだ。
「ここは男の大事な場所だから大切に扱え」
「よく分かんないけどここ触っちゃダメなんだね?」
「まったく、いくら我が不死身とはいえこいつといると命がいくつあっても足りん」
「それ脱げー!」
 エターナル・ロアが悪態をつく隙に、アリエッタが素早くズボンを脱がせた。
「あっこら勝手に!」
「あれーこの前見たのと違う?」
 首を傾げながらも下を向いた男のシンボルを指先でつっついて感触を確かめる。
「ふぁー……すまないがエリス、後は頼んだ」
「先生!?」
「年のせいか最近妙に昼間に眠くなることが多くてな。大丈夫、お前ならできる。アリエッタを正しい道へ導けるのは、星の数ほどいる魔道士の中でもお前しかいない」
「良いこと言った風にしてごまかさないで下さい先生!」
「だそうだぞ、魔道士協会理事」とエターナル・ロアは椅子に腰掛けながら不遜な態度で言う。下半身が裸なのでまるで様になっていない。「我にとっては性教育などどうでも良い。貴様が嫌だと言うなら放棄しても良かろう。だがな、もしここで小娘を野に放ったらどうなる? きっと男を見つけ次第性交渉をねだり、半年後には大きな腹を見せることになるだろうな」
 魔道士にとって跡継ぎを生むということは最も大事な仕事の一つである。アリエッタの子孫ともなれば、それだけで名声と実力に恵まれることだろう。彼女がセックスが楽しいと言うのも、百歩譲って寛容になろう。だからといって、父親が誰かも分からない子を孕ませる道理はない!
「わ、分かったわよ。私が相手するわ!」
「ふん、せいぜい楽しませるんだな」
「頑張れよエリス。私はもう寝る」
 イーニアはもうテーブルに突っ伏していた。ここで寝るつもりなのか、という疑問をすっ飛ばし、
「待って下さい先生。魔道コンドームは」
「そんなものここにあるわけないだろう。中出ししなければ良いだけの話だ」
「先生ぇ……」
教育者としてそれで良いのか。良い訳がなかった。

145名無しの魔法使いさん:2017/05/04(木) 18:24:48 ID:CWbkF5Pw
アルルちゃんが紙芝居に出てきたので
アルルちゃんと士官のSSが読みたくなりました。

全裸待機!

146名無しの魔法使いさん:2017/05/05(金) 01:31:55 ID:NT1y39Jc
懐かしいことを

147名無しの魔法使いさん:2017/06/07(水) 12:41:14 ID:EmxhG3.M
リルムちゃんにアイドル業界の怖さを教えてあげたい
その身にたっぷりと

148名無しの魔法使いさん:2017/06/11(日) 16:12:13 ID:VG2UMnw2
リルムちゃんは「じゃあ辞める」って簡単に辞めて帰っちゃいそうだしなー
俺はマイミちゃんの初枕をお願いしたい

149名無しの魔法使いさん:2017/06/16(金) 00:11:14 ID:e9rPfB9g
可愛いミコト様がボーナスを搾り取りに来たよ可愛い超可愛い(錯乱)

【KTB】デイリー下位では無いと信じたい。【47】

「――おい、小娘」
「……」
 聞き覚えのある声がした――気がして、ミコトは境内に散った桜の花びらを掃く手を止め、ちらと自分の社を見た。
「気のせいかな……」
 そう呟いて、箒を動かす手を再開し――
「オイ其処のへっぽこ和歌の神」
 今度は声の出処に気付いたらしい。鳥居の方を見たミコトは、驚きに口をぽかんと開けた。
「カタバさん!? うちの神社に(表から)来るなんて、珍しいですね」
「今小さく『カッコ表からカッコ閉じ』と聞こえたが……まあいい。――お前、『和歌に詠んだことが現実になる』んだったよな」
「はい、そうです。……時折、誤字っちゃいますけど」
「――頼みがある」
 てへへと笑うミコトに、カタバはいつになく真剣な表情で告げた。
「今度こそ、私が進化できるような歌を詠んでくれないか」

「――で、ミコトは何て答えたんだ?」
「うーん……カタバさん、かなり必死な感じだったから、『お約束は出来ませんが、出来る限り頑張ってみます』って言っておいた」
 今日は珍しくサクトも一緒に夕餉を食べながら、ご飯のお代わりを差し出して問うスオウに、山盛りのご飯をよそいながらミコトが答える。
「とはいえ、何か機会でも無ければ進化は難しいんじゃないか?」
「しばらく猫神様の処に行くことも無さそうだし、機会は無いんじゃないか?」
 魚の骨を抜きながらセイが言い、味噌汁を啜りながらスオウが同意する。
「そもそもが二度も進化逃してるしなー。二度在ることは三度在るって言うしな」
「まあそう言うな。三度目の正直という言葉も在る」
 スオウとセイの言葉に、ミコトが口を挟む。
「いや、でもほら、私の『菓子処 ぐりこ』との“こらぼ”の時みたく、何かの折りでなくても“えるとぅーえる”することもあるかもしれないし」
「僕もある日突然“えるとぅーえる”の話が舞い込んで来ましたよ」
 両手を振ってフォローするミコトに、サクトが頷く。
 だが、現実は容赦が無かった。
「いやアイツまだLにすらなってないぞ」
「まだSS止まりだぞ」
『……………』

150名無しの魔法使いさん:2017/06/18(日) 21:12:31 ID:wLXjkZhc
ミコトはキュウマと公式カップリングなのかな?
あと人に落ちてから生活手段を得るまではもちろん花街で働いてたんだよね?

151名無しの魔法使いさん:2017/06/19(月) 15:31:25 ID:1fgSbFCo
私の縄張りを荒らしてるんですか?と先輩風を吹かせるミオが来るな

152名無しの魔法使いさん:2017/06/23(金) 11:23:15 ID:WBtBgf.6
ついにカタバさんL化だね!

153名無しの魔法使いさん:2017/06/23(金) 20:00:16 ID:DZQoBJUo
L化おめでとうございます!カタバさん!

154名無しの魔法使いさん:2017/06/24(土) 03:13:14 ID:oSGeMabU
昔あったカフクちゃんSSで、
福の神と貧乏神は表裏一体、一時的に福の神の力を取り戻すカフクちゃんの話があったがその通りになったなあ

155名無しの魔法使いさん:2017/06/25(日) 22:52:44 ID:S1HBiL6s
紬姫の服は世界観とキャラに似合わず露出度高いよね
あの世界の歌人というのはアイドルのような仕事なのかも知れない
つまり紬姫も枕営業(略

156名無しの魔法使いさん:2017/06/28(水) 23:20:39 ID:FlzyIxIE
>>154
あのSSどちゃくそ好き、涙腺緩まるくらい

157名無しの魔法使いさん:2017/07/01(土) 01:31:08 ID:twK7zvek
公式があんな外伝出すな!
笑いすぎて脇腹痛くなっただろ!

158名無しの魔法使いさん:2017/07/03(月) 19:18:28 ID:fW.L5X7Y
メアレスのエロss全然ないよなー残念

159名無しの魔法使いさん:2017/07/07(金) 14:06:09 ID:D5pDSFfw
>>155
没落貴族の出だし、御家再興のために色々やらざるを得なかったのかもしれない

160名無しの魔法使いさん:2017/07/07(金) 18:42:12 ID:bha4P2X.
神様になっても末席だから色々ヤらされるのかも知れないな紬姫
挨拶回りとかで

161名無しの魔法使いさん:2017/07/08(土) 20:33:09 ID:T9ZBrJ8E
そういや干支の神々はセクハラ大魔王しかいなかったっけ
紬ちゃんマジメだから騙されて色々調教されちゃうな

162名無しの魔法使いさん:2017/07/08(土) 22:26:05 ID:Bb1pg7ZA
申酉の異界は八百万とは違う世界だぞ

163名無しの魔法使いさん:2017/07/08(土) 22:29:47 ID:T9ZBrJ8E
>>162
あれ、そうだったっけ
干支ストーリー良く覚えてないわ…

164名無しの魔法使いさん:2017/07/09(日) 16:34:24 ID:2kNIw9qQ
ミコトの事を考えながら筆オナしてたらスウセイに見つかって…

というベタな展開

165名無しの魔法使いさん:2017/08/29(火) 04:11:43 ID:VAJzU0Is
というわけで、魔道杯お疲れ様でした。
久し振りに投下させてもらいます。
相変わらずエロくは無い。


【Lより】ミコト様の下界生活記【SS派】

 ――下界に落とされました。
 いや、『落とされました』という表現は微妙に違う。落とされたことに関しては自分が悪かったのだから当然の結果だ。
 トミ、もといジョゼフィーヌに付き添って異文化交流とは名ばかりのカジノ三昧、そのカジノとそっくりに建て直された自分の社……
 建て替えるお金を貯めてから社を建て直すつもりだったが、カジノ風の社を敬遠して参拝客が来ない=御賽銭が貯まらないので、ジョゼフィーヌにお金を借りて建て直したのがつい先日。
 元のこぢんまりとした社で心機一転頑張ろうと――――思うだけで、言うほど頑張って居なかった気がする。
(でもせめて一回社に戻らせて、セイちゃんとスウちゃんにご挨拶……いや、それだとスウちゃんセイちゃんのご利益をアテにしてるみたい……此処はやっぱり自分の力で切り抜け……ああ、でもやっぱり社に戻ってせめて着替えと洗面道具だけでも取ってきたかった……)
 いきなり、着の身着のまま下界に放り出されたミコトは、人々の奇異の視線を避けるように、裏路地をとぼとぼと歩いていた。
「う゛っ……うぅっ……」
 泣くつもりは無いのに、涙が後から後から溢れてきては頬を伝う。
 自分が悪いと。自分の所為だと。頭では解っていても、心細いのは仕方ない。
 神様として、セイとスオウの二人と暮らしながら、マトイやツクヨ、ト――もとい、ジョゼフィーヌやナゴミ、カフクたちと過ごした穏やかな日々が胸を衝く。
 下界に知り合いは居ない。居たとしても、〈神〉でなくなった自分を受け入れて貰えるかは解らない。
 路地に伸びる影が長くなったのを感じ、ミコトはふと顔を上げた。
 春の陽射しは柔らかく陰りを見せ始めて居た。
(もうこんな時間……どうしよう……)
 当然ながら、着の身着のままで下界に落とされたミコトは、一銭も持っていない。
 つまり、泊まるところが無い。
(お金って、どうやって稼いだらいいんだろう……)
 神様であった時に“あるばいと”は沢山経験したが、それらは殆どがジョゼフィーヌの紹介だった。
 自分で探した仕事もあるが、向こうから声を掛けられただけであって、自分で見つけた訳ではないし、セイとスオウに勝手に仕事を見つけるのは禁止されている。
(……どうしよう……)
 雨風をしのげるとしても、自分の社に戻りたくは無かった。
 恥ずかしいやら、みじめな気持ち以上に、社に居るスオウとセイに今の自分を見られたくない。
 かといって、ジョゼフィーヌやマトイ、ツクヨの社に行きたいとも思わない。
(……)
 途方に暮れるミコトの前に、
『ニャア』
 一匹の黒猫が現れた。
 ミコトは慌てて涙を拭き、笑顔で黒猫の傍らに屈み込んだ。
「わあ、可愛い黒猫さん。……ちょっと、ウィズ様に似てるかな?」
 猫神として喧嘩神輿とうなめんとで力を貸してくれた黒猫と、お供の方を思い出し、ミコトは目元を綻ばせる。
「ちっちっちっ……よーしよし、いい子だねー」
 腹を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細めてから、黒猫はひょいと起き上がった。
「うん?」
 ミコトの視線が黒猫を追うと、黒猫はちらりとミコトを一瞥してから、ひょいひょいと歩きだし、数歩進んでからちらりとまたミコトを振り返る。
「付いてこい――ってこと?」
 立ち上がり、問い掛けるミコトにまるで「そうだ」という様にニャアと鳴く黒猫を追って、ミコトは路地を歩いて行く。
 どうせ行くアテがあるわけではないのだから、たまにはこういうのもいい。
 黒猫は、ミコトの数歩先を歩き、ミコトと距離が離れると、立ち止まって待ってくれる。
 付かず離れずの距離を保って歩いていると、
「――御堂……?」
 古びた辻堂の前に辿り着いた。
 と、黒猫は『ニャア』と一声鳴くと、素早く近くの茂みに飛び込んだ。
「あっ……」
 ミコトは黒猫が居なくなったことを残念に思いながらも、
(……もしかして、この御堂に案内したかったのかな……)
 何となく、そう思った。
 粗末な造りだが、雨風を凌ぐことは出来そうだ。
 一礼し、ミコトは御堂に上がり込み、戸を閉めて丸くなった。
(……うぅ、お腹空きました……)
 空腹を堪えながら、ミコトはいつしか眠りに落ちていた。

166ミコト様の下界生活記2:2017/08/29(火) 04:14:26 ID:VAJzU0Is
「……よーしよし、いい子いい子……」
 草むらに小さな声が響き、黒猫はひょいと両手を広げた少女の腕に飛び乗った。
「悪いな、コノハ」
「助かったよ。ありがとう」
 声を潜めながら、二人の青年――スオウとセイの言葉に、少女――コノハが笑む。
「私は……カフクさんに……頼まれた……だけ……お礼なら……カフクさんに……」
「そうだな。ありがとう、カフク」
 頭を下げられ、カフクは慌てて両手を振った。
「そんな、私はただ、ミコトさんにはお世話になりましたから……それに、この猫さんはコノハさんの猫ですし……」
 カフクの言葉に、セイとスオウはコノハの腕の中でゴロゴロと喉を鳴らす黒猫を見る。
「それにしても、賢い猫だな」
「黒猫の術士殿を思い出すな。……案外、本物の猫神様だったりしてな」
 と、おもむろにコノハが黒猫の両脇を抱えて見せる。
 スオウとセイの目の前で、黒猫の尻尾が二つに割れる。
「……猫又か」
「どーりで賢いわけだぜ。……そういや、本物の猫神様ってどうしてるんだ」
「見に行ったが、封印は解かれて居たな。自力で解いたか、誰かが解いたかは解らないが」
 そんな話をしていると、黒猫がひょいとコノハの腕を飛び降りた。
 そしてそのまま何処かに行っていたかと思うと、戻ってきた時には、口に枇杷の枝を咥えていた。
「本当、賢い猫又さんだぜ。――悪いが、その枇杷をミコトに持っていってやって貰えるか?」
 スオウに言われるまでも無い、といった様子で黒猫はひらりと身を翻し、辻堂の隙間から潜り込んで行った。
「さて――今日はなんとかなったが……」
「――とりあえず、明日の朝までは心配いりませんわ」
 不意に女性の声が響き、セイとスオウ、コノハとカフクが後ろを向いた。
 派手なドレスの裾を翻し、トミ――ことジョゼフィーヌが姿を見せる。
「わたくしが何故、この辻堂に案内する様、あなた方にお伝えしたと思いますの? 抜かりはありませんわ。おっほほ――ほぐぉっ」
 高笑いを上げようとするジョゼフィーヌの口を、スオウが慌てて押さえ込む。
「ミコトには聞こえないとはいえ、あまり大声出すなって」
 ジョゼフィーヌがコクコクと頷くのを見て、スオウは漸く手を離した。
 ――と。
「結界、張り終わったよー」
「簡易だが、一晩くらいならなんとかなるだろう」
 草むらを掻き分け、涼やかな少女の声と、凛とした女性の声が響き――ツクヨとマトイが、顔を覗かせる。
「夜は夜通し私とセイ、スオウの三人で交代で見張ればいいな」
「ナゴミちゃんは、社の梁の上で待機するそうです〜」
 マトイとツクヨの言葉に、ジョゼフィーヌは盛大にため息を吐いた。
「はぁ……本当、手のかかる方ですわね、ミコトさんは」
 その言葉に、その場に居た全員が同意を示す様に苦笑した。

167ミコト様の下界生活記3:2017/08/29(火) 04:15:54 ID:VAJzU0Is
「ん……うん……」
 寒さにぶるっと身を震わせて、ミコトは目を覚ました。
「寒い……お布団〜……」
 布団を胸元まで引き上げようと、寝ぼけ眼で腰のあたりに手を伸ばしたミコトは、そもそも引き上げようにも布団が無いことに気付いて、目をぱちくりとしばたかせた。
「あ……そうか……」
 下界に落ちたことを思い出し、ミコトは胸元で丸くなった黒猫を見遣る。
 昨夜、夜中に目を覚ました時に、この黒猫が差し入れてくれた枇杷を食べた。
 そのまま去るかと思った黒猫は、ミコトの傍らでこうして朝まで暖を取ってくれた。
 神様でなくなった自分を、ご利益を授けることも出来ない自分を、「それでもいい」と言ってくれる様に、傍に居てくれた。
(……そっか……うん。そうだ……)
 悲観していても仕様がない。起きてしまったことは覆せない。
 神様だろうが神様でなかろうが、自分が和歌が好きなことに変わりは無い。
 何だか吹っ切れた気持ちで、ミコトは起き上がり、辻堂の戸を開け、外へ飛び出した。
 そのまま町へ繰り出すかに見えたミコトだったが、一夜の宿のお礼代わりにと辻堂の周りの草をむしり始めた。
 ぶち、ぶち、と無心に草をむしっていると、何だか楽しくなってきた――と。
「……か、神様……?」
 横手から響く、驚きに掠れた老婆の声に、我に返ったミコトは慌てて立ち上がり、首を横に振った。
「いえ、いえいえ、違います、違います!! 私、泊まるところが無くて、此処にお邪魔させてもらっただけです!!」
「あ、ああ、そうなのかい。……びっくりしたねぇ……」
 よっこいしょ、と辻堂の縁に腰掛ける老婆の隣を、黒猫がするりとすり抜け、辻堂の外へ出て行った。
「泊まるところが無かったなら、朝も食べてないんじゃないのかい? お供え物のつもりだったけど、良かったらお食べ」
 と、老婆は皿に乗った饅頭を差し出した。
 遠慮しようとしたミコトのお腹が、ぐぅぅ、と激しく自己主張した。
「うっ……」
「遠慮せんでいいよ。ほら、お食べ」
 重ねて勧めながら薬缶に入ったお茶を湯呑みに注ぐ老婆の傍らに座り、ミコトは饅頭を手に取った。
「ありがとうございます。いただきます」
 かぶりつくと、止まらなかった。柔らかい饅頭に包まれた餡が、泣けるほど美味しかった。
 あっという間に二つ平らげ、老婆の淹れてくれたお茶を飲み干し、漸くミコトは一心地ついた様に息を吐いた。
「いい食べっぷりだねぇ」
 にこにこと感心する老婆に、ミコトは気まずそうに謝った。
「ごめんなさい、おばあさん。折角お供えに来たのに……」
「いいよいいよ、気にしなさんな。……それより、若い娘さんがこんな所に一人でどうしたんだい?」
「ちょっと、色々失敗しちゃいまして」
 答えるミコトの顔は、何処か晴れやかだった。
 最初は、そんな失敗をした自分を、恥ずかしいやら情けないと思ったが――
「行く所が無いなら、婆(ばあ)の家に来るかい?」
 それはとても魅力的な提案だが――
 ミコトは弱音を振り払う様に、首を横に振った。
「ありがとう、おばあさん。でも、もう少しだけ、自分の力を試してみたいから、頑張ってみる。……それでもダメだった時は、頼ってもいい?」
「ああ、いいよ。何時でもおいで」
「ありがとうっ」
 そう言って、ミコトは辻堂の外へ飛び出した。

「……あの老婆が此処にお詣りに来ること、知ってたのか」
「ええ。彼女はうちの氏子の一人ですので。毎朝此処のお詣りに来て、お供えをしていることも、月に一度、掃除をしていることも知って居ますわ」
「そうか。……にしても、ミコトのやつ、折角の申し出を断ってたが、大丈夫なのか……?」
 スオウの呟きに、まるで「大丈夫」と答える様に、コノハの腕の中で黒猫が『ニャア』と鳴いた。

168ミコト様の下界生活記4:2017/08/29(火) 04:19:43 ID:VAJzU0Is
「着ていた服を売って、代わりにこの巫女さんぽい服を買って、浮いたお金でお風呂屋さんに行って汗を流して……えーと、後何をするんだったかな」
 一人で呟き、ミコトは指折り数えながら懐にしまった紙を取り出した。
「『お金を稼ぐ、仕事を探す、長屋を見つける』……うぅ〜、お金足りるかなあ……」
 心許なげに、ミコトは手元の巾着を見下ろした。
 ……少ない。
「うぅ……それにしても、『長屋を見つける』って、どうしたらいいんだろう……? 長屋ってそもそも、どうやって借りたらいいんだろう……」
 神様であった頃に、下界の様子は見ていたが、いざ自分がその中に放り込まれると、解らないことだらけだった。
 文字通り、右も左も解らない。
(いえ、此処でつまづくわけには行きません! いざとなったら体当たりで借りに行くまでです!)
 拠点――要するに、足場が無ければ仕事を探すのにも不都合だろう。
 早速めげそうになる心を奮い立たせて、ミコトは拳を握り――
 途端に、『ぐぅぅぅぅ』とお腹が盛大に自己主張を始めた。
(……め、めげそう……)
 前言撤回。ミコトは恨めしげに自分の腹部を見下ろした。
(……そうだ。こういう時は謳を詠んで、空腹を誤魔化しましょう!)
 ……何の解決にもなっていないということに、ミコトは気付いていない。
「桜舞い 黄金なきぞと 嘆きつつ 空腹抑え 待つ宝船……」
 自分の欲望が忠実に表れた謳が出来た。
 宝船を待つより行動あるのみ、と頭を振って気持ちを切り替えるミコトに――
「面白い謳だね」
 と、通りすがりの男性が、小銭を投げて寄越した。
「えう?」
 驚くミコトに、最初の男性につられる様に、幾人かがミコトに小銭を投げる。
「よっ、詠姫!」
「もう一種頼むよ!」
 町行く人たちに声を掛けられ、ミコトは恐る恐る、
「春過ぎて 枇杷色づきて 桜散り 涼を求めて 食べる水菓子……」
 ミコトの謳に、立ち止まって聞き入っていた通行人が爆笑した。
「はははっ。水菓子が食べたいのか。今日は暑いもんなあ」
「水菓子って何だ? 水羊羹とか、水饅頭とかか?」
 若い侍の男性に、老武士が豪快に笑う。
「いや、水菓子ってのは果物のことだ。井戸で冷やした西瓜が食べたくなったなあ」
「ほれ、まくわ瓜だよ! 売れ残りだしちょっと傷が入ってるからお代はいいよ!」
 見物料代わりとでもいうように、野菜の篭を抱えた女がまくわ瓜を投げて寄越す。
「あ、ありがとうございます……!」
 瓜を受け取ったミコトに、女はぐっと腕を突き出し、親指を立ててみせる。
「何があったか知らないけど、頑張りなよ!」
 その言葉に、ミコトは思わず短冊を取り出して筆を走らせた。
「優しさと 大きな野菜を 篭に詰め 明日も沢山 売れます様に!」
「あははっ。ありがと」
 ひとしきりその場で謳を詠み、人が居なくなってから、ミコトは場所を移動した。
 大きな商家の軒先を間借りしてみたり、参拝客の多い社の門前町に行ってみたり。
 そうこうしているうちに、あっという間に日が暮れてしまった。
 ――そうして、ミコトは気づく。
「あ。長屋、探し忘れた……」

169ミコト様の下界生活記5:2017/08/29(火) 04:21:11 ID:VAJzU0Is
 昨日の辻堂に戻るのは、老婆をアテにしている様で気が引けたので、ミコトは気の向くままにフラフラと路地を歩いてみた。
 昨日は悲観のあまり俯いて歩いていたので気付かなかったが、裏路地にも町屋の人々の生活が見え隠れしていて、なかなかに風情がある。
「……なんか、いいなあ、こういうの」
 ――と、気紛れに歩くミコトに、
「よぅネエちゃん。こんな時間にこんな所に一人でどうしたんだぁ?」
 傍らの薄暗い路地から、宵の口にも関わらず、早くも出来上がったらしい男が声を掛けてくる。
「?」
 立ち止まって首を傾げるミコトに、男は馴れ馴れしく近寄って、ミコトの肩に手を置いた。
「巫女さんか? 巫女さんなら生娘だろうなあ……初心そうな顔しちゃってよぉ……こんな時間にこんな処彷徨いてたら危ねえって、身を以て教えてやんねえとなぁ……」
 ニタニタと嗤いながら酒臭い息を吐き掛けられ、ミコトが僅かに眉をしかめる――と。
「おぶぅっ!!」
 男は何やらいきなりもんどりうって倒れ、誰も居ないのにまるで引きずられる様に横道に消えて行った。
「何だったんだろ……?」
 男の消え去った通りを見詰めて呟くミコトの手に、何かが触れた――様な、気がした。
「……あれ……?」
 姿は見えない。触れているという感覚も無い。だが何となく、ミコトは誰かが自分の手を引いている様な印象を受けた。
 ミコトは止めていた足を動かし、導かれる様に進んでいく。
(……あったかい……えへへっ)
 自分の意思で「こっちへ進もう」と思い、自分の足で進んでいる様に感じるが、何となく、「そう思う様に誰かに導かれている」様な感じがする。確信があるわけでは無いが、きっとそうだ。
(スウちゃんかな、セイちゃんかな……? ト――ジョゼフィーヌちゃんかマトイちゃん、ツクヨちゃんたちかな……?)
 姿は見えないので、気のせいかもしれないが――
 お礼を言いたいが、それを口にしてしまうと離れて行ってしまいそうな気がしてしまう。
 昨日の自分であれば、こんな自分を見られたくないと恥じ入っていたかもしれないが、今は“下界に落ちる様な自分”で良かったと思っている。
 そうでなければ見えなかった事が、沢山在る。それを肯定的に思える様になった事を、伝えたい。でも、それを口にしてしまうのは気恥ずかしい。
 そんなくすぐったい様な空気を感じていると、やがて、小さな社に辿り着き、ミコトは漸く足を止めた。
 瞬間、触れていた何かの気配が消えた――様な気がした。
「……ありがとう……」
 誰にともなくそう言って、ミコトは小さな社を見回した。
 人一人が休める程度の社。
 手水鉢で手を洗ってから、淡い月明かりに照らされた神社の由来を見る。
「なんとかかんとか治水神……あ、此処、セイちゃんの御社か」
 元戦神のセイとスオウは、今は治水神と農具鍛冶の神として人々の為に尽力し、その甲斐あってか少しずつ信仰を集められている様だ。
「セイちゃん、お邪魔させて貰うねっ」
 ミコトは嬉しそうにそう言って、社に上がり込む。
 昼に貰ったまくわ瓜と、屋台で買い込んだ“天麩羅”なる食べ物を食べると、すぐに眠気が押し寄せて来た。
「うむにゃむにゃ……セイちゃん、スウちゃん、おやふみなひゃい……」
 ミコトは小さく身を縮め、丸くなって前後不覚で眠りに落ちていった。

170ミコト様の下界生活記6:2017/08/29(火) 04:22:27 ID:VAJzU0Is
「――ったく、ミコトの奴、本当に危なっかしいなぁ……」
 ミコトが眠る社の外で、ミコトの手を引いて此処まで導いて来たスオウの呟きが、闇の中に響いた。
「まあ確かに、其処が美点でもあるが――無防備すぎではあるな」
 社の裏手の茂みに隠れて様子を窺っていたセイが、苦笑を含んだ声で同意を示して頷く。
「……さっきの男は、番屋に放り込んでおいたよ」
「ついでに、暫く悪さ出来ない様に紋章を施しておいてやったわよ」
 と、一回り幼い二人の少女の声が響き、スオウとセイがそちらを見て片手を上げる。
「おー、ありがとな、おにぎり」
「……ボクはおにぎりじゃない。」
 憮然とした少女の指が宙を疾るのを見たスオウが、慌てて押し止める。
「ちょ、待て待て待て、おにぎ――じゃなくて、えーと、えーと……」
 言葉に詰まるスオウに、セイが横から助け船を出す。
「エトワール」
「そう、エトワールだ! 悪かった! 落ち着け、こんな処で紋章術使うなって! ミコトにバレる!」
 スオウの、小声だが必死な訴えに、少女――エトワールは渋々宙に疾らせた指を下ろした。
「――じゃあ、ワタシの名前は?」
 エトワールの隣に居る少女が悪戯っぽく、下から覗き込む様にスオウに問い掛ける。
 スオウは一つ頷き、
「メリエル」
「……何でメリエルだけちゃんと覚えてるのさ」
 やっぱりブッ飛ばせば良かった、という小さな呟きを、スオウは聞こえなかったフリでやり過ごした。
 エトワールとメリエルは、セイとスオウに倣い、同じ様に茂みの中に屈み込んだ。
「……にしても、神様って大変なんだね。一度神様になってしまえば、それっきりだと思ってたよ」
「普通はそうなんだけどなあ……」
 ぽりぽりと頬を掻いてから、スオウはふと思い出した様に二人に問い掛けた。
「そだ。お前らの住んでる長屋って、空きはあるのか?」
「あるけど……でも、ミコトさん、だっけ? いつかは神様に戻るんだよね?」
 エトワールに問われ、スオウが頷く。
「まあ、そうなるかな」
「じゃあやっぱり、長屋は借りない方がいいんじゃない? 『ある日突然店子が居なくなりました』じゃ、貸す方だって困ると思うわ。大家だって、生活があるんだし」
 メリエルの言葉に、スオウは眉をひそめ、難しい顔で考え込む様に腕を組んだ。
「……それもそうだな」
「ボクたちの部屋に間借りするのが一番いいとは思うけど……」
「ワタシたち、一緒に住んでるからさすがに三人は狭いしね」
「あれ? お前らって一緒に住んでたっけ?」
「…………店賃の節約で、先月から……」
「……うん……そうか。変なこと聞いてすまなかったな……」
 ものっそい同情を含んだ憐れみの視線を投げられ、エトワールは唇を尖らせた。
「べ、別に、メリエルと一緒に暮らす様になってから、狭くはなったけど、食費とか抑えられる様になったから、大変なんかじゃ無いよ」
「前は3日に1回だった銭湯が、2日に1回行ける様になったんだから!」
「…………うん……そっか……」
 メリエルの自慢(?)に、スオウは何ともいえない表情で頷いた。
 気を取り直す様にエトワールは一つ、こほんと咳払いをし、
「とりあえず、暫くは此処の御社を足掛かりにするのがいいんじゃないかな」
「そうだな」
 答えるセイの隣で、スオウがぼやく。
「でもミコトの奴、セイに遠慮して明日から場所変えたりしそうだなあ」
「夢枕に立ったら?」
 メリエルの提案に、スオウがぽんと手を打った。
「いい案だな。よっしゃセイ、行って来い!」
「……俺が行くのか……」
「此処はお前の社なんだから、当然だろ」
 渋々立ち上がるセイをけしかけてから、スオウはエトワールとメリエルの二人に向き直った。
「お前らも、夜遅くまで済まなかったな。送って帰るよ」
 だが、エトワールとメリエルはふるふると首を横に振った。
「……乗り掛かった船だから、ちゃんと見届けてから帰る」
「それに、ワタシたちはこう見えて一人前の紋章師なんだから。夜道くらいどうってこと無いわ」
 それでも心配という気持ちと、二人の紋章師としての誇りを尊重したいという気持ちをちょっと秤に掛けてから、スオウはぽふっと二人の頭に手を置き、わしゃわしゃと撫でた。
「ありがとな、お前ら」
 子供扱いされた様な気がして、エトワールとメリエルはほんの少し頬を膨らませるが、言葉には出さなかった――
「お前のオニギリ頭、意外と撫でやすいな」
 ――言葉には出さなかったが、行動には出た。
 エトワールは無言で手早く指を宙に疾らせる。
 戻って来たセイが見たものは、唇を尖らせたエトワールと、笑いを噛み殺したメリエルと――
 ぷすぷすと煙を上げるスオウの姿だった。

 ――それから程なくして、ミコトはキュウマと出逢い、アマノ家の厄介になることとなる。

171【祝☆】カタバさんのれっつ復讐譚【L化】1:2017/08/29(火) 04:25:18 ID:VAJzU0Is
【祝☆】なお、先程エタクロメンバーのL化を知っry【L化】

「ふっふっふっ……」
 不気味な――限り無く不気味な含み笑いを響かせながら、ざっと足音を立て、笑い声とは対称的に颯爽とカタバはセイとスオウの前に立った。
「何だぁ?」
 夏も近付くある日のことだった。
 主の居なくなったミコトの社で、神主の装束に身を包み、箒を手に境内の掃き掃除に勤しんで居たスオウとセイの前に、元上司ともいうべきカタバが現れた。
 それも、何故か『可笑しくて仕方がない』という笑いを零しながら。
 はっきりいって不気味である。
 眉をひそめて問うスオウに、カタバはひとしきり笑ってから、
「お前ら!! よくも今まで散々『快調(笑)』だの『効果値100(笑)』だの『SS止まり(笑)』だのとバカにしてくれたな!!」
 ずびしぃっ!!と刀を抜き放ち、切っ先を二人に突き付けながらそう言った。
「『AS快調SS自傷(笑)』とか『SS効果値200(失笑)』とか!!」
「いや……其処までは言ってねーけど」
 呆れながら思わず突っ込みを入れるスオウだが、復讐に燃えるカタバの耳には届いて居ない様だ。
「漸くだ……漸く俺は“れじぇんど”進化を手に入れた!! “れじぇんど”だぞ、“れじぇんど”!! まさに“伝説”だ!!」
「…………俺らとっくに“えるとぅーえる”済ませてるけど」
「…………言うな、スオウ。此処はカタバの顔を立ててやっとけ」
 ぼそぼそと小声で会話する二人だったが、
「それというのも、あの小娘の――へっぽこ和歌の神の御利益だな! 礼も兼ねて人間に堕ちたあの小娘を、貴様らの前でたっぷりと可愛がってやろう! 男無しでは居られない身体に仕立て上げ、貴様らの見ている前で他の男を咥え、腰を振る女にしてやる!」
 続くカタバの言葉に、二人は静かにブチ切れた。
「……よし、じゃあ『せーの』で行くぞ。――せーの!」
「――『此れで決める』!!」
「『覚悟しとけよ』っ!!!!」
 どげしっ!!
 セイとスオウの息のあった一撃に、カタバはもんどりうって倒れ、地面に強かに顔面を打ち付ける。
 が、カタバはまるでバネ仕掛けの人形の様に飛び起き、
「貴様ら!! 二人がかりとか卑怯だと思わんのか!!」
「神の力を失った、唯の人間の女の子を襲うのは、卑怯じゃないのか?」
「まあ、人間に堕ちてなくて神のままだったとしても、てめーの好きにはさせないけどな」
「いいから一対一で勝負しろぉっ!!」
 既に駄々っ子の様相を呈してきたカタバに、スオウは軽く嘆息し、
「んじゃ、はい。――セイ」
「――『砕け散れ、白浪の如く』!!」
 再びカタバは、地面に突っ伏した――が。
「まだだ……まだ負けた訳では無いぞ……」
 ふるふると身を震わせながら、刀を頼りによれよれと身を起こすカタバに、二人は深々と嘆息した。
「……まあ、その心意気は敵ながら天晴れというか、評価はするが……」
「そもそも水属性のセイの前に火属性で現れてもなあ……」
「くっ……こうなったらスオウ、貴様が相手だ!!」
「まあいいけどよ。俺、複属性水と光で、お前の弱点属性だからな?」
「…………」
 思わず押し黙ったカタバは、やがてくるりと身を翻し、
「き、今日のところはこれくらいで勘弁しておいてやる!!」
 駆け去るカタバが鳥居をくぐった瞬間、
「――ちょっと待てよ」
 にっこりと。
 凄絶な笑みを浮かべたスオウが、手にした箒をカタバに向かって投げつけた。
 箒は狙い通りにカタバの足に当たり、カタバは箒の柄に足を取られて頭からすっ転ぶ。
「ミコトに手ぇ出されちゃ困るからなー」
「憂慮の芽は、早い内に摘んでおいた方がいいだろう」
 スオウと並んでゆっくりとセイが歩み寄る。
「とりあえず――二度とミコトに手ぇ出そうなんて思わない程度には、痛めつけさせて貰うぜ」

172【祝☆】カタバさんのれっつ復讐譚【L化】2:2017/08/29(火) 04:34:51 ID:VAJzU0Is
………2を投下しようとしたら「NGワードが含まれています」って出て投下できなかったorz
これかな?と思う文言を変えてみたけどダメだったので、飛ばします。すみませんm(_ _)m
もし読んでみたい方居たらまた方法考えます。

173【Lto】原点回帰の不尽焔SS【L】1:2017/08/29(火) 04:37:09 ID:VAJzU0Is
【Lto 】原点回帰の不尽焔SS【L】

「なあ、猫神様。オレも大魔術使いたい」
『いきなり現れて藪から棒に何を言い出すんだにゃ』
 猫神様ことうちの師匠が、八百万の神の一柱、元戦神四十七柱の一柱で、現農具鍛冶の神のスオウ・カグツチに呆れた声でそう返す。
「なんかセイのやつ、陸式とかいうのやら敵が五体出る、“いべんと”? とかいうので活躍してるらしいじゃん」
『まあ、確かにセイには目茶苦茶お世話になってるにゃ。全体攻撃に大魔術で無双中にゃ。通った跡にはぺんぺん草も残らない無双っぷりにゃ』
「だろ? だからオレも、セイみたいにあっちこっちで引っ張りだこになって、可愛い女の子からキャーキャー言われたい」
『……最後、それ必要かにゃ……?』
「むしろ最後が重要」
 どうでもいいけど、そろそろ寝ていいですか、とキミが控えめに申し出ると、師匠もスオウと話していたテーブルの上からひょいと飛び降り、ベッドに潜り込んで丸くなった。
「ねーこーがーみーさーまーあああああ!!」
『うるさいにゃ。私はもう寝るにゃ。猫は一日に20時間寝る生き物にゃ』
 すがるスオウを、「しっしっ」と追い払う様に尻尾を振って見せるが、
「せめて話だけでも聞いてくれって!」
『そのうちまた気が向いた時に聞いてやるにゃ』
「――話を聞いてくれたら、今度猫神様が欲しがってたたこ焼き器を」
『キミ、詳しく話を聞くにゃ』
 途端に布団から出てちょこんと腰掛ける師匠に、キミも仕方なく起き上がる。
『えーと……スオウは“大魔術を使いたい”ってことでいいのかニャ?』
「おう! 単体じゃなくて、セイみたいに全体にブッパするやつな!」
『スオウのスキルは確か……』
「ダメブロと変換見破り」
『魔改造にも程があるニャ! それに、ダメブロも変換も見破りも大事なスキルにゃ』
「オレ最近ダメブロ役で猫神様のとこ喚ばれたっけ?」
『…………』
「無言で目を逸らさんでくれ」
『…………サタ女ー、サタ女ー、サタニック女学院〜♪』
「何だその歌」
『仕方ないニャ! 邪神が使いやすいのが悪いニャ! 副属性が闇だから回復反転も効かないにゃ!』
「じゃあオレも回復反転効かないようにしてくれよ!」
『時代は今まさに単色の時代なのに敢えて其処で逆行するのにゃ!?』
「単色の時代って何の話だ?」
『気にしないで欲しいにゃ。言葉の綾ってやつにゃ。……それより、(ダメブロはともかく)変換スキルはオルタナ攻略に必要にゃ!』
「なんか小声で『ダメブロはともかく』って聞こえたが」
『全ては防御貫通攻撃が悪いニャ』
「いや知らんが。……オルタナ攻略ってアレだろ? 猫神様が『偽スビェート』とか呼んでた2Pカラー」
『そうにゃ。術士マナ集めに苦労しt』
「あれ確か“多層バリアが面倒くさいから連撃入れるにゃ!”つって、オレの代わりにミコトが変換役に入ったよな?」

174【Lto】原点回帰の不尽焔SS【L】2:2017/08/29(火) 04:38:04 ID:VAJzU0Is
『…………』
「頼むから目を逸らさんでくれ」
『見破りは、エクストラに必要だし……』
「…………………………クリスマスアッカ…………」
 長い長い沈黙の後に吐き出されたスオウの言葉は、思わずキミと師匠の涙を誘った。
 …………まあ、元を正せばそもそもがキミと師匠の所為の様な気もしなくはないのだが。
『気を取り直して、話を進めるにゃ』
「そうだな。ASもセイみたいに全体攻撃にしてくれ」
『スオウのASは……』
「連撃と4チェイン副属性強化。」
『ちょっとは魔改造自重しろニャ!!』
「つったって、4チェイン副属性強化はぞば子もフラクタルもそうだし、トウマキリエに至ってはノーチェインだぞ!? オレの居場所ねーじゃん!! クリスマスアッカといい、ぞば子といい、“火水が増えたらオレのASがきっと輝く”とワクワクしながら期待してたら自分がいらない子になるとは思わなかったぞ!?」
『いらない子とまでは言ってないにゃ』
「でも最近オレ、セイほど猫神様に喚ばれてないよな?」
『……えーと』
「じゃあ聞くが。SS抜きで考えて、ASの効果値が同じオレとぞば子だったら」
『そりゃガトリンを喚ぶにゃ。ムサイ男より可愛い女の子がいいニャ』
「ほらあああああ!!」
 師匠の容赦無い言葉に、スオウは男泣きに咽び泣いてベッドに突っ伏した。
『――って、私の弟子が言ってたにゃ! 私はそんなことはこれっぽっちも微塵も一欠片も――……(いやちょっと思ってなくも無いけど)思ってないにゃ!』
 慌てて師匠がフォローを入れるが――すいません其処で引き合いに出さないでください。
 身に覚えの無い濡れ衣を着せられたキミは少し憮然とするが、うちひしがれるスオウを前に、表情には出さなかった。
『ま、まあ、スオウ、気を取り直すにゃ。とりあえず、“ASは全体攻撃で”って事でいいニャ?』
「全体攻撃に副属性強化つけて」
『やっぱスオウは一回豆腐の角に頭をぶつけるべきにゃ』
 顔を上げてしれっと言い放つスオウの頬には、涙の痕なんて微塵も無かった。
 ふぅ、とキミと師匠は同時に嘆息した。
『……まあ、話は解ったにゃ。たこ焼き器の為ニャ。期待しておいてほしいにゃ』



「――すまん、猫神様。スオウの奴を見なかったか? こないだから姿が見えな……って、何食べてるんだ? 猫神様」
 じゅうじゅうと漂う香ばしい匂いに、セイが反応する。
『“たこ焼き”ニャ。セイも食べるかにゃ?』
「いや、俺はいいが……」
 困惑しながら答えるセイに、皿に盛られた焼きたてのたこ焼きをふうふう冷ましてからかじりつき、
『……スオウのことならそっとしておいてやるにゃ』
 隣でキミがひっくり返すたこ焼きを横目に見ながら、師匠が厳かに告げた。
『頼まれた通り、大魔術を使える様になったにゃ。文字通り“どんなスキルも使える様に”なったにゃ。私が悪い訳じゃないニャ。――キミ、早くそっちのたこ焼きを寄越すにゃ!』

175名無しの魔法使いさん:2017/08/29(火) 04:49:06 ID:VAJzU0Is
いつもお邪魔してすみませんm(_ _)m 久し振りに投下させて貰いました。
書きたいのは多いけれど、書きかけでとっ散らかってるのが多いような。
出来ればフウカハツセのSS書き上げたいとか思ったまま早数ヵ月。
というか最近、以前ほど書いてないなーとかふと思ったけれど、よく考えたらエクストラが増えた分、プレイ時間が増えてることに気が付いた。
エクストラ楽しい。
あと、レイドスキーなのでレイドあると没頭しがちなのもある。
まあまた気紛れに投下できればと思います。そして相変わらずお目汚しですみませんm(_ _)m

あと、保管庫に一個放り込ませてもらいますーノ

176管理人 ◆DmOt7Iw06Y:2017/09/02(土) 13:49:30 ID:Lu9csds.
>>172
管理人です
NGワードを確認してみたところ、もしかするとと思われたワードを消去させていただきました
他にNGワード指定しているものは出会い系やそこへ誘導するURLなのでこれで大丈夫だとは思われます
まだNGワード指定が出るのならもう一度確認します

こちらの至らぬ配慮によりご不便をおかけしてしまい申し訳ございませんでした

177ウィジェッタと催眠姦:2017/09/04(月) 18:02:13 ID:AZgHJJP2
その日のウィジェッタは機嫌が悪かった。
「もう、最後のひとつを目の前で買われるなんて」
いつもの様に(D・D)を漁りにスラムに出掛けたがなかなか戦利品にありつけずにいた。
「こんな事なら出掛けなきゃ良かった」
ぶつぶつと独り言をいいながらスラム内を歩いていると見知らぬ通りに出ていることに気付いた。
「あれ?こんな通りあったっけ?」
そこはいつも通る道よりも暗く狭かった、スラム通いに慣れているとはいえ今まで比較的安全な通りを
選んでいたため、その暗さは背筋の凍るものがあった。
「なんか薄気味の悪いところね」
早く人通りの多い道に出ようと足早になる。ふと、目の先に光る看板が飛び込んできた。
「なになに?レア(D・D)あります?うわー胡散臭い」
スラムではこの手の客引きをする店には大した物がないことが多い。しかしその時のウィジェッタは
暗闇の中に光るその看板に妙に惹かれてしまっていた。
近づいてみると小さな店がぽつんと建っていた。
「なんだかみすぼらしい店ね。でももしかしたら本当にレア物があるかも」
ウィジェッタは恐る恐るその店に入っていった。
「ごめんくださーい。誰か居ますか?」
店内は意外にも広く、様々な(D・D)が並んでいた。どれも見たことのないものばかりだった。
「このお店本当に当たりかも」
嬉々として店内を物色していると店員らしき人物に声を掛けられた。
「お嬢さん何かお探しかい?」
「あ、ここのお店の人ですか?見たことない(D・D)がたくさんありますね」
「レア物ばかりだよ。お嬢さんなんかはこんなのがいいと思いますよ。今なら試しに起動してもいいよ」
店主が(D・D)取り出し起動させた。見た目はヘッドホンの様だった。
戦利品が買えなかったイライラが少しでも紛れるかと思い、ウィジェッタはそのヘッドホンを受け取った。
「あれ?何も音が聞こえない」
しばらくヘッドホンを耳に当てていたがなにも聞こえて来なかった、故障かと思っていたら店主が話しかけてきた。
「お嬢さん名前はなんて言うんだい?」
「ウィジェッタって言いますけど」
「ウィジェッタ、今からお前は俺の性奴隷となれ」
「はい(はあ?何言ってんの?)」

178ウィジェッタと催眠姦2:2017/09/04(月) 18:04:14 ID:AZgHJJP2
おかしい、思った事と言っていることが合ってない気がする。確かにフザケルナと言った筈だが出てきた言葉は
「はい」だった。
店主は満足そうにさらに言う。
「今からお前を徹底的に犯す。俺について来い」
今にも店から逃げ出したいと思っているのに体が勝手に店主の後を追いかけている。
突然の事態に普段冷静なウィジェッタは軽くパニックに陥っていた。
「ここだ」
店主の招き入れた部屋は窓がなくベッドがひとつ置かれているだけの小さな部屋だった。
「さあそのベッドに座れ」
ウィジェッタはベッドに座った。店主の股間が目の前にある。
「なにをなさってくださるのですか?ご主人様(今すぐに開放しなさい)」
だめだ、思っても見ない言葉しか出てこない。
「俺がするんじゃなくお前が奉仕するんだよ。まずはズボンから俺のイチモツを解放してくれ」
「わかりました(誰がそんな事するもんですか汚らわしい)」
店主のズボンが下ろされると起立した男性器が露になる。
ウィジェッタはネットサーフィンで男性器を見たことはあったが直に見るのは初めてだった。
(画像とは全然違う、生々しいし変な臭いもする)
「さあウィジェッタ、その手と口で俺に奉仕をするんだ」
「奉仕させていたたきます、ご主人様(そんな事したことないから出来る訳ないじゃない)」
ウィジェッタの思いとは裏腹に体が勝手に動き出した。右手で竿を包み左手で玉をやさしく揉む。
(嫌、嫌、何で触ってるの?ありえない、ちょっと待って、顔に男のアレが近づいてくる)
店主は微動だにしていなかった自ら顔を近づけて行ったと気付いたのは咥えてからだった。
じゅるじゅる、口の中いっぱいに男性器の感触と臭いが広がる。
「どうしたそんなに勢い込んで咥えて、そんなに俺のはうまいか?」
「ひゃい、ほいひいれふ(おいしいわけないじゃない気持ち悪い)」
止めたいのに止まらない気持ち悪いのに口を離せない、そうこうしている内に店主の竿がビクビクと脈打ち始めた
「そろそろ出そうだ全部口で受け止めるんだぞ」
びゅるびゅる、店主の精がウィジェッタの口腔内に満たされる。
(すぐに吐き出したい)
ウィジェッタは精子を吐き出そうとしたが「ゴクッ」喉を流れる感触がした。
(えっ、今飲んじゃったの!?)
「飲んでくれるなんて感激だなぁ、ご褒美にウィジェッタを気持ち良くさせてあげるよ」
「ありがとうございます早くご褒美を下さい(そんな、ありえないこんなの嘘よ)」
店主の手がウィジェッタの太ももに触れる。
「スラム内でそんな服着て男を誘ってるんだろ?」
「いいえこれはご主人様に触って貰うために着ています(これ以上私に触るな)」
「ではウィジェッタの体の隅々まで触れさせてもらおう」
店主の手と舌がウィジェッタの体を、腕やお腹太ももを這い回る、しかし局部と乳首は触られていなかった。
店主は焦らしているのかウィジェッタはイキそうでイケない。
(何だか切なくなって来ちゃった早く楽にして欲しい)
(どうせ体が言うことを利かないんだから抵抗しても無駄よね)
店主の攻めによりウィジェッタの思考は限りなく鈍くなっていた。
「そろそろ限界だろう?どうして欲しいか言ってみろ」
ウィジェッタ「早く私を犯して下さい(早く私を犯して下さい)」
ついに心と体が合ってしまった、これまでに感じたことのない興奮に体が震える。
「じゃあ行くぞ」
ウィジェッタの膣内に異物が挿入される、店主の男性器がウィジェッタの体の奥深くまで到達したのだ。
ウィジェッタは挿入されただけでイってしまった。もう何も考えられなくなっていた。
グッポグッポ、パンパン、部屋の中には二人の交わる音だけが響いていた。

179名無しの魔法使いさん:2017/09/07(木) 02:52:28 ID:oGks.X2Q
ウィジェッタちゃんあんな格好してたら催眠かけられてグッポグッポされちゃうのも不可抗力だよね

180名無しの魔法使いさん:2017/09/08(金) 00:08:15 ID:Ou5/14dE
おっと、ちょっと見ない間に新作が増えてて得した気分w
作者様方お疲れ様です、またSS流行るといいなぁ

181リザSS1:2017/12/15(金) 21:58:12 ID:eb80SOps
 魔界の中でも最も昏く陰惨な死の気配が漂う場所──アルドベリク領。
 魔物たちでさえ寄り付かない城の一隅で、リザはひとり沈鬱な表情を浮かべていた。
 広間からは楽しそうな騒ぎ声が聞こえてくる。ベリカントたちをやっつけ、ルシエラを取り戻したことをみんな銘々に祝っているのだろう。
 もちろん自分もその中にいるはずだったのに。リザは顔を歪めて居ずまいを正した。
(なんでこんなときに……っ)
 宴会の途中でこっそり抜け出してトイレへ──人間であるリザとリュディのために特別に作られた個室へ駈け込んできたのは、体調が悪かったからではない。
 リザはそっと自分の下腹に手をあてがう。
「ん……っ」
 熱い──まるで身体中にお湯が流れてるみたいな、なまぬるい感覚。
(ベリカントのやつ……っ)
 まだ少女らしさを色濃く残す柔らかな唇を甘く噛む。自らの身体に起こっている異変、その理由はわかっていた。
『しかしいくら人質とはいえ、ただお前をアルドベリクに返してしまうのは惜しいものだ』
 それはリュディたちによって救出される少し前のこと──ベリカントに捕えられ、睨むことでしか抵抗のできないリザの身体を舐め回すように、
薄汚い鎧の奥でぎらりと目を光らせながらやつはそう言ったのだった。
『どうだ小娘、アルドベリク亡きあとお前には行き場がないだろう。特別に俺が面倒を見てやってもいい』
 翻ったミニスカートを歯牙にもかけず、リザは鼻を鳴らした。
『ふん、おあいにくさま。残念だけどあんたみたいな雑魚がアルドベリクに勝とうなんて笑い話もいいところね。私が人質? 相手は魔界の王よ、
 そんな馬鹿みたいな提案を言い終わらないうちに、アルドベリクはあんたをぺちゃんこにしてしまうに決まってる』
『くくく、口の減らない小娘だ。だがそういう跳ねっ返りの強いところも気に入った』
 リザはべーっと舌をだしてみせる。
『たしかに一度お前を手放せば二度と自分の意志では戻ってこないだろうなあ、それはわかった……。ならば、どうしても俺の元へ帰って来ざるを得ないようにするというのはどうだ?』
『だからそんなことはありえないって言ってるのよ。誰があんたみたいな気持ち悪いやつにまた会いたいなんて思うってわけ?』
『ああ……しかしお前があちらに戻ったとしても、もう元の生活には戻れないとなれば? いや、あるいは俺の想像よりお前の意志が強ければ今まで通りの生活をやっていけるかもなあ』
 泥をすくうようなねっとりした声でベリカントは言う。
『だが俺の見込んだ通りなら、困り果てたお前はすがるようにして俺のもとに帰ってくる。なぜならお前は“弱い”からだ』
『ふん、馬鹿も休み休み言いなさいって感じね。なにを考えてるか知らないけど、あんたみたいなクソ野郎にすがるくらいならもう一人のとんだクソ野郎様にすがった方が100万倍マシよ』
『ククク……』
 啖呵を切るリザの前で不気味に嗤いながら、ベリカントは砂となって薄れていく。
『ちょっと待ちなさいよ! こんなところに何日も閉じ込められたままなんて、それこそ死んじゃうんですけど』
『安心しろ、これを食べ終わる頃には決着はついているだろうさ。せいぜいアルドベリクが俺に殺されないように祈っておくことだな』
 地響きとともにゆっくり閉まっていく扉の向こうから、ベリカントが赤い果実を投げてよこした。鎧の奥の眼光をにやりと細めながら──。

182リザSS2:2017/12/15(金) 22:01:22 ID:eb80SOps
「んん……はぁ、はぁ……んっ、はくぅぅ……っ」
 それから三十分がたっても、リザはまだトイレの中に籠っていた。遠くの広間では宴会が徐々に賑やかさを増している。軽い爆発音なんかも聞こえてくる。きっとまたクィントゥスか誰かが暴れているんだろう。
 そんなことをぼんやり考えながら、リザはショーツの上で幼気な細指を上下させていた。
「はぁっ……ぁぁ……ん、んっ……ふぁ……っ」
 くしゅ、くちゅ、くしゅくしゅ……っ。
 大胆に脚を開き、じっとりと淫らな染みが浮いたシルクの中心を何度も指先で擦り上げている。そのたびにリザの小さな桃唇からあえかな吐息がこぼれ、狭い個室に反響する。
(私、こんなところで……なに、してるんだろ……っ)
 ぼーっとした頭の中で考えがとりとめなく浮かんでは消えていく。
 早く終わらせなくちゃという焦れば焦るほど、もう少しだけとリザはその行為がやめられなくなっていた。
(もうちょっと……まだ、身体熱いから……もう少しだけ……っ)
 くにくにと柔らかな秘唇の上で指を躍らせながら、リザはうらぶれた後ろめたさに苛まれる。
 それがどういう行為なのか、リザはよく知らない。あるとき魔界に遊びに来たレメモが貸してくれた人間の本の中に、そんなことが書いてあったのを見たことがあった。
 人間には性欲というものがあって、ある一定の年齢になるとそれを定期的に発散しなければならないらしい。幼いリザにわかったのはその程度だ。
 それが──自慰行為がどういうものか、今ではリザは身をもってその甘い刺激の味を知ってしまっていた。
(ムールスはこんなこと、教えてくれなかったのに……っ)
 もちろん彼を責めることはできない。彼は魔界の住人だ。人間の浅薄な欲望など持ち合わせていない。
 唇を噛んで、便座の上に座りなおす。涙が浮かぶ瞳の先には、はしたなくまくり上げられたスカートと、純白のショーツに浮かぶ染みの跡がはっきりと見て取れた。
 ぞく、ぞく……っ。
「はぅぅ……っ」
 リザの腰が細かく震える。それはプライドの高い少女の心が、経験したことのない感覚に目覚めかけている兆しだった。
(ほんっと、最悪……こんなの情けなくて、みっともないことなのに……な、なんでもいいから……はやく、早く終わらせなきゃ……っ)
 リザの脳裏に一人の男の子の顔が浮かぶ。きっと今頃、彼女を探しているだろう。宴会場からだいぶ離れたこの個室ならそう簡単に見つかることはない。ここにいることがばれる前に、早く済ませてしまおう。
「はぁ……はぁ……っ……ん、ぁ……っ」
 意を決したように唇を結んだ少女は、おそるおそる下着の中へと指先を滑り込ませていった。
 ぬる……っ、くちゅ……っ!
「ん、ああ……っ」
 ぬるぬるとした感触に、恥ずかしさで顔が真っ赤になる。砂の街から救出された夜──初めてその“疼き”に襲われ、わけもわからず自らを慰めたとき、リザは自分の股座に溢れるそのべとべとした体液にひどく狼狽えた。
「な、なによ……これ……だんだん、ひどくなってる……っ」
 あとで本を調べて、それが愛液というものだと知った。人によって色や匂い、粘質も様々らしいのだが、リザは特にその分泌量が多い体質のようだった。
 ひどいときは日常生活のさなかでも、ふと疼きに襲われただけで下着が湿るのを感じることさえあった。今朝なんて──、
『どうしたのリザ? なんだか気分が優れないみたいだけど……』
 ぼーっとしていたリザは額に手を当てられるまで隣にリュディがいることに気が付かなかった。
『な、なにするのよこの変態!』
 額にかざされた手を跳ねのけられ、リュディはかなり驚いたようだった。
『ここのところ様子がおかしいから訊いただけじゃないか』
 ショックを受けた様子の彼に胸が痛んだが、リザに謝る余裕はなかった。ジンジンとおなかの奥の疼きが増して、下着が濡れていく感触があった。

183リザSS3:2017/12/15(金) 22:02:07 ID:eb80SOps
(ほんと、リュディったらいつも余計なことしかしなんだから……夜のあいだずっと我慢してたのに……っ)
 そんな恨み言とは裏腹に、いつしかリザはリュディの手のひらの暖かさを思い出しながらそっと自らの中心に指をあてがった。
「う、ぁぁ……っ……すごい……っ」
 ショーツの中で指がもぞもぞとうごめく。下着の上からと直に触れたのでは全然違う。
 二枚に割れた柔らかな花びらが、リザの指をジンジンと炙るように熱を伝えてくる。
 リザはこくんと息を呑んでそのわずかに花開いた柔らかな筋に沿って指を這わせていった。
「んっ……んんっ……うぁっ……はぁ……っ」
 むずむずと震える唇からこらえる間もなく声が溢れてくる。自ずと背筋がピンと緊張する。
 気持ちいい──。リザの頭が、身体が、指先から起こる刺激をそう訴えてくる。気持ちいい、もっと触りたい、と。
 くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ。
「んぁ、は、ぁぁっ……んんっ……っ──っふぁぁ……っ」
 口から湯水のように声が漏れ出るのに呼応して、指先にまとわりつく愛液の量もどんどん増えていく。
(ああ……あそこ、どんどん溢れてる……っ! や、やだ……こんなの、漏らしちゃったみたい……っ)
 くちゅくちゅと指の隙間から溢れて、ショーツに点々とはしたない染みができあがっていく。だからといってもうリザの手指が動きを止めることはなかった。
 全身を桃色に上気させて、忙しなく“アソコ”を擦りたてる。背徳の自慰行為にのめり込んでいく。
(触ったところ、ピリピリして……からだの奥のむずむずといっしょになって……ああっ、ふわって、蕩けるみたい……っ)
 リザにはもう広間の歓声などぼんやりとしか聞こえていなかった。純白のショーツの内でぐちぐちと一心不乱に指をうごめかせて、雪解けのような甘い吐息をこぼすばかりだった。
     *
「ぁ、うう……は、くぅぅ……〜〜〜ああっ」
 雌鹿のような甲高い、かすれた鳴き声を上げて、リザは何度目かの軽い絶頂に達した。
「ふあぁぁぁ……っ……っ……ぁぁ……っ」
 気持ちよさそうに目を閉じて、全身で快楽の蜜を味わう。絶頂の直後は身体が鉛を詰められたように重くなった。気怠さや億劫さとは違う。幸せがずっしりと雪のように身体を包み込むような感覚だった。
 半開きの口から涎がツゥと垂れ落ちるのも気にせず、リザはオナニー絶頂の余韻に浸りきる。
(はぁぁ……すごい……こんな……きもち、いいの……頭が真っ白になって……なにも考えられない……)
 ビクッ、ビクッ──ビクンッ……!
「んあっ……っ♪」
 身体がドロドロに蕩けたような感覚とは裏腹に、腰から下が細かく卑猥な痙攣を繰り返す。それもまたリザの身体が味わっているアクメの余韻のひとつに違いなくて──。
「ふぁぁ……っ」
 ぞくっぞくっ、と淫らに身体が震えるのと一緒に快感が染み込んでいく。
 絶頂の波がゆっくり引いていくと、リザは名残惜しそうに美しい眉をひそめた。
「あ、ああ……ん、っ……また……っ」
 再び疼きが全身によみがえってくる──しかも絶頂の前よりもさらに激しい欲求をともなって。
 半刻前からもうずっとその繰り返しだった。
(どう、して……なんで、全然収まらないのよ……っ)
 果たして終わることなんてあるのだろうか──その恐ろしい問いを頭の隅に追いやって、リザは再びオナニーを始める。
 ぐっちゅ、ぐっちゅ、ぐちゅ、ぢゅぢゅっ。
 甘ったるい蜜音が個室にこだまする。
(んんっ……これ、イッたあとだから……すごい、敏感に……っ)
 今ではもう弄りやすいようにはしたなく片膝を立て、愛液で濡れそぼった幼い膣口が丸見えになっていた。ショーツはとっくの昔にずり下ろされ、片膝のあたりに白旗を上げたようにぶら下がっている。
「もっと……もっと、刺激強くしなきゃ……こんなんじゃ、いつまでたっても、終わらないもの……っ」
 自分に言い聞かせるも、その唇はふにゃりと笑みを浮かべるようにたわんでいる。説得力なんてまるでない。
 あるのはただ脳と身体に刻み込まれた真新しいアクメ快楽を追求することだけ──それが毒果実に込められた呪いだとも知らずに。
 度重なる手淫でぽってりと快楽蜜を含んだ熟れた果実の奥へリザは指先をうずめていく。

184リザSS4:2017/12/15(金) 22:04:52 ID:eb80SOps
「はあぁぁ……ぬるって、はいってぇ……すご、い……きもち、いい……っ」
 はじめは指一本やっと入るか入らないという具合だったのに、股座に溢れる愛液のおかげか今では難なく二本目も呑みこんでしまいそうだ。
 そんな考えにぶるりと背筋を震わせるリザ。そして今のリザに、ひとたび思い浮かんだその考えを押しとどめることはできなかった。
 くちゅ、ぬ、ぢゅうう……っ!
「あ、ああっ……! はい、る……ゆび、にほんもっ……! はいっちゃってるうう……っ」
 ちっぽっけな処女穴をみちみちと拡げ、中指と薬指がリザの震える身体の奥へ呑みこまれていく。ジンジンと熱い火照りが背筋を駆け巡り、おなかの奥がぎゅうっと切なくなる。
 染みひとつないふとももがブルルッとわななく。引き潮になっていたはずのアクメの感覚が、再び大きな波を起こした。
「はぁっ……はぁっ……んんんっ──い、く……あ、ああっ……いれた、だけで……また、イクっ、イッちゃう……っ」
 端正な顔を悩ましくしかめ、興奮に鼻孔を膨らませ、膝立ちになった足の五指がぎゅっと縮こまる。
 二本の指にいたいけな膣襞がうねうねと絡みつく感触だけで、リザが絶頂に達しようとしたそのときだった。
「──リザ? ここにいるの?」
「え……っ!?」
 唐突に扉の向こうから聞こえてきた声に目を見開く。いや、きっと足音はずっと聞こえていたのだろう。リザが夢中になりすぎていただけで。
「リュ、リュディ……?」
 おそるおそるリザは訊ねる。──二本の指先を咥え込んだまま、今にもはちきれそうな絶頂にもじもじと細かく腰をくねらせながら。
「ああ、よかった。やっと見つけたよ。もう一時間も姿が見えないからあちこち探してたんだ」
 それから少し言いよどむような間が空く。
「どこか具合が悪いの?」
『はぁ……はぁ……』とどこからか興奮した呼吸の音が聞こえる。それが自分のものだと気づくまでリザはしばらく時間がかかった。
「う、ううん大丈夫……なんでもない、から……っ」
 言葉にできたのはそれだけだった。
 おかしなことに、リュディと扉一枚隔てて会話しているこんな状況でも、身体の奥から湧き上がってくるジクジクとした疼きは一向にやまなかった。それどころか──、
「んんっ……あ、んぁぁ……っ」
 どろり、と。二本の指の間からひときわ粘り気の強い愛液が垂れてくる。まるで蜜飴のように糸を引きながら。
(や、やだ……わたし、もしかして興奮してるの……? リュディがすぐそこにいるのに……こんな、はしたない格好してるのに……っ)
「……アルドベリクが君はどこにいるんだってしつこいんだ。あの人はいつまでたっても僕らを子ども扱いする」
 弁解がましくリュディは言う。きっとリザにまた余計なお世話だと怒られると思っているのかもしれない。
 だけどリザはそれどころじゃなかった。
(だ、だめ……指が、勝手に……動いちゃうっ……! だめっだめえっ……リュディが、すぐそこにいるのに……っ)
 くちゅ、くちゅ、ぐぢゅ……っ!
 この半刻でだいぶ疼きは収まったはずだった。少なくともリザはそう思っていたのに。
 いったい身体のどこに蓄えられていたのか、さっきまでとは比べものにならないほどの興奮がおなかの奥から湧き上がってくる。
「ルシエラだってそうだよ。僕が君と一緒にいないと、当たり前のようにリザはどこですかって聞いてくるんだ。まるで僕が君のそばにいないのを咎めるみたいにさ」
「う、うん……そう、ね……っ」
 震える声で相槌を打つ。リュディに“リザ”と口にされるたびにどきっと身体が粟立ち、身体に穴を開けられるような切なさが押し寄せる。
 ゆっくりと自らの股座から指を引き抜こうとすると、まるでそれを拒むようにぎゅうっと粘膜が絡みついてくる。
(だめ、だめぇ……っ! リュディの前なのに、なんで……こんなっ……ふあっ、あっあああっ、も、もう……我慢できない……っ)
 指の先まで抜きかけていたのに、再び柔粘膜の奥へにゅぷにゅぷと沈み込んでいってしまう。

185リザSS5:2017/12/15(金) 22:06:17 ID:eb80SOps
「ふああぁぁ……っ」
 桜色の唇が半月を描き、リザは快楽を搾り出すようにため息をつく。
 扉の向こうから息を呑むような気配が伝わってきた。声が聞こえてしまったのかもしれない。そう思うと身体の芯からリザは震えた。もちろん恐怖からなどではない。
(私、興奮しちゃってるの……? リュディのすぐそばで……こんな格好で、恥ずかしいことして……これじゃ、私が変態みたいじゃない……っ)
 やめなくちゃと思うのに。手が言うことを聞いてくれない。立てた膝の上に頬をのせて二本の指で割り開かれた花唇を見下ろすと、濁った白蜜がトロリと滴り落ちていた。
(でもでも、リュディの声聞きながらオナニーするの、すっごく気持ちいんだもん……っ)
 ぐち、ぬち、と狭い肉壺の中で指を攪拌させると、それだけで腰が抜けそうなくらい気持ちがよくて。もはやリュディに知れても構わない──いやむしろ知ってほしいとさえ思ってしまう。
 全身を朱く上気させ、汗びっしょりになってオナニーしているこの姿を見たら、リュディはどんな顔をするだろう──?
「はぁぅぅっ……っ」
 そんなことを考えただけで、胸を串刺しにされるような背徳感に淫らな喘ぎ声がこぼれる。
「それじゃあ僕は戻るよ……ここにずっと立ってても君が落ち着かないだろうから」
「あっ──ま、待って……リュディ……っ」
 自らを慰めながらリュディを引き止める。もしリュディに本当のことを言ったら──ベリカントのおかしな果実のせいで身体がどうしようもなく疼いてしまうのだとリュディに伝えたら、彼はどうするだろう?
『また君の悪い癖だ。僕をからかってる』そう言って相手にもされないだろうか。それとも、この終わりのない疼きを一緒に鎮める方法を探してくれるだろうか──?
 きっとリュディなら一緒に解決策を探そうと言ってくれるだろう。
 想像の中で二人は薄暗い寝室にいる。ベッドに腰掛けたリザは顔を真っ赤にして脚を大きく開いている。
 目の前に座るリュディに顔を見られないようにぷいと顔を背け、恥ずかしさに身を焦がしながらも、ドキドキと胸の鼓動を高鳴らせている。
『じゃあ、いいんだねリザ……?』
『う、うん……痛くしたら許嫁ポイント減点だから……っ』
 リュディはどぎまぎしながらも、リザのよりひとまわり太い“男”の指を疼きの中心へそっと潜り込ませてくる──。
「ふあ、ああっ……りゅ、でぃぃ……っ」
 想像の中のリュディの動きに合わせてぎこちなく指を動かすと腰がびくびくっとばかみたいに跳ねあがった。想像の中の愛撫だけで、あっという間にリザは絶頂のとば口へと連れていかれる。
「りゅ、でぃ……っ! も、もう、わたし……んぁっ、ああぁぁっ……っ」
 ぢゅく、ちゅくっ、ぢゅぷ、ぢゅぷっ!
 興奮の波に理性が押し流されていく。目の前がちかちかと瞬き、身体のすみっこまで甘い快楽の痺れが駆け巡る。
「リザ? もしかして本当にどこか具合が悪いんじゃ……」
「リュディ……っ! わたし、わたしぃ……ふあぁぁっん」
 声が抑えられない。ぢゅぽ、ぢゅぽと指を抜き差しするたびに、恥ずかしさと快感と背徳感とがない交ぜになって涙がこぼれる。
「待っててリザ、今ムールスを呼んでくるから」
「あ……ま、待ってリュディ! も、ぉ──い、いく……から……っ!」
「なに? なんて言っての、リザ?」
「もう少しで……い、いくの……いっちゃう、から……っ! そこに、いてぇ……っ」
「無理に戻る必要はないよ。君はたぶん、まだ疲れがとれてないんだ。あんなやつらに攫われたあとだし、それに──」
 リュディがすぐそこで心配してくれているのに。許嫁のすぐ目の前で自分はなんて恥知らずなことをしているんだろう──。
「ううん、もうイッちゃう……いくのっ、すぐイッちゃう……もう少しでぇ……んあぁっ、はぁっ……イク、からぁっ……んんぅぅっ」
「リ、ザ……?」
 ぢゅぷっぢゅぷっぢゅぷっぢゅぷっ!
 扉の向こうに聞こえるほど激しく、柔らかい粘膜に包まれた二本指を上下左右にほじくりまわす。足の先がぎゅうっと縮こまり、子宮の奥から昇ってくるアクメの予兆に全身がぶるんっと大きく震えた瞬間、
「あっあっああっ、ぁくひっ──いくっ、イクッイクッ……りゅ、でぃっ──あああっいっくううぅぅっ……♡♡」

186リザSS6:2017/12/15(金) 22:07:53 ID:eb80SOps
 頭の中でいくつもの光がパチン、パチンと弾けた。
 息が詰まるような激しいアクメが一秒、二秒と続く。その何十倍もの時間に思えるほど、濃く甘い快感の波間をリザは揺蕩う。
「りゅ、でぃ……わたし、イッちゃったぁ……ふぁ……あぁっ……んんんっ──はっ、ひっ──ふぇえぁっ♡」
 全身の筋肉が弛緩してふっと力が抜け、立てた膝が崩れる。魔力を全部出し切ったときのような無力感と、経験したことのない多幸感。
 ふいに、しょろしょろとなまあたたかい感触が手の内に起こった。
「あ、あれ……わたし……う、うそぉ……」
 快感に呆けた顔で見下ろすと、淡黄色の体液が不規則に溢れ出ている。
 どうやらあまりの気持ちよさに身体中の隅から隅まで弛んでしまっているらしかった。
「や、やだ……こんな……うう、んんん……やぁぁ……っ」
 ちょろ、ぢょろろ……ちょろろぉっ……。
 だが今のリザには、身体の内側を止めどなくを流れていく金色の奔流さえも、涙が浮かぶほどの快感となって絶頂を後押してしまう。
 無理に息んで閉じようとすると、それだけでびくっびくっと腰が跳ねて、果汁を搾るようにまた新たな絶頂感が沸き起こった。
(う、うそ……わたし、また──い、いやっ……こんなの……おしっこ止まって、止まってよぉ……また、きちゃう……リュディの目の前で、おもらししながら、イッ……くぅぅ……っ!
 うううっ♡ あ、だめ、いくっ、だめぇぇ……おねがい、リュディ聞かないで……いく、も、わたし、イッちゃう、イク、いくっ……い、くぅぅぅ……〜〜〜っ)
 ガクッ、ガクッ──ガクガクッ!
「んんんぅぅぅぅっ♡♡」
 唇を噛み締め、声を漏らすまいと懸命に努力しながらも、リザの頭の中にはもうそれだけしか浮かばなかった。
 気持ちいい──オナニー気持ちいい、おまんこアクメ最高。指でぐちゅぐちゅっていじめるのも、びくんって身体が跳ねるのも、イキながらおもらしするのも、気持ちよすぎる。
 そしてなにより──大好きな許嫁の目の前で、ばかみたいにイキまくるのが死んじゃうほど気持ちいい。最高──。
 声はしないけど、リュディがまだそこにいることはわかった。息をひそめてなんて声をかけたらいいのか様子をうかがっているのだ。
「あ、あのね……リュディ……っ」
 自分が今なにを言おうとしてるのかを考えると顔から火が出るほど恥ずかしい。普段のリザなら口が裂けてもそんなことは言わない。
「前に言ってたでしょ、“許嫁ポイント”今どのくらいか知りたいって」
 でも今は、そんなことより優先すべきことがある。リザにはそれがわかる。もう抗おうとも思わない。なぜならそれはとても素敵なことなのだから。
「特別に教えてあげてもいいわよ……ただ──」
 ──たとえそれが彼女を堕落させる悪魔の果実の仕業だとわかっていても。
「ちょっと、ね……? リュディに手伝ってほしいことがあるの……♡」
 全身から迸るように煮え立つ疼きは、まだまだ収まりそうになかった。

187リザSS終:2017/12/15(金) 22:10:26 ID:eb80SOps
リザ×リュディ見てたらムラムラしてやってしまいました;
お目汚しすみません
リザちゃんいつもあんな短いスカートで誘惑してたら
いつかリュディ君に襲われるに違いない・・・(確信

188名無しの魔法使いさん:2017/12/18(月) 15:25:01 ID:qt0peEy6
発情リザぐうエロ
魔族用の媚薬は人間には強すぎたようだね

189名無しの魔法使いさん:2017/12/19(火) 21:46:07 ID:PSNmyja6
このあとリュディとめちゃくちゃセッk

190名無しの魔法使いさん:2017/12/26(火) 21:47:34 ID:etmr9n.M
久々にSS書いてたんだけど、本当に久々でうまくまとめられなくて超長くなってしまって途中で諦めたけどもったいないのであらすじだけ紹介

暴走して手当たり次第にパーツをくっつけて暴れるロボと路地裏で相対するエニィとクラン
とりあえず近くのクラックハンド隊メンバーに応援要請して時間稼ぎ中
そこにたまたま通りがかってしまった一般男性
驚愕に固まっていたがロボの銃口が年下(であろう)美少女達に向いたのを見て咄嗟に射線に身を投げ出して腕を撃ち抜かれて気絶

目が覚めると病院
エニクラからクラックハンド隊であることと戦闘に巻き込んでしまったことの謝罪やら治療は全面的にクラックハンドで面倒見る的な説明を受けるも、勘違いで逆に迷惑をかけたことと腕が切り取られて義腕をつけられるようにメカメカしい処理をされているのを確認したショックと美少女二人に気を使われまくるというどうしようもなくカッコ悪い現状を自覚して
「いや、美少女に目がくらんで出来もしないのにあんなロボから人を助けようとか自業自得なんで」とか
「こんな美少女に気を使われるなんて本当に申し訳ないというか…」的にネガティブに美少女美少女言いまくり、クランがついに切れる
「美少女って言い過ぎ!恥ずかしいからもう止めてよ!私達も悪かったんだから…」

互いに気を使いあうばかりでグダグダになっていくなかエニィがクランを病室の隅に呼んでひそひそ話
クランは当然生殖機能はないが性交の機能は搭載されているらしい、せっかくだからお詫びに試してみたらどうか
なんなら私も興味あるし的な内容
「はあ!?そ、そんなこと出来るわけないでしょ!?」
「でも手がなくなって義腕ができるまでは私達がお世話するってことになってるし、このまま謝りあってても仕方ないし…なによりクランもこの人のこと嫌いじゃないでしょ?美少女って言われて凄いてれてたもんねえ」
「えう…いや…それは…その…身をていして庇われて美少女美少女言われたらそれはまあ多少は…」
男「?」

実は元人間のアンドロイドであることをカミングアウトしつつも別にこんだけ美少女ならなんも問題なくね?歳も取らないんでしょ?とか男はあんまり気にした様子もない
なんやかんやでやる
何故かやたら感度良く設定されていたクランボディ
ついでにノリで彼氏彼女になっちゃうことに
共鳴で発情したエニィ、いったばかりの男に覆い被さるが私の彼氏とらないで的なクランに、「じゃあ私に子供が出来たら私と一緒にクランも子供のママになってよ、パパも子供も私達の家族ってことでそれでおあいこ」
「えぇー…確かに私は子供できないからそれはそれで魅力的な提案だしこの機会を逃したらこんな話二度とないかもしれないし…」
ノリと勢いで養子とかの冷静な判断が出来なくなってるクラン了解
エニィに中出し

なんか適当にオチ

191名無しの魔法使いさん:2017/12/26(火) 21:53:59 ID:etmr9n.M
サクッとやって逃げていく行きずりレイプ団は優秀だったと再認識w

192名無しの魔法使いさん:2018/01/01(月) 14:07:40 ID:NxPwzvbk
文章に凝り出すとなかなか書けなくなるよね

193名無しの魔法使いさん:2018/01/01(月) 14:08:50 ID:NxPwzvbk
ジークが現れなかった世界線で売春宿に売られてしまったナディちゃんの初めてのお客になりたいです

194名無しの魔法使いさん:2018/01/15(月) 10:44:15 ID:2npu36Go
リザSS読んで監禁シャロン様思い出した
同じ人かな?ゴチです

195名無しの魔法使いさん:2018/01/16(火) 22:02:13 ID:hyvy4s5Y
>>194
まさかばれるなんて
シャロン様も去年のXmas絵が可愛すぎて勝手に昂ってます

196名無しの魔法使いさん:2018/01/17(水) 13:55:18 ID:2z/fK3qE
俺もシャロン様思いだしてた
本当にご本人でしたか
息子がお世話になっております

シャロン様本編で幸せそうなので二次ではハイエースとか快楽堕ちNTRみたいなのを見たくなりますよね

197名無しの魔法使いさん:2018/01/18(木) 23:02:48 ID:PJ4J6hHE
>>195
当たってしまった
確かな文章力に裏打ちされたとめどない背徳感と迸るエロさがたまらなく最高です
また投稿してください

198名無しの魔法使いさん:2018/01/20(土) 18:07:57 ID:6YBcRjTU
大人シャロン様すばらしいですよね
あの幸せそうな笑顔を快楽でとろとろにして差し上げたい
魔族に捕まって調教された後遺症で毎晩テオに淫らなおねだりをするシャロン様とかをですね・・・!

199名無しの魔法使いさん:2018/02/22(木) 21:06:46 ID:MhDHLFJE
アウトランダー終わったらシトラちゃんで一本書くんだ。。。

200【八百万】ミコト様と神んぐと。【神秘譚】1:2018/05/18(金) 13:39:45 ID:eg/ZOr46
昼間からお前は何を投下しているんだと小一時間。
お久し振りです(生存報告)
5/30が八百万神秘譚1の実装から3周年だけど、多分その頃は投票券集めでそれどころじゃないと思うので。
ちょっとでも面白いと思っていただけましたら幸いです。

【八百万】ミコト様と神んぐと。【神秘譚】


 ――都の外れ。
 手入れされている様に見えるが、『朽ちた様に』感じてしまうのは、この社に奉納されているはずの<謳>が力を失ったからか、それとも。
 鳥居を潜った先にある社殿を見、ミコトは小さく息を飲んだ。
 昏く澱んだ空気が、目に見えるかの様だ。
「……アタシらが来た時と、だいぶ様変わりしてんな……」
 そう、ハヅキが呟く。
 ハヅキとツバキの二人は、一度この社を訪れていた。――紬姫と、共に。
 昼なお昏く鬱蒼とした空気の中を、『ケケケケッ』とけたたましい嗤い声を響かせて、魑魅魍魎が闊歩する。
「結界が喪われたから、でしょうか……」
 呟くツバキの脳裏に、セイの声が響く。
(――結界が解かれたから、というよりは、信仰を喪ったから、が近いかもしれないな。元より、そういった『場』は、力を喪うとあっという間に穢されやすい)
(よーするに、『汚れていない場所は汚しやすい』ってこった)
 セイに続けてスオウがそう言うと、
「ふーん、そういうもんか」
 ハヅキが解った様な解らない様な声で呟く。
「――? ハヅキさん、どうかしました?」
 不意にハヅキの一歩前に立っていたミコトが振り向いた。
 当然ながら、セイの声もスオウの声もミコトには聞こえていない。
「なんでもない」
 気にするなという様にハヅキが手を振ると、ミコトもそれ以上深くは追及しなかった。
 近寄ってくる妖魅を斬り伏せ、または調伏しながら一行は奥へと進む。
 ――社殿の傍に辿り着くと、キュウマとトウマ、キリエは境内の方に向き直る。
「今は結界が喪われているので構わないのかもしれませんが……一応此処は、男子禁制ですので」
「……ハヅキ、ツバキ……ミコトを頼む。ミコトは……」
 其処で一旦言葉を切ったのは、何と伝えたら良いか考えている様だった。
 言葉が決まったのか、キュウマは顔を上げ、
「……頑張れ」
 端的にそう告げる。
 頷いて、ミコトはキュウマから背を向ける様に踵を返し、重い扉に手を掛ける。
 古い木の扉が、まるでミコトたちを飲み込むかの様に、ゆっくりと開く――


 社の中は境内と違い、妖魔の姿は見当たらなかった。
 拍子抜けした様に、ミコトたちは奥へと進む。
 ミコトだけは社殿の中を物珍しそうにきょろきょろと見ているが、ツバキとハヅキは一度紬姫と来たことがあるからか、ミコトの様にきょろきょろはせず、周囲に注意を払っている。
 奥の院の前に着くと、ミコトがごくりと緊張に息を飲んだ。
「アタシらが付き添えるのは、此処までだ」
「一応、この中までは立ち入り禁止ってことだったの。でも、何かあったらすぐ呼んでね」
 ハヅキとツバキに頷き、ミコトは精緻な細工の施された扉を押し開ける。
 ――奥の院の中は六畳ほどの広さだった。奥に祭壇と、神棚が在る。
 ミコトは緊張した面持ちで、懐から神楽鈴を取り出した。
 しゃん、しゃん――と涼やかな鈴の音色が響く。
 ――その鈴の音に混じって、「カタン」と小さな音がしたことに、祝詞を奏上していたミコトは気付いていなかった。
「高天原に神留坐す神漏岐神漏美の命以て――」
 ガタンッ
 一際大きな音が響いて、ミコトの意識はトランス状態から急に現実に引き戻された。
「え、何……!?」
 ミコトの目の前で、神棚に置かれた金銀で蒔絵の施された螺鈿細工の文箱の蓋が、ガタガタと揺れる。
(まずいっ――)
 そう思ったが、間に合わなかった。
 文箱から飛び出して来た黒い『何か』が、ミコトに襲い掛かった。

201【八百万】ミコト様と神んぐと。【神秘譚】2:2018/05/18(金) 13:42:11 ID:eg/ZOr46
 ――カシャン!
「お?」
 ツバキと警護に当たっていたハヅキは、鈴の音を聞いて眉をひそめた。
「今なんか……鈴が落ちる様な音しなかったか?」
「したわね、確かに」
 ハヅキの言葉に、ツバキが頷く。
 二人は一瞬顔を見合わせてから、ハヅキがこんこんと扉をノックした。
「おーい、ミコト? 大丈夫かー?」
 ハヅキがそう声を掛けるが、返事はない。
「っかしーなー。聞こえないとは思えないんだけど」
「集中してるのかもしれないわ」
 ツバキはそう言って、今にも扉を蹴破りそうなハヅキを牽制するが――嫌な予感がするのは、ツバキも同じだった。
 それは、スオウとセイも同じだった様で、
(嫌な予感がする……)
(おいハヅキ、構わんから扉斬っちまえ!)
 スオウにけしかけられたから、というわけではないたろうが、ハヅキは待ってましたとばかりに室内に飛び込んだ。
((ミコト!!))
 部屋の真ん中で、ミコトはぼんやりと座り込んで居た。
 虚ろな表情。目を開けてはいるが、その瞳は何も映しては居ない。
(――チッ!)
 セイは、彼にしては珍しく舌打ちし、文箱の近くを漂っていた邪気の残滓の様なものを斬り伏せた。
 そして気付く――
(これか!)
 セイは文箱の蓋を取り上げ、中を覗き込んだ。
 中には既に力を喪った千年前の和歌の短冊が入っているだけだが――
(いや、これだ!)
 文箱の蓋をひっくり返し、セイは自分の考えが正しかったことを知る。
 ――蓋には、呪符が貼り付けられていた。
(くそっ!)
 してやられたことが、歯噛みするほど悔しかった。
 男子禁制のこの社の結界が解かれてから、赤火が仕掛けたものに違いない。
 よく見れば、文箱の中も外も、短冊の裏にも呪詛が書き込まれている。
 幾重にも重ねられた呪いによって生み出された瘴気が、ミコトの魂を飲み込もうとしている。
(――どうする?)
 セイがスオウを見ると、スオウは苦々しげな表情を浮かべていた。
 恐らく自分も似たような表情を浮かべているだろう。そう思いながら、セイはスオウの言葉を待った。
(此処まで深く入り込まれた以上、オレたちで追い出すしかねーだろう)
(……だな)
 頷くセイに、それまで話の邪魔をするまいと固唾を飲んで口を噤み、二人の話を聞いていたハヅキが声を荒らげる。
「おい、スオウ。ミコトは無事なのか!?」
「表に居るトウマさんたちを呼んで来ましょうか」
 ミコトを心配するハヅキとツバキに、スオウは困った様に言った。
(なあハヅキ。ちっとばかし体を貸して欲しいんだが……)
「はあ!? 今だって十分貸してるだろ!?」
(そうじゃなくて、意識ごと。ハヅキの意識眠らせて、体をまるっと貸して欲しいんだ)
「ンなこと出来るわけ……!」
 怒髪天を衝かんばかりのハヅキを、ツバキが手を差し出して牽制する。
「――それは、ミコトさんを助けるのに必要なことなのね?」
 質問というよりは、確認の様だった。スオウではなくセイに問うツバキに、セイが頷く。
 ツバキは軽く肩を竦め、
「解ったわ。それなら私の体、貴方に貸し出すわ」
 そう言って、ハヅキに向き直る。
 ハヅキも「ミコトのため」と解れば、断るつもりは無い。
 無い――のだが。
「変なことしたら承知しねーからな!」
 それだけ言い残して、ハヅキとツバキが眠りに落ちる。
 スオウとセイは、二人の意識が眠ってから、『本来の姿』を取る。
 『外』に取り憑いたものであれば、斬り離すことも出来るのだが――体内に入り込まれた以上、セイとスオウの神力でミコトの中から追い出すしか無い。
「ミコト……悪いな」
 スオウは一瞬だけ申し訳なさそうな表情を浮かべてから、
「……」
 ぼんやりと座り込んだままのミコトの顎に指を掛け、くいっと上向かせてから、その桜色の唇に吸い付いた。

202【八百万】ミコト様と神んぐと。【神秘譚】3:2018/05/18(金) 13:43:15 ID:eg/ZOr46
 舌を絡めるスオウに、ミコトが応じる事はない。
 セイがミコトを後ろから抱きすくめる様に、腰の後ろから手を回し、ミコトの袴の裾から指を忍ばせる。
 陰核の包皮を剥いて愛撫を施しつつ、割れ目に沿って指を這わす。
「……濡れてないな」
「交代しよーぜ」
 スオウはミコトから唇を離し、ミコトの屈み込んだ。代わってセイが、ミコトに口づける。
 ミコトの膣に舌を潜り込ませていたスオウが、舌打ちして顔を上げる。
「ダメだな。濡れない」
「神経が断絶されていると見た方がよさそうだな」
「しゃーねえ。少し荒っぽいが――」
 スオウはミコトの耳元に顔を寄せ、素早く囁いた。
「ちっと痛いと思うが、我慢してくれよ、ミコト」
 ズン、と徐にいきり立った肉棒が突き挿れられ、ミコトの体がびくりと痙攣する。
「……あ……」
 ミコトの瞳がほんの僅かに揺らぎ、小さな声が洩れる。
「相っ変わらずキツい締め付けだな……」
 続けて、セイが後ろから挿入する。
「や、あ……」
「ミコト。動かすぞ」
 セイとスオウはミコトの腰を抱え、その細い肢体を持ち上げ、
「〜〜〜〜っ!!」
 そのまま勢いよくミコトの体を下ろした。
 子宮口を突き上げられたミコトが大きく仰け反る。
「――お? 濡れてきたか?」
「あ、はっ……」
 子宮口が突かれる度に虚ろなミコトの瞳が小刻みに揺れる。
 そして――
「……は、っあ……スウちゃん、セイちゃん……?」
 虚ろだったミコトの瞳が徐々に焦点を結び、スオウとセイを認識する。
「ミコト。――良かった」
「意識が戻ったんだな」
「どっか、体に違和感は無いか?」
 スオウに問われ、ミコトは少し考えてからふるふると首を横に振った。
「大……丈夫。スウちゃんと、セイちゃんが……わたしの中に入っているの……ちゃんと、解る……」
 恥ずかしそうにそう言ったミコトは、
「――ひゃうっ!?」
 不意に下から突き上げられ、快楽に身を震わせた。
「ちょ、セイちゃ……スウちゃん、らめぇ……」
「ミコトの体内に入り込んだ瘴気を追い出すから、ち少し我慢してくれ」
「それに――」
 言ってスオウはニヤリと不敵な笑みを浮かべた――ミコトにとっては不吉極まりない笑みを。
「こんだけ『此処』をひくつかせておきながら、『ダメ』ってのは説得力が無えぞ、ミコト」
「ひぅっ!」
 それは指摘されるまでもなく、ミコト自身気付いていた。
 突かれるたびに、子宮が疼く――体がもう、スオウとセイの愛撫と精液を求めている。
「ミコトが下界に落とされてから、ずっと我慢しっぱなしだったからなあ。ちっとばかし濃いと思うぜ」
 スオウの言葉に、ミコトが耳まで真っ赤にして俯く。
「――ミコト。俺たちがお前の中に神力を送り込んで瘴気を追い出すんだが」
「確実に弱らせたいから、オレたちが射精(だ)してる間、声が出ない様に口を押さえておくことって出来るか? 無理なら無理で別にいいんだが」
「う、うん、頑張……るっ!」
 途切れ途切れに何とかミコトがそう答える。
 ――因みに、ミコトの声が途切れているのはスオウとセイに体を上下されているからなのだが、それはともかく。
「はあ、はあっ……」
 瘴気に意識を奪われて芒洋としていた瞳は、今は霞がかかった様にとろんとしていた。
「セイ、ちゃん、スウ、ちゃん……わ、わたし、もう……!」
「ああ、オレたちも、そろそろ――」
「射精(だ)すぞ、ミコト!」
 ズン、と一際深く突き挿れられ、ミコトの体が痙攣する。
 ミコトは必死に口を押さえ、喘ぎを飲み込んだ。
 ――体の中に入り込んだ『何か』が、子宮と腸を満たすスオウとセイの神力に当てられ、パキパキと崩れていく。
「はぁっ……〜〜〜〜、ごほっ!」
 ミコトが咳き込むと、黒い靄の様なものが、ミコトの口から溢れ出す。
 その『靄』は弱々しく漂った後、幻の様に溶けて消える。
 それを見届けてから、ミコトは二人の間から立ち上がろうとし――
 がっしと腕を掴まれて、思いきり頬を引き攣らせた。
「あ、あの、スウちゃん……? セイちゃん……?」
 セイとスオウは、恐怖に震えるミコトににっこりと――とてもとても爽やかで朗らかな笑みを浮かべた。
「またこんなことがあったら困るからな。ミコトの体に魔除けを施しておかないとな」
「魔除けと言う名の刻印だよな。『ミコトはオレのもん』っていう証というか」
「というかぶっちゃけ離れてた間の相手してほしい」
「全力でセイに同意」
 口々に勝手なことを言い、にじり寄る男二人に、ミコトが顔を青ざめさせる。
「あの……ちょ……結局こうなるのー!!!???」
 ミコトの絶頂の叫びが、社の中に響き渡った。

203名無しの魔法使いさん:2018/05/18(金) 13:48:54 ID:eg/ZOr46
すみません、相も変わらず間借りさせてもらいましたw
「身バレしてんのにようやるよ!」と自分でもツッコミ入れたくなります_(:3 」∠)_←どうでもいい。
ご存知の方はご存知かもしれませんが、R18は今までと変わらずこちらに置かせて頂けたらと思います。
というかめっちゃ久し振りにR18書いたら顔から火が出そうなくらい小っ恥ずかしくて悶死寸前ですorz
それでは皆様も、お互い後半戦、今日からの投票券集め頑張りましょー(ユ○ケルを片手に)

204名無しの魔法使いさん:2018/05/22(火) 00:18:40 ID:Mvi5ImCY
身バレはなんのことか分からないけどお久し乙乙!

205名無しの魔法使いさん:2018/09/29(土) 20:26:51 ID:gwr08d0o
一応此処にも報告だけ_(:3 」∠)_
いつもの【】【】の者です。いつも間借りさせてもらってすみません&いつもありがとうございますm(_ _)m

保管庫に
・腐要素あり。
・獣姦的な要素あり。
・お漏らしあり。

という書いてる本人だけがひたすら楽しい特大の地雷原SSを犯させ、もとい置かさせてもらいました。
なお本人は「書いてて楽しかった。折角書いたから何処かに上げたかった」などと供述しておりry

もし地雷原でも気にしないという心の広い方居られましたら、目を通して頂けると幸いです(^_^ゞ

206名無しの魔法使いさん:2018/10/17(水) 03:24:22 ID:06O7Kt5g
ミコトが地上での役目をちゃんとこなして、旅を終えて小さな村に住み着いたところで
スオウとセイが「お前を嫁にしたい。それで迎えに来た」と来るのが浮かんだ。

で、どっちも大事だから選べないと返すミコトに、「じゃあ俺たち両方ともお前の夫で」と決めて、連れてく……

神様が見初めた嫁なら、人間でも連れて帰れるよな多分。

207【魔王と】ゴドー家の日常の時間【天使と】1:2019/05/25(土) 21:52:49 ID:ljj0Q4TQ
【魔王と】ゴドー家の日常の時間【天使と】

 編み編み。編み編み編み。
「…………」
 編み編み編み編み。
「……………………はぁー……」
 アルドベリクはなるべく気にしない様にしていた努力を諦め、深々と嘆息してから手にしていた書類を執務机に放り投げた。
「……ルシエラ」
「何ですかー?」
 アルドベリクが腰掛けた椅子の肘掛けに腰掛け、一心不乱にアルドベリクの髪を三つ編みにしながら答えるその声は、気負いも衒いも一切感じられなかった。
 アルドベリクはもう一度嘆息してから深く椅子に腰掛け直し、頭痛を堪える様にこめかみに指を当てた。
「あのな、ルシエラ……構ってほしいだけなら、仕事が終わってからにしてくれないか?」
「誰が『構ってください』なんて言いましたかー?」
 口調だけ見れば怒っている様にも感じるが、その声色からは『楽しくて仕方がない』という感情が微かに見え隠れしている。
 ふむ、とアルドベリクは口許に手を宛てて考え込んだ。
 構ってほしい訳ではない。怒っている訳でもない。
 心当たりを思い出そうとするアルドベリクの髪を白く細い指で梳き、
「〜〜♪」
 聞こえるか聞こえないかくらいの微かな声で詩を歌いながら、アルドベリクの髪を編み込んでいく。
 ――アルドベリクとルシエラは数奇な縁で、永いようで短い、短いようで永い付き合いの間柄だ。それでも時々ルシエラの真意を量りかねることが在った。
 特に『今』のルシエラは、文字通り籠の鳥よろしく、檻の中で外界と接触を絶たれて育ったせいか、良く言えば無垢で純粋、悪く言えば『ぶっ飛んだ』思考の持ち主だ。
 今日は三つ編み。昨日は部屋中に魔界のエディブルフラワー……エディブルフラワー(※補食的な意味で)をばら撒かれ、何枚かの書類が犠牲になった。一昨日は特に邪魔もせず、アルドベリクの膝の上に座っていた。
 アルドベリクがルシエラの意図を量りかねて思いあぐねていると、コンコン、と控え目なノックの音が響いた。
「ムールスか」
 返事の代わりに茶器を盆に載せたムールスが顔を出す。
「お仕事も大事ですが、あまり根を詰めすぎてもよく在りませんよ」
 ムールスがティーポットを傾けると、カップに注がれた琥珀色の液体が清廉な香りを放つ。
「――そうだな、休憩にしよう」
 アルドベリクはルシエラの妨害を遮りながら仕事を続けることを諦め、貝殻型の焼き菓子に手を伸ばす。
 当のルシエラは変わらずアルドベリクの髪を編んでいる。

208【魔王と】ゴドー家の日常の時間【天使と】2:2019/05/25(土) 21:55:48 ID:ljj0Q4TQ
「っと、ムールスさん、ちょうど良かった。髪留めとか持ってないですか?」
「ぶっふぉっ!!」
 焼き菓子を頬張ったアルドベリクがルシエラの言葉に驚いて噎せる。焼き菓子を無理矢理香茶で流し込んでから、改めてルシエラに向き直る。
「……おい……まさかと思うがその髪留めを俺に使うつもりじゃないだろうな……」
「可愛いと思いますよ?」
「あのな……」
「残念ながら、髪留めはありませんが――」
 ムールスの言葉にアルドベリクがほっと胸を撫で下ろす。
「――洗濯ばさみならあります」
「じゃ、それで」
 しれっと手を出してくるルシエラの手のひらに、ムールスがエプロンのポケットから取り出した数個の洗濯ばさみを乗せる。
 礼を言って受け取ったルシエラが、編んだ髪の毛を洗濯ばさみで留める。
「ムールス、お前……裏切り者め……」
「滅相も御座いません」
 はぁ、とアルドベリクは今日何度目か解らないため息を吐き、肘掛けに腰掛けている所為で自分より僅かに高い位置にあるルシエラの顔に向けて手を伸ばし、頬に手を添える。
「もしかして――リザとリュディが居なくなって寂しくなったのか?」
 聡明な二人の養い子は、既に巣立ちの時期が来てそれぞれ飛び立っていった。
 それを『寂しい』と感じる気持ちなら、アルドベリクにも理解できなくはな――
 ルシエラはムスッと頬を膨らませ、唇を『へ』の字に引き結んでいた。
「寂しいのは、私じゃなくてアルさんです」
「俺が?」
 首を傾げてルシエラを見る。
 寂しい、と言われても自分ではよく解らない。
「二人には一人で生きていけるだけの技術も知識も与えてある。誇らしく思いこそすれ、寂しがる理由は無いだろう」
「ほんっっっとアルさんて不器用ですね」
「何故かいきなり貶された……」
 やれやれと言わんばかりにルシエラが肩を竦める。
「まだるっこしいな……お前は何が言いたい? 何がしたい? 言いたいことがあるならはっきり言ってくれ」
 負けじとルシエラもずいっとアルドベリクに顔を寄せた。
「アルさんの朴念仁。鈍感。にぶちん」
「だから何が言いたいのか説明してくれ」
「『言いたいこと』が在るのは、アルさんの方じゃないですか」
 そう言われても、アルドベリクに心当たりはさっぱり思い付かない。
 そんなアルドベリクの目の前で、ルシエラがぴっと立てた指をアルドベリクに向けて突き出す。
「?」
 訝しむアルドベリクの眉間に向けて、ルシエラは容赦ないデコピンを叩き込んだ。
「い゛っ……」
「たまには鏡でも見たらどうなんですか」
「鏡なら毎朝見ているが」
「……アルさんのとーへんぼく。今日のアルさんのご飯は私特製の畜生鍋にします」
 言うだけ言って、ルシエラはふわりと羽を羽ばたかせ、座っていた肘掛けから下りる。
 そしてそのままぷいと部屋を出ていってしまう。
「結局何だったんだ……」
 釈然としない様子で呟いてから、アルドベリクはふと自身の眉間に指を宛ててみる。
「……もしかして、眉間に皺が寄っていたか?」
 部屋に残っていたムールスが、茶器を片しながら苦笑する。
「恐れながら、そういうこでございますな。あの二人が居なくなった日からずっと」
「…………っ」
 はぁぁぁぁ〜……と息を吐いて、アルドベリクは執務机に突っ伏した。
「険しい目で書類を睨み付けたまま、目は書類を追っていなかったり、上の空でぼんやりと窓の外を眺めていらっしゃったり……挙げれば枚挙に暇がありませんな」
「窓の外を見てたって、自分の行動なのによく解らないな……」
「あのお二人はよく窓から出入りしていましたから。――ある日ひょっこり窓から『ただいま』と顔を出しそうな気がしてしまうのではありませんか? ――私も、そうですから」
 机に突っ伏したアルドベリクは、前髪を掻き上げようとして――洗濯ばさみが引っ掛かって、思わず「痛っ」と呟いた。
「……そうか……ルシエラがこないだから仕事の時に押し掛けて来ていたのは……」
 心配されていたのか、と漸く気付く。気を紛らわせようとしてくれていたのだ。
 ――ルシエラ、というのはそういう少女だった、と今更思い出す。
 ルシエラは決して、自身の心配を押し付けたりしない。
 『心配すること』が『自分の勝手な行為だ』と理解している。だからこそ、相手が応じようが応じまいが、勝手に心配して、勝手に立ち回って、いつの間にか立ち直らせる。

209【魔王と】ゴドー家の日常の時間【天使と】3:2019/05/25(土) 21:57:26 ID:ljj0Q4TQ
「いいですか、『独り立ち出来る技術と知識を与えた』ことと、『心配すること』は別なんですよ。この機会に言わせていただきますが、アルドベリク様は少々『魔王らしく在ること』を意識しすぎていると思うのですよ」
 一息に捲し立ててから、ムールスは照れた様に首の後ろに手をやった。
「なんて――偉そうなことを言いましたが、全部ルシエラ様の受け売りなんですけどね。……ルシエラ様はまだ無垢でいらっしゃるので言葉足らずになってしまうことは否めませんが……」
 話が逸れたことに気付いて、ムールスは気持ちを切り替える様に首を横に振り、続ける。
「引き留めて、魔界に住まわせることも出来た。そうせずに見送ってしまった。『心配なら魔界に居させれば、良かった』――じゃ、ないんですよ。『それでも心配』っていう選択肢が在ってもいいではありませんか。魔族とはそういうものでしょう? ――それに」
 ふっ、とムールスが微笑する。
「誰が魔王のやることを叱ると言うのでしょう。心配したいなら心配していいし、体裁を気にするなどとアルドベリク様らしくはありませんな。本来なら敵である筈の天使を自身の居城に住まわせている時点で、ルールなんてくそくらえ、でしょう? ルシエラ様なんて、アマン様たちに万が一お二人が死界に行った際にはこちらに引き渡して貰う密約を結んでおりましたよ。それと比べればアルドベリク様の悩みなんて『今更』ですよ」
「――ああ、それもそうだな」
 やっと不敵な笑みを浮かべてアルドベリクが突っ伏していた机から顔を上げる。
「悩んでいたのが馬鹿馬鹿しくなってきたな。――ありがとう、ムールス」
「いえいえ、私の言葉は全部ルシエラ様の受け売りですので」
「それと『俺がムールスに感謝すること』は別の話だろう? やりたいようにやっていい、と言ったのはお前だぞ、ムールス」
「これは一本取られてしまいましたな」
 はっはっ、と笑ってから、ムールスは思い出した様にエプロンのポケットから小瓶を取り出し、アルドベリクに差し出した。
「そうそう、これを」
「何だこれは」
「胃薬です」
 端的な説明に、ルシエラが言い残した一言を思い出したアルドベリクの顔面から血の気が引く。
「…………ムールス」
「はい」
「骨は拾ってくれ……」


 ルシエラは寄り掛かっていた扉から、ぴょこんと跳ねる様に身を離した。
「――ふふっ」
 ルシエラの唇から華が咲き零れる様に、笑みが浮かぶ。
「アルさんたら、『相変わらず』ですねぇ――『昔から』」
 誰にともなくひとりごちるその言葉には、少なからず『変わっていない』ことへの喜びが滲んでいた。
 くすくすと微笑しながら、ルシエラはスカートの裾を翻してキッチンへと向かう。
「今日の畜生鍋は腕によりをかけないとですねぇー」


 ――その後。
 何故かアルドベリクではなくヤラが3日に渡って腹痛で寝込み、魘され続けたという。

210名無しの魔法使いさん:2019/05/25(土) 21:59:48 ID:ljj0Q4TQ
|ω・)ノ
魔道杯or投票券周回お疲れさまです……!(小声)
ミコト様かサクトくんの販促SSでも書けたら良かったんですが……w


魔道杯で助言くださった方にすごく助けられたのでお礼を兼ねて書いてみた。
でも、直接渡せるほどの勇気が無いので此処に置かさせといてくださいお願いしますm(_ _)m
運が良ければご本人に届く……か?
スキル中の時間と休憩時間で書いた30分くおりてぃ。
好きなキャラは知ってるけれどどんなストーリーが好きなのかは知らないので、口に合うかは解らないし、もし地雷だったらどうしようっていう_(:3 」∠)_

211名無しの魔法使いさん:2019/05/25(土) 22:11:14 ID:ljj0Q4TQ
すみませんなんか本文が長すぎますって出て削ってる時にやらかしたかもしれませんorz
パッと見なので自信はないですが、微妙に前後してるかも……もしちゃんとした分が読みたいという方いらっしゃったら言ってくださいぃぃorz

212【辻歌人】夢で、逢えたら。【元戦神】1:2019/06/22(土) 20:47:54 ID:3Cl9Ig7Y
【辻歌人】夢で、逢えたら。【元戦神】


 都の有力な陰陽師で在るアマノの屋敷。
 その一室で、ミコトは行灯の灯りを頼りに文机に向かっていた。
 ――大月照天の手に依って、ミコトが下界に堕とされてから、暫くが経った。
 その間に、色々な事が在った。
 ヒトとしての生活、辻歌人として名を上げるまでの苦難、キュウマとの出逢い、キュウマに紹介されてアマノの屋敷に居候させて貰ってからの日々。
 都を混沌に陥れようとする赤火との対決、紬姫との邂逅、言霊写しの術、そして――和歌の神の座を紬姫に譲って、自らは下界に遺ったこと。
 長かったような、あっという間だったような出来事を思い返しながら、ミコトは文机に開いた納記帳を前に、思案顔で筆を弄んでいた。
 ――いつからだろうか。こうして寝る前に一首書き記しておくようになったのは。
 最初は下界の生活を記録するだけの日記帳の様なものだったが、『言霊の力』を意識する様になってから、歌人としての和歌の練習のつもりで、和歌を遺すのが日課になっていた。
 ミコトはしばしぼんやりと天井を見上げていたが、
「スウちゃんと セイちゃん今日も 元気かな 明日も元気で 在ります様に……うーん、なんか違うかなあ……」
 そう呟いて、ミコトは嘆息にも似た吐息を吐き出した。
 下界に堕ちてからというもの、スオウとセイの事を思い出さなかった日は一日たりとて無い。
 だが、口に出したのはこれが初めてだった。
 ――秋の夜長が、そうさせたのかもしれない。
 晩春の桜の出来事から、もうそれほどまでに時間が経っていた。
「弱音……なのかな……」
 ぽつりと呟くミコトの耳に、鈴虫の音色が届く。
 ――去年はセイとスオウと一緒に縁側で虫の音を聴いていた。
 中秋の名月を見上げ、月見団子を一緒に食べた。
 あまりにも遠い、穏やかな日々。
 弱音や愚痴は全部自分の中に仕舞っておいた。
 下界に堕とされたのは怠惰な自分の行いの結果だし、当然の結果だと思った。
 それに――セイとスオウに甘えてしまっては、命を賭して都の安寧を願った紬姫に悪いような気がした。
 だというのに。
「……なんで今日はこんなに、スウちゃんとセイちゃんのこと思い出すんだろ……」
 やけに郷愁が胸を衝く。
「――はあっ」
 ミコトはわざとらしく息を吐き、ぼんやりしていた自分を叱咤する様に頬を叩いてから頭を振り、気持ちを切り替える様に納記帳に向かう。
「よしっ、こんな時はさっさと寝るに限る!」
 郷愁を覚えた処で、どのみち『今』のミコトには、スオウとセイに触れる処か、その姿を視ることも出来ないのだから。
 しばしミコトは思案げに納記帳を見下ろしていたが、一つ頷いて墨に筆を沈める。
「十五夜の 虫の音色に 友想い――夢枕でも 一目逢いたい、と……」
 まあせめて、夢枕で逢うくらいなら、きっと紬姫も赦してくれるだろう。
 そんなことを想いながら、使った筆の墨を拭い――
「『夢枕だけでいい』たぁミコトにしちゃ随分謙虚じゃねーか」
 からかう様な快活な声が響き、ミコトはぴたりと動きを止めた。
 壁際の文机。背中から響く声に、傍らの行灯の灯りが揺らぐ。
「俺たちは、夢と言わず生身のミコトに逢いたくて仕方がなかったんだが」
 すぐ後ろから納記帳を覗き込んで居るらしい落ち着いた声音。
「夢だけでいいなんて、欲がないな」
 ――びくり、とミコトの身体が震えた。
「や、やだな……わたし――つ、疲れてる、のかな……あはっ……スウちゃんと、セイちゃんの、声――声、が……聞こえる――なんて――」
 平静を装おうとした声が震える。
 膝の上に置いた手をぎゅっときつく握る――その手の甲に、ぽたっと透明な雫が散った。
 ぐっ、と唇を噛み締めて、頬を伝う雫を拭う。
「あははっ、これ、幻聴ってやつ――かな……は、早く寝なきゃ……」
 口では寝なきゃと言いながら、体は動かなかった。
 だって――今動いてしまったら。
 もし、幻聴じゃなかったとしたら――
「あ、ひっでー。幻聴扱いされてやがる」
「スオウ、あまりそう言ってやるな」
「ミコトはオレたちと逢いたくなかったのか? 夢でしか顔も見たくないとか」
「――そんなっ!!」
 そんなこと、在るはずが無い――そう言おうとして反射的に振り向いた先に、懐かしい笑顔が在った。
 いつもの様に悪戯っぽく笑うスオウと。
 いつもの様に穏やかに微笑したセイと。
「……っ! なんっ、なんで――」
 うまく言葉が出てこない。
 言葉の代わりに、みるみるミコトの瞳に涙が浮かぶ。

213【辻歌人】夢で、逢えたら。【元戦神】2:2019/06/22(土) 20:49:17 ID:3Cl9Ig7Y
 変わらない笑顔。変わらない優しさ。
 懐かしさがミコトから言葉を奪う。
「『何で』、はこっちの台詞だ」
「気が付いたら此処に居たからな。恐らく、ミコトの謳に喚び寄せられたのだとは思うが」
 肩を竦めて顔を見合わせるスオウとセイに、
「…………ッ!!」
 だっ、とミコトが飛び付いた。
 しゃがみ込んだセイとスオウが、迎え入れる様に両手を広げ、ミコトは一も二もなくその腕の中に飛び込んだ。
「っく、セ……ちゃ、ス……ちゃ……ふ、う、うああああ――――っ!!」
 ぎゅう、と二人の背に腕を廻して、しがみつく様にして幼い子供の様に泣きじゃくった。
 逢いたかった、とか。
 急に下界に堕ちることになってごめんね、とか。
 ちゃんとご飯食べてる? とか。
 聞こうと思っていたことや、話したいと思っていたことは幾らでも在るのに。
「スウちゃん、セイちゃん……!」
 唯々二人の名前を喚ぶミコトに、スオウとセイも感極まった様に瞳を潤ませる。
「――よく頑張ったな、ミコト」
「お前の頑張りは、他の誰が見てなくても、オレたちだけはちゃんと見てるから安心しろ」
 セイが泣きじゃくるミコトを慰める様にぽんぽん、と背中を叩き、スオウがミコトの髪を撫でる。
 二人はミコトが落ち着くまで、何も言わずにじっとミコトを慰め続けた。
「うぅ〜、こ、こんな泣くはずじゃなかったのにぃ……」
 泣き疲れたらしいミコトが、ぼやきながら泣き笑いの表情で顔を上げる。
 漸く浮かべたその笑顔に、スオウとセイの表情も緩む。
「次にセイちゃんとスウちゃんに逢う時には、生まれ変わった様に誤字が減った“すーぱー”なわたしを見せつけながら颯爽と和歌を詠んでみせるつもりだったのにぃ〜……」
「ミコトがへっぽこじゃないって、素直に喜べねーな」
「落ち着かないよな」
「扱いが酷いっ!?」
 ミコトが抗議の声を上げた刹那、
「――ミコト?」
 襖の向こうから響いた静かな声に、ミコトの心臓が飛び上がった。
 内心の動揺を悟られない様に、努めて冷静を装いながら、問い掛ける。
「き、キュウマさん。どうしました?」
「いや――さっきから誰かと話してるのか?」
「いえ、別に、そんなことは――ひゃんっ!!」
 びくんと身を震わせながら、ミコトは桜色の唇を割って零れそうになる喘ぎを必死に飲み込んだ。
「ミコト? どうかしたのか?」
「いえ、なんれもないれす、大丈夫……」
 悪戯っぽくセイと笑みを交わすスオウの指が、ミコトの袴の中に差し込まれて縦横無尽に這い廻る。
「……? 何処か、具合が悪いのか?」
「ほ、本当に大丈夫ですからっ! ち、ちょっと、夢見が、悪くて――ふぁっ……目が覚めちゃった、だけ――なので――」
 襟元から差し込まれたセイの指が、襦袢の下でぴんと尖った乳首を浅く掻く。
「そうか。明日からまた旅に出るんだから、具合が悪いなら早めにトウマに言うことだ」
「相棒の言う通りだぜっ。ミコトは無理しいだからな。旅に出るのを多少遅らせた処で問題ないからなっ!」
 キュウマに続けてフウチにそう言われてミコトは返事をしようとするが、
 ――にゅぷっ。
 スオウの指が口腔内に差し込まれ、舌を弄んでくる。
「〜〜〜〜っ、ふぁっ……う、は、はい……」
 何とかそれだけ答えると、部屋の前、襖の向こうでキュウマが逡巡するような気配が在ったが、
「心配なのは解るが、ミコトが『大丈夫』って言っている以上、でしゃばってもしょーがないだろ、相棒。幾ら何でも深夜に“れでぃー”の部屋に入るもんじゃないぜ」
 フウチにそう言われたキュウマは、
「――おやすみ、ミコト」
 そう言い残して部屋の前を去る。
 キュウマの足音が遠ざかってから、ミコトはスオウとセイの愛撫を振り切る様に身を離し、顔を真っ赤にして涙目で二人を睨み付けた。

214【辻歌人】夢で、逢えたら。【元戦神】3:2019/06/22(土) 20:50:38 ID:3Cl9Ig7Y
「スウちゃん、セイちゃんんんん?」
 ミコトがキッ、と柳眉を逆立て眦を吊り上げる。
「キュウマさん居るのに変な声出る処だったじゃない!!」
「いやむしろ居るからだろ」
「な。」
 セイもスオウも悪びれなくそう言って頷き合う。
「折角久し振りに逢えたというのに他の男と話していたら、妬くくらいはするものだ」
「オレは折角だからいちゃいちゃしてミコトが可愛い処を見せ付けてやりたいかなと」
「もうっ、久し振りに逢えたのにすぐそーいうことする!!」
 何処までもしれっと答えるセイとスオウに、ミコトは警戒心も露に二人を睨むが――刹那、スオウがぐいとミコトの身体を抱き寄せる。
「あっ」
 ぽふっとスオウとセイの腕の中に納まったミコトを見下ろし、スオウはべとべとに濡れた右手を見せ付ける様にミコトの目の前に翳す。
「これ、なーんだ」
「……さっきわたしの口の中に手を突っ込んだからでしょ」
「残念。ミコトの舌を弄ったのは左手なんだよなあ」
 意地悪く笑んだスオウが言わんとする意味を察したミコトの頬が羞恥に染まる。
「そ、それは、だって……!」
「『だって』――何?」
「〜〜〜〜ッ!! スウちゃん、の、いじわるっ!!」
「ミコトが意地悪しがいが在るのが悪い」
 頬を膨らませるミコトの細い顎に指を宛て、くいと上向かせたセイがその珊瑚色の唇を割って舌を差し込む。
「んっ……ふっ……」
「オレらが触る前から此処をこんなに濡らして蕩けさせてたんだから、その分しっかり可愛がってやんねーとな」
 唇を離したセイが、ミコトの口の端を伝う涎を指で拭ってから、不敵な笑みを浮かべてみせる。
「さっき触ったら乳首も尖らせてたぞ」
「ミコト、もしかして欲求不満なのか?」
 前髪を掻き上げる様に額に手を宛てて瞳を覗き込んでくるセイとスオウからミコトは顔を背け、恥ずかしそうに淡い藍色の瞳を伏せた。
「欲求不満……じゃないとは思うんだけど……スウちゃんとセイちゃんの手がわたしに触れてると想うと……なんだか、身体が火照っちゃって……」
 うぅ……とミコトは顔を隠す様に両手で覆う。
「し、暫く逢わないうちに、わたし、い、淫乱になってたらどうしよう……」
 すごく真剣そのもののミコトの呟きに、スオウとセイは一瞬面食らった様にきょとんとしたが、
「ミコト、こっち向いて」
 今度はスオウがミコトの唇に吸い付いた。
 舌を絡めてくるスオウに応じる様に濡れた音を響かせながら、ミコトは注がれる唾液を嚥下する。
 横からセイが手を伸ばし、ミコトの袴の帯を解いて襦袢をはだけさせる。
「ふぁっ……」
 唇を離したスオウが、蕩けた表情で見上げてくるミコトにニヤリと笑む。
「淫乱になったらなったでいいんじゃないか?」
「わたしがよくないよっ!?」
「実際、淫乱になっていようがいまいが、ヤることは変わらないわけで」
「セイちゃんまで何言ってるの!? 何の慰めにもなってな――」
 抗議の声を上げるミコトを、スオウが押し倒して床に横たえる。
「さて――じゃあ、身体が淫乱になってるか確認してみるか?」
「別に、さっきも言ったが淫乱になっていようがなっていまいがミコトが可愛いことに変わりは無いからヤることは変わらないわけで」
「セイは“じょーちょ”ってモンがねぇなあ。和歌の神様から叱られるぜ?」
「スオウにだけは言われたくないが――ふむ。では、和歌の神様に怒られないように、精一杯悦ばせるとしようか」
 つ――とセイの右手がミコトの乳房を撫で、ミコトの身体がびくりと跳ねた。
「やっ、ちょっ、ぁんっ……ふぅっ……」
 力強い指先が乳房を揉みしだき、ぴんと尖った乳頭を爪で弾く。
 反射的にセイの手を払おうとするミコトの両腕を、セイが難なく抑え込む。
「どっちが先にする?」
「ちょっと待ってわたしの意見は?」
「スオウからでいいぞ」
「聞いて? お願いだからわたしの話も聞いて?」
「じゃあ遠慮なく。セイはどっちを……って、咄嗟に押し倒しちまったけど、ミコトが仰向けだとセイがヤりにくいか」
「あの」
「とりあえず抵抗する気力が無くなるまでは仰向けでいいぞ」
「…………」
「それもそうか。どっちにしろオレもセイも口もケツも使うしなあ」
「何回ヤる気なの――っ!?」
 ミコトの悲鳴の様な声に、ミコトの両足を押さえ込み、寝間着らしい浴衣をはぐったスオウが朗らかに笑う。

215【辻歌人】夢で、逢えたら。【元戦神】4:2019/06/22(土) 20:52:04 ID:3Cl9Ig7Y
「何回っつーか、とりあえず朝まで耐久戦? みたいな?」
「安心しろ。いつまで此の姿でいられるか解らないが、最長でも朝までに帰ると約束しよう」
「待っ――ひぅっ!!」
 びくんっ! とミコトが身を仰け反らせる。
「や、ぁっ……いきなり二本なんてぇ……」
 泣きそう声を上げてスオウを睨むミコトに、スオウはミコトの“ナカ”に差し込んだ二本の指をぐにぐにと動かす。
「お、いい反応。ミコトの声って、なんか嗜虐心を唆るよなあ」
「ば、ばかっ!」
 顔を真っ赤にして抗議の声を上げるミコトに優しく指を動かしていたスオウが、悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「なに――やぁっ……!」
 性感帯、所謂Gスポットをスオウが指の腹で撫でる。優しく優しく撫でながら、時折爪で浅く掻く。
「ミコトは“此処”がいいんだよな?」
「別に、悦く、なんか、な――」
 ある種執拗なまでに同じ処を重点的に攻め立てるスオウ。
「久し振りなんだから、しっかり解しとかねーとな」
「ふぁっ、やめ……っ!」
 ミコトの声を遮る様に、セイが唇を重ねる。
「ん、む……」
 膣を弄ばれ、乳房を撫でられ、舌を絡ませながらミコトは絶頂に達した。
「――――ッ!!」
 びくん、と身を大きく仰け反らせてから、足を突っ張りながら腰を浮かす。
 痙攣していた身体からどっと力が抜けると、スオウはミコトの愛液に濡れた指を抜いた。
 唇を離したセイが、ミコトの頭を撫でる。
「もう抵抗出来なさそうだな。――尤も、最初から言うほど抵抗する気は無かったみたいだが」
「そう思うなら、もうちょっと手加減してよぉ……」
「スオウじゃないが、『ミコトが意地悪しがいが在るのが悪い』」
「えぇぇ……横暴だ……」
 抗議の声を上げるミコトを、スオウが抱き起こす。
 起こされたミコトは、スオウに寄り掛かる様にしてぐったりと身体を預ける。
 その肢体を、今度はセイが後ろから抱き竦める様にしてスオウから受け取る。
「ほら、ミコト。舐めて」
「んっ……」
 ミコトの顔の前に差し出されたセイの人差し指と中指に、おずおずとミコトが舌を這わす。
 ちゅぷ、と濡れた音を響かせながら、指先にミコトの唾液を絡めるセイ。
 その様子を見ながら、スオウはミコトの足を押さえて前屈みに身を屈める。
「行灯の灯りでも解るほどびちゃびちゃに濡れてんなあ……やっぱ『暫くお預け』ってのも、これはこれで悪くないかもな」
「…………どちらかと言えば『お預け』で死に掛かってたのはミコトじゃなくてスオウの方だろう」
「かもな」
 ははっと笑って、スオウはミコトの内股に口づける。
「ひゃっ……!?」
「此処なら、幾ら吸い痕をつけた処で、外からは見えないもんなあ」
 ミコトの足を持ち上げ、太股、それも内側の辺りを重点的にちゅ、ちゅ、と桜の花びらを散らす様に吸い痕をつけていく。
 セイはミコトの口から唾液塗れの指を抜き、
「ひっ――!?」
 肛門に指を宛てがわれたミコトは目を見開き、びくん、と身体を震わせた。
「やっ、セイ、ちゃ――」
 そのままセイの指が、ミコトの直腸に沈み込む。
 にゅぷぷ、と音を立てて挿入された二本の指が、ぐねぐねとミコトの腸壁を愛撫する。
「だから……いきなり二本はやだぁ……」
 潤んだ瞳で抗議するミコトを全くもって黙殺し、セイは何かを探る様にミコトの直腸に指を這わす。
「んー……サクトだとこの辺なんだが……もうちょっと手前……いや、もうちょっと奥か」
 男で在れば前立腺の裏に当たる位置を丁寧に撫でると、ミコトの爪先がぴくん、と痙攣した。
「お? 良かったな。ミコトが反応してるぞ、セイ」
「女にも前立腺て在るのだろうか? 男だけにしか無いと書いてあったが……」
「ゼンリツセンて何だ?」
「この間読んだ本に載ってたんだが」
「こないだの本て、なんか魚がいっぱい載ってたやつか?」
「……一応断っておくが、和漢三才図会は魚の本じゃないぞ」
「じゃあ、あの草がいっぱい載ってたやつだ」
「本草綱目のことを言っているなら、違うぞ。異界から借りた本だ」
「誰から借りたんだ」
「えた☆くろの」
「あ、いい。察したからもう言わなくていいぞ」
 何処ぞの同人誌描きの三人組の女神の名前が出た時点で、スオウは全てを察した。
 しかし、本の知識というのも侮れない。
 現にミコトは、両手で口許を押さえ、涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにしながら必死に喘ぎを堪えている。
「これはこれで唆るなぁ」
 言ってスオウは口づけをやめ、ミコトの膣に指を差し込んだ。

216【辻歌人】夢で、逢えたら。【元戦神】5:2019/06/22(土) 20:53:03 ID:3Cl9Ig7Y
「ひぁっ――ダメ、今、指っ……挿れられ、たらぁ……っ!!」
「んー、セイの指……この辺、か……?」
「さすがに魔羅を挿れている時ならまだしも、指が入っている位置までは解らなくないか? 一応、この辺りなんだが」
 ぐっ、とセイが指の腹で腸壁の一点を押す。
「何となく、この辺ぽい気がするんだけどな」
 セイが裏から強く押している辺りを、スオウが浅く爪で掻く。
 刹那、
「〜〜〜〜〜〜ッ!!」
 びくん、とミコトが四肢を突っ張って身体を大きく仰け反らせた。
 スオウの指をびしゃびしゃに濡らしながら、ミコトが本日二度目の絶頂に達する。
「潮吹いた……そんなに悦かったのか?」
「ふぇ、あぅぅ……」
 滂沱とミコトの頬を伝う涙を、セイが指で拭ってやる。
「……そろそろ、挿れるか?」
「まだ、もうちょっと……内股に口づけてばっかで『こっち』をまだあまり弄ってないからな」
 言うが早いか、スオウはミコトの陰核に吸い付いた。
 舌先で器用にくりくりと包皮を剥いてから、剥き出しになった其処へ甘く歯を立てる。
「――――っ!!」
 声無き声を上げるミコトを、セイは微笑して上向かせ、その唇に唇を重ねる。
 スオウが陰核に吸い付き、歯を立てる度にセイの口腔にくぐもった喘ぎが注がれる。
 ミコトが三度、絶頂に達してからスオウは漸くミコトの陰核から顔を上げた。
「――挿れていいか?」
 セイから唇を離したミコトはしばし逡巡する様な迷いを見せたが、やがて恥ずかしそうに小さく頷いた。
 両足を抱え、膣口に宛てがったスオウが、ミコトの様子に気付いて首を傾げた。
「ミコト、自分で挿れたい?」
「いや、その……」
 ミコトは慌てて首を横に振りながら、
「ひ、久し振りだから……その……セイちゃんとスウちゃんを、ちゃんと気持ちよく出来なかったら、ごめんね……?」
 顔を真っ赤にして蚊の鳴く様な声で訴えるミコトの頭を、スオウとセイが微笑して撫でる。
「オレたちは、ミコトが『気持ちいい』のが一番気持ちいいから、心配いらないぞ」
「そうそう。そんな心配に気を廻すくらいなら――」
 ――ずんっ、と一息に奥まで貫かれたミコトの背を、電流の様に快感が駆け抜けた。
 崩れ落ちそうになるミコトの身体を、スオウが前から寄り掛からせる。
「気をやるのはまだ早いぜ」
 言うが早いかセイがミコトの腰を押さえ、後ろから挿入する。
 ミコトは縋る様にスオウの身体を抱き締める。
「相変わらず、キツイ締め付けだなあっ!!」
「ふぁ――スウちゃんが、前よりずっと、深い……っ!!」
「久し振りだからか? それとも、スオウの長さが変わったのか?」
「――いや?」
 意地悪く笑んで、スオウはミコトの頬を伝う涙を舌で拭う。
 スオウとセイがミコトの腰を抱え、激しく上下させる。
 そのたびに、濡れた音に混じって、ゴツ、ゴツ、とスオウの肉棒が子宮口を突く音が響く。
「ミコト、多分子宮降りてるわこれ」
「なるほど。それで深いと錯覚してるのか」
「だ、め――あぁっ!!」
 二人の激しい動きに翻弄されていたミコトが、ぎゅう、とスオウにしがみつく。
「セイちゃん、スウちゃん――」
 泣きじゃくりながら、ミコトは切なげにスオウとセイの名を呼んだ。――何度も、何度も。
「――――あああああっ!!!!」
 体内が白で満たされるのと同時、ミコトの意識も白で塗り潰されていった。


 ――目を覚ますと、布団の中だった。
 まだ朝靄が掛かっているのが、空気で解る。
 スオウとセイは居なかった。というか自分は、いつの間に布団で眠っていたのだろうか。
(夢……だったのかな……?)
 だとしたら相当欲求不満な夢を見たものだ、と急に恥ずかしくなって、ミコトは起き上がって赤くなった頬を両手で押さえた。
「――――!」
 起き上がったミコトは、とろりと自分の体内から零れた液体が太股を伝う感触に、『それ』が夢でなかったことを理解する。
「スウちゃん、セイちゃん……」
 ぎゅっと布団の端を握って目を閉じる。
 何となく、布団からスオウとセイの匂いがする気がする――なんて言ったらスオウたちは怒るだろうか、呆れるだろうか。
(でも――もう少しだけ)
 陽が昇るまでは――そう願いながら、ミコトは再び目を閉じた。

217名無しの魔法使いさん:2019/06/22(土) 21:04:00 ID:3Cl9Ig7Y
おまいは魔道杯中に何をやっているんだと小一時間。
皆様魔道杯お疲れ様ですm(_ _)m

時系列的には4以降の、秋口くらいに書いてお蔵入りにしてたやつです(多少手直しはしましたが)
文才が無いのでパターンが同じだし、上げるまでもないかなと_(:3 」∠)_
相変わらず神んぐの三人がわやくちゃしてるだけのSSですw

フレさんがこういうのが結構好きらしいと(人伝に)聞いたのでひっそりと投下しておいたり。
そのフレさんじゃなくても、何方かの性癖に刺さってくれたら密かに嬉しいw
相変わらずのお目汚し、失礼いたしましたm(_ _)m

218名無しの魔法使いさん:2020/01/13(月) 00:06:55 ID:b8TuqTeA
避難兼テスト

219名無しの魔法使いさん:2020/02/15(土) 21:16:31 ID:./gUyfGU
テスと

220名無しの魔法使いさん:2020/10/21(水) 06:04:45 ID:6iBAZK4M
死ーん

221【願いは】アルルシ風味に見せ掛けたリザリュディSS【一つ】:2020/12/08(火) 21:09:58 ID:BperRQ/6
※Twitterで、ロスエデ5周年だかアルルシ5周年だかを、やっている様なので、ひっそりと上げてなかったSSを投下してみたり。
※ぽっっかみ時点で書いたSSです
まだ此処を見ている方がどれほど残っているかは解りませんが、ちょっとでも面白いと思って頂けましたら幸いです。

【願いは】アルルシ風味に見せ掛けたリザリュディSS【一つ】


 コンコン、と控えめなノックの音が響いて、アルドベリクは目を通していた書類から顔を上げた。
「ムールスか?」
 問い掛けると、重厚な木の扉が微かに軋んだ音を立てながら開く。
 扉の向こうから顔を覗かせたのは――
「……ルシエラ?」
 お盆に茶器を乗せたルシエラだった。
 驚いた様に片眉を跳ね上げるアルドベリクには構わずに、ルシエラは後ろ手に扉を閉め、アルドベリクの傍らにお盆を置いた。
「夜遅くまで精が出ますね、アルさん。でも、休憩はちゃんと取らないとダメですよー」
 嗜めると言うよりは、からかう様な口調。
「ムールスはどうした?」
「ムールスさんなら、リザとリュディを寝かし付けてますよ」
「…………」
 どうやら抵抗は無駄なようだ。
 諦めて、アルドベリクは読み掛けの書類の束を机に放り投げた。
「毎日毎日大変ですねえ」
 ティーカップに茶漉しを掛けて、其処にティーポットから香茶を注ぐ。
「実質やっていることは領内の事務書類に印を捺すだけの様なものだが、一応書類は全て目を通さないといけないのが面倒だな……」
 アルドベリクは椅子に凭れかかって、酷使した目を解す。
 そうこうしている内に、ルシエラの淹れた香茶の香りが鼻腔を擽ってくる。
「さ、アルさん、どうぞ。疲れが取れる様に、お砂糖を一つ入れてありますよー」
「ああ、ありがとう」
 言ってカップを受け取り、一口啜ってから、
「――ルシエラ」
 かちゃん、とカップがソーサーに戻される。
「はい、アルさん」
 にこにこと、天使の無邪気さそのままにルシエラが返事をする。
「単刀直入に聞くが――何を入れた?」
「黒猫さんとこで一緒になったルシーニアさんから頂いた即効性の媚薬でーす☆ ラティオさんて方でちゃんと試したから効果は折り紙つきだそうです♪ 最近ご無沙汰なのでって言ったら『魔王だと効果が薄いかもしれないから』ってくれた10回分を一気に突っ込みました☆」
「……………」
 悪戯っぽく笑うルシエラに、アルドベリクは頭痛を堪える様に項垂れた。
「おーまーえーはー……」
 白い肌に薄っすらと朱が差したアルドベリクは、照れているのか左手で口許を隠そうとしている。
 ルシエラはそんなアルドベリクの膝に乗り、抱きつく様に背中に腕を廻し、アルドベリクの瞳を真っ直ぐに覗き込む。
「アルさんは、ちょっと真面目すぎると思うんですよ。根を詰めすぎずに、たまには仕事から離れてゆっくり休むことも大事ですよ?」
「――本音は?」
「最近アルさん、リザとリュディに構ってばっかりで寂しいなって。私だって焼きもちくらい妬くんですよって。『そんなに仕事が好きならいっそ仕事と結婚しちゃえ、このワーカホリック』って思って」
 何処までも悪びれなくしれっと答えてくるルシエラに、アルドベリクは深々と嘆息した。
「…………リュディとリザがある程度の年齢になるまで閨事を控えよう、って言ったのはお前だろう、ルシエラ。具体的にはサキュバス科で実習入る様になる年齢まで」
「だからムールスさんに寝かしつけて貰ってるわけで」
「………………そんなにしたいのか?」
「いえ? ぶっちゃけ私はそれほどでも。ただ、アルさんのアルさんが色々と『溜まって』そうなので、大変そうだなあと。アルさんは変な処で素直じゃないので、『右手が恋人』とか言い出してひっそりと自分で処理しかねないので、もういっそ一服盛ってしまおうかと」
「『それほど』ってことは『少しは』その気が在ると……いやそれより、お前は俺をどういう目で見ているんだ」
「こんな――」
「いやいい。実演しなくていい。聞いた俺が愚かだった」
「――あとアルさん」
「何だ」
「さっきから私の足に堅いものが当たってるわけですけど」
「……そうだな」
 悪戯っぽく舌を見せてから、ルシエラは大輪の花の様に表情を綻ばせる。

222【願いは】アルルシ風味に見せ掛けたリザリュディSS【一つ】2:2020/12/08(火) 21:13:02 ID:BperRQ/6
 膝の上に座ったルシエラの腕をぐいと引き寄せて、アルドベリクは不敵に笑み――ルシエラに口づける。
 互いの呼気すら貪るかの様に、奥の奥まで舌を伸ばす。
 何度も何度も、在る種執拗なほどにルシエラと舌を絡め合う。
 アルドベリクが顔を離すと、ルシエラは頬を上気させ、蕩けた様な表情で、自身とアルドベリクを繋ぐ唾液の糸を見詰めている。
「さて――」
 アルドベリクはルシエラの前髪を掻き上げる様に撫でながら、ふ、と小さく微笑した。
 ――それは、傍目には笑った様には見えないかもしれない。ほんの僅かに緩く唇が弧を描いただけ。表情が変わったとはとても思えないだろう。
 だがルシエラは識っている。――それが喜悦から来る笑みで在ると。
 ぞく、とルシエラの背中を一抹の後悔と――多大な期待が快感となって這い上った。
 アルドベリクは、ルシエラの耳許に顔を寄せて囁く。
「魔王に一服盛ったのだから、覚悟は出来ているんだろうな?」
「できてたけど、できてないです……」
「まさか今の口づけだけで満足したわけじゃないだろう?」
「満足はしてないですけど、『ちょっと早まったかも』とは思ってますねぇ……」
「今更止めろと言われても自制できる自信は無いな。まあ、ルシエラが泣いて拒絶するならその限りではないが」
「…………ばか。」
 聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟いて、ルシエラはぷいとそっぽを向いた。その頬が
まるで淡い頬紅を差した様にほんの少しだけ、微かに紅く染まっている。
「……拒絶なんて、出来るわけないじゃないですか……」
「何か言ったか?」
「いーえなんにも。アルさんのキスがえっちいのが悪いって呟いたんです。反省してください」
「それは、反省の気持ちを込めてもう一回口づけたらいいって意味か?」
「聞こえてましたよね? しっかり聞こえてましたよねこれ」
「何の話か解らないな」
 意趣返しのつもりかしれっと答えてから、アルドベリクはルシエラの腰を抱き寄せようとするが――何故かルシエラがアルドベリクの手の甲をつねる。
「此処まで来てまさかのお預けか?」
「違います。『する』のは構いませんが、寝室に連れてってからにしてくださーい」
「別に、此処でも構わないだろう」
「構いますよ。書類がぐちゃぐちゃになったら、誰が片付けると思ってるんですか」
 ずいと顔を近付けてくるルシエラに、アルドベリクは一瞬気圧されそうになったが、

「ムールスだな」「ムールスさんですよ!」

 見事に声をハモらせてそう言った。
「書類がしわくちゃになるくらいなら別にいいですけど、書類に私のこう……液とか零れてたらさすがにムールスさんも気まずいんじゃないかと」
「それもそうだな」
 あっさり頷いて、アルドベリクは膝の上のルシエラに向けて左腕を差し出す。
 その腕にルシエラが大人しくちょこんと腰掛ける。
 今でこそその“腕”はリザもリュディもお気に入りの場所だが、元はといえばよくルシエラが腰掛けていた場所だった。
 アルドベリクに抱え上げられ、寝室へ運ばれる。
「久しぶりに、アルさんを独占出来ますねぇ」
「――こうして腕に乗せていると、止まり木に鳥を留まらせてるみたいだな」
「私はどちらかというと、鷹匠っぽいイメージですね」
「ルシエラが鷹……? むしろシマエナガとかその辺だろう、羽も白いし」
「羽の色だけで判断とか、そんなだからアレさんなんて呼ばれるんですよ」
「アレさん……」
 ぴょんとアルドベリクの腕から飛び降りたルシエラは、ふかふかのベッドの上に立ち、迎え入れる様に両手を広げてみせた。
「私はアルさんがアレさんでも、そんなアルさんが大好きですよ」
「アレさんなのは否定しない、と……何一つフォロー入れるつもりのないその清々しさはどうにかならないのか」
 はあ、と嘆息してから、アルドベリクは苦笑してベッドに上がり、ルシエラの身体を抱き締めた。
「――アレさんついでに、折角の感動のシーンを台無しにして悪いんだが」
「はい、何でしょう」
「さっきの薬がめちゃくちゃ効いてきてそろそろ限界なんだが……」
「えっ」
「ちょっと手加減出来る自信は無いからルシエラも覚悟を決めてくれ」
「…………あの。アルさん一口しか飲んでませんでしたよね……?」
「だが現に症状が出ているのは事実だからな。言っておくが、飲ませたのはルシエラだぞ」
 アルドベリクの腕の中で、ルシエラが小さく身を震わせる。
「――期待か?」
「アルさん、“自意識過剰”って言われません?」
「生憎魔王にそんなことを言う勇気のあるやつは一人しか知らないな。ーーさて、無駄話は此処までだ」
 アルドベリクは、横たえたルシエラのひらひらの服に手を掛ける。

223【願いは】アルルシ風味に見せ掛けたリザリュディSS【一つ】3:2020/12/08(火) 21:17:55 ID:BperRQ/6
 シルクの服を割って触れるアルドベリクの手の熱に、ルシエラがびくりと反応する。
 その様子に、アルドベリクは不敵な笑みを浮かべて見せる。
「ーー頭の先から爪先まで、美味しく食べてやるからな」
「もうっ、アルさんったらーー」

 ーーぼとっ。

 ルシエラが頬を染めて声を上げた瞬間、何かーー重さのあるもの。そう、例えば『綿の詰まったぬいぐるみが落ちた様な音』が響き、アルドベリクとルシエラははたと動きを止めた。
「「……………」」
 一瞬だけ互いに顔を見合わせてから、ゆっくりと音がした方をーー扉の方を向き、頬を引き攣らせながら其処に立つ人物を見遣る。
 果たしてーー
 其処には、手にしていたらしいまかたんのぬいぐるみを取り落とし、驚愕に瞳を見開いたリザが居た。
「ル、ルシエラ食べちゃダメええええ!!!!」
 瞳いっぱいに涙を溜めて訴えるリザの姿に、片手でのしかかったアルドベリクを押し退けつつ、片手で服を整えながらルシエラががばっと飛び起きる。
「…………」
 ルシエラは気まずそーにアルドベリクを見上げる。
「………………」
 アルドベリクは朱の差した頬を片手で隠しながら、にっこりとルシエラを見る。
「……………………ルシエラ?」
「…………………………………………はい」

 バタバタバタッと激しい音が響いて、バンッと扉が開け放たれる。
「申し訳ありません。リュディの手洗いについて行っている間にリザがこちらにお邪魔をーー」
 ーー駆け込んだムールスとリュディが見たものは。

 呼吸を荒くし、頬を紅く染め、明らかに情欲を持て余しながら必死に理性で押さえつけ、部屋の真ん中で仁王立ちしているアルドベリクと。
 そのアルドベリクの前で絨毯に額をつけて土下座しているルシエラの姿だった。

224【願いは】アルルシ風味に見せ掛けたリザリュディSS【一つ】4:2020/12/08(火) 21:18:49 ID:BperRQ/6
「ーーなんてこともあったねえ」
「今となっては思い出したくない黒歴史ね」
 何処までも広がる空の下。浮き島の一つに広がる草原に寝転がり、リザは大きく息を吐いた。
 隣では、リザと同じ様に寝転がったリュディが、何かを掴もうというのか、それとも単に眩しくて日除けにしているだけか、空に手を伸ばしている。
「今にして思えば、あれって『そーいうこと』してたのよね。ルシエラには悪いことしたと思うわー。割と本気で」
「それから暫くして、時々『女子会』って言って、リザだけカナメたちのとこに行くようになったよね。俺はムールスが寝かしつけてくれた」
「小さい頃は『お泊まりヒャッホウ』としか思ってなかったけど、冷静に考えるとあれっていちゃいちゃするから追い出されてただけよね」
「ルシエラの土下座姿見たのは、後にも先にもあの一回だけだなあ」
 思い出す様に目を細めるリュディの隣で、リザは「はぁ」と嘆息する。
「…………帰りたい、なあ…………」
 本来リザは弱音を吐いたりする方ではないが、さすがに疲れたと表情が物語っている。
 そんなリザに、リュディは黙って耳を傾ける。
「ーー魔界で助けて貰って、魔族の皆に故郷を救って貰って、魔界で育てて貰って、クソ可愛い神様と一緒に過去と未来で別れたリュディとやっと再会して、故郷に戻ってきて……でも、私が何か変わったつもりなんて無かった。私は、『リザ・ロットレンダー』で『リュディの許嫁』で、何もーー何一つ変わっていないのに」
 溜め込んだ感情を吐き出す代わりか、リザの頬を一筋の涙が伝う。
「私は“英雄”でも“魔物”でもない。そんな実体の伴わないモノなんかじゃないわ」
 故郷に戻ったリザたちを出迎えたのは、奇異の視線、拒絶、好奇。遠巻きに見てくる者はあれど、触れてくる者は居ない。
 『世界を救った者』として持て囃しながら、その実、『魔物の子』として忌み嫌われていることは解っていた。
「……一度壊された世界なんだから、アルドベリクたちも見棄てておけば善かったのよ、こんな世界」
 陰口を叩かれるくらい、どうということは無いと思っていたが、連日連日それが続くと嫌にもなってくる。
「俺はアルドベリクたちのした事を否定しようとは思わないけどね」
「私だって、別に、否定したいわけじゃないけど」
 むう、と頬を膨らませるリザの傍らに身を起こし、リュディはリザの髪に指を絡め、金色の髪を梳く。
「いい加減、『英雄』って呼ばれるのにも飽きたわ。飽きすぎて、英雄が『愚か者』って言ってる様にしか聞こえなくなったし」
「ーーだからといって、衝動的に気流の渦に飛び込むのは止めて欲しいかなあ」
「別にあのくらいの風なら乗りこなせるわ。それに、そのお陰で気流の真ん中にこんな素敵な花畑を見つけられたんだから、感謝して欲しいくらいだわ」
 いつもの強気なリザが戻ってきたことに安堵し、リュディは微苦笑を浮かべる。
「まあね。此処なら誰の声も届かないし、誰にも邪魔されない」
 言って不敵な笑みを浮かべるリュディに、リザが目をぱちくりと瞬かせて、下からリュディを覗き込む。
「ーー俺たちのことを『英雄』と呼ぶなら、勝手にしていればいい。俺はくだらない『英雄』の呼称と引き換えに、此の浮島と土地、そして俺とリザだけの生活を手に入れてやる」
 吐き捨てる様にそう言ってリザの髪に顔を埋めるリュディに、リザも花の様に表情を綻ばせる。
「『私とリュディ』だけじゃ足りないわ。ーーあと一人、未来で待ってるもの」
「ああ、そうだな」
 ーーそれは、願いにも似た〈約束〉。
 寝転がる二人を祝福する様に、風に巻き上げられた花びらが幾重にも降り注いでいた。

225名無しの魔法使いさん:2020/12/08(火) 21:23:36 ID:BperRQ/6
ぽっっかみの時に、リュディくんがほしかったのにリザさんが4枚来てくれて、
再契約に賭けて「リザさんがリュディくん喚んでくれたらリザリュディのR18SS書く」とか言ったらマジでリュディくん連れてきてくれた訳ですが。
結局R18風味になったのはアルルシだったっていう。
まあ、リザリュディをいちゃこらさせようかなとも思ったんですが、なんか蛇足っぽいかなとなってしまってそのままお蔵入りになってたやつを祝いの席で上げる根性よw

というわけで、ロスエデ5周年おめでとうございます( ≧∀≦)ノ

226名無しの魔法使いさん:2020/12/11(金) 09:30:36 ID:WA7uXwIg
おぅ
久し振りにSSキテルネ!!


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