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精霊を性的に愛でるスレ Part.3
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「ハァ……ハァハァ…」
脇腹が痛む。肺が酸素を求めて暴れ回る。心臓は今にも爆発しそうなほど、脈動していた。
しかし、それでも立ち止まることはできない。立ち止まれば最後、奴の一撃で死ぬこととなるからだ。
『クオン、上だっ!』
我が身に宿した狐の声を聞いて、クオンが思い切り右へ跳ぶ。悩んでいる暇なんてなかった。
瞬間、さっきまでいた場所を、形容しがたき何かが蹂躙していく。
それを見て背筋が凍りついたが、それでも止まらず立ち上がって走り続けるしかなかった。
ある狼の月落としを見事防ぎ、慢心に浸ってしまったのがすべての間違いだった。
軽い気持ちでこの依頼を受けたのが間違いだったのだ。
月落としの件は、あくまであの魔法使いの力を借りたから達成できた。それを失念してしまっていたのである。
『今は後悔しているときではない。 一度撤退し、体勢を立て直すのだ』
「言われなくても、わかってる!」
わかってるからこそ走ってる。だからこそ持てる最大の力で逃げている。奥の手である十二天将の力まで借りて。
なのに敵はずっと追いかけてきていた。それもほぼ真後ろに張り付き、合間合間に攻撃を加えて来ているのだ。
九尾の天狐を宿し、陰陽の力を極限に高めた自分が敗走に喫している。
その事実が突きつけられるたびに、積み重ねてきたクオンの自信が粉微塵に崩れていく。
やがて視界一面を覆っていた林が途切れ、原っぱへと変わる。
『結界だ。あの中にまで、入り込めれば……』
追ってはこれない。
どれだけ強かろうが、物の怪にも本能というものがあるのだ。あれは神力を持たぬ物の怪では絶対に入れないように作った結界。
その分、作るのにかなり時間と労力はいるが、逃げ込むくらいの広さなら作るのにも雑作はなかった。
(まずは一度あの中で体勢を整えて――)
思考は最後まで続かなかった。
突然自分の身体から力が抜け、そのまま地面に倒れ込んだからだ。
何が起きたのか、それすらも分からず走ってきた速度のまま原っぱを転がる。
あれだけ早く走っていたのだ。柔らかい腐葉土の地面でも衝撃は殺せず、残り少なかった肺の空気が無理矢理吐き出させられた。
『クオンっ!? 立つのだ、早く!』
ヤスナの叱咤の声が聞こえる。
だが動けない。全身が痺れて、全く動けない。手がかりはふくらはぎの鋭い痛み。
唯一動く目を動かして確認すると、長い棘がふくらはぎに突き刺さっていた。
「ど……く……?」
「ご名答。さすがは天才陰陽少女さんじゃな」
視界の端に動く影があった。その手にあるのは細長い筒。
吹き矢を射られたということに気づいたのはその時だった。そしてその吹き矢に何らかの毒が塗られていたことにも。
「あな……たは……依頼して、きた……村の……村長?」
何故、彼がこんなことをするのだろう?
クオンは彼に依頼されてここへ来た。村の近くで暴れる魔物を討伐してくれと。
なのに、どうして。瞳だけをそちらに向けながら、クオンは理解できない事態に頭を回す。
「実はな、わしらはこの魔物、主様と契約をしておってな、村を守ってくれているじゃよ」
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