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精霊を性的に愛でるスレ Part.3

574名無しの魔法使いさん:2015/05/22(金) 01:14:45 ID:JY2ZER7Y
 背筋に寒気を感じて、レメモはそこで本を閉じた。目を上げると、神殿で飼っている青い小鳥と目が合う。
 ここは、天界にある歴史を司る神殿、そこに備え付けられた飼育小屋――つまりトートの寝床である。
 最近やたらと神殿図書館に顔を出すトートにうんざりした彼女は、飼育係であるメティースに事情の説明と要望を伝えるためにわざわざこの神殿まで出向いたのだった。が、トートがまた逃げ出したらしく、メティースも捜しに出て行ってしまったためクロノワに話をつけるに留まった。
 空振りで帰るのも何なので、ということでトートの飼育小屋に入ったところ、薄い本を見つけたので思わず立ち読みしてしまった。その内容というのが、魔法の力でおかしくなったレメモがトートと交わる短編小説だった。

「なんて気味の悪い……」
 今すぐにでもシュレッダーにかけて焼却処分してしまいたい。それだけではなくて、すでに印刷された全ての本と、どこかにある原稿ごと抹消しなければ意味がない、と彼女は静かな怒りの炎を燃やす。
 とその時、背後から尋ね人の声がした。
「あれ、ワイの小屋にいるのはもしかしてレメモちゃん? ワイに会いに来てくれたんか!」
「ええ、そうですよ。ところでトート、これは誰が作ったんですか?」
「お、それ読んだんか? なかなかええ出来やろ!」
「誰がこんなのを作るのに協力したのかと聞いているんです」
「それは、なあ。天界にも色々な天使がおるっちゅうことやねん。作ってくれる代わりにこの仕事のことは誰にも話さないっちゅう約束なんや。だから教えるのは無理やで」
「そうですか。では今度作者に会ったら言っておいて下さい。話が進むにつれて文章がいい加減になっていますよって」
「分かった、伝えとくで」

 そしてレメモはおもむろにトートを拾い上げ、その胸に抱きしめてから小屋を出た。
「いきなりどないしたんや?」
「いえ、トートがこんなにも私のことを思っていたなんて知らなかったものですから」
「レメモちゃん!」
「一緒に行ってほしいところがあるんです。知り合いの、腕の良い医者なんですが」
「医者?」

「はい、トートに去勢手術をしてもらおうかなと。そうすれば、二度とこんなことをしなくて済みますし、歴史を記録するっていう大事な仕事にも集中できますよね?」

「レメモちゃん、放してくれへん?」
「トート、大好きです。一生逃がしません」
「これはあかんて! どうにかして逃げな、ああ痛い! レメモちゃん痛い! その腕力で全力で抱きしめたら大変なことになってまうで!」
「うるさい」
「……」




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